このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ごみぶくろも ごみの しゅうしゅうしゃも みえない まちの ごみは、どこへ いくの?

ごみ置き場も収集車も見えない街では、ごみをどう運んでいたのか

ニュータウンの地下の管路収集 ── 空気で吸うごみ輸送は、なぜ各地で役目を終えたのか

分野:技術

おうちの そうじきと おなじ しくみで、まちの ごみを ちかの くだに すいこむ ところが ありました。さいしょの ものは 1961ねんに スウェーデンの びょういんで うごきはじめ、いまも うごいて いると いわれます。

ごみぶくろも、ごみを あつめる くるまも みえない まちは、どうして うまれたのでしょう。そして、なぜ やめた まちが おおいのでしょう。この きじを よむと、その わけと、いまも うごいて いる とうきょうの ばしょが わかります。

建物の投げ入れ口にごみを入れると、地下の管を通って収集センターまで運ばれていく街がありました。家庭用の掃除機と同じ原理で、街じゅうのごみを吸いこむしくみです。いちばん古い設備は1961年にスウェーデンの病院で動き始め、今も動いているとされます。

ごみ袋もごみ収集車も見えない街は、どうして生まれたのでしょうか。そして、日本では、なぜ各地で役目を終えたのでしょうか。この記事を読むと、そのしくみと廃止の理由、今も東京の台場で動いていることが分かります。

家庭用掃除機と同じ原理で、ごみを地下の管に吸いこむ「管路収集」がある。最初の設備は、スウェーデンの病院で1961年に動き始め、今も稼働しているとされる[3]。

日本でも、ニュータウンや埋立地の新しい街に導入されたが、多くは廃止された。何が便利で、なぜ続かなかったのか。この記事を読むと、仕組みと廃止の理由、今も台場で使われていること、導入と廃止を分けた条件が分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. ごみおきばが ない まちって、ふしぎだよね

1. ごみ袋を持って歩いても、置き場が見つからない街

1. 「ごみ袋も収集車も見えなくなる」はずだった街

あさ、ごみぶくろを もって でかけても、まちかどに ごみおきばが ありません。ごみを あつめる くるまも、はしって きません。

そんな まちが、にほんにも ありました。ごみは、たてものの なかの いりぐちから ちかの くだに すいこまれて いたのです。くだの なかを、くうきの ながれが ごみを はこびます。

いまの おうちの そうじきと おなじ かんがえかただと いわれて います[2]。

朝、ごみ袋を持って出かけても、街角にごみ置き場が見当たらない。ごみを集める車も走ってこない。日本には、そんなニュータウンがありました。

ごみは、建物の中にある投げ入れ口から、地下の管に吸いこまれていたのです。この方式は「管路収集」や、空気で運ぶので「真空式」などと呼ばれます。利用者は24時間いつでもごみを入れられ、ごみは密閉された装置にたまるので、衛生面でもすぐれるとされます[1]。

特許文献には、家庭用の掃除機と同じ原理だと書かれています[2]。では、掃除機のように吸いこまれたごみは、そのあとどこへ行くのでしょうか。

管路収集(真空式ごみ収集)は、建物内のごみシュートと集積所を管で結び、集積所側から管内の空気を吸引して、ごみを気流に乗せて運ぶ仕組みである。利用者は24時間いつでも投入でき、ごみは密閉された装置に保管されるため、衛生面で優れるとされる[1]。

特許文献には、これが家庭用掃除機と同じ原理だと書かれている[2]。日本では、ごみ袋と収集車が見えなくなる「夢のシステム」と報じられた[5]。

では、吸いこまれたごみは、終点でどう処理されるのか。

2. すいこまれた ごみは、そのあと どうなるの?

2. 吸いこまれたごみは、終点でどうなるのか

2. 終点の収集センターで、ごみと空気はどう分けられるか

くだの おわりには、しゅうしゅうセンターが あります。ここで、ごみと くうきを わけます。

ごみは、いったん そうちに ためられて、そのあと しょうきゃくじょうなどへ はこばれます[2]。

そうじきの なかで、ごみが ふくろに たまり、くうきだけが でて くるのと にて います。ただし、ほんものは、まち ぜんたいに のびる ながい くだです。

管の終点には収集センターがあり、分離機でごみと空気を分けます。ごみは装置にいったんためられ、そのあと焼却場などへ運ばれます[2]。

掃除機の中で、ごみが紙パックに残り、空気だけが出ていく様子とよく似ています。ただし、掃除機は部屋の中の話で、こちらは街全体にのびる管の話です。

管の中の空気の速さや、運べる距離は、資料によって数字に幅があります。海外の説明では、時速50〜70km、およそ2km先までなどと紹介されています。設備によって異なる目安です。

