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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

キッチンばさみは、まないたなしで なにが きれるの?

キッチンばさみは、まな板なしで何が切れて、何が苦手なのか

キッチンばさみの得手と不得手 ── 2枚の刃が1点で引き裂く切り方と、洗い方の条件

分野:技術

やいた おにくを、まないたに のせずに、トレイの うえで ちょきちょき きれる どうぐが あります。キッチンばさみです。

はさみの はは、ほうちょうほど とがって いなくても、ものが きれます。それは どうしてでしょう。なにが とくいで、なにが にがてなのでしょう。この きじで、そのこたえが わかります。

焼いた肉を、まな板に移さず、トレイやフライパンの中でそのまま切れる道具があります。キッチンばさみです。しかも、はさみの刃は、包丁ほど鋭くなくても物が切れるといわれます。

なぜ鋭くなくても切れるのでしょうか。何が得意で、何が苦手なのでしょうか。使い方と切れる理由、洗い方の注意が分かります。

キッチンばさみは、まな板を出さずに肉や焼きのりを切れる。しかも、はさみの刃は先端が鋭くなくても対象を切断できる、と説明されている[1]。

その理由は、刃で「削る」のでなく、2枚の刃で挟んだ1点に力を集めて引き裂くからだ。では、同じ原理がなぜ固い塊には通じず、生肉のあとの洗い方まで関わってくるのか。使い方の得手と不得手から、その答えが分かる。

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1. まないたを だしたく ない とき、なにを きるの?

1. まな板を洗いたくない日、何をはさみで切るのか

1. まな板を使わずに切れるもの ── 得意な食材と、その利点

やいた おにくを きりたい とき、まないたを だすと、あとで あらう ものが ふえます。キッチンばさみなら、トレイや フライパンの なかで そのまま きれます[2]。

とくいなのは、やわらかい ものです。とりにくの すじや あぶらを とる こと。イカの どうや、エビの せわたを とる こと。おおばや やきのりを てばやく きざむ ことも できます[2]。

すこしの おにくなら、ほうちょうより はやい ことも ある そうです[2]。

ただし、やいた おにくは あついです。トングや さいばしで おさえながら つかいます。おてつだいで まかされる ことも ある さぎょうです[2]。

夕食の準備で、肉を切るためだけにまな板を出すと、洗い物が増えます。キッチンばさみなら、トレイやフライパンの中の精肉をそのまま切れるので、まな板を洗う手間が減ります。少量なら、包丁より早いこともあるそうです[2]。

得意なのは、やわらかいものです。鶏肉の筋とりや脂の除去、イカの胴を切る作業、エビの背わた取りなどの魚介の下処理があげられています。大葉や焼きのり、油抜きした油揚げを細かく刻むのにも向きます[2]。

焼いた肉は熱いので、トングや菜箸で押さえながら切るよう案内されています。この作業は、子どものお手伝いにも任せやすいとされます[2]。

では、切れ味がそれほど鋭くないのに、どうしてこれだけのものが切れるのでしょうか。

台所仕事では、まな板を出すか出さないかで洗い物の量が変わる。キッチンばさみは、トレイやフライパンの中の精肉をそのまま切れるため、まな板を洗う手間が省ける。少量なら包丁より手早いという説明もある[2]。

向いているのは、力をかけなくても切れるやわらかい食材だ。鶏もも肉の筋や脂の除去、イカの胴やヒレの処理、エビの背わた取りといった魚介の下処理、大葉・焼きのり・油抜き後の油揚げなどがその例である[2]。焼いた肉は熱いので、トングや菜箸で押さえて使うことも勧められている。子どもが手伝いやすい作業ともされる[2]。

ところが、先端が鋭くないはさみの刃で、なぜこれだけのものが切れるのか。

2. さきが とがって いないのに、どうして きれるの?

2. 刃先が鋭くなくても切れるのは、2枚の刃が1点で挟むから

2. 切断の原理 ── 1点への力の集中と、てこ

はさみは、2まいの はで ものを はさみます。はさんだ ところの 1てんに ちからが あつまり、ものを ひきさくように きって いきます[1]。だから、はの さきが そんなに するどく なくても きれるのです。

もう ひとつ、はさみは「てこ」を つかった どうぐです。てこには、ささえに なる ところ(してん)が あります。はさみでは、2まいの はが まじわる ところです[1]。

きりたい ところが してんに ちかいほど、すくない ちからで きれます[1]。ですから、すこし かたい ものを きる ときは、はの もと の ほうで きると ちからが はいりやすい、と かんがえられます。

