このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

サメと ワニは、どちらが ずっと むかしから いたの?

サメとワニ、先に地球に現れたのはどちら? ── 最古の化石から比べる

サメとワニはどちらが古いのか ── 最古の化石の年代と、「どこからをサメ・ワニと数えるか」

分野:生きもの

ワニの なかまの かせきが 見つかる ずっと まえ。サメの なかまは、もう 海に いました。その 年の ひらきは、2億おく年ほどです。

この きじでは、サメと ワニの いちばん ふるい かせきを くらべます。そして、「どこからを サメ、ワニと よぶか」で かずが かわる ことも 見ます。

ワニの仲間の最古級の化石が残った約2億3100万年前。そのころ、サメの仲間はすでに、体の化石を残してから約2億年がたっていました。

この記事では、サメとワニの最古の化石を並べて、どちらが先かを見ます。あわせて、「どこからをサメ、ワニと数えるか」で年代の数字が変わることも紹介します。

ワニの仲間(ワニ形類)の最古級の化石は約2億3100万年前のものである。サメを含む軟骨魚類は、体の骨格が残る化石(体化石)だけで比べても、その約2億年前にはいた。

この記事では、サメとワニの最古の化石の年代を、論文などの原典で確かめる。あわせて、「サメ」「ワニ」をどの範囲で数えるかによって、数字がどう変わるかを見る。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. どちらが さきなの?

1. 化石で比べると、サメが先

1. 結論:体の化石で比べて、約2億年の差

サメの ほうが ずっと さきです。

サメの なかまで、体の ほねが のこった いちばん ふるい かせきは、およそ 4億おく3600万年まえの ものです。ワニの なかまで いちばん ふるい ほうの かせきは、およそ 2億おく3100万年まえです。ひらきは、2億おく年ほどに なります。

サメの 体の 表面に ある ちいさな うろこなら、もっと むかしの ものも 見つかって います。ただ、それが ほんとうに サメの なかまかは、研究けんきゅうした 人も 「そうかも しれない」と 書いて います。

このあと、サメの かせき、ワニの かせきの じゅんに 見て、さいごに 「どこからを ワニと よぶか」を 考えます。

先に現れたのは、サメの仲間です。

体の骨格が残る化石(体化石)で比べると、サメの仲間(軟骨魚類)では約4億3600万年前(シルル紀前期)のものが最古です[1]。ワニの仲間の最古級の化石は、約2億3100万年前(三畳紀後期)のものです[5]。差は約2億年です。この差は、ワニの仲間の最古級の化石から今までの長さ(2億3100万年)の、9割近くにあたります。なお、化石の残り方は標本ごとにちがいます。サメ側は体のほぼ全体が残る化石、ワニ側は骨がばらばらの状態で見つかった化石です。

サメには、体の化石より古い記録もあります。鱗や、ひれの棘などの破片です。破片の記録は約4億3900万年前までさかのぼります[2]。鱗には、さらに古い約4億5500万年前の「おそらく」の記録もあります[3]。ただし、鱗だけでサメの仲間と言い切れるのかは、論文の書き手自身が慎重です[4]。

この先は、サメの化石、ワニの化石の順に見ます。最後に、「どこからをワニと数えるか」で数字がどう変わるかを考えます。

結論から言うと、化石の記録ではサメ(を含む軟骨魚類)が先である。体の骨格が残る化石(体化石)で比べると、サメの仲間の最古は約4億3600万年前(シルル紀前期のテリチアン)[1]、ワニの仲間(ワニ形類)の最古級は約2億3100万年前(三畳紀後期のカーニアン)[5]。差は約2億年になる。ただし保存の程度は違い、サメ側は体のほぼ全体が残る標本、ワニ側は骨が関節の外れた状態で見つかった標本である[1][7]。

サメ側は、破片や鱗まで含めればさらにさかのぼる。軟骨魚類の鱗・ひれの棘・肩の板などの記録は約4億3900万年前に達し[2][10]、鱗だけなら「おそらく」オルドビス紀後期の約4億5500万年前までたどれるとされる[3]。一方、現生のワニ類(クラウン群のCrocodylia)に絞ると、起源はずっと新しく、白亜紀の約1億2500万〜7800万年前と推定されている[8]。

この記事で比べた、ワニ形類全体と現生ワニ類の2つの数え方では、どちらもサメの仲間の記録のほうが古い。ただし、鱗の帰属は論文自身が仮説として書いており、数字の幅も大きい。以下、サメの側、ワニの側、定義の側の順に確かめる。

2. サメの かせきは、どこまで ふるいの?

