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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

りょうしさんは、魚を とる ほかに、どんな しごとを しているの?

漁師は、網を上げる前と後に、どんな仕事をしているのか

漁師は、網を上げる前と後に何をしているのか ── 市場への段取りと、獲りすぎないための約束

分野:海・釣り

あさごはんの じかんには、魚の 市場では もう せりが おわって いる ところが あります[1]。

りょうしさんは、海で 魚を とる だけで おしまいなのでしょうか。とった あとの こと、そして これからも とれる ように する ことまで、しごとが つながって いる わけが わかります。

鹿児島市の魚の市場では、午前2時ごろに荷おろしが始まり、競りは午前5時30分に始まります[1]。多くの家庭で朝ごはんを食べる時間には、競りがもう終わりに近づいているのです。

では、漁師は網を上げたら仕事が終わりなのでしょうか。魚を市場に届ける段取り、獲りすぎないための約束、そして毎年入ってくる新人まで、漁師の仕事が「獲る」だけで終わらない理由が分かります。

鹿児島市の魚類市場の例では、荷おろしが午前2時ごろ、競りの開始が午前5時30分、終了の目安が午前8時ごろとされている[1]。食卓に魚が並ぶ前に、市場ではすでに一日分の取引が終わりに近づく計算になる。

漁師は、網を上げたところで仕事を終えるのか。この記事では、獲った魚を届ける段取りと、獲りすぎないために漁業者が自分たちで結ぶ約束、減少が続く就業者数のなかで毎年1,700人前後が入ってくる様子から、漁師の仕事が「獲る→届ける→残す」とつながっていることが分かる。

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1. 魚は、あさごはんの まえに うごいて いる

1. 朝ごはんの魚は、夜明け前から動いている

1. 食卓の前に終わる取引 ── 競りと「その日のうちに売る」段取り

かごしま市の 魚の 市場では、午前2時ごろに 魚の 荷おろしが はじまります。午前5時半に せりが はじまり、8時ごろには おわる めやすです[1]。

せりは、いちばん たかい ねだんを つけた 人が 魚を 買える しくみです。買った 人は 魚屋さんや スーパーに はこびます。ですから、あさごはんの じかんには、もう せりが おわって いる ことが あります。

神戸の たるみの 港には、「ひるあみ」と よばれる やりかたが あります。午前中に 港へ おろした 魚が 水そうで まち、正午に せりが あります。夕方には、近くの 魚屋さんの 店に ならびます[2]。せりは、買う 人が 指を 立てて ねだんを つけ、はやい 日は 15分ほどで おわる ことも あります[2]。

魚を とるだけでなく、市場に 出す だんどりも、りょうしさんの しごとに かかわって きます。では、あみの 中の 魚は、どんな ふうに とれるのでしょう。

鹿児島市の魚類市場の例では、午前2時ごろに荷おろしが始まり、5時30分に競りが始まって、8時ごろが終わりの目安です[1]。競りは、いちばん高い値をつけた人がその魚を買える仕組みです。買った人は、鮮魚店やスーパーを通じて魚を消費者に届けます[1]。これは消費地側の卸売市場の時刻で、漁師が海に出る時刻ではありません。市場ごとに時刻も違います。

神戸市の垂水漁港には、「昼網」と呼ばれる取引があります。午前中に水揚げした魚が水槽で待ち、正午に競りが開かれ、夕方には区内外の鮮魚店などに並びます[2]。競りは、鮮魚商が指を立てて値をつけ、早い日は15分ほどで終わります[2]。ただし、これも垂水漁港の例で、全国の漁港が同じ流れではありません。

午前3時台の市場と、正午の港。時刻はまったく違っても、この二つの例では、魚は水揚げのあと、競りを経て店へ向かいます。魚を市場へ出す段取りは、漁師の仕事にも関わります。では、前半の「獲る」では何が起きているのでしょうか。

