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サケは、うまれた 川の 「におい」を おぼえて 帰るの?

サケはどうやって生まれた川に帰るのか ── サメの鼻とくらべて分かる、魚の嗅覚

シロザケは母川に約90%の精度で戻る:アミノ酸を嗅覚で記憶するという仮説を、サメの嗅覚「プール1杯に1滴」説とあわせて研究から読む

分野:生きもの

サケは 海で 数年間 すごしても、生まれた 川に ほとんど まちがえずに 帰ってきます。手がかりは、川の「におい」だと 考えられています。いっぽう、サメは 血を 1てき たらせば すぐに 見つける、といううわさが あります。

魚の 鼻は、どんな においを 感じて いるのでしょうか。この メモを 読むと、サメの 鼻が うわさほどでは ないこと、サケが 川を どうやって 見分けるのかが わかります。

「サメは血を1滴たらせば、遠くからでも嗅ぎつける」とよくいわれます。ところが、サメとエイ5種の鼻の感度を電極で調べた研究では、においを感じとれる最小の濃さは、これまでに報告された硬骨魚の値と同じくらいでした。いっぽうサケは、人工のにおいを覚えさせて放すと、約1年半後にそのにおいを流した川へ戻ったと報告されています。シロザケは、数年後に約90%の精度で生まれた川へ戻るといわれます。

鼻の感度がふつうの魚並みなら、サケはどうやって川を見分けるのでしょうか。この記事を読むと、魚の鼻のつくり、サメの鼻の本当の力、サケの母川の見分け方が分かります。

「サメは血を1滴たらせば遠くからでも嗅ぎつける」という話はよく聞く。だが、サメ・エイ5種の嗅覚を電極で測った研究では、においを感じとれる最小濃度はふつうの硬骨魚の報告値と同程度だった[5]。いっぽうシロザケは、数年後に約90%の精度で生まれた川(母川)へ戻る[1]。母川の水のアミノ酸組成をにおいとして記憶する、という仮説が有力で、人工のにおいを覚えた個体が約18か月後にそのにおいの川へ戻ったという実験もある[3]。

感度が特別でないのに、サケはなぜ川を言い当てられるのか。この記事を読むと、魚の鼻の構造、サメの感度の読み方、母川のにおいの正体と記憶の時期が分かる。

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1. 魚の 鼻は どこに あるの?

1. 魚の顔にある小さな穴は、水を通してにおいを集めている

1. 魚の鼻は、水が前の穴から後ろの穴へ抜ける間に、においをとらえる

魚の 顔を 横から よく 見ると、目の 前に 小さな あなが あります。これが 魚の 鼻です。

水は、前の あなから 入り、うしろの あなから 出ていきます。その 間に、水に とけた においの もとが、鼻の 中の ぬるぬる(粘液ねんえき)に とけて、においを 感じる ところに くっつきます。

息を する ための あなではなく、においを 感じる ための あなです。

魚には、アミノ酸さんという とても 小さな つぶが、えさの においとして つよく 感じられる、と いわれています。

では、この 鼻は どれくらい よく かげるのでしょう。いちばん 有名な うわさから 見てみます。

魚の頭を横から見ると、目の前に小さな穴があります。ヒトの鼻のように息を吸うための穴ではなく、においを感じるための器官です。

穴は前と後ろにあり、前鼻孔から入った水は、中の嗅房を通って後鼻孔へ抜けます。嗅房には嗅板というひだが並び、表面を嗅上皮がおおっています。水が流れていく間に、水にとけたにおい物質が粘液にとけ、受容体にくっつく仕組みです[8]。

多くの魚で、えさのにおいとして強く効く物質の一つがアミノ酸です。アラニン、グリシン、システイン、バリンのように、小さくて水にとけやすいものがよく挙げられます[8]。

では、この鼻はどのくらい鋭いのか。いちばん有名な「サメの鼻」の話から確かめます。

魚の頭部を観察すると、眼の前方に小さな穴が開いている。これが嗅覚器で、空気を吸う鼻とは別物であり、においを感じることに特化している。穴は前鼻孔と後鼻孔の2つで、両者のあいだに嗅房(olfactory chamber)がある。嗅房には嗅板(olfactory lamellae)が並び、表面を嗅上皮がおおう。水が前鼻孔から入って後鼻孔へ抜ける間に、水中のにおい物質が粘液にとけ、嗅上皮の受容体に結合する[8]。

この仕組みで強く効くものの一つが、アミノ酸である。嗅上皮は粘液でおおわれており、アラニン・グリシン・システイン・バリンなど、分子が小さく水にとけやすいアミノ酸が、多くの魚で摂餌を促す強い刺激になるとされる[8]。つまり魚の鼻は、水にとけた「小さな分子」を拾う道具として、えさ探しにも使われている。

この鼻の性能を、数字で測った研究がある。サメで調べると、世間の印象とは少し違う結果が出た。

2. サメは 血を 1てきで 見つけるの?

