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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ヒトデは、うでが とれても、どうして もとに もどるの?

ヒトデは失った腕をどうやって作り直すのか ── 材料の細胞と、腕1本から育つ「彗星」

ヒトデは失った腕をどう再生するのか ── 細胞の変化、腕から育つ種、再生力の違い

分野:生きもの

ヒトデの うでが ちぎれても、しばらくすると また のびて くる ことが あります。

ちぎれた うでの ほうから、あたらしい ヒトデが そだつ しゅるいも いる そうです。どんな しくみなのか、みて みましょう。

水族館や海辺で、腕の長さがそろっていないヒトデを見かけることがあります。なくなった腕を、ヒトデは自分の体でもう一度作っているのです。

その材料は何なのか。腕1本から体全体が育つ、というのは本当なのか。資料を照らし合わせながら、順にたどります。

ヒトデ(棘皮動物・ヒトデ綱)には、失った腕を再生する種がある。種によっては、切れた腕が新しい個体にまで育つ[4]。

ここでは、再生を担う細胞、腕1本からの個体再生の条件、棘皮動物内での再生力の差、再生時のエラーを、日本の研究機関の資料と英語の論文・データベースを突き合わせて整理する。査読前の論文や二次資料も含むため、出典ごとに確かさを添える。

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1. うでが ちぎれても、だいじょうぶな ヒトデが いる

1. ちぎれた腕が、もとにもどる

1. 腕を失っても再生する種がいる ── 白浜水族館の資料から

ヒトデの なかには、うでが ちぎれても、また もとの ように のびて くる ものが います[1]。

京都大学の 白浜しらはま水族館の しりょうでは、そういう ヒトデを「さいせいりょくの つよい ヒトデ」と しょうかいして います[1]。

トカゲの しっぽが また はえる はなしを きいた ことが ありますか。ヒトデも、うでを つくり なおせる ことが あります。ただし ぜんぶの ヒトデが できるわけでは ありません。

再生力の強いヒトデ

京都大学の白浜水族館が掲示している資料には、腕がちぎれてももとどおりになるほど、再生力の強いヒトデがいると書かれています[1]。

トカゲのしっぽが生え変わる話を思い出す人もいるでしょう。ヒトデも、失った部分を体の中から作り直せます。ただし、すべてのヒトデが同じようにできるわけではありません。

京都大学瀬戸臨海実験所の白浜水族館の掲示資料は、腕がちぎれても元どおりになるほど再生力の強いヒトデがいることを紹介している[1]。

まず再生を担う細胞を見てから、腕から個体が育つ条件や、種による違いをたどる。なお、再生力は種や損傷の部位によって異なり、ヒトデ全般に一律に成り立つ性質ではない。

2. あたらしい うでの ざいりょうは、なに?

2. 新しい腕の材料になる細胞

2. 再生を担う細胞 ── 脱分化・分化転換・移動

あたらしい うでは、どこから くるのでしょう。なくなった ところの ちかくに ある、からだの さいぼうが はたらく と かんがえられて います[2]。

さいぼうは、からだの 中の ちいさな つぶです。その さいぼうが、なにに なるか きまった すがたから、もういちど ちがう ものに なれる すがたに もどる。そんな うごきが ある そうです[2]。

ただし、「とくべつな さいぼうだけが つくる」と、いいきる ことは できません。

傷口の近くの細胞が動く

成体のヒトデでは、傷の近くにある組織の細胞が、役割の決まった状態からもとの状態に近づく「脱分化」や、別の種類の細胞に変わる「分化転換」、あるいは移動によって、新しい組織の材料になるとされています。査読前の論文(プレプリント)で示された説明です[2]。

体の内側をおおう細胞

棘皮動物(ヒトデ・ウニ・ナマコの仲間)の総説には、体の内側の空所をおおう細胞が、再生のときに脱分化して、組織を置き換える前の段階の細胞をまわりに送り出す、という趣旨が書かれています[3]。ヒトデだけの実験とは限りません。

「幹細胞だけが作る」と言い切れる段階ではなく、すでに役割をもった細胞が変身する部分も大きいようです。

成体ヒトデの再生を担う細胞機構は、局所組織に由来する細胞の脱分化・分化転換・移動と説明される。Marthasterias glacialis を用いた査読前の研究(bioRxiv)による[2]。

棘皮動物の体腔上皮は、再生時に脱分化と上皮-間充織転換を起こし、組織置換のための前駆細胞を供給するとされる[3]。ただし、これは棘皮動物全般についての総説であり、ヒトデ固有の実験結果とは限らない。

再生の主体は「決まった幹細胞」ではなく、脱分化した細胞や前駆細胞が中心という説明が主流だが、種・部位・組織ごとの詳細には未解明の部分がある。

3. うで 1本から、ヒトデ ぜんぶ?

