このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

えきの ハトは、もともと どんな ところに すんで いたの?

駅や公園のハトは、もともとどんな場所で暮らしていた鳥なのか

ドバトはどこで暮らす鳥か ── 原種カワラバトの生息地と、建物に移った営巣場所

分野:生きもの

えきや こうえんで よく みる ハトの おおむかしの なかまは、うみべの がけの われめに すんで いた とりです。人が かって、にげて、また 野生に もどった ハトが、いまの まちの ハトだと いわれます。

では、がけの ない まちで、ハトは どこに すんで いるのでしょう。ビルの すきまが「がけの かわり」に なる ようすと、山の 森に すむ ハトの ことが わかります。

駅や公園で見かけるハトは、もとをたどると、海辺の崖の割れ目で暮らしていた野生のカワラバトにたどり着きます[1][2]。人に飼われ、逃げ出して野生にもどったものが、ふだん「ドバト」と呼ばれているハトです[1]。

では、崖のない町で、ハトはどこを住みかにしているのでしょうか。ビルや建物の隙間が崖の代わりになる様子が分かります。また、森にすむアオバトが、春から秋には海水を飲みに海岸へ来ることも紹介します。

都市に定着したドバトは、家禽化されたカワラバトが逃げて野生化したものとされ[1]、原種は崖の割れ目で繁殖する鳥だった[1][2]。崖のない都市で、ハトはどこに巣を作るのか。

建造物が崖に似た営巣場所になっていることが、手がかりの一つだ。本稿では、その営巣場所の選び方と、同じハトの仲間でも森や海辺を使うキジバト・アオバトの暮らしとの違いが分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. えきの ハトは、どこから きたの?

1. 駅のハトのご先祖は、崖で暮らしていた

1. ドバトの由来:逃げ出したカワラバトが野生化した

えきの ホームの はりの 上に、ハトが とまって います。あの ハトの おおむかしの なかまは、がけの われめで くらして いた「カワラバト」と いう 野生の とりです[1]。

むかし、人が この とりを かって いました。その ハトが にげ出して、野生に もどりました。それが、ふつう「ドバト」と よばれる ハトです[1]。

がけで くらして いた とりが、どうして まちに いるのでしょう。ビルの すきまを、がけの かわりに して いるからだと いわれて います[2]。

ただし、まちの ハトが ぜんぶ ドバトとは かぎりません。あとで、山の 森に すむ ハトも しょうかいします。

駅のホームの梁に止まっているハトを、じっと見たことはあるでしょうか。あのハトのご先祖は、崖の割れ目で繁殖していたカワラバトという野生の鳥です[1]。

ふだん「ドバト」と呼ばれているのは、人に飼われていたカワラバトが逃げ出して野生化したものです[1]。日本鳥類目録では、外来種のカワラバトとして扱われています[1]。

では、崖で暮らしていた鳥が、なぜ崖のない町でふえたのでしょうか。理由は、都市の高いビルが、ハトにとって自然の崖の代わりになるからだと説明されています[2]。つまり、ハトは暮らし方を大きく変えたというより、似た場所を町の中で見つけたのだと考えられます。

ただし、町にいるハトがすべてドバトというわけではありません。後の章で、山の森にすむ別のハトも見ていきます。

ドバトとは何か。キヤノンの鳥類図鑑の解説によれば、一般にドバトと呼ばれるのは、家禽化されたカワラバトが逃げ出して野生化したものであり、日本鳥類目録では外来種のカワラバトとして扱われる[1]。

では、元の野生種はどんな場所を使っていたのか。同じ解説は、中央アジアなどに分布するカワラバトが元来は崖の隙間で繁殖していたと述べる[1]。したがって、都市のドバトの営巣場所を理解するには、「崖の隙間」という原種の好みから出発すればよい。

さらに、都市では高層ビルが自然の崖に取って代わる傾向がある、という指摘もある[2]。この記事は、崖から建物へという営巣場所の置き換えを軸にして、後半で森や海辺を使う別種のハトに広げる。

2. むかしの ハトは、どんな がけに すんで いたの?

