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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

かさの ほねは、かぜで まがっても、どうして もどるの?

風で裏返った傘の骨は、なぜ元に戻るものと戻らないものがあるのか ── ガラス繊維の骨

傘の骨はなぜ「折れる前に曲がって戻る」のか ── 金属の骨とガラス繊維強化プラスチックの骨

分野:技術

かぜの つよい ひに、かさが ばっと うらがえります。かさの ほねは、ぼきっと おれたり、くにゃっと まがったままに なったり、ぽんと もとに もどったり します。

もどる ほねの ざいりょうは、ガラスの ほそい いとを かためた ものです。ガラスなのに、どうして まがるのでしょう。この きじを よむと、かさの ほねの ひみつが わかります。

強い風で裏返った傘は、骨がぐにゃりと曲がったまま戻らないこともあれば、風がやんだら元の形に戻ることもあります。この差をつくっているものの一つが、ガラスの細い繊維を固めた骨です。

ガラスは割れやすい材料なのに、なぜ曲がって戻る骨になるのでしょう。この記事を読むと、傘の骨が「折れない」ためではなく「曲がっても戻る」ために作られている理由と、骨の本数と風の強さの関係が分かります。

傘の骨は、折れないことを目標に作られているわけではない。特許の説明では、設計の目標は、裏返りを減らすだけのかたさと、裏返っても元の形に戻れる弾性を両立させることとされる[1]。骨の材料には、細いガラス繊維の束に樹脂をしみ込ませたものが使われることがある[2]。

では、割れやすいはずのガラスが、なぜ曲がって戻る骨になるのか。この記事では、特許の説明、国民生活センターの注意喚起、材料の解説、傘の解説記事を突き合わせて、金属の骨との違いと、骨の本数についての見方が分かるようにまとめる。ただし、特許の説明は実測値ではないため、風速や荷重の数字は扱わない。

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1. かぜで、かさは どうして うらがえるの?

1. 少しの風でも、傘が裏返るのはなぜか

1. 中程度の風でも裏返る ── 布が受ける力と骨への伝わり方

かさを ひろげると、ぬのが ひろい かべのように なります。かぜが ふくと、この ひろい ぬのに、まとめて ちからが かかります。

ふねの ほを おもいだして ください。ほは かぜを うけて、おおきな ふねを うごかします。かさの ぬのも、ちいさな ほと にた はたらきを します[1]。

ぬのが うけた ちからは、ほねに つたわります。ほねが まがって、その ちからを うけとめます。では、まがった ほねは、そのあと どう なるのでしょう。

傘を広げると、布の部分は広い面になります。そのため、風が中くらいの強さでも、面積が広い分だけ大きな力がまとめて布に加わります。特許の説明では、これは船の帆が風を受けるのとよく似ていて、傘が裏返る原因になるとされています[1]。

布が受けた力は、骨組みへ伝わります。骨は曲がることで、その力を受けとめます。つまり、傘の骨は、風を受けるたびに「曲がる」ことを前提にした部品です。

曲がった骨が、風のあとでどうなるか。ここが、骨の材料によって大きく分かれます。

特許の背景説明は、傘の布が帆のように広い面積で風を受けるため、風の力が中程度でも傘は裏返ることがある、と述べる[1]。力は一点ではなく布全体にかかり、それが骨組みに伝わって、骨が曲がることで受けとめられる。

この説明は設計上の考え方であり、実測した風速や荷重の値ではない。したがって、「どの強さの風で裏返るか」は、ここからは言えない。言えるのは、骨は曲がる前提で力を受けているということである。では、曲がった骨は、元に戻るのか。

2. まがったまま、もどらない ほねが あるのは どうして?