鹿児島市の魚類市場の例では、午前2時ごろに荷おろしを始め、5時30分に競りを開始し、8時ごろを終了の目安としている[1]。競りは最も高い値をつけた人が品物を買える方式で、買い手の鮮魚店やスーパーを経て消費者に届く[1]。ここで押さえておきたいのは、この時刻が消費地側の卸売市場の都合を示すもので、漁師の出港時刻ではないことだ。市場ごとにも異なる。

産地の漁港では、別の流れもある。神戸市の垂水漁港の「昼網」は、午前中に水揚げした魚を水槽で待たせ、正午に競りを行い、夕方には区内外の鮮魚店に並べる[2]。鮮魚商が指を立てて値を示す方式で、早い日は約15分で終わる[2]。夜明け前に競る市場と正午に競る港という対照からは、いつ競るかは土地の流通のしかたで決まることが読み取れる。ただし昼網は垂水漁港の事例で、全国の漁港に当てはまるわけではない。

どちらの例でも、魚は水揚げのあと、競りを経て店頭へ向かう。このため、魚を「いつ、どこへ出すか」という段取りも、漁師の仕事に関わってくる。一方、前半の「獲る」は、網を上げる瞬間まで結果が分からない仕事でもある。

2. あみを あげるまで、何が とれたか わからない

2. 網を上げるまで、中身は分からない

2. 大漁を待つ仕事 ── 定置網の若手漁師が挙げた「やりがい」

ながさき県の 五島で はたらく 25さいの りょうしさんは、「大りょうの よろこび」に ひかれて、ていちあみりょうを えらんだと いいます[3]。つりざおで 一ぴきずつ つる やりかたには ない よろこびだ、というのです。

ていちあみは、海の 中に 大きな あみを しかけて おき、魚が はいるのを まつ りょうです。きかいで あみを 海面の ちかくまで ひきあげて、魚は 船の 魚そうなどに うつします[3]。

あげて みるまで、魚が どれだけ はいって いるかは わかりません。同じ ところの 28さいの りょうしさんは、魚が たくさん とれた ときの たっせい感が いちばんの やりがいだと はなして います[3]。

これは お二人の 声で、りょうし みんなの 考えでは ありません。それでも、ドキドキして あみを まつ 気もちは、なんとなく 分かりそうです。

長崎県五島の25歳の若手漁師は、一本釣りにはない大漁の喜びに魅せられて、定置網漁を選んだと語っています[3]。28歳の漁師も、魚がたくさん獲れたときの達成感が一番のやりがいだと話します[3]。農林水産省の広報誌に載った、お二人の声です。漁師全員の考えではありませんが、大漁を待つ気持ちが仕事の動機になることは伝わってきます。

定置網は、海中に大きな網を仕掛けておき、入ってきた魚を獲る漁です。網を機械で海面近くまで引き上げ、魚は船の魚槽などに移します[3]。網の中身は、引き上げて初めて分かります。前の日と同じ場所でも、網の中身は上げるまで分かりません。

ただ、大漁の喜びだけが仕事ではありません。網をつり上げて魚を船に移し、港に戻って市場へ出す。その流れを、何人もの人で息を合わせて進める漁もあります。漁によって、仕事の中身はどれくらい違うのでしょうか。

農林水産省の広報誌が紹介した長崎県五島の25歳の若手漁師は、一本釣りにはない大漁の喜びに魅せられて定置網漁を選んだと語る。28歳の漁師は、魚がたくさん獲れたときの達成感が一番のやりがいだという[3]。二人の個人の声であり、漁師全員の考えとして一般化はできないが、「網を上げるまで結果が分からない」という性質が仕事の動機になることを示している。

定置網は、海中に仕掛けた網に魚が入るのを待ち、機械で網を海面近くまで引き上げて魚を船の魚槽などに移す漁だ[3]。一本釣りは釣り針で魚を一匹ずつ獲る。定置網は、網を上げたときに入っていた魚をまとめて獲る。そのため成果が一度に現れ、前の日と同じ場所でも、中身は上げるまで分からない。若手が「大漁」と「達成感」を理由に挙げたのは、その性質と合っている。

