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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

まつげは、なんの ために あるの? 長い ほうが いいの?

まつげは、何のために生えているのか。長ければ長いほどよいのか

まつげの役目はほこりよけだけなのか:風の流れ、長さ、触れたら閉じる反射

分野:からだ

まつげは、目に ごみが 入らない ように する かきね、と 思う 人が 多いです。ところが ある けんきゅうでは、まつげが 風の 流れを かえて、ちいさな 水の つぶが つくのも、水が かわくのも、半分に へらした と いわれて います。

でも、まつげは 長ければ 長いほど いいのでしょうか。この ページを 読むと、まつげの 3つの はたらきと、ちょうど いい 長さの お話が わかります。

まつげは、ごみが目に入るのを防ぐ柵のようなもの、と思われがちです。ところが風洞実験では、目の模型につけたまつげが風の流れを変え、微小な水滴が付くのも、水が蒸発するのも、どちらも約半分に減らしたと報告されています。

では、まつげは柵のほかに、どんな役目をしているのでしょうか。しかも、長ければ長いほどよいわけではないようです。この記事を読むと、まつげの3つの働きと、「ちょうどよい長さ」の話が分かります。

まつげは異物を防ぐ柵と考えられがちだが、風洞実験では、目の模型につけた最適な長さのまつげが、空気中の微小な水滴の付着と、涙を模した水の蒸発を、どちらも約2分の1に減らした[1]。ただし、これは別々の模型実験である。

では、まつげの役目は物理的な障害のほかに何があるのか。長いほどよいのか。このメモを読むと、まつげの3つの働きと、長さに「ちょうどよい値」があるという研究の中身と限界が分かる。

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2. まつげに ふれた だけで、なぜ 目が とじる?

2. まつげにふれただけで、なぜまばたきが起こるのか

2. 反射の引き金は何か:視覚、角膜への接触、まつげへの接触

この はんしゃが おきる きっかけは、3つ あると いわれて います[2]。

ひとつは、目に むかって 来る ものが 見えた とき。ふたつめは、目の ひょうめんに なにかが さわった とき。みっつめは、まつげが ほこりや 虫、風を かんじた とき、です。

3つめの ときは、目に ごみが 入る まえに、まつげが 「あぶないよ」と 先に しらせて くれるのです。まぶたの ふちは、からだの 中でも とくに びんかんな ところの ひとつと される ことが あります[5]。

では、まつげは 風の ほうは どう して いるのでしょう。

反射のきっかけは3つ

MSDマニュアルによると、このまばたき反射が起こるきっかけは3つあります。目に向かってくる物が見えたとき、目の表面に何かが触れたとき、そして、まつげがほこりや虫のような小さな異物、あるいは風を感じたときです[2]。

3つ目に注目すると、まつげは「触れたら閉じる」ためのスイッチであり、風さえ感じ取る、細いセンサーの役目をしていることになります。1つ目と2つ目は、目で見たり、目の表面で感じたりする反応で、まつげは関わりません。まつげが目より前に出ていることは、3つ目のきっかけにだけ関係すると考えられます。

敏感なまぶたのふち

まつげの生えぎわであるまぶたのふちは、体の中でもとくに敏感な場所のひとつとされます[5]。日本語版Wikipediaも、神経系がまつげへの接触を感じ取ると、まぶたを閉じる行動が起こると説明しています[4]。

ここまでは、まつげが「触れたら知らせる」話でした。では、まつげは、触れる前の風にも関わっているのでしょうか。

MSDマニュアルは、このまばたき反射の引き金を3つ挙げる。目に向かってくる物体が見えたとき、目の表面に何かが触れたとき、そして、まつげがほこりや虫のような小さな異物、あるいは風を感じたときである[2]。

3つ目が、まつげの役目の核心である。まつげは目の表面より前に出ているので、異物が目に着く前にまつげの先に触れ、目を閉じる反応を早めに起こせる可能性がある。ただし、これは資料が直接述べたことではなく、まつげの位置からの筆者の解釈である。

感覚の裏づけとして、まつげの生えぎわであるまぶたのふちは、体でとくに敏感な場所のひとつとされる[5]。日本語版Wikipediaも、神経系がまつげへの接触を感知してまぶたを閉じる行動が起こると説明している[4]。これらは百科事典なので、「とされる」の範囲にとどめる。

ここまでは、まつげに「触れたとき」の話である。では、触れる前の、空気の流れについてはどうなのか。

3. まつげは 風の 流れも かえて いる?

