1. 白い 雪は、光を どれくらい はねかえすの?
1. 汚れた雪は、白い雪より光をどれだけ多く吸うのか
1. 反射率で比べると、汚れた雪は新雪より光をどれだけ吸うのか
はるの みちばたで、くろずんだ 雪が 先に きえて いるのを 見た ことは ありませんか。
ふったばかりの 白い 雪は、日光の 8〜9わりを はねかえします。だから、あまり あたたまりません。
ところが、すなぼこりや すすが のった 雪は、はねかえすのが 5〜6わりに へります[1]。のこりの 光は、雪に すわれて、ねつに なります。
これが、よごれた 雪が はやく とける 大きな わけです。すう 光は、白い 雪の 2ばいから 5ばいに なる 計算です。
では、ほんの 少しの 黒い つぶで、どうして こんなに かわるのでしょう。
春先、道ばたに残る雪が灰色や茶色になっていくのを見たことはないでしょうか。汚れた雪は、白い雪よりも光をたくさん吸います。これが、この記事の問いへの答えの要点です。
きれいな雪は、目に見える光(可視光)のほとんどを反射するので白く見えます[2]。NASAの記事によると、降ったばかりの雪は日射の80〜90%を反射し、ほこりをかぶった雪は50〜60%しか反射しません[1]。反射されずに雪に吸収された光は、熱になります。
吸う側から計算すると、新雪が吸うのは10〜20%、ほこりをかぶった雪は40〜50%です。吸う光の量は、およそ2倍から5倍になります。なお、80〜90%という数字は降ったばかりの雪の目安で、雪は時間がたつと汚れたり粒が育ったりして、反射する割合が下がっていきます。
では、ほんの少しのすすやほこりで、なぜ雪はここまでの差を生むのでしょうか。
春先に道ばたの雪が灰色になっていくとき、起きているのは反射率(アルベド)の低下である。アルベドとは、当たった日射のうち反射される割合のことだ。
きれいな雪は可視光のほとんどを反射するため白く見え、暗い粒子が混じると太陽光の吸収が増えて融解が進む[2]。NASAの記事は、新雪が日射の80〜90%を反射するのに対し、ほこりをかぶった雪は50〜60%にとどまると述べる[1]。反射されず雪に吸収された光が熱になるので、吸収率で書き直すと新雪は10〜20%、汚れた雪は40〜50%になり、倍率は最小で2倍(20%→40%)、最大で5倍(10%→50%)になる。
ただし80〜90%は降雪直後の目安にすぎない。降雪後の時間とともにアルベドが下がる現象は、雪粒の大きさや不純物の濃度の変化が要因とされ、気象学の分野でエイジング効果と呼ばれる。したがって、汚れた雪との差は、雪粒の大きさや不純物の量によっても変わる。
では、数字の上で10〜20%が40〜50%になる程度の変化が、なぜ融け方を大きく変えるほどの効果になるのか。
2. 黒い つぶが 少しでも、どんどん とけるのは なぜ?
2. 少しの汚れが、融けるほど効きやすくなる理由
2. 吸収の増加が、粒の成長を通じて融解を加速させる仕組み
雪が 光を すうと、雪の つぶに ねつが 入ります。ねつが 入ると、つぶの まわりが とけやすく なります。とけた 水で つぶどうしが くっついて、大きく なります。
大きな つぶは、光を もっと すいます。ねつも 雪の おくまで とどきます。そうして、さらに とけやすく なります。
はじめは 少しの よごれでも、とける ほど 光を すう ように なって いくのです[1]。
よごれにも、ちからの つよい ものと そうでない ものが あります。同じ 重さで くらべると、すすは すなぼこりの 50ばい ほど、光を すう ちからが 強いと いわれます[3]。
では、この ちからは、ほんものの 山では どれくらい あらわれるのでしょう。
NASAの記事では、研究者が次のように説明しています。汚れで光を多く吸うと、雪の粒に熱が入り、雪の粒が集まって大きくなります。大きな粒はさらに日光を吸い、熱は雪の奥まで届きます[1]。
反射が減るほど融けが進み、融けるほど反射がまた減る。こうして、はじめの小さな差が、時間とともに大きくなりやすいのです。
汚れの種類によっても力はちがいます。ある総説は、同じ重さで比べるとすすは砂ぼこりの約50倍、火山灰の約200倍、可視光の反射率を下げると整理しています[3]。「同じ重さあたり」の比べ方なので、実際の雪にすすが砂ぼこりの50倍あるという意味ではありません。
では、この力は、実際の山でどれくらいの差になって現れているのでしょうか。
反射率が少し下がっただけで、なぜ融解が大きく進むのか。答えは、吸収の増加が雪そのものを変え、その変化がさらに吸収を増やす循環にある。
NASAの記事によると、汚れで吸収が増えると雪の水分子に熱が入り、雪粒どうしが集まって粒径(雪粒の大きさ)が大きくなる。大きな粒はさらに日射を吸収し、熱は雪の奥まで届く[1]。結果として、反射が減るほど融解が進み、融解が進むほど反射がさらに減る正のフィードバックになる。
汚れの種類による差も大きい。Warren(1984)の総説は、重さあたりの効果としてすすは砂ぼこりの約50倍、火山灰の約200倍、可視光の反射率を下げると整理した。また汚れの影響は主に可視光に現れ、近赤外の反射率には影響しない[3]。ここで注意したいのは「重さあたり」の比較であることで、現実の雪では砂ぼこりの量のほうがずっと多いことも珍しくない。そのため、どの汚れが融雪に効くかは、種類と量の両方で決まる。
では、この循環は、実際の山の雪では何日分の差になって観測されているのか。
3. 山の すなぼこりは、雪を どれくらい はやく とかす?
