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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

歯ブラシには、どうして ほそい 毛が たくさん ついて いるの?

歯ブラシには、なぜ細い毛がたくさんついているのか

歯ブラシの毛はなぜ細くて多いのか ── うがいで落ちない歯垢と、毛先の働き

分野:からだ

歯ブラシを ぎゅっと 強く おすと、いちばん よごれを とって くれる ところが、はねて しまう ことが あります。

では、どうして 歯ブラシには、ほそい 毛が たくさん ついて いるのでしょう。さきに こたえを いうと、よごれを とるのは 毛の 先で、ほそい 毛先は 歯と 歯の すきまに 入りやすいと せつめいされて います[4]。だから、ほそい 毛先が たくさん あるほど、でこぼこした 歯の 面や すきまに 毛先が ふれやすく なると 考えられます。

歯ブラシを強く押しつけると、いちばん汚れを取ってくれるはずの毛先が、はねてしまうことがあります。日本歯周病学会の雑誌の解説でも、押す力が強いと毛先がはねて、バイオフィルム(細菌がつくる膜)を効率よく落とせないと述べられています[4]。

では、なぜ毛は細くてたくさんなのでしょうか。汚れを落とす主役は毛先で、細い毛先は歯と歯のあいだや歯ぐきの縁に届きやすいと説明されています[4]。だから、細い毛先がたくさんあるほど、でこぼこした歯の面や歯と歯のすき間に毛先が触れやすくなると考えられます。毛の本数どうしを直接比べた資料は見つけていないので、これは資料を組み合わせた見方です。毛先の働きを知ると、力を入れるとかえって落ちにくい理由や、歯ブラシの選び方も分かります。

歯ブラシで汚れを落とすとき、力を入れるほど効果が上がるとは限らない。日本歯周病学会会誌の解説は、ブラッシング圧が強いと毛先がはねてしまい、バイオフィルムを効率よく除去できなくなると述べる[4]。しかも、除去の主役は毛の腹ではなく毛先である。

では、なぜ毛は細く、しかも大量に植えられているのか。先に答えの見通しを書いておく。同じ解説は、毛先を細く加工した歯ブラシは隣接面や段差に入りやすいと述べる[4]。毛先が除去の主役で、細い毛先が狭い場所に入りやすいなら、細い毛先が多いほど、でこぼこした歯の面や歯と歯のすき間に毛先が触れやすくなると考えられる。毛の太さや本数を直接比べた資料は今回見つけていないので、これは推論として扱う。この問いを、歯垢の性質、毛先の働き、圧力と硬さの関係、素材の変遷、そして歯ブラシの限界までたどると、毛の設計が「毛先で、そっと、確実にこする」ことに集約されていく理由が分かる。

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1. うがいで とれない「ぬるぬる」って、なに?

1. うがいでは取れない「ぬるぬる」の正体

1. 歯垢(プラーク)── 水で流れない細菌の膜

歯の 表面に、ぬるぬる、ねばねばした ものが つくことが あります。これは「しこう」と よばれ、さいきんという 小さな いきものが あつまって できた かたまり だと いわれます[1]。

ねばねばして いるので、うがいを して 水を 口に ふくんでも、かんたんには とれません[3]。歯ブラシなどで こすり とるのが きほんと されて います[2]。

たとえば、おさらに ついた あぶらよごれは、水を かけるだけでは おちにくいですね。スポンジで こすると おちます。歯ブラシも、にた しごとを して います。ただし、歯は おさらよりも ずっと ふくざつな かたちを して います。

では、歯ブラシの 毛の どこが、その よごれを こすって いるのでしょう。

歯の表面についた、ぬるぬる、ねばねばしたもの。これが歯垢(プラーク)で、細菌が集まってできた塊(バイオフィルム)と説明されます[1]。台所の排水口のぬめりに似ていますが、口の中のものは歯の表面にしっかりくっついています。

