1. 野生の モルモットは、どこに いるの?
1. 野生を探しても、ペットのモルモットそのものは見つからない
1. 飼育モルモットの祖先とされる野生種
モルモットを 野生で 見たい。そう 思って 南米に 行っても、家の モルモットと おなじ すがたの 子は、見つからないと いわれて います[5]。
家の モルモットは、近い なかまの 野生の しゅるいから 生まれた 子そんと 考えられて います[5]。ごせんぞの 有力な ひとつが、アンデスの 山に すむ 野生の なかまです[6]。ただ、ごせんぞについては、ちがう 見方も あります[7]。
この なかまは、南米の ベネズエラの 北西から、チリの 中ほどまで、ひろく すんで いると いう 本も あります[1]。
家庭で飼われているモルモットは、学名をCavia porcellusといいます。野生ではそのままの姿では見つからず、近縁の野生種の子孫と考えられています[5]。
祖先の有力候補は、アンデスにすむCavia tschudii(チリテンジクネズミ)です。チリ大学のリポジトリにある研究では、飼育118標本と野生15標本の遺伝子を調べ、ミトコンドリアのチトクロムbの解析で一系統にまとまった22個体が、西アンデスでの最初の家畜化に由来すると考えられる、という結果が示されました[6]。ただし、これは1つの研究の結論で、祖先には複数の見方があります。コロンビアの高地で別に家畜化された可能性も論じられています[7]。
日本の百科事典には、野生種はベネズエラ北西部からチリ中部に分布するチリテンジクネズミと同じ種ともいわれる、という記述があります[1]。野生の仲間は、アンデスをはじめ南米に広くいるようです。
Cavia porcellus は、野生ではそのままの姿では見つからず、近縁種の子孫と考えられている[5]。祖先の有力候補は Cavia tschudii(チリテンジクネズミ)だ。チリ大学のリポジトリにある論文は、ミトコンドリアのチトクロムbの解析で、飼育118標本・野生15標本のうち一系統にまとまった22個体が西アンデスでの最初の家畜化に由来すると考えられると報告した[6]。
ただし、これは「ほぼ確定」ではない。コロンビア高地で別に家畜化された可能性を論じる論文もあり[7]、起源の場所については研究者の間で見方が分かれている。同じ論文の紹介には、野生の祖先の体重が295g、飼育種が639gという比較も見えるが、抄録の紹介にもとづくので、数字は目安にとどめる[6]。
野生種の分布について、百科事典はベネズエラ北西部からチリ中部と述べ、C. tschudii と同一種ともいわれる、と書く[1]。では、その野生の仲間は、具体的にどんな場所を選んで暮らすのか。
2. すみかを えらぶ とき、いちばん だいじな こと
2. 野生の仲間が選ぶのは、身を隠せる場所
2. Cavia属の生息環境 密な植生・岩の隙間・他の動物の巣穴
野生の なかまは、せの 高い 草が びっしり はえた 草はらや、やぶを すきな ようです[2]。てきから、すがたを かくせるからです。
かくれる 場所は、ほかにも あります。いわの すきま。ほかの 動物が つくって すてた あな。こんな ところを、ねぐらに します[2]。
つまり、「かくれやすい」が、すみかを えらぶ だいじな 目じるしの ようです。
3. 草の 中の トンネルと、いわの すきま
3. 同じ仲間でも、住まいは草のトンネルだったり岩場だったりする
3. ブラジルモルモットの地上トンネルと、モンタナモルモットの高地の環境
ブラジルモルモットは、ひろい 草はらに すみます。あなは ほりません。かわりに、草の 中に、はばが 8〜12センチの 細い トンネルを、あみの めのように つくります[4]。
トンネルの 上は 草です。てきの 目から、体を かくせる のでしょう。
いっぽう、アンデスの 高い 山に いる なかまは、いわと かたい 草の ある しめった 場所を すきです[3]。草の 中に 通り道を つくる ことも あります[3]。
アルゼンチンでは、出入口が いくつも ある あなに すむ と いう 本も あります[3]。
穴を掘らず、草の中に道をつくる
ブラジルモルモット(C. aperea)は、コロンビア・エクアドル・ベネズエラから、アルゼンチン北部まで広く分布します。標高400〜3000mの開けた草原やサバンナにすみ、巣穴は掘りません。代わりに、草の中に幅8〜12cmの地上のトンネルを、迷路のように作ります[4]。
岩と草のあるアンデスの高地
一方、モンタナモルモット(C. tschudii の英名)は、アンデスの標高2000〜3800mに分布します。岩と粗い草のある湿った環境を好み、草むらに通り道を作ります[3]。アルゼンチンでは、出入口がいくつもある巣穴に住むそうです[3]。
草原の種は、地上のトンネルで身を隠します。高地の種は、岩と草の環境で、通り道や巣穴を使います。姿を隠す方法は違っても、「見つかりにくい通り道を持つ」点は共通しています。
ブラジルモルモット(C. aperea)は、コロンビア・エクアドル・ベネズエラから北アルゼンチンまで広く分布し、標高400〜3000mの開けた草原・サバンナにすむ。巣穴は掘らず、草の中に幅8〜12cmの地上のトンネルを迷路状に作る[4]。つまり、「草の高さ」そのものが隠れ家の屋根の役目をしていると読める。ただし出典はこの点を明記しておらず、筆者の解釈だ。
これに対し、モンタナモルモット(C. tschudii の英名 montane guinea pig)は、アンデスの標高2000〜3800mに分布し、岩と粗い草のある湿った環境を好む。草むらに通り道(ランウェイ)を作る[3]。同じ出典は、アルゼンチンでは出入口が複数ある巣穴に住むとも述べる[3]。標高の幅は、2つの種で重なる部分がある(2000〜3000m)が、環境の質(開けた草原か、岩場か)が違う。
