1. からあげは、どうして うまれたの?
1. 赤字の食堂は、なぜ鶏を揚げることにしたのか
1. 赤字の食堂が打開策に選んだ揚げ物は、どこまで発祥と言えるのか
いまの からあげが おみせの メニューに のったのは、昭和 7ねん(1932ねん)ごろ、銀座の「みかさ」と いう しょくどうだと いわれて います[1]。
この ころ、みかさは とりりょうりの せんもんてんを ひらいて 赤字に なり、ほんてんも くるしく なって いました。そこで りょうりちょうが かんがえた メニューが、わかい とりの からあげで、おみせの かんばんに なったと つたえられて います[1]。
ただし、「この 人だけが はつめいした」と は いいきれません。みかさの せつ、と おぼえて おくと あんしんです。
現代の唐揚げが外食のメニューに現れたのは、昭和7年(1932年)ごろの東京・銀座にあった食堂「三笠」(のちの三笠会館)だとされています[1]。
この年、三笠は銀座1丁目に鶏料理の専門店を開きましたが赤字になり、本店まで苦しくなったそうです。その打開策として、料理長が若鶏の唐揚げを考え出し、店の看板料理になったと伝えられています[1]。困った店が出した一皿が、いまの定番の出発点だったことになります。
ただし、「発明者はこの人ひとり」と言い切れるわけではありません。日本食糧新聞の記事が伝える、三笠の説として受け取るのが安全です。
では、その唐揚げを家で作るとき、順番にどんなことが起きているのでしょうか。
現代の「唐揚げ」が外食メニューに登場したのは昭和7年(1932年)ごろで、東京・銀座の食堂「三笠」(三笠会館の前身)とされる[1]。同じ年に三笠は銀座1丁目で鶏料理の専門店を開いたものの赤字となり、本店も苦しくなった。その打開策として、料理長の横山明那が若鶏の唐揚げを考案し、看板料理になったという[1]。
この話は、日本食糧新聞の連載が伝える一つの説である。同時期に他の店で似た料理が作られていたかどうかは、この資料からは分からない。したがって「三笠が最初」と断定せず、「三笠の説では」と書くのが妥当である。
店が客に出す商品なら、毎回同じように、しかも安全に火を通す必要がある。次の章から、各工程がその条件をどう支えているのかを見る。
2. したあじから あげるまで、なにを して いるの?
2. 下味から揚げ上がりまで、各段は何を受け持っているのか
2. 下味から休ませる時間までの各段は、何を受け持つのか
からあげは、だいたい こんな じゅんばんで つくります。
まず、おにくに しょうゆなどで あじを つけます。つぎに こなを まぶして、あぶらで あげます。いちど あぶらから 出して、すこし やすませます。レシピに よっては、もういちど あげて しあげます。
この うち、とくに だいじなのは、「おにくの 中が ちゃんと 火が とおったか」です。したあじや こなや やすませる じかんは、そのための じゅんびや たすけだと かんがえると、わかりやすく なります。
では、「ちゃんと 火が とおった」は、どうやって きめるのでしょう。
家庭のレシピでは、おおよそ次の順番が多く紹介されています。鶏肉に醤油などで下味をつけ、粉をまぶして油で揚げ、一度油から出して休ませ、もう一度揚げて仕上げる、という流れです。
この記事では、このうち「粉」「休ませる時間」「火の通りの基準」を、資料で確かめられる範囲で取り上げます。下味の役割は、ここでは味をつけることとして扱います。
どの段にも共通しているのは、最後の目標が「肉の中心まで火が通ること」だという点です。見た目のきつね色は、その目標とは別の話です。
では、「火が通った」は、どんな基準で決まっているのでしょうか。
レシピ本やサイトで紹介される典型的な工程は、下味、粉付け、一度目の揚げ、油から出して休ませる、二度目の揚げ、である。ただし各工程の効果の説明は、レシピ系の解説が中心である。
下味(醤油・酒・塩分など)は、この記事では「味をつける段」として扱う。
一方で、全工程に共通する目標は、公的な基準として明確に示されている。それが肉の中心部の加熱条件である。この記事では、加熱の目安を軸に各工程を読んでいく。
3. なかまで 火が とおった、は なんど?