2. 「血1滴で嗅ぎつける」は本当か:サメの鼻を測ってみる

2. サメ・エイ5種の嗅覚閾値は、ふつうの魚と同程度だった

サメは、遠くの 血の においを すぐに 見つける、と よく いわれます。

でも、サメと エイの 5しゅるいで、鼻が どれくらい うすい アミノ酸さんの においまで 感じられるかを 実験じっけんで しらべた 研究けんきゅうが あります。答えは、これまでに 調べられた 魚の 数字と 同じくらいでした。

この 研究を 説明せつめいした 記事では、いちばん よかった サメが、10おく てきの 水に 1てき ほどの アミノ酸さんを 感じた、と 書かれています。それは、海の 水に もともと うかんでいる アミノ酸さんの うすさと 同じくらい だそうです。

もっと するどすぎると、えものの においと ふだんの 海の においが 見分けにくくなる、と 説明せつめいされています。「血1てき」の うわさについて、研究した 人は、「オリンピックの プールの 1てきは かげない」と 話しました。

サメの 鼻が だめ、という ことでは ありません。調べた かぎりでは、これまでの 魚の 数字と 同じくらい、ちゃんと よく かげます。

では、サケの すごさは どこに あるのでしょう。

サメとエイ5種について、鼻の神経の反応を電極で調べた研究があります。においを感じとれる最小の濃さ(閾値)は、10のマイナス9乗〜マイナス6.9乗モル毎リットルの範囲で、ふつうの硬骨魚で報告されている値と同程度でした。鼻の中のひだの表面積が大きい種ほど鋭い、という関係も見つかりませんでした[5]。ひだは表面積を70〜495%増やすといわれ、形や数は種ごとにちがいます[7]。

この研究を紹介した解説記事によると、最もよい種は、10億滴の水に1滴ほどのアミノ酸を感じとりました。これは、沿岸の海水に自然にうかぶアミノ酸の背景濃度と同じくらいです。もっと敏感になると、獲物から出るにおいと自然のにおいの区別がつきにくくなる、と説明されています。「血1滴」の俗説について、研究者は「オリンピックサイズのプールの1滴は嗅げない」と述べました[6]。

ここで注意したいのは、サメの鼻が悪いという意味ではないことです。調べたサメやエイのアミノ酸への感度は、硬骨魚の報告値と同程度でした。ただ、「プール1杯に1滴」ほどの感度はない、ということです。

感度が特別でないのなら、サケの帰り道は、どんな力でできているのでしょうか。

サメは遠くの血を嗅ぎつける、という話の根拠を測定で確かめた研究がある。Meredith と Kajiura(2010)はサメ・エイ5種の嗅覚を電気生理学的に調べ、検知できる最小濃度(閾値)が10-9.0〜10-6.9 Mで、これまで報告された硬骨魚の値と同程度だったとした。嗅覚器内のひだ(lamella)の表面積とも相関しなかった[5]。二次ひだによる表面積の増加は70〜495%と幅があり、形や数も種で異なる[7]。ひだが多いほど感度が高い、という単純な図式は、この研究では支持されなかったことになる。

では、なぜサメの感度は「伝説」ほどに高くないのか。この研究を紹介した解説記事は、最も敏感な種が10億滴に1滴ほどのアミノ酸を感じとり、その値は沿岸海水に自然に存在するアミノ酸の背景濃度と同程度だと伝える。さらに敏感になると、獲物由来のにおいと環境のにおいの区別がつきにくくなる、という説明も紹介している。研究者の Meredith は、オリンピックサイズのプールの中の1滴は嗅げない、と述べている[6]。

ただしこれは解説記事の整理で、10-9 Mと「10億分の1」の換算は記事の表現に従っただけである。サメの鼻が劣るのではなく、調べたサメ類のアミノ酸への閾値は硬骨魚の既報値と同程度、というのが測定の示す位置だ。

感度が特別でないのなら、においを使う長旅はどう成り立つのか。次はサケに目を移す。

3. サケは どうして 生まれた 川に 帰れるの?

