1. じゃぐちの 水は、まいにち しらべられて いる
1. 蛇口の水は、授業のある日は毎日点検される
1. 学校環境衛生基準の日常点検、毎授業日に何を見るのか
学校の じゃぐちの 水は、まちの 水道から きた 水です。でも 学校では、じゅぎょうの ある 日は まいにち、水を しらべる きまりが あります[3]。
しらべるのは、5つです。いろ、にごり、におい、あじ、そして 水を しょうどくする「えんそ」の のこりぐあい。この のこりを「ざんりゅうえんそ」と いいます。
えんその 目やすは、1リットルの 水に 0.1ミリグラム いじょうです[2]。ほんの すこしの りょうです。1ミリグラムは、1グラムの 千ぶんの 1です。
じゃぐちが いくつかの ながれに わかれて いる ときは、それぞれの いちばん おくの じゃぐちで しらべます[3]。水が たまりやすい ところを みる ためです。
では、休み あけの 朝は どうして いるのでしょう。
決まりは、法律にもとづいている
学校保健安全法は、文部科学大臣が学校の環境衛生の基準を定めること、学校の設置者が基準に照らして環境を保つこと、校長が適正を欠く点を見つけたら遅滞なく改善することを定めています[1]。水もこの基準に入っています。
毎日見るのは5つ
飲料水は、年に何回かの定期検査とは別に、授業のある日は毎日、日常点検をします。見るのは遊離残留塩素と、外観(色・濁り)・におい・味です[3]。給水の系統が複数あるときは、それぞれの末端の蛇口で測ります[3]。水が滞留しやすい場所だからです。
遊離残留塩素の目安は、蛇口で0.1mg/L以上です。水源が病原生物に汚染されるおそれのあるときは0.2mg/L以上とされます[2]。プールの水の基準(0.4mg/L以上)とは別のものです。
子どもが毎日口にする水を、誰が、どの根拠で確かめるのか。法的な枠組みは、学校保健安全法第6条にある。文部科学大臣が学校環境衛生基準を定め、設置者は基準に照らして環境の維持に努め、校長は適正を欠く事項があれば遅滞なく改善の措置をとる。できないときは設置者に申し出る[1]。
飲料水の基準の中身は、遊離残留塩素を給水栓で0.1mg/L以上に保つこと(病原生物による著しい汚染のおそれがあるときは0.2mg/L以上)と、外観・臭気・味に異常がないことだ。冷水器など飲料水をためる器具も、給水栓と同様に扱う[2]。1Lを約1kg(1,000,000mg)とみれば、0.1mg/Lは約1,000万分の1の濃さにあたる。なお、プール水の0.4mg/L以上は別の基準である。
この基準を毎日の運用に落としたものが、授業日ごとの日常点検だ。遊離残留塩素の測定と、外観(色・濁り)・におい・味の確認を行い、給水系統が複数あれば各系統の末端など水が滞留しやすい場所で測る[3]。水が動かない場所ほど塩素が減りやすい、という考え方が背景にあるのだろう。
2. 休み あけの 朝は、先に 水を ながす
2. 休み明けの朝は、点検の前に水を流す
2. 滞留した水と放水 ── 休み明けの点検は何が違うのか
長い 休みの あいだ、くだや 水そうの 中の 水は、あまり 入れかわらず、たまった ままに なります[3]。
山口県の やくざいし会の あんないでは、休み あけには、子どもが 来る 前に、水を 多めに ながす ことに なって います。ながした あとで、えんそを はかって、いろ・にごり・におい・あじを みます[3]。
この てんけんは、水道を まっすぐ つないで いる 学校でも 休みません[3]。
ところで、学校の くだや 水そうは、だれの ものなのでしょう。
先に流してから、測る
長い休みや休日の後は、管や水槽の中の水が動かないまま時間がたっています。山口県薬剤師会のQ&Aは、登校前に多めに放水してから、遊離残留塩素の測定と、外観(色・濁り)・におい・味の確認をするよう案内しています[3]。
流す前の水で測ると、たまっていた水の状態を見ることになります。なぜ先に流すのか、その理由を資料は説明していません。たまっていた水を先に出せば、蛇口から出る水そのものの状態を見やすくなる、というのは筆者の推測です。
直結でも点検は要る
水道管から直接給水する学校でも、日常点検は必要とされています[3]。水槽があるかどうかにかかわらず、蛇口から出る水を見る点検だと読めます。
休み明けの点検は、平日と何が違うのか。ポイントは水の滞留である。長期休暇や休日の後は、水道管や水槽に水がたまっているため、山口県薬剤師会のQ&Aは、登校前に多めに放水してから、遊離残留塩素の測定と外観(色・濁り)・におい・味の点検を行うよう案内している[3]。
