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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ダチョウは はが ないのに、なにを どうやって たべて いるの?

歯のないダチョウは、何を食べ、どうやってこなしているのか

歯のない鳥ダチョウの食事──食べ物の中身、胃の石、長い腸、水の取り方

分野:生きもの

ダチョウには、はが いっぽんも ありません。それなのに、かたい 草や たねを たべて、大きな からだを ささえて います。

おなかの 中には、石が たくさん はいって いる ことも あるそうです。ごはんの 中みと、おなかの ひみつが わかります。

ダチョウは、歯が1本もない鳥です。それなのに、かたい草や種を食べて、あの大きな体を保っています。飼育された成鳥では、砂嚢(胃の一部)の石だけで約1.2kgあったという報告があります[6]。

歯のない鳥が、石を胃にためて何をしているのでしょうか。草や虫の食べ分けから、石の役目をめぐる議論、長い腸、水の取り方、ひなの消化まで、資料から言えることが分かります。

ダチョウは歯をもたない。にもかかわらず、草や種を食べて育つ鳥で、飼育された成鳥を調べた論文では、胃の中の石が体重の約1.25%を占め、砂嚢の石だけで約1.2kgあったと報告されている[6]。ただしこれは飼育個体の計測値で、野生の値とは限らない。

歯のない鳥は、なぜ石をためるのか。そもそも何を食べ、水はどうしているのか。食性、胃の石とその役目をめぐる議論、消化管の長さ、水分の取り方、ひなの未熟さまで、複数の資料から分かることを読む。

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2. おなかの 中に、石が あるって ほんとう?

2. 歯の代わりに石を飲みこむ

2. 胃の石は体重の約1.25%──歯のない鳥の砂嚢

ほんとうです。ダチョウは、すなや 小石を のみこみます。おなかの 中で、たべものを すりつぶすのを たすけるからと、せつめいされて います[5]。

おとなの ダチョウを しらべた けんきゅうが あります。どうぶつえんなどで そだった ダチョウでは、おなかの 中の 石が、からだの おもさの 1.25パーセントほどでした。いちばん おくの 「すなぶくろ」だけでも、1キロを こえるのです[6]。

1キロの 水の ペットボトルより、すこし おもい 石です。ただし、これは かって いた ダチョウを はかった かずで、のはらの ダチョウも おなじとは かぎりません。

スミソニアン国立動物園は、ダチョウには歯がなく、砂や小石を飲みこんで、胃の中で食べ物をすりつぶすのを助けていると説明しています[5]。

その量を調べた論文があります。飼育されていた成鳥の胃の石は体重の約1.25%で、そのうち砂嚢の石だけで約1,213gでした。大きな石は前胃と砂嚢にだけあり、砂は大腸の終わりのほうに多かったと報告されています[6]。砂嚢の石の約1.2kgは、1リットルのペットボトルより少し重いくらいです。

ただし、これは飼育個体の計測値です。野生のダチョウが同じ量をためているかどうかは、この論文からは分かりません。論文は、砂嚢に石が多く入っていることを、飼料をすりつぶすための「機械的な装備」になると述べています[6]。

スミソニアン国立動物園は、ダチョウが歯をもたず、砂や小石を飲みこんで胃の中の食べ物をすりつぶすのを助けるとしている[5]。この石の量を測った研究が、El-Wahabらの2021年の論文(Poultry Science)である。飼育されていた成鳥では、胃の石が平均体重の約1.25%を占め、砂嚢の石は約1,213gに達した。大きな石は前胃と砂嚢にだけ見つかり、砂は大腸の終わりに多かった[6]。

つまり石は、消化管のあちこちに散らばるのでなく、胃の中の決まった部分にためられている。論文はこの高い石の割合を、飼料をすりつぶすことを可能にする「機械的な装備」と位置づけている[6]。ただし、測られたのは飼育下の成鳥で、野生の値と断定はできない。

ところが、石の役目はこの説明で決まりとは限らない。

3. 石は ほんとうに、たべものを すりつぶして いるの?