2. サメの化石は、鱗、破片、体の順にたどれる

2. サメ(軟骨魚類)の化石記録:鱗・破片・体のほぼ全体

サメの かせきは、のこりかたで 3つに わけて 考えます。

いちばん ふるいのは、うろこです。およそ 4億おく5500万年まえまで さかのぼる、という 記ろくが あります。ただし これは「おそらく」と つけられた 記ろくです。

つぎに、中国で、およそ 4億おく3900万年まえの かけらが 見つかりました。うろこや、ひれの とげ、かたの 板です。サメの なかまだと、研究けんきゅうした 人たちは 考えて います。ただ、かけらなので、体ぜんたいの かたちは 分かりません。

そして、体が ほとんど のこった かせきが、およそ 4億おく3600万年まえの ものです。これも 中国で 見つかりました。名前は、シェナカントゥス(Shenacanthus)です。

むねには、ふつうの サメには ない 板のような ぶぶんも ありました。サメの なかまは、さいしょは いまの すがたと ちがって いたのかも しれません。

サメやエイの仲間は、まとめて「軟骨魚類」と呼ばれます。骨が硬い骨ではなく、軟骨でできている魚です。この仲間の化石は、残り方によって3つに分けて考えます。

いちばん古いのは鱗です。軟骨魚類には、おそらくオルドビス紀後期の約4億5500万年前までさかのぼる、鱗や皮歯の化石の記録があります[3]。オーストラリア中央部の中期オルドビス紀の地層から見つかった鱗は、軟骨魚類の鱗に似た作りでした。ただし、この論文は、鱗の見た目が軟骨魚類の系統をさかのぼらせる「かもしれない」と書いています[4]。

次が、中国南部のシルル紀前期の地層から見つかった、フェンジンシャニア(Fanjingshania)です。鱗、ひれの棘、肩の板が見つかり、軟骨魚類として報告されました。ただし破片で、体全体の形は分かりません[2]。年代は約4億3900万年前とされます[10]。

体のほぼ全体が残った化石の最古は、2022年に報告された、中国・重慶の約4億3600万年前のシェナカントゥス・ヴェルミフォルミス(Shenacanthus vermiformis)です。それまでの最古の全身化石は、シルル紀後期の約4億2500万年前のものでした[1]。胸のまわりに、板のような装甲があり、他の魚の仲間に多い特徴ももっていました。

軟骨魚類(現生のサメ類・エイ類・ギンザメ類を含む)の化石は、保存のされ方で3段階に分けて読む。

第1は鱗の記録で、軟骨魚類では「おそらく」オルドビス紀後期の約4億5500万年前までさかのぼるとされる[3]。Sansom et al.(2012)は、中期オルドビス紀(ダリウィリアン)のStairway Sandstone(オーストラリア中央部)からTantalepis gatehouseiの鱗を記載した。軟骨魚類に「似た」構造であり、軟骨魚類の系統を中期オルドビス紀まで延ばす「可能性がある(may)」とする[4]。鱗の帰属は仮説であり、体化石の年代と同じ強さでは扱えない。

第2は、破片の記録である。Andreev et al.(2022)は、中国のシルル紀前期(Aeronian)の地層から、皮骨板・鱗・ひれの棘からなるFanjingshania renovataを軟骨魚類として記載した。論文は、これが最古の関節した顎口類の化石より前のものだと述べる[2]。年代は約4億3900万年前とされる[10]。

第3は、体のほぼ全体が残った化石である。Zhu et al.(2022)は、重慶のシルル紀前期(テリチアン、約4億3600万年前)の層から、軟骨魚類Shenacanthus vermiformisを報告した。胸の装甲板(板皮類のような大きな背側正中板を含む)をもつが、全体としては軟骨魚類らしい体の構造だという。それまで、全身が詳しく残る有顎魚類の最古は、シルル紀後期の約4億2500万年前だった[1]。

3. ワニの なかまは、いつ あらわれたの?

