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水干絵具すいひえのぐと 胡粉ごふんは、なにが ちがうの?

水干絵具と胡粉は、何がちがい、どうつながっているのか

土から作る水干絵具と、貝殻から作る胡粉は、どこがちがい、どこでつながるのか

分野:歴史・文化

日本画の 白い 絵具、「胡粉ごふん」は、貝殻かいがらから できて います。ところが 土の 絵具の なかまの 水干絵具すいひえのぐにも、この 白い 粉こなに 色を そめて 作る ものが あります[1]。

土と 貝殻かいがらの 絵具が、どうして つながるのでしょう。ふたつの ちがいと、つかい分けと、つながりかたが わかります。

日本画の白い絵具として知られる胡粉は、カキやハマグリなどの貝殻から作られます[2]。一方の水干絵具は土の絵具です。ところが、水干絵具と呼ばれるものの中には、この胡粉に染料を加えて作るものがあります[1]。

貝殻の粉と土の絵具が、なぜ同じ仲間に入るのでしょうか。原料のちがい、粒の大きさによる使い分け、二つがつながる場所が分かります。

胡粉は貝殻、水干絵具は土が原料である。そう分けて覚えた人は多いだろう。しかし武蔵野美術大学の用語集によれば、水干絵具には、胡粉または白土に染料を加えて作る人工のものも含まれる[1]。胡粉は水干絵具と無関係な別の絵具ではなく、その材料にもなる関係にある。

では、土の絵具と貝殻の絵具は、性質と使い道でどう分かれ、どの点で重なるのか。原料、粒の大きさ、色の作り方、膠との関係を複数の資料で照らし、そのつながりが分かるように書く。

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1. 土の 絵具と 貝殻かいがらの 絵具は、どこが ちがうの?

1. 名前は似ているのに、もとになるものがちがう

1. 原料と質感で見ると、水干絵具と胡粉はどう分かれるか

日本画の 絵具には、もとに なる ものが ちがう なかまが あります[3]。水干絵具すいひえのぐは 土が もとで、胡粉ごふんは 貝殻かいがらから 作ります。岩絵具いわえのぐは 石が もとの、すなのような 粉こなです。

水干絵具すいひえのぐは、どろ絵具とも よばれます[1]。のびが よくて、ぬると つやの ない 色に なります。胡粉ごふんも つやが なく、なめらかな 白に なります[2]。

大きな ちがいは「土か、貝殻かいがらか」です。でも、話は ここで おわりません。水干絵具すいひえのぐの 中には、胡粉ごふんに 色を そめて 作る ものも あるのです。それは あとで 見て いきます。

日本画の絵具の名前には、岩絵具・水干絵具・胡粉が出てきます。どれも細かい粉を膠で溶いて使うので、名前だけでは見分けにくいかもしれません。分かれ目は、何から作るかです。水干絵具は土、胡粉は貝殻、岩絵具は鉱石が原料の砂のような粉末と、和樂webは整理しています[3]。

使い心地にも特徴があります。水干絵具は、天然の泥に由来する細かい粒を含み、泥絵具という別名があります。伸びがよく、塗るとつや消しの質感になります[1]。胡粉もつや消しで、なめらかな質感を生みます[2]。

ただ、「水干絵具は土、胡粉は貝殻」と分けるだけでは、話の半分です。水干絵具の中には、胡粉を材料にして作られるものがあるからです。そこへ行く前に、まず土と貝殻それぞれの絵具が、どう使われているのかを見ましょう。

日本画の絵具を原料で分けると、水干絵具は土、胡粉は貝殻、岩絵具は鉱石である。岩絵具は砂のような粉末で、水干絵具は微粒子で伸びがよい、と和樂webは整理している[3]。粒の細かさが質感の差を生む、という構図である。

武蔵野美術大学の用語集は、水干絵具を「天然の泥に由来する細かい粒子を含む日本画の絵具」とし、泥絵具の別名と、伸びのよさ、つや消しの質感を挙げる[1]。胡粉の項は、カキ・ハマグリ・ホタテなどの貝殻から作る白色顔料で、主成分は炭酸カルシウム、やはりつや消しでなめらかな質感だと説明する[2]。質感は似ているのに原料は土と貝殻で、ここまでは二つの絵具の「別々の顔」である。

ところが同じ用語集は、水干絵具の人工のものを、胡粉または白土に染料を加えて作ると書く[1]。この一文のせいで、「水干=土だけ」という覚え方は正確でなくなる。原料の分類と絵具の呼び名が、きれいに一対一で対応しているわけではないのである。この節ではその前提だけ置き、まず土の側から調べる。

2. 土の 絵具は、どうやって いろいろな 色に なるの?

