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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

緊急きんきゅう地震じしん速報そくほうが、ゆれに まにあわない ことが あるのは どうして?

緊急地震速報が、揺れに間に合わないことがあるのはどうして?

緊急地震速報が揺れに間に合わないのはなぜか ── 数秒の内訳と、震源近くの「間に合わない範囲」を計算する

分野:自然

緊急きんきゅう地震じしん速報そくほうは、じしんが おきた あとに でます。それなのに、とおい まちには、つよい ゆれより 先に とどきます。

でも、じしんが おきた ばしょの ちかくでは、しらせが まにあわない ことが あります。しらせが でるまでの 数秒びょうの あいだに、つよい ゆれが 先に きて しまうからです。この 記事では、その 数秒の なかみと、まにあわない はんいの めやすを、けいさんして みます。

緊急地震速報は、地震が起きたあとに出ます。それなのに、遠くの町には強い揺れより先に届きます。速報のもとになる地震波(P波)が、強い揺れの波(S波)より速く進むからです[2]。

ただし、震源に近い場所では話が変わります。P波を観測点がとらえ、計算して知らせるまでの数秒のうちに、強い揺れのほうが先に着いてしまうのです[1]。この記事では、その数秒の中身と、間に合わない範囲の目安を、計算でたどります。

緊急地震速報は、地震が起きたあとに出る情報なのに、遠くの町には強い揺れより先に届く。速報のもとになるP波が、強い揺れをもたらすS波より速く進むからだ[2]。

その代わり、震源に近い場所では、P波の検知から解析・伝達までの数秒のうちにS波が着き、速報が間に合わない。気象庁も、内陸の浅い地震などでは原理的に間に合わないことがあると明記している[1]。この記事では、その数秒の内訳と、間に合わない範囲の目安を、気象庁の資料と簡単な計算でたどる。

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1. しらせと ゆれは、きょうそうを して いるの?

1. 速報とS波の競走 ── 先に走るのはP波

1. P波の検知から始まる、S波との競走

じしんの ゆれは、2しゅるいの なみに なって つたわります。さきに 走るのが Pです。はやくて、ゆれは よわめです。あとから 来るのが Sです。おそいけれど、つよい ゆれを はこびます[2]。

Pは 1びょうで 7キロメートル ぐらい、Sは 1びょうで 4キロメートル ぐらい すすみます[2]。じしんの ばしょの ちかくに ある きかいが Pを みつけて、けいさんして、みんなに しらせます。つよい ゆれの Sと、その レースを するのです。

たとえば、Pが 足の はやい でんれいで、Sが あとから 歩く 大きな ぎょうれつです。でんれいが 出発する には、まず ちかくの きかいが でんれいを みつけて、けいさんする じかんが いります。ただし 本当は、でんれいは 人では ありません。みつけるのも けいさんするのも、きかいが じどうで して います。

けいさんと つたえるのに 数びょうが かかるので、じしんの ばしょの ちかくには、しらせが 来る 前に Sが ついて しまう ことが あります[1]。これが「まにあわない」の いちばん 大きな わけです。

地震の揺れは、速さのちがう2種類の波で伝わります。先に着くのがP波で、速いけれど揺れは弱めです。あとから来るS波は遅いものの、強い揺れを運びます。気象庁の説明では、P波は秒速約7km、S波は秒速約4kmです[2]。

緊急地震速報は、震源に近い観測点がP波をとらえるところから始まります。そこから震源の位置と大きさを計算し、各地の揺れを予想して知らせます。つまり、速報はS波が出発したあとに動き出し、先に進んだP波を頼りに、S波を追い越そうとする競走です。P波とS波のちがいは別の記事、速報の歴史はこちらの記事にあります。

その競走で、解析や伝達に数秒かかります[2]。数秒のあいだにS波も進み続けるので、震源に近い場所では、速報より先に強い揺れが着くことがあります。気象庁も、内陸の浅い地震などでは、震源に近い場所への速報が強い揺れに原理的に間に合わない、と書いています[1]。

では、その「数秒」には何が含まれていて、間に合わないのはどのくらいの範囲なのでしょうか。

地震波のうち、先に着くP波は秒速約7km、強い揺れをもたらすS波は秒速約4kmとされる[2]。緊急地震速報は、震源に近い観測点でP波をとらえ、震源とマグニチュードを推定し、各地の揺れを予想して発表する。P波がS波より速いので、遠い場所では速報が先に届く。P波とS波の性質は別の記事、速報の成り立ちはこちらの記事で扱った。

