1. ほねの なかでは、まいにち なにが おきているの?
1. 固い骨の中で、毎日どんな入れ替えが起きているのか
1. 骨は約3か月のサイクルで作り替えられる
ほねの なかには、からだの カルシウムの ほとんどが あります。たいじゅうが 50キロの 人だと、からだの カルシウムは ぜんぶで 1キロ ほどです。そのうち 99パーセントは、ほねと 歯に あります[1]。
この ほねは、おなじ ものが ずっと そのままに あるのでは ありません。ふるく なった ところを こわす 細胞と、あたらしい ところを つくる 細胞が、いつも はたらいて います。ひとつの サイクルは 3か月 くらいです[1]。
こわす ほうが 多いと、ほねは へります。つくる ほうが ついて いけば、ほねは たもたれます。たとえるなら、ふるい かべを すこしずつ はがして、あたらしい かべに はりかえて いく 工事です。ただし 本当は、こわす はたらきと つくる はたらきが、からだの あちこちで すすんで います。
では、この つりあいは、なにで かわるのでしょう。うちゅうに ヒントが ありました。
体重50kgの人の体には、カルシウムが約1kg、体重の1〜2%ほど含まれています。そのうち99%はリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として、骨と歯にあります。血液の中のカルシウムの濃さは、1デシリットルあたり8.5〜10.4mgという狭い範囲に保たれています[1]。
固い骨は、動かない部品ではありません。古い骨は破骨細胞に壊され、そのあとを骨芽細胞が新しい骨に入れ替えます。この入れ替えは骨リモデリングと呼ばれ、約3か月のサイクルで骨の形成と吸収が繰り返されています[1]。MRSOの解説では、この働きが、骨の強さの維持とカルシウムの供給を担っているとされています[2]。
骨の量は、壊す働きと作る働きのバランスで決まります。ふるい家を少しずつ直す工事のようなもので、壁の一部を外して、新しい板をはめていきます。ただし、本当の骨の工事は体のあちこちで同時に進み、止まることがありません。
では、このバランスを動かすものは何でしょうか。それが見えやすい場所が、宇宙でした。
体内のカルシウムは体重の1〜2%(体重50kgで約1kg)に当たり、無機質としては最も多い。その99%は、リン酸と結合したリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)として骨や歯などの硬い組織にある。一方、血液中のカルシウム濃度は8.5〜10.4mg/dlという狭い範囲に保たれている[1]。なお99%は骨と歯の合計であり、骨だけの割合ではない。
この硬い骨が、実は絶えず作り替えられている。古い骨が破骨細胞によって壊され(骨吸収)、骨芽細胞が新しい骨を作る(骨形成)。この骨リモデリングは約3か月で1周し、1回のサイクルが約3か月という意味であって、全身の骨が3か月で入れ替わるわけではない[1]。MRSOの解説によれば、この働きが骨の強さの維持とカルシウムの供給を担うとされる[2]。
骨量が保たれるのは、吸収と形成の量が釣り合っているときである。つまり骨の量は、壊す働きと作る働きのバランスで決まる。では、そのバランスは何をきっかけに崩れるのか。宇宙での観察から、重さがかからない環境では骨量が減ることが分かる。
2. うちゅうに いくと、なぜ ほねが へるの?
2. 宇宙で重さがかからなくなると、骨はどうなるのか
2. 宇宙では破骨細胞が活性化して骨量が減る:メダカと宇宙飛行士の報告
うちゅうでは、無重力で、からだに 重さが かかりません。国さいうちゅうステーションの 日本の じっけんとう「きぼう」で、メダカを 2か月 かった けんきゅうが あります。すると、のどの おくに ある ほねが へって いました。ほねを こわす 細胞が、いつもより はたらいて いたそうです[6]。
また、宇宙飛行士の ほねも へる という はなしが あります。足の つけねの ほねで、ひと月 あたり ほねの かたさが 1.5パーセントほど へった ことが あります[7]。
うちゅうでは、まいにち 運動を 2時間ほど して いても、へるのを ぜんぶは ふせげないと いわれます[7]。
ほねは、体の 重さを うけて、「ここは つかって いる」と 感じて いるように 見えます。では、ほねは いつ いちばん ためやすいのでしょうか。
国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」では、メダカを2か月飼う実験が行われました。無重力の環境では、のどの奥にある咽頭歯骨の骨量が減り、破骨細胞が活発になっていました[6]。骨を壊す働きが、重さのない環境で強まったと報告されています。
人でも似た報告があります。JAXAの研究を紹介した記事では、宇宙飛行士の大腿骨頸部(足のつけ根の骨)で、1か月ごとに骨密度が1.5%、骨強度が2.5%減ったとされています。週6日・約2時間の筋力トレーニングと有酸素運動を行っても、骨量の減少を完全には防げなかったと伝えられています[7]。
地上でも、運動不足や長く動かない状態が続くと、骨量の減る速さが増すといわれます[5]。骨は、体重や筋肉の力という「かかる力」を、強さを保つ合図にしているようです。では、この骨の強さは、いつ、どれだけためておけるのでしょうか。
骨量が減る場面を、宇宙実験が見せている。国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で2か月飼育されたメダカでは、無重力環境で咽頭歯骨の骨量が減り、破骨細胞が活性化して多核化がより進んでいた[6]。骨を壊す側の細胞が、重さのない環境で活発になったという報告である。
人でも、JAXAの研究を紹介する記事に、宇宙飛行士の大腿骨頸部で1か月あたり骨密度(DXA法)が1.5%、骨強度(QCT法)が2.5%減ったという報告がある。週6日・各2時間の筋力トレーニングと有酸素運動を行っても、骨量の減少を完全には防げなかった[7]。ただし、これは二次的な紹介記事であり、数字は報告の一例として読む。
地上の研究機関の解説でも、身体活動が少ない状態や長い不活動は骨量が減る速さを高めると述べられている[5]。荷重が骨を強く保つ条件であることは、複数の資料で共通している。では、骨に荷重をかけて強さを「ためる」ことができるのは、人生のいつなのか。
3. ほねの ちょきんは、いつ たまるの?