2. 土を水で分けると、色の濃さが変わる

2. 水簸で粒の大きさをそろえると、なぜ色の幅が出るのか

土から とる 水干絵具すいひえのぐは、土を 水で 分けて 作ります[1]。水に 土を 入れて まぜると、あらい 粒つぶは はやく しずみ、細かい 粒つぶは ゆっくり しずみます。この しずむ はやさの ちがいを 使うのです。

黄色い 土からは、こい 色から、うすい 色まで、いろいろな 色が とれます。さらに 細かい 粒つぶほど、明るい 色に なると 書かれています。ひとつの 土から、色の ならびが できるのですね。

では 白い 絵具の 胡粉ごふんは、どう 使われるのでしょう。じつは 胡粉ごふんも、粉こなの 粒つぶの 大きさで 役目が かわります。

天然の水干絵具は、土を水で選り分けて作ります。たとえば黄土は、粒の沈む速さの差を使う「水簸」という方法で、濃い黄土、淡い黄土、さらに細かい粒の淡い色、というふうに分かれていきます。粒が細かいほど、明るい色調になると説明されています[1]。

一つの土から、粒の大きさを手がかりに、色の濃さの違う絵具が何段階も取れるわけです。色の幅を、粒の大きさ、つまり「選り分ける水」が作っています。

天然のものも人工のものも、天日で乾かして精製すると、この用語集は説明します。土の絵具は、手間をかけて粒をそろえ、乾かし、はじめて絵具になります。

土の側の絵具が、粒の選り分けで色を変えるなら、貝殻の側はどうでしょう。胡粉も実は、粒の大きさがものをいう絵具です。

水干絵具の天然のものは、土を水で選り分けて作る。MAUの用語集によると、黄土は水簸で濃い黄土、淡い黄土、さらに細かい粒の淡い黄土へと分けられ、より細かい粒ほど明るい色調になる[1]。水簸とは、粒の沈む速さの差を利用した分け方である。同じ水の中では、大きい粒のほうが早く沈むため、沈む順番が粒の大きさの順になる。

ここで大事なのは、色を足しているのではなく、同じ土を粒の大きさで分けているだけで色の濃さが変わる点だ。たとえば同じ黄土でも、より細かい粒に分けたものは明るい色調になる。用語集は「細かい粒ほど明るい」という結果を述べており、ここでは結果として受け取っておく。

乾燥の工程も同じ用語集に書かれている。天然の水干絵具も人工のものも、天日で乾かして精製する[1]。水簸で分けて、干して、粉に戻す。この手間が、絵具を安定した粒にそろえる。

では、貝殻の絵具である胡粉は、粒の大きさとどう関係するのか。土の絵具が「粒で色を変える」とすれば、胡粉は何を変えて使われるのか。次の節で、使い分けの中身を見る。

3. 白い 胡粉ごふんは、粉こなの 大きさで 何が かわるの?

3. 貝殻の白い粉は、粒の大きさで役目が変わる

3. 胡粉は白一色の絵具か ── 粒の大きさ、混色、昔の「胡粉」

胡粉ごふんは、カキや ハマグリ、ホタテなどの 貝殻かいがらから 作る 白い 顔料がんりょうです[2]。ふとい 粉こなと 細かい 粉こなが あり、役目が ちがいます。

細かい 粉こなは、やわらかい 色です。絵の 上に ぬって、仕上げに 使います。あらい 粉こなは、白さが 強くて、下の 色を よく かくします。だから 下ぬりや、ぬった ところを もりあげる ときに 使います[2]。

白い 絵具なのに、ほかの 絵具と まぜる ことも あります。墨すみと まぜた ものは「ぐずみ」と よばれ、色を ととのえる 役に なります[2]。

胡粉は、カキ・ハマグリ・ホタテなどの貝殻から作る白色顔料で、主成分は炭酸カルシウムです[2]。作り方は、資料によって説明が少し違います。MAUの用語集は貝殻を長年風化させて表面の不純物を取り、粉砕して水簸すると説明し、JAANUSは貝殻を加熱して粉砕したものだと説明します[5]。資料によって製法の説明は異なるので、貝殻を細かい粉にした白、と覚えておけば十分です。

胡粉の面白いところは、粒の大きさで使い道が分かれることです。細かい粉はやわらかな色合いで、上塗りや仕上げに向きます。粗い粉は白くて隠す力が強く、下塗りや盛り上げに使います[2]。同じ貝殻の粉なのに、細かさしだいで「仕上げの白」にも「下から支える白」にもなるのです。

