1. こまつなは、どれくらいで 食べられるの?
1. 種まきから30日前後で収穫に入れるのは、なぜ可能なのか
1. 発芽適温20〜25℃、生育適温15〜20℃ ── 30日前後の収穫を支える温度条件
こまつなの 種を まいて、30日 ぐらいで 収穫が はじまります[1]。ただし、これは ちょうど よい 時きに まいた ときの めやすです。さむい ふゆは もっと かかります。
この 速さは、気温に ひみつが あります。芽が 出やすいのは 20〜25度、大きく そだちやすいのは 15〜20度と いわれます[1]。春と 秋の すずしい 日が、ちょうど よいのです。
大きな 木なら、何年も かかります。こまつなは、種から 食べるまでが 1か月ほどと みじかい 野菜です。
では、毎日 すこしずつ 大きく なる 葉は、ぎゅうぎゅうに ならないのでしょうか。
コマツナは、適期に種をまけば、まいてから30日前後で収穫に入れます[1]。ただし日数は季節で大きく変わり、寒い時期にはもっと長くかかります。
この速さを支えるのは温度です。芽が出やすい温度(発芽適温)は20〜25℃、よく育つ温度(生育適温)は15〜20℃とされます[1]。春や秋のおだやかな気候が、ちょうどこの範囲に入ります。もちろん適温は目安で、品種や地域で幅があります。
まいてから食べるまでが約1か月と短いので、畑が空いている時間も短くてすみます。大きな木なら何年もかかるのに、一つの季節のうちに食卓へ届くのです。
ところで、短い間にぐんぐん育つ葉は、混み合ってしまわないのでしょうか。
コマツナは、適期に種をまけば、まいてから30日前後で収穫に入れる[1]。この速さの前提は温度条件である。発芽適温は20〜25℃、生育適温は15〜20℃とされ、土のpHは6.0〜7.0が目安だ。春と秋の気候が、ちょうどこの範囲に重なる。
ただし、30日という数字は適期の目安にすぎない。冬は同じ日数では育たず、収穫まで長くかかる。適温も品種や地域で幅があるので、「何度なら必ずこうなる」という固定値ではなく、育ちやすい帯があるという理解が正確だ。
では、短期間で葉が大きくなる作物は、どう場所を確保するのか。そこに、栽培の作業としての「間引き」が関わる。
2. こまつなは、どうして ぬいて すくなく するの?
2. 芽が出たあと、なぜ株を抜いて間隔を広げるのか
2. 間引きは2段階 ── 約2cmから約5cmへ間隔を広げる
こまつなは、種を たくさん まきます。芽が 出ると、とても こんで きます。そこで、いくつかを ぬいて、まびきます。
1回目は、葉が かさなる ところを ぬいて、ゆび 1本ぶん(2センチほど)あけます[1]。2回目は、葉が 10センチほどに なった ころ、5センチほど あけます[1]。
ぬいた こまつなも、食べられます[1]。すてる わけでは ありません。
こうして、のこった 1本ずつが のびる ばしょを つくります。そのあと、いよいよ 寒い ふゆが やって きます。
種をたくさんまくので、芽が出ると株が混み合います。そこで間引きをします。1回目は、葉が重なり合っているところを中心に、指1本分(約2cm)の間隔にします[1]。2回目は、葉が10cmほどになったころ、約5cm間隔にします[1]。
間引いた株も食べられます[1]。畑の中で、収穫がもう始まっているともいえます。
こうして一株ずつの場所が広がり、残った株が育つ余地ができます。次は、この育ちに季節がどう関わるかを見ます。
種は多めにまき、芽が出たあとに間引く。1回目は、葉が重なり合っているところを中心に、指1本分程度(約2cm)の間隔にする。2回目は、葉が10cmほどになったころ、約5cm間隔にする[1]。段階を分けて広げる設計である。
間引いた株は食べられるので、栽培の途中から収穫が始まっているともいえる。ここで挙げた間隔は一つの栽培指針の数字で、品種や栽培方法によって違いがありうる。
こうして十分な間隔を確保した株に、冬の低温が加わると何が起こるのか。次の章でまず味の面を、続く章で別の面を見る。
3. さむい ふゆの こまつなは、どうして 糖が ふえるの?
