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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

火星の 月 フォボスは、どこから きたの?

火星の衛星フォボスは、小惑星を捕まえたのか、衝突の破片から生まれたのか

火星衛星フォボスの起源は、捕獲説と巨大衝突説のどちらなのか:MMXの試料で何が分かるのか

分野:宇宙・天文

火星の まわりには、フォボスと ディモスという 小さな 月が 2つ あります。かたちは 小惑星しょうわくせいに そっくりなのに、うごきは 火星で 生まれた 月のようです。どうして こんな ちぐはぐが 起きたのでしょう。このページを よむと、「つかまえた」説せつと 「ぶつかって できた」説せつの ちがい、そして 探査機たんさきが フォボスの かけらを 持ちかえって 何を しらべるのかが わかります。しかも、フォボスの 1000倍も おもい 月が 一度 できて、あとで 火星に おちたという けいさんも あります。

火星の衛星フォボスは、形も表面の光の特徴も小惑星によく似ています。ところが、回り方は「火星の赤道の上をほぼ円」という、火星で生まれたような動きです。この食い違いは、どう説明できるのでしょうか。この記事を読むと、捕獲説と巨大衝突説それぞれの手がかりと弱点、そして2026年10月に打ち上げ予定の探査機MMXが持ち帰る試料で何が見分けられるのかが分かります。しかも、フォボスの約1000倍も重い月が一度でき、あとで火星に落ちたという計算もあります。

火星衛星フォボスは、形とスペクトルは小惑星に似ているのに、軌道は火星の赤道面上のほぼ円という、小惑星の捕獲では説明しにくい姿をしている。この食い違いをどう読むかで、捕獲説と巨大衝突説が並び、起源はまだ決着していない。では、2つの説はそれぞれ何を根拠にし、何に苦しんでいるのか。この記事を読むと、両説の筋書きと予想される違い、そしてJAXAのMMXが持ち帰る試料で、どこまで見分けられると期待されているのかが分かる。シミュレーションでは、フォボスの約1000倍の質量の衛星が一度でき、のちに火星へ落ちたという筋書きも示されている。

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1. フォボスは、どうして ふしぎな 月なの?

1. 見た目は小惑星そっくりなのに、軌道は火星の赤道上の円

1. 形は小惑星、軌道は火星生まれのよう:フォボスのちぐはぐ

火星の まわりを まわる 月は、フォボスと ディモスの 2つです。どちらも 小さくて でこぼこした 月で、フォボスの 直径ちょっけいは 22キロメートルほど、ディモスは 13キロメートルほどです。

かたちや 表面の 光りかたは、火星と 木星の あいだに ある 小惑星しょうわくせいに にて いると いわれます。だから 「小惑星しょうわくせいが 火星に つかまった」と 考える 人が おおいのです。

ところが、まわりかたが ふしぎです。2つの 月は、火星の 赤道せきどうの 上を、ほとんど まんまるの 道で まわって います。見た目は 小惑星しょうわくせい、うごきは 火星で 生まれた 月のようです。

この ちぐはぐを どう 考えるかで、「つかまえた」説せつと 「火星に 大きな 天体が ぶつかって できた」説せつが 分かれます。どちらが ただしいかは、まだ 決まって いません。まずは、「つかまえた」説せつの どこが くるしいのか 見てみましょう。

火星のまわりには、フォボスとディモスという2つの小さな衛星があります。フォボスの直径は約22キロメートル、ディモスは約13キロメートルで、どちらも形はいびつです[1]。形と表面の光の特徴(スペクトル)が、火星と木星のあいだにある小惑星に似ていることから、小惑星が火星の重力に捕まったのだという説が、従来の有力説でした[2]。

ところが、動きを見るとつじつまが合いません。2つの衛星は、火星の赤道の上を、ほぼ円を描いて回っています。見た目は小惑星、動きは火星生まれのよう、というちぐはぐが、この謎の入口です。

