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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

うなぎの ぬるぬるは、なにを して いるの?

ウナギのぬるぬるは、なにをしているのか ── 粘液のしくみと、ヌタウナギとのちがい

ウナギの皮膚粘液は何をしているのか ── 魚類の粘液のしくみと、ヌタウナギとの対比

分野:生きもの

うなぎを 手で つかもうと すると、ぬるっと して つかみにくい ものです。あの ぬるぬるは、粘液ねんえきと いう ものです。

この ぬるぬるは、ただの よごれでは ありません。うなぎの 体を 守る しごとを して いると いわれます。どんな しごとか、みて いきましょう。

ウナギをつかもうとすると、手の中でぬるりと動いて、つかみにくいものです。あのぬるぬるの正体は、体の表面をおおう粘液です。

魚の粘液は、病気のもとから体を守る「最初の壁」になるといわれます。その壁がどんな材料でできていて、どう保たれるのか。空気中でのウナギや、ちがう仲間のヌタウナギの粘液も、資料で見ていきます。

魚の皮膚粘液は、主成分の糖タンパク質ムチンを含み、病原体に対する最初の物理的・化学的な障壁とされる[1][2]。ウナギの体表のぬめりも、この魚類一般の粘液の一例として整理できる。

本稿は、粘液をつくる細胞、ムチンの性質、絶えず更新される仕組み、空気中の皮膚呼吸との関係、そしてウナギとは別の仲間であるヌタウナギの粘液を、魚類学・水産学の資料から突き合わせる。ウナギ自身の粘液の防御効果を直接示した原典は確認できていない点も併せて示す。

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1. ぬるぬるの もとは なに?

1. ぬるぬるの正体は、魚が出す粘液

1. 魚の体表は粘液で覆われる ── 3種の細胞が分泌する

さかなの 体の 外がわは、粘液ねんえきと いう ぬるぬるした ものに おおわれて います。うなぎの ぬるぬるも、この なかまです。

粘液ねんえきは、体の 中の 小さな 細胞さいぼうが 出して います。細胞さいぼうには、3しゅるい あると、しらべた 人が 書いて います[1]。

ぬるぬるの 中心に なる ものは、ムチンと いう 成分せいぶんです。ムチンは、とても 大きな つぶで、ねばりを あたえる はたらきが あります[1][2]。

魚の体の外側は、粘液という層でおおわれています。ウナギのぬるぬるも、この仲間です。

魚の皮膚粘液は、杯細胞、サッキ型細胞、クラブ細胞という3種類の細胞から分泌されると報告されています[1]。ウナギがこの3種類をすべて持つかどうかを、魚類学の一次資料で確かめることはできませんでした。

粘液の主成分は、ムチンという分子量の大きな糖タンパク質です。ムチンは、粘液にねばりと弾力を与える成分とされています[1][2]。

魚の皮膚粘液は、杯細胞(goblet cell)、sacciform cell、club cell の3種の細胞から分泌されると総説にまとめられている[1]。ウナギがこの3種を備えるかは、今回の資料では確認できなかった。

粘液の主成分は、高分子の糖タンパク質であるムチン(mucin)で、粘液に粘弾性という性質を与える[1]。日本語の総説でも、粘液の主成分としてムチンが挙げられている[2]。

2. ぬるぬるは、どんな かべ?

2. 病気のもとを防ぐ「壁」は、たえず作りかえられる

2. 魚の粘液は、絶えず産生・剥離されて最初の障壁になる

さかなは、水の 中で くらして います。水の 中には、びょうきの もとに なる ちいさな ものも います。

さかなの 粘液ねんえきは、それらから 体を 守る 「さいしょの かべ」に なると いわれます[1]。かたい かべでは なく、ぬるぬるの かべです。ウナギ自身に 同じ はたらきが あるかは、確たしかめられて いません。

この かべは、たえず 作られて、はがれ 落ちて います。はがれる とき、くっついた ものも いっしょに 落ちるので、ばいきんが 入りにくく なると いわれます[1]。

たとえば、ベルトコンベヤーの ようです。のった ものが、ベルトと いっしょに 流れて いきます。ただし 本当は、粘液ねんえきには ばいきんを ふせぐ 成分せいぶんも ふくまれて います[1]。

魚が暮らす水の中には、病気を起こす微生物もいます。魚の粘液は、それらに対する最初の物理的・化学的な壁になるといいます[1][2]。ウナギ自身の粘液の防御効果を直接示した原典は見つからなかったので、ウナギも同じ仲間の例として読んでください。