3. 海で数年すごしたサケは、においを頼りに川へ戻るのか

3. 嗅覚仮説:母川への回帰はにおいで導かれる、と考えられてきた理由

シロザケは、春に 体重 1グラムほどの 子どもで 海に 出ます。数年の あいだ 海を 大きく 回って、3〜4キログラムに 育ち、秋に 生まれた 川へ 帰ります。10ぴきに 9ひき ほどが、まちがえずに 帰る、と 説明せつめいされています。

手がかりは においだと 考える 人が、1950年代の アメリカに いました。それを たしかめる 実験じっけんが 日本でも 行われています。

とうやこで、サクラマスの 鼻の あなに ワセリンを つめて、においを かげなくしました。すると、川を さがして 岸ぞいに およぐ ことを やめて、岸から とおざかりました。

ただし、広い 海の まんなかでは、においとは べつの 手がかりも はたらくと 考えられています。においは、川に 近づいてからの、見分ける ための 力のようです。

では、川の においの 正体は 何でしょう。

シロザケは春に体重1gほどで川を下り、数年かけて海を大きく回って3〜4kgに育ち、秋に生まれた川(母川)へ戻ってきます。その精度は約90%といわれます[1]。

手がかりはにおいではないか、という嗅覚仮説は、1950年代にアメリカのハスラーらが提唱しました[1]。日本でも確かめる実験があります。洞爺湖のサクラマスは、鼻の穴にワセリンを詰めてにおいを感じなくすると、湖岸沿いに川を探す行動から離れ、岸から遠ざかりました。一方、ヒメマスは、磁石で磁気の感覚をじゃましても、孵化場へまっすぐ戻りました[1]。

ただし、においが働くのは、おもに川に近づいてからだと考えられています。広い海のなかでは、においとは別の手がかりが働くと考えられています。

では、「川のにおい」とは、水の何でしょうか。

シロザケは春に体重1g程度で降海し、数年間の大回遊で3〜4kgに成長して、秋に母川へ約90%の精度で回帰する。種で値は異なり、たとえばカラフトマスは迷入が多いとされる[1]。この高い精度を何が支えるのか、という問いに、1950年代に Hasler らが「河川固有のにおいを識別している」という嗅覚仮説を提唱した。サケが低濃度で感じるにおい成分として、アミノ酸類、胆汁酸、ステロイド類、プロスタグランジン類が挙げられている[1]。

仮説を妨害実験で試した例がある。洞爺湖のサクラマスは、鼻腔にワセリンを入れて嗅覚を妨害されると、湖岸沿いに母川を探す行動から離れて湖岸から遠ざかった。視覚を妨害されると迷走した。ヒメマスは磁石で磁気感覚を妨害されても孵化場へ直線的に戻った。母川に近づいてからの探索には嗅覚と視覚が関わることがうかがえるが、これは種ごとの個別の実験であり、1つの結論にまとめるのは早い[1]。

ここで限界を確認しておく。この実験が示すのは、川や湖岸に近づいた段階での識別への嗅覚の寄与であり、大洋を横断する間の方位決定は別の手がかりに頼ると考えられている。嗅覚だけで帰れるという主張ではない。では、「川のにおい」は何か。

4. 川の においは、何で できているの?

4. 川のにおいは、アミノ酸の「配合」で決まるらしい

4. 河川水の溶存遊離アミノ酸(DFAA)組成が、母川識別の手がかりになる

とうやこに 流れこむ 3つの 川の 水を しらべると、とけている アミノ酸さんの 組み合わせと こさが、川ごとに ちがいました。

アミノ酸さんと 塩しおだけで つくった「にせの 川の 水」でも、鼻の 神経しんけいは、本物の 川の 水と ほとんど 同じ 反応はんのうを 見せました。

Y字の 水路を つくって、サクラマス、ベニザケ、シロザケに すきな ほうを えらばせました。母川の アミノ酸さんの 組み合わせで つくった にせの 水を、75〜85パーセントの 魚が えらびました。

これは 実験じっけんでの わりあいで、さきほどの やく 90パーセントは、本当の 川に 帰る ときの 数字です。べつの ものです。

川の アミノ酸さんは、石の 上に ついた 微生物びせいぶつの あつまりが 出して いるそうです。その 組み合わせは、場所や 季節きせつや 年が かわっても 大きく かわらない 川も ありました。

洞爺湖にそそぐ3つの川の水を調べると、水にとけているアミノ酸(溶存遊離アミノ酸)の組成と濃度が、川ごとにちがっていました。そこでアミノ酸と無機塩類だけで人工の川水をつくると、鼻の神経は天然の川水とほぼ同じように反応しました。母川を見分ける手がかりになるにおい成分は、このアミノ酸だと考えられています[1]。

さらにY字の水路で、母川に戻ったカラフトマスを除く3種(サクラマス・ベニザケ・シロザケ)に、母川のアミノ酸組成でつくった人工川水を選ばせたところ、75〜85%が統計的に意味のある精度でそれを選びました[1]。この数字は水路での選択の結果で、約90%という実際の遡上の精度とは別の実験の数字です。