3. ワニの仲間の最古級は、体長約2.7メートルの陸の動物だった

3. ワニ形類の最古級:Carnufex carolinensisと三畳紀後期

ワニの なかまの ふるい かせきは、アメリカの ノースカロライナ州しゅうで 見つかりました。およそ 2億おく3100万年まえの ものです。

カルヌフェクス・カロリネンシス(Carnufex carolinensis)と いう 名前が ついています。カルヌフェクスは「にくや」、カロリネンシスは「カロライナの」という 意味です。体の 長さは、およそ 2.7メートルです。りくで くらして、うしろ足で あるいたと いわれます。

いまの ワニとは、すがたが ちがいます。研究けんきゅうした 人は、そのころの ワニの なかまの 多くは、キツネや ジャッカルのように ほそくて 足の ながい 体だった、と せつめいして います。カルヌフェクスは、その なかでは 大きな ほうでした。

ワニの仲間の最古級の化石として知られるのが、アメリカ・ノースカロライナ州で見つかったカルヌフェクス・カロリネンシス(Carnufex carolinensis)です。2003年に採集され、2015年に新種として報告されました[5][7]。

地層の年代は約2億3100万年前、三畳紀後期の初め(カーニアン)です。論文は「記載された中で最古級で、早く分かれたワニ形類の一つ」と述べています[5]。体長は約9フィート(約2.7m)、陸上で暮らし、後ろ足で歩いたと大学の広報は説明しています[6]。恐竜が北米に広まる前の、頂点捕食者の一つだったとも言われます。

現生のワニを思い浮かべると、まちがえます。この研究者の一人は、恐竜が大きくなった時期、ワニの仲間の多くは「キツネやジャッカルのような、小さく細身で足の長い体」だったと説明しています[6]。カルヌフェクスは、その中で予想外に大きな例でした。

ワニ形類(Crocodylomorpha)は、現生のワニ類とその近縁な絶滅グループを含むまとまりである。その最古級として報告されたのが、ノースカロライナ州ペキン層のCarnufex carolinensisである。論文は、約2億3100万年前(カーニアン)の層から出た「記載された中で最古級で、初期に分岐したワニ形類の一つ」とする[5]。

標本は2003年に採集された。ペキン層の年代は、花粉などの生層序では前期カーニアンとされてきたが、磁気層序や後期三畳紀の時間尺度の見直しから、後期カーニアンの約2億3100万年前と考えられている[7]。つまり、この年代自体、見直しを経た数字である。

体は、広報資料によると全長約9フィート(約2.7m)で、陸生、後肢で歩いたとされる[6]。共著者のDrymalaは、恐竜が台頭した頃のワニ形類の多くは「キツネやジャッカルのような小さく細身で長い四肢の体」だったと述べ、カルヌフェクスをそこでの例外的な大型種と位置づけている[6]。なお、標本の骨は、すべて関節が外れた状態で見つかっている[7]。

また、まとめ記事(Wikipedia)は、アルゼンチンのTrialestesを約2億3100万〜2億2500万年前の「最古のワニ形類」としている[9]。この記事では原論文に届いていないため、数字の参考にとどめる。どちらにしても、約2億3000万年前ごろ、という見方は変わらない。

4. 「ワニ」を どこから 数えるの?