3. 砂ぼこりは、気温の上昇より雪を早く消すことがあるのか
3. サンファン山地とコロラド川の例:ほこりは気温上昇より積雪期間を縮めたのか
アメリカの コロラドしゅうの 山で、雪の 上の すなぼこりを しらべた 人たちが います。
すなぼこりが のると、雪が のこる 日は 21〜51日も へりました。きおんが 2〜4どだけ 上がった ときは、5〜18日でした[2]。すなぼこりの ほうが 大きな へりかたです。
この 山では、2005ねんの はるは すなぼこりが 4かい、2006ねんは 8かい とんで きました。2006ねんは、場所に よっては 雪どけが 1か月ほど はやく なったと いわれます[4]。
この 山で わかった ことなので、どの 山でも 同じ 日数に なる、という ことでは ありません。
山の 雪どけ水は、川の 水に なります。はやく とけると、水の 流れる ときも かわるのでしょうか。
コロラド州のサンファン山地での研究では、雪面のほこりの層が雪の残る期間を21〜51日縮めました。同じ山で、きれいな雪のまま気温が2〜4℃上がった場合の縮みは5〜18日でした[2]。この研究で比べた条件では、ほこりのほうが気温上昇の想定より大きく効いたことになります。ただし、これはこの山地での結果で、どの山でも同じ数字とは限りません。
年ごとの差も報告されています。2005年の春は砂ぼこりの飛来が4回、2006年の春は8回あり、2006年は雪解けが場所によって最大1か月早まったことが、観測とモデル計算から示されました[4]。
雪解け水は川の水になります。雪が早く融ければ、水の流れる時期も動きます。研究者の推定では、コロラド川上流域で砂ぼこりが増えた結果、雪解け水のピークは19世紀の半ばから後半より平均でおよそ3週間早く、年間の流出量は約5%少なくなったとされます[5]。観測だけの値ではなく、モデル計算にもとづく推定です。
NASAの記事も、ほこりの増加で雪解け水が最大約3週間早く来る場合があると述べています[1]。では、人はこの「黒いものが雪を融かす」性質を、使うことはできないのでしょうか。
この循環が実際の山でどれほどの日数になるのかを、サンファン山地の研究が示している。雪面のほこりの層は積雪期間を21〜51日縮め、きれいな雪のまま気温が2〜4℃上がる場合の縮み(5〜18日)より大きかった[2]。ただしこの結果はこの山地についてのもので、一般化はできない。
年ごとに差が出ることも分かっている。Painterらの報告では、砂ぼこりの飛来は2005年春に4回、2006年春に8回あり、2006年は観測とモデル計算の両方で、雪解けが場所によって最大1か月早まった[4]。
雪解けが早まると、川に水が来る時期も動く。Painterら(2010)は、コロラド川上流域で砂ぼこりが増えたために、アリゾナ州リーズフェリーでの雪解け水のピークが19世紀半ば〜後半より平均でおよそ3週間早く、年間流出量は約5%少なくなったと推定した[5]。これはモデル計算にもとづく推定であり、観測だけで得られた値ではない。NASAの記事も、ほこりの増加で雪解け水が最大約3週間早まる場合があり、空中のほこりは1890年までに入植前の5〜7倍になったと述べる[1]。
ほこりの効果をここまで明確に見積もれたなら、逆に人が雪を早く融かしたい場面では、この性質を使えるのではないか。
4. のうかの 人は、雪に 土や 炭を まくの?
