1. 夜に でんとうを つけると どうなるの?
1. 夜に電灯をつけると、シソは花を咲かせなくなる
1. 電照栽培 ── 夜を短くして花芽をつくらせない
青じその 葉は、ハウスと でんとうを つかって、一年じゅう つくられて います[2]。
しそは、夜が ながく なると、花の もとを つくりはじめる 草です。花が できると、葉を そだてる じかんは おわりに ちかづきます[3]。
そこで でんとうで 夜を みじかく して、「まだ 夏のようだ」と しそに 感じさせる そだてかたを します。そうすると 花の ほが つきにくく、よい 葉が とれると いわれます[2]。
では、しそは 夜の ながさを、どうやって かぞえて いるのでしょう。
2. しそは、夜の ながさを かぞえて いるの?
2. シソは、昼ではなく「夜の長さ」で花を決める
2. 短日植物 ── 暗期の長さと花芽分化
しそは、「たんじつ しょくぶつ」と いう なかまです。夜が ながく なる 秋に、花の もとを つくります[3]。
なまえに「日」と ありますが、花を きめて いるのは 昼では なく 夜の ながさです[3]。
たとえば、ながい 夜の とちゅうで みじかく 光を あてると、花の もとが できにくく なります[3]。ただし これは、たんじつ しょくぶつ ぜんぶに ついての せつめいです。
名前の「短日」は、昼のことではない
シソは短日植物と呼ばれる仲間で、アサガオ、イネ、キク、コスモス、ダイズなども同じ仲間です[3]。名前は「短日」でも、花を決めているのは昼の長さより、夜(暗期)の長さです[3]。
夜が12時間より長くなると咲く場合を短日植物というのが一般的ですが、10時間を境にすることもあります[3]。12時間はシソだけの値ではなく、短日植物全体の目安です。シソでも、必要な夜の長さは品種によってちがうとされます[4]。
夜の途中の光
短日植物では、長い夜の途中に短く光を当てると、夜が十分に長くても花芽ができにくくなると説明されます[3]。これはシソの実験結果ではなく、短日植物一般の説明です。電灯で長日にするという栽培の考え方と、同じ方向を向いています。
こうして花芽ができると、シソは何をするのでしょうか。
短日植物の花芽形成は、昼ではなく連続した暗期の長さで決まる。一般には、夜が12時間より長くなると咲く場合を指すが、10時間を境とする記述もある[3]。この12時間は短日植物全体の目安で、シソ自身の限界暗期の値ではない。
シソは厳密な短日植物とされ、第4葉対のころから光周期に敏感になる。長い夜で誘導されると、約18〜20日後に花が咲き始める、とYunらの総説は述べる[4]。ただし、この数値は総説が過去の研究を引いたもので、必要な夜の長さは品種で異なり、実際の日数も栽培条件で変わる。
また、長い夜の途中に光を当てて暗期を中断すると、花芽形成が阻害されることが短日植物一般について知られている[3]。これは、電灯で長日にして花穂を抑える栽培[5]と整合する説明である。
では、花芽ができたあと、シソの一年はどう終わるのか。
3. 花が さいたら、しそは どうなるの?
3. 花が咲いたあと、一年草のシソはどうなるのか
3. 一年草の一生 ── 花穂・実・こぼれ種
しそは、「いちねんそう」です。はるに まかれて、夏から 秋に 葉を とられ、花が さき、実を つけた あと、一生を おえます[7]。
花は、はつあきに、えだの さきの ほに たくさん つきます。色は むらさきっぽい 赤か 白で、赤しそは うすい むらさき、青しそは 白と いわれます[2]。
実が みのると、たねが じめんに おちます。その たねが また 春に 目を さまします。
4. たねは、どうやって 目を さますの?