アミノ酸の起源の一つは、河床の石などについた微生物の集まり(バイオフィルム)で、その組成は川の水の中のものと同じでした。天塩川では、流域・季節・年で変わらないアミノ酸組成があり、母川の記憶と回帰に大切だと示されています[2]。

川にとって、においは毎年同じ「配合」で、サケにとっては目印になる。では、その目印は、いつ、どのように覚えるのでしょうか。

洞爺湖に注ぐ3河川では、溶存遊離アミノ酸(DFAA)の組成と濃度が河川ごとに異なっていた。そこでアミノ酸と無機塩類のみで人工の河川水(ASW)を再構成すると、嗅神経応答は天然水とほぼ同様であり、母川識別に役立つ河川水中のにおい成分はDFAAと結論された[1]。

行動でも確かめられている。Y字水路で、母川に戻ったカラフトマスを除く3種(サクラマス・ベニザケ・シロザケ)に母川型のASWと別の川のASWを選ばせたところ、75〜85%が有意に母川型を選んだ[1]。この75〜85%は水路での二者択一の結果であり、冒頭の約90%(自然の遡上)とは別の測定だ。2つの数字を同じ物差しで比べることはできない。

では、DFAAはどこから来るのか。河床の付着微生物のバイオフィルムが主に産生し、その組成は河川水中のDFAA組成と一致する。天塩川では、流域・季節・年で変動の少ないDFAA組成が存在し、母川の記憶と回帰に重要と示された[2]。毎年ほぼ同じ配合であることが、数年後に戻る目印として成り立つ条件になっている。

残る問いは、いつその配合を覚えるのかだ。

5. サケは いつ、においを おぼえるの?

5. 川を下るときに覚えたにおいを、数年後の帰り道に使う

5. 母川のにおいの刷り込みと、人工のにおい物質による検証

シロザケや サクラマスは、生まれた 川を 下る ときに、その 川の アミノ酸さんの 組み合わせを、においとして おぼえる と 考えられています。そして、数年後、大人に なった とき、においで 川を えらびます。

アメリカの ハスラー先生と 学生たちは、おもしろい 実験じっけんを しました。ふ化場で 育った わかい サケの なかまに、モルホリンという 人工の においを かがせて、湖に はなしたのです。

1年半ほど あとの 大人に なった 魚は、モルホリンを 流した 川に 帰ってきた、と つたえられています。

においは、本当の 川の ものでなくても、おぼえるのです。

シロザケやサクラマスなどは、生まれた川を下るときに、母川に固有のアミノ酸組成をにおいとして記憶し、数年後に成熟したとき、嗅覚でそれを識別して高い確率で母川を選ぶと説明されています[2]。

これを人工のにおいで確かめた実験が知られています。ハスラー博士と学生たちは、孵化場育ちの若いサケの仲間に、モルホリンという人工の化学物質のにおいをかがせて湖に放流しました。成長したサケは、産卵のための回遊のとき、モルホリンを流した模擬の川へ帰ってきたといいます[3]。ハスラーの1979年の論文でも、孵化場育ちのギンザケなどにモルホリンやフェネチルアルコールを与える実験が述べられています[4]。

自然の川にしかないはずのアミノ酸でなくても、においは記憶され、あとで目印に使われた、ということです。

サメの話とサケの話は、同じ問いの裏表でした。鼻の感度は魚どうしで大きくちがわなくても、何をにおいとして覚え、どう使うかで、魚の暮らしは変わるのかもしれません。

においを覚える時期については、シロザケやサクラマスなどが、生まれた川を降下する際に母川固有のDFAA組成を記憶し、数年後に成熟した時点で嗅覚によりそれを識別して高い確率で母川を選択する、と整理されている[2]。

この「刷り込み」を人工のにおいで確かめたのが Hasler らである。孵化場育ちの若いサケ科魚類にモルホリンなど人工の化学物質を与えて放流したところ、約18か月後、成魚は産卵回遊のとき、モルホリンを流した模擬の川へ帰ってきたと報告されている[3]。1979年の総説でも、孵化場育ちのギンザケなどに、モルホリンやフェネチルアルコールを人工のにおいとして与える実験が述べられている[4]。

この結果からいえるのは、サケが覚えるのは、その川に固有の化学的な「パターン」であって、天然のアミノ酸に限られない、ということだ。天然の川ではDFAA組成が安定しているので、この仕組みが目印として働く、と読める。