この仕組みは、S波との競走になっている。速報は、P波が観測点に着いて初めて動き出す。しかも、解析と伝達に数秒かかる[2]。その間もS波は進み続けるため、震源に近い場所ではS波が先に着く。気象庁は、内陸の浅い地震などで、震源に近い場所への速報が強い揺れの到達に原理的に間に合わないことを、利用上の注意として明記している[1]。

題名への答えを1文にすれば、こうなる。速報はP波の検知と数秒の処理を経てから届くので、その間にS波が着いてしまう震源近くには間に合わない。では、その数秒には何が含まれ、間に合わない範囲はどのくらいなのか。

2. しらせが とどくまでの 数びょうは、なにに つかうの?

2. 数秒の内訳 ── 検知・解析・伝達

2. 「数秒」の内訳 ── P波の到達・解析・伝達

しらせが とどくまでの じかんは、3つに わけられます。

①Pが、じしんの 近くの きかいに つくまでの じかん。②きかいが けいさんして、しらせを つくるまでの じかん。③しらせが、テレビや けいたいに とどくまでの じかんです。

2007ねんに、新潟にいがた県けんで じしんが ありました。気象庁きしょうちょうは、きかいが Pを みつけてから 3.8びょうで、さいしょの しらせを だしました[4]。けいさんは、とても はやいのです。それでも、じしんの ばしょの すぐ ちかくでは、まにあいませんでした[4]。まわりの ところには、数びょうから 数十びょう 前に とどいたそうです[4]。

この 記事では、きかいが 20キロメートル はなれた ところに あって、けいさんから ③までを ぜんぶ あわせて 4びょう かかる と かりに きめます。そうすると、Pが つくまで 3びょう(20÷7)と あわせて、地震じしんが おきて 7びょうごに しらせが とどく けいさんに なります。

ただし これは、わかりやすく するための みつもりです。本当の じかんは、じしんごとに ちがいます。

地震が起きてから、速報が人に届くまでを、3つに分けて考えられます。

  • ① P波が、震源に近い観測点に着くまで(震源から観測点までの距離÷7)
  • ② 観測点の記録から、震源と大きさを解析して第1報を作るまで
  • ③ 第1報が、テレビや携帯電話などに届くまで

②の実例があります。2007年の新潟県中越沖地震では、気象庁は地震の検知から3.8秒後に第1報を発信しました。ただ、震源が約17kmと浅かったため、震央付近には間に合わず、周辺には数秒から数十秒の猶予があったとされています[4]。気象庁は、速報(予報)の第1報では、時間のかけすぎを避けて速さを優先すると説明しています[3]。

ここから先の計算では、次の仮定を置きます。最寄りの観測点が震源から20km先にあり、検知から③までの処理に合わせて約4秒かかる、というものです。この4秒は、3.8秒の実例とは別に、伝達まで含めて置いた仮の値です。すると、P波が観測点に着くまでが20÷7で約3秒、合わせて、地震の発生から約7秒後に速報が届くことになります。気象庁が示した数字ではなく、考え方をつかむための見積もりです。実際には、観測点の位置や地震によって変わります。

地震の発生から速報が人に届くまでは、次の3つに分けられる。

  • ① P波が、震源に近い観測点に着くまで(震源から観測点までの距離÷P波の速さ)
  • ② 観測点の記録から、震源とマグニチュードを推定し、第1報を作るまで
  • ③ 第1報が、テレビ・携帯電話などの受け手に届くまで

実例は②にある。2007年の新潟県中越沖地震(M6.8、震源の深さ約17km)で、気象庁は地震の検知から3.8秒後に第1報を発信した。それでも震央付近には間に合わず、周辺には数秒〜数十秒の猶予があったとされる[4]。予報の第1報は迅速性を優先するというのが、気象庁の説明だ[3]。③は、気象庁が「解析や伝達に数秒程度」と一括りにして述べている[2]。

以下の計算では、最寄りの観測点が震源から20kmにあり、検知から③までの処理が合わせて約4秒かかると仮定する。この4秒は、中越沖の3.8秒(検知から第1報の発信まで)とは別に、③の伝達まで含めて置いた独立の仮定で、実測値ではない。すると、P波が観測点に着くまでが20÷7で約3秒、速報が届くのは地震の発生から約7秒後になる。これは気象庁の公表値ではなく、考え方をつかむための見積もりだ。観測点の配置や地震ごとの処理時間で変わる。

3. どのくらい ちかいと、まにあわないの?