2. 一度曲がると戻らない金属の骨と、柔らかすぎてもだめな理由

2. 弾性の小さい金属の骨が戻らない理由と、両立という設計目標

ほねが かなぐで できて いると、いちど まがった あと、そのまま かたちが ゆがむことが あります[1]。クリップを まげると、もとの かたちに もどらないのと にて います。

ゆがんだ ほねは、かさの ひらきとじを やりにくく します。ビニールの かさの ほねは、てつでできた ものが おおいと いわれます[5]。やすい ビニールがさは、「おれにくい」と いうより、「まがりやすい」ことが おおいのです。

では、ぐにゃぐにゃに やわらかい ほねなら いいのでしょうか。それだと、かぜで すぐ うらがえって しまいます[1]。ほしいのは、かたさと、もどる しなやかさの りょうほうです[1]。

アルミやスチールのように、弾性が小さい金属だけで骨を作ると、一度曲がったときにそのままゆがんで、元の形に戻らないことがある、と特許は説明します[1]。ゆがんだ骨は、傘全体の形や、開いたり閉じたりするときの動きを悪くします。

ビニール傘の骨は、スチール製が多いとされます。百科事典的な資料は、その弱点として、各骨の変形や、傘布の剥がれを起こしやすいことをあげています[5]。ただし、すべてのビニール傘が同じ骨というわけではありません。安いビニール傘は、「折れにくい」というより、「曲がることが多い」といえそうです。

では、柔らかい材料にすればよいのでしょうか。しなやかすぎる材料だと、今度は風で簡単に裏返ってしまうと、同じ特許は述べています[1]。目指すのは、裏返りを減らす程度のかたさと、裏返っても元に戻れる弾性の両立です[1]。

特許は、アルミやスチールのように弾性の小さい金属だけの骨は、曲がるとゆがんだまま戻らず、骨組み全体のゆがみや開閉の悪化につながると述べる[1]。逆に、しなやかすぎる素材では、風で裏返りやすくなる。そこで設計の目標は、裏返りを許容できる程度まで減らすかたさと、裏返っても形を戻せる弾性を合わせ持つ骨とされる[1]。

身近なビニール傘の骨は、スチール製が多く、各骨の変形や露先の破損、傘布の剥落を起こしやすいとまとめる資料がある[5]。ただし、これは百科事典的な資料の「多くは」という書き方であり、素材ごとの割合を示す数字ではない。「金属の骨は必ず折れる」ではなく、「曲がって戻らないことがある」と読むのが正確だ。では、戻る骨は何でできているのか。

3. もどる ほねは、なにで できて いるの?

3. 戻る骨の材料は、ガラスの細い糸を固めたもの

3. ガラス繊維強化プラスチック ── 軽くて弾性が求められる部位の材料

もどる ほねの ひとつは、ガラスの とても ほそい いとを たばねて、じゅしで かためた ものです。「ガラスせんい きょうか プラスチック」と よばれます[2]。

かさの ほねの ほかに、にわの ポールや テントの しちゅうにも つかわれます[2]。かるくて、しなやかな ざいりょうが ほしい ところです。

ガラスせんいの ほねの かさは、かぜで うらがえっても、もとに もどして つかえる ものが あると しょうかいされて います[7]。ただし、せいひんの せつめいなので、かならず もどるとは かぎりません。

戻る骨の代表の一つが、ガラス繊維強化プラスチックです。細いガラス繊維の束に樹脂をしみ込ませて固めたもので、傘の骨のほか、園芸用のポールやテントの支柱など、軽くて弾性が求められる部分に使われています[2]。

傘の紹介記事には、この素材の骨は軽くて錆びにくく、風で逆に開いても元に戻して使える、というメーカーの説明が載っています[7]。ただし、製品の宣伝文なので、「必ず戻る」とまでは言えません。

ここで気になるのは、ガラスの繊維という材料です。コップのガラスは、少し力が加わっただけで割れます。同じガラスが、どうして曲げに耐える骨になれるのでしょうか。

ガラス繊維強化プラスチックは、細いガラス繊維の束に樹脂をしみ込ませて成形した複合材料で、傘の骨、園芸用ポール、テントの支柱など、軽量で弾性が求められる部位に用いられると、国民生活センターは説明する[2]。ガラス繊維が力を受けもち、樹脂がそれらをつなぎとめる、という分担で理解できる。

メーカー説明を紹介する記事には、この素材の骨は伸縮性や耐久性に優れ、風で逆に開いても元に戻して使える、とある[7]。これは製品の宣伝文であり、すべての製品・条件で成り立つとは言えない。むしろ、割れやすいガラスが曲げに耐える骨の主役になれる理由のほうが、気になる点である。

4. ガラスは、ほそく する ほど つよく なるの?