ただし、これは定置網という一つの漁法の面にすぎない。同じ「漁師」でも、船に乗る人数、使う道具、働く時間の使い方は漁法ごとに大きく違う。それはどの程度の違いなのか。

3. 魚の とりかたで、はたらく 人数も ちがう

3. 漁のやり方で、船に乗る人数も働き方も変わる

3. 漁法ごとの違い ── 10〜20人の定置網と、1〜3人の刺網(神奈川県の例)

かながわ県の 場合、ていちあみは 10人から 20人ほどで しごとを します[4]。たくさんの 人で 力を あわせて、大きな あみを あげるのです。

さしあみは、魚の とおる ところに あみを はって、魚が ひっかかるのを まつ りょうです。1人から 3人ほどで できます。りょうしに なって じぶんで はじめる 人が、まず これから はじめる ことが 多いそうです[4]。

しらすを とる 「しらすふなびきあみ」では、とったあとの かこうや はんばいまで、りょうしさんが じぶんで する ことが とくちょうです[4]。しらすは、イワシの あかちゃんです。ですから、りょうしさんが 「とる 人」で あり「うる 人」でも ある ことが あります。

また、かながわ県では、とおくの 海まで 行く えんようりょうの 魚が、とれた 魚の 重さの 半分ほどを しめます[4]。ひがえりの りょうだけが しごとでは ありません。

ただ、毎日 とり つづけたら、魚は いなくなって しまわないでしょうか。

神奈川県の例を見ると、漁法ごとの違いがよく分かります。定置網は、県の沿岸漁業生産量の約6割を占める基幹漁業で、10〜20人ほどで操業します。刺網は1〜3人で操業し、独立をめざす人がまず始めることの多い漁法です[4]。小型機船底びき網も1〜3人です。大人数で息を合わせる漁もあれば、少人数で動く漁もあります。

しらす船びき網では、イワシ類の稚魚を専門に獲るのですが、神奈川県では加工から販売まで漁業者自身が一貫して行うのが特徴とされています[4]。ここでは、漁師は「獲る人」であると同時に、「売る人」でもあります。

漁の場所も一つではありません。神奈川県の漁業生産量は平成30年に約2万9千トンで、そのうち遠洋漁業が約57%と最も多く、沿岸漁業は約38%でした[4]。遠洋漁業の基地がある県ならではの数字なので、全国の割合ではありません。漁師には、日帰りの沿岸だけでなく、遠くの海へ出る仕事もあるということです。

こうして網を入れ続ければ、魚が減ってしまう心配はないのでしょうか。漁師たちは、その問いに自分たちで答えを出しています。

神奈川県の資料は、同じ「漁師」でも漁法で働き方が大きく変わることを示している。定置網は県の沿岸漁業生産量の約6割を占める基幹漁業で、10〜20人ほどで操業する。刺網は1〜3人で操業し、独立をめざす人がまず始めることが多い[4]。小型機船底びき網も1〜3人だ。大勢で網を引き上げる分業型の仕事と、少人数で道具を動かす仕事とでは、必要な力も段取りも違う。刺網が最初の一歩になりやすいのは、少ない人数で始められるからだと読める。

さらに、獲る人が売る人を兼ねる漁もある。しらす船びき網は、イワシ類の稚魚(しらす)を専門に獲る漁で、神奈川県では加工から販売まで漁業者自身が一貫して行うのが特徴という[4]。魚の値打ちを上げるのは、水揚げの後の手間でもある。

漁の場所も幅広い。同県の平成30年の漁業生産量約2万9千トンのうち、遠洋漁業は約57%で最多、沿岸漁業は約38%だった[4]。遠洋漁業の基地を持つ県の例であり、全国の割合ではない。沿岸と沖合、遠洋の線引きはトン数でも資料により食い違うため、この記事では区分の数字には踏みこまない。