3. 「石ですりつぶす」に疑問を投げた実験

3. 石は本当に「すりつぶす道具」か──2003年の実験報道

じつは、「石で すりつぶす」と いう せつめいに、「ほんとうかな?」と かんがえた 人たちが います。

2003ねんの ニュースに よると、じっけんでは、やわらかい いわの かたまりは、ダチョウの おなかの 中で、すぐに くずれて しまいました。べつの 石の かたまりは、2、3日で とけたと いいます[7]。

石が、いつも かたい どうぐの ままとは かぎらない、と いう ことです。

ですから、石の やくめは、「すりつぶす」と いいきらず、「たすけると いわれる」くらいに おぼえて おきましょう。

石をすりつぶしの道具とみる見方に、疑問を向ける実験が、2003年に報じられました。砂岩のブロックを砂嚢に入れたところ、すぐにもろく崩れ、石灰岩のかたまりは、わずか数日で溶けたといいます[7]。

石が胃の中でいつまでも同じかたさで残るとは限らない、ということです。石を「かたい道具」とだけ考えるのは、単純すぎるのかもしれません。

ここで大切なのは、報道の見出しが「疑問」にとどまっている点です。石が全く役に立たないと示したわけではありません。スミソニアン国立動物園や2021年の論文のように、すりつぶしを助けるという説明も、いまも出されています[5][6]。

石をすりつぶしの道具とみる見方は、広く紹介されている[5]。だが、2003年のScience Newsは、これに疑問を向ける実験を伝えた。砂岩のブロックは砂嚢の中ですぐにもろく崩れ、石灰岩のかたまりは、数日で溶けたという[7]。少なくともこの実験では、石の種類によっては砂嚢の中で長持ちしなかったことになる。

この報道だけでは実験の条件の細部までは分からないが、少なくとも「石=いつも硬い道具」と単純には言えないことは分かる。一方、2021年の論文は、砂嚢の高い石の割合を、すりつぶしを可能にする装備と説明している[6]。

つまり、石の役目には説明が分かれている。教科書のように「石で食べ物をつぶす」と言い切るより、「すりつぶしを助けるとされるが、議論もある」と書くのが、いまの資料に合う。では、そうして細かくなった食べ物は、そのあと体の中をどう進むのか。

4. たべものは、おなかの 中を、どれくらい すすむの?

4. 約14mの腸を、ゆっくり進む食べ物

4. 約14mの長い腸と、食べ物のこなし方

ダチョウの ちょうは、とても ながいです。サンディエゴの どうぶつえんは、およそ 14メートルと しょうかいして います[4]。

ながい ちょうは、草の かたい ところを こなす ことと、かんけいして いるのかも しれません。

はが ない ぶん、石と ながい ちょうが、たべものを こなす ことに かかわって いると かんがえられて います。

ダチョウの腸はとても長く、サンディエゴ動物園は約14m(46フィート)と紹介しています[4]。体の大きさを考えても、かなりの長さです。

この長さが、かたい植物をこなすことと関係しているのかもしれません。ただ、14mという数字は動物園の紹介で、成鳥の腸の中で食べ物がどれくらいの時間をかけて進むのかは、ここで使った資料では示されていません。

歯の代わりの石と、長い腸。ダチョウの食べ物のこなし方には、複数の仕組みが関わっていると考えられます。

サンディエゴ動物園は、ダチョウの腸の長さを約14m(46フィート)と紹介している[4]。ただし、これは動物園の紹介にある数字で、成鳥の腸内での通過時間や発酵の様子までは、本稿で使った資料では示されていない。

歯がなく、噛みくだくことができない代わりに、胃の石と長い消化管という複数の仕組みが、食べ物をこなすことに関わっていると考えられる。ただし、それぞれがどれだけ寄与しているかは分からない。

この長い消化管は、どんな成長段階でも同じように働くのだろうか。生まれたばかりのひなは、どうだろう。

5. ダチョウは、みずを のまないの?

