1. びんの うらを 見ると、なにが ちがうの?
1. ラベルの原材料を読むと、何が違うのか
1. 原材料表示に現れる違い ── 酒類か、糖類を主体とする調味料か
まず、いちばん だいじな ちがいから です。「ほんみりん」は、もち米と 麹と 焼酎など から つくる お酒です。お酒の 強さを あらわす アルコール分は、13〜14度くらいです[1]。
「みりんふう ちょうみりょう」は、ぶどうとうや 水あめの ような あまい ものに、すっぱい あじや、かおり、うまみを たして つくります。アルコールは ほとんど 入って いません[3]。1度より 少ないものが、ほとんどです[1]。
お酒かどうかで、ねだんの 決まり方も かわります。この記事を 書いた 2026年10月の 時点では、ほんみりんは 10%、みりんふうは 8%の 消費税です[1]。ぜいりつは、決まりが かわれば かわります。
では、ほんみりんの あまさは どこから 来るのでしょう。むかしながらの つくり方では、さとうを 入れなくても、あまいのです。
棚の前で見分けるいちばん簡単な手がかりは、原材料の欄です。本みりんは、もち米・米麹・焼酎(または醸造アルコール)を原料とする酒類で、アルコール分は13〜14度ほどあります[1]。
一方、みりん風調味料は、ブドウ糖や水あめなどの糖類に、酸味料・香料・うま味調味料などを加えて作られ、アルコールはほとんど含みません[3]。
酒類かどうかは、税にも表れます。本みりんは酒類なので標準税率の10%、みりん風調味料のほとんどは軽減税率の8%です(2026年10月時点。制度が変われば変わります)[1]。同じ「みりん」の名がついていても、制度の上では別のものとして扱われているわけです。
では、伝統的な作り方では砂糖を加えない本みりんの甘さは、どこから来るのでしょうか。
原材料欄を見ると、両者の出発点が違うことが分かる。本みりんは、もち米・米麹・焼酎(または醸造アルコール)を原料とする酒類で、アルコール分は約13〜14度ある[1]。これに対し、みりん風調味料は、ブドウ糖や水あめなどの糖類に酸味料・香料・うま味調味料などを加えたもので、アルコールはほとんど含まない[3]。
酒類か否かは、税の扱いにも直結する。酒類である本みりんは標準税率の10%、アルコール分1度未満のものがほとんどであるみりん風調味料は軽減税率の8%の対象である(2026年10月時点。税率は制度改正で変わりうる)[1]。なお、本みりんの14度ほどという数字は商品によって幅があり、あくまで目安である。
伝統的な製法では砂糖を加えなくても本みりんが甘いのは、なぜか。ここに、両者の作り方の違いがある。
2. ほんみりんの あまさは、どこから 来るの?
2. 砂糖なしで甘くなる、米麹の働き
2. 米麹の酵素が作る糖の組成 ── 砂糖との違い
ほんみりんの あまさの もとは、麹です。むした もち米に 麹と 焼酎を まぜて、30〜60日ほど おくと、麹の 力で、米の でんぷんが あまい ものに かわって いきます[3]。
できあがった ほんみりんの 45%ほどが、あまい ものです[2]。100gなら、45gぐらいです。その うちの 8わりが ぶどうとうなので、ぶどうとうだけで 36gほどに なります(目安の 計算です)。
さとうは、ひとつの あまい ものだけで できて います。ほんみりんは、ぶどうとうの ほかにも、いろいろな あまい ものが まざって います[2]。さとうの あまさと くらべると、やわらかい あまさだと いわれます[3]。
あまい だけでは ありません。米の たんぱくしつが こわれて できた うまみも、ふくまれます[2]。さて、この あまさと アルコールは、おりょうりで どんな しごとを するのでしょう。
本みりんの甘さを作るのは、米麹の酵素です。蒸したもち米に麹と焼酎を加え、30〜60日ほどかけて糖化・熟成させるのが伝統的な作り方です[3]。酵母が糖をアルコールに変える「発酵」が主役のお酒とは違い、麹の酵素でデンプンを糖に変えるところが中心になります。