4. 「ワニ」をどこから数えるかで、年代は変わる

4. 定義の問題:ワニ形類全体と、現生ワニ類(クラウン群)

「ワニ」と いっても、2とおりの 数えかたが あります。

ひとつは、カルヌフェクスのような、むかしの なかまも ぜんぶ 入れる 数えかたです。もうひとつは、いま 生きて いる ワニたちが つながる ごせんぞと、そこから 生まれた なかまだけを 数える 数えかたです。

いま 生きて いる ワニの ほうは、およそ 1億おく年まえ ごろに できたと いわれます。2億おく3100万年まえと くらべると、ずっと あたらしいです。

サメも おなじです。ふるい サメの なかまは、いまの サメとは かなり ちがいます。いまの サメだけに しぼった かずは、ここでは 分かって いません。

「ワニ」には、2つの数え方があります。カルヌフェクスのような絶滅した近縁種も含める「ワニ形類」と、現生のワニ類すべての最後の共通祖先と、その子孫すべて(絶滅した種も含む)をさす「クラウン群(Crocodylia)」です。

現生のワニ類の起源は、2026年の研究によると、年代の推定方法で大きく変わります。化石を系統樹の枝の先に置いて年代を決める方法(先端較正)では、前期白亜紀(約1億2500万〜1億200万年前)になります。枝分かれの点に化石の年代を当てる方法(ノード較正)では、後期白亜紀(約9500万〜7800万年前)です。研究者たちは、前者は地層の記録と合わず、後者のほうがもっともらしい推定だとしています[8]。

どちらにしても、現生のワニ類は、ワニ形類の最古級(約2億3100万年前)より1億年以上あとに現れたことになります。

サメの側も事情は同じです。軟骨魚類にはエイやギンザメも入るので[3]、「サメ」の範囲をどこまでにするかで、最古の化石は変わりえます。「いまのサメの系統だけ」に絞った数字は、この記事の資料では確かめられていません。

比べる単位を揃えないと、先後の議論はずれる。ワニでは少なくとも2つの単位がある。絶滅した近縁種を含むワニ形類(Crocodylomorpha)と、現生ワニ類の最後の共通祖先とその全子孫(絶滅種を含む)をさすクラウン群(Crocodylia)である。

クラウン群の起源は、分子時計の較正法で大きく変わる。Davies et al.(2026)は、Crocodyliaを例に較正法を比べ、較正の戦略(ノードか先端か)のほうがデータの種類より影響が大きいことを示した。先端較正は前期白亜紀(約1億2500万〜1億200万年前)、ノード較正は後期白亜紀(約9500万〜7800万年前)を与え、著者らは前者を地層の記録と矛盾するとして、後者を「より確からしい」とした[8]。

サメ側にも同じ構造がある。軟骨魚類は、サメ類・エイ類・ギンザメ類を含む[3]。この記事で挙げた最古の化石は軟骨魚類全体のものであり、現生のサメのクラウン群に限った起源年代の原典には、ここでは届いていない。クラウン群どうしで比べるには、ワニ側の約1億年前に対応するサメ側の数字が別に要る。

5. 「いちばん ふるい」は、かわる ことが ある

5. 「最古」は、見つかるたびに書き換わる

5. 数字が動く理由:標本の更新と、年代の見直し

「いちばん ふるい かせき」は、あたらしい かせきが 見つかると かわります。

サメでは、2003年の まえには、ほねが つながった かせきの いちばん ふるい 記ろくは、およそ 3億おく9400万年まえでした。2003年に、カナダの ドリオドゥス(Doliodus)が、およそ 4億おく900万年まえで、記ろくを 1500万年 さかのぼらせました。そして 2022年に、中国の シェナカントゥスが、また 記ろくを 書きかえました。

カルヌフェクスの かせきが 出た ちそうも、あとから 年を しらべなおして、いまの かずに なりました。

この きじの かずも、これから かわるかも しれません。ただ、ここで 見た 書きかえは、どれも 1000万年 あまりです。サメと ワニの ひらきは、2億おく年ほどです。

