このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

はまぐりは、すなの なかで なにを どうやって たべて いるの?

砂にもぐったままのハマグリは、水をこして何を食べ、食べない粒をどうしているのでしょうか

砂にもぐったまま水をこすハマグリ:何を食べ、粒をどう選び、水をどれだけ通すのか

分野:生きもの

はまぐりは、すなの なかに もぐった まま、いちども あるかずに ごはんを たべます。たべものは、うみの みずに ういている、とても ちいさな つぶです。

どうして うごかなくても たべられるのでしょう。この メモでは、水管すいかんと えらの はたらき、たべない つぶの ゆくえ、みずを とおす りょうの めやすが わかります。

ハマグリは、砂にもぐったまま、体の外に出した管から海水を吸いこんで食事をします。獲物を追いかけることも、砂の上を歩いて餌を探すこともしません。それでも育つのは、水のほうを体の中に通しているからです。

では、水の中の何を、どうやって口まで運び、食べないものはどうしているのでしょうか。この記事では、ハマグリの食事のしくみと、水を通す量の目安、場所によって変わる数字が分かります。

ハマグリは砂の中から動かないのに、毎日食事をしている。餌を探しに行く代わりに、海水のほうを体の中へ引きこみ、水中に漂う粒をこし取る方式である。しかも、こし取った粒をすべて食べるわけではない。

この記事では、何を食べるのか、粒をどう選んで運ぶのか、どれだけの水を通すのかを、二枚貝一般の資料と近縁種の測定値を分けて示し、ハマグリそのものについて言えることと言えないことが分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. うごかない はまぐりは、どこから ごはんを とって くるの?

1. 動かないハマグリは、どこから食べ物を取ってくるのか

1. 歩かずに食べる:ハマグリは水の中の何を餌にし、どこから取りこむのか

はまぐりの たべものは、うみの みずに ういて いる しょくぶつプランクトンです。けいそうという、とても ちいさな なかまが よく しられて います。[1]

はまぐりは、すなに もぐった まま、水管すいかんを すなの そとへ だします。水管すいかんは 2ほん あって、みずが はいる みちと、でて いく みちに なって います。[2]

すいこんだ みずは、えらを とおります。えらが ちいさな つぶを こしとって、みずだけが そとへ でて いきます。みずの ほうを、からだの なかへ とおして いるのです。

ハマグリの主な餌は、海水中に漂う植物プランクトンだとされ、とくに珪藻の仲間がよく挙げられます[1]。珪藻は、顕微鏡でなければ見えないほど小さな藻の仲間です。

二枚貝は、海中の植物プランクトンなどを水ごと吸いこみ、えらでこし取って食べます。水を出し入れする管(水管)は2本あります[2]。ハマグリも二枚貝の仲間なので、同じしくみで食べていると考えられます。

つまりハマグリは、砂に潜って動かないまま、水を体の中に通して粒をこし取る「濾過摂食者」です[1]。歩いて餌を探す動物とは逆で、餌のほうが水に乗って流れてくるのを待つ食べ方です。

では、えらでこし取られた粒は、どうやって口まで届くのでしょうか。

ハマグリは珪藻類や有機物を水中からこし取って食べる濾過摂食者とされる[1]。ただしこの記述の出どころは図鑑サイトであり、「珪藻が主」という点は一つの資料にもとづく。二枚貝一般については、海中の植物プランクトンなどを水ごと吸いこみ、えらでこし取って食べること、水を出し入れする水管が2本あることが新聞記事で紹介されている[2]。ハマグリは二枚貝であり、同じ方式で摂食していると考えるのが自然である。

この方式の利点は、動かなくてよいことにある。砂に潜ったまま、水に乗って運ばれてくる粒を受け取れる。そのため、餌をめぐる行動は「探す」ではなく「通す水の量と、こし取る粒の選び方」に移る。

では、えらでこし取られた粒は、どのようにして口まで届くのか。

2. こしとった つぶは、どうやって くちまで はこばれるの?