宝酒造の資料によると、本みりんの約45%は糖分です[2]。100gあたり約45gです。そのうち約8割がブドウ糖なので、ブドウ糖だけで約36gの計算になります(商品によって幅のある目安です)。残りは二糖類・三糖類・オリゴ糖などです。
砂糖(スクロース)は一種類の糖だけでできていますが、本みりんにはいろいろな糖が混ざっています[2]。砂糖とは違う、米由来のやわらかな甘みといわれるのは、この違いが一因かもしれません[3]。
糖だけではありません。アミノ酸やペプチドは、もち米や米麹のたんぱく質が酵素で分解されてできたものが主体で、有機酸は乳酸が中心です。白麹を使うとクエン酸が多くなり、魚や肉の臭み消しに向くとされています[2]。では、こうした成分は煮物で、どう働くのでしょうか。
本みりんの甘さを作るのは、米麹の酵素による糖化である。蒸したもち米に麹と焼酎を加え、約30〜60日かけて糖化・熟成させるのが伝統的な製法で[3]、酵母がアルコールを作る一般的な「発酵」よりも、麹のアミラーゼなどでデンプンを糖に変える過程が中心になる。大手には、醸造用アルコールと水あめなどを使って短期間で仕上げる簡略な製法の製品もあるとされる[3]。
宝酒造の資料では、本みりんの約45%が糖分で、そのほとんどは米麹の働きによる。糖の約8割はブドウ糖、残りは二糖類・三糖類・オリゴ糖などである[2]。単純に計算すると、100gあたり糖が約45g、うちブドウ糖が約36gということになるが、商品によって数値に幅がある。砂糖(スクロース)が単一の成分であるのに対し、本みりんの糖は複数の種類の混合物である点が大きな違いで、「米由来のやわらかな甘み」と表現される背景にはこの組成の差があると考えられる[3]。ただし、甘みの感じ方をこの組成だけで説明できるかは、資料からは言い切れない。
窒素成分のアミノ酸・ペプチドは、もち米や米麹のたんぱく質が酵素で分解されたものが主体で、有機酸は乳酸が主である。白麹を使うとクエン酸が増え、魚や肉の臭み消しに向くとされる[2]。糖とアミノ酸、有機酸を併せ持つことが、単なる甘味料とは異なる点である。では、煮物の中で糖とアルコールは、それぞれ何をしているのか。
3. にものでは、あまさと アルコールが べつべつに はたらく?
3. 小豆の実験で分かった、糖とアルコールの役割分担
3. 小豆の蜜煮の実験が示した、糖とエタノールの対照的な作用
おりょうりの 先生たちが、小豆を あまく にる じっけんを しました[4]。小豆を にる とき、にくずれると、ぼろぼろに なって しまいます。
この じっけんでは、にくずれを ふせいで いるのは、あまい ぶぶんだと 考えられました。アルコールは、むしろ 小豆を やわらかくする はたらきが ありました[4]。
ほんみりんには あまい ぶぶんも アルコールも 入って います。だから、にくずれを ふせぎながら、やわらかい 豆に にあがると いわれて います[4]。ほんみりんだと、てりと つやも 出たそうです[4]。
ただし これは 小豆での じっけんです。おさかなや おにくの にものも、おなじ けっかに なるとは かぎりません。
日本調理科学会誌に載った2004年の小豆の蜜煮の実験が、この違いを考える手がかりになります[4]。小豆を砂糖液で煮ると、煮崩れや、成分が煮汁へ溶け出すことが問題になります。この研究では、成分の溶け出しを抑えて煮崩れを防ぐのは糖だと示唆されました。一方、エタノール(アルコール)には、小豆の軟化を促進する働きがありました。
つまり、糖は煮汁への成分の溶け出しを抑えて煮崩れを防ぎ、アルコールは小豆を柔らかくする働きをした、と考えられます。糖とエタノールの両方を含む本みりんを使うと、煮崩れを防ぎつつ柔らかい豆に仕上がることになります。本みりんによる、てり・つやの付与も確認されました[4]。
みりん風調味料にはアルコールがほとんど入っていないため、本みりんと同じ効果はないとされます[3]。ただし、この結果はあくまで小豆の蜜煮の実験のものです。魚や肉の煮物にそのまま当てはまるとは限りません。