「最古の化石」とは、「いままでに見つかったなかで最古」という意味です。新しい標本が見つかるか、年代の測り方が見直されると、数字は動きます。

サメでは、2003年の論文の前の、関節した体の化石の最古の記録は約3億9400万年前でした。2003年の論文は、カナダ・ニューブランズウィック州の約4億900万年前のドリオドゥス・プロブレマティクス(Doliodus problematicus)を報告し、記録を約1500万年さかのぼらせました[3]。この種は、それまで歯だけの標本しかなく、軟骨魚類とも、棘魚きょくぎょ類とも分類されてきました。名前の「problematicus」には、「確かなことが言えない」という意味合いがあります。新しい標本では、歯の列と脳を収める骨が残り、左右の胸びれにある棘も、軟骨魚類では他に例がない特徴でした[3]。

その記録も、2022年に更新されました。約4億3600万年前のシェナカントゥスが見つかり、それまでの全身化石の最古(約4億2500万年前)を、約1100万年さかのぼらせました[1]。

カルヌフェクスも、ペキン層の年代は、初め前期カーニアンとされましたが、時間尺度の見直しで、後期カーニアン(約2億3100万年前)とされるようになりました[7]。

この記事の数字も、これから変わるかもしれません。ただ、ここで見た書き換えは、約1500万年や約1100万年です。サメとワニの差の約2億年は、それよりずっと大きな数字です。

「最古」は、化石記録の下限であって、その分類群が現れた時期そのものではない。更新の仕方には2種類ある。新しい標本が見つかる場合と、同じ標本の層の年代が見直される場合である。

前者の例が、サメの体化石である。Miller et al.(2003)は、関節のあるサメ類標本の最古の記録を約3億9400万年前としたうえで、約4億900万年前のDoliodus problematicusを報告した。約1500万年の更新になる[3]。この標本は、それまで歯だけの標本から棘魚類とも軟骨魚類とも分類されてきた種(この種の同定は文字どおり「不確定」だった)に、成熟段階の異なる歯列がその場で保存された体を与えた。脳函が保存されている点と、左右の胸びれの棘が軟骨魚類で他に例がない点も、論文は指摘している[3]。2022年には、Shenacanthus(約4億3600万年前)が報告され、それまでの全身化石の最古(約4億2500万年前)が、約1100万年さかのぼった[1]。

後者の例がペキン層で、花粉による生層序では前期カーニアン、磁気層序と時間尺度の改訂では後期カーニアン(約2億3100万年前)とされる[7]。

今回の比較では、約2億年の差が、これらの更新幅(1500万年や1100万年)よりずっと大きい。したがって、「体の化石で比べるとサメが先」という結論は、標本の入れ替わりくらいでは変わりにくい。ただし、鱗の帰属や、現生クラウン群どうしの比較は、別の議論として残る。

6. じぶんでも しらべて みたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

としょかんの ずかんや、はくぶつかんで、「いちばん ふるい」と 書いて ある かせきを さがして みましょう。

そこには、なにが 見つかったのか(うろこ、歯は、ほね)が 書いて あるでしょうか。それが 分かると、「ふるい」の ほんとうの いみが 見えて きます。

図鑑や博物館の解説で「最古」という言葉を見かけたら、3つの点を確かめてみてください。何が見つかったのか(鱗、破片、ほぼ全体)。その地層の年代にどのくらいの幅があるのか。どこまでを仲間として数えているのか。

サメの化石の年代を日本語で読みたい人は、Miller et al.(2003)の要旨が、ネイチャーアジア・パシフィックの日本語ページで読めます[3]。ワニの側は、ノースカロライナ州立大学の広報が、研究者の言葉で書かれていて読みやすいです[6]。

数字の出どころを確かめる手がかりは3つある。第1に、報告された標本(鱗か破片か体のほぼ全体か)、第2に、年代の根拠(生層序か磁気層序か、放射年代か)、第3に、分類群の範囲(総群かクラウン群か)である。

まとめ記事(Wikipediaなど)の年代の数字は、出典の原論文にさかのぼって確かめてほしい。たとえばTrialestesの年代は、この記事ではまとめ記事の数字にとどまっている。

