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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ガンや カモは、くらい 夜でも どうして とべるの?

ガンやカモは、暗い夜の空をなぜ飛べるのか ── 冷たい空気と、夜の水辺の「通勤」

水鳥の夜間飛行 ── インドガンのGPS追跡・アイセル湖のレーダー調査・龍飛崎の夜間カウント

分野:生きもの

ヒマラヤを こえる ガンは、おもに 夜と 早朝に とぶと ほうこくされて います[1]。くらくて 見えにくい 夜の 空を、どうして 水鳥は とべるのでしょう。

ヒマラヤの ガン、夜の 水べの カモ、日本の 夜空を かぞえる 人たち。この 3つから、夜に とぶ わけが 少し 分かります。

「8,000mの高さを日常的に飛ぶ」といわれるインドガン。ところがGPS追跡で受信した位置の95%は5,489m未満で、しかも主に夜と早朝に渡っていたと報告されています[1]。ガンやカモは昼のうちに見かける鳥ですが、暗い夜の空にも飛んでいるのです。

光の少ない夜に、なぜ水鳥は飛べるのでしょうか。ヒマラヤの追跡、オランダのレーダー調査、青森県の夜間カウントから、夜に飛ぶ水鳥の姿と、その理由として考えられていることが分かります。

ヒマラヤを越えるインドガンは、GPS追跡で、主に夜と早朝に渡っていたと報告されている[1]。昼の鳥というイメージのあるガンやカモが、なぜ暗い夜の空を選ぶのか。

このメモでは、インドガンの高度と夜の空気、オランダのアイセル湖地域のレーダー調査、青森県龍飛崎の目視カウント、方角の手がかりの研究を突き合わせて、夜に飛ぶ水鳥の姿と、その理由として考えられていることが分かる。

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1. 夜の 空を とおる 鳥の かげを、かぞえる 人たち

1. 外灯の下で、夜の空を通る鳥を数える人たちがいる

1. 龍飛崎の夜間カウント ── 「直接見えない」夜の渡りを、外灯の光で数える

あおもり県の つがる半島の はしに、夜の 空を 見あげる 人たちが います。がいとうの 光に てらされた 空を、鳥の かげが よこぎります。その かげを、鳥の しゅるいごとに かぞえて しらべるのです[2]。

2022年の 秋には、そくほうちで 84しゅるい、16,074羽が かぞえられました。ただし、なき声だけで わかった 鳥も ふくみます[2]。

この しらべを した 人たちは、夜に わたる 鳥は 見えにくくて、分からない ことが 多いと 書いて います。ガンや ハクチョウは「昼に わたる 鳥」に 入れられて います。それでも 夜の かぞえには、マガンが 40羽、コハクチョウが 176羽、マガモが 67羽 入って いました[2]。

昼の 鳥と 思われる 水鳥も、夜の 空を とぶ ことが あるようです。では、ほんとうに 夜に とぶ ガンは、どんな 旅を して いるのでしょう。

「夜は直接見えない」

青森県の津軽半島の先に、龍飛崎があります。ここで、バードリサーチが支援する調査が、2021年と2022年の秋に約2か月ずつ続きました。外灯の光に照らされた夜空を、鳥の影が通るところを目で見て、種ごとに数える調査です[2]。

2022年の結果は、速報値では84種、16,074羽でした。鳴き声だけで確認した鳥も含まれます[2]。外灯の光が届く範囲を通った鳥しか数えられないので、夜の空を通った鳥のすべてではありません。

昼の鳥にも、夜の顔がある

調査のポスターは、昼に渡る鳥としてタカやツル、ガン・ハクチョウを、夜に渡る鳥としてツグミ類などの小鳥やカモを挙げ、夜の渡りは「直接見えない謎だらけ」だと述べています[2]。

それでも夜の数え上げには、マガンが40羽、コハクチョウが176羽、マガモが67羽、コガモが103羽、ヒドリガモが69羽記録されました[2]。昼の鳥と分けられているガンやハクチョウも、夜の空を通っているようです。夜に飛ぶガンは、どんな旅をしているのでしょうか。