こうしたしくみは、最初から街のために作られたのでしょうか。

終点の収集センターでは、ごみと空気を分け、ごみは貯留装置にいったんためられ、焼却場などへ運ばれる[2]。ごみ処理は、この終点で、通常の収集車による運搬とつながっている。

管内の風速と輸送距離については、時速50〜70km、最大およそ2kmなど、海外の説明に幅がある。設備によって異なる目安である。

なお、管路収集では、ごみと空気を分ける工程も施設の一部となる。収集車を減らせても、施設を作って動かし続ける負担は残る。この点は、後の廃止の理由につながる。

この仕組みはどこから来たのか。

3. さいしょの くだは、どこで うまれたの?

3. 病院から住宅地へ、そして日本のニュータウンへ

3. 病院の設備が、住宅地と日本のニュータウンに広がるまで

この しくみを つかえる ものに した かいしゃは、スウェーデンの エンバックと いう かいしゃです。さいしょの せつびは、1961ねん、スウェーデンの びょういんで うごき はじめました。いまも うごいて いると いわれます[3]。

その あと、いえの ごみを あつめる せつびも、1960ねんだいに スウェーデンの あたらしい じゅうたくちに できたと されます[4]。

にほんでは、1983ねんに とうきょうの たまセンターで うごき はじめました。ごみを ぜんぶで 6.5キロメートルの くだで あつめたと、しんぶんが つたえて います[5]。

この方式を実用化した会社は、スウェーデンのエンバック(Envac)です。同社は、最初の設備が1961年にソルレフテオの病院で動き始め、今も稼働していると述べています[3]。病院は、ごみをにおわせず、人の手をなるべく通さずに運びたい場所です。そこで生まれたのは、うなずける気がします。

家庭ごみ向けの設備は、1960年代にスウェーデンの新しい住宅地に設置されたとされます。これは英語版Wikipediaに書かれている情報で、年は資料によって異なる場合があります[4]。

日本では、1970〜90年代に、全国10か所以上で導入されたと報じられています。東京都多摩市の多摩センター地区(82ヘクタール)では、1983年に約50億円をかけて稼働しました。2007年の新聞記事によると、約600か所のダストシュートなどから出たごみが、総延長6.5kmの金属管を通って収集センターに集められたとされます[5]。

これは新聞記事を紹介したブログの内容で、数字は「そう報じられた」ものです。それほど期待された街で、なぜ設備は続かなかったのでしょうか。

この方式を実用化したEnvac(エンバック、スウェーデン)は、最初の設備が1961年にソルレフテオ(Sollefteå)の病院で運転を始め、今も稼働していると述べる。同社は、6大陸に1,000か所超の設置があるとも述べている[3]。いずれも同社の自己申告である。病院は、衛生を保ち、人の手を減らしたい場所なので、技術が最初に生まれる場所として自然に見える。

家庭ごみ向けの最初の設備は、1960年代に、スウェーデンの新しい住宅地(Ör-Hallonbergen)に設置されたとされる。この記述は英語版Wikipediaによるもので、年は資料によって異なる場合があるため、「1960年代」にとどめる[4]。

日本では、2007年1月の新聞記事が、1970〜90年代に全国10か所以上で導入されたと伝えている。そのひとつ、東京都多摩市の多摩センター地区(82ヘクタール)は、1983年に約50億円をかけて稼働した。2007年の新聞記事によれば、約600か所のダストシュートなどから出たごみが、総延長6.5kmの金属管を通って収集センターに集められた[5]。

この資料は新聞記事を紹介したブログで、一次資料ではない。数字は報じられた値として扱う。大きな投資をした街ほど期待は大きかったはずなのに、2007年の記事は、すでに廃止が相次いでいると伝えていた。

4. どうして やめた まちが おおいの?