粘着性が強いため、水でうがいをしても取れません[3]。歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどで機械的にこすり取ることが基本とされています[2]。つまり歯ブラシは、「水では流せない膜を、こすって剥がす」ための道具です。

お皿についた油汚れも、水を流すだけでは落ちず、スポンジでこすると落ちます。歯ブラシの毛は、そのスポンジの代わりにあたります。ただし歯は、お皿のような平らな面ではありません。デコボコや隙間のある複雑な形をしています。

そうなると、毛のどこが、どのように汚れに触れているのかが気になります。

うがいで取れないぬるぬるとは何か。歯垢(プラーク)は、細菌が集まってできたバイオフィルムとして説明される[1]。粘着性が強いため、水で口をすすぐだけでは除去できず[3]、歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスなどで機械的に取り除くことが基本とされる[2]。

厚生労働省のe-ヘルスネットは、セルフケアでプラークを毎日完全に取り除くのは難しいと考えられている、という趣旨の説明も載せている[1]。だから、毎日こすって、ためすぎないようにする。

水で流れない膜を取るには、物理的にこする道具が要る。では、こする役目の毛のうち、どの部分が実際に働いているのか。

2. 毛の どこが、よごれを とって いるの?

2. 汚れを落としているのは、毛の「先」

2. 毛先の細さ ── テーパー加工と「届く」ということ

この 章で、だいめいの こたえが 見えて きます。ほそい 毛先が たくさん あるほど、でこぼこした 歯の 面や、歯と 歯の すきまに、毛先が ふれやすく なると 考えられます。その わけを、じゅんに 見て いきましょう。

歯ブラシの 毛の 中で、いちばん よごれを とるのは、毛の 先の ぶぶんだと せつめいされて います[4]。

さらに、毛の 先を 細く けずった 歯ブラシが あります。「テーパー」と いう 作り かたです。先が 細いと、歯と 歯の すきまや、歯ぐきの ふちに とどきやすい のです[4]。

ライオンという 会社は、とても 細くて やわらかい 毛先が、歯と 歯ぐきの あいだの ふかい みぞまで とどくと せつめいして います[5]。これは 会社の せつめいなので、ぜんぶの 人に いちばん よいと いう わけでは ありません。

毛の 数を くらべた しりょうは 見つけて いないので、さいしょの こたえは「考えられる」と いう 見かたです。ただ、毛先は 強く おすと、こまった ことが おきます。

題名の問いへの答えを先に書くと、細い毛先がたくさんあるほど、でこぼこした歯の面や歯と歯のすき間に毛先が触れやすくなるから、と考えられます。その根拠を順に見ていきます。

歯ブラシがもっとも効果的にプラークを取り除けるのは、毛先の部分だと、日本歯周病学会会誌の解説にあります[4]。毛の途中や根元ではなく、毛先が主役ということです。

毛先を細く加工した「テーパー加工」の歯ブラシは、歯と歯のあいだや、歯ぐきの縁(辺縁歯肉)に毛先が届きやすいと説明されています[4]。ライオンも、毛先が細くしなやかな「超極細毛」が歯周ポケットの内側まで届いて、バイオフィルムをかき出すと紹介しています[5]。ただし、これはメーカー自身による説明です。

毛先が主役であることと、細い毛先は狭い場所に届きやすいことを組み合わせたのが、はじめの答えです。毛1本の太さや本数を直接比べた資料は今回の範囲になかったので、「考えられる」という見方にとどめています。

ところが、毛先が主役だからこそ、力の入れ方で結果が変わってしまいます。

この章の答えを先に示す。細い毛先が多いほど、でこぼこした歯の面や歯と歯のすき間に毛先が触れやすくなる、と考えられる。以下はその根拠である。

毛のどの部分が働くのか。日本歯周病学会会誌の解説によれば、歯ブラシが最も効果的にプラークを除去できるのは毛先の部分である[4]。毛の腹や根元ではないという点が、設計を考える出発点になる。