ためしに かみを はさみで きって みましょう。はの さきと もとで、てごたえが ちがうでしょうか。

NTT東日本のコラムによると、はさみは2枚の刃で挟み込む1点に力を集中し、対象を引き裂いています。そのため、刃先がそれほど鋭くなくても切れるのだそうです[1]。

もう一つの仕掛けは、てこです。はさみは、てこの原理を応用した道具で、支点(刃が交わるところ)の位置によって3つの型に分けられます。和鋏のようなU字形は、支点が手元の端にあります。洋鋏や裁ちばさみのようなX字形は、支点が中ほどにあります。もう一つは先に支点がある型です[3]。台所で使うキッチンばさみは、X字に刃を交差させた形が一般的です。

切りたいところ(作用点)を支点に近づけるほど、少ない力で切れます[1]。ここから、少し固いものを切るときは、刃の根元に近いところで切ると力が入りやすい、と考えられます。これは出典の説明からの推論です。

切れる理由が分かると、次の疑問が出ます。同じ原理なら、なんでも切れるのでしょうか。

NTT東日本の解説では、はさみの刃は2枚で挟んだ1点に力を集中して対象を「引き裂いて」おり、そのため刃先がそれほど鋭くなくても切れる[1]。この説明は「せん断」とは書いておらず、本記事も「引き裂き」という言葉のままで読む。

もう一つの要素は、てこである。はさみは、てこの原理を応用した道具で、支点の位置から、元支点型(U字形の和鋏)、中間支点型(X字形の洋鋏や裁ちばさみ)、先支点型の3つに分けられる[3]。キッチンばさみは、X字に刃を交差させる中間支点型が一般的である。

作用点を支点に近づけるほど、少ない力で切れる[1]。だから、硬い物を切るときは刃の根元で切るほうが力を入れやすい、と考えられる。ただし、これは出典の説明からの導出で、直接の記述ではない。逆に先端近くは作用点が支点から遠く、力が入りにくい。

ここで問いが残る。原理が同じなら、なぜ「固い塊は包丁のほうが向く」と説明されるのか。

3. かたい かぼちゃは、はさみで きって いいの?

3. 玉ねぎやかぼちゃは、なぜ包丁のほうが向くのか

3. 苦手な食材 ── 固い塊と皮むきの限界

にがてなのは、たまねぎ、かぼちゃ、じゃがいもなど、かたい かたまりです。こういう ものは ほうちょうの ほうが むいて います[2]。

りんごの かわむきや、さしみを うすく そぎきる ことも、はさみには にがてな さぎょうです[2]。

りゆうは、ほうちょうが ものを おさえつけて すべらせるように きるのに たいして、はさみは はさんだ いってんで きる どうぐだから、と かんがえられます(これは この きじの すいそくです)。

こおった たべものや ほねも、せいひんに よっては きれない ことが あります。せつめいしょに 「つかえない」と かいて ある ことも あるので、おうちの はさみの せつめいしょを みて みましょう。

苦手なのは、玉ねぎ・かぼちゃ・じゃがいもなどの固い塊です。このような具材の切り分けは、包丁のほうが向くと説明されています[2]。りんごの皮むきや、刺身のそぎ切りも、はさみの苦手な作業にあげられています[2]。

理由は、前の章の仕組みから考えられます。はさみは、挟んだ1点で切る道具です。大きくて厚い塊を切るには、刃を何度も入れ直すことになり、力もかかります。包丁なら、材料を押さえて、刃を一気に通せます。ただし、これは出典の説明をもとにした推測です。

冷凍食品や骨のような固いものは、製品によっては刃こぼれの心配がある、と説明書に書かれていることがあります。骨を切れる製品もあるので、使う前に、手元のはさみの説明書を見るのが確実です。

得意と苦手が分かりました。ところで、生の肉や魚を切ったはさみは、そのあとどう洗えばよいのでしょうか。

固い塊の具材は、包丁のほうが向く、と説明される。玉ねぎ・かぼちゃ・じゃがいも、りんごの皮むき、刺身のそぎ切りが苦手の例である[2]。

第2章の原理から、次のように考えられる。はさみは挟んだ1点に力を集めて切るため、厚くて大きい塊では何度も刃を入れ直すことになり、1回ごとに力が必要になる。一方、包丁は材料を押さえて刃を一気に通せる。この対比は、出典の「向く・向かない」の説明を原理で補った本記事の推論である。

固いものを切る場合の注意も、製品の側にある。取扱説明に、冷凍食品や骨などのかたいものでは刃こぼれの恐れがあると書かれている製品がある。一方で、骨を切れると説明する製品もあり、答えは製品ごとに違う。そのため、一般論ではなく、手元の製品の説明書を基準にするのがよい。

不得意な作業を避ければ、キッチンばさみはまな板を汚さずにすむ道具になる。ただし、もう一つ条件がある。生の肉や魚を切ったはさみを、どう洗うかだ。

4. なまの おにくを きった はさみは、どう あらうの?