この壁は、一度作ったら終わりではありません。粘液はたえず作られては、はがれ落ちています。この入れ替わりで、病原体がくっついて居座ることを防ぐと説明されています。粘液には、抗菌作用のある成分も含まれます[1]。

ベルトコンベヤーのように、のったものがベルトごと流れていくイメージです。ただし実際の粘液は、流すだけでなく、抗菌の成分で病原体に働きかける点もちがいます。

魚は体表に粘液を分泌して、物理的・化学的なバリアを築く。これは病原体に対する最初の防御線とされる[1][2]。

粘液は絶えず産生され、剥がれ落ちることで、病原体の付着と定着を妨げる。加えて、複数の抗菌因子を含むことが総説に整理されている[1]。

ニホンウナギについては、淡水中にCa2+がごく少ないため、淡水への適応の過程で、Ca2+を必要としないC型レクチンを獲得したとされる。皮膚粘液の防御因子の一種という位置づけだが、今回は原文での照合ができておらず、断定は避ける[2]。

3. かわいたら、どう なるの?

3. 空気中のウナギと皮膚呼吸 ── 粘液のもう一つの役わり

3. 皮膚呼吸と乾燥 ── 空気中で重要になる粘液の膜

うなぎは、えらで いきを して います。でも、皮膚ひふからも 呼吸こきゅうが できる ことが、むかしから 知られて います[3]。

水の 中では、えらだけで じゅうぶんだと いう じっけんが あります。空気の 中に 出た ときは、皮膚ひふの 呼吸こきゅうが だいじに なります[3]。

粘液ねんえきは、体の 外がわを ぬれた ままに して、かわくのを ふせぐ まくだと いう せつめいも あります。ただし、ぬるぬるが 多すぎると じゃまに なる のでは、という ぎもんも あります[3]。

そだてる 人が うなぎを はこぶ ときは、かわかさないで つめたく して おくと、長い 時間 はこんでも だいじょうぶだと されて います[3]。

ウナギは鰓(えら)で呼吸しますが、皮膚呼吸もできることが、1904年のクローという研究者以来よく知られています[3]。

ただし、いつも皮膚呼吸が主役なわけではありません。水中では鰓呼吸だけで十分で、皮膚呼吸はあまり重要ではないという実験結果が示されています(17℃前後)。空気中に出たときは、皮膚呼吸が重要になります[3]。クローは、15℃程度以下の低温なら、皮膚呼吸だけでも命をつなげると指摘しました[3]。

皮膚呼吸には、皮膚がぬれていることが役に立つと考えられます。粘液が乾燥を防ぐ膜になる、という説明は魚の図鑑などで見られます。一方で、ふつうより多く出た粘液が空気中での皮膚呼吸のじゃまをするのでは、という疑問も同じ資料に書かれています[3]。

養殖のウナギを運ぶときも、乾かさず低温に保てば、長時間の輸送でも被害が出ないとされています[3]。

ウナギが皮膚呼吸を行うことは、Krogh(1904)以来よく知られている。空気中に出たときには皮膚呼吸が重要になり、Kroghは15℃程度以下の低温であれば皮膚呼吸のみで生命の維持が可能と指摘した[3]。

一方、van Damは、17℃前後の水中では鰓呼吸のみで十分で、皮膚呼吸はあまり重要でないと示した。常に皮膚が主というわけではない[3]。江草(1959)は、異常に分泌された粘液が空気中の皮膚呼吸を阻害する可能性にも触れている[3]。

養殖の輸送では、乾燥させず低温に保てば長時間輸送しても被害が出ないとされる[3]。ウナギの粘液が乾燥を防ぐ膜として働くという説明も見られるが、今回確認できたのは二次資料までにとどまる。

なお、ウナギの皮膚呼吸が全体の何割を占めるかという数字は、原典で確認できなかったため扱わない。

4. ヌタウナギの ぬるぬるは、ちがう?

4. 別の仲間、ヌタウナギの粘液は、えらをふさぐ

4. ヌタウナギ(無顎類)の粘液 ── 捕食者のえらを詰まらせる

「ぬたうなぎ」と いう 生きものが います。名前に「うなぎ」と 入って いますが、ふつうの うなぎとは べつの なかまです[4]。

この 生きものは、体の よこに ならんだ あなから、粘液ねんえきを 出します。おそわれた とき、あいての えらに つまらせて おいはらうと いわれます[4]。

ニュージーランドの 海で、水中の ビデオが とられました。おそわれた 場面が 14回、ビデオに のこって いました。粘液ねんえきが さめなどの えらを つまらせて、おいはらった ようすだと いいます[5]。

