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ダニは、どうして 見た ことが ないの?

ダニは、なぜ蚊のように姿を見かけないのか

ダニは、なぜ蚊のように姿を見かけないのか

分野:生きもの

「家の 中に ダニが いる」と 聞いても、じっさいに その すがたを 見た 人は すくない。なら、とんで いる ところを すぐに 見つけられるのに。

ダニは、どうして 見えないの?

「家の中にダニがいる」と聞いても、実際にその姿を見た人は少ない。蚊なら、飛んでいるところをすぐに見つけられるのに。

ダニは、どうして見えないのだろうか。

「家じゅうにダニがいる」と聞いても、姿を見た記憶がある人はほとんどいない。蚊であれば、飛んでいる姿をその場で見つけて叩くこともできるのに。

手がかりは大きさにある。そして、ダニをめぐっては「天日干しの布団のにおいは、死んだダニの匂いだ」という、よく聞く説も検証してみる価値がある。

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1. ダニは、より ずっと 小さい

1. ダニは、蚊よりずっと小さい

1. 0.2〜0.4ミリという大きさの壁

は、体の 長さが 5ミリくらい ある。だから、とんで いる ところや、とまって いる ところを、目で 見つける ことが できる[1]

家に いちばん 多い「チリダニ」と いう ダニは、体の 長さが 0.2ミリから 0.4ミリしか ない。まるで、けしつぶを 10こに 切った くらいの 大きさだ。これでは、ふとんの 上に いても、目で 見つける ことは できない[1]

蚊は、体の長さが5ミリくらいある。だから、飛んでいるところや、とまっているところを、目で見つけることができる[1]

家にいちばん多い「チリダニ」というダニは、体の長さが0.2ミリから0.4ミリしかない。乳白色をしていて、背景が黒っぽい場所でようやく白い点として見える程度だ。畳やカーペット、布団の上では、まず目で見つけることはできない[1]

代表的な蚊であるアカイエカの成虫は体長約5.5mmあり、飛翔音とともに肉眼で容易に確認できる[1]

一方、住居内でもっとも個体数の多いチリダニ(ヒョウヒダニ)は体長0.2〜0.4ミリで、乳白色をしている。黒っぽい背景であれば白い点として認識できる程度で、白系統の背景ではほぼ視認不可能である。家庭内に生息する他のダニも、ツメダニで約0.5ミリ、コナダニで約0.4ミリ、イエダニで約0.7ミリと、いずれも蚊の10分の1以下のサイズにとどまる[1]

2. 家に いちばん 多い ダニは、人を ささない

2. 家にいちばん多いダニは、人を刺さない

2. チリダニは人を刺さず、フケやアカを食べて育つ

大きさが 分かった ところで、家に いちばん 多い「チリダニ」の くらしを 見て みよう。

チリダニは、人の 皮ふから 出る フケや アカを たべて いきて いる。まるで、へやの すみに たまった ゴミを、しずかに かたづける そうじ屋さん みたいな ものだ(ただし ほんとうは、そうじの ために いる わけでは なく、たべものとして 食べて いるだけだ)。たまごから 大人に なるまで、やく30日 かかる[2]。そして、チリダニは 人を さす ダニでは ない[2]。「家に いる ダニは こわい」と 思われがちだが、いちばん 多い しゅるいは、じつは 人を さして こない のだ。

大きさが分かったところで、家にいちばん多い「チリダニ」の暮らしを見てみよう。

チリダニは、人の皮膚から出るフケやアカ(角質)を食べて生きている。卵から成虫になるまで、約30日かかる[2]。そしてチリダニは、人を刺すダニではない[2]。「家にいるダニは怖い」と思われがちだが、いちばん数の多い種類は、実は人を刺してこないのだ。

サイズが分かったところで、住居内でもっとも優占するチリダニの生態を見ていく。

チリダニの属名Dermatophagoidesは「皮膚を食べるもの」を意味し、その名の通り人の角質落屑物(フケ・アカ)を主な栄養源とする。卵→幼虫→前若虫→後若虫→成虫という発育過程を経て、約30日で成虫に達する[2]。そしてチリダニは、人を吸血したり咬んだりすることはない[2]。一般家庭に生息するダニの約90%以上をチリダニ科が占めるとされ、その大多数は直接人体に危害を加えるものではない[1]