3. 「中まで火が通った」は、何度で決まるのか
3. 「十分な加熱」の基準は、油ではなく肉の中心の温度で決まる
からあげは、そとが きつね色に なって いても、中が まだ なまの ことが あります。
とりにくには カンピロバクターと いう きんが いる ことが あり、すこしの 数でも おなかを こわす げんいんに なります。でも ねつには よわいので、中まで しっかり ねつを とおすのが たいさくです[3]。
こうせいろうどうしょうが しめす めやすは、おにくの まんなかが 75どで 1ぷん いじょうです[2]。
これは あぶらの 温度では なく、おにくの まんなかの 温度です。
だから、見た目だけでは わかりません。切った ところを 見るだけでも、あんぜんの かくにんには なりません。中の 温度を はかる ことが たいせつです。
鶏肉にはカンピロバクターという菌がいることがあり、少ない菌の数でも食中毒の原因になります。ただし熱に弱いので、中心部まで十分に加熱することが対策になります[3]。
厚生労働省が示す「十分な加熱」の目安は、中心部が75℃で1分以上です。世田谷区のページは、厚生労働省の基準として、これと同等の組み合わせ(70℃で3分、69℃で4分、68℃で5分、66℃で11分、65℃で15分)も紹介しています[2]。温度が低めでも、長く保てば同じ条件になるという考え方です。
ここで注意したいのは、これが「油の温度」ではなく「肉の中心の温度」の基準だということです。外側が油の温度で色づいても、中心の温度は別に決まります。揚げ色や、切った断面の見た目だけでは、基準を満たしたかどうかは分かりません。中心温度計などで、中心が基準に届いたかを確かめます。
では、衣に使う粉は、この加熱にどう関わっているのでしょうか。
鶏肉を扱うときに問題になるカンピロバクターは、少量の菌でも食中毒を起こしうるが、熱に弱い。そのため対策は、中心部まで十分に加熱することとされ、厚生労働省の飲食店向け資料では「中心部を75℃で1分間以上」と示されている[3]。
世田谷区のページは、厚生労働省の基準として、同等の条件を70℃3分、69℃4分、68℃5分、66℃11分、65℃15分と紹介している[2]。この表の例では、75℃の1分に対して65℃では15分が同等とされており、温度と時間は交換できるが、低温側ほど長く保たなければならない。
誤解しやすいのは、この基準が油の温度ではなく肉の中心の温度を指す点である。外側は揚げ油で高温になるが、中心の温度上昇は熱が内側へ伝わる速さで決まり、見た目の色では判断できない。だから基準は「中心」という場所を指定している。
なお、基準は家庭と店で別のものではない。切った断面の見た目は75℃1分の確認にならないので、中心温度計で中心が基準に達したことを確かめる必要がある。
4. まぶす こなは、なにから できて いるの?
4. 衣に使う片栗粉は、もとは何から作られていたのか
4. 片栗粉の原料は、なぜカタクリからじゃがいもに変わったのか
からあげの ころもに よく つかう 粉に、かたくりこが あります。
むかしは、カタクリと いう 花の ねっこから でんぷんを とって いました。でも カタクリが へって しまったので、せいしつの にて いる、ほっかいどうで そだてる ことが すすめられた じゃがいもの でんぷんが つかわれる ように なりました[5]。
いまの かたくりこの おおくは、じゃがいもから できて います。
なまえは「かたくり」なのに、中みは じゃがいも。ふしぎですね。
唐揚げの衣によく使われる片栗粉は、名前のとおり、もとはユリ科のカタクリの根から取ったでんぷんでした。ところがカタクリが減ってしまったため、性質が近く、北海道で栽培が推奨されたばれいしょ(じゃがいも)由来のでん粉が使われるようになりました[5]。いま売られている片栗粉の多くは、じゃがいも由来です。
名前だけが残り、材料が入れかわった、ということです。
粉をまぶしたら、次は油に入れます。ここで「途中で一度出す」のは、何のためでしょうか。
片栗粉は、もともとユリ科のカタクリの根から作ったでんぷんだった。しかしカタクリの数が減ったため、性質が近く、北海道で栽培が推奨されたばれいしょ(じゃがいも)由来のでん粉が使われるようになり、現在の片栗粉の多くはじゃがいも由来である[5]。つまり「片栗粉」は、原料の名前ではなく、でんぷんの種類を示す料理用の名称として残っているとも読める。
粉の話から分かるのは、台所の道具や材料の名前が、原料の変化のあとも昔のまま使われ続けることがある、という点である。パッケージの原材料表示を見れば、自分で確かめられる。
5. あげる とちゅうで、いちど ださないのは なぜ?