おなじ 粘液ねんえきでも、ぬたうなぎは おそわれた ときに 出します。さかなの 粘液ねんえきは 体を 守る はたらきが あると いわれて います。

ウナギと名前が似ていても、ヌタウナギは別のグループです。ヌタウナギは顎を持たない無顎類の生きもので、顎のある硬骨魚のウナギとは仲間がちがいます[4]。

ヌタウナギの体の側面には、粘液を出す孔が70〜200個ほど一列に並んでいます。襲われたとき、そこから出した粘液を敵の鰓に詰まらせて退けるといいます。窒息に至るかどうかは、観察では確かめられていません[4][5]。

ニュージーランド沖の水中ビデオでは、ヌタウナギが襲われた14例が記録されました。粘液で、サメや硬骨魚などの鰓を詰まらせ、退けたと報告されています[5]。ただし、この報告を原文で確かめてはいないので、「全部成功した」とまでは言えません。

同じ粘液でも、ヌタウナギは「襲われたとき、相手にぶつけるもの」、魚の粘液一般は「体を包み、守る膜」といわれ、使い方が大きくちがうようです。

ヌタウナギ(無顎類)は、硬骨魚のウナギとは別の仲間である。体側に70〜200個の粘液孔が一列に並び、放出した粘液を捕食者の鰓に詰まらせて退ける防御に使う。二次資料には窒息させるとの記述もあるが、原著の観察は捕食者が退けられた点までで、窒息の確認には至っていない[4][5]。

Zintzenら(2011)は、ニュージーランド沖の水中ビデオで、ヌタウナギが襲われた14例を報告している。捕食者(サメや硬骨魚など)の鰓を粘液で詰まらせて退けたという要旨で、複数の要約が一致する[5]。ただし原文には直接当たれておらず、全例の成否や数字の細部は断定しない。

魚の粘液は、体表を覆う膜として感染や乾燥に備えるとされ、ウナギもその一例と考えられる。ヌタウナギの粘液は、襲われたときに放つ武器に近い使い方をする。ウナギ自身の粘液が外敵をどの程度防ぐかを直接示した原典は見つからず、ヌタウナギの例をウナギに当てはめてはいけない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちで できる こと

  • おうちで さかなを 買った とき、家の 人と いっしょに、ひょうめんの ぬるつきを 見て みましょう。さわった あとは、せっけんで 手を あらいましょう。

ずかんで しらべる

  • おうちや 学校の ずかんで、うなぎと ぬたうなぎの しゃしんを ならべて 見て みましょう。かたちが どう ちがうかな。

家でできること

  • 魚を買ったら、家の人と一緒に体表のぬるつきを見て、そっとさわってみましょう。さわったあとは石けんで手を洗います。
  • 学校や家にある魚の図鑑で、ウナギとヌタウナギの写真や絵を見くらべ、体の形や口のちがいを探してみましょう。

資料を読むなら

  • 魚の皮膚粘液の3種の分泌細胞は、海水魚の総説[1]にまとまっている。ただし海水魚が対象なので、ウナギ自身の細胞や役割は、魚類学の原資料を別に探す必要がある[1]。
  • ウナギの皮膚呼吸と輸送は、江草(1959)で、Krogh・van Damの実験とともに読める[3]。

自分で確かめるなら

  • ウナギの粘液細胞の種類、粘液の分泌量、うろこの状態、ウナギ自身の粘液の防御効果は、本稿で一次資料まで確認できなかった。魚類学の資料で探せる。
  • Zintzen et al.(2011)の原文で、14例の内訳を確かめる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った事実を確かめた資料の一覧です。研究の細部は、各資料で確かめてください。

  1. Frontiers in Marine Science(2020)「Skin Mucus of Marine Fish」 https://www.frontiersin.org/journals/marine-science/articles/10.3389/fmars.2020.541853/full (粘液の分泌細胞・ムチン・最初の障壁・絶えず更新。海水魚の総説)
  2. 生化学 88(4), 529-531(2016) https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880529/data/index.html (粘液の主成分ムチン・ニホンウナギのC型レクチン。原文未照合)
  3. 江草周三「ウナギの呼吸について」水産増殖 6(4)(1959) https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquaculturesci1953/6/4/6_4_106/_pdf (皮膚呼吸・水中と空中のちがい・輸送)
  4. ヌタウナギ(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE (別の仲間であること・粘液孔・粘液による防御。二次資料)
  5. Zintzen et al.(2011)Scientific Reports https://www.nature.com/articles/srep00131 (ヌタウナギの防御の水中記録。検索で得た要旨。原文未照合)

なおした ところ

更新履歴

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