さらに、胡粉は白いまま使うだけではありません。墨と混ぜたものを具墨、朱と混ぜたものを朱絵具と呼び、色の調整にも使われます[2]。白い絵具は、ほかの色を薄めたり整えたりする土台にもなります。

胡粉の名前は古くからあり、室町時代から使われてきたとされます。瀬戸内海沿岸で採れたカキやハマグリの殻が原料だという説明もあります。ただし15世紀以前は、「胡粉」の語が鉛白を指す場合もありました[5]。昔の文献で「胡粉」と出てきても、貝殻の粉とは限りません。

さて、白くて、混ぜると色を整える胡粉。この白い粉に、色を染めたらどうなるでしょう。ここに水干絵具とのつながりがあります。

胡粉は貝殻から作る白色顔料で、主成分は炭酸カルシウムである[2]。製法の説明は資料によって分かれる。MAUの用語集は、貝殻を何年も風化させて表面の不純物を除き、粉砕・水簸して粉にするとし、JAANUSの胡粉の項は、瀬戸内海沿岸のカキ・ハマグリの殻を加熱して粉砕した炭酸カルシウムの粉とする[5]。「風化」と「加熱」のどちらが正しいか、あるいは時代や工房で違うのかは、これらの資料だけでは決められない。したがって、工程の順序は断定せず、「貝殻を細かい粉にしたもの」とだけ言うのが安全である。

胡粉の使い方で目を引くのは、粒の大きさによる役割分担だ。MAUの用語集によると、細かい粉は色がやわらかく、上塗りや仕上げに使われる。粗い粉は白くて隠蔽力が高いため、下塗りや盛り上げに向く[2]。粗いほど下の色を隠せる、というのは、細かいほど明るくなる土の絵具とは別の方向の性質で、同じ「粒を選ぶ」でも目的が違う。

胡粉は白のまま使うだけでもない。墨との混色を具墨、朱との混色を朱絵具と呼ぶ例が挙げられ[2]、白は色の濃さを調整する側にも回る。

時代の問題もある。胡粉は室町時代から使われてきた白色顔料とされ、瀬戸内海沿岸のカキやハマグリの殻が原料だという。ところが15世紀以前は、「胡粉」の語が鉛白を指すこともあった[5]。そのため、古い記録の「胡粉」を貝殻の絵具と読むと、実際の材料を取り違える場合がある。名前から原料を決めつけられない例が、ここにもある。

貝殻の白が、粒を選び、他の色と混ざって色を整える。ならば、この白に染料を混ぜるとどうなるか。用語集が書く「人工の水干絵具」は、まさにそこに行き着く。

4. 白い 胡粉ごふんに 色を そめると、どうなるの?

4. 白い胡粉に染料を加えると、水干絵具になる

4. 「水干=土だけ」が正確でない理由 ── 胡粉を染めた人工の水干絵具

水干絵具すいひえのぐには、土から 作る ものの ほかに、人が 作る ものも あります。白い 胡粉ごふんや 白い 土に、藍あいなどの 染料せんりょうを くわえて、色を つけた ものです[1]。

水干絵具すいひえのぐは 土だけ、と 思いがちです。でも、胡粉ごふんに 色を そめた 絵具も、水干絵具すいひえのぐと よばれる ことが あるのです。胡粉ごふんは 水干絵具すいひえのぐの もとにも なります。

土の 水干絵具すいひえのぐも、色を そめた 水干絵具すいひえのぐも、お日さまの 下で かわかして つくる、と 書かれて います。

この用語集では、水干絵具の中に人工のものがあります。MAUの用語集は、人工の水干絵具を、胡粉または白土に、藍のような天然の染料や、色のついた化学染料を加えて作るものと説明します[1]。つまり、貝殻の白い粉である胡粉に色を染みこませたものも、水干絵具の仲間に入ります。

ここで、最初の疑問に答えが出ます。水干絵具と胡粉は、原料のうえでは土と貝殻で別物です。しかし胡粉が水干絵具の材料の一つになるため、二つは完全に別の棚には置けません。「水干絵具は土から作る」という覚え方は、天然のものについては正しくても、人工のものまでは言い表せません。

天然のものも人工のものも、天日で乾かして精製するという点は共通しています。土から取った絵具も、白い粉を染めた絵具も、同じ「水干絵具」として、似た作業を通っていくのです[1]。