答えの要点を先に書くと、起源には「捕獲説」と「巨大衝突説」の二つがあり、まだ決着していません[4]。そして決着に近づく手がかりを、探査機MMXが持ち帰ろうとしています。では、捕獲説はどこが苦しいのでしょうか。

火星には、フォボスとディモスという2つの小さな衛星がある。フォボスの直径は約22km、ディモスは約13kmで、火星の質量に比べればごくわずかだ[1]。形と表面のスペクトルが、火星と木星のあいだにある小惑星に似ていることから、小惑星が火星の重力に捕獲されたとする説が、従来の有力説だった[2]。小惑星に似ているなら、捕まえたと考えるのが自然に思える。

ところが、軌道を見るとつじつまが合わない。2つの衛星は、火星の赤道面の上を、ほぼ円軌道で公転している[1]。見た目は小惑星、動きは火星のそばで生まれたようだ、というちぐはぐが、この問題の入口になる。

先に答えの要点を述べると、起源については捕獲説と巨大衝突説が並び、まだ決着していない[4]。そしてJAXAのMMXは、衛星の起源を明らかにすることを目的に、フォボスの試料を持ち帰る計画である[6]。まず、捕獲説はどこで苦しくなるのかを見る。

2. 「つかまえた」なら、どうして まんまるの 道なの?

2. 捕まえた小惑星が、なぜ円い軌道に落ち着きにくいのか

2. 捕獲説の強みは外見、弱みは軌道:円軌道を説明できるか

たとえば、運動場の まわりに まるい コースが あるとします。道を たまたま 通りかかった 人が、コースに 入って、ずっと おなじ まるい 道を はしりつづけるのは、むずかしそうですよね。

「つかまえた」説せつも、これと にた こまりごとを かかえて います。遠くから 来て 火星に つかまった 天体は、ふつう、かたむいた ほそ長い 道を まわると 考えられて います。2つの 月の 今の すがたを せつめいするのは、とても むずかしいと いわれて います。

ただし 本当は、道を はしる 人と ちがって、天体は 火星の まわりの ガスに ブレーキを かけられるなど、まるい 道に 近づく かんがえも 研究されて います。「ぜったいに ありえない」と 決まった わけでは ありません。

では、火星で 生まれたと 考えると、どう なるのでしょう。

捕獲説の強みは、外見です。ただし「似ている」は根拠の一つであって、証明ではありません[2]。

弱みは軌道です。遠くから来て火星の重力に捕まった天体は、ふつう傾いた細長い軌道になると考えられます。それが赤道の上のほぼ円という軌道に落ち着くには、勢いをうまく失わせる仕組みが要ります。そのため、現在の軌道を捕獲で説明するのは極めて困難だと指摘されています[1]。

たとえるなら、通りがかった人が運動場の円いコースにたまたま入り、そのまま同じ円を走り続けるようなものです。ただし本当は、人とちがって天体は、火星のまわりのガスの抵抗などで徐々に円に近づく可能性があり、そうした案も研究されています。「不可能」と決まったわけではなく、「困難」という指摘です。

では、火星のそばで生まれたと考えると、どんな筋書きになるのでしょうか。

捕獲説の強みは外見にある。形と表面スペクトルが小惑星に似ているという事実は、捕獲説を支える主な根拠だった。ただし似ているという点は根拠の一つであって、証明ではない[2]。

弱みは軌道である。遠方から来て火星の重力に捕獲された天体は、ふつう傾いた細長い軌道になると考えられる。それが赤道面上のほぼ円軌道に収まるには、運動のエネルギーをうまく失わせる仕組みが必要になる。そのため、現在の軌道を捕獲で説明するのは極めて困難だと指摘されてきた[1]。ただし「不可能」ではなく「困難」であり、ガスの抵抗などで説明する案も研究されている。捕獲説が否定されたわけではない。

逆に、円軌道は火星のまわりで生まれたとする説を支える手がかりになる。そこで有力視されているのが、巨大衝突説である。次に、その筋書きを順に見る。

3. 火星に ぶつかった ものが、月の もとに なるの?