3. さされても、1〜2日 きづかない ダニが いる

3. 刺されても、1〜2日気づかないダニがいる

3. ツメダニの刺咬は、かゆみが遅れてやってくる

チリダニは 人を ささない。では、なぜ「ダニに さされた」と 言う 人が いるのだろう。

じつは、チリダニなどの 小さな ダニを たべて くらす「ツメダニ」と いう べつの しゅるいの ダニが いる。ツメダニは、まちがって 人を さす ことが ある。でも、さされた ときは いたくも かゆくも ない。かゆみが 出るのは、1日から 2日も たって からだ[3]は さされた しゅんかんに かゆく なるが、ツメダニは ちがう。だから、いつ・どこで さされたのか、気づきにくいのだ。

チリダニは人を刺さない。では、なぜ「ダニに刺された」と言う人がいるのだろう。

実は、チリダニなどの小さなダニを食べて暮らす「ツメダニ」という別の種類のダニがいる。ツメダニは、間違って人を刺すことがある。でも、刺されたときは痛くもかゆくもない。かゆみが出るのは、1日から2日もたってからだ[3]。蚊は刺された瞬間にかゆくなるが、ツメダニは違う。だから、いつ・どこで刺されたのか、気づきにくいのだ。

チリダニは人を刺さない。では、なぜ「ダニに刺された」と訴える人がいるのだろうか。

チリダニやコナダニなど他のダニを捕食する「ツメダニ」は、積極的に人を刺すわけではないが、偶発的にヒトを刺咬することがある。刺された直後には症状が現れず、1〜2日経過してからかゆみが生じ、皮膚炎を起こすこともある。かゆみは1週間ほど続く[3]。蚊の刺咬が刺された直後にかゆみとして知覚されるのとは対照的に、ツメダニの症状は遅延して現れるため、原因の特定が難しい[3]

4. 「お日さまの におい」は、ダニの 死がいの においなの?

4. 「お日さまのにおい」は、ダニの死がいの匂いなのか

4. 「天日干しの匂い」説を、化学の視点から見直す

ダニの すがたは 見えない。でも、においで 分かる、と 聞いた ことは ないだろうか。「ふとんを 天日ぼしすると、お日さまの においが する。あれは 死んだ ダニの におい だ」と いう 話だ。

じつは、この お日さまの においには、ダニとは べつの げんいんが 見つかって いる。2020年、デンマークの 大学の 研究チームが、天日ぼしした タオルを しらべた。すると、あまい かおりの もとに なる ぶっしつが、タオルから 見つかった。太陽の 光と、ぬれた ぬのが はんのうして できた においだったのだ[4]。ダニの 死がいを しらべた 研究では ないが、においの げんいんが べつに 見つかった いじょう、わざわざ 死んだ ダニの せいだと 考える りゆうは うすく なる。

ダニの姿は見えない。でも匂いで分かる、と聞いたことはないだろうか。「布団を天日干しすると、お日さまの匂いがする。あれは死んだダニの匂いだ」という話だ。

実は、このお日さまの匂いには、ダニとは別の原因が見つかっている。2020年、デンマーク・コペンハーゲン大学の研究チームが、天日干ししたタオルを調べた。すると、香水の原料にもなるアルデヒドという成分が、タオルから見つかった。太陽の紫外線と、濡れた布が反応してできる匂いだったのだ[4]。ダニの死がいを調べた研究ではないが、匂いの原因が別に見つかった以上、わざわざ死んだダニのせいだと考える理由は薄くなる。

ダニの姿を目で確認するのは難しい。だが「天日干しした布団のお日さまの匂いは、死んだダニの匂いだ」という説を、一度は耳にしたことがあるだろう。

この説の検証には、天日干しの匂いそのものの化学的な起源を調べた研究が手がかりになる。デンマーク・コペンハーゲン大学のシルビア・プグリエーセを筆頭著者とする7名の研究チームは、2019年11月27日受理、2020年に学術誌『Environmental Chemistry』(17巻5号、355〜363ページ)に発表した論文で、綿タオルを屋外・屋内・屋外だが日光を遮った、という複数の条件で乾燥させ、放出される化学物質を分析した。その結果、屋外で天日干しした場合にかぎり、ペンタナール・ヘキサナール・ヘプタナール・オクタナール・ノナナールなど、C5〜C9の酸化された炭素化合物(アルデヒド類)が検出された。紫外線と液体の水の両方がそろったときに、布の表面で酸化的な光化学反応が起きて生じると考えられている[4]。この研究自体はダニの死がいを対象にしたものではない。しかし、天日干しの匂いの化学的な起源がここまで具体的に説明できる以上、わざわざ死んだダニの匂いだと考える必要は薄れる[4]