塩素は時間とともに減っていくため、滞留した水では遊離残留塩素が基準を下回るおそれがある、という筋道が考えられる。ただし、それは筆者の推測である。資料に書かれているのは、滞留した水があるから多めに放水する、という運用の側だ[3]。
直結給水でも日常点検は省略されない[3]。設備の形式にかかわらず、蛇口から出る水を見る点検だと読める(筆者の解釈)。では、点検の対象になる管や水槽は、誰の持ち物なのか。
3. 学校の 中の くだと 水そうは、学校の しごと
3. 敷地の中の水の道は、学校が管理する
3. 受水槽と給水管 ── 敷地内の設備を誰が見るのか
学校の 中に ある くだや 水そうは、学校の せきにんで かんりします[4]。
水を いったん ためて おく 大きな タンクを、「じゅすいそう」と いいます。
この タンクが、夏には こまりごとに なる ことが あります。横はま市では、タンクを とおる 水が 長く たまり、そとの 空気で あたたまった 水が じゃぐちから 出る ことが ありました[5]。
そこで 水道きょくと きょういく いいんかいは、くだの 水の 力で そのまま 水を おくる「ちょっけつきゅうすい」へ、かえて います[5]。これは 横はま市の とりくみで、ぜんこくの 学校が みんな おなじ わけでは ありません。
水は、のむ ほかにも、学校の いろいろな ところで はたらいて います。
どこまでが水道局で、どこからが学校か
学校の敷地内にある受水槽や給水管などの給水設備は、学校の責任で管理します[4]。学校保健安全法の枠組みでは、設置者と校長がその責任を負います[1]。敷地の中の水の道は、学校が見守る側に立つ、ということです。
夏に、水槽の水はぬるくなる
横浜市水道局によると、同市の学校では屋内の水飲み場の水が受水槽と高置水槽を通っていました。少子化や土曜休業で水槽内の滞留時間が長くなり、夏は外気で温まった水が蛇口から出ることがありました[5]。
対策として、配水管の圧力で直接給水する「直結給水化」を、水道局と教育委員会が進めています[5]。これは横浜市の取り組みで、全国の学校が同じ状況というわけではありません。
敷地内の水設備は、誰が管理するのか。学校の敷地内の受水槽や給水管などの給水設備は、学校の責任において管理を行う[4]。第1章の法律の枠組みに重ねると、設置者が環境の維持に努め、校長が改善の措置をとる、という分担になる[1]。
受水槽を経由する設備は、水質の面にも温度の面にも課題を生んだ。横浜市では、屋内水飲み場の水が受水槽・高置水槽を経由するため、少子化や土曜休業で滞留時間が延び、夏は外気で温まった水が出ることがあった[5]。そこで水道局と教育委員会が、配水管の圧力で直接給水する直結給水化を進めている。
この例は横浜市のもので、全国の学校に一般化はできない。それでも、受水槽は水をためるという性質上、休みで使う人が減れば滞留が長くなる、という構造が読み取れる。直結にすれば点検が要らなくなるわけではないことは、第2章のとおりだ[3]。
4. きゅうしょくの 前と あとにも、水を しらべる
4. 給食の調理でも、前と後に水を確かめる
4. 給食調理水の確認 ── 1日2回の測定と記録
学校の 水は、のむ ためだけでは ありません。きゅうしょくを つくる 日は、1日に 2回、水を しらべる ところも あります。つくりはじめる 前と、つくりおわった あとです[6]。
しらべる ことは、じゃぐちの 水と にて います。えんそが 0.1ミリグラム いじょうか。いろや にごり、におい、あじは ふつうか。かずと じこくを、きろくに のこします[6]。
これは せんだい市の ばあいです。きゅうしょく室に 入る 前の 手あらいは、水の かくにんとは べつの 手じゅんです[6]。
そして 水の 役めは、もう ひとつ あります。
調理の前と後に測り、記録する
仙台市教育委員会によると、給食の調理では、調理前と調理後の1日2回、使う水の遊離残留塩素と色・濁り・におい・味を確認し、数値と時刻を記録しています[6]。遊離残留塩素は、0.1mg/L以上が目安です。
調理室に入る前の手洗いは、水の確認とは別の手順です。蛇口の水の点検と、給食の水の確認は、同じ項目を、使う場面ごとに見ているものと言えます。ただし、これは仙台市の運用の例で、基準そのものの条文ではありません。
学校の水は、飲むほかに、調理にも使われる。仙台市教育委員会は、調理の前後の1日2回、遊離残留塩素・色度・濁度・臭い・味などを確認して記録していると述べる[6]。学校給食衛生管理基準にもとづく運用の一例で、使用水の遊離残留塩素は0.1mg/L以上、数値と時刻を記録する。