3. 震源から何kmまでが「間に合わない」か

3. 距離と猶予の計算 ── 震源から約28kmの内側

しらせが 7びょうごに とどくと します。Sは 1びょうで 4キロメートル すすむので、7びょうでは 28キロメートル(4×7)すすみます。

じしんの ばしょから 28キロメートルより ちかい ところは、しらせより 先に、つよい ゆれが きます。

では、40キロメートル はなれた ところは どうでしょう。Sが つくのは、40÷4で 10びょうごです。しらせは 7びょうごなので、3びょう(10−7)だけ、先に しれます。

100キロメートル はなれた ところなら、Sが つくのは 25びょうごなので、18びょう(25−7)の ゆうよが あります。とおいほど、ゆとりが 大きく なります。

ふしぎなのは、ゆれは ふつう、じしんの ちかくほど つよく なりやすい ことです。いちばん しらせが ほしい ばしょが、いちばん まにあいにくいのです。

ただし これは めやすです。じしんの おきた ばしょが 地めんの ふかい ところだと、まうえでも、そのぶん はなれて いる ことに なります。

速報が地震の7秒後に届くとすると、その7秒でS波は4×7=28km進みます。震源から28kmより近い場所には、速報より先に強い揺れが着きます。

猶予は、「S波が着くまでの時間(距離÷4)」から「速報が届くまでの時間(約7秒)」を引いて求めます。震源からの距離が、10km・28km・50km・100km・200kmの場所を計算すると、次のようになります。

  • 10km:S波は約2.5秒後。速報は約7秒後なので、間に合わない
  • 28km:S波は7秒後。猶予はほぼ0秒
  • 50km:S波は約12.5秒後。猶予は約5秒
  • 100km:S波は25秒後。猶予は約18秒
  • 200km:S波は50秒後。猶予は約43秒

この計算では、遠いほどP波とS波の到着時間差が広がるので、猶予も増えます。気象庁が「数秒から長くても数十秒程度」と書く幅[1]は、この範囲に当てはまります。

一般に揺れは震源に近いほど強くなりやすいので、いちばん速報が欲しい場所ほど間に合いにくくなります。なお、ここでいう距離は、震源の深さを含んだ直線距離です。浅い地震なら地表の距離とほぼ同じですが、深い地震では、真上でも深さの分だけ距離があります。

速報が地震の発生から約7秒後に届くと置けば、S波が7秒で進む距離は4×7=28kmだ。震源距離(深さを含む直線距離)が約28km以内の場所では、S波が速報より先に着く。猶予は「距離÷4」から「約7秒」を引けば求まる。

  • 10km:S波は約2.5秒後。猶予は約−4.5秒(間に合わない)
  • 28km:S波は7秒後。猶予は約0秒
  • 50km:S波は約12.5秒後。猶予は約5.5秒
  • 100km:S波は25秒後。猶予は約18秒
  • 200km:S波は50秒後。猶予は約43秒

この計算では、遠いほどP波とS波の到着時間差が広がり、猶予も増える。気象庁が示す「数秒から長くても数十秒程度」[1]は、この計算の範囲と矛盾しない。

一般に、揺れは震源に近いほど強くなりやすい。そのため、震源に近い場所ほど速報が間に合いにくい。ただし、ここでの距離は震源距離なので、浅い内陸の地震では地表の距離とほぼ同じだが、深い地震では真上でも深さの分だけ距離がある。気象庁も、深さ100km程度より深い地震は、震源直上より離れた場所で揺れが大きくなることがあり、正確な震度の推定が難しいと注意している[1]。

4. ちかい ところ いがいにも、まにあわない ことは あるの?