5. 「水を飲まない」は本当か

5. 「水を飲まない」説──植物の水分と水場

「ダチョウは みずを のまない」と いう はなしを、きいた ことが あるかも しれません。

でも、これは まちがいだと、じてんには かかれて います。ダチョウは、たべものから みずを とりますが、みずを もとめて とおくまで うごく ことも あります[2]。

みずのみ ばに くれば、ちゃんと のみます[4]。

ただし、くさや めの 中の みずだけで、ながい あいだ だいじょうぶな ことも あります。イギリスの どうぶつえんは、しょくぶつ、とくに 水を ためる しょくぶつから、みずの ほとんどを とると せつめい して います[8]。

「ダチョウは水を飲まない」という話を聞いたことはありませんか。辞典は、これを誤りとしています。水分を食べ物からとるほか、水を求めて遠くまで移動することが知られているからです[2]。

サンディエゴ動物園は、ダチョウは植物から必要な水分をとれるので飲まなくてもよいが、水場に来れば飲むと説明します[4]。Animal Diversity Webは、長い期間、水なしで生きられるとしています[3]。イギリスのマーウェル動物園も、必要な水の大部分を多肉植物からとると紹介しています[8]。

「飲まなくても生きられる」と「飲まない」は別の話です。水がある場所では飲み、水がなくても、食べる植物から水分を得て、長く過ごすことができる。この「両方」が、いまの説明に近いようです。

「ダチョウは水を全く飲まない」という話を、コトバンクの辞典記述は誤りと述べ、水分を食物からとるほか、水を求めて遠くまで移動することが知られていると記す[2]。

では、実際はどうか。サンディエゴ動物園は、植物から必要な水分を得ているため飲まなくてもよいが、水場に来れば飲むと説明する[4]。Animal Diversity Webは、長い期間、水なしで生きられるとし[3]、マーウェル動物園は、必要な水の大部分を多肉植物からとると紹介する[8]。

これらは表現が少しずつ違うが、方向は一致している。水分の主な供給源は食べる植物で、水場があれば飲む。「水が飲めない」ではなく、「水を飲まなくても足りる場合がある」というのが、資料から言える範囲だ。食べ物と水の話は、ここで1本につながる。ダチョウの食事は、植物にふくまれる水分まで含めて成り立っている。

6. あかちゃんの ダチョウも、おとなと おなじ ごはんが たべられるの?

6. ひなは、繊維の消化がまだ苦手

6. 生後10週未満のひなの消化力──大きな体の始まりは未熟

じつは、ダチョウの ひなは、うまれて すぐは、かたい 草を こなすのが にがてです。

けんきゅうでは、うまれて 10しゅうかん たたない ひなは、かたい せんいを こなす ちからが よわいと いわれて います[9]。

そだって いく うちに、すこしずつ、おとなの たべものに ちかづいて いくのでしょう。

ダチョウのひなは、生まれたとき、消化管が体重の10%を超えるほど大きいと報告されています。それでも、生後10週未満では、繊維を消化する力が弱く、でんぷん・たんぱく質・脂肪を分解する消化酵素のはたらきも低いとされています[9]。

「大きな鳥の子は、生まれた日から大人と同じ消化ができる」とは限らないのです。ひなは、成長しながら、大人の食べ物を少しずつこなせる体になっていくようです。

ここまで見てきた食べ物、石、長い腸、水は、いわば大人のダチョウの食事のしくみです。ひなが大人の食事に近づく過程は、まだ調べがいのある話題です。

El-Wahabらの論文とは別に、ダチョウの腸の発達と栄養利用についての総説(Animal Production Science)は、ダチョウのひなは生まれたとき、消化管が体重の10%を超えるが、10週未満では繊維を消化する力が弱く、アミラーゼ・トリプシン・リパーゼ(それぞれでんぷん・たんぱく質・脂肪を分解する消化酵素)の活性も低いと述べている[9]。