3. 火星に大きな天体がぶつかると、なぜ衛星の材料ができるのか

3. 巨大衝突はどんな条件で衛星の材料になるのか:想定された衝突天体

火星の きたがわには、とても 大きな くぼ地が あります。大昔に 大きな 天体が ぶつかって できた かのうせいが 高いと いわれて います。

「きょだい衝突しょうとつ説せつ」は、その ぶつかった ときに とびちった かけらが 火星の まわりで ドーナツの ような 形に ひろがり、そこから 月が 生まれたと 考えます。

この 話は、コンピューターの シミュレーション(まねっこの けいさん)で しらべられました。ぶつかった 天体は、火星の 直径ちょっけいの 3分の 1ほど。スピードは 秒速 およそ 6キロメートル、つまり 時速 300キロメートルの しんかんせんの 70倍ほどの はやさです。ただし、これは けいさんの うえで 決めた 数字で、本当に はかった 数字では ありません。

では、とびちった かけらから、どうやって 月が できるのでしょう。

火星の北半球には、巨大なくぼ地(ボレアリス平原)があります。巨大衝突でできた可能性が高いとされ、その衝突の破片が火星のまわりに円盤をつくり、そこから衛星が生まれたという説が、巨大衝突説です[2]。

2017年、東京工業大学の兵頭龍樹さんらは、この衝突を詳しく計算しました。想定された衝突天体は、火星の直径の約3分の1。秒速約6キロメートルで衝突します。時速に直すと約2万1600キロメートルで、新幹線(時速約300キロメートル)の約70倍です。

注目点は温度です。飛び散った破片は約2000ケルビン(約1700℃)で、ほとんど蒸発しないため、火星の情報が残ると期待されました[2]。ただし、これは計算上の想定で、実測ではありません。

では、飛び散った破片の円盤から、どうやって小さな衛星が育つのでしょうか。

巨大衝突説は、火星の北半球にある大規模なくぼ地(ボレアリス平原)が巨大衝突でできた可能性が高いとされることを出発点にしている。その衝突で飛び散った破片が火星のまわりに円盤をつくり、そこから衛星が生まれたというのが筋書きである[2]。

2017年の東京工業大学の兵頭龍樹らの研究では、衝突天体を火星の直径の約3分の1の巨大天体と想定し、衝突速度を秒速約6kmとした。時速にすれば約2万1600kmで、新幹線(時速約300km)の約70倍にあたる。この条件で、破片の温度は約2000K(約1700℃)と見積もられ、ほとんど蒸発しないため、火星由来の物質の情報が残ると期待された[2]。ここで注意したいのは、これらの値がシミュレーション上の想定であって、実測ではない点だ。

さらに重要なのは、破片円盤の中身である。2016年のシミュレーションでは、円盤の約半分が火星から、残りの約半分が衝突天体から作られると示された[1]。つまり衝突説が正しければ、衛星には火星の物質が多く含まれると予想される。では、この円盤から、どのように小さな衛星が残るのか。

4. 大きな 月が いちど できて、火星に おちたの?

4. 巨大な月がいったんできて、火星に落ちたのか

4. 円盤の内側と外側で何が起きたのか:巨大衛星の形成と落下

2016年の シミュレーションには、おどろく はなしが ありました。かけらの ドーナツの 内がわで、フォボスの およそ 1000ばいも 重い とても 大きな 月が みじかい 時間で できます。

外がわでは、小さな フォボスと ディモスが 育ちます。大きな 月の 力が、小さな 2つが 大きく なるのを 手つだったと 考えられて います。

そして、大きな 月は あとで 火星に おちて しまい、小さな 2つだけが のこったと いうのです。

同じ ころ、べつの 研究チームも、「つかまえた」より 「ぶつかった」を ささえる けっかを 出しました。ただし それで 話が おわった わけでは なく、いまも 2つの 説せつが ならんで います。