こうして、サメの測定値とサケの帰巣を並べると、鼻の感度そのものは魚どうしで大きく違わなくても、においをどう使うかが異なる、と整理できる。調べたサメは解説記事のいう自然の背景濃度ほどのアミノ酸まで感じ、サケは川ごとのアミノ酸の組み合わせを覚える。ただし、これは複数の研究を並べた読み方であり、種の違いを直接比べた実験があるわけではない。

魚の 鼻の あなを、さがしに 行こう

魚の鼻の穴を探しに行く:観察できること、資料で確かめること

次に確かめたいこと:鼻の観察と、原典の読みどころ

スーパーに ならぶ 魚や、水族館の 魚を 見る ときに、顔の 前の ほうに ある 鼻の あなを さがしてみましょう。前の あなと うしろの あなが あるでしょうか。

水族館では、ガラスごしに 見るだけで 十分です。スーパーの 魚は、ひれの とげで 手を 切ることが あるので、おとなと いっしょに、手を あらってから さわってください。

サケが 川に 帰る 話は、北海道大学の うえだ ひろしさんの こうかい こうざの 資料しりょうに くわしく 書かれています。

家で一つ試せることがあります。スーパーで売っている丸ごとの魚や、水族館の魚の顔を横から見て、鼻の穴がどこにあるか探してみてください。前の穴と後ろの穴の2つがあるか、魚の種類によって場所や大きさがちがうかを見ると、水が通りぬける仕組みを想像できます。ひれのとげで手を切ることがあるので、さわるときは大人といっしょに、手を洗ってからにしてください。

サケの母川回帰の研究は、北海道大学の上田宏さんによる公開講座の資料[1]が日本語で読めます。この資料には、約90%の精度と、水路での75〜85%の選択が同じ文書に出てくるので、どちらがどの実験の数字かを探しながら読むと、2つの数字のちがいが分かります。

もっと知りたい人向けの発展として、サメの感度の測定を報告した Meredith と Kajiura の論文[5]は英語で書かれた原典です。「10億滴に1滴」という解説記事[6]の言い方が、論文のどの数字にあたるのかを探してみてください。

観察としては、丸ごとの魚や水族館の魚で、前鼻孔と後鼻孔を探すとよい。魚種で位置や大きさがどう違うかは、本文の構造の説明と照らして考えられる。調べるうえでの手がかりは、次の点にある。

上田宏の公開講座資料[1]で、実験の数字を確かめる

約90%の遡上精度、75〜85%の水路での選択、洞爺湖での妨害実験の記述が同じ文書に並ぶので、どの数字がどの実験のものか、並べて読み比べられる。

発展(英語資料):Meredith と Kajiura(2010)[5]と解説記事[6]を読み比べる

閾値の10-9.0〜10-6.9 Mは5種の範囲であり、「10億滴に1滴」は解説記事が最もよい種について述べた言い方である。2つの表現で、何が同じ(サメの感度が硬骨魚と同程度という結論)で、何が違う(範囲か、最もよい種だけか)かを、資料から探してみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. 上田宏「サケが生まれた川に帰る謎」(北海道大学公開講座資料). https://www.ees.hokudai.ac.jp/ees/wp-content/uploads/2022/06/2015text_4.pdf (母川回帰の精度、嗅覚仮説、人工川水の実験)
  2. 科学研究費助成事業(KAKEN)課題18208017 研究成果概要. https://kaken.nii.ac.jp/en/grant/KAKENHI-PROJECT-18208017/ (バイオフィルムとアミノ酸組成、記憶の時期)
  3. BYU Life Sciences, No Place Like Home. https://lifesciences.byu.edu/magazine/no-place-like-home (ハスラーらのモルホリンの実験)
  4. Hasler, Olfactory imprinting and homing in salmon (1979), Ifremer Archimer. https://archimer.ifremer.fr/doc/00000/6053 (人工のにおいを与えた実験の裏づけ)
  5. Meredith and Kajiura, J. Exp. Biol. 213:3449-3456 (2010). https://elasmolab.fau.edu/pdfs/mk10b.pdf (サメ・エイの嗅覚の閾値)
  6. Inside Science (AIP), Shark Smell Myth Found Fishy. https://www.aip.org/inside-science/shark-smell-myth-found-fishy (感度が背景濃度ほどという解説)
  7. Ferrando et al., Frontiers in Physiology 10:245 (2019). https://www.frontiersin.org/journals/physiology/articles/10.3389/fphys.2019.00245/full (サメ・エイの鼻のひだの表面積)
  8. Rygg, van Duin and Craven, PLoS ONE (2013), PMC3759373. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3759373 (魚の鼻の構造とアミノ酸のにおい)

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