1. 水を とめた あとの 水は、どこに いるの?
1. 蛇口は「出す」より前に、水を「待たせておく」出口
1. 蛇口の定義 ── 圧力のかかった水を、出口で開閉し、量を決める
手を あらった あと、蛇口の ハンドルを まわして 水を とめます。ふしぎなのは、とめた あとです。くだの 中の 水は、どう なって いるのでしょう。
水道の 水は、圧力を かけて おくられて きます[1]。だから 出口に ふたが なければ、水は 出つづけて しまうはずです。
蛇口は、水道の 出口に ついて いて、水の ながれを 開けたり とめたり して、量を かえる せんです[4]。水を 出す ためだけでは なく、「とめる」「量を きめる」ための 道具でも あります。
では、おうちに 蛇口が なかった ころ、まちの 蛇口は、だれが 開けたり とめたり して いたのでしょう。
手を洗い終えて蛇口を閉めると、水はぴたりと止まります。けれども、水道管の中の水が消えたわけではありません。
近代水道では、川などの水をきれいにして、鉄の管に圧力をかけて送り出しています[1]。圧力のかかった水は、出口に栓がなければ出つづけるはずです。蛇口は、その出口についた、流れを開け閉めして量を調整する栓(バルブ)のある部分です[4]。水用の栓は「水栓」や「カラン」とも呼ばれます[4]。
つまり蛇口は、「出す」道具である前に、圧力のかかった水を出口で止めたり、流す量を調整したりする道具です。出す・止める・量を決める、の3つを一つの手で受け持っています。では、蛇口が家にまだなかった時代、この栓はだれが開け閉めしていたのでしょうか。
蛇口とは、水道管の出口に付き、流れの開閉や流量の調整を行う栓(バルブ)を備えた部分、または器具である。水用のものは水栓、あるいはカランとも呼ばれる[4]。この定義は、日常の感覚とは少しずれている。私たちは蛇口を「水を出す器具」と考えがちだが、定義の中心は開閉と調整、つまり止めることと量を決めることにある。
理由は、水道の水が圧力をかけて送られるからだ。横浜市の説明によれば、日本の近代水道は川などの水をろ過し、鉄管で圧力をかけて給水する形で始まった[1]。圧力のかかった水は、出口を開けておけば出つづける。そのため、出口で確実に止められること自体が、水を使いこなす条件になる。なお、この「出口に栓がなければ出つづける」は、資料の記述から導いた筆者の整理である。
では、各家庭に蛇口がなかった時代、この出口の開け閉めはだれが担っていたのか。
2. まちかどの 蛇口は、だれが 開けて いたの?
2. 家に水が届く前、街角の蛇口は市の職員が開け閉めしていた
2. 共用栓の時代 ── 横浜の獅子頭と、長崎の「朝に開け、夕方に閉める」運用
日本で はじめて、川などの 水を きれいに して おくる 水道が できた のは、1887年の 横浜です[1]。
そのとき、まちの あちこちに、みんなで つかう 蛇口が おかれました。ライオンの 頭の かたちで、口から 水が 出ます。1887年には 143こ、いちばん 多い ころには 600こ ぐらいに なりました[2]。
長崎では 1891年に 水道が できて、日本で 3ばんめの まちに なりました[3]。おうちには まだ 水が きて いません。市の 人が 1日に 2回 まちを まわり、朝に 蛇口を 開け、夕方に しめて いました[3]。
この みんなの 蛇口は、はやって いた コレラと いう 病気を ふせぐ ために 作られた と せつめい されて います[3]。
つまり さいしょの 蛇口は、おうちの ものでは なく、まちの みんなの ものでした。ライオンの 頭なのに、どうして「じゃぐち」と いう 名前に なったのでしょう。
横浜、ライオンの頭の共用栓
日本の近代水道は、1887年(明治20年)10月17日、イギリス人技師パーマーの指導で横浜に創設されたのが最初です[1]。街角には、ライオンの頭をかたどり、口から水が出る「獅子頭共用栓」が置かれました。1887年には市内各所に143基、最盛期には約600基になったそうです[2]。