3. 骨の貯金は何歳ごろまでにたまり、どれだけ足りていないのか
3. 最大骨量は20歳前後〜20代でピークを迎え、12〜14歳の推奨量は一生で最大である
ほねの 強さは、おおきく なる あいだに ふえて、20さい ぜんごに いちばん 大きく なります。そのあと 40さい ごろから、すこしずつ へって いきます[2]。そこで、大人に なる 前に ほねを たくさん ためる ことが 大切だと いわれて います。
カルシウムの 「とって ほしい おおさ」は、12〜14さいの 男の子で 1日 1000ミリグラム、女の子で 800ミリグラムです。これは、人生の どの 年れいより 大きな 数字です[3]。
ところが、日本人が カルシウムを とる おおさは、ならすと 1日 およそ 490ミリグラムです[4]。これは 1さいから おとなまでの ぜんぶの 年れいを ならした 数字で、12〜14さいだけの 数字では ありません。ですから、この 数字と 「とって ほしい おおさ」を そのまま くらべる ことは できません。
では、どうやって ためれば いいのでしょう。
骨の量は成長期に増え、20代でピークを迎え、40代以降に年齢とともに減っていくとされています。ピークの年齢は資料によって20歳頃から30歳頃まで幅があります[2]。そのため、若いうちにできるだけ骨の量(最大骨量)を高めておくことが、将来の骨を守る基本だと説明されています。
その時期に合わせるように、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」のカルシウム推奨量は、12〜14歳で最大になっています。男子は1日1,000mg、女子は800mgです。15〜17歳は男子800mg・女子650mg、18〜29歳も男子800mg・女子650mgです[3]。
一方、令和6年の国民健康・栄養調査では、1歳以上のカルシウム平均摂取量は男女合わせて486mgでした[4]。これは全年齢の平均で、12〜14歳だけの値ではありません。小さい子どもは推奨量そのものが少ないため、単純には比べられません。年齢別の推奨量と全年齢の平均を並べて、不足の度合いを言い切ることはできません。
もっとも、骨の貯金は食べ物だけで決まるわけではありません。ほかに何が関わるのでしょうか。
骨量は成長期に増え、20代でピーク(最大骨量)を迎え、40代以降に年齢とともに減少する[2]。ピークの年齢は資料により20歳頃、20代、30歳頃と幅があり、ここでは「20歳前後〜20代」と読んでおく。将来の骨粗鬆症の予防では、この最大骨量を高めることが基本とされる。
では、その貯め込みの時期に、食事はどれほど必要とされているか。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量は、12〜14歳が男子1,000mg・女子800mg、15〜17歳が男子800mg・女子650mg、18〜29歳が男子800mg・女子650mgであり、12〜14歳の男子が全年齢で最大である[3]。なお、同じ表の左側の数値は推定平均必要量であり、ここでは推奨量を使っている。
一方、令和6年国民健康・栄養調査(1歳以上)のカルシウム平均摂取量は、男女計486mg(男性496mg、女性477mg)である[4]。ただしこれは全年齢の平均で、12〜14歳の値ではない。幼い子の推奨量は小さく、年齢別に比べないと「不足の度合い」は正確には出せず、全年齢の平均と年齢別の推奨量は単純には比較できない。
骨をためる要素は、摂取量だけではない。何がカルシウムの吸収や骨の強化を助けるのか。
4. ほねを つよく たもつには、どうすれば いいの?