ところで、粉のままの絵具は、紙にくっつきません。その役目を引き受けるのが、膠です。

MAUの用語集は、人工の水干絵具を、胡粉または白土に藍などの天然染料、あるいは化学染料を加えて作るものと説明する[1]。ここが、題名の問いの答えの要になる。水干絵具と胡粉は、原料では土と貝殻に分かれるが、胡粉は人工の水干絵具の原料にもなる。したがって、「水干=土」「胡粉=貝殻」と片方ずつ覚えるだけでは、二つの関係を説明できない。

この用語集の分類に従えば、「水干絵具」の中には、土を水簸して作る天然のものと、胡粉や白土に染料を加えた人工のものが含まれる。つまり水干絵具という名前は、原料が土であることだけを意味していない。同じ用語集が冒頭で「天然の泥に由来する細かい粒子を含む」と述べるのは、天然のものを念頭に置いた定義と読める。ただし、この分類が日本画の世界全体で共通かどうかは、今回あたった資料だけでは言い切れない。

天日で乾かして精製するという工程は、天然と人工の両方に共通すると書かれている[1]。染めた胡粉も、土を分けた粉も、最後は同じように乾かして仕上げる。工程が共通なら、使う側にとっては「水干絵具」として扱う一つの棚にまとまる。これは用語集の記述から読める範囲の推測で、使う人がどう呼ぶかは別に確かめる必要がある。

では、土の粉も、染めた胡粉も、そのままでは紙に定着しない。何がそれらを紙にとどめ、さらに下地として働かせているのか。最後の節で、膠と下地の関係を見る。

5. 粉こなの 絵具は、どうして 紙に くっつくの?

5. 膠が粉を紙にとめ、水干絵具は下地になる

5. 粉を紙にとめる膠の役目と、下地としての水干絵具

絵具の 粉こなだけでは、紙に くっつきません。そこで 膠にかわを つかいます。胡粉ごふんも 水干絵具すいひえのぐも、膠にかわの 液えきと まぜて 紙に ぬります[4]。

膠にかわは、のりの ような ものです。むかしから 使われて きた のりで、日本画では 絵具や 下地を とめる はたらきを します[4]。

水干絵具すいひえのぐは、岩絵具いわえのぐより 安いと されて います。岩絵具いわえのぐを ぬる 前の 下地に 主に 使われます。紙の すきまを うめて、上の 岩絵具いわえのぐが くっつくのを たすけます[1]。

土の 絵具は、ひとつだけの 役では ありません。下地にも なり、絵の 色にも なります。

胡粉も水干絵具も、粉のままでは紙にとまりません。膠を溶かした液と混ぜて塗ります。膠は古くから使われてきた接着剤で、日本画では顔料や下地をとめる役目をします[4]。

水干絵具は、岩絵具より安価とされ、主に岩絵具を塗る前の下地に使われます。和紙の細かい目を埋め、上に塗る岩絵具がしっかりのるのを助ける、という説明です[1]。ただし「主に」下地であって、下地専用の絵具ではありません。伸びのよい土の絵具は、そのまま絵の色としても使われます。

こうして見ると、水干絵具と胡粉の関係が見えてきます。土から取った粒を選り分ける水干絵具、貝殻を粉にして粒を使い分ける胡粉、その白に色を染めた水干絵具。どれも膠で紙にとめられ、岩絵具の下から、上から、日本画を支えています。

鳥取県の解説は、膠が古くから使われてきた接着剤で、日本画などを描くときに顔料や下地のバインダーとして用いられる、と述べる[4]。胡粉も水干絵具も、膠の液と混ぜて塗ることで、紙にとめられる絵具として使われる。

水干絵具の役割として、MAUの用語集は岩絵具を塗る前の下地を第一に挙げる。岩絵具より安価とされ、和紙の目を埋め、上に塗る岩絵具の定着を助けるという[1]。一方で「主に」下地とされる以上、下地専用とは言えない。そのまま絵の色になる場面もあると読める。

ここまでの話をつなげると、次のようになる。土を水簸で分けた粉、貝殻を粉にして粒を使い分ける胡粉、胡粉に染料を加えた水干絵具は、すべて膠で紙にとめられる。岩絵具のような粗い粒の絵具を塗る前に、細かい水干絵具で和紙の目を埋めておく。粗い粒と細かい粒の組み合わせで、紙の上に層を重ねているわけだ。

なお、これらの資料は用語集と自治体の解説であり、実際の画家の技法には流派や時代による違いがあると考えられる。水干絵具の隠蔽力が岩絵具より高いかどうか、粒径を数字で比べた資料は、今回の範囲には含まれていない。水干絵具と岩絵具が実際にどう使い分けられているかは、日本画の作品解説を読み比べると見えてくるだろう。