長崎、朝に開けて夕方に閉める
長崎の水道は1891年に完成し、日本で3番目に水道を備えた都市になりました。各家庭に水が届くまでは、市の職員が1日2回まちを歩き、午前中に共用栓を開け、夕方に閉めていたと説明されています[3]。この共用栓は、水を介して広がるコレラの流行を防ぐために導入された、とも書かれています[3]。
今の私たちにとって蛇口は、自分の手で開け閉めするものです。最初の蛇口は、まちの人が共有する出口で、開け閉めの時刻まで管理されていました。では、ライオンの頭の栓が、どうして「蛇」の口と呼ばれるようになったのでしょうか。
日本の近代水道は、1887年(明治20年)10月17日、イギリス人技師ヘンリー・スペンサー・パーマー(Henry Spencer Palmer)の指導により横浜に創設された[1]。その水は各家庭の台所ではなく、まず街角の共用栓から供給された。横浜市の資料によると、ライオンの頭をかたどり口から水が出る「獅子頭共用栓」が、創設時の1887年に143基、最盛期には約600基置かれた[2]。
次に、運用の面を見る。長崎の水道は1891年に完成し、日本で3番目の水道都市となった。観光庁系のデータベースの解説によれば、各家庭に水が届くまでの間、市の職員が1日2回市内を回り、午前に共用栓を開け、夕方に閉めていた[3]。ここでの注意点は、長崎が最初ではなく、最初は横浜(1887年)だということだ。
同じ解説は、長崎の共用栓が、水を介して広がるコレラの流行を防ぐために導入されたと述べる[3]。水道が「便利のため」だけでなく、衛生の手段として整えられていたことを示す一文だ。ただし、職員が開け閉めした理由そのものは、この解説に書かれていない。したがって、理由を推測で補わず、「そういう運用だった」という事実にとどめておく。
こうして見ると、最初の蛇口は個人の道具ではなく、まちの共有設備だったことが分かる。では、獅子の頭の栓が、なぜ「蛇」の字をもつ名で呼ばれるようになったのか。
3. ライオンの 頭なのに、なぜ「蛇口」?
3. 「蛇口」の名は、ライオンから龍へ変わった意匠に由来するといわれる
3. 語源の説明 ── 獅子頭から龍、蛇体鉄柱式共用栓へ(二次資料にもとづく説)
「じゃぐち」の「じゃ」は、へびの ことです。でも ライオンの 頭は、へびでは ありません。
ある 話では、日本の はじめの みんなの 蛇口には、ヨーロッパから 来た ライオンの かたちが つかわれて いました。日本で 作る ときには、りゅうの かたちに した そうです[4]。
それが のちに「じゃたい てっちゅうしき きょうようせん」と よばれ、そこから「蛇口」と いう 名前に なった、と いわれて います[4]。
ただし 名前の はなしには、いろいろな 考えが あります。これは ひとつの 話で、ネットの 百科じてんの せつめいです。
さて、名前の ついた 蛇口の 中では、水を どうやって とめて いるのでしょう。
蛇口の「蛇」は、蛇に似た形に由来するという説明があります。それによると、輸入された共用栓にはヨーロッパで水の神とされるライオンの頭が使われ、日本で作るときには龍が用いられました。のちに「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれ、そこから「蛇口」の名が広まったというものです[4]。これはWikipediaに書かれた、ひとつの説です。
この語源は、辞書的に一つに決まった話ではありません。資料によって年代や名称の細部が異なるため、「そういわれる」という程度に受け取るのがよさそうです。ライオンの頭の栓が、蛇の口へと名前を変えていった。そう考えると、蛇口という言葉には、街角の共用栓の記憶が残っているように見えます。