3. 腕1本から体全体が育つ条件

3. 個体再生の条件 ── 中央盤の一部の残存と、種の限定

ヒトデの なかには、からだの まんなかの 一ぶが ついた うでの かけらから、あたらしい ヒトデが そだつ しゅるいが います[4]。

ただし、うでが 1ぽん のこって いれば かならず そだつ、と いう わけでは ありません。くわしい じょうけんは、まだ よく わかって いません。

これは、ぜんぶの ヒトデの はなしでは ありません。できる しゅるいは、かぎられて います[4]。

一部の種だけの話

棘皮動物の総説によると、ヒトデは腕などを再生できるうえ、種によっては、中央盤(体の中心部)の一部が残った腕の断片から個体全体を再生できるといいます[4]。ただし、そうした断片が残っていれば必ず全体が育つという単純な話ではなく、詳しい条件はまだよく分かっていません。

これは、どのヒトデにもあてはまる話ではありません。腕1本から個体全体を再生できるのは一部の種で、多くの種は腕を作り直すところまでです[4]。

資料によっては、腕1本から再生できる種の数を挙げていますが、数字が資料でそろわないため、ここでは「一部の種」とだけ書きます。

棘皮動物の総説は、ヒトデは腕などを再生し、種によっては中央盤の一部が残った腕の断片から個体全体を再生できると述べる[4]。ただし、そうした断片が残っていれば必ず個体全体に育つという単純な条件ではなく、詳しい生理的な条件は本稿の資料の範囲では分からない。

この現象は全種に及ばない。腕1本からの個体再生ができる種数についても、資料により記述が異なるため、本稿では数を採らない。

4. ほうきぼしの ような ヒトデ

4. 「彗星」と呼ばれる姿になった腕

4. コメット型の個体再生 ── ホウキボシ(Linckia)の場合

まんなかの からだが すこし ついた うでが ちぎれて、そのまま ひとりで いきる ヒトデが います。これを「コメット」と よびます[6]。

コメットは、ほうきぼしの ことです。ながい うでが しっぽで、ちいさく のびた うでが ほしに にて いるからです[7]。

ホウキボシの なかまの ヒトデでは、10か月ほど たつと、からだが はたらく ように なり、あたらしい うでが 1センチくらいに なった と いう きろくが あります[8]。すぐ もとの おおきさに もどる わけでは ありません。

切れた腕が1匹になる

ヒトデには、腕が中央の体の一部をつけたまま切れ、その腕が独立して生きて新しい個体になるものがいます。これを自切といいます。切れた腕は、長い腕が尾、そこから新しく育った小さな腕が星のように見え、彗星(コメット)に似ています[6][7]。

ゆっくり育つ

ホウキボシの仲間(Linckia属)の観察記録では、体の中に水をとりこむ穴のあるまるい板(多孔板)が現れるまで約6か月、約10か月で体が機能するようになり、新しい腕が約1センチ(10ミリ)になったと報告されています[8]。

このヒトデは、卵と精子でふやすほかに、体の一部が切れてふえる方法も使い、後者のほうが優勢とされます[7]。

自切では、腕が中央盤の一部を付けたまま切れ、独立して「コメット」として生活し、新個体になる。分裂では中央盤が2つに割れ、それぞれが欠損部を再生する[6]。

Linckia guildingii は有性生殖と無性生殖の両方を行い、無性生殖が優勢とされる。コメットは、長い腕が「尾」、小さな再生腕が「星」に見える[7]。無性生殖では、遺伝情報が親とほぼ同じ個体が生じる。

Linckia属の再生の経過は、多孔板の出現まで約6か月、約10か月で機能的になり新しい腕が約10mmに達した、と記録されている[8]。元の大きさに戻るまでには、さらに長い時間が要ると考えられる。なお、[6][8]は二次資料であり、一次論文での補強が望ましい。