夜の渡りは、暗くて見えないのに、どうやって数えるのか。青森県津軽半島の龍飛崎付近では、外灯の光で夜空を通る鳥が目視できる場所が見つかり、これを使った種ごとの目視カウントが、バードリサーチの支援のもとで行われた。2021・22年の秋に約2か月ずつ続き、2022年は速報値で84種16,074羽(鳴き声のみを含む)に達した[2]。外灯の光が届く範囲を通った鳥に限られるので、夜空全体の数ではない。

ポスターは、日中に渡る鳥(タカ、ツル、ガン・ハクチョウなど)と、夜に渡る鳥(ツグミ類などの小鳥、カモなど)を分け、夜の渡りを「直接見えない謎だらけ」としている[2]。ところが夜間カウントには、日中側に分類されたマガン40羽、コハクチョウ176羽のほか、マガモ67羽、コガモ103羽、ヒドリガモ69羽も記録された(総数)[2]。昼に渡る鳥とされるガン・ハクチョウも、夜間カウントに記録された。夜に飛ぶ水鳥の実態をどう調べるのかが次の問いになる。

2. ヒマラヤを こえる ガンは、夜に とんで いた

2. ヒマラヤ越えのインドガンは、夜と早朝に飛んでいた

2. インドガン91羽のGPS追跡 ── 夜・早朝の渡りと、実際の飛行高度

ヒマラヤは、せかいで いちばん 高い 山が ならぶ ところです。ここを こえる インドガンの 91羽に、場所が 分かる そうちを つけて、おいかけた 人たちが います[1]。

すると、ガンは おもに 夜と 早朝に とんで いました。くわしく しらべたのは、そのうちの 38羽です[1]。

「ガンは 8000mより 高い ところを ふつうに とぶ」と、よく いわれます。でも この おいかけでは、いちばん 高い きろくが 南へ とぶとき 7,290m、北へ とぶとき 6,540mでした。しかも、場所の データの 95%は 5,489mより 下で、多くは 山の たにすじを とおって いました[1]。

ひくい 場所を えらんで、夜に とぶ。夜の 何が、とびやすいのでしょうか。

夜と早朝に集まった位置データ

イギリスなどの研究チームが、ヒマラヤを渡るインドガン91羽にGPSの発信機をつけて追跡しました。すると、渡りの途中に受信した位置の時刻には、昼夜による偏りがありました。ガンは主に夜と早朝に渡っていたのです[1]。ただし、91羽は発信機をつけた数で、くわしく解析されたのは38羽です[1]。

「8,000mを日常的に」ではなかった

インドガンは、8,000mを超える高さを日常的に飛ぶとよくいわれます。しかしこの追跡で記録された最高の高さは、南へ向かうときで7,290m、北へ向かうときで6,540mでした。受信した位置の95%は5,489m未満で、受信した位置の多くは、山頂の上ではなく、谷すじなど地形に近い所にありました[1]。なお、最高の高さは記録の最大値であって、平均ではありません。

低い所を選び、夜に飛ぶ。夜の空には、飛びやすい何があるのでしょうか。

インドガン(bar-headed goose)は、ヒマラヤ越えの渡りで知られる。Hawkesらは、その91羽にGPS発信機をつけて追跡した。渡りの途中で受信した位置の時刻には日周パターンがあり、ガンは主に夜と早朝に渡っていた[1]。91羽は発信機をつけた数で、詳しい解析の対象は38羽である[1]。

では、「8,000mを超える空を日常的に飛ぶ」という通説は成り立つのか。記録された最高高度は南向き7,290m、北向き6,540mだった。受信位置の95%は5,489m未満で、受信した位置の多くは、山頂の上ではなく、ヒマラヤの谷すじなど地形に近い所にあった[1]。最高高度は記録された最大値で、平均ではない。高い山を越える旅でも、実際の飛び方は通説より低く、夜に偏っていた。この偏りの理由を、研究は大気の側から論じている。

3. 夜の 空気は、とぶのに らくなの?