2. 野生のカワラバトは、海辺の崖の割れ目に巣を作る

2. 原種の生息地:海辺の崖と、資料ごとに異なる原産地の範囲

野生の カワラバトは、うみべの がけの われめに すを つくると いわれて います[2]。いわが ごつごつした ところで、なみの おとが きこえる ような ばしょです。

すむ ばしょは、ヨーロッパや アフリカの 北の ほう、アジアの 南西の ほうに ひろがって いました[2]。中央アジアにも すんで いたと する しりょうも あります[1]。

「どこが ふるさと」かは、しりょうに よって すこし ちがいます。インドまで ふくめる しりょうも あるのです。

がけの われめは、あめが ふりこみにくく、てきも ちかづきにくい ばしょです。ハトは、そんな かくれがを すみかに して いたのでしょう。

野生のカワラバトは、ヨーロッパ、北アフリカ、南西アジアの原産とされ、海辺の岩がちな崖の割れ目に巣を作ります[2]。波の音が聞こえる岩場の、細い割れ目を想像してみてください。

キヤノンの鳥類図鑑の解説には、中央アジアなどに分布するカワラバトが、もともと崖の隙間で繁殖していたと書かれています[1]。資料によって原産地の範囲が少しちがうのは、野生の分布が広く、人が飼って運んだ歴史もあって、もとの範囲を決めにくいからかもしれません。

そろって言えるのは、崖の隙間という巣の場所です。割れ目なら、風や雨が入りにくく、敵も近づきにくいと考えられます。

では、そんな崖の鳥が、いつから人のそばで暮らすようになったのでしょうか。

野生のカワラバトはどこに分布するのか。ADWは、ヨーロッパ・北アフリカ・南西アジアが原産で、海辺の岩がちな崖の割れ目に営巣するとする[2]。キヤノンの解説は、中央アジアなどに分布し、元来は崖の隙間で繁殖していたとする[1]。

原産地の記述が資料ごとに異なる点には注意がいる。インドを含める資料もあり、野生個体の分布と、家禽化後に人が運んだ分布を分けて考える必要がある。

それでも、営巣場所は「崖の割れ目」で共通している。割れ目は風雨を避けやすく、天敵が近づきにくい構造だと推定できる。

次に問うべきは、この崖の鳥がどの時点で人の暮らしと結びついたかである。

3. がけの とりが、人の ちかくに くらす ように なったのは?

3. 人が飼い、建物を作ったことで、ハトの住みかが広がった

3. 家禽化と建造物:住みかが崖から人工物へ広がった過程

カワラバトを 人が かい はじめたのは、5000ねんより まえの エジプトまで さかのぼると いわれます[3]。

人が たてものを つくり はじめると、カワラバトは その すきまに すを つくる ように なりました[1]。がけの われめに にた ばしょが、人の まちに できたのです。

にほんに ドバトが きた じきは、はっきり しません。めいじ いこうに、ぐんようの でんしょばとが ほんかくてきに はいって きたと いう せつが あります[3]。

人の まわりに すむ ほうが、ハトに とっても すみやすかった のかも しれません。

人とハトの付き合いは、とても古いようです。カワラバトを飼うようになった歴史は、紀元前3000年のエジプトまでさかのぼるといわれます[3]。いまから5000年以上前ということになります。

人が建造物を造りはじめた頃、カワラバトはその隙間に巣を作るようになったと説明されています[1]。崖の割れ目とよく似た場所が、人の暮らしの中にできたからでしょう。

日本にドバトが来た時期は、はっきりしません。百科事典には、明治以降に軍用の伝書鳩が本格的に渡来したと書かれていますが[3]、それ以前にも日本にいたかどうかは、資料によって説明が分かれます。

人が飼い、建物を作る。その二つが重なって、ハトの住みかは崖から町へ広がっていきました。では、いまの町では、ハトはどこに巣を作っているのでしょうか。

崖の鳥はいつ人と結びついたか。コトバンクの百科事典項目は、家禽化の歴史が古く、紀元前3000年のエジプトまでさかのぼるといわれる、と記す[3]。「いわれる」という強さの記述であり、年代は目安として読む。

次に、人が建造物を造りはじめた頃、カワラバトはその隙間に営巣するようになった、とキヤノンの解説は述べる[1]。崖の隙間という原種の営巣条件が、人工物でも満たせたからだと推定できる。

日本への渡来はどうか。同じ百科事典項目は、明治以降に軍用の伝書鳩が本格的に渡来したと述べるが[3]、より古い時期に持ち込まれたとする説明もあり、根拠が示されていないため、時期は断定できない。

ここまでで、由来と、崖から人工物への営巣場所の移行が分かった。では、実際の都市で、どのような場所が選ばれているのか。

4. まちの ハトは、どこに すを つくるの?