2つの記述はいずれも二次資料(Wikipedia)にもとづく。種の分類は研究者によって扱いが変わりうるので、「どの種がどこにいるか」は、書かれている範囲の目安として読むのがよい。では、こうした場所で、モルモットの仲間は、1日をどう過ごしているのか。
4. あさと ゆうがたに、そっと ごはん
4. 小さな群れで暮らし、朝夕に草を食べる
4. 群れの構成と活動時間 朝夕に採食し、日没後に最も活発という記述も
野生の なかまは、小さな むれで くらします。日本の 本には、ふつう 5〜10ぴきの むれと あります[1]。1とうの オスと、すう とうの メスの むれと いう 本も あります[2]。
たべるのは 草など 地めんの 植物です。食べ歩く 時間は、朝と 夕方に おおいと いわれます[2]。
日が しずんだ あとに、いちばん よく 動くと 書く 本も あります[1]。本に よって、ちがう ところも あります。
日本の百科事典によると、モルモットの仲間はふつう5〜10頭ほどの小さな群れで暮らします。昼行性ですが、日没後にいちばんよく活動する、という記述もあります[1]。
一方、Animal Diversity Webでは、群れは1頭のオスと数頭のメスで作られ、ほぼ1日のうち20時間近く活動し、食べ歩く時間は朝夕に多いと説明されています[2]。食べるのは、草など地面にある植物です。
2つの資料は、群れの大きさや活動のピークが少し違います。種や環境によって変わると考えられるので、1つの暮らし方に決めつけないほうがよさそうです。共通しているのは、小さな群れで、地面近くの草を食べながら暮らす点です。
群れの大きさと活動時間は、資料によって記述が異なる。日本の百科事典は、ふつう5〜10頭の小さな群れで暮らし、昼行性だが日没後にもっとも活動し、あらゆる種類の植物を食べると記す[1]。Animal Diversity Webは、群れは1頭のオスと数頭のメスで、ほぼ1日20時間近く活動し、採食は朝夕に多いと説明する[2]。
この食い違いの原因は、資料が見ている種・調査地・季節が異なる可能性がある。ただし、どれが原因かは、使った資料からは分からない。一方、どちらの資料でも、「小さな群れ」「地面の植物を食べる」点は共通しているように読める。活動時間は、一方が朝夕、他方が日没後の活発さに触れている。
前の章の「隠れられる場所を選ぶ」と合わせると、捕食者から見つかりにくい植生の中で、群れで食べ歩く暮らし、という像が浮かぶ。では、この動物は、いつから人の暮らしの近くにいるのだろうか。
5. 人の 家に きたのは、いつから?
5. 人とのつき合いは数千年前から。名前は取りちがえから
5. 家畜化の時期と、名前の由来 紀元前6000〜2000年説と紀元前約9000年の遺骨
モルモットと 人の つきあいは、とても 長いようです。中央アンデスでは、紀元前6000〜2000年の あいだの どこかで、人に かわれ はじめたと いわれます[7]。はっきりした 年は 決まって いません。
ずっと あとの 1500ねんごろ、南米から ヨーロッパへ はこばれたと いわれます[5]。めずらしい ペットとして、王さまなど えらい 人たちに 人気が 出たそうです。
「モルモット」という 名前は、オランダの 人が マーモットと まちがえて つたえた ことから、と いわれます[1]。本当は モルモットは、リスの なかまでは ありません。
中央アンデスでは、モルモットは紀元前6000〜2000年ごろの間に家畜化されたとされます[7]。コロンビア東部の高地では、紀元前約9000年の野生モルモットの遺骨も見つかっていて、別の場所で独立に家畜化された可能性も論じられています[7]。年代には幅があり、日本の百科事典には、完全な家畜化を約500年前とする記述もあります[1]。数千年前からの付き合いと考えられますが、1つの年に決めることはできません。
16世紀に南米からヨーロッパへ運ばれたとされ、珍しいペットとして王族や上流階級で人気になったといわれます[5]。
「モルモット」という名は、16世紀にオランダ人がリス科のマーモットと混同し、誤って伝えたことによる名とされます[1]。実際には、リス科ではなくテンジクネズミ科です。
家畜化の時期については、資料が割れる。PMCの論文は、中央アンデスでモルモットが紀元前6000〜2000年ごろの間に家畜化されたとし、一方でコロンビア東部高地では、紀元前約9000年の野生モルモットの遺骨があり、別の場所で独立に家畜化された可能性も論じる[7]。他方、日本の百科事典には、完全な家畜化は約500年前とする記述もある[1]。この食い違いは、何をもって「家畜化」とするかの定義の違いなどの可能性もあるが、使った資料からは分からない。
ヨーロッパへの伝来は、16世紀に南米から運ばれたとされ、エキゾチックなペットとして王族や上流階級に人気になったと説明される[5]。英語名の guinea の由来は分かっておらず、ギニア経由と思われたという説がある[5]。
日本語の「モルモット」は、16世紀にオランダ人がリス科のマーモット(英語の marmot)と混同して誤って伝えたことによる、と複数の辞典が記す[1]。実際はリス科ではなくテンジクネズミ科だ。ここまで見てきた、隠れ場所を選び、小さな群れで朝夕に食べ歩くという野生の暮らしは、人の家でも形を変えて残っているのかもしれない。
6. モルモットを 見かけたら、どこを 見る?