2016年、東京工業大学の玄田英典さんと、ロザンブラットさんらのシミュレーションが、意外な筋書きを示しました。衝突でできた円盤の内側では、フォボスの質量の約1000倍もある巨大な衛星が、短い時間でできます。外側では、その巨大な衛星の力も借りて、小さなフォボスとディモスが育ちます[1]。

巨大な衛星は、のちに火星に落ちてしまい、小さな2つだけが残ります。今のフォボスは、いったんできた巨大な月が消えたあとに残った、小さな2つのうちの一つだ、という筋書きです。

この2016年には、フランスの研究機関CNRSが紹介したように、別の研究チームも、捕獲より衝突を支持する結果を出しました[3]。ただしCNRSの伝え方は強い表現で、研究者の間では二つの説がまだ並んでいます[4]。では、どうやって見分けるのでしょうか。

2016年の玄田英典(東京工業大学)、ロザンブラットらのシミュレーションは、衝突後の円盤の内側と外側で別のことが起きるという筋書きを示した。内側の重い円盤では、フォボスの質量の約1000倍の巨大な衛星が短時間でできる。外側では、その巨大衛星の重力の助けを受けて、フォボスとディモスという小さな衛星が成長する。のちに巨大衛星は火星へ落ち、小さな2つだけが残る[1]。つまり現在の2つは、いったん生まれた巨大な月が消えたあとに残ったものと考えられている。

同じ2016年7月に発表されたNature Geoscienceの研究(ロザンブラットら)と、別の独立した研究とが、捕獲より衝突を支持する結果を出したとCNRSは伝えた[3]。ただしCNRSの表現は強く、研究者の間では二つの有力な説がなお並んでおり、起源は決着していない[4]。ここで問いは変わる。理屈の上で説明がつくだけでは足りない。どうやって、実物で見分けるのか。

5. もちかえった かけらの、どこを 見れば 分かるの?

5. 持ち帰った試料のどこを調べれば、2つの説を見分けられるのか

5. 試料に火星の物質はあるか:2つの説で予想される違い

もし 「ぶつかって できた」なら、月の 中には 火星の ぶっしつが まざって いるはずです。シミュレーションでは、ざいりょうの およそ 半分が 火星から 来たと 予想されて います。

その 火星の 部分の 半分ほどは、火星の 表面から 50キロメートルから 150キロメートルの 深さに ある 「マントル」という ぶぶんだと 予想されて います。

水や 有機物ゆうきぶつも ヒントです。「ぶつかって できた」なら、あつさで 水の あとは ほとんど なくなって いるはずです。「つかまえた 小惑星しょうわくせい」なら、水や 有機物ゆうきぶつを かなり もって いるはずだと、せつめいする 人も います。

ただし 本当は、「水が あれば、つかまえた」と かんたんには 言えません。あくまで、予想される ちがいの 一つです。

だから 探査機たんさきが 実物の かけらを 地球に もちかえる ことが、とても だいじなのです。

衝突説が正しければ、衛星には火星の物質が多く含まれると予想されます。シミュレーションでは、破片円盤の約半分が火星由来、残りの約半分が衝突天体由来でした[1]。さらに2017年の研究では、火星由来の物質のうち約半分が、火星表面から50〜150キロメートルの深さにあるマントル物質だと予想されました[2]。つまり、試料の中に火星のマントルらしい物質が見つかるかどうかが、手がかりの一つになります。

水や有機物も手がかりです。アメリカの民間団体プラネタリー・ソサエティの説明では、衝突説なら衝突の熱で水の痕跡はほとんど失われているはずで、捕獲された小惑星なら水や有機物をかなり保っているはずだとされます[5]。ただし「水があれば捕獲説」と単純には言えません。あくまで、予想される違いの一つです。

欧州宇宙機関(ESA)は、衝突説なら、衛星は若い火星の状態を記録していることになると説明しています[4]。起源を決めるだけでなく、火星の若いころを知る手がかりにもなります。では、その試料を、いま誰がどう取りに行こうとしているのでしょうか。