家庭では、本みりんの効果として「照り・つや」「煮崩れ防止」「魚や肉の臭みを抑える」「味のしみ込みを促す」の4つがよく挙げられます[3]。このうち、臭み消しや味のしみ込みにアルコールがどう働くのかは、メーカーの説明にとどまり、仕組みは断定されていません。
小豆の蜜煮を題材にした日本調理科学会誌37巻4号の研究(2004年)は、本みりんの成分のうち何が煮物に何をするのかを切り分けた数少ない報告である[4]。小豆の蜜煮は、渋切りを経て糖液で煮るため、煮汁への成分の溶出と煮崩れが品質を左右する。この実験では、煮汁へ溶け出す成分を抑えて煮崩れを防ぐのは糖であると示唆された。他方、エタノールは軟化を促進するとされた。
この二つの作用は、同じ方向を向いていない。糖は組織を保ち、エタノールは組織を柔らかくするため、両方を含む本みりんは、煮崩れを防ぎながら柔らかい豆に仕上げる。てり・つやの付与も確認された[4]。みりん風調味料は糖類が主体でアルコールをほとんど含まないため、本みりんと同じ効果はないとされる[3]。
ただし、条件には注意が必要である。この結果は小豆の蜜煮という一つの調理系での実験であり、魚や肉の煮物に同じ結果がそのまま当てはまるとは限らない。本みりんの効果として一般に挙げられる「照り・つや」「煮崩れ防止」「臭みを抑える」「味のしみ込み促進」のうち[3]、アルコールが臭み消しや浸透に働く仕組みは、メーカー側の説明にとどまる。糖とアルコールの分業が、食材ごとにどこまで成り立つかは、今後も検証される余地がある。
4. もう ひとつ、「みりんタイプ」って なに?
4. 第三の「みりんタイプ」と、見分け方
4. みりんタイプの発酵調味料 ── 酒税法の対象外になる理由
お店には、もう ひとつ、「みりんタイプ」と 書かれた びんも あります。これは アルコールが 14度ほど 入って いるのに、しおを 入れて、のめない あじに して あります[3]。
のめない お酒は、お酒の 決まりの たいしょうに ならなく なります。だから、ほんみりんより ねだんが 安く なりやすいのです[3]。
つまり みりんの なかまは、3つです。お酒の ほんみりん、アルコールが ほとんど ない みりんふう、しおを 入れた みりんタイプです。びんの 名前と ざいりょうを 見れば、どれか 分かります。
実は、棚には三つ目の仲間もいます。「みりんタイプ」などと書かれた発酵調味料です。アルコール分は14度ほどありますが、食塩を加えて飲用に適さなくしてあり、酒税法の対象外になります。そのぶん、本みりんより割安です[3]。
整理すると、三つの違いは次のとおりです。本みりんは、酒類で、糖とアルコールの両方を持つもの。みりん風調味料は、アルコールがほとんどない糖類主体のもの。みりんタイプは、アルコールは本みりん並みでも、食塩入りで酒税法の外にあるもの、です[3]。
名前が似ているため、ラベルの名称と原材料欄を見るのが確実です。「本みりん」の表示があるか、原材料に食塩が入っているかで、見分けがつきやすくなります。ただし、表示の細かい決まりまでは、この記事の資料からは分かりません。
市販品には、もう一つの類型がある。みりんタイプの発酵調味料である。アルコール分は本みりんと同程度の14度ほどだが、食塩を加えて飲用に適さなくしてあるため、酒税法の対象外となる。その分、本みりんよりも割安である[3]。
三者を整理すると、原料と制度の位置づけが対照的になる。本みりんは、米麹による糖化を経た酒類で、糖とアルコールを併せ持つ。みりん風調味料は、糖類を主体にアルコールをほとんど含まない。みりんタイプは、アルコールを持つが、食塩によって酒税の対象から外れている[3]。同じ「みりん」の名でも、アルコールの有無と税の扱いは、組み合わせが異なる。
前節の実験を踏まえれば、アルコールを持つか否かは、煮物での働き方にも関わりうる。ただし、みりんタイプ自体を扱った実験は、この記事の資料にはない。なお、メーカーによって配合は異なる。
5. むかしの みりんは、なにに つかわれたの?