4. 農家が雪に炭や土をまくのは、なぜなのか
4. 融雪促進:農家は黒い資材で何日ぶん雪解けを早めようとしてきたか
雪が おそくまで のこる 土地では、はたけや なえを そだてる ハウスの まわりの 雪が、じゃまに なります。
そこで、のうかの 人は、雪の 上に 土や 炭を まきます。黒い ものは 光を すうので、雪が はやく とけます。
岩手県の しりょうには、5〜10日 ほど はやく とける、とあります[6]。秋田県の しりょうにも、3かい まいて 10日ほど はやく なった れいが のって います[7]。
ただし、雪が ふり つづく ときは、まくのを 見あわせるように、とも かかれて います。
うまく いけば 春を はやく むかえられる この やり方にも、おとしあなが あります。
雪の多い地域では、春に畑や苗を育てるハウスのまわりの雪が、作業のじゃまになります。そこで農家は、雪の上に黒っぽいものをまいて、雪解けを早める工夫をしてきました。
岩手県の農業技術資料は、水稲の育苗ハウスの周辺で、畑の土、炭粉、もみがら燻炭(くんたん)などを雪にまくと、雪解けを5〜10日早められるとしています[6]。降雪が続くときは、散布を見合わせることも添えられています。
秋田県の資料にも、3回の散布で約10日早まった例が載っています[7]。
数日の差でも、苗づくりの日程が変わるので意味があります。なお、これは県が示す農家向けの方法で、量や回数は場所や資材で変わります。ご家庭で試すものではありません。
ところで、黒いものをたくさんまけば、いくらでも早く融けるのでしょうか。
雪解けを早める力が分かれば、農業はそれを利用できる。実際、雪の多い地域では、育苗ハウスの周辺などで融雪促進資材が使われてきた。
岩手県の技術資料は、水稲育苗ハウスの周辺で、畑土(10aあたり40〜50kg)、炭粉(40〜80L)、もみがらくん炭(10〜15kg)などを雪にまくと、雪解けを5〜10日早められるとする[6]。降雪が続くときは散布を見合わせることも示されている。
試験の結果もある。秋田県の資料には、3回散布で約10日早まった例が載っている[7]。散布量は10aあたりの目安で、家庭で試すものではない。
数日という差が農業で意味をもつのは、育苗や作業の日程が雪の消える日で決まるからだ。ただし、これらの数値は県が示した方法・条件での結果であり、気温や雪の量が変われば日数も変わる。
こうした資材は黒いほど、量が多いほど効くように思える。そこに限界はないのか。
5. 黒い ものを まきすぎると、どう なるの?
5. 汚れが厚くなりすぎると、逆に融けにくくなるのは、なぜか
5. 厚い堆積物は、アルベド効果より断熱効果が勝つことがあるのか
黒い ものを たくさん まけば、もっと はやく とけそうです。でも、そうとは かぎりません。
土や がれきが とても あつく つもって、雪や 氷を すっぽり おおうと、下に ねつが つたわりにくく なって、かえって とけにくく なる ことが あります[3]。あつい ふとんを かけた ように、下が あたたまりにくく なるのです。
むかしの 日本の しりょうでも、黒い ものを まきすぎると こうかが おちて、まわりの しぜんの 雪より おそく なる ばあいが あると されています。
だから、うすく、ちょうどよく かける ことが 大事なのです。
ところで、人が まいた ものでなくても、しぜんの 雪は いろいろな よごれで くらく なります。
黒いものが光を吸うので、まけばまくほど融けそうです。ところが、そうとは限りません。
Warrenの総説は、ごく厚いがれきや土は氷河の氷を断熱して融けを遅らせることがあり、その効果が反射率の効果を上回る場合があるとしています[3]。薄い汚れは光を吸って雪を温め、厚い層は下の雪に熱を伝えにくくする、というちがいです。「黒ければ必ず早い」ではありません。
この点は、北海道大学低温科学研究所の古い報告(成瀬、1968)にも通じます。黒い物質をまきすぎると効果が落ち、まわりの自然の雪より遅れる場合があるとされています。
だからこそ、農業の資料は、まく量を「10aあたり」のように決め、降雪が続くときは見合わせるよう書いているのだと考えられます。雪を融かす力は、量にも天気にも左右されます。
ここまでは人がまく汚れの話でした。では、人がまいていない雪の汚れは、どんな場所でどんな形で見つかっているのでしょうか。
黒いものを増やすほど効果が増えるとは限らない。Warren(1984)の総説は、ごく厚いがれきは氷河の氷を断熱して融解を遅らせ、その断熱効果がアルベドの効果を上回りうると述べる[3]。薄い汚れは吸収を増やして融かし、厚い層は下の雪への熱の伝わりを妨げる。この二つの効果が逆向きにはたらくため、厚さの違いで結果が反転する。
日本の古い報告でも同じ傾向が指摘されている。成瀬廉二の『融雪制御の試み』(北海道大学低温科学研究所、1968)は、黒い物質をまきすぎると効果が落ち、周囲の自然の雪より遅れる場合があるとする。
この限界は、前章の農業資料で散布量が10aあたりで示され、降雪時に見合わせるとされていることとも一致する。融雪を制御するとは、黒さだけでなく、厚さと天気を合わせて調整することである。
汚れが雪に与える効果は、人がまく資材に限らない。では、人の手が届かない極地や日本の山では、どんな汚れが見つかっているのか。
6. 南きょくや 日本の 雪にも、黒い つぶは あるの?
