このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

「親」って、うんだ人の ことだけを いうの?

「親」は、子を産んだ人だけを指すのか ── 辞書・ハト・カッコウ・民法から考える

「親」は誰を指す言葉か ── 辞典の語義、鳥の子育て、民法の養子・親権、里親制度

分野:歴史・文化

国語じてんで「親」を ひくと、「子を うんだ 人」と かく じてんも あれば、「うんで そだてる 人」と かく じてんも あります。

ハトは お父さんも ミルクを あげますが、カッコウの ひなは ちがう とりに そだてられます。うむ 人と そだてる 人は、いつも おなじ なのでしょうか。じてん、字、どうぶつ、ほうりつ、里親を 見ると、「親」に ふくまれる ことが わかります。

国語辞典の「親」は、1冊では「子を生んだ人」、別の1冊では「生んで養育する人」と、説明が少し違います[1]。ハトは父親も子にミルクを与え[2]、カッコウのひなは別の鳥に育てられます[3]。

「産む人」と「育てる人」は、いつも同じなのでしょうか。辞書、漢字、動物の子育て、民法の条文、里親制度を見比べると、「親」という言葉に何が含まれているかが分かります。

「親」を国語辞典で引くと、『デジタル大辞泉』は「子を生んだ人。父と母の総称」とし、『精選版 日本国語大辞典』は、生んで養育する人、または人の上に立って導く人物とも説明する[1]。「生む」と「育てる」のどちらを語義に含めるかは、辞典によって異なる。

では、生む者と育てる者が分かれるとき、言葉と生き物と法律はそれをどう扱っているのか。字通の字源説、ハトとカッコウの子育て、民法の養子・親権の条文、里親制度を重ねると、「親」の中身が何でできているかが分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. じしょでは、「親」は どんな 人と かいて ある?

1. 辞書を2冊ならべると、「親」の説明が少し違っていた

1. 国語辞典の語義 ── 「生む」と「養育する」のどちらを含めるか

『デジタル大じせん』という じてんは、「親」を 「子を うんだ 人。お父さんと お母さんを まとめた いいかた」と せつめい します[1]。

『日本国語大じてん』という べつの じてんは、「人を うんで そだてる 人」、または 「人の 上に 立って みちびく 人」と かいて います[1]。うむ ことに くわえて、そだてる ことも はいって いるのです。

『デジタル大じせん』には、おなじ なかまを ふやす もとに なる ものや、中心に なる ものも 「親」と よぶ、という せつめいも ならんで います[1]。

では、「親」という 字の できかたには、どんな せつめいが あるのでしょう。

国語辞典で「親」を引くと、説明が少しずつ違います。『デジタル大辞泉』は、子を生んだ人であり、父と母をまとめた呼び方だと説明します。『精選版 日本国語大辞典』は、人を生んで育てる人、または人の上に立って導く人物という意味まで書いています[1]。

つまり、一方の説明の中心は「生んだ」ことで、もう一方には「育てる」と「導く」が入っています。『デジタル大辞泉』には、同類を増やすもとになるものや、中心的な役割を果たすものを指す意味も並びます[1]。「親」は、人だけを指す言葉ではなさそうです。

辞典を2冊並べただけで、「生む」と「育てる」のどちらに重きを置くかが分かれていました。字の形にも、手がかりがあるのでしょうか。

辞典の語義は、辞典ごとに焦点が違う。『デジタル大辞泉』の語義は「子を生んだ人。父と母の総称」で、出産に軸がある。これに対し『精選版 日本国語大辞典』は、「人を生んで養育し、または人の上に立って指導的な役割を果す人物」と説明する[1]。語義に「養育」が入っている点が、大辞泉との違いである。

ただし、これは2冊の比較にすぎない。辞典全体の傾向を示すものではなく、日本語の「親」に「養育」と「指導」の意味を含む説明が少なくとも一つある、という範囲でしか言えない。大辞泉にも、同類を増やすもとになるもの、中心的な役割を果たすものという語義が並び、「親」は人以外にも広がる語である[1]。

養育は「生む」とは別の行為である。そのため、日本国語大辞典の書き方は、生む者と育てる者が別であってもよい余地を、語義の中に残していると読める。では、この言葉を書き表す字には、どんな来歴が語られているのか。

2. 「親」の字は、なにから できたと いわれる?