5. 飲む酒だったみりんは、いつ調味料になったのか
5. みりんは飲む酒から調味料へ ── 守貞漫稿に残る蒲焼の使い方
むかしの みりんは、のむ ための 高い お酒だった と いわれます[3]。みりんの はじまりには、せんごくじだいに 中国から つたわった あまい お酒の せつと、日本で うまれたという せつが あります。
えどじだいの おわりごろの 本、守貞漫稿には、うなぎの かばやきを 売る人が、しょうゆに みりんを まぜて いた きろくが あります[3]。いまの たれの ような つかい方が、そのころから あったのです。
みりんの由来には諸説あります。戦国時代に中国から伝わった甘い酒「蜜淋」が起源だという説と、白酒などに焼酎を加えて日本で生まれたとする説です。最初は、飲むための高級な酒でした[3]。
調味料としての使い方を示す手がかりに、江戸後期の『守貞漫稿』があります。うなぎの蒲焼を売る人が、しょうゆにみりんを混ぜていたという記録です[3]。今のたれのような使い方が、すでに見られます。
酒として始まった本みりんと、成分や制度の異なるみりん風調味料。同じ名前でも、成分も制度も違う、と分かった上で選べば、料理に合わせた使い分けもしやすくなります。
みりんの起源には諸説ある。戦国時代に中国から伝わった甘い酒「蜜淋」が元だとする説と、白酒などに焼酎を加えた日本誕生説である。当初は飲むための高級酒だった[3]。調味料としての利用を示す記録に、江戸後期の『守貞漫稿』があり、うなぎの蒲焼売りがしょうゆにみりんを混ぜていたとされる[3]。
この来歴を踏まえると、本みりんは「酒として始まり、調味料へ広がったもの」、みりん風調味料は「糖類などを主体とするもの」と見ることができる。
身近に試すなら、家のみりんのラベルを見比べ、蒲焼のたれのような江戸の使い方と、今の煮物や照り焼きでの使い方を重ねてみるとよい。原典の『守貞漫稿』にあたれば、記録の細部も分かる。
6. うちの みりんの びんを 見て みよう
6. 家のみりんのラベルを読んでみる
6. 家庭のみりんのラベルから確かめられること
おうちに みりんが あったら、びんの うしろの ラベルを、おうちの 人と 見て みましょう。「ほんみりん」と 書いて あるか、「みりんふう ちょうみりょう」か、「みりんタイプ」か、さがします。
つぎに、「げんざいりょう」の ところを 見ます。もち米や 焼酎と 書いて あるか、ぶどうとうや 水あめと 書いて あるか、しおと 書いて あるかが、手がかりです。アルコールの 数字も、のって いるかもしれません。
びんは 手で もつので、おとさないように 気を つけて ください。
家に何種類かみりんがあれば、ラベルを見比べてみてください。名称が「本みりん」か「みりん風調味料」か「みりんタイプ」かをまず確かめ、次に原材料欄を読みます。もち米・米麹・焼酎などが並んでいるか、ブドウ糖や水あめ、酸味料が並んでいるか、食塩が入っているかで、この記事の三つの型のどれに当たるかが推測できます。
アルコール分の表示や、値段、税込価格の内訳が分かれば、それも見てみましょう。レシートに税率が表示されていれば、この記事で出てきた違いと見比べてみましょう。瓶の取り扱いには気をつけてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
税率は2026年10月時点の説明にもとづく。成分の数値は商品によって幅がある目安。
- 税研 コラム「みりんとみりん風調味料」 https://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/column/01/ (アルコール分・税率の違い)
- 宝酒造 調味料の知識「本みりんの成分」 https://chomiryo.takarashuzo.co.jp/knowledge/detail/108 (糖の割合・アミノ酸・有機酸)
- nippon.com にっぽん食べ物図鑑 https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c15339/ (作り方・効果・みりんタイプ・歴史)
- 日本調理科学会誌 37巻4号「小豆の蜜煮と本みりん」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/37/4/37_375/_article/-char/ja/ (糖とエタノールの働き)
なおした ところ
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