1. ちずちょうの 色は、なにを つたえて いるの?
1. 地図帳の色は、高さと土地の使われ方を伝えている
1. 地図帳は色で高さと土地の使われ方を伝える(等高段彩と土地利用)
ちずちょうを ひらくと、きれいな 色が たくさん あります。これは、土地の たかさや、土地の つかわれ方を つたえる 目じるしです[3]。
ちずの 色の ぬりわけは、2しゅるい あります。1つめは、土地の たかさです。2つめは、その 土地を なにに つかって いるかです。まちが ある ところ、田、はたけ、くだものの 木が ある ところを、ちがう 色で あらわして います。
この きじでは、いろえんぴつも 「色で つたえる どうぐ」だと かんがえて みます。ちずちょうは 色を 「よむ」ほんで、いろえんぴつは 色で 「つたえる」どうぐ。やくわりは にて います。
でも、色だけで わけると、色の みわけが にがてな 人には むずかしく なります。そこで ちずちょうは、もう ひとつ くふうを して います。それは 3しょうで 見て みましょう。
地図帳の色は、高さや使われ方を表す情報
小学校の地図帳(帝国書院)は、土地の高さを色の段階で表す方法(等高段彩)と、市街地・田・畑・果樹園など土地の使われ方で色分けする方法(土地利用)を使って、地形やくらしを読み取らせるつくりになっていると、編集の趣旨を説明した資料に書かれています[3]。
この記事では、色鉛筆も同じ「色で伝える道具」としてとらえます。地図帳が色で読み手に伝えるのに対し、色鉛筆は自分で色を選び、人に伝えるための道具になる、というのが書き手の整理です。学校が色鉛筆の役割をそう定めているという資料は、見つけていません。
色だけでは伝わらない人がいる
地図帳の色分けは便利ですが、色だけに頼ると、色が見分けにくい人には読み取りにくくなります。地図帳はそこで、ある工夫をしています。次の章以降で見ていきます。まずは、もっと身近な場面から。
ノートに丸を付けるとき、色鉛筆はどう使われるのでしょうか。
小学校の地図帳(帝国書院)の編修趣意書は、土地の高さを段階の色で示す等高段彩と、市街地・田・畑・果樹園など土地の使われ方による色分け(土地利用)によって、地形や人々のくらしを読み取らせると説明している[3]。地図帳の色は、土地の高さや使われ方を表す情報として使われている。
では、色鉛筆はどう位置づけられるのか。本稿では、地図帳が色で情報を「受け取らせる」教材であるのに対し、色鉛筆は自分で色を選んで情報を「送る」道具だと整理する。ただし、これは複数の資料([1][2][3][4])を組み合わせた書き手の見方であり、学校が色鉛筆の役割をそう定めた資料は、今回あたった範囲にはない。
色を情報として使うなら、その色を見分けにくい人がいることも考えに入れなければならない。この問いは3章で扱う。その前に、色鉛筆(赤青鉛筆)がもっと身近な場面でどう使われるかを見る。
2. 赤えんぴつで まるを つけるのは、なぜ?
2. 赤青鉛筆の丸付けは、「見やすさ」で選ばれている
2. 赤青鉛筆の色分け学習:線の濃さと視認性
テストや ドリルの まるつけに、赤えんぴつを つかった ことは ありませんか。赤と 青の 2色が いっしょに なった 「赤青えんぴつ」も あります。
学校の おたよりを もとに した しょうかいでは、赤青えんぴつは、赤が 朱色より 線の 色が こくて、ノートの 文字が 見やすい ので、まるつけや 大じな ところを かこむ 「色わけ」に むいて いると 書かれて います[4]。
たとえば、まちがえた ところを 赤で かこんで、しらべなおした ことを 青で 書く、と いう ぐあいです。2つの 色を つかい分けると、あとで ノートを 見たとき、「ここが 大じ」が すぐ わかります。
ただ、赤青えんぴつを どう つかうかは、学校ごとに ちがいます。先生の しじを よく 聞いて つかって くださいね。
では、赤と 青の 色が にて 見える 友だちは、このノートを どう 読むのでしょうか。
「濃くて見やすい」ことが役に立つ
赤青鉛筆は、赤と青の2色が1本になった鉛筆です。学校のお便りをもとにした紹介記事では、赤は朱色と比べて線の色が濃く、ノートの文字が見やすいので、丸付けや大事なところを囲む色分け学習に向くとされています[4]。
たとえば、間違えた問題を赤で囲み、直した答えを青で書く、という使い方ができます。見直すときに、どこが直したところかがひと目で分かるからです。これは一例で、赤青鉛筆の使い方や持ち物の決まりは、学校によって違います。
見やすいはずの色が、見やすいとは限らない
赤で囲んだ印は、多くの人にはよく目立ちます。けれど、色によって見分けにくい人にとっては、色の違いが分かりにくいことがあります。では、実際にはどのくらいの人が、色の違いを見分けにくいのでしょうか。
赤青鉛筆は、赤は朱色と比べて描線の色が濃く、ノートの文字の視認性がよいため、丸付けや重要な箇所を囲む色分け学習に向くと、学校のお便りをもとにした紹介記事で説明されている[4]。たとえば、誤答を赤で囲み、訂正を青で書けば、見直しの段階でどこを直したかが一目でわかる。この例は紹介記事の趣旨をもとにした具体例であり、赤青鉛筆の使い方や持ち物の指定は学校ごとに異なる[4]。
ここで重要なのは、「見やすい」という評価が、色を見分ける人を前提にしている点である。赤で囲んだ印は、赤と周囲の色を区別できる人には目立つが、色によって見分けにくい人には、色の差が小さく感じられることがある。この資料は赤青鉛筆の使い方の紹介が中心で、色の見え方への配慮には触れていない。
では、色の見分けにくさはどのくらいの人にあり、どういう性質のものなのか。次章で、日本眼科医会の資料を見る。
3. 20人に 1人って、どういう こと?