2. こし取った粒は、えらの上をどうやって口まで運ばれるのか

2. えらの上の水流と粘液:粒は食溝を通って口へ運ばれる

えらには、とても ちいさな 毛が たくさん はえて います。この 毛を ゆらして、みずの ながれを つくります。

ながれて きた つぶは、えらの 粘液ねんえきに くっつきます。粘液ねんえきとは、ねばねばした えきの ことです。つぶは、粘液ねんえきに つつまれた まま、えらの みぞを とおって、くちの ほうへ おくられて いきます。[3]

たとえば、ベルトコンベアに のった にもつが、ならんで はこばれて いく ようすに にて います。ただし ほんとうは、ひとが おいた にもつではなく、みずに ういて いた つぶが、えらに くっついて いるのです。

二枚貝のえらには、繊毛(せんもう)という細かい毛が並んでいて、これが動くことで水流が生まれます。この水流が、水を管から吸いこみ、えらの上を通します。えらの表面は粘液でおおわれていて、水中の粒はそこにくっつきます[4]。

粒は、繊毛の動きと粘液にくるまれたまま、食溝(しょくこう)と呼ばれるみぞに集められ、口の方へ運ばれます[3]。口に入ったものは、食べられて消化されるもの、糞として出されるもの、後で述べる偽糞として出されるものに分かれます[4]。

たとえるなら、細かい網を水に通して粒をこし、網についた粒をベルトコンベアで口まで送るようなものです。ただ、網と違うのは、えらが粘液で粒をつかまえて、毛で運ぶところです。

ここで一つ疑問がわきます。つかまえた粒は、全部食べてしまうのでしょうか。

二枚貝は、繊毛の拍動によってえらの上へ水を通し、水中に懸濁した餌をえらの粘液でとらえる[4]。とらえられた粒子は、えらが起こす水流と繊毛、粘液の作用で食溝に集められ、口へ運ばれる[3]。水流を作るのも、粒をつかまえるのも、運ぶのも、すべてえら周辺の構造が担うことになる。口に入った粒は、消化されるか、糞として出されるか、後述する偽糞として排出される[4]。

ここで注意したいのは、粒を「こす」ことと「食べる」ことが同じではない点である。えらの上で粘液にくっついた粒がすべて口に入るわけでも、口に入ったものがすべて栄養になるわけでもない。粒が集まる途中の段階にも、選ぶ仕組みがある。次の章でそれを見る。

3. たべない つぶは、どう なるの?

3. 食べない粒は「にせの糞」として出される

3. 唇弁による選別:食べない粒が偽糞として排出される

くちの まわりには、くちびるのような ひらひらした ぶぶんが あります。ここで、たべられる ものと、たべられない ものを わけます。[3]

たべものに ならない つぶは、「にせの ふん」と して そとへ だされます。ほんとうの ふんでは なく、たべずに すてられた つぶの かたまりです。

えらに ひっかかった ものを、ぜんぶ たべる わけでは ありません。たべものに なる ものを えらんで いると かんがえられて います。

口の周りには、唇弁(しんべん)というひだのような部分があります。二枚貝の食事では、この唇弁が粒の中から有機物だけを選び、選ばれなかったものは偽糞(ぎふん)として外へ出されます[3]。

偽糞とは、消化管を通らずに、粘液にくるまれたまま出される「食べ残し」です。体の中を通ってから出る本物の糞とは区別されます[4]。

水の中には、餌になる有機物の粒のほかに、泥や砂の細かい粒も混ざっています。もし全部を飲みこんでいたら、お腹が泥でいっぱいになってしまいます。「こして、選び、残りは捨てる」という段階があるから、水の中の少ない餌を効率よく取りこめるのだと考えられます。

口の周囲にある唇弁は、二枚貝の摂食において、集まった粒子から有機物だけを選び、選別から外れたものを偽糞として排出する器官とされる[3]。偽糞は消化管を経ずに出される点で、体内を通って出る糞とは区別される[4]。

この選別の意味は、水中の粒の構成を考えると分かりやすい。海水中の懸濁物には、餌となる植物プランクトンや有機物の粒のほかに、無機の細かな粒子も含まれる。すべてを消化管に送れば、栄養にならないものの処理に負担がかかる。そのため、えらでの捕捉、食溝での輸送、唇弁での選別という複数の段階を経て、取りこむものを絞っていると考えられる。ただしこれは一般的な二枚貝の記述にもとづく推論で、ハマグリでの選別の基準や効率は数値で示せない。

では、この「こす」作業は、どれくらいの水を相手にしているのか。

4. みずは、どれくらい とおして いるの?