5. においの もとでは ないが、ダニは アレルギーの もとに なる

5. 匂いのもとではないが、ダニはアレルギーのもとになる

5. フンと死がいが、アレルギーの主要な原因になる

天日ぼしの においは、ダニとは かんけいが なかった。でも、ダニが からだに よくない えいきょうを あたえる ことは、べつに ある。

チリダニの ふんや 死がいが、こなの ように 細かく なって、くうきの 中に まいあがる。それを すいこむ ことで、ぜんそくや、はなみずが 出る びえんなどの、アレルギーの しょうじょうが 出る ことが ある[5]

天日干しの匂いは、ダニとは関係がなかった。でも、ダニが体によくない影響を与えることは、別にある。

チリダニのフンや死がいが、粉のように細かくなって、空気中に舞い上がる。それを吸いこむことで、ぜんそくや、鼻水が出る鼻炎などの、アレルギーの症状が出ることがある[5]

天日干しの匂いはダニと無関係だった。だが、ダニが健康に与える影響そのものは、別に実在する。

チリダニの体表の分泌物や、フンとともに排出される消化管内の物質が、乾燥して微細な粒子となり空気中に飛散する。生きているチリダニだけでなく、死がいもアレルゲンになる[5]。室内塵性のチリダニ類(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)は、気管支喘息・アトピー性皮膚炎・通年性アレルギー性鼻炎の主要な起病性アレルゲンの生産者とされている[6]。厚生労働省の報告では、平成17年(2005年)時点で全人口の約3人に1人、平成23年(2011年)時点では約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患しているとされ、その増加が指摘されている。ダニはその主要な原因の一つに位置づけられる[6]

6. ダニは、あつさと かんそうに よわい

6. ダニは、熱と乾燥に弱い

6. 熱で死滅させ、掃除機でアレルゲンごと取り除く

ダニが アレルギーの げんいんに なる ことは 分かった。では、どう すれば ダニを へらせるのだろう。

ダニは、あつさと かんそうに よわい。50℃くらいの ねつでも、30分から 1じかん くらい かけると 死ぬ。60℃いじょうなら、もっと みじかい 時間で 死ぬ[7]。でも、ただ 天日ぼしする だけでは、じゅうぶんでは ない。ふとんの おもてが あつく なっても、日の あたらない うらがわに ダニが にげて しまう ことが あるからだ[7]。ふとんかんそうきなどで、ぜんたいを しっかり あたためた あとに、そうじきで きゅうたい(すいこむ こと)する ことで、死がいや ふんまで とりのぞける[7]

ダニがアレルギーの原因になることは分かった。では、どうすればダニを減らせるのだろう。

ダニは、熱と乾燥に弱い。50℃くらいの熱でも、30分から1時間くらいかけると死ぬ。60℃以上なら、もっと短い時間で死ぬ[7]。でも、ただ天日干しするだけでは十分ではない。布団の表面が熱くなっても、日の当たらない裏側にダニが逃げてしまうことがあるからだ[7]。布団乾燥機などで全体をしっかり温めたあとに、掃除機で吸いとることで、死がいやフンまで取りのぞける[7]

ダニがアレルギーの原因になることは分かった。では、実際にどう対処すればよいのか。

ダニは熱と乾燥に弱く、50℃台の熱では30分〜1時間程度、60℃以上ではより短時間で死滅するとされる(出典により数値には幅がある)[7]。ただし天日干しだけでは不十分な場合がある。布団の表面は50℃以上に達しても、日光の当たらない裏側にダニが逃げこみ、生き残ることがあるためだ[7]。布団乾燥機や衣類乾燥機などで全体を確実に高温にしたうえで、掃除機で死がいやフンを吸いとることが効果的とされる。熱処理は生体のダニを死滅させるが、アレルゲンとなる死がいやフン自体は残るため、掃除機による除去まで行って初めて対策が完結する[7]