3. 男子の20人に1人は、色によって見分けにくい
3. 先天色覚異常の頻度:男子約5%・女子約0.2%
目の いしゃさんの あつまりが、がっこうむけの しりょうに こう 書いて います。うまれつき、色を みわけにくい ことが ある 人は、おとこのこで 20人に 1人、おんなのこで 500人に 1人くらい いる、と[1]。
たとえば おとこのこが 40人 いれば、ふつうの かんがえかたでは 2人ほどです。おんなのこが 500人 いれば、1人ほど。クラスだと、どうでしょう。おとこのこが 20人くらい いる クラスなら、1人ほど いる 計算です。
この しりょうは、「色が まったく わからない」わけでは なく、「ある 色が みわけにくい ことが ある」くらいで、ふだんの くらしでは ほとんど こまらない、とも 書いて います[1]。
そこで 大じなのは、「赤で かこんだ」「青で 書いた」だけで つたえようと しない ことです。では、先生は どうしているのでしょう。
数字を人数に置きかえる
日本眼科医会の資料は、生まれつきの色覚の特徴(先天色覚異常)が、男子の約5%(20人に1人)、女子の約0.2%(500人に1人)にみられると書いています[1]。
これを人数にしてみます。男子が40人いれば、割合どおりなら2人ほどです。女子が500人いれば1人ほどになります。「100人に1人ではないか」と思いがちですが、0.2%は500人に1人です。割合はあくまで平均なので、クラスに必ず何人いる、という意味ではありません。
「見えない」のではなく「見分けにくい」
同じ資料は、色がまったく分からないのではなく、色によって見分けにくいことがある程度で、日常生活にはほとんど不自由はない、とも説明しています[1]。
だから問題は、色で情報を伝えようとしたとき、その色の違いだけに頼ると、伝わらない人が出るかもしれない、という点にあります。では、学校はどんな工夫をしているのでしょうか。
日本眼科医会の学校向け資料は、先天色覚異常が男子の約5%(20人に1人)、女子の約0.2%(500人に1人)にみられるとしている[1]。0.2%は500人に1人であり、100人に1人ではない。割合を人数に直すと、男子40人なら平均で2人、女子500人なら1人となるが、これは多数の集団での平均であり、特定の学級に必ず該当者がいることを意味しない。
同じ資料は、色がまったく分からないのではなく、色によって見分けにくいことがある程度で、日常生活にはほとんど不自由がない、とも述べる[1]。したがって、「見える・見えない」の問題ではなく、「どの色の組み合わせで差が小さくなるか」の問題である。
ここから導かれる結論は、色鉛筆で情報を書き分けるとき、色の差だけに頼ると、一部の人に伝わりにくくなるおそれがある、ということだ。では、教育の側ではこれにどう対応してきたのか。
4. こくばんと ちずちょうの、「もう ひとつ」の くふう
4. 黒板も地図帳も、色に「もう一つ」を足している
4. 黒板のチョークと地図帳の地紋:色以外の情報を足す
こくばんで、先生が 白と 黄色の チョークを つかう ことが 多い、と 気づいた 人は いますか。
ニュースの きじに よると、もんぶかがくしょうは 2003ねんに 「しきかくに かんする しどうの しりょう」を まとめ、こくばんでは 白と 黄の チョークを ちゅうしんに つかい、ほかの 色を つかう ときは、した線や かこみなど、色いがいの 目じるしも くわえる ように しめした、と つたえて います[2]。
ちずちょうにも にた くふうが あります。土地の つかい方で 色を ぬりわけた ところの うち、田や はたけ、くだものの 木の ある ところは、下じきに もようを いれて、わけやすく して います[3]。
こくばんも ちずちょうも、「色」に 「した線」「かこみ」「もよう」を 1つ くわえて います。いろえんぴつの ノートでも、同じ ことが できそうです。
黒板は「白と黄」を中心に
2003年に文部科学省がまとめた「色覚に関する指導の資料」について、報道は次のように紹介しています。黒板では白と黄のチョークを中心に使い、ほかの色を使うときは、下線や囲みなど色以外の情報も加えるように示した、というものです[2]。この点は、文部科学省の資料そのものではなく、報道を通して読んでいます。
地図帳の「地紋」
地図帳にも、同じ方向の工夫があります。土地利用の色分けのうち、緑系の田・畑や赤系の果樹園には、下地に模様(地紋)を入れて、判別しやすくしていると、編集趣旨を説明した資料に書かれています[3]。色だけで区別しなくても、模様でも区別できるようにしているのです。
黒板の下線や囲み、地図帳の模様は、どちらも「色に、もう一つ足す」工夫です。色鉛筆で書くときも、同じことを試せます。最後の章で、自分のノートで確かめる方法を紹介します。