4. 秋に落ちた種は、春にどう目を覚ますのか
4. 発芽の条件 ── 休眠・温度・光
あきに おちた たねは、ふゆを こして、春に あたたかく なると、たくさん 目を だす ことが あります[5]。
この たねは、光を うけると 目を さましやすい「こうこうせい」の たねです。にんじんや しゅんぎくも なかまです[1]。
だから たねを まく とき、土は ほんの うすく かけます。たねが かくれる くらいで よいと されます[5]。
ちょうど よい あたたかさは 20〜25度ほど。さむい 冬の しもには よわい 草です[5]。
冬をこして目を覚ます種
秋に自然に落ちた種は、休眠期を過ごし、翌春に気温が高くなると発芽するとされます[5]。ねむっている期間は条件によって変わります。畑や庭で毎年シソが出てくるのは、こぼれた種があるからです。
光で目を覚ます
種には、光に当たると発芽が促される「好光性」、光で抑えられる「嫌光性」、光の影響を受けにくい「中間性」があります。シソは好光性の例として、ニンジンやシュンギクと並べて挙げられます[1]。
ただし「光が絶対に要る」わけではなく、光で発芽が促される、という程度の性質です。種まきでは、覆土を種が隠れる程度に薄くするとよいとされます[5]。
発芽の適温は20〜25℃とされ、高温を好み、冬の霜には弱いといわれます[5]。春にまかれ、秋から冬に終わるという一年草の暮らしと合っています。
秋に落ちた種子は、休眠期間を経て、翌春に気温が上がると多数発芽するとされる[5]。休眠の長さは環境で変わる。毎年同じ場所で実生が出るのは、この脱粒種子による。
発芽には光も関わる。種子は、光で発芽が促進される好光性、抑制される嫌光性、影響を受けない中間性に分けられ、シソは好光性の例にあがる[1]。ただし「光が必須」と読み取るのは強すぎる。栽培では、覆土を種子が隠れる程度に極薄くする[5]。厚く土をかけると、光が届きにくくなるためと考えられる。
発芽適温は20〜25℃で、種苗会社の資料では22〜25℃とされる。高温を好み、冬の霜には弱い[5]。発芽温度が高いこと、霜に弱いこと、一年草であることは、春にまき秋に終わる一生とつながっている。
芽が出たあと、シソは何を目印に見分けられるのか。
5. しその くきと 葉は、どんな かたち?
5. 四角い茎と、向かい合う葉
5. 形態の特徴 ── 四角柱形の茎と対生の葉
しその くきは、よこから 見ると まるくなく、四角い かたちを して います[2]。
葉は、くきの 左右に 向かい合って つきます。ふちには、のこぎりのような ぎざぎざが あります[2]。
せの 高さは、数十センチから 1メートルほど[5]。上の ほうで、えだわかれを たくさん します[2]。
うえから 見ると 葉は どう ならんで いるか、そだてて いる人は 見て みると おもしろいかも しれません。
6. 赤しそと 青しそは、なにが ちがうの?
6. 赤と青のちがいと、一生が食卓の名前になる話
6. 赤ジソと青ジソ ── 色素の有無と収穫段階
赤しそは、赤い 色の もと(しきそ)を もって います。青しそには それが ありません[2]。もとは 赤しそで、青しそは その なかま(へんしゅ)と いわれます[5]。
しかも しそは、そだつ ようすに あわせて、なまえが かわります。
たねを まいて 15〜30日で とれる 小さな 葉は「め じそ」。うめぼしに つかう 赤しそは、6〜7月に とります[2]。
まく じきを ずらせば、め じそ、葉、ほ じそ、み じそと、つづけて たのしめます[2]。
シソは葉の色で、赤ジソ系と青ジソ系に分けられます。赤ジソは赤いアントシアン系の色素をもち、青ジソはもちません[2]。シソは本来は赤ジソで、青ジソはその変種とされます[5]。
シソの一生は、段階ごとに食卓での名前が変わります。芽ジソは種まきから15〜30日で収穫でき、梅干し用の赤ジソは6〜7月に収穫します[2]。種をまく時期をずらせば、芽ジソ、葉、穂ジソ、実ジソと続けて楽しめるとされます[2]。
葉ジソが年中あるのは、電照で花の段階に進ませないから。穂ジソや実ジソは、その手前で止めなかった株の姿です。同じ一生のどこで収穫するかで、食材の名前が変わるのです。
シソは葉色で赤ジソ系と青ジソ系に大別される。赤ジソ系は赤色のアントシアン系色素を含み、青ジソ系は含まない[2]。アントシアンは水に溶ける赤〜紫の色素である。シソは本来赤ジソで、青ジソはその変種と整理される[5]。花色も、赤ジソは淡紫、青ジソは白とされ、色素の有無と対応して見える[2]。
収穫段階によって、利用形態は分かれる。芽ジソは播種後15〜30日で収穫でき、周年栽培が可能。梅干し用の赤ジソは6〜7月に収穫する[2]。播種期をずらせば、芽ジソ・葉ジソ・穂ジソ・実ジソと連続して利用できる[2]。
つまり、一つの種が一生をたどる各段階が、そのまま食材の名前になっている。電照栽培は、その中で葉の段階を長く保つ操作として位置づけられる。
最後に、この草は人とどれほど長く付き合ってきたのかを見る。
7. しその なかまは、どれくらい むかしから あるの?