5. ウニや ナマコは、どうかな

5. ウニ・ナマコとの差、そして再生のまちがい

5. 棘皮動物内の差異と、再生エラー

ヒトデの なかまの ウニや ナマコも、からだを つくり なおす ちからが あります。でも、ちからの つよさは ちがう そうです[4]。

ウニは、あまり つよく ない ほうです。ナマコは、いろいろな ところを つくり なおせます。ヒトデは、うでなどを つくり なおします[4]。

ヒトデは、つくり なおす とき、まれに まちがえる ことも あります。うでが ふたまたに なったり、かずが かわったり します[1]。

再生力の差

棘皮動物の総説では、ウニの再生力は棘皮動物の中でもっとも低く、ナマコの仲間は広い範囲を再生し、ヒトデは腕などを再生する、と整理されています。ただしウニも、まったく再生できないわけではありません[4]。

まれに起こる失敗

白浜水族館の資料には、腕を作り直すときにまれにエラーが起こり、腕が途中で二股になったり、数が変わったりすることがある、と書かれています[1]。同じ資料には、ヤツデヒトデのように、自分で体を二つに割って再生し、2匹にふえる種の紹介もあります。

棘皮動物の総説によれば、ウニは再生力がもっとも低く、ナマコ類は広範に再生し、ヒトデは腕などを再生し、種によっては残った腕から個体全体を再生できる[4]。ウニも一部の再生は可能で、「再生しない」わけではない。

白浜水族館の掲示資料は、再生時にまれにエラーが発生し、腕が二股になる、腕の数が変わるといった形になることを述べる。また、ヤツデヒトデなどは体を自分で二分して再生し、個体数がふえる[1]。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

かみに、うでが 5本ある ヒトデを かいて みましょう。1本 けしたら、のこりの ヒトデは どこが あれば もとに もどれそうか、よそうして みて ください。

本や ホームページで しらべるなら、白浜しらはま水族館の しりょうが 日本語で 読めます。

今日できること:紙にヒトデの絵をかき、腕を1本消してみましょう。残った体のどの部分があれば、もとにもどれそうか、予想を書いておきます。あとで資料を読んで、答え合わせをしてみてください。

公式情報:白浜水族館の資料は、日本語で読めます。腕の長さがちがうヒトデを見かけたら、どんなことが考えられるか、自分の予想を書いてみるのもよいでしょう。

日本語で読める資料として、白浜水族館の掲示資料[1]と、ナショナル ジオグラフィック日本版の記事[5]がある。

細胞のしくみは、査読前の論文[2]と、棘皮動物の総説[3][4]が英語で読める。数値や条件は種で異なるため、どの種の話かを確かめながら読むとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:研究機関の資料、学術論文(査読前のものを含む)、百科事典的資料、報道を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 京都大学 瀬戸臨海実験所 白浜水族館「ヒトデの再生力」(掲示資料PDF)。https://www.seto.kyoto-u.ac.jp/shirahama_aqua/wp-content/uploads/2023/03/hitode-saisei.pdf (再生力の強いヒトデ、再生時のエラー、ヤツデヒトデの分裂の紹介)
  2. Magalhães ほか (2022) Marthasterias glacialis の再生の研究(bioRxiv、査読前)。https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2022.10.24.513254.full.pdf (再生を担う細胞の説明)
  3. Cell and Tissue Research (2022)「More than a simple epithelial layer」。https://doi.org/10.1007/s00441-022-03678-x (体腔上皮の細胞の役割。要旨で確認)
  4. Frontiers in Cell and Developmental Biology (2021)「Regeneration in Echinoderms: Molecular Advancements」。https://doi.org/10.3389/fcell.2021.768641 (ウニ・ナマコ・ヒトデの再生力の差)
  5. ナショナル ジオグラフィック日本版「再生能力を持つ生物、代表5種」。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/ (再生能力を持つ生物の紹介。個別記事は上記サイト内で検索)
  6. Wikipedia「Asexual reproduction in starfish」。https://en.wikipedia.org/wiki/Asexual_reproduction_in_starfish (自切と分裂の説明。二次資料)
  7. Animal Diversity Web「Linckia guildingii」。https://animaldiversity.org/accounts/Linckia_guildingii/ (コメットの形、無性生殖が優勢という説明)
  8. Wikipedia「Linckia guildingii」。https://en.wikipedia.org/wiki/Linckia_guildingii (再生にかかる期間の記録。二次資料)

なおした ところ

更新履歴

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