4. 水はどれくらい通しているのか:アサリの干潟での測定を見てみる

4. ろ水量の目安:アサリの干潟別の測定値と、その読み方

はまぐりが みずを どれくらい こすかは、かずで しめせません。そこで、おなじ にまいがいの なかまの あさりの しらべを みて みましょう。

かんこくの にしがわに ある 2つの ひがたで、あさりが みずを こす はやさを はかった ところ、ばしょに よって 4ばい いじょうも ちがって いました。[5]

ただし、なぜ ちがったのかは、この しらべだけでは きめられません。かいの おおきさや、ひがたの みずの ようすが かんけい して いる かも しれません。あさりの かずを、はまぐりに そのまま あてはめる ことも できません。

ハマグリそのものについて、水を通す量を測った数値は示せません。そこで、同じ二枚貝のアサリの測定を見てみます。

韓国西岸の2つの干潟で2009年10月に測った研究では、炭素量を基準にした値で、乾燥した身1グラムあたり毎時およそ0.6〜2.9リットルでした。場所によって約4.7倍(2.86÷0.61)の差がありました[5]。

差の原因は、この結果だけでは決められません。貝の大きさや環境が関係する可能性はありますが、確かな答えは出ていません。

この数字は、アサリの乾燥した身1グラムあたりの値です。ハマグリの1個あたりの量にはそのまま使えません。分かるのは、同じ種類の貝でも、場所によって水を通す速さがかなり違うことがある、という点です。

ハマグリそのものについて、ろ水量を測った数値は示せない。そこで、同じ二枚貝の査読論文の測定値を、基準に注意して見る。

アサリ(Ruditapes philippinarum)について、韓国西岸の2つの干潟で2009年10月に調べた研究では、炭素量(POC)を基準にした濾過速度が、乾燥身1gあたり毎時およそ2.86L(Sihwa)と0.61L(Geunso)だった[5]。約4.7倍(2.86÷0.61)の差である。

この差の原因は、結果だけからは決められない。個体の大きさや環境条件が関係する可能性はあるが、どれがどれだけ効いたかまでは分からない。

この数値は乾燥身1gあたりの値であり、1個体あたりの量ではなく、ハマグリの値でもない。言えるのは、ろ水の速さが同じ種でも場所によって大きく異なりうるという点までである。

5. おなじ かいでも、ばしょで たべものは ちがうの?

5. 二枚貝の食べ方は、貝の種類と場所で変わる

5. 餌の取り方は種で異なり、餌の中身も場所と成長で変わりうる

にまいがいの ぜんぶが、はまぐりと おなじ ように たべる わけでは ありません。なかには、すなの うえに たまった ものを、水管すいかんで じかに すいこむ なかまも います。[3]

はまぐりの ほうは、みずに ういて いる つぶを こして たべる なかまです。おなじ にまいがいでも、たべかたは いろいろです。

じつは、はまぐりが ぜんぶの ばしょで おなじ ものを たべて いるのかは、まだ よく わかって いません。かいの おおきさや、すんで いる うみの ようすで、たべものは かわる かも しれません。

二枚貝の食べ方は、種類によって違います。水管で取りこんだ水中の粒(プランクトンや、生き物の死骸や排出物でできたデトリタス)を主に食べる種が多い一方で、砂泥の表面に沈んだデトリタスを水管で直接吸いこむ仲間もいるとされます[3]。

ハマグリは前者、つまり水中の粒をこして食べる側にあたります。一方で、前の章のアサリの数字が示すように、同じ種でも場所によって水の通し方は大きく違います。

こうした違いがあるため、「ハマグリは珪藻を食べる」という一言は、あくまで目安だと考えたほうがよさそうです。場所や貝の大きさによって、食べているものの中身が変わる可能性は十分にあります。ハマグリの餌を場所ごとに比べた数字は、ここでは示せません。

「何を食べているのか」を調べる方法は、胃の中身を見る、体を作る物質の種類(安定同位体)から餌を推定する、など複数あります。同じ貝でも、調べ方によって見える餌が変わるかもしれません。