同じ解説は、毛先を細く加工したテーパー加工の歯ブラシが、隣接面や補綴物との段差に入りやすく、歯間部や辺縁歯肉部に届きやすいと述べる[4]。ライオンの研究紹介は、毛先が細くしなやかな「超極細毛」が従来のハブラシでは取りにくかった歯周ポケット内部にまで届くとする[5]。ただしこれはメーカー自身の説明である。

毛先が働くことと、細い毛先は狭い場所に届きやすいこと。資料が示すのはこの2点までで、毛の太さや本数を直接比べた資料は今回見つけていない。冒頭の答えは、この2点を組み合わせた推論である。確かな事実と、そこから導いた見方は分けて読みたい。

ただし毛先は、働き者であるぶん、力の影響を最も受けやすい部分でもある。

3. つよく おすと、どうして かえって おちにくいの?

3. 強く押すと、毛先がはねてしまう

3. ブラッシング圧と毛先のはね ── 「軽くしなる程度」の意味

ぎゅっと 力を 入れると、毛先が はねて しまいます。そうなると、いちばん はたらく 毛先が、歯の 表面から はなれて しまい、よごれを うまく とれなく なります[4]。

目安は、毛先が ひらかずに、かるく しなる くらいの 力です[3]。

うごかしかたも 大事です。毛先を 歯と 歯ぐきの さかいめに あてて、歯 1〜2本ぶん(5〜10ミリくらい)を、こまかく うごかします[3]。大きく ごしごし うごかす より、小さく ていねいに、が 合って いる ようです。

毛先が ひらいて しまった 歯ブラシは、よごれを おとす ちからが さがります。1か月に 1回、とりかえるのが めやすと されて います[3]。

では、毛を もっと かたくすれば、もっと おちるのでしょうか。

力を入れるほど汚れが落ちそうですが、日本歯周病学会会誌の解説は逆のことを述べています。ブラッシング圧が強いと毛先がはねてしまい、バイオフィルムを効率よく除去できないというのです[4]。いちばん働く毛先が歯の表面から浮いてしまうので、強く押したほうが損になりかねません。

横浜市磯子区の歯みがきの案内は、毛先が広がらず、軽くしなる程度を力の目安にしています。そして、毛先を歯と歯ぐきの境目に当て、歯1〜2本分(5〜10mmほど)を小刻みに動かすよう勧めています[3]。毛先が広がった歯ブラシは清掃効率が落ち、雑菌も増えやすいため、1か月に1回の交換が目安とされています[3]。

では、毛をかたくすれば、力を入れなくても落ちるのでしょうか。

力を入れれば入れるほど落ちる、という直感は正しいのか。日本歯周病学会会誌の解説によると、ブラッシング圧が強いと毛先がはねてしまい、バイオフィルムを効率よく除去できない[4]。ここで、前章の「毛先が主役」という事実が効いてくる。強く押すほど、最も働く部分が歯面から離れてしまうのである。

横浜市磯子区の歯みがきのアドバイスは、毛先が広がらず軽くしなる程度の圧を目安とし、毛先を歯と歯ぐきの境い目に当て、歯1〜2本分(5〜10mm程度)を10往復程度、小刻みに動かすよう述べる[3]。同じ資料は、毛先が開いた歯ブラシでは清掃効率が落ち、雑菌も増えやすいとして、1か月に1度を交換の目安とする[3]。

これは毛先の働きを重視する学会誌の記述とも合う。力を弱める代わりに、動かす範囲を小さく区切って、毛先を確実に当てていく発想と読める。

では、毛の硬さはどうか。硬ければ硬いほど、力を抜いても落とせるのか。

4. 毛を かたく すれば、もっと おちるの?

4. 毛をかたくすれば、もっと落ちるのか

4. 毛の硬さで、汚れの落ち方と歯ぐきへの負担はどう変わる?