4. 骨が弱くなる骨粗鬆症は、どんな病気で、何が骨を支えるのか
4. 骨粗鬆症は骨強度が下がる病気であり、荷重・運動・ビタミンDが骨量を左右する
ほねが よわく なって、おれやすく なる 病気を、こつそしょうしょうと いいます[2]。日本には、この 病気の 人が 1280万人 いると 考えられた ことが あります。これは 2015年の 本の 数字です[2]。
ほねを つよく たもつ ために、つぎの ことが 大切だと いわれます。ひとつ目は、からだを うごかして、ほねに 重さを かける ことです。わかい うちは、とくに 力の いる 運動が いいと いわれます[5]。
ふたつ目は、カルシウムを 食べ物から とる ことです。三つ目は、日光に あたる ことです。日光に あたると、カルシウムを すいやすく する ビタミンDが、からだの 中でも つくられるそうです[8]。
つまり、ほねを たもつには、たべもの・うんどう・ビタミンDなどが かかわります。ただ、どれが どれだけ きくかは、人に よって ちがうでしょう。
骨粗鬆症は、骨の強さが下がって、骨折しやすくなる病気です。WHOは、「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患」と定義しています[2]。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」では、日本の患者数は1280万人(女性980万人、男性300万人)と推計されています[2]。これは2015年版の推計です。
骨を保つ条件として、資料でよく挙げられるのが荷重です。骨は荷重がかかると強くなり、運動不足は骨量が減る速さを高めます。若いうち、特に18歳以前の強度のある運動が有効とされています[5]。
栄養では、カルシウムだけでなく、ビタミンDやKなども骨に必要とされます。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、紫外線を浴びると体の中でもつくられます[8]。
骨をためる条件がここまで分かると、日々の食事や過ごし方で、何を確かめられるのでしょうか。
骨粗鬆症は、骨強度が低下し骨折しやすくなる疾患である。WHOの定義は「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し骨折の危険性が増大する疾患」であり、日本の学会ガイドライン2015年版は国内の患者数を1280万人(女性980万人・男性300万人)と推計した[2]。これは2015年版の推計である。
骨を保つ条件のうち、荷重は宇宙の観察と地上の資料の両方で共通する。骨は荷重がかかることで強くなり、運動不足や長い不活動は骨量が減る速さを高める。若年期では18歳以前の強度のある運動が有効とされる[5]。つまり、骨が減る要因は食事の不足に限らず、使われないことそのものにもある。
栄養面では、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが、紫外線を浴びることで体内でも作られる。カルシウムだけでなく、ビタミンD・Kなども骨に必要とされる[8]。
では、こうした話を、自分の食事と生活に当てはめて確かめるには、何から始めればよいのか。
5. うちで ためして みたい ことは?
5. 家にあるもので、カルシウムの数字を確かめてみる
5. 栄養成分表示でカルシウムの量を計算し、資料の原典に当たる
きょう できる こと
おうちの 人と、ぎゅうにゅうや ヨーグルトの ふくろに 書いてある 「えいようせいぶん」を 見て みましょう。カルシウムが 書いて あれば、1回に とる おおさを ノートに うつします。書いていない ものは とばして かまいません。
1日に のんだり 食べたり した ものを 足すと、きょうの カルシウムの 合計が 出ます。
今日できること
牛乳やヨーグルト、チーズなど、家にある食べ物の栄養成分表示を見て、カルシウムの量(mg)を探します。書いてあるものだけを、1日分、メモに足し算してみましょう。表示がないものは、飛ばして構いません。
合計を、食事摂取基準[3]にある自分の年齢・性別の推奨量と並べると、その日の量がどのくらいか見えてきます。1日だけの数字は目安にすぎないので、数日続けて平均してみると、より実感に近づきます。
資料を読むなら
食事摂取基準のカルシウムの表[3]と、国民健康・栄養調査の概要[4]は、どちらも厚生労働省の資料です。宇宙の骨の実験は、東京工業大学の発表[6]で読めます。
今日できること
家にある乳製品などの栄養成分表示から、カルシウムの含有量を拾い、1日分を合計する。表示のない食品は計算に含めない。合計を、食事摂取基準[3]にある自分の年齢・性別の推奨量と並べて見る。1日の値は日による変動が大きいため、数日分を平均して見る。
資料を読むなら
推奨量の表は日本人の食事摂取基準(2025年版)[3]、摂取量の実態は令和6年国民健康・栄養調査の概要[4](いずれも厚生労働省)にある。メダカの宇宙実験の原典は東京工業大学のニュース[6]、骨と運動の一般的な解説は米国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所(NIAMS)のページ[5]で、後者は英語である。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「カルシウム」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html (体内のカルシウムの量・骨の約3か月のサイクル)
- MRSO(日本骨粗鬆症学会系の解説)「骨粗しょう症予防のポイント」 https://www.mrso.jp/colorda/lab/4237/ (骨の更新・最大骨量・骨粗鬆症の定義と患者数)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001734207.pdf (カルシウム推奨量)
- 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf (カルシウム平均摂取量)
- NIAMS(米国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所)Osteoporosis https://www.niams.nih.gov/health-topics/osteoporosis (運動と骨量)
- 東京工業大学ニュース(2015年) https://www.titech.ac.jp/news/2015/032228.html (無重力で咽頭歯骨の骨量が減ったメダカの実験)
- CareNet(JAXAの研究を紹介する記事) https://www.carenet.com/news/general/carenet/48263 (宇宙飛行士の骨密度・骨強度の変化)
- 長崎県の資料(PDF) https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2025/04/1744681185.pdf (ビタミンDと紫外線)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。