2. 「木の上に立って見る」という覚え方と、『字通』の説明

2. 字源の説明 ── 語呂合わせと『字通』のちがい

「親」は、「木の 上に 立って 見る」と おぼえる 人が います。おぼえやすい、おもしろい いいかたです。

けれど、字の できかたを せつめいする じてん『字通』は、べつの はなしを して います[1]。「親」は、はりの かたちの 字と 「木」と 「見」を くみあわせた 字だ と いうのです。むかし、かみさまを まつる ときに つかう 木を えらびました。その 木で、あたらしい かみさまの せきを つくって おがむ ことを、「親」と いった、という せつめいです。

お父さんや お母さんの いみは、「あたらしい せきが、父や 母の もので ある ことが おおいから」と、すこし かぎった いいかたで かかれて います[1]。

おぼえかたは おぼえかた、じてんは じてん。ふたつを わけて 考えると、おもしろいですね。では、うむ 人と そだてる 人が べつに なる ことは、どうぶつの せかいでは あるのでしょうか。

「親」という字は、「木の上に立って見る」と覚える人がいます。高い所から子どもを見守る姿が思い浮かぶ、覚えやすい語呂合わせです。

ただし、漢字の成り立ちを説明する『字通』の話は別です。「辛」(針)と「木」と「見」を組み合わせた会意の字で、神事に使う木を選ぶために辛を打ち、切り出した木を「新」といい、その木で新しく神位を作って拝することが「親」だと説いています[1]。

父母の意味は、新しい神位が父母のものであることが多いから、という形で添えられます[1]。成り立ちの説明の中では、条件つきの扱いです。

覚え方は覚え方として楽しめます。字の成り立ちとして人に話すときは、辞典がどう書いているかを分けて考えたほうがよさそうです。次は、辞書の外に出て、動物の子育てを見てみましょう。

「親」の字は、「木の上に立って見る」と覚える方法が広まっている。しかし、字源を解説する『字通』の説明は、この覚え方とは別の筋である。

字通は、「親」を辛(針)・木・見の会意とする。神事に用いる木を選ぶために辛を打ち、切り出した木を新といい、その木で新しい神位を作って拝することを親という、という流れである。父母の意味は、新しい位が父母であることが多いから、という限定つきで説明される[1]。

字通の中では、成り立ちの中心は神事にあり、父母を指す用法は条件つきで添えられている。語呂合わせは成り立ちの説明ではないので、両者の優劣を争う必要はない。ただ、成り立ちとして人に話すなら、どちらの話かを区別したほうがよい。なお、ここで紹介したのは字通ひとつの説明で、字源の説はほかにもありうる。

辞典の語義にも字の説明にも、親の核が「生む」の一点だけではない様子が見える。では、人間以外の生き物では、生む役と育てる役はどう分かれているのか。

3. ハトや カッコウは、だれが ひなを そだてるの?

3. ハトは父親もミルクを出し、カッコウのひなは別の鳥に育てられる

3. 親鳥の分業と托卵 ── ピジョンミルクとカッコウの仮親

ハトの なかまは、ひなに 「ピジョンミルク」を あげます。のどの ちかくの 「そのう」で つくる、ミルクのような たべものです[2]。うしの ちちとは べつの もの なので、「ミルク」と よぶのは たとえです。

おどろくのは、お父さんも お母さんも、これを つくる ことです。ふたりで やくわりを わけて、ひなを そだてると ほうこく されて います[2]。

カッコウは、じぶんで すを つくりません。モズや オオヨシキリなどの すに、たまごを うみます[3]。かえった ひなは、すに あった たまごを せなかに のせて、そとに だします。そして、そだてて くれる とりの せわを、ひとりじめします[3]。この そだてて くれる とりを、「かりおや」と いいます。

ハトは ふたりで そだて、カッコウの ひなは べつの とりに そだてられます。どうぶつの せかいでは、うむ ことと そだてる ことは、いつも おなじ とは かぎりません。では、人の きまりでは、どう あつかわれて いるのでしょう。

ハトの仲間は、「そのう」という器官でピジョンミルクを作り、ひなに与えます。哺乳類の乳とは別物で、「ミルク」は比喩的な呼び名です。ハトを調べた論文は、雄も雌もそのう乳を作り、役割を分けて子を育てると報告しています[2]。

一方、カッコウは自分では巣を作りません。モズ、オオヨシキリ、ホオジロなどの巣に卵を産み、日本では二十数種の鳥が托卵の相手として知られています[3]。孵化したひなは、巣にある卵を一つずつ背中にのせて巣の外に出し、仮親の世話を独り占めします[3]。