歯ブラシの 毛には、「かため」「ふつう」「やわらかめ」が あります。ふつうが おすすめで、歯ぐきから 血が でる ときは、やわらかめを えらぶようにと、区の あんないに 書かれて います[6]。

じっけんでは、毛が かたい ほど、平らな もけいの よごれは よく おちたと ほうこく されて います[7]。ただし、これは 平らな もけいの はなしです。かたい 毛を すすめる はなしでは ありません。

やわらかい 毛は、大きく うごかさないと おちない、とも ほうこく されて います[7]。

毛先の かたちも 大切で、先が まるく しあげられた ものが すすめられて います[3]。毛先が まるいと、歯ぐきを きずつけにくい からです。

さて、むかしの 歯ブラシの 毛は、今と おなじだったのでしょうか。

日本障害者歯科学会雑誌の実験では、平面モデルで評価すると、毛が硬いほど清掃効率は高くなり、やわらかい毛は大きく動かす必要があると報告されています[7]。ただしこれは平らな模型での結果で、実際の口の中での話ではありません。硬い毛を勧める結果でもありません。

実際の歯ブラシの選び方を示した練馬区の案内は、「かため・ふつう・やわらかめ」のうち、ふつうをおすすめとしています。歯ぐきから出血があるときは、やわらかめを選ぶよう案内しています[6]。横浜市磯子区の案内は、毛先が丸く処理されたナイロン製のものを推奨しています[3]。

硬い毛は汚れが落ちる一方で、歯ぐきへの負担も気になります。「硬さ」は、落ちやすさと歯ぐきへのやさしさのバランスで選ぶものといえそうです。

ところで、ナイロンという素材は、歯ブラシにいつから使われているのでしょうか。

硬い毛のほうがよく落ちるのなら、なぜ「ふつう」が勧められるのか。日本障害者歯科学会雑誌の報告では、平面モデルでの評価で、毛が硬くなるほど清掃効率は高くなり、やわらかい毛は大きく動かす必要があった[7]。ただしこの結果は平面の模型を用いたもので、凹凸のある実際の歯や、歯ぐきへの影響を示すものではない。

練馬区の案内は、毛の硬さはふつうをおすすめとし、歯ぐきから出血があるときはやわらかめを選ぶよう述べる[6]。横浜市磯子区の案内は、毛先が丸く処理されたナイロン製を勧め、毛の部分は小さめ(前歯2本分、2.0〜2.5cm程度)としている[3]。

前の章の「軽くしなる程度」と合わせて読むと、硬さの選択は、清掃効率を取るか、歯ぐきへの負担を抑えるかのバランスだと整理できる。やわらかい毛でも動かし方を工夫すれば足りる、という読み方もできる。

では、ナイロンという素材は、いつ歯ブラシの毛になったのか。

5. 毛は、むかしから ナイロンだったの?

5. 毛は昔、ブタの硬い毛だった

5. 豚毛からナイロンへ ── 素材が毛の設計を変えた

むかしの 歯ブラシの 毛は、ぶたの かたい 毛だったと いわれます[8]。

1938年に、デュポンという アメリカの 会社が、ナイロンの 毛の 歯ブラシを 売り出したと いわれます[8]。

ナイロンは 水を すいにくく、かたさの だんかいを こまかく そろえて つくれる ことが、とくちょうと して しょうかいされて います[8]。

むかしは しぜんの 毛だったので、1本ずつ すこし ちがいました。ナイロンだと、同じ かたさの 毛を たくさん つくれます。毛先を 細く そろえて、数を たくさん うえる、今の 歯ブラシの しくみは、ここから 作りやすく なったのかも しれません。ただし、これは しりょうに はっきり 書いて ある ことでは ありません。

さいごに、歯ブラシだけでは おちない ところを、見て みましょう。

歯ブラシの毛は、昔は豚(イノシシ)の硬い毛でした。1938年にデュポン社がナイロンの毛を使った歯ブラシを発売し、転機になったと、アメリカの大学の歯科博物館の解説にあります[8]。ナイロンは水を吸いにくく、硬さの段階を細かくそろえて作れる点が特徴として紹介されています[8]。