3. 寒い時期のコマツナで、糖が増える
3. 低温期の糖の増加と、ビタミンCの減少
こまつなは、さむい ふゆに そだつと 糖が ふえると いわれます[4]。東京都の 研究で、さむい じきの こまつなは、あつい じきの ものより 糖が ふえた と ほうこくされて います[4]。
ただ、いいことばかりでは ありません。おなじ 研究で、栄養の ビタミンCは へって いました[4]。
しらべで わかったのは、さむい じきに 糖が ふえた ことです。
では、さむければ さむいほど、いいのでしょうか。じつは、ちいさい うちに ながく さむく なると、べつの ことが おこります。
東京都の栽培時期の比較によると、低温期のコマツナは、高温期のものより糖が増えました[4]。
一方で、同じ比較では、アスコルビン酸(ビタミンC)やβ-カロテンも、硝酸やシュウ酸と並んで減っていました[4]。つまり、寒い時期は「何もかも増える」のではなく、増えるものと減るものがあります。
糖が増える理由まではこの資料の範囲では説明できません。分かっているのは、気温と糖の量に関係が見られた、という結果です。
では、寒ければ寒いほどよいのでしょうか。幼い株が長く冷えると、まったく別のことが起こります。
東京都の栽培時期の比較では、低温期のコマツナは高温期より糖が増え、アスコルビン酸・β-カロテン・硝酸・シュウ酸は減った[4]。
ここで読み落としてはいけないのは、減った成分があることだ。低温期の株は、糖が増える一方、ビタミンCは減る。「寒いほど体に良い」とも「寒いほど糖が増える」とも言い切れず、栽培時期の比較で見た結果、という位置づけになる。
糖が増える仕組みは、ここで挙げた資料の範囲では説明されていない。むしろ問題は、同じ低温が、別の面では収穫の邪魔になることだ。
4. わかい こまつなが ながく さむく なると、どうなるの?
4. 幼い株が長く冷えると、葉や根が育ちにくくなる
4. とう立ち ── 幼い株に低温が続くと花芽ができる
こまつなは、ハクサイや ミズナ、カブと おなじ アブラナの なかまです。この なかまは、冬の さむさに あたると、葉や 根を そだてる はたらきから、花を つくる はたらきに かわる ことが あります[2]。これを 「とうが たつ」と いいます。
とうが たつと、葉や 根が じゅうぶんに 大きく なりません[2]。だから、まだ ちいさい こまつなを、さむさに あてすぎない ように 気を つけると いわれます[2]。
どれくらい さむい 日が どれだけ つづくと 花の じゅんびが はじまるのかは、品種や そだてる ばしょで ちがうので、1つの 数字では いえません。だから、こまつなを そだてる ときは、まだ ちいさい うちに さむさに あてすぎない ことが 大切なのです。
さむさが、糖の ふえる ことにも 花にも かかわる。では、この 野菜は、どうして 「こまつな」と いう 名前なのでしょうか。
ハクサイ、ミズナ、コマツナ、チンゲンサイ、カブなどのアブラナ科の野菜は、冬の低温にあたると、葉や根を作る成長から、花を作る成長へ切りかわるとされます。これが「とう立ち」です[2]。とう立ちすると、葉や根が十分に育たなくなります[2]。そのため、幼い株を低温にあてない管理が大切だとされます[2]。
では、どれくらい冷えると花の準備が始まるのでしょうか。これは品種や育てる場所によって違うため、1つの数字で言い切ることはできません。幼い株を長く冷やさないことが、収穫を守る基本の考え方です。
寒さは糖を増やし、長く続くととう立ちも起こします。そんなコマツナは、どうして「小松菜」という名前なのでしょうか。最後に、名前の由来を見ます。
アブラナ科のハクサイ・ミズナ・コマツナ・チンゲンサイ・カブなどは、冬の低温にあたると、葉や根を作る成長から花を作る成長へ切りかわるとされる。これがとう立ちで、葉や根が十分に育たなくなる[2]。そのため、幼い株を低温にあてない管理が重要とされる。
では、どの程度の低温が、どれだけの時間で花芽分化を促すのか。これは品種や栽培環境によって異なり、単一の数値で一般化はできない。「幼い株に低温が一定期間続くと、成長の向きが切りかわりうる」という傾向として読むのが妥当だ。
低温は糖を増やす方向にも、とう立ちで収穫を損なう方向にも働く。前者は収穫直前の気温、後者は幼い株の低温時間と、条件が別である点が両立の鍵である。
5. 「こまつな」と いう 名前は、どこから きたの?