ハトは両方の親がミルクを作り、カッコウでは卵を産む鳥と育てる鳥が別の種類です。動物の子育てを見ると、「産む」と「育てる」が同じとは限りません。人間の社会では、この二つをどう扱っているのでしょうか。

ハトの仲間は、嗉嚢(そのう)という器官でピジョンミルクと呼ばれる分泌物を作り、ひなに与える。哺乳類の乳とは別物で、「乳」は比喩的な呼び名だ。ハトを調べた論文は、雄も雌もそのう乳を作り、分業して子を育てると述べる。つまり、ひなに栄養を与える役目が、両方の親に割りふられている[2]。

対照的なのがカッコウである。自分では巣を作らず、おもにモズ・オオヨシキリ・ホオジロなどの巣に卵を産む托卵をする。日本では二十数種が托卵の相手として知られる。孵化したひなは巣の卵を一つずつ背中にのせて巣外に出し、仮親の世話を独占する[3]。卵を産む親と、育てる仮親が別の種の鳥になる例だ。

ハトでは両方の親が栄養を与え、カッコウでは産む鳥と育てる鳥が別になる。動物の例は人間の親子とは別の話で、そのまま当てはめることはできない。それでも、「産む」と「育てる」が離れうることは、生き物の世界で確かめられる。人間の社会は、この二つをどう調整しているのか。次は法律を見る。

4. うんだ 人では なくても、ほうりつの 上で 親に なれるの?

4. 養子縁組をすると、法律の上でも親と子になる

4. 養子と特別養子縁組 ── 民法809条・817条の2・817条の5・817条の9・818条

日本の ほうりつ 「みんぽう」には、「ようし えんぐみ」という しくみが あります。むかえた 人と 子は、ほうりつの 上でも 親と 子に なります。

みんぽうは、えんぐみの ひから、子は むかえた 親の 子の みぶんを もつ、と きめて います[4]。また、まだ おとなに なって いない 子の 親けんは、むかえた 親が もつ、と きめられて います[5]。

「親けん」は、子を まもり、そだてる ための 親の やくめの ことです。

ようし えんぐみには、「とくべつ ようし えんぐみ」という しゅるいも あります。かてい さいばんしょが みとめて、つくります。げんそくとして、とどけを だす ときに 15さいに なって いない 子が たいしょうです。れいがいも あります[6]。

うんだ 人だけでなく、ほうりつが 親と 子の かんけいを つくる みちも ある、という ことです。では、ほうりつは、親に なにを もとめて いるのでしょう。

日本の民法は、養子縁組をすると、養子は縁組の日から養親の嫡出子という身分を得ると定めています[4]。子が養子のときは、養親が親権者になります[5]。生んだ人でなくても、法律の上で親になる道があります。

養子縁組には種類があり、そのひとつが特別養子縁組です。家庭裁判所が、養親になる人の請求によって成立させます。養子と生まれた家の父母やその血族との法律上の親族関係は、この縁組によって終了します[6]。

年齢にも決まりがあり、原則として、請求の時に15歳に達している人は養子になれません。15歳以上で成立させる例外では、本人の同意が必要です[6]。

「親子」は、血のつながりだけでなく、法律が結ぶ関係でもあります。では、その関係の中で、親には何が求められているのでしょうか。

民法809条は、養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得すると定める[4]。成立した日を境に、法律上の親子としての扱いが始まる。そして818条は、子が養子であるときは養親を親権者とする[5]。親権者になるのは、生んだ者に限られない。

特別養子縁組は、さらに踏みこんだ制度である。817条の2は、家庭裁判所が養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組を成立させることができると定める。817条の9は、その効果として、養子と実方の父母及びその血族との親族関係が縁組によって終了すると書く。縁組する人の配偶者の連れ子など、一部に例外がある[6]。

対象年齢にも条文の定めがある。817条の5は、請求の時に15歳に達している者は養子となれないとし、成立前に18歳に達した者も同様とする。15歳以上で成立させる例外では、本人の同意が必要になる[6]。「15歳未満なら誰でも」ではなく、例外と同意の規定が一組で置かれている。

これらの条文は、血縁の有無とは別に、法律が親子関係を結ぶ手続きを備えていることを示す。では、その親には、何が求められているのか。

5. ほうりつは、親に なにを もとめて いるの?