4. 夢のシステムは、なぜ各地で役目を終えたのか

4. 横浜市の廃止理由に見る、分別の時代とのずれ

よこはましでは、ぶんべつが すすんだことなどが、やめた りゆうに なりました。いまは、もやす ごみ、ペットボトル、かんなどを わけて だします。ところが、この くだは、ごみを まぜて おくる しくみでした。

よこはまの みなとみらい21では、1991ねんに くだで ごみを あつめ はじめました。でも、ぶんべつが すすんで ごみの りょうが へり、せつびも ふるく なりました。そして、2018ねんに おわりました[6][7]。

2007ねんの しんぶんは、たまニュータウンなどでも やめたと つたえて います[5]。

横浜市のみなとみらい21地区では、共同溝などに置いた輸送管(管路の長さ7,078m)でごみをクリーンセンターに集めていました。1991年に始まり、2018年3月31日に廃止されました[6]。

横浜市が挙げた理由は、3つです。1つ目は、リサイクル法の施行後に循環型社会へ変わり、この方式が分別収集に対応できないこと。2つ目は、分別が進んで、集まるごみの量が大きく減ったこと。3つ目は、設備が古くなり、集じん設備を更新するのに高い費用がかかることです[7]。

2007年の新聞記事は、多摩ニュータウンなどで廃止が進み、千葉ニュータウンも廃止の見通しと伝えていました。撤去に多額の費用がかかるため、廃墟になる恐れも指摘されています[5]。

ほかに、芦屋市の例を扱った大学の紀要には、燃えないごみの投入による詰まり、維持管理費や電力コストの上がりが背景にあると述べる論文があります[8]。ただし、これは一つの論文の見方です。

では、役目を終えるものばかりなのでしょうか。

横浜市みなとみらい21地区の管路収集は、共同溝などに置いた輸送管(管路延長7,078m)でクリーンセンターに集める仕組みで、1991年に始まった。2013年に廃止が決まり、2018年3月31日に廃止された[6]。ちなみに、多摩センターの6.5kmとほぼ同じ長さである。

横浜市が挙げた理由は3つある。(1)リサイクル法の施行後に循環型社会へ転換し、この仕組みが分別収集に対応できない。(2)分別が進んで、収集量が大きく減った。(3)設備が老朽化し、集じん設備の更新に高額な費用がかかる[7]。いずれも、ごみの出し方が変わった結果、設備の役割が合わなくなった、という説明である。

2007年の記事は、多摩ニュータウンなどでの廃止と、千葉ニュータウンの廃止の見通しを伝え、撤去費用の高さから廃墟になる恐れも指摘した[5]。ただし、これは2007年時点の見通しであり、公式な理由ではない。芦屋市の事例を扱う大学紀要の論文は、不燃ごみの投入による詰まりや、維持管理・電力コストの上昇を背景に挙げる。一つの論文の見方として読むのがよい[8]。

では、今も使われている例はあるのか。

5. いまも くだで ごみを あつめて いる まちは あるの?

5. 今も動く台場と、向いている街・向いていない街

5. 今も稼働する台場の管路収集と、導入の条件

あります。とうきょうの みなとくの だいばの ちくでは、いまも 「かんろしゅうしゅう」で、ごみを ありあけの せいそうこうじょうへ はこんで います[9]。

かんろしゅうしゅうとは、ごみを はこぶ くだで せいそうこうじょうまで おくる しくみの ことです。

この しくみは、あたらしく つくった まちで つくりやすいと されます。すでに ある まちに あとから つくるのは むずかしいと されます[4]。

ごみの だしかたが かわると、ぴったり あう まちと、あわない まちが わかれる しくみ なのかも しれません。

東京都港区の台場地区では、今も管路収集でごみを有明清掃工場に運んでいます。港区のこども向けページには、「ごみを輸送管で清掃工場に運ぶシステム」と書かれています[9]。

この方式の長所として、見た目を損なわない、収集車による輸送時の排出が減る、動物を寄せつけない、などが挙げられます。一方で、初期費用が高く、すでにある街への後付けは難しく、誤って入れたものが詰まると、技術者が管に入らなければならないこともあります[4]。

ごみの出し方が変わると、強みだった「全部をまとめて吸いこむ」ことが、弱みになることがあります。台場のように今も使われている場所があるのは、街の成り立ちと、管路に入れるものの決まりなど、いくつかの条件が関係しそうです。ただし、台場が続く理由そのものは、この記事では分かっていません。

東京都港区の台場地区では、今も管路収集でごみを有明清掃工場に運んでいる。港区のこども向けページは、管路収集を「ごみを輸送管で清掃工場に運ぶシステム」と説明する[9]。今回確認した資料では、2007年の記事の後も続く国内の例として、台場の例を確認できた。