4. ガラスは細くすると強くなる ── 表面の小さな傷とサイズ効果

4. グリフィスのきずと強度のサイズ効果

ガラスの ひょうめんには、ほかの ものと さわった ときに できる、とても ちいさな きずが あります。ガラスは、この きずから われはじめると いわれます[3]。

ガラスを ほそい いとに すると、ひょうめんの ひろさが ちいさく なります。そのぶん、きずの ある ことも へります。すると、つよさが たかく なりやすいと いわれます[3]。

これを 「つよさの サイズこうか」と いいます。ほそい いとに した ガラスは、ふとい ガラスぼうより、きずの えいきょうを うけにくいのです。かさの ほねが もどるかは、ほかの ざいりょうや つくりにも よります。

ガラスの表面には、ほかの物と触れたときにできるごく小さな傷(グリフィスの傷)があり、ガラスはその傷から壊れ始める、と世界大百科事典(旧版)の解説は述べます[3]。

では、ガラスを細い繊維にするとどうなるでしょうか。表面積が小さくなるので、傷が存在する確率も減ります。その結果、傷の影響を受けにくくなり、高い強度が得やすくなると説明されています。これが、強度のサイズ効果と呼ばれる考え方です[3]。

ガラスの繊維を束ねて樹脂で固めた骨が使われる理由の一つは、この「細いほど傷の影響を受けにくい」性質だと考えられます。ただし、傘の骨が曲がって戻るかどうかは、樹脂や骨の作りにもよります。

ガラスの表面には、ほかの物との接触でできるごく小さな傷(グリフィスのきず)があり、破壊はそこから始まる。繊維にして表面積を小さくすると、傷の存在確率が減るため高い強度が得られ、これを強度のサイズ効果と呼ぶ、と百科事典は説明する[3]。

この説明を傘の骨に当てはめると、細いガラス繊維の束は、太いガラスの棒より傷の影響を受けにくい、という筋道になる。ただし、ここで確かめられたのは「ガラスが細いと強くなる」という一般的な性質であり、傘の骨1本ごとの強度や、曲がって戻る度合いの数値ではない。傘の骨で実際にどう働くかは、素材と構造の組み合わせで決まる。

では、骨の数や素材を見ただけで、傘の風への強さは分かるのだろうか。

5. ほねが おおい かさは、かぜに つよいの?

5. 骨が16本あれば、風に強いと言えるか

5. 骨の本数と風への強さ ── 資料で言えることと言えないこと

ビニールの かさは、1958ねんに はじめて できたと いわれます[6]。いまの かさの なかには、グラスファイバーの ほねが 16ほん あるものも あります[6]。

では、ほねが おおいほど、かぜに つよいのでしょうか。かさの かいせつきじでは、そうとは かぎらないと いいます[4]。

ほねが ふえる よさは、ほねと ほねの あいだの ぬのが みじかく なり、とじた ときに まとめやすい ことだそうです[4]。つよさは、ほねの ざいりょうと つくりにも よります。

ビニール傘の第1号は、1958年、東京・浅草の老舗が完成させたといわれます[6]。現在のその会社の傘には、オレフィン系のフィルムを、グラスファイバー製の16本の骨が支えている例があります[6]。

とはいえ、「16本あるから風に強い」とは言えません。傘の解説記事によると、骨が多い本当の利点は、骨と骨の間の布が短くなって、閉じたときにまとめやすいことです。風への強さは「根拠のない安心感」だとし、強度は各部品の材質や構造にもよる、とあります[4]。

骨の数は、強さを決める一つの要素にすぎません。むしろ大事なのは、これまで見てきた、骨の材料がどう曲がり、どう戻るかです。

ビニール傘の第1号は1958年に完成し、開発したのは浅草のホワイトローズの9代目、須藤三男である。最初の製品は乳白色で、完全防水の傘を作るのに5年かかったという[6]。同社の現在の傘には、オレフィン系フィルムを16本のグラスファイバー製の骨が支え、堅牢さを実現した例がある[6]。ただしこれはメーカーを紹介する記事の記述であり、本数だけで強度が決まる根拠にはならない。