2つの説は、試料に何が含まれるかの予想が異なる。衝突説が正しければ、衛星の材料の約半分は火星由来で、残りは衝突天体由来のはずだ[1]。さらに2017年の研究は、火星由来の物質のうち約半分が、火星表面から50〜150kmの深さのマントル物質だと予想した[2]。破片は約2000Kで、ほとんど蒸発しないため、火星の情報が残るという期待が、その前提にある。つまり、フォボスの試料に火星のマントルらしい物質があるかどうかが、衝突説の確かめどころになる。

水や有機物も手がかりになる。Planetary Societyの説明では、衝突説なら衝突の熱で水の痕跡はほとんど失われ、捕獲された小惑星なら水や有機物をかなり保っているはずだとされる[5]。ただしこれは予想される違いの一つで、「水があれば捕獲説」と単純に決められるわけではない。衝突の条件や、衛星が受けた変化によって、結果は変わりうる。

ESAも、衝突説なら衛星は若い火星に大きな天体がぶつかって軌道に飛び散った破片の名残であり、若い火星の状態の記録になると説明している[4]。つまり試料は、起源を決めるだけでなく、若い火星を知る手がかりにもなる。問題は、その試料をどう手に入れるかだ。

6. 探査機たんさきは、フォボスから 何を もちかえるの?

6. MMXは、フォボスから何を持ち帰ろうとしているのか

6. MMXの計画:打ち上げから帰還までと、目的

日本の 探査機たんさきの 名前は MMX(エムエムエックス)です。JAXAは、火星の 月の 起源きげんを はっきりさせる ことを もくてきに して います。

フォボスの かけらを、10グラム いじょう とって、地球に もちかえる 計画です。ESAという ヨーロッパの そしきの せつめいに あります。火星本体の かけらでは なく、月の フォボスの かけらです。

打ち上げは 2026年10月20日の 朝 4時 41分(日本の 時間)の 予定です。かごしまけんの たねがしまから、H3ロケットで 打ち上げます。1年ほどで 火星に 着き、3年ほど フォボスの まわりで 活動し、2031年度に 地球へ もどる 計画です。

ただし、打ち上げの 日は、天気などで ずれる ことも あります。

MMX(火星衛星探査計画)は、JAXAの探査機計画です。JAXAは目的を、火星衛星の起源を明らかにし、地球型惑星で生命が誕生し居住可能になった環境の起源を探ることと述べています[6]。

ESAの説明では、フォボスから10グラム以上の試料を地球へ持ち帰る計画です[4]。火星本体ではなく、衛星フォボスの試料である点が大切です。

2026年8月20日の発表では、打ち上げは2026年10月20日午前4時41分(日本時間)、鹿児島県の種子島宇宙センターからH3ロケット10号機で行う予定です[7]。約1年で火星の周回軌道に着き、約3年フォボスのまわりで活動して、2031年度に地球へ戻ります[4]。2031「年度」なので、2031年4月から2032年3月のどこかです。打ち上げ日は、天候などで動くことがあります。

MMX(火星衛星探査計画)は、JAXAの探査機計画で、JAXAによれば、ねらいは火星の2つの衛星がどう生まれたかを突き止めること、そしてそこから、地球のような岩石の惑星で生命が生まれ、すみ続けられる環境がどのようにできたのかを探ることにある[6]。

ESAの資料では、フォボスから少なくとも10グラムの試料を、サンプルリターンカプセルで地球へ持ち帰る[4]。持ち帰るのは火星本体の試料ではなく、衛星フォボスの試料である。2026年8月20日の発表によれば、打ち上げは2026年10月20日午前4時41分(日本時間)、種子島宇宙センターからH3ロケット10号機で行う予定で、打ち上げ後約1年で火星周回軌道に到着する[7]。その後約3年フォボスのまわりで活動し、2031年度に地球へ戻る計画である[4]。「2031年度」は2031年4月〜2032年3月を指す。ここで注意したいのは、打ち上げ日は予備期間を含めた予定であり、天候などで動きうる点だ。

7. 10グラムって、どのくらいの おもさ?