確認の項目は、第1章の日常点検と同じ顔ぶれである。違うのは、確認の場所が給食室になり、時刻と数値を記録に残す点だ。調理室に入る前の手洗いは、水の確認とは別の手順である。
この確認は自治体の運用例であり、学校給食衛生管理基準の原文そのものではない。ほかの市町村で、回数や記録の形が同じとは限らない。
5. 水が とまった 日、学校の 水は どうなる?
5. 断水の日、避難所の学校はどこまで水を用意しているか
5. 避難所に指定された学校の水 ── 2019年調査の数字を読む
学校は、大きな さいがいの とき、ひなんじょに なる ことが あります。その とき、水が とまる ことも あります。
2019年4月の 国の しらべでは、ひなんじょに きめられた 公立の 学校は 30,349校でした。その うち、のみ水を 用意して いたのは 22,377校です。10校のうち 7校ほど(73.7%)です[7]。
水が とまった ときに つかえる トイレを 用意して いたのは、17,707校です。10校のうち 6校ほど(58.3%)でした[7]。
これは 2019年の かずで、いまは かわって いる かも しれません。
横はま市は、ちいきの 中心に なる 学校に、地下の 水の タンクや、きんきゅう用の じゃぐちを そなえて きました[8]。
水を用意している学校は、10校のうち約7校
文部科学省の調査(2019年4月1日時点)では、避難所に指定された公立学校30,349校のうち、飲料水を確保していた学校は22,377校で、73.7%です。断水時に使えるトイレを確保していた学校は17,707校で、58.3%です[7]。
割合の分母は、避難所に指定されている学校です。すべての学校に対する割合ではありません。30,349から22,377を引くと7,972校で、飲料水の確保にまだ入っていない学校が約8,000校あります。2019年の数字なので、現在の状況ではありません。
水を確保する、いくつかの方法
横浜市は、地域防災拠点となる学校で、災害用の地下給水タンクや緊急給水栓の整備、受水槽の活用、消火栓の活用、耐震給水栓の整備を進めてきました[8]。第3章で見た受水槽が、非常時には水をためておく設備として使える、ということです。
平時の水の確かめ方が分かったところで、断水の日の学校の水を考える。文部科学省の調査(2019年4月1日時点、同年8月28日公表)では、避難所に指定された公立学校30,349校のうち、飲料水を確保している学校が22,377校(73.7%)、断水時に使えるトイレを確保している学校が17,707校(58.3%)だった[7]。
割合の分母は避難所指定校であり、全学校ではない。22,377÷30,349は約0.737で、報告の数字と一致する。差し引きすれば、飲料水の確保が数字に入っていない学校は7,972校、トイレは12,642校だ。2019年の調査なので、今の数字とは同じとは限らない。
確保の方法は一つではない。横浜市は、地域防災拠点の学校で、災害用地下給水タンクや緊急給水栓の整備、受水槽の活用、消火栓の活用、耐震給水栓の整備を進めてきた[8]。第3章の受水槽は、平時には水温や滞留の課題になるが、非常時には貯水の設備として使える側面もある。
6. じぶんの 学校の 水を、さがして みよう
6. 自分の学校の水を、見に行ってみよう
6. 蛇口を名指しした設置基準はないのに、水は毎日確かめられる ── 読む資料の案内
つぎの ことを、先生に きいて みましょう。
ひとつめ。休み あけの 朝には、水を 先に ながして いますか。ふたつめ。この 学校の 水は、タンクを とおりますか。それとも、まっすぐ 来て いますか。
夏の 朝と 午後に、水を 手で さわって みるのも、おもしろいかも しれません。ただし、よごれた 水や、水たまりの 水には さわらないでね。
見つけた ことは、ノートに かいて おきましょう。ひなんじょに なる 学校なら、水を ためる タンクが どこに あるか、先生に きくのも ひとつです。
学校に蛇口があるのは、当たり前に見えます。ところが小学校設置基準は、校舎に少なくとも備える施設として教室・図書室・保健室・職員室を挙げ、施設設備全般を「指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なもの」とするだけです[9]。水飲み場や手洗い場を名指しした条文は、この基準にはありません。