実際、傘の解説記事は、骨が増える利点は骨と骨の間の布が短くなり、閉じたときに扱いやすいことで、風への強さは「根拠のない安心感」にすぎず、強度は各部品の材質や構造にもよる、と述べる[4]。つまり、16本骨が強風に強いという主張は、この資料からは支えられない。

骨の数より、材料の弾性と構造のほうが問題になる。ここまでの内容を、手元の傘で確かめるには、どこを見ればよいのか。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

うちの かさを みて みよう

かさを ひろげて、ほねを ながめて みましょう。ほねは なんぼん あるでしょうか。ほねと ほねの あいだの ぬのは、どんな かたちを して いますか。

ほねを まげて ためしては いけません。ガラスせんいの ほねは、まげたり きずを つけたりすると、せんいの さきが とびだす ことが あります[2]。みるだけに しましょう。

かさの なまえ

かさの ほねの うち、ぬのを ささえる おもな ほねを「おやぼね」と いいます[8]。かさに ついて いる タグに、おやぼねの ながさが かいて あるかも しれません。

こうしきの じょうほう

くらしの ざいりょうを あつかう こうてきな きかんの ページに、ガラスせんいの せいひんの ちゅういが のって います。

家の傘で観察する

傘を広げて、骨の本数と、骨と骨の間の布の形を見てみてください。骨の根元は、どんな部品にまとまっているでしょうか。傘のタグや説明書きに、素材が書いてあることもあります。

骨を曲げて確かめるのはやめましょう。ガラス繊維強化プラスチックの骨は、曲げたり傷つけたりすると、繊維の先が樹脂の表面から飛び出すことがあると、国民生活センターが注意しています[2]。見て、触れない範囲で調べます。

傘のサイズ表示

傘の長さの表示は、布を支える主要な骨「親骨」の長さです。持ち手や石突きは入りません[8]。自分の傘のタグで、親骨の長さを探してみてください。

公式情報

国民生活センターのガラス繊維強化プラスチック製品の注意喚起と、消費者庁の家庭用品品質表示法の洋傘のページが読めます。

家の傘の観察

手元の傘で、骨の本数、骨間の布の長さ、骨の素材表示を確認する。骨を曲げて試すことは避ける。ガラス繊維強化プラスチックの骨は、曲げたり傷つけたりすると繊維の先端が樹脂表面から飛び出すことがあったと、国民生活センターが報告している[2]。

用語の確認

傘の長さの表示は、布に密着して支える主要な骨である親骨の長さで、持ち手や石突きは含まない[8]。タグの表示と骨の名称を照らし合わせると、構造を整理しやすい。

資料案内

国民生活センターのガラス繊維強化プラスチックに関する注意喚起、消費者庁の家庭用品品質表示法(洋傘)、US8783275B2の背景説明(英語)が、一次に近い資料になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、特許・公的機関・百科事典・取材記事を突き合わせて書きました。特許の説明は、設計の考え方であり、実測値ではありません。

  1. US Patent US8783275B2(Kahng)背景説明 https://patents.google.com/patent/US8783275B2/en (風で裏返る理由、金属の骨、かたさと弾性の両立)
  2. 国民生活センター「ガラス繊維強化プラスチック製品」注意喚起(2025年9月17日、同11月28日更新) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250917_2.html (素材の説明と取り扱いの注意)
  3. 世界大百科事典(旧版)「グリフィスのきず」(コトバンク) https://kotobank.jp/word/… (ガラスの傷とサイズ効果)
  4. Impress Watch「傘の骨」コラム https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/itsmo/1178806.html (骨の本数と強さ)
  5. Wikipedia「ビニール傘」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ビニール傘 (ビニール傘の骨の素材と弱点)
  6. Into Japan Wara-ku(ホワイトローズ取材記事) https://intojapanwaraku.com/craft/44711/ (ビニール傘の第1号と現在の傘の骨)
  7. ライフハッカー 傘紹介記事 https://www.lifehacker.jp/article/34194/ (グラスファイバー骨のメーカー説明)
  8. 消費者庁 家庭用品品質表示法 洋傘 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/zakka/zakka_03.html (親骨と長さの表示)

なおした ところ

更新履歴

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