6. 南極やグリーンランド、日本の雪では、何が雪を暗くしているのか
6. 南極半島・グリーンランド・日本の雪に見つかっている暗色の不純物
南きょくの 北の ほうの 半島で、雪の よごれを しらべた 研究が あります。この 研究で しらべた ばしょでは、人の くらしや 研究の ある ばしょの ちかくほど、すすが 多い ようでした。ばしょに よっては、なつごとに 雪が 23ミリまで へる、という 見つもりも あります[8]。
グリーンランドの 氷にも、黒っぽい おびの ような ところが あります。そこでは、ほこりや すすの ほかに、色の ついた 小さな そうるいも まじって、色を くらくして いると いわれます[9]。
日本の 雪にも、そうるいが ふえる ことが あります。この そうるいが 雪を くらくして、とけるのを はやめる かのうせいが あると、研究者は 考えて います。
雪の 色は、真っ白とは かぎりません。足もとの 雪を じっくり 見ると、いろいろな 色に 気づくかもしれません。
雪を暗くするものは、砂ぼこりだけではありません。
南極半島北部の約2000kmで雪を調べた2022年の研究では、調べた地点のうち、研究施設や人が上陸する地点の近くほど、すす(黒色炭素)が多い傾向が見られました。影響が大きい場所では、夏ごとに積雪が最大23mm減ると見積もられています[8]。これは「最大」の推定値で、南極半島全体の値ではありません。
グリーンランド氷床の西部には、ほかより暗い帯があります。西部の裸の氷が出ている約25kmの調査区間では、ほこり、すす、色素をもつ藻などが混ざった汚れが、観測された反射率のばらつきの73%を説明するという報告があります[9]。
日本の雪にも、雪氷藻類(せっぴょうそうるい)が増える場合があります。千葉大学などの研究は、この藻が雪面を暗くして反射率を下げ、融雪を進める可能性を指摘しています[10]。
雪の汚れは砂ぼこりやすすだけでなく、生きものも含む混合物です。そして、どこでも同じように効くわけではありません。
雪を暗くする物質は、砂ぼこりとすすだけではない。南極半島北部の約2000kmで雪を調べた研究では、調べた地点では研究施設や人が上陸する地点の近くほど黒色炭素が多い傾向があり、影響の大きい場所では夏ごとに積雪が最大23mm減ると見積もられた[8]。ここで強調したいのは、これが「最大」の推定値であり、半島全域の値ではないことだ。
グリーンランド氷床西部の暗い帯(dark zone)の裸氷域、約25kmの調査区間では、ほこり、黒色炭素、色素をもつ藻などの混合した不純物が、観測されたアルベドの空間的ばらつきの73%を説明するという。つまり暗さの原因は一つではなく、混合物として考える必要がある[9]。
日本の雪でも、雪氷藻類が増える場合がある。千葉大学などの研究は、藻が雪面の色味を変えて反射率を下げ、融雪を進める可能性を指摘する[10]。ただし、これは「可能性」の段階の指摘であり、日本の各地でどの程度の効果になるかは別に調べる必要がある。
これらの例に共通するのは、同じ仕組み(暗い物質による吸収の増加)が、砂ぼこり・すす・生きものという異なる原因で、場所ごとに別の形で現れていることだ。
7. 白い かみと 黒い かみで、氷を くらべよう
7. 白い紙と黒い紙の上で、氷のとけ方を見くらべる
7. 家で光の吸収を見る方法と、原典の読み方
おうちの 人と いっしょに、やって みましょう。
お皿を 2まい 用意して、1まいには 白い 紙を、もう 1まいには 黒い 紙を しきます。同じ 大きさの 氷を 1つずつ のせ、日なたに おきます。
2〜3分ごとに、どちらの 氷が 小さく なって いるか 見て みましょう。10分 たったときの 大きさも くらべます。黒い 紙の ほうが 光を すうので、氷が はやく とけるか どうか、たしかめられます。
氷は、雪と まったく 同じでは ありません。でも、色で 光の すわれかたが かわる ようすが わかります。
つぎに 雪が ふったら、足もとの 雪の 色を じっくり 見て みましょう。
光の吸われ方の差は、家にあるもので確かめられます。皿を2枚用意し、1枚には白い紙を、もう1枚には黒い紙を敷きます。同じ大きさの氷を1つずつのせ、日なたに置きます。
2〜3分ごとに氷の大きさを見て、どちらが先に小さくなるかを比べ、10分後の大きさも記録してください。氷は雪と同じではありませんが、色によって光の吸われ方が変わる様子を見るには十分です。結果は、日なたの強さや氷の大きさでも変わるので、条件をそろえるのがコツです。
次に雪が積もったときは、足もとの雪の色もじっくり見てみてください。道ばたの雪がどこから暗くなっていくのか、日なたと日陰でちがうのか、自分の目で比べられます。
もっと知りたくなったら、岩手県や秋田県の農業の資料を開いてみてください。雪にまく資材の種類や量、日数の差が表になっていて、県ごとの数字を見比べられます。