3. 冷たい夜の空気は、飛ぶ負担を軽くすると論じられている

3. 夜の冷たく濃い空気と、標準大気での「換算高度」

夜は、気温が ひくく なります。つめたい 空気は こいので、同じ 高さを とんでも、夜は 昼より 数百メートル ひくい ところと 同じくらいの 空気の 中を とぶ ことに なります。ほんとうに 高さが さがる わけでは なく、空気の こさで くらべた 高さが ひくく なるのです。ある けんきゅうでは、そのぶん 高い ところを とぶ 負たんが 軽く なると 考えられて います[1]。

空気が こい ところは、水が たっぷり ある プールに にて います。はねで かいた とき、てごたえが 大きいのです。ただし 本当は、これは たとえで、くわしい けいさんで しめされて います。

これは 高い 山を こえる ガンの 話で、ほかの 水鳥にも そのまま あてはまる とは かぎりません。

夜に わたる 鳥 ぜんたいでは、次の ことが いわれます。水鳥 すべてに あてはまるとは かぎりません。すずしい。昼の てきが 少ない。空気の みだれが 小さい。昼の 時間を 食べたり やすんだり するのに 使える[3]。

では、高い 山を こえない カモは、夜に どんな とび方を して いるのでしょう。

同じ高さでも、夜のほうが「低い所」の空気

研究チームは、夜の空気は冷たくて濃いので、同じ海抜でも、国際標準大気にあてはめて換算した高さが、昼より数百メートル低くなると論じています[1]。実際の高さが下がるのではなく、空気の濃さで比べた高さが低くなるということです。低い所ほど空気が濃いので、昼と同じ高さを飛んでも、夜は低い場所を飛んでいるのに近い空気になります。そのぶん、高い所を飛ぶ負担が軽くなるというのです。

空気が濃いと、翼で空気を押したときの手ごたえが大きくなります。水が多いほうが水をかきやすいことに似ています。ただし本当は、空気の濃さと飛ぶ力の関係は、もっと細かい計算で示されています。

これは高い山を越える飛行についての議論で、すべての水鳥の夜の飛行の理由とは言い切れません。

夜に飛ぶ利点として、よくいわれること

夜の渡り全般については、涼しい、昼の天敵が少ない、空気の乱れが小さい、昼を食事と休息に使える、といった利点が解説されています[3]。水鳥にそのまま当てはまると決まったわけではなく、一般的な解説として読む必要があります。

では、高い山を越えないカモは、夜にどう飛んでいるのでしょうか。

夜の何が、飛ぶ鳥に有利なのか。Hawkesらは大気の側から論じている。夜は気温が低く空気が濃いため、同じ海抜高度でも、国際標準大気に当てはめて換算した高度は昼より数百m低くなる。実際の高度が下がるのではなく、換算高度(空気の濃さを標準大気の高度で表した値)が低くなるという意味である。そのぶん、高所飛行の負担が軽くなるという[1]。ただし、これは高い山を越える飛行についての議論で、すべての水鳥の夜飛びの理由とは言い切れない。

夜の渡り全般については、涼しい、昼の天敵が少ない、空気の乱れが小さい、昼を食事と休息に使える、といった利点が解説されている。この解説は、北米の渡り鳥の約8割が、渡りの少なくとも一部を日没後に行うというコーネル大の研究者の推定とともに紹介されたものだ[3]。一般的な解説であり、水鳥ごとの検証は別に必要である。では、高所を越えない水鳥は、夜にどう飛ぶのか。

4. 夜の カモは、日が しずむと 一ばんに とびたつ

4. 夜のカモは、休む場所とえさ場を「通勤」している

4. アイセル湖地域のレーダー調査 ── 日没後・日の出前の各約90分に集中した移動

オランダの アイセルこという 湖の まわりで、ふねの レーダーを つかって、夜の 空を しらべた 人たちが います。しらべたのは、1995年の 2月から 3月です[4]。

キンクロハジロと ホシハジロという カモは、おもに くらい 間に とびました。しかも、とんだ 数の 大半は、日が しずんでからの 1時間半と、日の出までの 1時間半に あつまって いました[4]。

