1. どうして 氷は、湖の 下ではなく 上に できるの?
1. 氷はなぜ、湖の底ではなく表面にできるのか
1. 氷が表面から張るのはなぜか:真水が4℃付近で最も重い性質
ふゆの あさ、みずうみの ようすを 思いうかべて ください。つめたい 空気に ふれるのは 水の おもてです。でも、おもてが こおって、下の 水が のこるのは、水に ふしぎな せいしつが あるからです。
ふつうの 真水は、0℃ではなく、およそ 4℃の とき いちばん おもく なります。0℃に 近い つめたい 水は、4℃の 水より かるいので、上に うきます。さらに 氷も 水より かるいので、うきます[1]。
だから つめたく なった 水は 上に あつまって、おもてから こおります。氷が ふたに なって、その 下には 水が のこります。氷の 下の 水は、3〜4℃ほどだと いわれて います[2]。
ただし、これは 真水の はなしです。しおが まじった 水では、ようすが かわります。では、この つめたい 水の 中で、魚は なにを して いるのでしょう。
やってみよう。コップに 水を 入れて、小さな 氷を そっと 入れて みましょう。氷が うくか、しずむか、見て ください。ぎゅうにゅうパックの 氷でも かまいません。
冬の朝、凍った湖を想像してください。冷たい空気に触れるのは水面です。それなのに、氷が表面にでき、下に液体の水が残るのは、真水が持つ珍しい性質のおかげです。
水は冷やしていくと重くなっていきますが、凍る0℃ではなく約4℃で、密度が最も高くなります。4℃より冷たい水は4℃の水より軽いため、その上に浮かび、表面から凍ります。しかも氷は液体の水より軽いので、できた氷は沈まず浮いたままです[1]。
こうして氷がふたになり、その下には液体の水が残ります。氷の下の水温は、ふつう3〜4℃ほどと紹介されています[2]。魚にとっては、凍らない場所が残っていることになります。
ただし「4℃で最も重い」というのは真水の話で、塩分が含まれると変わります[1]。この記事は、氷が張る淡水の湖を中心に書きます。では、この冷たい水の中で、魚は何をしているのでしょう。
やってみよう。コップに水を入れ、氷を一つそっと入れてみましょう。氷が浮くのを観察し、水面から氷がどれくらい出ているかも見てみてください。冷たいので、長く触らないようにします。
結氷する湖の生きものを考えるとき、出発点になるのは「氷がなぜ上にできるか」である。水は温度を下げると収縮して密度が上がるが、真水は約4℃で密度が最大になり、さらに0℃へ冷えると密度はわずかに下がる。そのため、4℃より冷たい水は4℃の水の上に浮かび、水面から冷えて凍る。氷も液体の水より密度が小さいので浮く[1]。
この結果、氷が水面をふさぎ、その下には液体の水が残る。氷の下の水温は、ふつう3〜4℃ほどとされる[2]。底まで凍りつかない大きな理由は、氷が浮いてふたになり、それ以上の冷え込みを和らげることにある。結氷する湖で表層より湖底付近の水温が高くなる状態を、逆列成層(ぎゃくれつせいそう)と呼ぶ。これは純水の最大密度(3.98℃)に基づく説明である。
注意したいのは、この「4℃で最も重い」が真水の性質だという点である。塩分があると変わる[1]。湖と海を同じように考えない。
では、3〜4℃という冷たさは魚にとって何を意味するのか。わずか数℃の違いでも、魚の活動量や食べる量は変わるという[2]。次の章では、冬の魚がどう過ごすのかを見る。
家でできる確かめとして、コップの水に氷を一つ入れ、氷が浮くことを観察できる。氷が液体より軽い、という出発点を目で確かめられる。
2. 氷の 下の 魚は、ふゆの あいだ なにを して いるの?