ここまでは「どう獲るか」の違いだった。では、毎日のように網を入れる人たちは、魚が減らないように何をしているのか。

4. 魚を とりすぎない やくそくを むすぶ

4. 獲りすぎないために、漁師どうしで約束を結ぶ

4. 「獲りすぎない」を決める側にも立つ ── 資源管理協定と法的な位置づけ

りょうしさんは、魚を とる だけでなく、「とりすぎない ように する」しごとも して います。

ふねの かずを へらしたり、あみの 目の 大きさを きめたり、1年に とって よい 魚の りょうの かぎりを きめたり するきまりが あります[5]。さらに りょうしさんたちは、おたがいに やくそくも します。小さな 魚を 海に かえす、りょうを しない 期間を つくる、あみの 目を 大きく する、などです[5]。

めあては、魚を まもって、これからも ずっと とり つづけられる ように する ことです[5]。

この やくそくは、りょうしさんどうしが むすんで、県の 知事に みとめて もらう ことが できます。2020年12月からは、ほうりつにも のりました[6]。

魚をたくさん獲るほど、仕事としては成り立ちます。けれど、獲りすぎれば、次の年の魚が減ってしまいます。そこで、漁業にはいくつかの決まりがあります。漁船の数の制限、網目の大きさの制限、そして年間に獲ってよい量の上限(TAC)です。大阪府の資料は、そのうえで、漁業者が協定を結び、稚魚の再放流・禁漁期の設定・網目制限などを自主的に行っていることを紹介しています[5]。目的は、資源を守りながら長く使い続けることです。

この自主的な約束は、2020年12月1日から法律に位置づけられました。漁業者どうしが休漁や漁具の制限などの資源管理協定を結び、知事の認定を受けられる仕組みです[6]。

網目を大きくすると、小さな魚が網を通り抜けやすくなります。休漁期を設ければ、その間に魚は増える時間をもらえます。獲る人が、獲らない約束をする。魚を残すことは、漁を続けるために必要な仕事の一部です。

では、獲る・届ける・残す、という仕事は、いまどれくらいの人が担っているのでしょうか。

漁業は、獲れば獲るほど収入になる仕事に見えるが、資源が減れば翌年以降の漁獲が減る。そのため、国や都道府県の制度に加え、漁業者自身が約束を結ぶ仕組みがある。大阪府の資料によると、従来の漁船数や網目の大きさの制限に加えて漁獲量(TAC=漁獲可能量)を管理する一方で、府漁連が事務局となって稚魚の再放流、禁漁期の設定、網目制限なども実施している[5]。TACの対象魚種は府や年度で異なり、大阪府の例は4魚種だ。

この自主管理は、令和2(2020)年12月1日に法定化された。漁業者どうしが休漁や漁具制限などの資源管理協定を結び、知事の認定を受けられる[6]。

この仕組みの特徴は、約束の内容を決めるのが、実際に海へ出る漁業者自身だという点にある。網目や休漁期の設定は、獲る量を減らす約束であり、短期的には損に見える。それでも約束を結ぶのは、資源を保ち、漁を長く続けるためである。「獲る」と「残す」を同じ人が担うことが、漁師の仕事の大きな特徴の一つだ。

では、こうした仕事を担う人は、いま何人いて、どうすれば加わることができるのか。

5. りょうしさんに なるには、どうすれば いいの?

5. 漁師は減っている。それでも毎年、新人が入ってくる

5. 減る就業者と、毎年1,700人前後の新人 ── 組合員になる道すじ

りょうしさんの 数は、へって います。2023ねんには およそ12万人で、10年 まえの およそ18万人より 少なくなりました[9]。

それでも、新しく はたらきはじめる 人は、ことしも 1754人でした[8]。多くの 年で、1700人 くらいが はいって きて います[8]。

じぶんで はじめたい 人は、その まちの ぎょきょうの 組合員に なります。たいてい、組合員の 船に 1年から 3年 のって、しごとを おぼえてから、しんさを うけます。お金を 出す ひつようも あります[7]。