家で光の吸収の差を見るには、皿を2枚用意し、白い紙と黒い紙を敷いて同じ大きさの氷を日なたに置き、2〜3分ごとに大きさを記録して、どちらが先に小さくなるかと10分後の大きさを比べる。氷と雪は同じではないが、色で吸収が変わる様子は確かめられる。条件(日なたの強さ、氷の大きさ、気温)をそろえないと比較にならない点にも注意する。
この記事の数字は、いくつかの層に分かれる。NASAの記事とサンファン山地の日数は報告にもとづく。一方、コロラド川の約3週間・約5%は、モデル計算にもとづく推定だ。日本の農業資料の日数は、各県が示す条件での結果である。それぞれの数字がどの層に属するかを意識すると、出典を読むときに迷いにくい。
原典に進むなら、まず岩手県や秋田県の農業技術資料を開き、資材の種類や量、日数を県ごとに比べるとよい。その先に、NASA Earth Observatoryの記事(2013)やWarren(1984)の総説(Annals of Glaciology 5)がある。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の[ ]の番号は、下の出典に対応します。
- NASA Earth Observatory『Dusting the Virtues of Snow』(2013) https://science.nasa.gov/earth/earth-observatory/dusting-the-virtues-of-snow (新雪と汚れた雪の反射率、悪循環、ほこりの増加)
- NSIDC『Science of snow』 https://nsidc.org/learn/parts-cryosphere/snow/science-snow (雪が白い理由、サンファン山地の積雪期間)
- Warren (1984) Impurities in Snow: Effects on Albedo and Snowmelt (Review). Annals of Glaciology 5 https://www.cambridge.org/core/journals/annals-of-glaciology/article/impurities-in-snow-effects-on-albedo-and-snowmelt-review/1FED9A7FFBF55FC4469E64039E7098A0 (すすとほこりの力の比較、厚い堆積物の断熱)
- NASA Earth Observatory『Dust Reduces Snow Cover in the San Juans』 https://science.nasa.gov/earth/earth-observatory/dust-reduces-snow-cover-in-the-san-juans-7842/ (2005・2006年の砂ぼこりと雪解け)
- Painter et al. (2010) PNAS 107(40) (USGS登録情報) https://pubs.usgs.gov/publication/70037615 (コロラド川上流域の雪解け水のピーク)
- 岩手県 農業技術情報(融雪促進資材) https://www.pref.iwate.jp/agri/_res/projects/project_agri/_page_/002/001/982/gogai0210.pdf (育苗ハウス周辺での散布の目安)
- 秋田県 参考資料(山形県の試験結果を含む) https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000009113_00/H18sankou3.pdf (散布回数と雪が消える日の差)
- Nature Asia 研究ハイライト(Nature Communications 2022) https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/13991 (南極半島の黒色炭素)
- Dark zone of the Greenland Ice Sheet, Nature Communications (2018) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5852041/ (グリーンランド氷床の暗い帯)
- 日本地球惑星科学連合 2015年大会 雪氷藻類と雪面アルベド(千葉大学 竹内望ら) https://www2.jpgu.org/meeting/2015/session/PDF/A-CG31/ACG31-14.pdf (雪氷藻類と融雪)
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