4. 生の肉を切ったはさみは、どう洗うのか

4. 生肉に触れた器具の扱い ── 洗浄・殺菌と、分解できるはさみの利点

まないたを つかわなくても、なまの おにくに さわった はさみは、そのまま ほかの たべものを きらない ように します。

とちぎけんの しりょうに よると、なまの おにくに さわった ほうちょうや まないた、スポンジなどは、つかった あとに あらって、きんを やっつける ことが たいせつです[4]。はさみも きぐの なかまと して、おなじように あつかうと よい、と かんがえられます。

はさみは、2まいの は の あいだに よごれが たまりやすい かたちです。ぶんかいして、1まいずつ あらえる はさみも うられて います[5]。ぶんかいの しかたは せいひんで ちがうので、せつめいしょを みましょう。

生の肉を切ったはさみは、そのまま野菜やパンを切るのに使わないようにします。栃木県の食中毒の資料は、食肉に触れた調理器具(包丁、まな板、たわし、ふきん、スポンジなど)を、使用後に洗浄・殺菌することが重要だと説明しています。ほかの食品とは、器具や容器を分けて扱うよう勧められています[4]。この資料にキッチンばさみという言葉は出てきませんが、調理器具への一般的な勧めなので、はさみも同じように考えるのが自然です。

はさみは、2枚の刃が交わる部分に汚れが入りやすい形です。そこで、分解して刃を1枚ずつ洗える製品もあります。無印良品の説明では、刃を開いて、支点のねじの位置を合わせると外れる仕組みで、肉・魚・野菜に使ったあとに隅々まで洗えるそうです[5]。外し方は製品ごとに違うので、説明書を見て、無理に力をかけないことが大切です。

形そのものは、いつごろから今の姿になったのでしょうか。

生肉に触れた調理器具の扱いについて、栃木県の食中毒の資料は、包丁・まな板・たわし・ふきん・スポンジなどを、使用後に洗浄・殺菌することが重要だとし、ほかの食品とは器具や容器を分けて扱うよう勧めている[4]。この資料にキッチンばさみの記述はなく、器具全般への勧めである。ゆえに、まな板を省いても「器具の洗浄・殺菌が不要になる」わけではなく、洗う対象がまな板からはさみに移ると読むのが妥当だ。

ところが、はさみは2枚の刃が交わる支点の周りに汚れがたまりやすい構造である。そこで、分解できる製品がある。無印良品の分解できるキッチンばさみは、刃を開いて支点のねじの位置を合わせると外れ、使用後に刃を1枚ずつ洗える、と説明されている[5]。ただし、外す手順や角度は製品ごとに異なり、本記事では具体的な角度を扱わない。

ここで視点を変える。今の形のはさみは、いつ誰が作ったとされるのか。

5. はさみの かたちは、いつごろ きまったの?

5. 古代の鉄のはさみと、1880年ごろに作られたとされる今の形

5. はさみの系譜 ── 古代の鉄のはさみから、1880年ごろの現代的な形まで

はさみは、とても むかしから ある どうぐです。のこって いる ふるい ものの ひとつは、きげんぜん 1000ねん ごろの ギリシャの、てつの はさみ(ひつじの けを かる ため)と いわれます[3]。

にほんには、6せいきごろ ちゅうごく から つたわった と いわれます。7せいきの こふんからも、はさみが でて います[3]。えどじだいまでは、U字の かたちの わばさみが おもでした[3]。

いまの ハンドルの ついた X字の はさみは、1880ねんごろ フィンランドの フィスカースしゃが つくった と いわれます。それから 140ねん いじょう、きほんの つくりは かわって いません[6]。

キッチンばさみ せんようの れきしは、ここでは わかりません。

はさみは、古くからある道具です。古い遺物の一つに、紀元前1000年ごろのギリシャの鉄製(羊毛刈り用)とされるはさみがあります。日本には6世紀ごろに中国経由で伝わったといわれ、日本最古の鋏は7世紀の古墳から出ています。江戸時代までは、U字形の和鋏が主でした[3]。

今のように、2枚の刃を交差させ、ハンドルで操作するはさみは、1880年ごろにフィンランドのフィスカース社が作ったとされています。それ以降、基本構造は140年以上変わっていません[6]。ここでいう「今の形」は、X字の起源ではなく、この会社が作ったとされる現代的なハンドル付きの形のことです。