また、Davies et al.(2026)は、年代の幅が較正法によって数千万年動くことを実際に示した例として読める。同じ結論でも、前提と方法を並べて読むと、数字の意味が変わる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. Zhu, Y., Li, Q., Lu, J., Chen, Y., Wang, J., Gai, Z., Zhao, W., Wei, G., Yu, Y., Ahlberg, P. E., Zhu, M. (2022) "The oldest complete jawed vertebrates from the early Silurian of China", Nature 609(7929): 954-958。DOI 10.1038/s41586-022-05136-8。 https://doi.org/10.1038/s41586-022-05136-8 (約4億3600万年前のShenacanthus。それまでの最古の全身化石は約4億2500万年前)
  2. Andreev, P. S., Sansom, I. J., Li, Q., Zhao, W., Wang, J., Wang, C.-C., Peng, L., Jia, L., Qiao, T., Zhu, M. (2022) "Spiny chondrichthyan from the lower Silurian of South China", Nature 609(7929): 969-974。DOI 10.1038/s41586-022-05233-8。 https://doi.org/10.1038/s41586-022-05233-8 (鱗・ひれの棘・肩の板からなるFanjingshania。最古の関節した顎口類化石より前)
  3. Miller, R. F., Cloutier, R., Turner, S. (2003) 「進化:デボン紀前期層で出土した関節のある化石標本として最古の軟骨魚類」, Nature 425: 501-504(日本語要旨)。DOI 10.1038/nature02001。 https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/425/6957/nature02001/ (約4億5500万年前の鱗、約3億9400万年前の従来の記録、約4億900万年前のDoliodusの標本)
  4. Sansom, I. J., Davies, N. S., Coates, M. I., Nicoll, R. S., Ritchie, A. (2012) "Chondrichthyan-like scales from the Middle Ordovician of Australia", Palaeontology 55(2): 243-247。DOI 10.1111/j.1475-4983.2012.01127.x。 https://doi.org/10.1111/j.1475-4983.2012.01127.x (中期オルドビス紀の鱗Tantalepis。軟骨魚類の系統を延ばす「かもしれない」という書き方)
  5. Zanno, L. E., Drymala, S., Nesbitt, S. J., Schneider, V. P. (2015) "Early crocodylomorph increases top tier predator diversity during rise of dinosaurs", Scientific Reports 5: 9276。 https://www.nature.com/articles/srep09276 (Carnufexの報告。約2億3100万年前、最古級のワニ形類の一つ)
  6. North Carolina State University News (2015) 「Carnufex carolinensis」の研究紹介記事。 https://news.ncsu.edu/2015/03/zanno-carnufex/ (体長約9フィート、陸生、後肢で歩く。ワニの仲間の多くはキツネのような体という説明)
  7. Drymala, S. M., Zanno, L. E. (2016) "Osteology of Carnufex carolinensis (Archosauria: Pseudosuchia) from the Pekin Formation of North Carolina and Its Implications for Early Crocodylomorph Evolution", PLoS ONE 11(6): e0157528。DOI 10.1371/journal.pone.0157528。 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0157528 (標本の採集年、骨が関節の外れた状態であること、ペキン層の年代の見直し)
  8. Davies, S., Tasca, A., Alvarez-Carretero, S., Brochu, C., Pisani, D., Donoghue, P. C. J. (2026) "Competing methods of divergence time estimation recover diverse evolutionary timescales", Proceedings of the Royal Society B 293(2080): 20260635(要旨)。DOI 10.1098/rspb.2026.0635。 https://doi.org/10.1098/rspb.2026.0635 (現生ワニ類(クラウン群)の起源年代の幅)
  9. Wikipedia「Crocodylomorpha」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Crocodylomorpha (Trialestesを最古とする記述。まとめ記事のため参考)
  10. "The shoulder girdle of early chondrichthyans grew by skeletal remodelling"(PubMed Central掲載の論文)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12459293/ (Fanjingshaniaの年代が約4億3900万年前、Aeronianの地層という記述)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。