とぶ 高さは、どての 上で 75mまで、ひらけた 水の 上では 50mまでです。むかい風が 強いと、もっと ひくく とびました[4]。

これは、休む 場所と 食べる 場所を いききする、夜の とび方です。何千キロも わたる 旅とは べつの 話です。

では、何千キロも わたる 旅の とき、水鳥は 何を 食べて、力を ためるのでしょう。

日没後と日の出前に集中する飛行

オランダのアイセル湖地域で、船のレーダーを使って夜の空を調べた研究があります。1995年の2〜3月、キンクロハジロとホシハジロは主に暗い間に飛び、その飛行の大半は、日没後の約1.5時間と日の出前の約1.5時間に集中していました[4]。

飛んでいた高さは、堤防の上で最大約75m、開けた水面の上では約50mまででした。向かい風が強いと、さらに低くなりました[4]。

長距離の渡りとは別の夜の動き

これは、休む場所と食べる場所を行き来する夜の飛行で、長距離の渡りとは別のものです。夕方に出かけて朝に戻る、水鳥の「通勤」のように見えます。ただし、調べられたのは湖の周りの2種の例で、日本のカモにそのまま当てはまるとは限りません。

では、何千kmもの渡りをする水鳥は、旅のエネルギーをどう用意するのでしょうか。

近場の夜の飛行は、どんな時間帯に起きるのか。Dirksenらは、1995年2〜3月、オランダのアイセル湖地域で船のレーダーを使い、キンクロハジロとホシハジロの夜間飛行を調べた。両種は主に暗い間に飛び、その移動の大半が日没後の約90分と日の出前の約90分に集中した[4]。

飛行高度は、堤防の上で最大約75m、開けた水面の上では約50mまで。向かい風が強いと、さらに低かった[4]。これは休み場所と採食場所を行き来する夜間の移動であり、長距離の渡りとは別のものだ。出どころは書誌情報で、2種の例を日本のカモに一般化することはできない。長距離の渡りを支える体の使い方は、別の資料で見る必要がある。

5. 何千キロも わたる 旅の 力は、どこから くるの?

5. 何千kmの渡りを支えるのは、食べ方だった

5. マガンの長距離の渡り ── 小さく単純な消化器官と、中継地での蓄積

マガンは、休まずに 時に 数千キロも わたる ことが あると されます。日本では、みやぎ県の 北の 方から 秋田県や 北海道の 湖を とおって、一気に カムチャツカ半島まで いった れいが、えいせい おいかけで 見つかって います[5]。

この 旅の 力は、とちゅうの 休み場所で つくられます。マガンのような ガンの なかまは、小さくて かんたんな つくりの 食べものを こなす 体を して いて、しつの よい 食べものを えらんで、たくさん 食べます[5]。そうして ためた 力を、旅にも、たまごを うむ ときにも 使います[5]。

ただし、いつも 休まず わたる わけでは ありません。「時に」です。

では、暗い 夜の 空で、水鳥は どうやって 行き先を 見つけるのでしょうか。

休まず、時に数千km

マガンは、休息なしで時に数千kmに及ぶ渡りをするとされます。衛星追跡では、東アジアの個体群が、宮城県北部から秋田県・北海道の湖沼を中継して、カムチャツカ半島まで一気に到達した例が報告されています(Takekawaらの研究)[5]。「数千km」は「時に」であり、いつも休まないわけではありません。

小さな消化器官と、質のよい食べ物

ガン類などの植物を食べる渡り鳥は、小さく単純な消化器官をもちます。長い渡りのために、マガンは質の高い食べ物を選んで大量に食べます。中継地でたくわえたエネルギーを、繁殖にも使うといいます[5]。夜に飛ぶ水鳥でも、飛ぶ力は、食べる時間から生まれていると考えられます。