動物の毛は、1本ごとに太さや硬さが少しずつ違います。それに対して、ナイロンは同じ硬さの毛を大量に作れるので、先を細く加工したり、同じ長さにそろえたりしやすくなったと考えられます。ただし、これは資料の記述から推測した見方で、毛先の加工と素材の関係を直接述べた資料はありません。

また、「世界で最初の合成毛」がどれかについては、同じ年に別の国でも合成の毛が発表されたとされるため、ここでは「デュポンがナイロンの毛を発売した」とだけ書いておきます。

とはいえ、歯ブラシにも限界があります。次は、毛が届かない場所の話です。

毛の素材はいつ変わったのか。University of the Pacific Dental Museumの解説によれば、歯ブラシの毛は、昔は豚(イノシシ)の硬い毛であった。1938年にデュポン社がナイロンの毛の歯ブラシを発売し、ナイロンは水を吸いにくく、硬さの段階を細かくそろえて作れる点が特徴とされる[8]。

動物の毛は個体や部位で太さや硬さが異なる。同じ硬さを大量に作れる合成繊維の登場が、毛先を細く加工したり、毛の本数を増やしたりする設計を現実的にした可能性はある。

なお、「最初の合成毛」については、同じ年に日本がビスコース糸による合成毛の開発を発表したという記述も同じ解説の中にある。そのため、確実に言えるのは「デュポンがナイロン毛の歯ブラシを発売した」という点までで、世界初かどうかは断定しない。

ここまで、毛と力の話をしてきたが、どれだけ工夫しても歯ブラシが届かない場所がある。最後にそこを確かめておきたい。

6. 歯ブラシだけでは、どうして たりないの?

6. 歯と歯のあいだは、歯ブラシだけでは残る

6. 歯ブラシの限界 ── 歯間とデンタルフロス

歯と 歯の あいだは、歯ブラシの 毛先でも とどきにくい ところです。練馬区の あんないでは、歯ブラシだけでは よごれを おとしきれないので、デンタルフロスや 歯間ブラシも つかう ようにと 書かれて います[6]。

また、しこうは 毎日 ぜんぶ とりきるのは むずかしいと せつめいされて います[1]。だから、まいにち こつこつ、かるい 力で こすって、ためすぎないことが 大切です。

細い 毛が たくさん ある 歯ブラシは、せまい ところに 毛先を とどけて、ぬるぬるを こすり とる ための くふうと 考えられます。それでも とどかない ところは、ほかの どうぐに たすけて もらうのです。

歯と歯のあいだは磨き残しやすく、歯ブラシだけでは歯垢を落としきれないと、練馬区の案内にあります。そのため、デンタルフロスや歯間ブラシを使うようにとされています[6]。毛先がどれだけ細くなっても、狭いすきまには限りがあるということです。

プラークを毎日完全に取り除くことは、現実には難しいとも説明されています[1]。目指すのは「ゼロ」ではなく、毎日こすって、たまりすぎないようにすることだと読めます。

ここまでの話をまとめると、歯ブラシの毛が細くて多いのは、水では落ちない細菌の膜を、狭い場所まで毛先でこすり取るための工夫だと考えられます。その毛先を生かすには、強く押さず、軽くしなるくらいの力で小さく動かすことが大切です。

歯ブラシで落としきれない場所はどこか。練馬区の案内は、歯と歯の間は磨き残しやすく、歯ブラシだけでは歯垢を落としきれないため、デンタルフロスや歯間ブラシを使うよう述べる[6]。歯ブラシの毛先が届きにくいすきまには、デンタルフロスや歯間ブラシを使う方法がある。

セルフケアでプラークを毎日完全に取り除くのは難しいと考えられている、という説明[1]も、同じ限界を指している。したがって、歯ブラシに求められるのは「全部を取る」ことではなく、「毎日、効率よく、できる範囲を確実に取る」ことだと整理できる。