5. 「小松菜」という名前は、どこから来たのか
5. 小松川の菜と、将軍による命名伝承
「こまつな」は、むかし、江戸(いまの 東京)の 小松川という 村の まわりで 作られて いました。江戸川区の しょうかいでは、将軍が たかがりで この 村に きた とき、土地の 冬の 野菜の おすまし を 出した と つたえられます[5]。
将軍が 名前を たずねると、「名は ありません」と こたえたので、土地の 名前から 「こまつな」と よぶように 言われた と いわれます。それまでは、べつの よび名で よばれて いたそうです[5]。
ただし、名前を つけた 将軍は 八代の 吉宗と いわれる ことが 多い ものの、五代の 綱吉だと いう 話も あります[5]。つたえ話で、はっきり きまって いる わけでは ありません。
いまも 東京都で とれる こまつなの うち、4わりほどは 江戸川区の ものだと、区の しらべに あります[6]。
名前の由来には、こんな話が伝わっています。江戸川区の紹介によると、将軍が鷹狩りで小松川村を訪れたとき、この地の冬菜のすまし汁を出したところ、名前がないと答えたため、地名から「小松菜」と呼ぶように命じられた、といわれます[5]。それまでは「冬菜」と呼ばれていたそうです。
命名者は八代将軍吉宗とされることが多いのですが、五代将軍綱吉という説もあります[5]。これは伝承で、史料で確かめられた事実ではありません。
一方、江戸時代後期の地誌『新編武蔵風土記稿』には、「菜は東葛西領小松川辺の産を佳作とす。世に小松菜と称せり」とあります[5]。小松川の周辺で作られた菜が、すでに「小松菜」と呼ばれ、よいものと見られていたことが分かります。
東京都の令和5年産の収穫量6,465トンのうち、江戸川区は2,631トンで、約4割を占めるとされます[6]。2631を6465で割ると約0.41です。
名前の由来は、伝承と記録の二層で見る必要がある。伝承では、鷹狩りで小松川村を訪れた将軍に、この地の冬菜のすまし汁を出したところ、名がないと答えたため、地名から「小松菜」と呼ぶよう命じられた、と伝わる。それまでの呼び名は「冬菜」だった[5]。
命名者は八代将軍吉宗とされることが多いが、五代将軍綱吉という説もある[5]。複数の説があること自体が、史料で確定した事実ではなく伝承であることを示している。
確かな記録としては、江戸時代後期の地誌『新編武蔵風土記稿』に「菜は東葛西領小松川辺の産を佳作とす。世に小松菜と称せり」とある[5]。ここから分かるのは、小松川周辺の産が好まれ、すでに「小松菜」という呼び名が世間で通用していたことで、命名者までは分からない。
現在も、令和5年産の東京都の収穫量6,465トンのうち、江戸川区は2,631トン(約40%)を占める。東京都農作物生産状況調査を引く江戸川区の資料の数字で、2631÷6465≒0.41と一致する[6]。
6. お店で、こまつなの そだった ばしょを さがして みよう
6. 売り場で、こまつなの育ちを想像してみる
6. 季節と産地を手がかりに、自分の目で確かめる
おうちの 人と スーパーに 行ったら、こまつなの 売り場を 見て みましょう。パックには、どこで 作られたかが 書いて あります。おなじ こまつなでも、近くの 畑か、ほかの 県かで、育った 場所の 気温が ちがうと 考えられます。
やってみよう:ふゆの こまつなと、なつの こまつなを 見くらべて、葉の 大きさや 色を 見ます。あじが ちがうか、おうちの 人と 食べくらべても いいでしょう。味の かんじ方は 人に よって ちがうので、どちらが 正しい という ことでは ありません。
スーパーや八百屋で、コマツナの産地と、その日の気温を見くらべてみます。産地が違えば、育った場所の気温も違うと考えられますが、産地だけでは育ったときの気温までは分かりません。その気温の違いが、食べたときの印象とつながるかは、家の食卓で確かめることができます。
やってみよう:冬と夏にコマツナを一束ずつ買い、葉の大きさや色、茎の太さを見比べます。食べ比べるときは、同じ料理法にします。味の感じ方は人によって違うので、「どちらが正しい」ではなく、自分はどう感じたかを書いておきます。
家庭菜園ができる場合は、種袋の裏に書かれた「まく時期」を読んでみると、この記事で出てきた温度と照らし合わせる手がかりになります。
確かめる方法を2つ挙げる。第一に、季節ごとに店で売られているコマツナの産地を見比べる。産地が違えば育った場所の気温も違うと考えられるが、産地表示だけで気温の違いを断定することはできない。第二に、冬と夏にそれぞれ買って、葉の大きさ、色、茎の太さを見比べ、同じ調理法で食べ比べる。味の感じ方には個人差があるので、結果は自分の記録として扱う。
資料の入口としては、コメリの「コマツナの作り方」(出典[1])が、まく時期や間引きの目安を読みやすくまとめている。東京都の研究成果(出典[3][4])は、低温と糖・とう立ちの関係を、条件つきの数字で示している。江戸川区の紹介ページ(出典[5])は、名前の伝承と記録を区別して読む手がかりになる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:園芸の解説、研究機関のニュース、東京都の試験成績・研究成果、江戸川区の公式ページを使った。何に使ったかは項目の最後に書いている。農研機構・東京都・ALICのPDFのうち一部は、検索結果の要約で内容を確かめている。
- コメリ「コマツナの作り方」。https://www.komeri.com/contents/howto/html/03970.html (発芽・生育の適温、収穫までの日数、間引き)
- 農研機構 東北農業研究センター『東北農業研究センターニュース』44号。https://www.naro.go.jp/PUBLICITY_REPORT/publication/files/tohoku_news44p3.pdf (低温によるとう立ち)
- 東京都農林総合研究センター 試験成績。https://www.tokyo-aff.or.jp/uploaded/attachment/14430.pdf (花芽分化と低温の積算時間。1品種・人工気象器の値)
- 東京都農林総合研究センター 江戸川分場の研究成果。https://www.tokyo-aff.or.jp/uploaded/attachment/7077.pdf (低温期の糖の増加と成分の変化)
- 江戸川区「花と野菜の豆知識(こまつな)」。https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e032/shigotosangyo/jigyosha_oen/nogyo_suisan/hana_calendar/k/k_01.html (名前の伝承、新編武蔵風土記稿の記述)
- 江戸川区「農業・水産業のデータ」。https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e032/shigotosangyo/jigyosha_oen/nogyo_suisan/data.html (令和5年産の収穫量)
なおした ところ
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