水を確かめる根拠になっているのは、学校保健安全法のもとの環境衛生基準です[1]。設置基準は関係しません。校内の蛇口は、毎日の点検で、水が使える状態かを確かめている設備だと読めます。
次の機会に、先生や学校の人に尋ねてみてください。休み明けの朝、水は先に流されているか。この学校の水は受水槽を通るのか、直結か。避難所になったとき、水はどこにたくわえてあるのか。答えは学校ごとにちがうかもしれません。
小学校設置基準は、校舎に少なくとも備える施設として教室・図書室・保健室・職員室を挙げ(第9条)、施設設備全般を「指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なもの」とする(第7条)[9]。水飲み場や手洗い場を名指しで置くよう定めた条文は、この基準にはない。ほかの法令・通知にも定めがないとは言えず、この基準の範囲の話である。
いずれにせよ、水を確かめる決まりは、学校保健安全法第6条の学校環境衛生基準の側にある[1]。蛇口は、毎授業日の点検(第1章)、休み明けの放水(第2章)、敷地内設備の管理(第3章)、給食(第4章)、非常時の貯水(第5章)を通して、水として使える状態かが確かめられ、備えられている。
読むなら、法律の条文はe-Gov法令検索の学校保健安全法、避難所の数字は文部科学省の調査ページ[7]、運用の細部は各自治体の学校環境衛生の手引きが日本語で読める。自分の学校の水がどこまで同じかは、学校に尋ねるのが近道だ。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:法律の条文、文部科学省の資料、自治体や業界団体の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- e-Gov法令検索 学校保健安全法(昭和33年法律第56号)第6条。https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000056 (校長・設置者の責務と学校環境衛生基準について)
- 学校環境衛生基準に基づく飲料水検査の解説(業者による解説)。https://www.s-kb.co.jp/service/water_school.php (残留塩素0.1mg/Lの基準について。二次資料)
- 山口県薬剤師会 Q&A。https://yama-yaku.or.jp/faq/ (毎授業日の点検と休み明けの放水について。二次資料)
- 静岡県生活科学検査センター 学校の飲料水の水質検査。https://www.shizuokaseikaken.or.jp/sui/sui_school.html (敷地内の給水設備の管理について)
- 横浜市水道局 はぐくむ事業(直結給水化)。https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/suido-gesui/suido/torikumi/oishimizu/hagukumu-jigyo.html (受水槽で水が温まる課題と直結給水化について)
- 仙台市教育委員会 給食の安全。https://www.city.sendai.jp/kyushokune/kurashi/manabu/kyoiku/inkai/kanren/kyushoku/kyushoku/anzen.html (給食調理水の確認と記録について。自治体の運用例)
- 文部科学省 避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査。https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/bousai/1422324.htm (避難所指定校の飲料水・トイレの確保数について。2019年時点)
- 横浜市 地域防災拠点。https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/bousai-kyukyu-bohan/bousai-saigai/wagaya/jishin/place/kyoten/kyoten01.html (防災拠点の学校の水の確保について)
- 文部科学省 小学校設置基準。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koukijyun/1290242.htm (校舎に備える施設の定めについて)
なおした ところ
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