3. まつげは風の流れを変え、涙の蒸発を減らす

3. 風洞実験:最適な長さのまつげは、粒子の付着と涙の蒸発をどう変えたか

ある けんきゅうしゃたちは、ふうどうと いう、風を おくる そうちを つかいました。目の もけいを おいて、ちいさな 水の つぶの つきかたと、水の かわきかたを、べつべつの じっけんで しらべたのです[1]。

もけいは、直けい20ミリの 小さな さらで、人の 目と 同じくらいの 大きさです。かわきかたの じっけんでは、さらに 水を 入れて、なみだに 見たてました。

すると、ちょうど いい 長さの まつげが あるとき、空気に まじった ちいさな 水の つぶが つくのも、水が かわくのも、どちらも 半分に なった と いう ことです[1]。

これは もけいの じっけんで、人の 目で はかった 数字では ありません。それでも、まつげが 風の 流れを かえて いる かもしれない、と 考える ヒントに なります。

「ちょうど いい 長さ」と いう ことは、長すぎても、だめなのでしょうか。

目の模型を風洞に入れる

2015年、Amadorらは、風洞という、風を一定の速さで送る装置を使って、まつげの働きを調べました。人の目と同じくらいの直径20ミリの皿を目の模型にして風を当て、微小な水滴の付着と、水(涙の代わり)の蒸発を、別々の実験で調べたのです[1]。

半分になった2つの数字

報告によると、ちょうどよい長さのまつげは、空気中の微小な水滴が付くことも、水が蒸発することも、どちらも約半分に減らしました[1]。まつげは、ごみを止める柵であるだけでなく、目の表面を流れる風そのものを変えて、乾きにくくもしているという見方です。

ただし、これは模型の実験で、人の目で測った数字ではありません。目の表面の乾きにくさについては、あくまで「そうなる可能性が示された」と読むのが妥当です。

では、「ちょうどよい長さ」とは、どのくらいなのでしょうか。長ければ長いほどよいのでしょうか。

2015年、Amadorらは風洞実験で、まつげが空気の流れに与える働きを調べた[1]。直径20ミリのアルミ皿を目の模型とし、微小な水滴の付着量と、水(涙の代わり)の蒸発量を、別々の実験で測っている。

結果は、最適な長さのまつげが、空気中の粒子の付着と、涙膜を模した水の蒸発を、どちらも約半分(2分の1)に減らした、というものである[1]。ここで注意したいのは、これが模型の結果であり、人の目で測った数値ではない点だ。付着だけでなく蒸発まで減ったという点が、まつげは物を止める壁であるだけではなく、空気の流れにも関わっていることを示唆する。

この報告が示唆するのは、まつげの役目が「物を止める」「触れて知らせる」に加えて、「風を変える」というもう1つの働きを持つ可能性である。

ところで、「最適な長さ」と書かれている以上、短すぎても長すぎても効果が落ちることになる。では、その最適な長さは、どのくらいか。

4. まつげは、長い ほど いいの?

4. まつげが長すぎると、かえってよくないのはなぜか

4. 長さの最適値:目の幅の約3分の1と、長すぎる場合の逆効果

おどろく ことに、まつげは 長すぎると、かえって よくない そうです。長すぎると、まつげの すきまから 空気が 目の ほうへ 流れこみ、なみだが よけいに かわいて しまう、と つたえられて います[3]。

では、ちょうど いい 長さは、どれくらいでしょう。けんきゅうしゃたちが 22しゅるいの どうぶつの まつげを はかると、まつげの 長さは、多くの ばあい、目の はばの 3ぶんの 1ぐらいでした[1]。