ちなみに「カラン」は、オランダ語のkraan(鶴の意味もある言葉)に由来するとされます[4]。名前の元をたどると、水の出口は鳥や獣や龍の形と結びついていたことになります。
「蛇口」の語源には諸説ある。参照したのは百科事典的な二次資料の説明で、それによれば、日本の近代水道の初期、輸入された共用栓にはヨーロッパで水の神とされる獅子の頭部の意匠が使われた。日本製の共用栓を製作するときは龍を用い、一時期は「龍頭」とも呼ばれた。のちに「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれ、そこから「蛇口」と呼ばれるようになったという[4]。
獅子から龍へ、龍から蛇口へという流れは、二次資料にもとづく説明として読むのがよい。「そう説明されている」という強さで受け取るべきで、「蛇のように曲がるから」といった別の説明が成り立つ余地も残る。
もう一つ補足すると、水栓の別名「カラン」は、オランダ語の kraan に由来するとされ、この語には鶴の意味もある[4]。日本語の「蛇口」と「カラン」は、どちらも動物の名や形と結びついた呼び名だと言える。両者の関係までは、資料から言えない。
名前の由来はここまでにして、次は中身である。出口を開け閉めする栓は、どんな構造で水を止めているのか。
4. ハンドルを まわすと、中で なにが おきるの?
4. ハンドルを回すと、中のゴムが水の道をふさいだり開けたりする
4. コマパッキン式の止水 ── ハンドル・スピンドル・パッキンの動き
むかしからの ハンドルの 蛇口では、ハンドルを まわすと、中の ぼうが 上がります。その 先の ゴムの ふたも もちあがって、水が とおります[5]。
しめる ときは、その ゴムが 水の 道に ぴたっと ふたを します。そうすると 水が とまります。
この ゴムの ふたは、つかうほど すりへる ことが あり、とりかえる ことが あります[5]。
ただし 今の 蛇口には、レバーを 上げ下げ する ものなど、ほかの しくみも あります。この ゴムの ふたは、そのうちの ひとつです。
水を とめる ふたの ほかに、蛇口には もう ひとつ、大事な くふうが あります。先と、水が たまる ところの 間です。
昔ながらのハンドル式の蛇口では、ハンドルを回すと、中のスピンドル(心棒)が上がります。その先についた「コマパッキン」というゴムの部品も一緒に持ち上がり、水の通り道が開いて水が出ます[5]。閉めるときは、その逆です。ゴムが水の道に押しつけられ、ふたをします。
このコマパッキン式では、パッキンがゴムなので、使うほど擦り減ります。そのため交換が必要になることがあります[5]。
今は、1本のレバーで水量と温度を調節する水栓もよく見られます。仕組みの違いはあっても、役目は同じです。出口を開け閉めして、水を止める。そこには、ゴムのふたと、擦り減りという意外な弱点がありました(コマパッキン式の場合です)。止める仕組みが分かったところで、次は蛇口の先を見てみましょう。
旧来のハンドル式水栓の止水は、コマパッキン式で説明される。ハンドルを回すとスピンドルが上昇し、その先端に付いたコマパッキン(ゴム製)が持ち上がって、水の通り道が開く[5]。閉めると、パッキンが弁座に押しつけられて水路をふさぐ。この「弁座」の語は、一般的な構造の説明から補った筆者の言葉で、参照した資料の記述の範囲を少し超えている。
ここから分かる制約は二つある。第一に、パッキンはゴム製で、使うほど摩耗するため、交換が要る[5]。つまり、「止める」という機能は、消耗する部品の上に成り立っている。第二に、この構造は水栓の種類の一つにすぎない。1本のレバーで温度と水量を調節するシングルレバー水栓など、別の方式がある。方式ごとに止水の仕組みは異なるので、上の説明をすべての蛇口に当てはめてはいけない。
止める部品の話はここまでにして、次は蛇口の先端の形に注目する。なぜ、先は洗面台のふちから離れているのか。
5. 蛇口の 先は、なぜ せんめんだいに くっついて いないの?