2. 氷の下の魚は、冬のあいだ何をしているのか
2. 食べずに動かない冬:脂肪に頼るブルーギルと体重の減り方
氷の 下の 魚は、おもに じっと して、エネルギーを つかわない ように して いると いわれて います[2]。
水が つめたいと、魚は あまり 元気に うごけません。わずか 数℃の ちがいでも、うごく りょうや 食べる りょうが かわると いわれて います[2]。
びっくりするのは ここからです。たとえば ブルーギルという 魚は、ふゆの あいだ ずっと 食べない ことが あります。あきの うちに たくわえた しぼうを つかって すごすのです[2]。カワカマスや ブルーギルは、ふゆに 体重が へる ことも あると されます[2]。
でも、ぜんぶの 魚が 食べないわけでは ありません。魚の しゅるいで ちがいます。
じっと して いても、息は つづけなければ なりません。氷の ふたの 下で、息は できるのでしょうか。
冬の魚の暮らしの基本は、動かずに、エネルギーを使わないことだと説明されています[2]。水温が低いと、わずか数℃の違いでも、魚の活動量や食べる量が変わるといいます[2]。
驚くのは食事です。ブルーギルのように、冬のあいだずっと何も食べず、秋に蓄えた脂肪でやりくりする魚がいます。カワカマスやブルーギルは、冬のあいだに体重が減ることもあるそうです[2]。秋に蓄えた脂肪を使うためと考えられます。
ただし、これは魚の種類によります。「氷の下ではすべての魚が食べない」とは言えません。冬眠と同じ状態だと決めつけることも避けたほうがよさそうです。
この話は主に、米国ウィスコンシン大学の湖沼学センターの解説にもとづきます。日本の湖の魚で同じことが確かめられているかは、この記事の範囲では分かりません。動かず、食べず、じっと待つ。そのとき一番の課題になるのは、息のもとの酸素です。
水温が3〜4℃ほどの氷の下で、魚は何をしているのか。UW–Madison湖沼学センターの解説では、冬の魚はじっと動かず、エネルギーを使わないようにして過ごす。水温が数℃違うだけでも活動量や摂食量は変わる[2]。魚は変温動物なので、水温が下がるほど代謝は落ち、少ない餌と少ない動きで釣り合う、と読める。
極端な例がブルーギルで、冬じゅう餌を食べず、秋に蓄えた脂肪に頼ることがある。カワカマスやブルーギルは冬に体重が減ると述べられている[2]。冬の体重減少には、脂肪などの蓄えを使う場合があると考えられる。
ただし、この記述は魚種ごとの話で、すべての魚が食べないわけではない。「冬眠」とひとまとめにするのも避けるべきである。また、この例は米国の大学の解説に基づくので、日本の湖にそのまま当てはめることはできない。日本の魚について、氷の下の行動を直接調べた日本語の公的資料は、今回の調査では取得できなかった。
省エネで動かずに過ごしても、呼吸は止められない。氷でふたをされた湖で、酸素はどう保たれるのか。ここが魚にとっての課題の一つになる。
3. 氷の ふたの 下で、魚は 息が できるの?
3. 氷のふたの下で、魚の息はつづくのか
3. 酸素の補給が減る冬:氷と雪、浅い湖ほど不利になる理由
氷が はると、空気から 水に とけこむ さんそが、ほとんど なくなります。とくに みずうみの そこは、さんそが すくなく なりやすい と されます[3]。
もう ひとつ あります。氷の 上に 雪が つもると、光が とどきにくく なります。水の 中の 水草や もなどは、光を うけて さんそを つくります。光が へると、さんそも つくられにくく なります[4]。
とくに あさい みずうみでは、さんそが たりなく なって、魚が たくさん しんで しまう ことが あると いわれます。ひがいの おおきさは、みずうみの ふかさや 雪の りょうで かわります[4]。
びわ湖のように、ふつうは こおらない 大きな 湖では、ふゆに 水が ぜんぶ まざり、そこにも さんそが もどる ことが あります。れいねんは 2月の はじめから なかごろに 見られると いいます[5]。
こおる 湖では、そんな ふゆを こえる 魚が います。その 一つが ワカサギです。
氷が張ると、空気から水に溶け込む酸素はごくわずかになります。とくに湖の底は、酸素が少なくなりやすいと説明されています[3]。
さらに雪の存在も関わります。氷の上に雪が積もると光が弱くなり、水草や藻などが酸素を作りにくくなる場合があります。枯れた植物が分解されるときにも酸素が使われます[4]。
浅い湖ほど酸素不足になりやすく、冬に魚が多く死ぬこと(ウィンターキル)が起きる場合があります。被害の大きさは湖の深さや雪の量で変わるため、数字では示しません。