4. 「近さ」以外にある、間に合わなくなる理由

4. 近さ以外の限界 ── 発表の遅れ・巨大地震・同時発生

あります。気象庁きしょうちょうは、ほかにも まにあわなく なる ばあいを あげて います[1]。

1つめは、しらせが おくれる ばあいです。しらせは、「つよい ゆれが 来そう」と きまった ときに でます。さいしょは きまりに すこし とどかず、あとから 大きな ゆれを みつけて きまりを こえると、じしんの 数十びょう あとに なる ことが あります。

2つめは、とても 大きな じしんです。じしんでは、地めんが ずれて いく 場所が 広がって いきます。この ずれが つづく じかんは、Mが 6ぐらいで 10びょう、Mが 8ぐらいで 100びょうです。まだ つづいている とちゅうで しらせるので、大きさの みつもりが、ずれる ことが あります。

3つめは、2つの じしんが ちかくで いっしょに おきた ときです。1つの 大きな じしんと まちがえて、しらせが おくれる ことが あります。

間に合わなくなる理由は、近さだけではありません。気象庁は、ほかに次のような場合も挙げています[1]。

  • 発表が遅れる場合:予想される震度は時間とともに変わります。発表の基準を少し下回る状態が続いたあと、大きな揺れを観測して基準を超えると、発表が地震発生から数十秒後になることがあります。
  • 巨大な地震の場合:断層が壊れ続ける時間は、M6クラスで約10秒、M8クラスで約100秒です。壊れ続けている途中で発表するため、マグニチュードの推定の誤差が大きくなることがあります。
  • 2つの地震が近くで同時に起きた場合:別々の地震と見分けられず、1つの大きな地震と考えてしまうことがあります。予想の誤差が大きくなったり、大きな予想震度の速報が遅れたりします。そのときは、観測された最大震度に応じて、付加文などで速やかに知らせる仕組みがあります。

警報が出る条件にも、速さと確かさのせめぎ合いがあります。警報は、2点以上の観測点で揺れを観測し、最大震度が5弱以上などと予想されたときに出ます。1点だけだと、落雷などの地震以外の揺れで誤報が出ることがあるためです[3]。

近さ以外にも、間に合わなくなる、あるいは精度が落ちる場面がある。気象庁の特性ページは次を挙げる[1]。

  • 発表の遅れ:予想震度は時間とともに変化する。基準を少し下回る状態が続いたあとに大きな揺れを観測して基準を超えると、発表が地震発生から数十秒後になることがある。予報も同様に遅れうる。
  • 巨大地震:断層の破壊の継続時間は、M6クラスで約10秒、M8クラスで約100秒。破壊が続く途中で発表するため、マグニチュードの推定誤差が大きくなりうる。
  • 近接した複数の地震の同時発生:別々と認識できず1つの大きな地震と誤認し、予想震度の誤差が大きくなったり、大きな予想震度の速報が遅れたりする。その場合は、観測された最大震度に応じて付加文や「お知らせ」で迅速に知らせる仕組みがある。

警報の条件にも、速さと確かさのトレードオフが見える。警報は、地震波が2点以上の観測点で観測され、最大震度5弱以上または長周期地震動階級3以上と予想されたときに発表される。2点以上を条件にするのは、落雷など地震以外の現象による誤報を避けるためだ[3]。

5. まにあわない ところでは、どう したら いいの?

5. 間に合わない場所のために、できること

5. 速報に頼りきらない備えと、改良の方向

気象庁きしょうちょうは、「まにあわない ことや、ゆうよが ほんの すこしの ことが ある」と、あらかじめ つたえて います。ねて いる ときは、とっさに うごけない ことも あります[1]。

だから、ふだんの じゅんびが 大切です。たとえば、たなや かぐが たおれない ように します。ものが おちない ように します。ガラスが とびちらない ように します。へやの なかで、あんぜんな ばしょを きめて おきます。気象庁きしょうちょうも、こうした そなえを すすめて います[1]。

まにあう ばしょを ふやす くふうも、つづいて います。その はなしは、この 記事に あります。

気象庁は、速報が間に合わない場合や猶予がわずかな場合があること、就寝中などはとっさに動けないこともあることを、あらかじめ伝えています[1]。

だから、速報とは別の備えが大切になります。気象庁があげているのは、住宅の耐震化、家具の転倒・移動防止、備品の落下防止、ガラスの飛散防止、そして室内の安全な場所を知っておくことです[1]。