5. 蛇口の先がすきまをあけて付いているのは、汚れた水を吸い戻さないため
5. 吐水口空間 ── サイホン作用による逆流を、すきまで防ぐ
せんめんだいを 見て みましょう。蛇口の 先は、水が たまる ふちより 上に あります。ふちから 一定の きょりを あけて つけて あるのです[4]。
わざと あけて いるのは、よごれた 水が 水道の くだに もどって しまうのを ふせぐ ためです。もし すきまが なくて、水圧が 下がると、よごれた 水が くだの 中へ すいこまれて しまう ことが あるからです[4]。
ストローを 思いうかべて ください。ストローの 先が ジュースに つかって いると、すうと 入って きます。それと 同じように、先が 水に つかって いると 水を すいこむ ことが あります。ただし 本当は、水道の くだは ストローよりも もっと ふくざつです。
蛇口の 先の すきまは、見えない ところで みんなの 水を まもって います。では、水を とめる ときの 音は?
洗面台の蛇口を横から見てください。蛇口の先は、水がたまる洗面ボウルのふちより上にあります。この水の出口とふちとのすきまを「吐水口空間」といい、一定の距離をあけて付けることになっています[4]。ここはWikipediaの説明にもとづきます。
理由は、水道管に汚れた水が引き込まれるのを防ぐためです。もし吐水口が洗面ボウルにたまった水につかっていて、水圧が下がると、サイホン作用で汚れた水が水道管へ吸い戻される恐れがあります[4]。
ストローで飲み物を吸うのに似た動きです。ただし、水道管の中の動きはストローとはちがいます。水道の水がストローから出ていくだけでなく、条件によっては逆向きの流れも起きます。それを「くっつけない」というすきまで防いでいる、というのが資料の説明です。
水の出口で、水を出す・止める・量を決める。さらに、水を汚さない。蛇口は思ったより多くの役目を負っています。次は、止める瞬間に起きることです。
蛇口の吐水口は、洗面台のあふれ縁(水があふれ出す高さ)から一定の距離をあけて設置される。この距離が「吐水口空間」である。空間が適切に確保されていないと、水圧の低下などでサイホン作用が生じ、洗面ボウルなどの汚れた水が上水道管に引き込まれるおそれがある[4]。
なぜ、すきまで防ぐのか。逆流を防ぐ別の方法として弁を使う方法も考えられるが、弁は壊れたり固まったりすることがある。これに対して空間は、何も動かないので壊れにくいと考えられる。ただし、この比較は筆者の推測であり、参照した資料が弁との優劣を述べているわけではない。
なお、具体的な距離の基準値は今回の資料に書かれておらず、この記事では数字を示さない。実物の蛇口で、先端と洗面台のふちとの間に空間があることを確かめるにとどめる。
水を止め、水を汚さない工夫を見たところで、止める瞬間に配管の中で起きる現象に進む。ハンドルを急に閉めたとき、なぜ「ドン」と音がするのか。
6. 水を きゅうに とめると、「ドン」と 鳴るのは なぜ?