7. 1万年以上前の土器にも、シソの仲間の跡があった
7. 縄文時代の土器に残ったシソ属の跡と、鳥浜貝塚の種子
しずおかけんの おおしかくぼ いせきで、じょうもん時代の どきに、しその なかまの 実の あとが 見つかりました。およそ 1万2900〜1万2600年まえの ものです[6]。
これまでで いちばん ふるい れいより、2000〜3000年も さかのぼります[6]。
ただし「しその なかま」で、いまの しそと おなじとは 言いきれません。そだてて いたのかも、わかって いません[6]。
ふくいけんの とりはま かいづかからは、じょうもん時代の たねも 出て います。たねは、くすりとしても つかわれました[7]。
静岡県の大鹿窪遺跡から出た縄文時代草創期の土器に、シソ属の果実の跡(圧痕)が見つかり、約1万2900〜1万2600年前のものと発表されました[6]。これまで最古とされた千葉県の取掛西貝塚の例(約1万年前)より、2000〜3000年ほどさかのぼります[6]。
ただし「シソ属」であって、今のシソそのものと決まったわけではありません。人が育てていたのかどうかも、この発表からは分かりません[6]。
福井県の鳥浜貝塚では、縄文時代前期の種子が出土しています。種子は「紫蘇子」と呼ばれ、薬としても使われてきました[7]。
静岡県大鹿窪遺跡の縄文時代草創期の土器から、シソ属果実の圧痕が見つかった。暦年較正年代は約1万2900〜1万2600年前で、従来最古だった千葉県取掛西貝塚の約1万年前の例より、2000〜3000年遡る[6]。
ただしこれは「シソ属」の果実で、現在のシソと断定したものではない。栽培か野生かも、この報道の範囲では不明である[6]。
福井県の鳥浜貝塚からは、縄文時代前期のシソ属の種子が出土している。種子は紫蘇子として薬用にも使われた[7]。
種子が光で発芽し、こぼれ種で毎年更新される性質は、人が畑を設ける前から、この植物が生き続けてきた条件とも読める。ただし、この読みは資料が直接述べたものではなく、筆者の推測である。
8. しその 葉と くきを、じっくり 見て みよう
8. シソの葉の縁と茎を、じっくり見てみる
8. 観察 ── 葉・茎・葉の組を自分の株で確かめる
おうちに 青しその 葉が あれば、ふちの ぎざぎざを ゆびで なぞって みましょう。
うえきばちや はたけで そだてて いる人が いたら、くきを つまんで、四角いか たしかめて みましょう。葉が 向かい合って いるかも 見て みましょう。
よく 見る ときは、手を あらってから、そっと さわります。
今日できること
食べる前の青ジソを1枚手に取り、縁の鋸歯を指でなぞります。葉の筋の入り方と、縁のぎざぎざの大きさを見くらべると、1枚ごとのちがいに気づけます。
育てている場所があれば
庭や畑、プランターでシソが育っていたら、茎を指でつまんで四角いか確かめます。向かい合う葉の組を数え、花の穂が出た日を記録すると、葉の組が何組のころに花の準備に入るのか、自分の株で比べられます。
観察では、葉縁の鋸歯と葉脈の入り方を見比べ、茎を切らずに指でつまんで四角いか確かめ、対生の葉の組数を数えて記録できる。育てている場合は、葉の組数と花穂が出た日を記録して比べると、第4葉対と開花の関係[4]が自分の株でどう現れるか確かめられる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
使った資料と、使った事実の対応。ウェブ上の百科事典の記述は、事典や研究発表の記述とあわせて使った。
- コトバンク「シソ」(世界大百科事典・日本大百科全書) https://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%82%BD-766771 (茎・葉・花・赤青・収穫・電照栽培)
- コトバンク「短日植物」(日本大百科全書・世界大百科事典ほか) https://kotobank.jp/word/%E7%9F%AD%E6%97%A5%E6%A4%8D%E7%89%A9-95075 (夜の長さと花芽・光中断)
- Yun et al. 2023, Frontiers in Plant Science 14:1133518 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10108627/ (英語の総説。第4葉対・誘導後の日数)
- Wikipedia日本語版「シソ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%BD (発芽温度・休眠・覆土・変種の関係)
- マイナビニュース TECH+(2026年5月28日)中央大などの発表 https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260528-4516214/ (大鹿窪遺跡の土器の圧痕)
- コトバンク「シソ」(日本国語大辞典・食の医学館ほか) https://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%82%BD-2046081 (一年草・鳥浜貝塚)
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