6. 土と 水で、粒つぶの わかれかたを 見て みよう

6. 土と水で、粒が沈む速さの差を見てみよう

6. 沈む速さの差を、家の土で観察する

ペットボトルに、庭や うえきばちの 土を すこし 入れます。水を 7わりほど 入れ、ふたを して、よく ふります。

つくえに おいて、5分、30分、1時間と、見て みましょう。あらい 粒つぶほど はやく しずむ ようすが 見られます。細かい 粒つぶは、しばらく 水を にごらせる ことが あります。土によって 見え方は ちがいます。水干絵具すいひえのぐを 作る ときと 同じ、しずむ はやさの ちがいです。ふって 少し たったら、底そこに たまった 粒つぶと、水の にごりを 見くらべて みましょう。

やったあとの 手は、よく あらいます。土の まじった 水は、台所の 流しではなく、庭に もどしましょう。

日本画を 見る ときは、日本語の 作品の 説明せつめいが あれば、水干絵具すいひえのぐ、胡粉ごふん、岩絵具いわえのぐの どれが 書いて あるか、さがして みると おもしろいですよ。

水簸の考え方は、家の土でも試せます。透明なペットボトルに、庭や植木鉢の土を少し入れ、水を7割ほど加えて、ふたをしてよく振ります。机の上に置き、5分後、30分後、1時間後の様子を比べてください。粗い粒ほど先に沈む傾向が見られ、細かい粒はしばらく水をにごらせることがあります。土によって見え方は変わります。

これは粒の沈む速さの差を見るだけの観察で、絵具作りの手順そのものではありません。終わったら手をよく洗い、土の混じった水は台所の流しではなく、庭に戻します。

美術館や画集の日本語の作品解説で日本画を見るときは、水干絵具・胡粉・岩絵具のどれが書かれているかを探すと、絵の見え方が変わるかもしれません。胡粉の白がやわらかく見えるか、強く見えるか。そこに、粒の大きさの手がかりがあるかもしれません。

水干絵具と胡粉の説明は、武蔵野美術大学の用語集(英語併記)にあります。書かれている内容をもとに、このノートで日本語にしました。

観察は簡単である。透明なペットボトルに、庭や植木鉢の土を少し入れ、水を7割ほど加えて振る。机に置いて5分後・30分後・1時間後を比べると、粗い粒ほど先に底に積もる傾向が見られ、細かい粒はしばらく水をにごらせることがある。土によって見え方は変わる。振った後は、底にたまる粒と、水のにごりを分けて見るとよい。これが、水簸の背後にある考え方の小さな再現である。

注意点は二つある。この観察は沈む速さの差を見るだけで、絵具の製法そのものではない。また、土の混じった水は流しにたまってつまりやすいので、庭に戻す。作業のあとは手を洗う。

資料にあたるなら、武蔵野美術大学のArt & Design Glossary(水干絵具・胡粉の項)が原典に近い。英語併記だが、短くて読みやすい。胡粉の製法の違い(風化と加熱)や、昔の「胡粉」が鉛白を指した例は、JAANUSの胡粉の項と読み比べると、資料ごとの説明の差が見える。

水干絵具と胡粉のつながりを知ると、日本画の解説文の絵具の名前が、「原料」ではなく「どんな粒で、どう使うか」の分類にも見えてくる。展覧会で出会う絵の白い部分が、貝殻なのか、染めた粉なのか。そう考えながら見ると、一枚の絵がすこし違って見えるだろう。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実は、次の資料にもとづく。

  1. 武蔵野美術大学 Art & Design Glossary「水干絵具」。https://art-design-glossary.musabi.ac.jp/?p=3630 (水干絵具の定義、水簸、人工の水干絵具、下地としての用途について。大学の用語集)
  2. 武蔵野美術大学 Art & Design Glossary「胡粉」。https://art-design-glossary.musabi.ac.jp/?p=3319 (胡粉の原料、粒の大きさによる使い分け、混色について。大学の用語集)
  3. 和樂web「日本画の絵具」の解説。https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/76641/ (岩絵具・水干絵具・胡粉の原料の分類について。解説記事)
  4. 鳥取県「胡粉・膠の解説」。https://www.pref.tottori.lg.jp/98062.htm (膠の役目について。公的機関)
  5. JAANUS 日本建築・美術用語集「胡粉」。https://aisf.or.jp/~jaanus/deta/g/gofun.htm (胡粉の歴史と製法の説明について。用語集)

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