6. 水を急に止めると、管の中で圧力が上がって「ドン」と鳴ることがある
6. 水撃(ウォーターハンマー)── 急閉による圧力上昇と、ゆっくり閉める意味
蛇口を いきおいよく しめると、くだの 中で 「ドン」と 音が する ことが あります[7]。
ながれて いた 水が きゅうに とめられると、圧力が 上がり、その 力が くだの 中を 行ったり 来たり する、と いわれて います[7]。
みんなで ならんで 歩いて いる ところを 思いうかべて ください。先頭が きゅうに 止まると、うしろの 人が 次々に ぶつかります。水も 同じように、うしろから おされます。ただし 水は 人のように ばらばらでは ないので、本当は ちがいます。
ゆっくり しめると、この 音は やわらぎます[7]。蛇口の ハンドルを ゆっくり しめるのは、道具を 大切に つかう こつでも あります。
蛇口を勢いよく閉めたとき、壁の中や管から「ドン」と音がすることがあります。これは「水撃(ウォーターハンマー)」と呼ばれる現象です。
流れていた水を急に止めると、上流側の圧力が上がり、その圧力の波が配管の中を往復します[7]。それが音や振動として伝わるのです。ゆっくり閉めると和らぐといわれます[7]。
走っている電車が急停車すると、乗客が前へ押されるのに似ています。水も止まりたくても、後ろからは水が押してくる。ただし水は連なった粒ではなく、実際の動きはもっと複雑です。
ここで大事なのは、蛇口は「止める」だけでなく、「どう止めるか」も問われる道具だという点です。次は、止めずに流しつづけたときの水の量を見てみます。
流れている水を急に止めると、上流側の圧力が上がり、その圧力が圧力波となって配管内を往復する。これが水撃(ウォーターハンマー)で、音や振動の原因になる。閉め方をゆっくりにすると、圧力の上がり方が緩やかになり、現象が和らぐとされる[7]。
この現象は、止めるという操作そのものが、管の中の水の運動を急に変えることから起きる。逆に言えば、蛇口は「閉まっていればよい」道具ではなく、閉め方が水の流れに影響する道具だということになる。
止める瞬間の話はここまでにして、次は止めずに流しつづけたとき、何リットルの水が出るのかを見る。
7. 水を 1分 ながしっぱなしに すると、どれだけ 出るの?
7. 水を1分間流しっぱなしにすると、約12リットルといわれる
7. 流しっぱなしの水量 ── 約12Lという数字が前提にしている条件
東京都の 水道の しりょうでは、手あらいで 水を 1分間 ながしっぱなしに すると、だいたい 12リットルです[6]。2リットルの ペットボトルで 6本ぶんです。
この 数字には きまりが あります。東京都の 数字は、水圧や ハンドルの 開け方などを きめた ときの ものです。水圧が ちがったり、ハンドルの 開け方が ちがったり すると、水の りょうは かわります。
だから「どの 蛇口でも 12リットル」とは いえません。ご自分の おうちの 蛇口が どれくらいかは、はかって みないと 分かりません。
水の 量を きめられるのも、とめられるのも、蛇口の はたらきです。おうちの 蛇口で、たしかめて みましょう。
東京都水道局の資料では、洗面や手洗いで水を1分間流しっぱなしにすると、約12リットルの水が流れるとされています[6]。2リットルのペットボトルなら6本ぶんです(12÷2で計算)。
ただし、この数字には条件がついています。13ミリの胴長水栓、水圧0.1メガパスカル、ハンドルの開き具合90度という条件での値で、水圧や蛇口の種類によって変わります[6]。条件がちがえば、同じ「1分間」でも水量はちがってきます。
ここから分かるのは、「どの蛇口でも12リットル」とは言えないことです。そして、蛇口は水を「止められる」から、ハンドルの開き具合で「量を決められる」から、使う人が水の量を選べます。家の蛇口で確かめられるのが、次の章です。
東京都水道局の資料は、洗面・手洗いで水を1分間流しっぱなしにすると約12リットルが流れる、と紹介している[6]。2リットルのペットボトルなら6本分にあたる(12÷2=6)。
この数字は、13ミリの胴長水栓、水圧0.1メガパスカル、ハンドルの開度90度という条件のもとでの値である。水圧や蛇口の種類が変われば、水量も変わる[6]。条件を揃えずに数字だけを見ると、「どの蛇口でも12リットル」という誤解が生まれる。
したがって、この数字は上限値でも標準値でもなく、「その条件ならこのくらい」という例として読むべきだ。
蛇口が「量を決める」道具であるとは、こういうことだ。同じ蛇口でも開き具合で水量は変わる。次の章では、その違いを自分の家の蛇口で測る方法を考える。
8. おうちの 蛇口を しらべて みよう
8. 家の蛇口で、先のすきまと1分間の水を調べてみる
8. 家の蛇口で確かめる ── 先端の空間、閉め方、1分間の水量
しらべる ことは 2つです。
ひとつ めは、蛇口の 先と、水が たまる ふちの 間を 見る ことです。すきまが ありますか。ほかの 場所の 蛇口とも くらべて みましょう。