英語版Wikipediaは、この方式の長所として、景観を損なわない、輸送時の排出が減る、動物を寄せつけない、を挙げる。短所として、初期費用が高い、既存の市街地への後付けが難しい、誤投入による詰まりは技術者が管に入る必要がある、を挙げる[4]。つまり、「新しく作る密集した街」には向くが、「既にある街」や「出し方がしだいに変わる街」には向きにくい、という整理になる。

台場が続く理由は、この記事では分かっていない。今も動くという事実と、導入条件の整理を分けて読む必要がある。

6. じぶんの まちの ごみは、どこへ いくのかな

6. 自分の街のごみの行き先を探してみよう

6. 自分の街のごみの行き先を、資料でたどる

きょう できること

おうちの ごみの だしかたを みて みましょう。なんしゅるいに わけて いますか。わけかたが ふえると、どんな しくみが ひつようか、かんがえて みましょう。

でかけて できること

ちずや、まちの あんないで、ごみしゅうしゅうじょを しらべて みましょう。みに いく ときは、おうちの ひとと そうだんして、いっしょに いきましょう。しゅうしゅうの ひも ききましょう。

こうしきの じょうほう

みなとくの ホームページに、だいばの ごみの だしかたが のって います。

今日できること

家のごみの分け方を、自治体の案内で確かめてみましょう。何種類に分けるのかを数えて、その全部を一本の管に混ぜて吸いこむことができるか、想像してみてください。

出かけてできること

地図や自治体の案内で、近所のごみ集積所や清掃工場を調べてみましょう。見に行くときは、家の人と相談して一緒に行きましょう。ごみ収集車が来る曜日や時間を聞いてみるのも手がかりになります。

公式情報

港区のホームページには、台場地区の管路収集についての案内があります。管路に入れてはいけないものが決まっているかなども、そこで調べられます。

今日できること

自治体のごみの分別表を確かめ、分別の種類が増えると、混合で運ぶ管路収集の仕組みが合いにくくなる理由を、自分の言葉で説明してみる。

出かけてできること

近所のごみ集積所や清掃工場の場所を地図で調べ、ごみが家からどの順に運ばれていくかをたどる。

公式情報

港区「台場地区の分け方・出し方」などの自治体資料、横浜市の委員会資料(出典[6][7])を読み、廃止の経緯や収集量の変化を、一次資料で確かめるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、仕組みは三菱重工と特許文献、発祥は業界紙とWikipedia、日本の導入と廃止は新聞記事の紹介と横浜市の資料、現在の様子は港区の資料を突き合わせた。多摩・千葉・芦屋の廃止理由には、一次資料が得られていない部分がある。

  1. 三菱重工 真空式ごみ収集システム https://www.mhi.com/jp/business/products-services/energy-environment/waste-treatment-plant-operation-maintenance/wastes-vacuum (仕組み・利用者の使い方)
  2. 特許文献 JPS60242103A「ごみの真空輸送システム」(Google Patents) https://patents.google.com/patent/JPS60242103A/ja (掃除機と同じ原理・終点の処理)
  3. CBNME「Envac celebrates six decades」 https://cbnme.com/logistics-news/waste-tech-pioneer-envac-celebrates-six-decades-with-a-facelift (1961年の最初の設備)
  4. Automated vacuum collection(Wikipedia英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Automated_vacuum_collection (住宅地の最初の設備・長所と短所)
  5. 2007年1月29日の新聞記事を紹介するブログ(ITmedia) https://blogs.itmedia.co.jp/torapapa/2007/01/post_e727.html (多摩センターの数字・廃止の動き)
  6. 横浜市 委員会資料(平成25年12月) https://en.city.yokohama.lg.jp/shikai/kiroku/katsudo/h25-h26/katsudogaiyo-h25-j-6.files/0119_20180814.pdf (みなとみらい21の開始と廃止)
  7. 横浜市 委員会資料(平成29年12月) https://en.city.yokohama.lg.jp/shikai/kiroku/katsudo/h29/katsudogaiyo-h29-j-6.files/0101_20180808.pdf (廃止の理由)
  8. 神戸山手大学紀要(芦屋市の廃棄物運搬用真空輸送システム) https://kuins.repo.nii.ac.jp/record/636/files/20%E2%91%A0%E4%BA%95%E4%B8%8A.pdf (詰まりとコストの指摘)
  9. 港区 キッズページ(ごみ) https://www.city.minato.tokyo.jp/kyouikucenter/kodomo/kids/watashitachinominatoku/motto/gomi.html (台場地区で今も動いていること)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。