対照的な例が琵琶湖北湖です。ここは通常は全面結氷しない湖で、春から秋は水の層が分かれて底の酸素が減り、晩秋に最も少なくなります。冬に表面が冷えると湖全体が混ざり(全層循環)、底に酸素が戻ります。例年2月上旬から中旬ごろに確認されるそうです[5]。結氷する湖と、混ぜて酸素を戻す湖とでは、冬の仕組みが違うことになります。
酸素の条件が厳しい中で冬を過ごす魚の一つが、ワカサギです。次の章で、氷の下の様子と人との関わりを見ます。
氷が水面をふさぐと、大気から水へ入る酸素はごくわずかになり、とくに湖底で酸素が乏しい[3]。これが氷の下の魚にとっての制約の一つである。
制約は酸素の供給だけではない。雪が氷の上に積もって光をさえぎると、水草や藻などが酸素を作りにくくなる場合がある。さらに、枯れた植物の分解で酸素が使われる[4]。そのため、浅い湖ほど酸素が足りなくなりやすく、冬の魚の大量死(winterkill)の原因になる。被害の程度は湖の深さや積雪で変わるため、ここでは数値を挙げない。
結氷しない湖は事情が違う。琵琶湖北湖では、春〜秋は水温躍層(水温が急に変わる層)のために底層の酸素が減り、晩秋に最低になる。冬に表層が冷えると湖全体が混ざる全層循環(ぜんそうじゅんかん)が起こり、底層へ酸素が戻る。例年2月上旬〜中旬に確認され[5]。結氷湖と混ざる湖を同じものとして扱わないことが大切である。
低温で代謝が落ちる魚は、酸素の必要量も小さくなる、と考えたくなる。しかし、出典に直接そう書かれているわけではないので、ここでは仮説として扱うにとどめる。では、氷の下で実際に人が出会う魚はどうなのか。ワカサギを例に見る。
4. ワカサギは、氷の 下で どんな ふうに くらして いるの?
4. ワカサギは、氷の下でどう暮らし、どう獲られるのか
4. 氷下ひき網漁とワカサギの群れ:確かなことと、まだ分からないこと
ほっかいどうの あばしりこでは、氷が はった 湖の 上に あなを あけて、氷の 下で あみを ひく、ワカサギの りょうが おこなわれて います。ひょうかひきあみと いいます。1月から 3月ごろが りょうの じきです[6]。
ワカサギは、水の 温度や しおの こさが かわっても へいきで、にごった 水にも 強い 魚だと されます[6]。
ワカサギは、ひるまは むれで うごき、よるは むれを ほどいて ちらばる ことが、魚の むれを 見つける きかいの しらべで わかりました[7]。ただし これは、ふゆだけの はなしでは ありません。
むれが どの みちを とおって まわるのかは、まだ ほとんど わかって いません[7]。
ほっかいどうでは、氷の 上での ワカサギつりが、ふゆの ふうぶつしとして しょうかいされて います[6]。
北海道の網走湖では、結氷した湖面に穴をあけ、氷の下で網を引く氷下ひき網漁が行われています。漁期は1〜3月です[6]。ワカサギは、水温や塩分に対する適応範囲が広く、濁りにも強い魚で、北海道の湖や川にすんでいます[6]。
では、ワカサギは氷の下でどんなふうに過ごしているのでしょうか。群馬県水産試験場の魚群探知機を使った調べでは、日中は群れで行動し、夜は群れを解いて散らばることが分かりました。群れはプランクトンのやや下の層を回遊することが多いものの、回遊ルートの決まり方はほとんど分かっていないとされます[7]。
ここで注意したいのは、この観察が冬に限った話とは書かれていないことです。氷の下の何℃の層に、どの深さで暮らすのかなどは、今回の資料からは述べられません。ワカサギについても、分かっていないことがまだ多いのです。
冬の湖に穴をあけて釣る「氷上のワカサギ釣り」は、北海道で冬の風物詩として紹介されています[6]。氷の下の魚の暮らしを、人が長く見つめてきたことが分かります。
結氷湖の魚の実例として、ワカサギがある。北海道庁の水産ウェブ図鑑によれば、ワカサギは水温・塩分の適応範囲が広く濁りにも強いため、北海道の湖や川にすむ。網走湖では、結氷した湖面に穴をあけ、氷の下で網を引く氷下ひき網漁が行われ、漁期は1〜3月とされる[6]。
氷の下で、ワカサギはどう過ごしているのか。群馬県水産試験場は魚群探知機で調べ、日中は群れで行動し、夜は群れを解いて分散することを報告している。群れはプランクトンのやや下の層を回遊することが多いが、回遊ルートの決まり方はほとんど分かっていない[7]。この観察は冬に限ったものとは明記されていないので、「氷の下の行動」として一般化することは避けた。
氷の下の水温や水深ごとの過ごし方は、資料からは述べられない。ここは今後調べる余地が残る点である。
人の側では、北海道で氷上のワカサギ釣りが冬の風物詩として紹介されている[6]。冬の湖の魚は、省エネで過ごし、酸素の条件に左右されながら、人とも関わっている。
5. 氷の 下の 魚を、もっと 知るには?