小さな 船を うごかす には めんきょが、むせんきを つむ ときは しかくが いります[7]。りょうしさんの しごとは、おぼえる ことが たくさん あるのです。

漁業就業者数は、平成25年の18.1万人から、令和5年には12.1万人へと減りました[9]。10年で約3分の1が減った計算です。令和5年の65歳以上は4.8万人で、4.8÷12.1から計算すると、およそ4割になります。水産庁の水産白書によると、令和6年の就業者は114,820人で、前年から5.4%減りました[8]。

一方、新しく漁業に就く人は毎年います。令和6年度の新規漁業就業者は1,754人で、前年度は1,733人でした。全体が減る中で、近年はおおむね1,700人程度で推移しており、39歳以下の割合は約6〜7割です[8]。内訳は、雇う人のもとで働く雇用就業が1,071人、独立・自営をめざす人が591人でした。年度の新規就業者数と暦年の就業者数は集計期間が異なるため、単純な割合にはできません。「若者が増えている」とは言えませんが、新しく入る人が絶えていないことは分かります。

独立して漁業を営むときは、地元の漁協(漁業協同組合)の組合員になるのが一般的です。多くの漁協は、組合員の船に1年から3年ほど乗って実績を積んでから、組合員の資格を審査します。出資金が必要で、額は漁協ごとに違います[7]。沿岸漁業でよく使う20トン未満の船の操縦には小型船舶操縦士免許が、漁業用の無線機や小型レーダーを積むなら第三級海上特殊無線技士の資格が必要とされます。雇用型で経験を積み、漁労長(漁業現場の責任者)になる道もあります[7]。

これらの手順は、神奈川県の案内にもとづくもので、全国一律の決まりではありません。それでも、船を動かす資格、仲間の船で学ぶ時間、地域とのつながりが必要な仕事だということは分かります。

漁業就業者数(漁業センサスは全数調査)は、平成25年の18.1万人から、30年に15.2万人、令和5年に12.1万人へと減った[9]。平成25年から令和5年までに、およそ3分の1が減った計算になる(18.1→12.1から計算)。令和5年の65歳以上は4.8万人で、4.8÷12.1から割合は約4割と計算できる(出典が割合を載せているわけではない)。令和6・7年の数字は標本調査にもとづく推定値で、全数調査との直接の比較には注意が要る。水産白書は、令和6年の就業者を114,820人、前年から5.4%減と記している[8]。農林水産省の指標の11.5万人とは丸め方が違うだけで、別の数ではない。

ただし、人が入ってこないわけではない。令和6年度の新規漁業就業者は1,754人(前年度1,733人)で、全体が減る中でもおおむね1,700人程度で推移し、39歳以下が約6〜7割を占める。内訳は雇用就業1,071人と、独立・自営をめざす591人だ[8]。1,754人を令和6年の就業者114,820人で割ると約1.5%になる。ただし年度と暦年、調査の種類が異なる数字の比較なので、あくまで大きさの目安にとどまる。新規の人数は横ばいから微増で、全体が減っているため、「若者が増えている」とは言えない。

新人が独立するための入口は、漁協の組合員になることだ。神奈川県の案内によれば、独立して漁業を営む場合は地元の漁協の組合員となるのが一般的で、多くの漁協は組合員の船に1年から3年程度乗って実績を積んでから審査する。出資金が必要で、額は漁協ごとに違う[7]。全国一律の決まりではない。

技能の面では、沿岸漁業で主に使う20トン未満の船の操縦に小型船舶操縦士免許が、漁業無線機器や小型レーダーを搭載する場合には第三級海上特殊無線技士の資格が必要とされる。雇用型で経験を積み、漁労長になる道もある[7]。獲る・届ける・残すの三つを担うには、免許や資格、地域の組合とのつきあいという、海の上の外にも仕事がある。