6. 見かけたら、隠れ場所と食べる時間を眺めてみる
6. 飼育場面での観察と、資料の読みどころ
学校や どうぶつえんなどで、モルモットを 見る ことが あったら、そっと 見て みましょう。むりに さわったり、おいかけたり しないで、はなれた ところから 見ます。
まず、どこに かくれるか。うすぐらい 場所や、せまい すきまに 行きたがるでしょうか。つぎに、いつ ごはんを 食べるか。朝や 夕方に 食べ はじめるでしょうか。
野生の なかまの くらしと くらべて、にて いる ところが あるか 考えて みましょう。ただし、1ぴきの ようすで、すべての モルモットを 言う ことは できません。
学校の飼育小屋や動物園のふれあい広場などでモルモットを見る機会があれば、少し離れた場所から、そっと観察してみましょう。むやみに触ったり追いかけたりしないでください。
見るポイントは2つです。1つめは、どこに隠れようとするか。暗い場所や狭いすきまに入りたがるでしょうか。2つめは、いつ食べ始めるか。朝や夕方に動きが増えるでしょうか。
この記事で見た野生の仲間は、草のトンネルや岩のすきまなど、隠れやすい場所を選んでいました。飼育下での行動が似ているかどうかは、1頭の様子では決められませんが、野生の暮らしを知っておくと、見え方が変わるかもしれません。飼い方の具体的な方法は、獣医師や飼育の公的な資料で確かめてください。
もっと知りたくなったら、図書館や学校の図書室にある動物図鑑や百科事典で、「テンジクネズミ」の仲間の項目を探す手があります。野生の種ごとの暮らしが、日本語で紹介されています。
学校や動物園で飼育個体を観察する機会があれば、離れた場所から、隠れ場所の選び方(暗所・狭い隙間を選ぶか)と、活動が増える時間帯(朝夕か)を見る手がある。野生の Cavia属が、背の高い密な植生や岩の隙間、他の動物の巣穴を隠れ家とし、朝夕に採食が多い[2]という記述と照らし合わせられる。ただし1個体の行動は、種全体や野生の行動の根拠にならない。飼育の具体的な方法は、このメモの資料では扱っておらず、獣医師や公的な飼育資料で確認する必要がある。
さらに調べるなら、図書館にある動物図鑑や百科事典で「テンジクネズミ」の仲間の項目を引き、野生種の分布と巣の作り方を日本語で比べる手がある。種名の扱いは新しい研究で変わりうるので、版の新しい本を選ぶとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:日本の百科事典(コトバンク)、Animal Diversity Web、Wikipedia、チリ大学のリポジトリ、PMCの論文を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- コトバンク「モルモット」(世界大百科事典・デジタル大辞泉・日本国語大辞典)。https://kotobank.jp/word/モルモット-143028 (分布、群れと活動、名前の由来、百科事典の家畜化の記述について)
- Animal Diversity Web「Cavia」。https://animaldiversity.org/site/accounts/information/Cavia.html (Cavia属の生息環境、隠れ家、群れと活動について)
- Wikipedia「Montane guinea pig」。https://en.wikipedia.org/wiki/Montane_guinea_pig (アンデスの高地の環境と通り道について。二次資料)
- Wikipedia「Brazilian guinea pig」。https://en.wikipedia.org/wiki/Brazilian_guinea_pig (草原の分布と地上のトンネルについて。二次資料)
- Wikipedia「Guinea pig」。https://en.wikipedia.org/wiki/Guinea_pig (野生では見つからないこと、ヨーロッパへの伝来について。二次資料)
- 「Ancient and modern steps during the domestication of guinea pigs」(チリ大学リポジトリ)。https://repositorio.uchile.cl/handle/2250/127982 (祖先種と最初の家畜化の遺伝子解析について。抄録の要点)
- PMC7264122(コロンビア高地のモルモット家畜化の論文)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7264122 (家畜化の年代と別の起源の可能性について)
なおした ところ
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