ここまでの事実をつなぐと、毛が細くて多い理由は、次のように推論される。歯垢は水では流れない粘着性の膜で、機械的にこすり取る必要がある。除去に最も効くのは毛先である。毛先が細いほど狭い場所に届く。だから、細い毛先を多数並べることが、複雑な形の歯面に毛先を触れさせるうえで有利になる。ただし強く押すと毛先がはねて効率が落ちるため、軽くしなる程度の力で小さく動かす必要がある。この全体像は、複数の資料を組み合わせた説明であり、毛の本数や太さの設計理由を直接述べた単独の資料があるわけではない。

もっと しりたく なったら

歯ブラシの毛先を、自分の目で見てみるには

毛先のはねを、自分の目で確かめるには

おうちで

家に ある 歯ブラシを、手の ひらに のせて、まず そっと おして、毛が どう まがるか 見ます。つぎに、少し 強く おして、見くらべます。毛先が ひらくのが 分かると おもしろいですよ。ただし、ぎゅっと 強く おしすぎると いたいので、ほどほどに します。

くらべて みよう

つかいはじめの 歯ブラシと、1か月 つかった 歯ブラシを ならべて、毛先を 見くらべます。ひらいて いたら、とりかえる じきの サインです。

しらべる ときは

お住まいの まちの ホームページに、歯みがきの あんないが のって いる ことが あります。

家でできること

使っていない歯ブラシがあれば、手のひらにそっと当てて毛の曲がり方を見てから、少し力を入れて同じことをして比べてみましょう。強く押すほど毛先がどう変わるかが、目で分かります。顔や歯ぐきでは試さず、手のひらだけにします。

使い古しとくらべる

新しい歯ブラシと、1か月ほど使った歯ブラシを並べて、毛先の開き具合を見比べてみます。開いていれば、交換の目安になります。

調べるには

お住まいの市区町村のホームページに、歯みがきの案内や歯ブラシの選び方がまとまっていることがあります。

家でできること

使わない歯ブラシを手のひらに軽く当て、毛が曲がる様子を観察する。次に押す力を少し強くして、毛先のはね方や毛の腹が広がる様子を比べる。歯ぐきや顔では試さない。

資料を読むなら

日本歯周病学会会誌64巻4号の歯ブラシに関する解説は、毛先の働きとブラッシング圧の関係を述べている。横浜市や練馬区の歯みがきの案内は、毛先の当て方、動かす範囲、歯ブラシの交換時期、毛の硬さの選び方を、一般向けにまとめている。毛1本の太さや本数を知りたい場合は、メーカーの公式資料を探してみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

歯垢の性質と歯ブラシの使い方は公的機関の案内、毛先の働きは学会誌の解説、毛の素材の歴史は博物館の解説による。メーカーの説明は、そのメーカー自身の見解として紹介している。

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「デンタルプラーク」 https://kennet.mhlw.go.jp/ (歯垢の性質、毎日完全には除去しにくいこと)
  2. 山形県「プラーク」資料 https://www300.pref.yamagata.jp/ (うがいでは取れず、機械的に取ること)
  3. 横浜市磯子区「歯みがきのアドバイス」 https://www.city.yokohama.lg.jp/ (毛先の当て方、圧力の目安、交換時期、毛の部分の大きさ)
  4. 日本歯周病学会会誌 64巻4号 歯ブラシの解説 https://www.jstage.jst.go.jp/ (毛先の働き、テーパー加工、強い圧と毛先のはね)
  5. ライオン 研究開発(口腔ケア) https://www.lion.co.jp/ (メーカーによる超極細毛の説明)
  6. 練馬区「歯みがきのポイント【成人】」 https://www.city.nerima.tokyo.jp/ (毛の硬さの選び方、歯間ブラシ・フロス)
  7. 日本障害者歯科学会雑誌 46巻2号 https://www.jstage.jst.go.jp/ (毛の硬さと清掃効率の実験)
  8. University of the Pacific Dental Museum, "Different Strokes for Different Folks: A History of the Toothbrush" https://dentalmuseum.pacific.edu/ (豚毛からナイロンへ)

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