5. 氷の下の魚について、次に調べてみたいこと
5. 氷の下の魚を調べる入り口:確かめられる実験と原典
氷の 下の 水と 魚の ことを、じぶんで たしかめる ほうほうが あります。まず、家で コップの 氷が うく ようすを 見る こと。それから、近くの 池や 湖に いく 人は、ふゆの 水面の ようすを よく 見て みましょう。氷の 上には 立たず、岸から 見ます。
ワカサギの りょうや 氷の 上の つりは、北海道の ページで しらべられます。魚は、しゅるいに よって ふゆの すごしかたが ちがいます。どんな 魚が ちがう すごしかたを するのか、ずかんで しらべて みるのも いいですね。
家でできる確かめは、コップの氷が浮く様子を見ることです。冷凍庫の氷と水で、氷が水に浮く様子を観察できます。池や湖の近くに行く人は、冬に水面の様子を岸から観察してみましょう。氷の上には乗りません。
資料で調べるなら、ワカサギ漁や氷上釣りは北海道庁の水産ウェブ図鑑、ワカサギの群れの観察は群馬県水産試験場のページがあります。氷の下の酸素や魚の行動は、ウィスコンシン大学のブログが詳しいですが、英語なので、興味があれば大人と読んでみてもよいでしょう。
確かめの入り口は2つある。1つは身近な実験で、コップの水に氷を入れて浮くことを観察する。氷が液体より軽いという、結氷湖の出発点を目で確かめられる。もう1つは、凍らない琵琶湖と、凍る湖の違いを比べることである。冬の湖がどう混ざるかで、底の酸素の事情は変わる[5]。
原典に当たるなら、水の密度はUSGS、氷の下の魚の行動と酸素はUW–Madison湖沼学センターのブログ、ワカサギは北海道庁と群馬県水産試験場の資料がある。日本の結氷湖(網走湖、諏訪湖など)での氷下の溶存酸素や越冬行動を、日本語の公的資料で確かめられるかが、次の宿題になる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
湖の氷、魚の冬の過ごし方、酸素、ワカサギについて参照した資料です。英語の資料は大人と一緒に読んでください。
- USGS Water Science School「Water density」 https://www.usgs.gov/special-topics/water-science-school/science/water-density (真水が約4℃で最も重いこと・氷が浮くこと)
- UW–Madison Center for Limnology「What Do Fish Do Under the Ice?」 https://blog.limnology.wisc.edu/2016/12/30/winter-redux-what-do-fish-do-under-the-ice/ (氷の下の水温・魚の省エネと絶食)
- UW–Madison Center for Limnology「How Do Fish Live Under the Ice?」 https://blog.limnology.wisc.edu/2015/01/30/fish-fry-day-how-do-fish-live-under-the-ice/ (氷の下の酸素)
- Minnesota DNR「Winterkill」 https://www.dnr.state.mn.us/areas/fisheries/hutchinson/winterkill.html (雪・光合成・酸素不足)
- 滋賀県 琵琶湖環境科学研究センター資料 https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5170373.pdf (琵琶湖北湖の全層循環)
- 北海道庁 水産ウェブ図鑑「ワカサギ」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/gid/fis013.html (氷下ひき網漁・氷上釣り)
- 群馬県水産試験場「ワカサギ」 https://www.pref.gunma.jp/07/p15200024.html (ワカサギの群れの行動)
なおした ところ
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