5. 一度揚げたあと、油から出して休ませるのはなぜか
5. 二度揚げの間に休ませる時間は、何をしていると説明されているか
おみせの からあげは、いちど あげた あと、すこし あぶらから 出して やすませる ことが あります。
りょうりの かいせつでは、すうふん 出して さます ことで、やわらかい とりにくの 中に 火を とおし すぎず、ころもの ほうから 水を たくさん とばせる と いわれて います[4]。
そのあと もういちど あげると、そとが カリッと しあがる、と いう わけです。
ただし じかんや 温度は、りょうりの 本や おみせに よって ちがいます。きまった 数字が ある わけでは ありません。
二度揚げは、一度目の揚げのあと、数分ほど油から取り出して冷ますことが多い調理法です。ライフハッカーの料理記事では、この休ませる時間に、柔らかい鶏肉の内側に火を通しすぎることを避けながら、皮(衣)から水分をできるだけ多く蒸発させやすくなる、と説明されています[4]。
つまり、休ませる間に中心にも熱が伝わり、二度目に衣の水分がさらに飛ぶ、という説明です。
ただし、何度で何秒揚げ、何分休ませるかは、出典によって違います。一つの数字が決まっているわけではありません。さらに、この説明は料理記事の解説であり、必ず起きる効果として言い切れるものではありません。
その点を踏まえると、休ませる時間は、揚げ色のためだけでなく、中の加熱と衣の乾燥を進めるための間だと説明されている、と受け取るのが穏当です。
そして、休ませている間も、中心の温度は基準を満たしているかを考える必要があります。
二度揚げでは、一度目のあと数分間、油から取り出して冷ます。この間に、柔らかい鶏肉の内側には火を通しすぎず、皮(衣)からはできるだけ多くの水分を蒸発させやすいと、料理記事で解説されている[4]。
この説明は料理記事の解説であり、必ず起きる効果として言い切れるものではない。温度や秒数も出典によって異なる。ここから言えるのは、休ませる間に中心にも熱が伝わり、二度目に衣の水分がさらに飛ぶという考え方までである。
この発想を、前章の基準と合わせて読むと、疑問が残る。休ませている間にも中心温度は変化するはずで、一度目の揚げで中心が基準に届いたのか、二度目で届くのかは、レシピしだいである。資料はそこまでを教えてくれない。だからこそ、基準は「何分揚げたか」ではなく「中心が何度で何分か」で語られる。
6. 「からあげ」は、どうやって かくの?
6. 「唐揚げ」と「空揚げ」、どちらが正しいのか
6. 「唐揚げ」と「空揚げ」の表記は、語源から決められるのか
「からあげ」の「から」は、むかしの ちゅうごくの 名まえの 字を つかう かきかたと、「空」の 字を つかう かきかたが あります[1]。
えどじだいにも、おなじ なまえの りょうりは ありました。でも それは、いまの とりの からあげとは ちがう りょうりを さして いたと いわれます[1]。
ことばの はじまりが ちゅうごくに ある のか どうかは、まだ はっきり きまって いません。
7. しらべて みたい ことは?
7. 家で確かめられること:片栗粉の袋と中心の温度
7. 家で確かめられること:片栗粉の表示と中心の温度
つぎに からあげを 食べる ときは、こんなことを さがして みましょう。
ひとつめ。かたくりこの ふくろを 見て、「でんぷん」が なにから できて いるか、よんで みる。(おうちの 人と いっしょに)
ふたつめ。からあげは、見た目の いろだけでは、中が あんぜんかは わかりません。中の 温度を はかる ことが たいせつだと おぼえて おきましょう。
みかさの からあげは、赤字の おみせを たすけた メニューと いわれます。あなたの まちの おみせの おすすめは、どんな あじ でしょうか。
家で試せることは、片栗粉の袋の原材料表示を見ることです。「でん粉」の原料がじゃがいもになっているか、確かめられます。
揚げ物を作るときは、見た目の色や切った断面だけでは中心の加熱は確認できないので、中心温度計を使います。火と熱い油を使うときは、必ず大人と一緒にしてください。
調べる余地が残るのは、二度揚げが鶏のから揚げでどの程度効くのかを、実験で示した研究があるかという点である。
基準については、厚生労働省の食中毒予防の資料(出典[3])と、自治体が引用しているページ(出典[2])を照合できる。本記事の記述は自治体ページと厚労省資料の抜粋をもとにしているので、確認するなら厚労省の公式ページで該当資料を開くのが確実である。
家で試せることは、片栗粉の袋の原材料表示を読むことである。揚げ物では、断面の見た目ではなく中心温度計で中心の温度を確かめる。火と熱い油を使うときは、必ず大人と一緒にする。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の参照番号は、下の番号と対応しています。
- 日本食糧新聞「近代メニューのルーツ(8)若鶏の唐揚げ編」 https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/grs-277-0007 (唐揚げの登場・三笠の説・表記・普茶料理の唐揚げ)
- 世田谷区「食中毒予防」(厚生労働省の基準を引用) https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/003/006/001/d00008554.html (十分な加熱の組み合わせ)
- 厚生労働省 食中毒予防の啓発資料 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000128335.pdf (鶏肉の菌と中心部75℃1分)
- ライフハッカー・ジャパン「鶏肉は二度揚げすべき」 https://www.lifehacker.jp/article/2210you-should-double-fry-your-chicken/ (二度揚げと休ませる時間の説明)
- 農畜産業振興機構「片栗粉の由来とその特性」 https://alic.go.jp/koho/kikaku03_001461.html (片栗粉の原料の変化)
なおした ところ
更新履歴
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