この 22しゅるいは、ほにゅうるいです。人の まつげを はかった わけでは ありません。ですから、人も 3ぶんの 1だと 決めつける ことは できません。

まつげは、長ければ いい、短ければ いい、では なくて、「ちょうど いい 長さ」が あるのかも しれません。

長すぎるまつげは風を導く

Science Newsが紹介した報道では、まつげが長すぎると、まつげのすきまから空気が目のほうへ流れこみ、かえって涙の蒸発が増えると説明されています[3]。最適な長さより短くても、長くても、効果は下がるということです。

22種の哺乳類は、目の幅の約3分の1

Amadorらは、22種の哺乳類のまつげを測り、多くの場合、長さが目の幅のおよそ3分の1だったと報告しています[1]。種類がちがっても、長さの割合が近いのは、風の影響を受けるという点で共通の条件があるためかもしれません。

注意したいのは、測ったのは22種の哺乳類で、人のまつげは測っていないことです。人の場合も目の幅の3分の1だと言い切ることはできません。

それでは、人のまつげや、ほかの動物のまつげは、実際にはどんな長さなのでしょうか。

この研究が示したのは、まつげは長ければ長いほどよいわけではない、ということでもある。Science Newsの報道によれば、まつげが長すぎると、まつげのすきまから空気が目に流れこみ、蒸発がかえって増えるとされる[3]。報道は要約であり、元の主張は論文[1]に基づくと整合するが、「すきまから空気が流れこむ」という機構は報道側の説明である。

では最適値はどこか。Amadorらは22種の哺乳類のまつげを測り、多くの場合、その長さが目の幅のおよそ3分の1だったと報告した[1]。種が異なるのにこの比が近いことは、風の影響という共通の条件が、まつげの長さを揃える方向に働いた可能性を思わせる。ただし、これは筆者の推測であり、論文が因果として述べたことではない。

もう1点、限界がある。測定の対象は22種の哺乳類であり、人のまつげは測られていない。「人でも目の幅の3分の1」と書くことは、この資料からは言えない。

また、風洞実験は模型での結果、哺乳類の測定は種ごとの値であり、2つは別々の方法による成果である。この2つが整合することは、「ちょうどよい長さ」という主張と矛盾しない。

では、実際の人のまつげや、ほかの動物のまつげは、どのようなものなのか。

5. 人や どうぶつの まつげは、どんな ようす?

5. 人のまつげと、ほかの動物のまつげは、どんな様子か

5. 人のまつげの長さの目安と、ほかの動物のまつげ

人の まつげは、上の まぶたの ほうが、下の まぶたより 長い といわれます。くわしい 数字は、しりょうに よって ちがう ことも あるので、ここでは 書きません。