では、暗い夜の空で、水鳥はどうやって進む向きを知るのでしょうか。

夜に飛ぶ水鳥の長旅は、何に支えられているのか。マガンは休息なしで時に数千kmに及ぶ渡りを行い、中継地に蓄積したエネルギーを繁殖にも利用する。東アジア個体群の衛星追跡では、宮城県北部から秋田・北海道の湖沼を中継して、カムチャツカ半島に一気に到達した例がある(Takekawaら、2000)[5]。「数千km」は「時に」であって、常に無着陸で渡るわけではない。

ガン類などの植食性の渡り鳥は小さく単純な消化器官をもち、マガンはこの旅のために質の高い食べ物を選んで大量に採食する[5]。そのため、長い飛行の裏側には、食べる時間と場所が欠かせない。夜に飛ぶための飛行の工夫は、食べる側の工夫ともつながっている。では、暗い夜の空で、どう進む向きを知るのか。

6. くらい 夜に、行き先は どう わかる?

6. 暗い夜に、進む向きはどうやって知るのか

6. 星・脳内の方位細胞・親から学ぶ経路 ── 水鳥の夜の道しるべの手がかり

夜に わたる 小鳥の インディゴ・ホオジロは、星空の まわる 中心、北の 星の まわりを 手がかりに すると いわれます。1967年の じっけんでは、プラネタリウムで 見せる 星空の「北」を かえると、鳥の むきも それに あわせて かわりました[6]。

海鳥の オオミズナギドリの わかい 鳥の 脳のうでは、あたまが ある 方がくを むくと はたらく さいぼうが 見つかりました。北よりに かたまって いて、コンパスのようだと 考えられて います[7]。

コクガンの なかまの わかい 鳥は、はじめての 年に 親に つれられて いった ところに もどる ことが 多いです。道は、親から まなんで つたわると 考えられて います[8]。

ただし、これらは 小鳥や 海鳥、コクガンの れいです。ガンや カモが 夜に 何を 手がかりに するかは、この 3つだけでは 決められません。

星と、頭の中のコンパス

夜に渡る小鳥のインディゴ・ホオジロは、星空が回る中心(北極星ほっきょくせいの近く)を方角の手がかりにします。1967年のEmlenの実験では、プラネタリウムで見せる星空の「北」を変えると、鳥の向きもそれに合わせて変わりました[6]。

海鳥のオオミズナギドリの幼鳥の脳では、頭が特定の方位を向くと活動する「頭方位細胞」が見つかりました。北寄りに偏って分布していて、コンパスのようだと示唆されています(同志社大学・名古屋大学、2022年)[7]。

道は、親から学ぶ「文化」かもしれない

コクガンの仲間(light-bellied brent goose)の若鳥は、最初の年に親に連れられた場所に戻る傾向があり、渡りの道は親から学ぶ文化として伝わると考えられています[8]。

ただし、これらは小鳥・海鳥・コクガンの例です。ガンやカモが夜に何を手がかりにしているかは、この3つだけでは決まりません。

暗闇の中の方位は、何が決めるのか。夜に渡る小鳥のインディゴ・ホオジロは、星空の回転の中心(北極星のまわり)を方角の手がかりにする。1967年のEmlenのプラネタリウム実験では、見せる星空の「北」を変えると、鳥の向きもそれに合わせて変わった[6]。

オオミズナギドリの幼鳥の脳では、頭が特定の方位を向くと活動する頭方位細胞(とうほういさいぼう)が見つかった。北寄りに偏って分布し、コンパスのようだと示唆された(同志社大・名古屋大、Science Advances 2022年2月)[7]。コクガンの仲間の若鳥は、最初の年に親に連れられた場所に戻る傾向があり、渡りの道は親から学ぶ文化として伝わると考えられている(Exeter大、Molecular Ecology 2010)[8]。