7. 10グラムは1円玉10枚分:予想の割合を当てはめてみる

7. 10グラムに予想の割合を当てはめる:数字の読み方と、原典の入口

10グラムは、1円玉 10まいぶんの おもさです。1円玉は 1まいが 1グラムだからです。

もし 「ぶつかって できた」説せつの 予想が あたって いて、その 通りに まざって いるなら、10グラムの うち 5グラムほどが 火星の ものです。その 半分、2.5グラムほどが マントルです。

やってみよう:台所の はかりで、1円玉を 10まい はかって みましょう。手の ひらに のせると、「この 中に 火星の かけらが まざって いるかも しれない」と 思えて きます。

ただし 本当は、持ち帰る かけらの 中身が、フォボス ぜんぶと 同じ わりあいとは かぎりません。これは 数の 練習です。打ち上げの ニュースを 見かけたら、JAXAの ページを のぞいて みましょう。

持ち帰る10グラムを、手でも確かめられます。1円玉は1枚で1グラムなので、10グラムは1円玉10枚分です。台所のはかりで10枚をのせて、重さを確かめてみてください。

衝突説の予想(材料の約半分が火星由来で、そのうち約半分がマントル物質)をそのまま当てはめると、10グラムのうち約5グラムが火星由来、約2.5グラムがマントル由来になります。全体では4分の1にあたります。

ただし、これは予想の割合を試料の重さに当てはめた計算練習です。持ち帰る場所のかけらが、フォボス全体と同じ割合とは限りません。原典を読むなら、2つの説の筋書きは東京工業大学の2016年・2017年の発表[1][2]、計画の全体はESAの資料[4]とJAXA宇宙科学研究所のMMXのページ[6]から読めます。

持ち帰る10グラムを、予想の割合で読み替えてみる。1円玉は1枚1gなので、10gは1円玉10枚分である。衝突説の予想(材料の約半分が火星由来で、そのうち約半分がマントル物質)をそのまま当てはめると、10gのうち約5gが火星由来、約2.5gがマントル由来になる。割合にすれば全体の約4分の1だ。

ただしこの計算は、シミュレーションの全体平均を試料にそのまま当てはめた練習にすぎない。採取場所の偏りや、捕獲説の予想との比べ方まで含めて、実際の分析はもっと複雑になる。原典に当たるなら、衝突のシミュレーションは東京工業大学の2016年・2017年の発表[1][2]、2つの研究を伝えるCNRSの発表[3]、計画はESAのファクトシート[4]とJAXA宇宙科学研究所のMMXのページ[6]から入るとよい。2031年度に試料が戻るとき、どの予想が当たり、どの予想が外れるのかを、3つの資料の言い方の違いとあわせて見直してほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料の一覧です。数字や年は各資料に書かれているものを使い、新幹線との比べ方や重さの割合などの計算した値は、本文でその旨を書いています。

  1. 東京工業大学 プレスリリース(2016)火星衛星の起源に関する発表 https://www.titech.ac.jp/news/2016/035625 (衛星の軌道・衝突後の円盤と巨大衛星のシミュレーション)
  2. 東京工業大学 プレスリリース(2017)火星衛星の起源に関する発表 https://www.titech.ac.jp/news/2017/039108 (捕獲説・巨大衝突説・衝突天体の想定とマントル物質の予想)
  3. CNRS press release “Giant impact solving mystery how Mars moons formed” https://www.cnrs.fr/en/press/giant-impact-solving-mystery-how-mars-moons-formed (2016年の2つの独立した研究)
  4. ESA “MMX factsheet” https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/MMX_factsheet (2つの説・試料の量・計画の流れ)
  5. The Planetary Society “MMX” https://www.planetary.org/space-missions/mmx (水や有機物の予想される違い)
  6. JAXA宇宙科学研究所 MMXのページ https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/developing/mmx.html (ミッションの目的)
  7. 秋田魁新報(共同通信)2026年8月20日の記事 https://www.sakigake.jp/news/article/20260820CO0089/ (打ち上げの日時の発表)

なおした ところ

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