4. ビルの隙間、ベランダの隅、室外機の下:雨の入らない棚が好き

4. 都市の営巣場所:雨の降り込まない棚状の場所と、長い繁殖期

ドバトは、あめが ふりこまない たなの ような ところに すを つくります[4]。ベランダの すみや、エアコンの そとの きかいの 下などが つくられやすい ばしょです[4]。

ビルの ような たかい たてものにも、すを つくり、一ねん じゅう こどもを そだてます[3]。いなかでは、ふるい のうじょうの たてものに すむことも あります[2]。

たまごは 16日から 18日で かえり、ヒナは 30日ほどで すだちます[5]。あわせて 1か月はんほどです。

ハトの うごく はんいは せまく、えさ場と ねる ばしょを まんなかに くらします[3]。うちの ちかくの ハトも、いつも おなじ ハトかも しれません。

ドバトは、雨の降り込まない棚のような場所に、巣を作ります。ベランダの隅やエアコンの室外機の下などは、巣を作られやすい場所として、仙台市や大阪府の資料にあげられています[4][5]。崖の割れ目と同じで、上に屋根があり、雨が入らない場所です。

高いビルにも営巣し、周年繁殖するとされます[3]。田舎では、古い農場の建物に住むこともあります[2]。

繁殖期はとても長く、早春から初冬にかけて何度も子育てをします[5]。卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立ちます[5]。合わせて46〜48日、つまり1か月半ほどという計算です。

行動範囲は狭く、えさ場と、夜に休むねぐらを中心に過ごします[3]。

以前は一部の社寺に限られていたドバトは、いまでは都市にも農村にも広がっています[3]。では、同じハトの仲間は、ほかにどんな場所で暮らしているのでしょうか。

都市のドバトはどんな場所を選ぶのか。仙台市は、雨の降り込まない棚状の場所にやぐらや巣を作ると説明し、ベランダ隅や室外機の下を例にあげる[4]。高層ビルなどに営巣し周年繁殖するという百科事典の記述[3]と合わせると、条件は「雨を避けられる張り出しや隙間」と読める。

この条件は、崖の割れ目と構造が似ている。ADWが高層ビルは自然の崖に代わる傾向があると述べるのも[2]、そのためだと考えられる。

繁殖はどのくらいの頻度か。大阪府によれば、繁殖期は早春から初冬までと長く、卵は16〜18日で孵化し、ヒナは約30日で巣立つ[5]。孵化から巣立ちまでを足すと約46〜48日である。繁殖期が長く、一つがいが何度も子育てをするため、営巣可能な場所が多い都市では数が保たれやすいのかもしれない。

行動範囲は狭く、餌場と就塒場(しゅうじば、ねぐら)を中心に活動する、とされる[3]。以前は一部の社寺に限られた分布が、現在は都市部・農村部に広がっている点も、同じ項目に記されている[3]。

では、崖でも建物でもない場所を使うハトはいるのか。

5. 山の 森や うみにも、ハトは いるの?

5. 森にすむキジバトと、山から海へ水を飲みに来るアオバト

5. キジバトとアオバト:ドバトとは別の暮らし方をするハト

ハトは、まちの ハトだけでは ありません。キジバトは、本州より 南では 一年中 見られます。北海道では 夏だけ 来る「夏鳥」です[6]。

アオバトは、ふだん 山の 森で くらします。でも、春から 秋に かけて、うみに とんで きて、うみの 水を のむ ことが あります[7]。

かながわけんの おおいその 海がんには、5月の はじめから 10月ごろまで やって きます。7月と 8月が いちばん おおい ころです[7]。

山の 森の ハトが、なぜ 海の 水を のむのか。ここには まだ、わからない ことが のこって います。

日本には、ドバトとは別の暮らしをするハトもいます。キジバトは日本で身近なハトで、本州以南では1年中見られますが、北海道では夏鳥とされ、冬を越しません[6]。

アオバトは、ふだんは森林で暮らしています。ところが春から秋にかけて、神奈川県大磯町の照ヶ崎海岸などに海水を飲みに来ます[7]。飛来は5月初旬から10月頃までで、7〜8月がピークです[7]。

山の森にすむ鳥が、わざわざ海まで飛んで来る。海の水には塩分がふくまれているので、体に必要な成分をとるためではないかという見方もありますが、理由ははっきりとは分かっていないとされています。