ふたつ めは、1分間に 出る 水の 量です。せんめんだいに バケツを おいて、1分間 水を ためます。それを 2リットルの ペットボトルに うつして、何本ぶんか かぞえます。重いので、おうちの 人と いっしょに して ください。ためた 水は、植木に あげたり、そうじに つかったり できます。
ハンドルの 開け方を かえて、もう 一回 はかって みましょう。量は どう かわるでしょうか。
家に水が来ていない時代には、蛇口は職員が開け閉めする街角の共用栓でした。今は、手の中で開け閉めできます。その蛇口を、自分の目と手で調べることができます。
一つ目は、洗面台や台所の蛇口の先と、水がたまるふちとのすきまを横から見ることです。家の中のほかの蛇口とも比べてみましょう。
二つ目は、1分間の水量です。洗面器に水をためて、2リットルのペットボトルに移して数えます。ハンドルの開き具合を半分にして、もう一度測ります。量は半分になるでしょうか。これは12リットルという数字の「条件」を、自分で確かめる実験でもあります。重い容器を扱うときは、おうちの人といっしょに行いましょう。ためた水は植木や掃除に使えます。
調べたことは、メモに残しておくと、あとで「なぜだろう」が増えていきます。たとえば、ライオンの頭の共用栓の記録は、横浜市の水道局のページ[1]から読むことができます。
確かめられるのは二つある。第一に、吐水口空間である。家のどの蛇口にも、先端と洗面ボウルのふちとの間に空間があるかを横から見る。ない場合は、逆流防止の別の部品が付いているのかもしれない。それを確かめるには、製品の説明書か、水道事業者の案内が手がかりになる。
第二に、1分間の水量である。洗面器やバケツに1分間水を受け、2リットルのペットボトルに移して本数を数える。そのあと、ハンドルの開度を半分にして同じ測定をする。自分の家の蛇口で、流量が条件によって変わることを確かめられる。ためた水は、植木や掃除に使うとよい。なお、重い容器を扱うときは、大人と一緒に行うこと。
資料の読みどころも三つ挙げておく。①横浜市の創設記念日のページ[1]と水道歴史展の案内[2]は、獅子頭共用栓の数を公的機関が示している。②長崎の解説[3]は、職員が朝に開け夕方に閉めた運用を書いている。③蛇口の語源[4]は二次資料であり、東京都水道歴史館などの一次資料に当たると、年代と名称の細部が確かめられるだろう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:横浜市の公式ページ、観光庁系のデータベース、水道事業者・メーカー等の解説、百科事典的な二次資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 横浜市水道局「創設記念日」。https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/suido-gesui/suido/torikumi/PR/sousetsukinennbi.html (1887年の創設、技師パーマー、給水の方式について)
- 横浜市「水道歴史展」のお知らせ。https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/suidou/2025/1014rekishiten.html (獅子頭共用栓の数について)
- 観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース「明治時代の水道共用栓」(長崎市)。https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R1-00725.html (長崎の水道と共用栓の運用、導入のねらいについて)
- Wikipedia「蛇口」。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9B%87%E5%8F%A3 (蛇口の定義、名前の由来の説、吐水口空間について。百科事典的な二次資料)
- サンリフレ「蛇口の構造」。https://www.sunrefre.jp/faucet/structure/ (ハンドル式の止水の仕組みについて。事業者の解説)
- 東京都水道局 文京営業所の資料。https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/waterworks/bunkyo_202312 (1分間流しっぱなしの水量と、その条件について)
- 国土交通省 水道関連の資料(水撃の解説)。https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/content/001856595.pdf (水を急に止めたときの圧力の変化について)
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