2003年に文部科学省がまとめた「色覚に関する指導の資料」について、報道は、黒板では白と黄のチョークを中心に使い、ほかの色を使う場合は下線や囲みなど色以外の情報を加えるよう示したと紹介している[2]。ただし、この点は報道を介した情報であり、資料の原文は本稿では照合していない。
この考え方は、地図帳にも見える。土地利用の色分けのうち、緑系の田・畑、赤系の果樹園には下地に地紋を入れ、判別しやすくしていると、編修趣意書に書かれている[3]。色の違いが小さく感じられる人がいても、模様の違いなら区別できる、という発想と読める(趣意書は、この工夫が色の見え方への配慮であるとまで書いているわけではない)。
黒板の下線・囲みと、地図帳の地紋は、対象も媒体も違うが、色の差だけに頼らず別の情報を重ねるという点で共通している。これは、複数の資料を並べて見える共通点であり、特定の資料がそう定義しているわけではない。ここから、色鉛筆でノートを書くときにも同じ工夫を応用できるのではないか、という問いが立つ。
5. ノートで 「色を ぬいて」 ためして みよう
5. 自分のノートで、色を抜いても伝わるか試す
5. ノートの色分けを、色以外の手がかりで確かめる
いろえんぴつを 2本 えらびます。いま まなんだ ことを、1つめの 色で 「大じな ことば」、2つめの 色で 「しらべたい ことば」に 分けて、ノートに 書いて みましょう。
書いたら、2つの 色を いったん 見ないことに します。「大じな ことば」には した線、「しらべたい ことば」には かこみを、つけてみて ください。
そうすると、色を 見ないときも、した線と かこみで くべつ できるか ためせます。こくばんの した線、ちずちょうの もようと 同じ くふうです。
できたら、おうちの 人に 見せて みましょう。どちらが 「大じ」か、すぐ わかりましたか。
色鉛筆2本で試す
色鉛筆を2本選び、今日習ったことを、1本目で「大事な言葉」、2本目で「調べたい言葉」に書き分けてみましょう。
書けたら、色をいったん無視します。「大事な言葉」には下線を、「調べたい言葉」には囲みを足します。こうすると、色を見ないときも、下線と囲みで区別できるか試せます。黒板の下線・囲み、地図帳の地紋と同じ考え方です。
原典にあたるなら
色覚についての日本眼科医会の資料は、出典欄の[1]から読めます。黒板と地図帳の話は[2][3]が出発点です。文部科学省の資料の原文や、地図帳の編修趣意書の全文は、それぞれ文部科学省や出版社のサイトで探せます。
色鉛筆2本を選び、1本目で「大事な語」、2本目で「調べたい語」を書き分ける。次に、色の違いを無視して、前者には下線、後者には囲みを加える。これで、色を見ないときも、下線と囲みで2種類の語を区別できるかを、自分で試せる。この手順は、黒板の下線・囲み、地図帳の地紋と同じ原理(色の差に加えて別の手がかりを重ねる)を、ノートに当てはめたものである。
この記事の整理(色鉛筆=色で情報を送る道具)は、複数の資料の組み合わせによる書き手の見方である。学校が色鉛筆の役割をそう規定した資料があったわけではない。この枠組みが妥当かどうかは、読者が自分の学校のノートや地図帳で試して確かめることができる。
原典としては、日本眼科医会の色覚検査に関する資料[1]、文部科学省「色覚に関する指導の資料」(2003年、報道[2]を経由して紹介、原文は未照合)、帝国書院の編修趣意書[3]がある。とくに文科省資料と趣意書は原文にあたると、報道や紹介記事が省いた前提や条件を確かめられる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。年・名称・数字は、資料によって細部が異なることがあります。
- 日本眼科医会「色覚検査」の資料(学校向け様式例) https://www.gankaikai.or.jp/info/20131024_colorvision.pdf (色覚異常の頻度と、見分けにくさの性質)
- 政治山「黒板の文字がはっきり読めるチョーク…」 https://seijiyama.jp/article/news/nws20180316.html (文部科学省の資料の内容を伝える報道)
- 帝国書院 小学校地図帳 編修趣意書 https://www.teikokushoin.co.jp/files/product1/06shochizu_hensyushuisho.pdf (地図帳の色分けと地紋の説明)
- HugKum「小学生の持ち物『赤青鉛筆』の詳しい使い方は?」 https://hugkum.sho.jp/478893 (赤青鉛筆の使い方の紹介)
なおした ところ
更新履歴
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