5. 親権は「子の利益のために」使うと、民法に書かれている

5. 親権の目的 ── 民法818条1項・820条・877条

みんぽうには、「親けんは、子の りえきの ために つかわなければ ならない」と かいて あります[5]。「りえき」は、子の ためになる ことです。

また、親けんを もつ 人は、子を まもり、そだて、まなびを ささえる けんりを もち、ぎむも おう、と かかれて います[7]。「して いい」だけでなく、「しなければ ならない」も、セットなのです。

さらに、親と 子や きょうだいの あいだには、たがいに ささえあう ぎむが ある、とも きめられて います[8]。

「親けん」と いうと、親の ちからが つよい ように 聞こえます。でも じょうぶんは、子の りえきの ために つかう ものと、はっきり かいて います。では、おうちで そだてられない 子を むかえる しくみは、どう なって いるのでしょう。

民法818条1項は、「親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない」と定めます[5]。親権というと親の権利に聞こえますが、条文は、使う目的を子の利益に置いています。

820条は、親権を行う人は、子の利益のために子の監護と教育をする権利を持ち、義務を負う、と書きます[7]。権利と義務が、同じ文に並んでいます。

877条は、直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると定めます[8]。扶養は、生活を支える助け合いのことです。「互いに」とあるので、親から子への一方通行ではありません。

3つの条文を並べて読むと、「親だから偉い」ではなく、「子の利益のために役目を果たす」という方向が見えます。それでは、生まれた家で育つことが難しい子は、どうなるのでしょうか。

民法818条1項は「親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない」と定める[5]。主語は親権で、行使の目的に「子の利益」が置かれている。親が子を自由に扱える権利、という読みとはかみ合わない書き方だ。

820条は、親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うと書く[7]。監護は子を身近で守り育てること、教育は学びを支えることである。権利と義務が、同じ条文の中に並ぶ。

877条1項は、直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると定める[8]。直系血族には、親子のほかに祖父母と孫なども入る。「互いに」であるから、親子を含む直系血族は、事情に応じて互いに扶養する義務を負う。支えるのは親から子への一方向だけではない。

3つの条文は別の場面を扱うが、共通して、子の利益と責任が前面に出る。ただし、ここで読んだのは民法のごく一部であり、離婚後の親権などの規定は取り上げていない。こうした法律の枠の中で、親のもとで育てられない子を実際に迎える仕組みが、里親制度である。

6. 里親って、どんな 人の こと?

6. 里親は、親のもとで育てられない子を家庭に迎える制度

6. 里親制度 ── 週末里親・季節里親と、2021年3月末の委託の人数

いろいろな じじょうで、生まれた 家では そだてられない 子が います。そんな 子を じぶんの 家に むかえて そだてる しくみが、「里親」です[9]。

むかえる 子の 年は、ふつうは 18さいまで。ひつような ときは、20さいまで のばせます[9]。

ずっと いっしょに くらす 里親の ほかに、しゅうまつだけの 「しゅうまつ 里親」や、なつやすみなどだけの 「きせつ 里親」も あると、しょうかい されて います[9]。

2021年3月の すえには、里親の 家で くらす 子が 6,019人、ファミリーホームで くらす 子が 1,688人 でした。ふたつを たすと 7,707人です[9]。

うんだ 人では なくても、子の まいにちの くらしを ひきうける 人が います。じてん、どうぶつ、じょうぶん、しくみの どこを 見ても、「親」は 「うむ」だけでは おさまりません。

厚生労働省の広報誌は、里親制度を、親のもとでは育てられない子どもを自分の家庭に迎えて養育する制度と説明しています。対象は原則18歳までで、必要があれば20歳まで延ばせます[9]。月に1〜2回の週末だけの週末里親、夏休みや正月休みなどの季節里親という形も紹介されています[9]。

2021年3月末の数字では、里親に委託されている子が6,019人、ファミリーホームの子が1,688人です。足すと7,707人で、社会的養護が必要な約4万2千人で割ると、2021年3月末の数字で計算して約18パーセントです[9]。広報誌の「約2割」と桁は合います。ただし4万2千人は概数で、2021年の数字なので、今の人数とは違うかもしれません。

産んだ人でなくても、子の毎日の暮らしを引き受ける人たちがいます。辞書の「育てる」、動物の分業、条文の「子の利益」、制度の「迎える」を重ねると、「親」は「産んだ人」を含みつつ、それだけには収まらない言葉に見えてきます。

厚生労働省の広報誌(2022年10月号)は、里親制度を、さまざまな事情で親のもとでは育てられない子どもたちを、自分の家庭に迎え入れて養育する制度と説明する。対象は原則18歳までで、必要に応じて20歳まで延長される[9]。形も一つではなく、月に1〜2回の週末だけ養育する週末里親、夏休みや正月休みなどに養育する季節里親も紹介されている[9]。