二枚貝の摂食様式は一様ではない。水管で取りこんだ水中の粒子(植物プランクトンやデトリタス)を主な餌とする種が多い一方で、砂泥底の表面に沈んだデトリタスを水管で直接吸いこむ仲間もいるとされる[3]。デトリタスとは、生物の死骸や排出物などの細かな有機物の粒を指す。

ハマグリは前者、つまり水中の粒子をこし取る型とされる[1]。しかしその「中身」は一定とは限らない。前章のアサリの例では、ろ水の速さが干潟ごとに4倍以上違っていた[5]。ただし、この差だけから原因は特定できない。

餌の内容が場所や成長段階でどう変わるかは、ハマグリでは数値で示せない。一つの種の「餌」を答える難しさは、こうした調べ方の多様さにも表れている。

6. じぶんでも しらべて みたく なったら

6. 食卓の貝を、食べる前に観察してみる

6. 食卓の貝から、ろ水の様子を観察する

きょう できる こと

おうちの ひとと いっしょに、スーパーで うって いる いきた はまぐりや あさりを かって きます。ふかい おさらに しおみずを いれて、かいを いれます。しおみずは、みず 1リットルに しお 30グラムが めやすです。しずかな ところに おいて、しばらく まつと、水管すいかんが でて くるかも しれません。水管すいかんが 2ほん ある ことを、さがして みましょう。

うごく ものを さわって ゆらさず、そっと みるのが こつです。かんさつが おわったら、おうちの ひとと いっしょに、りょうりして たべましょう。

しらべる とき

ずかんの 「はまぐり」の ページを ひらいて、なにを たべるか、どこに すむかを かくにん してみましょう。

今日できること

家の人と、スーパーで売っている生きたハマグリやアサリを買ってきます。浅い容器に、水1リットルに塩30グラムほどの塩水を入れ、貝を並べて静かな場所に置きます。しばらく待つと、水管を出すかもしれません。管が2本あるか、水を吸う方と出す方のようすが違うかを、よく見てみましょう。

貝を揺らしたり、明るいライトを当てたりしないほうが、管を出しやすくなります。買った貝の保存や調理は、お店の案内に従い、食べるかどうかは家の人が決めてください。

資料を読むなら

水管と摂食のしくみは、日本語版Wikipediaの「二枚貝」の摂食の項や、琉球新報の紹介記事[2]で読めます。さらに読みたい人は、アサリのろ水量の原典(英語)、PubMed Central(PMC)の論文[5]へ進めます。

今日できること

家の人と、生きたハマグリやアサリを買い、浅い容器に水1リットルあたり塩30g程度の塩水を張って静置する。しばらくすると水管を出す個体があれば、管が2本あること、水を吸い込む側と出す側があることを観察できる。振動や強い光を避けたほうが管を出しやすい。買った貝の保存や調理は販売店の案内に従い、食べるかどうかは家の人が判断する。

資料を読むなら

水管と摂食のしくみは、日本語版Wikipedia「二枚貝」[3]や琉球新報の記事[2]で読める。さらに読みたい人向けに、ろ水速度の測定値の原典は、PMCに公開されている論文[5]である(英語)。この論文では、基準(個体あたりか、乾燥身1gあたりか)と、炭素量以外の基準(有機物量など)での値が、どのように異なるかが比較されている。ハマグリの餌については、各県の水産研究機関の報告書が出ているが、原文は都道府県の水産試験場のウェブサイトから確かめる必要がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. ぞうかん坊「ハマグリ」. https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%AA (ハマグリの餌)
  2. 琉球新報(沖縄の二枚貝の紹介記事). https://ryukyushimpo.jp/news/entry-778977.html (吸いこみとえら・水管)
  3. Wikipedia「二枚貝」. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%9E%9A%E8%B2%9D (粒の運ばれ方と選別)
  4. Wikipedia: Filter feeder. https://en.wikipedia.org/wiki/Filter_feeder (二枚貝一般のしくみとカキの水量)
  5. Filtration rates of the manila clam in tidal flats(PMC, 2020). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7010307/ (アサリのろ水速度)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。