ほかの どうぶつにも、目立つ まつげを もつ ものが います。たとえば、ラクダや キリンです[4]。

では、自分の まつげは、目の はばと くらべて、どれくらいでしょうか。

人のまつげの長さはどのくらいか

人のまつげは、上まぶたのほうが下まぶたより長いとされます。本数や長さの数値は資料ごとにばらつきがあるので、この記事では数字を挙げず、目安として扱います。

ほかの動物も、目立つまつげを持つ

たとえばラクダやキリンなど、目立つまつげを持つ哺乳類がいます[4]。ここに挙げたのは例で、それぞれの動物のまつげの働きは、この記事では扱いません。

では、自分のまつげは、目の幅と比べてどうなっているのでしょうか。確かめる方法を考えてみます。

人のまつげは、上まぶたのほうが下まぶたより長いとされる。長さや本数の数値は資料ごとにばらつきがあるため、本稿では数字を挙げず、目安にとどめる。

他の動物では、ラクダやキリンなどが特徴的なまつげを持つ[4]。これらは例示で、各動物のまつげの働きは別の資料が必要になる。

ここで重要なのは、前章の「目の幅の約3分の1」が、これらの動物すべてについて確認された値ではない点だ。測定対象は22種の哺乳類に限られる。

では、自分のまつげと目の幅の関係は、どうなっているのか。身近な道具で確かめる道すじがある。

6. しゃしんで、まつげの 長さを くらべて みよう

6. 写真で、まつげと目の幅を比べてみる

6. 自分の目で、「約3分の1」を確かめる方法

まつげを ゆびで さわると、目に ごみが はいって あぶないので、しゃしんで くらべます。

1. スマートフォンで、かおの しゃしんを 1まい とります。かおを 正面に 向けて、いつも 同じ ぐらいの きょりから とります。

2. その 1まいの しゃしんを 画面に 出します。大きく しても、同じ しゃしんの 中で くらべるので だいじょうぶです。

3. じょうぎを 画面に あてて、目の はばと、まつげの 長さを はかります。

4. 目の はばを、まつげの 長さで わります。目の はばは、まつげの 長さの 何ばいに なりましたか。メモして おきます。

けんきゅうでは 人は はかって いないので、あなたの 数字は、あなたの 目の 手がかりです。ほかの 人と くらべなくても だいじょうぶです。

もう1つ。風の ある 日に 外を 歩くと、目が しぜんに 細く なる ことが あります。それも、まつげと 風の かんけいを 考える ヒントです。

写真で比べる

まつげにさわると目に入って危ないので、写真で調べます。顔のアップを、正面向きで、毎回同じくらいの距離からスマートフォンで1枚撮ります。その写真を画面に出し、定規で「目の幅」と「まつげの長さ」を測ります。画面の拡大は関係なく、同じ写真の中での比べ方です。「目の幅÷まつげの長さ」を計算して、メモしておきます。研究どおりなら、答えは3に近くなるはずです。

研究が測ったのは22種の哺乳類で、人は含まれていません。ですから、あなたの値が3に近くても、そうでなくても、おかしくはありません。友だちと比べる必要もなく、自分の値を知るだけで十分です。

風のある日に歩いてみる

風の強い日に外を歩くと、無意識に目を細めることがあります。そのとき、まつげと風の関係がどう変わるか、考えてみるのも1つの手です。

資料を読むなら

MSDマニュアルの「眼の保護機能」は日本語で読めます[2]。まつげが目を守る2つの仕組みと、反射の3つのきっかけが載っています。

まつげにさわると危ないので、写真で試せる。顔の写真を、正面向きで毎回同じくらいの距離から1枚撮り、定規で目の幅とまつげの長さを測る。画面の拡大率は、同じ写真内の比なので影響しない。目の幅÷まつげの長さを計算すると、自分の値が出る。

この値が3に近い(まつげが目の幅の約3分の1)なら面白いが、人のまつげはAmadorらの測定に含まれていないため、近くなくても矛盾にはならない。個人差、撮影の角度、まつげのカールで、値は大きく変わるはずである。そのばらつき自体が、「最適値」という言葉をどこまで一般化してよいかを考える材料になる。

風洞実験の論文は、PMCで公開されている(英語)[1]。日本語では、MSDマニュアル家庭版の「眼の保護機能」が、まつげの役目を短くまとめている[2]。

まつげは「柵」「センサー」「風を変えるもの」という3つの働きを持つ可能性がある。個人差まで含めて自分の値を見ると、その「ちょうどよさ」が人でどうなのかを考える手がかりになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の参照番号と対応する資料です。いずれも、本文に書いた内容の根拠として読みました。

  1. Amador et al. (2015) Journal of the Royal Society Interface, 2015. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4387520 (風洞実験の結果、22種の哺乳類の長さの比)
  2. MSDマニュアル家庭版「眼の保護機能」 MSDマニュアル家庭版 (まつげの2つの働き、反射のきっかけ)
  3. Science News "Eyes have it: Long lashes not so lovely" https://www.sciencenews.org/article/eyes-have-it-long-lashes-not-so-lovely (長すぎるまつげの報道)
  4. Wikipedia(日本語)「睫毛」 https://ja.wikipedia.org/wiki/睫毛 (長さの目安、ほかの動物の例、接触と反射の説明)
  5. Wikipedia(English) "Eyelash" https://en.wikipedia.org/wiki/Eyelash (まぶたのふちの感覚の説明。百科事典のため「とされる」で扱った)

なおした ところ

更新履歴

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