消化管が体のなかで大きな割合を占めるのに、働きはまだ追いつかない。この未熟さは、成鳥が長い腸で繊維をこなす仕組み(第4章)が、一朝一夕でできあがるものでないことを示唆する。ただし、これは総説の記述にもとづく解釈で、ひなが何を食べ、いつから成鳥の食事に近づくかを、本稿の資料だけで示せるわけではない。

歯のない鳥の食事は、石・長い腸・水を含む植物という複数の仕組みで成り立つ。そして、その全てが生まれた瞬間から整っているわけではない。

自分でも しらべて みたく なったら

ダチョウに会いにいく前に、たしかめたいこと

資料の読み分け──動物園の紹介と、論文と、報道

どうぶつえんで ダチョウに あえたら、「なにを たべて いるかな?」と、えさの ようすを よく 見て みましょう。かんばんに かいて ある せつめいも、さがして みて ください。

おうちでは、1リットルの ペットボトルに 水を いれて、もって みましょう。ダチョウの 「すなぶくろ」に ある 石が、これより すこし おもい くらいだと、かんじられます。

今日できること:家にある1リットルのペットボトルに水を入れて持ち、約1.2kgがどのくらいの重さか手で確かめてみます。ダチョウの砂嚢にたまっていた石の量の見当がつきます。

出かけてできること:ダチョウのいる動物園で、えさの内容と、水を飲む様子を見てみます。説明板に「雑食」「飼育下」などの言葉があれば、どんな食べ物か、野生と同じか、考えてみます。

資料を読むなら:円山動物園のダチョウのページ[1]は日本語で読めます。本文の「植物色の強い雑食」という説明が、ページのどの言葉に当たるのか、自分で探して比べてみます。

この記事の資料は、性格が違う。動物園の紹介は生息環境と飼育の両方を想定した一般向けの説明、論文は飼育下の成鳥の計測、報道は実験の概要だ。同じ「石」の話でも、どの資料が何を測ったかで、言えることが変わる。

確かめたい点は3つある。石の量1.25%は野生でも同じか。2003年の実験は、どんな条件の結果か。ひなの消化力は、何週間でどう変わるか。これらを確かめるには、原典に当たる価値がある[6][7][9]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:動物園の公式の説明、辞典、論文、総説、科学報道を突き合わせて使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 札幌市円山動物園「ダチョウ」。https://www.city.sapporo.jp/zoo/03doubutsu/06africazone/ostrich/dachou_asahiyama.html (食性が植物中心の雑食であることについて)
  2. コトバンク「だちょう」(辞典記述)。https://kotobank.jp/word/%E3%81%A0%E3%81%A1%E3%82%88%E3%81%86-3158570 (食べ物の種類と、水を飲まないという話について)
  3. Animal Diversity Web, Struthio camelus. https://animaldiversity.org/accounts/Struthio_camelus/ (野生での食べ分けと、水なしで生きられることについて)
  4. San Diego Zoo, Ostrich. https://animals.sandiegozoo.org/animals/ostrich (食べ物の幅、腸の長さ、水場で水を飲むことについて)
  5. Smithsonian's National Zoo, Ostrich. https://nationalzoo.si.edu/animals/ostrich (歯がなく、砂や小石を飲みこむことについて)
  6. El-Wahab et al., 2021, Poultry Science. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8342792/ (胃の石の量と、石のたまる場所について)
  7. Science News, Role of gastroliths in digestion questioned (2003). https://www.sciencenews.org/?p=35976 (石の役目に疑問を向けた実験の報道について)
  8. Marwell Wildlife, Ostrich. https://www.marwell.org.uk/?p=4980 (多肉植物から水分をとることについて)
  9. Intestinal development and nutrient utilisation in the ostrich: a brief review, Animal Production Science. https://connectsci.au/an/article-lookup/doi/10.1071/EA08140 (ひなの消化力と、腸での繊維の消化について)

なおした ところ

更新履歴

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