6. 魚を 見る とき、うしろの しごとを 思いうかべよう

6. 食卓の魚から、漁師の一日を想像してみる

6. 食卓の魚を手がかりに、「獲る→届ける→残す」をたどり直す

スーパーの 魚売り場や、おうちの さかなの パックを 見て みましょう。さんちや お店の 名前が 書いて ある ことが あります。

その 魚は、どこの 海で、どんな あみで とられたのでしょうか。市場で せりに かけられるまでに、どんな 人たちが うごいたのでしょうか。ぜひ、おうちの 人に 話して みて ください。

パックに 書いて ある ことの 中から、さんちなど 一つ えらんで、おうちの 人に 「これは なんて 書いて あるの?」と きいて みましょう。

夕食に魚が出たら、パックやお店の表示を見てみましょう。産地などが書かれていることがあります。その魚は、どんな漁法で獲られたのでしょうか。定置網のように大勢で引き上げる漁か、刺網のように少人数の漁か、想像してみてください。

パックが二つ以上あるなら、産地や表示項目を見比べて、違いを一つ見つけ、家族に聞いてみましょう。

この記事で使った数字は、神奈川県、神戸市、鹿児島市、大阪府、島根県といった一部の地域の例です。自分の地域の港では、時刻も漁法も約束も違うかもしれません。その違いを見つけることが、漁師の仕事を知る次の一歩になります。

食卓の魚を手がかりに、「獲る→届ける→残す」を逆にたどることができる。店先の産地表示は、どの海で獲れたかのヒントになる。その海の近くの漁協や自治体のサイトには、盛んな漁法、市場の取引時刻、資源管理協定といった情報が載っていることがある。

この記事で使った数字は、神奈川県(漁法・生産量・就業の入口)、神戸市(昼網)、鹿児島市(市場の時刻)、大阪府(資源管理)、島根県(協定の件数)の例が混ざっており、全国の標準ではない。同じ県内でも漁協ごとに出資金や審査の運用が違う。自分の地域の例と比べると、共通する部分と地域ごとの違いが見えてくる。

漁業就業者数の推移や新規就業者数は、農林水産省と水産庁の公開資料で毎年更新される。次の数字が出たときに、1,700人前後が続いているかを自分で確かめるのも、調べ方の一つになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:市場や港の取引のようす、若手漁師の声、県や府の資料、水産庁・農林水産省の統計を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 鹿児島市「魚類市場の概要」。https://www.city.kagoshima.lg.jp/gyorui/sangyo/shijo/gyorui/gaiyo/shijo-02.html (荷おろし・競りの時刻と、競りの仕組み)
  2. 神戸新聞「垂水漁港の昼網」。https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/tarumimonthly/201810/0011717122.shtml (昼網の流れ。二次資料)
  3. 農林水産省 aff「若手漁師の紹介」。https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2207/spe1_04.html (定置網漁を選んだ若手漁師の声)
  4. 神奈川県「神奈川県の漁業」。https://www.pref.kanagawa.jp/docs/kb2/syugyou/kanagawakennnogyogyo.html (漁法ごとの人数、しらす船びき網、生産量の内訳)
  5. 大阪府「水産資源の管理」。https://www.pref.osaka.lg.jp/o120130/suisan/plan/shigenkanri.html (資源管理の決まりと、漁業者の自主的な取り組み)
  6. 島根県「資源管理協定」。https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/kanri/iji/kyotei.html (資源管理協定が法定化された時期と、認定の件数。二次資料)
  7. 神奈川県「漁師になるには」。https://www.pref.kanagawa.jp/docs/kb2/syugyou/ryoushininaruniha.html (漁協の組合員になる道すじと、必要な免許・資格)
  8. 水産庁「令和7年度 水産白書」第1部第2章(3)。https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r07_h/trend/1/t1_2_3.html (漁業就業者数と新規就業者数)
  9. 農林水産省「農林水産関係指標(漁業就業者数)」。https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/18.html (漁業就業者数の推移と65歳以上の人数)

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