同じハトの仲間でも、すむ場所はずいぶん違います。崖から町へ移ったドバトと、森と海辺を行き来するアオバト。身の回りで、どのハトを見ているのでしょうか。

ドバト以外の日本のハトは、どこで暮らしているのか。キヤノンの解説によれば、キジバトは本州以南では1年中見られ、北海道では夏鳥で冬を越さない[6]。

アオバトは、普段は森林にすみ、春から秋にかけて神奈川県大磯町の照ヶ崎(てるがさき)海岸などへ海水を飲みに飛来する。飛来は5月初旬から10月頃、ピークは7〜8月とされる[7]。

海水を飲む理由は、塩分やミネラルの補給という見方が語られるものの、理由は決着していない。森の鳥が海へ通う理由は、観察から手がかりが得られる余地が残っている。

崖の鳥が建物へ、森の鳥が海辺へ。ハトの「すみか」は、種ごと、季節ごとに違うことが分かる。

6. もっと しりたく なったら

6. 自分の町のハトの「崖」を探してみよう

6. 次に読みたい資料と、観察の視点

きょう できること:えきや こうえんで ハトを 見たら、どこに とまり、どこで やすんで いるかを 見て みましょう。雨が かからない 高い ばしょが おおいか、たしかめて みます。

おでかけで:ビルの すきまや、はしの 下を 見上げて みましょう。ハトの すが あっても、近づかないで、とおくから 見るだけに します。

しりたい とき:すんでいる まちの ホームページで「ドバト」を しらべると、すを 見つけた ときの ことが のって いる ことが あります[4]。ハトは 野鳥なので、たまごや ヒナには さわっては いけません[4]。

今日できること

駅や公園でハトを見つけたら、どこに止まり、どこで休んでいるかを観察してみましょう。雨が当たらない、張り出した場所が多いでしょうか。崖の割れ目と似た場所かどうか、自分の目で考えてみてください。

出かけてできること

ビルの隙間や橋の下を見上げて、巣の跡がないかを探してみましょう。ドバトを含む野鳥の捕獲や鳥類の卵の採取などは、原則として禁止されています[4]。巣や卵・ヒナへの対応は、自治体に確認してください。近づかず、遠くから見るだけにしてください。

公式情報

お住まいの市区町村のホームページで「ドバト」を調べると、巣の対処のしかたや、ふんの被害の対策がのっていることがあります[4][5]。

観察の視点

自分の町で、ハトの止まる場所と営巣場所を比べてみる。雨を避けられる張り出しや隙間が選ばれているかを見れば、崖の割れ目との共通点を自分で確かめられる。ただし、数は少なくてもよいが、場所と時間は記録しておくとよい。

野鳥としての扱い

ドバトを含む野鳥の捕獲や鳥類の卵の採取などは、原則として禁止されている[4]。巣や卵・ヒナへの対応は、自治体に確認する。

資料の読み方

原産地の範囲や日本への渡来時期は、資料によって記述が分かれる。仙台市・大阪府の資料は、巣を作る場所や繁殖の期間の確認に向く。アオバトが海水を飲む理由は、神奈川県立生命の星・地球博物館などの資料を探すとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。原産地の範囲や渡来時期は、資料ごとに説明が異なります。

  1. キヤノン バードブランチ「カワラバト」 http://global.canon/ja/bird-branch/photo-gallery/kawarabato/ (崖の隙間での繁殖、ドバトの由来、建造物への営巣)
  2. Animal Diversity Web「Columba livia」 https://animaldiversity.org/accounts/Columba_livia/ (英語。原産地、海辺の崖、ビルが崖の代わり)
  3. コトバンク「ドバト」 https://kotobank.jp/word/%E3%83%89%E3%83%90%E3%83%88-3161552 (家禽化の歴史、高層建造物への営巣、行動範囲、日本への渡来)
  4. 仙台市「ドバト」 https://www.city.sendai.jp/kankyochose/kurashi/shizen/petto/yase/higai/dobato.html (営巣場所、野鳥の捕獲禁止)
  5. 大阪府「ドバト」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o120140/doubutu/yaseidoubutu/dobato.html (繁殖期、卵がかえる日数、巣立ち)
  6. キヤノン バードブランチ「キジバト」 https://global.canon/ja/bird-branch/photo-gallery/kijibato/ (キジバトが見られる時期)
  7. 神奈川県観光協会「照ヶ崎海岸」 https://kanagawa-kankou.or.jp/spot/7824 (アオバトの飛来時期)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。