キッチンばさみがいつごろ台所用として生まれたのかは、今回使った資料からは分かりません。ただ、台所で使うはさみも、この形の仲間です。

では、家のはさみを、どう観察すればよいでしょうか。

はさみの歴史は古く、古い遺物の一つに、紀元前1000年ごろのギリシャの鉄製(羊毛刈り用)とされるものがある。日本には6世紀ごろ中国経由で伝わったとされ、日本最古の鋏は7世紀の古墳から出ている。江戸時代まではU字形の和鋏が主流だった[3]。いずれも年代は「とされる」の範囲である。

では、いま見る形はいつ決まったのか。2枚の刃を交差させてハンドルで操作する現代的なはさみは、1880年ごろにフィンランドのフィスカース社が作ったとされ、基本構造は140年以上変わっていない[6]。古代にもX字に近い形の道具があるとする説明と食い違って見えるが、「現代のハンドル付きの形」を1880年ごろに限った説明だと読めば整合する。

キッチンばさみに専用の歴史があるのかは、本記事の資料では分からない。分かるのは、台所用も含めて、はさみが「てこ」と「挟んだ1点での引き裂き」で切る道具だということだ。

この原理は、手元のはさみで観察できる。その方法を最後に示す。

6. おうちの はさみを、しらべて みよう

6. 家のはさみで、自分の目と手で確かめる

6. 手元のはさみで確かめられること

おうちの 人と いっしょに、おうちの はさみを みて みましょう。はは 2まい ありますか。2まいの はが まじわる ところは、どこでしょう。

つぎに、せつめいしょが あれば、よんで みます。「ぶんかい できる」「こおった ものは きれない」と かいて ないでしょうか。

キッチンばさみで きって いい ものは、おうちの 人に きいて から にして ください。はさみは はものです。さきを ひとに むけず、きるときは、てを はの うごく ところに ださないように します。

家にあるはさみと、キッチンばさみを、家の人と一緒に見比べてみましょう。2枚の刃が交わる支点はどこにあるでしょうか。ハンドルの形は、U字とX字のどちらでしょうか。

次に、説明書があれば開いて、洗い方、分解できるか、冷凍食品や骨を切ってよいかを確かめます。製品によって書いてあることが違うはずです。

はさみは刃物です。使うときは、刃の動く先に手を出さないこと、刃先を人に向けないことを守ります。焼いた肉を切るときは熱いので、家の人と一緒に、トングや菜箸で押さえて行いましょう。

キッチンばさみで何を切ってよいかは、まず説明書を見て決めると安心です。

手元の製品で、本文の説明を観察で確かめる視点を挙げる。

第一に、支点の位置と型。X字(中間支点型)か、U字(元支点型)かを見分ける[3]。第二に、支点から刃先までの距離。支点の位置と刃の長さを目で見て、作用点が支点に近いほど少ない力で切れる、という説明[1]がどの部分にあたるかを考える。切り比べる場合は、紙の幅と枚数をそろえ、刃先の動く範囲から手を離して、家の人と行う。第三に、取扱説明の読み比べ。分解の可否、洗い方、冷凍食品や骨の可否が、製品ごとにどう書かれているか。

刃物なので、家の人と一緒に行い、刃先を人に向けない。出典の原文は、NTT東日本のコラム、栃木県の食中毒の資料、日本大百科全書の「鋏」の項で読める。出典欄から開ける。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

切れる理由・得意と苦手・洗い方・はさみの形の歴史は、次の資料による。

  1. NTT東日本 ビズドライブ コラム「はさみはなぜ紙もダンボールも切れるのか」 https://business.ntt-east.co.jp/column/bizdrive/scissors-paper-cardboard.html (1点への力の集中・てこの考え方)
  2. hugkum(小学館)キッチンばさみの活用まとめ https://hugkum.sho.jp/423955 (得意・苦手な食材、お手伝いの注意)
  3. 日本大百科全書・世界大百科事典(コトバンク「鋏」) https://kotobank.jp/word/%E9%8B%8F (てこの3つの型・はさみの古い歴史)
  4. 栃木県「カンピロバクター食中毒」 https://www.pref.tochigi.lg.jp/e07/life/shokuseikatsu/chuudoku/campylo.html (生肉に触れた器具の洗浄・殺菌、加熱の目安)
  5. 無印良品 商品紹介「分解できるキッチンばさみ」 https://www.muji.com/jp/ja/shop/045470/articles/muji-staff/351736 (分解して洗える製品の一例)
  6. ITmedia NEWS(2022年10月5日の記事) https://www.itmedia.co.jp/news/article/2210/05/1221005102/ (X字のはさみの形と140年以上変わらない構造)

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