間に合う範囲を広げ、予想の誤差を減らす工夫も続いています。観測の網の目の使い方や、揺れを直接とらえる方法は、速報の歴史の記事にまとめています。

気象庁は特性ページで、速報が間に合わない場合や猶予がわずかな場合があり、就寝中などはとっさの行動が取れないこともあると述べる。そのうえで、住宅の耐震化、家具の転倒・移動防止、備品の落下防止、ガラスの飛散防止、室内の安全な場所の把握を日頃の備えとして挙げる[1]。速報は「間に合うときに使える追加の手がかり」であり、間に合わない場面の備えは別に要る、という位置づけだ。

間に合う範囲を広げ、誤差を減らす改良は続いている。複数の地震を見分ける方法や、揺れを直接観測して予想する方法などは、速報の系譜をたどった記事で扱った。

6. じぶんでも たしかめて みよう

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

けいさんドリルを して みましょう。Sは 1びょうで 4キロメートル、しらせは 7びょうごに とどく と します。

60キロメートル はなれた ところは、60÷4で 15びょうごに Sが つきます。15−7で、8びょうの ゆうよです。じゃあ、20キロメートルなら どうなるかな。

気象庁きしょうちょうの ホームページには、緊急きんきゅう地震じしん速報そくほうの「特性とくせいや 限界げんかい」を かいた ページが あります[1]。おうちの 人と いっしょに、読んで みましょう。

計算を自分でやってみましょう。S波は秒速4km、速報は地震の約7秒後に届くものとします。震源から60kmの場所なら、S波は60÷4=15秒後に着くので、猶予は15−7=8秒です。では、20kmの場所は何秒でしょうか。

次に、ニュースで見た地震の震源から、自分の家までの距離を、地図で測ります。震源の位置(地図上の点)と深さから、直線距離を求めます。同じ式にあてはめれば、その場所での猶予の見積もりが作れます。ただし、実際の猶予は地震ごとに変わるので、見積もりとずれることがあります。

原典は、気象庁の「緊急地震速報の特性や限界、利用上の注意」です[1]。この記事で挙げた限界が、短い文章で並んでいます。

計算を自分で試せる。S波4km/s、速報の到着を発生の約7秒後として、震源距離60kmなら猶予は60÷4−7=8秒。20kmなら何秒か。仮定の7秒を、観測点が10kmの場合や、処理が6秒かかる場合に変えると、間に合わない範囲(4×到着時間)がどう動くかも分かる。

次に、報道された地震の震源の位置・深さと、自分の家の位置から震源距離を求め、同じ式で猶予を見積もる。震源の水平位置は、報道の震央の地名から地図で見当をつけてよい。見積もりと、そのときの体感や報道を比べ、どれだけずれるかを見るのがよい。ずれの理由は、観測点の配置、処理時間、S波の実際の速さ(秒速4kmは目安)などだ。

原典は、気象庁の「緊急地震速報の特性や限界、利用上の注意」[1]と、速報の仕組みのページ[2]だ。限界の項目が簡潔に並んでおり、この記事の4章の出発点になっている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:すべて気象庁の公式ページ。数値や記述は、いずれも原文を確認した。2章・3章の「約7秒」「28km」などは、気象庁の公表値ではなく、公表されている数値(P波約7km/s、S波約4km/s、検知から第1報まで3.8秒)にもとづく筆者の見積もりである。

  1. 気象庁「緊急地震速報の特性や限界、利用上の注意」。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/eew/shikumi/tokusei.html (数秒〜数十秒の猶予、震源に近い場所に原理的に間に合わない場合、発表の遅れ、巨大地震、複数地震の同時発生、日頃の備え)
  2. 気象庁「緊急地震速報のしくみ」。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/eew/shikumi/shikumi.html (P波は秒速約7km、S波は秒速約4km、解析や伝達に数秒程度)
  3. 気象庁「緊急地震速報(警報)及び(予報)について」。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/eew/shikumi/shousai.html (警報の発表条件:2点以上の観測点、震度5弱以上など。2点以上にする理由)
  4. 気象庁 新潟地方気象台「緊急地震速報」。 https://www.jma-net.go.jp/niigata/menu/bousai/eq_early_warning.html (2007年中越沖地震で、検知から3.8秒後に第1報。震源の深さ17km、震央付近には間に合わず、周辺には数秒〜数十秒の猶予)
  5. 気象庁「緊急地震速報について」(よくある質問)。 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq25.html (予報は1つの地震に数回発表される、早いタイミングの予測は誤差が大きい傾向)

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