これらは小鳥・海鳥・コクガンの結果であり、ガン・カモ類の夜の方位の手がかりは、ここで示した3例からは決まらない。

7. 水べで、とびたつ 水鳥を さがして みよう

7. 夕方の水辺で、飛び立つ水鳥を探してみよう

7. 出口 ── 夕方の水辺の観察と、資料の読みどころ

ガンや カモが いる 池や 川、海べに、おとなと いきます。日が しずんだ あと 15分、空を 見あげて、鳥が とびたつ かどうかを 見て みましょう。

水の 中には はいらず、くらくなる 前に 帰ります。ガンや カモが いない 日も あります。見られなくても、それが ふつうです。

見られたら、日が しずんでから 15分の 間に とんだ 鳥の かずを かぞえて みます。むれの 大きさや、声も 書いて おくと、あとで おもしろく なります。

もっと 知りたい 人は、バードリサーチの 夜に わたる 鳥の ポスターを おとなと 読んで みて ください。

ガンやカモがいる池や川、海辺に、おとなと一緒に出かけます。日が沈んだあと15分、空を見上げて、鳥が飛び立つかどうかを観察してみましょう。

水の中には入らず、暗くなる前に帰ります。ガンやカモがいない日もあります。見られなくても、それが普通です。

見られたら、日没後15分間に飛んだ鳥の数、群れの大きさ、鳴き声を書いておくと、あとで比べられます。オランダでは日没後約90分に飛行が集中していましたが、日本の水辺で同じとは限りません。

資料を読むなら、まず日本語のバードリサーチの夜間カウントのポスターがあります。英語ですが、Hawkesらの論文は図を大人と眺めるだけでも楽しめます。

夕方の水辺で、日没後に飛び立つ水鳥を数える観察ができる。ガンやカモが来る池・川・海辺に、おとなと出かけ、日没後15分間に飛んだ鳥の数と群れの大きさ、鳴き声を記録する。水に入らず、暗くなる前に帰ること。見られない日も普通にあり、アイセル湖の約90分という結果が、日本の水辺に当てはまるかどうかは、自分の記録で比べられる。

資料としては、バードリサーチの夜間カウントのポスター[2]と、インドガンの追跡を報告したHawkesらの論文[1]が入口になる。Hawkesらの論文は英語で書かれているが、図が多く、高度や時間帯の偏りを眺めるだけでも、夜の渡りの見え方が分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

どの資料も、水鳥の夜の飛行について調べた内容と、その限界を確かめるために使いました。

  1. Hawkes et al. (2013) インドガンのヒマラヤ越えのGPS追跡(Proceedings of the Royal Society B)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3574432 (夜と早朝の渡り、飛行高度、夜の空気の論考)
  2. バードリサーチ「夜に渡る鳥の目視カウント調査 2022年秋季結果」(ポスター)。https://www.bird-research.jp/1_event/jbraoc2022/poster/p37.pdf (龍飛崎の夜間カウントの方法と数)
  3. Cornell Lab of Ornithology(All About Birds)「渡りのしくみ、理由、場所」の解説。https://www.allaboutbirds.org/news/the-basics-how-why-and-where-of-bird-migration/ (夜に飛ぶ利点の一般的な解説。水鳥に限った資料ではない)
  4. Dirksen et al. (1997) Limosa 71(2) アイセル湖地域のカモ類の夜間飛行(Tethys書誌情報)。https://tethys.pnnl.gov/publications/nocturnal-flight-patterns-altitudes-diving-ducks-ijsselmeer-area (夜間飛行の時間帯と高さ)
  5. バードリサーチ「マガン」(Bird Research News 2006)。https://www.bird-research.jp/1/seitai/magan.pdf (マガンの長距離の渡りと食べ方)
  6. Audubon「Star Trek: How Birds Use Electromagnetic Cues」(2015年)。https://www.audubon.org/magazine/march-april-2015/star-trek-how-birds-use-electromagnetic-cues (星空を使う小鳥のプラネタリウム実験の紹介)
  7. 同志社大学 髙橋晋教授らのプレスリリース(共同通信PRワイヤー、2022年)。https://kyodonewsprwire.jp/release/202201286737 (オオミズナギドリの頭方位細胞)
  8. ScienceDaily「Exeter大の研究紹介」(2010年)。https://www.sciencedaily.com/releases/2010/11/101116203433.htm (コクガンの若鳥が親から道を学ぶ研究の紹介)

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