規模を見る。2021年3月末時点で、里親に委託された子は6,019人、ファミリーホームの子は1,688人で、合計すると7,707人である(広報誌の「7,700人強」と同じ数を、足し算で出したもの)。社会的養護が必要な約4万2千人で割ると約18.3パーセント(7707÷42000)になり、広報誌が「約2割」と述べる割合と桁が合う[9]。ただし、4万2千人は概数であり、2021年の値なので、現在の人数とは異なる可能性がある。

ここまでの材料を重ねる。辞典の語義には「養育」が入り、動物では産む親と育てる親が分かれうる。条文は親権の目的を「子の利益」に置き、権利と義務を並べる。制度は、育てる役目を家庭が引き受ける形を用意している。「親」は「生んだ人」を含みつつ、それだけに収まらない役目を指す言葉として使われる場面が多いと読める。

ただし、この見方は、辞典2冊、字通、条文、制度、動物2例という限られた材料から読んだものである。「親とはこれだ」と一つに決める話ではなく、言葉の使われ方を比べて見えてきた輪郭にとどまる。

もっと しりたく なったら

辞書と条文で、「親」の意味を自分で比べる

語義と条文を、原典で読み比べる

じしょを ひいて みよう

家や学校の としょしつに 国語じてんが 2さつ あれば、「親」を ひいて くらべましょう。「うむ」「そだてる」の ことばが どこに あるか、さがして みます。

そとで

こうえんで ハトを 見かけたら、ミルクの はなしを おうちの 人に して みましょう。すや ひなには ちかづきません。

しらべるには

みんぽうは、インターネットで 「e-Gov ほうれい けんさく」を ひらくと、読めます。818じょうは みじかいので、おとなと いっしょに 読んで みましょう。

辞書で

学校の図書室や家に国語辞典が2冊以上あれば、「親」の項目を比べてみましょう。「生む」「育てる」「導く」のどの言葉が入っているかを探します。

公園で

公園でハトを見かけたら、ピジョンミルクの話を思い出してみましょう。巣やひなには近づきません。

条文で

民法は、インターネットの「e-Gov法令検索」で全文を読めます。818条や820条は短い条文なので、大人と一緒に読んでみるのがおすすめです。

気になる語義があれば、ほかの辞書の項目も読み比べてみてください。

辞書で

手元の国語辞典や漢和辞典で「親」を引き、語義の並び順と、「生む」「養育」「導く」の語の有無を比べる。字源の欄があれば、字通の説明と照らし合わせる。

観察で

身近でハトを見かけたら、巣やひなに近づかず、安全な距離から親鳥の動きを観察する。ピジョンミルクを両方の親が与えるという報告を思い出しながら、どちらの親がひなの近くにいるかを見てみる。

原典で

民法はe-Gov法令検索で全文を読める。818条1項、820条、877条を続けて読み、「子の利益」「権利」「義務」「互いに」の語が文の中でどう置かれているかを確かめる。里親制度は厚生労働省の広報誌(2022年10月号)で、数字の出どころまで読める。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

辞典の説明はコトバンクに収録された辞典の項目、法律の条文はe-Gov法令検索、里親の説明と人数は厚生労働省の広報誌、鳥の子育ては論文とコトバンクの項目による。人数の割合は広報誌の数字を使って計算した。

  1. コトバンク「親」(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・普及版 字通) https://kotobank.jp/word/親 (辞典の語義、字通の字源説明)
  2. Pigeon lactation male/female 論文(PMC10778231) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10778231/ (ハトの雄と雌がそのう乳を作ること)
  3. コトバンク「カッコウ」(日本大百科全書ほか) https://kotobank.jp/word/カッコウ-45156 (托卵と仮親)
  4. e-Gov法令検索 民法809条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=129AC0000000089;article=809 (養子の身分)
  5. e-Gov法令検索 民法818条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=129AC0000000089;article=818 (親権者、子の利益)
  6. e-Gov法令検索 民法817条の2・817条の5・817条の9 817条の2 817条の5 817条の9 (特別養子縁組、年齢、効果)
  7. e-Gov法令検索 民法820条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=129AC0000000089;article=820 (監護及び教育の権利と義務)
  8. e-Gov法令検索 民法877条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=129AC0000000089;article=877 (扶養の義務)
  9. 厚生労働省 広報誌(2022年10月号) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202210_00002.html (里親制度、人数)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。