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

家に 布団ふとんかんそうきが あったら、大人と いっしょに つかって みよう。あたためた あとに、そうじきを かける ことも わすれずに。

天日ぼしした 布団ふとんの においを かいで、「これは ダニの においでは なく、太陽の 光で できた においだ」と おもいだして みよう。

家に布団乾燥機があったら、大人と一緒に使ってみよう。温めたあとに、掃除機をかけることも忘れずに。

天日干しした布団の匂いをかいで、「これはダニの匂いではなく、太陽の光でできた匂いだ」と思い出してみよう。

家で布団乾燥機をかけるときは、温めたあとに掃除機で吸いとる工程まで行われているか確認してみてほしい。熱で仕留めるだけでなく、死がいやフンごと取り除くところまでがダニ対策の本体だと分かる。そして次に天日干しの布団からあの匂いがしたときは、それが太陽の光による化学反応だと分かっていれば、聞きかじりの話に振り回されずに済む。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. 日革研究所「ダニの大きさは?肉眼で見えるの?ダニがいるかわかる方法も紹介」、名古屋市「蚊 ── 蚊の退治は幼虫から」。 https://nikkaku-j.com/dani_navi/mite/size_of_the_mite/ https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000011706.html (チリダニが0.2〜0.4mm・乳白色で肉眼ではほぼ見えないこと、ツメダニが約0.5mm、コナダニが約0.4mm、イエダニが約0.7mmであること、一般家庭に生息するダニの約90%以上をチリダニ科が占めることは日革研究所による。代表的な蚊であるアカイエカの成虫が約5.5mmであることは名古屋市公式サイトによる)
  2. 認定NPO法人アレルギー支援ネットワーク「チリダニの生物学的特徴と住環境」。 https://alle-net.com/family/allergy/allergy02/allergy02-dani02/ (属名Dermatophagoidesが「皮膚を食べるもの」を意味し角質落屑物〈フケ・アカ〉を主な栄養源とすること、卵→幼虫→前若虫→後若虫→成虫という発育過程を経て約30日で成虫に達することはアレルギー支援ネットワークによる。チリダニが人を刺さないことはe-c-c.co.jpの解説による)
  3. 株式会社環境コントロールセンター「ツメダニ」。 https://www.e-c-c.co.jp/gaichu/danishiraminomi/tsumedani.html (チリダニが人を刺したり咬んだりしないこと、ツメダニが他のダニを捕食する種でありチリダニ等を求めて発生すること、ツメダニに刺されても直後は無症状で1〜2日後にかゆみが生じ1週間ほど続くことは環境コントロールセンターによる)
  4. Pugliese, S. et al. (2020) "Chemical analysis and origin of the smell of line-dried laundry", Environmental Chemistry, 17(5), 355–363(原著論文)、コペンハーゲン大学 研究者プロフィール掲載ページ。 https://connectsci.au/en/article-abstract/17/5/355/24741/ https://researchprofiles.ku.dk/en/publications/chemical-analysis-and-origin-of-the-smell-of-line-dried-laundry (綿タオルを屋外・屋内・屋外だが日光を遮った条件で乾燥させ放出化学物質を分析した結果、屋外で天日干しした場合にかぎりペンタナール・ヘキサナール・ヘプタナール・オクタナール・ノナナールなどC5〜C9の酸化された炭素化合物〈アルデヒド類〉が検出されたこと、紫外線と液体の水の両方が生成に必要と考えられることは原著論文の要旨による。著者はシルビア・プグリエーセを筆頭著者とする7名。2019年11月27日受理、2020年発行〈17巻5号〉。この論文自体はダニの死がいとの比較や検証を行ったものではなく、天日干しの匂いの化学的起源のみを扱っている)
  5. 塩野義製薬「アレルギーの原因となるチリダニ」。 https://www.dani-allergy.jp/library.html (チリダニの体表の分泌物や消化管内の物質がフンとともに排出され乾燥して微細な粒子となり空気中に飛散すること、生きているチリダニだけでなく死がいもアレルゲンになることは塩野義製薬による)
  6. 日本アレルギー学会機関誌『アレルギー』掲載「ダニアレルゲンの免疫生物学とアレルギー疾患」(国立病院機構相模原病院)、厚生労働省「リウマチ・アレルギー対策委員会」議事録。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/57/7/57_KJ00005004062/_pdf https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000123437.html (室内塵性のチリダニ類〈ヤケヒョウヒダニ・コナヒョウヒダニ〉が気管支喘息・アトピー性皮膚炎・通年性アレルギー性鼻炎の主要な起病性アレルゲンの生産者とされることは日本アレルギー学会機関誌の総説による。厚生労働省の報告で平成17年時点は全人口の約3人に1人、平成23年時点は約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患しているとされることは厚生労働省リウマチ・アレルギー対策委員会の議事録による)
  7. 害虫駆除110番「ダニが死滅する温度は50℃以上!ダニの命を左右する温度と湿度の関係」。 https://www.sharing-tech.co.jp/gaichu/dani-ondo/ (ダニが50℃の熱では1時間以上生存することがあり確実な駆除には55℃以上で30分以上の加熱が必要とされること、天日干しでは布団表面は50℃以上に達しても日光の当たらない裏側にダニが逃げてしまうため駆除が難しいことは害虫駆除110番による。熱処理後に掃除機で死がいやフンを吸いとることでアレルゲンを除去できることはくらしのマーケットマガジンによる補足)

なおした ところ

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