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オーストラリアの 牧場ぼくじょうでは、牛が 何千頭も いるのが ふつうなの?

オーストラリアの牛は、1つの牧場に何千頭もいるのが普通なのか ── 1頭に必要な土地から考える

オーストラリアでは、何千頭の牛を飼うのが普通なのか ── 農場の規模と土地の収容力

分野:自然

オーストラリアには、牛が 3040万頭 います[1]。その中の ある 牧場ぼくじょうでは、牛 1頭に つき、たて よこ 1キロメートルに ちかい 土地が あります[6]。

なぜ、そんなに 広い 土地が いるのでしょう。何千頭も いる 牧場ぼくじょうは ふつうなのか、牛の かずは なにで きまるのかが わかります。

オーストラリアの牛は、約3040万頭います[1]。ところが、南オーストラリア州のアナ・クリーク牧場では、運営会社の資料にある面積を牛の頭数で割ると、牛1頭あたり約93ヘクタール、一辺およそ1キロメートルの正方形に近い土地になります(計算は筆者。頭数は季節で変わります)[6]。

何千頭もいる牧場は、本当に「ふつう」なのでしょうか。全国の数字から見える平均的な姿、広い牧場が広くなければならない理由、同じ牧場の頭数が雨でどれほど動くのかが分かります。

オーストラリアの牛は、2024年6月時点で約3040万頭である[1]。ところが南オーストラリア州のアナ・クリーク牧場では、運営会社の公表値(面積1万5746平方キロメートル、牛1万7000頭)で割ると、1頭あたり約93ヘクタール、ほぼ一辺1キロメートルの土地になる(計算は筆者。頭数は季節で変わる)[6]。何千頭を養う牧場は、牛飼いの「普通」なのか。

全国の頭数と農場数から見える平均的な姿、広い牧場が広くなければ成り立たない理由、同じ牧場の頭数が雨でどこまで動くのかが分かる。

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1. 牛は 3040万頭。1つの 牧場ぼくじょうには 何頭 いるの?

1. 牛は3000万頭以上。では1つの農場には何頭いるのか

1. 3040万頭を経営体の数で割る ── 「何千頭」は平均の姿ではない

オーストラリアの 牛は、ぜんぶで 3040万頭 です[1]。牛を そだてて いる 農場や 会社は、5万3964 あります[1]。

3040万を 5万3964で わると、1つで 560頭 くらいに なります。これは、だいたいの めやすです。ちちを とる 牛や 小さな 農場も ふくんで いるので、ただしい 平均へいきんでは ありません。

むかしの 統計とうけいでは、にくを とる 牛の 農場の 72%が 150頭より 少なく、2000頭を こえる 農場は 1%ほどでした[3]。1979年から 1980年の ことで、いまの かずでは ありません。

だから 答えは、「数百頭の 農場が 多くて、何千頭も いる 牧場ぼくじょうは ほんの 少し」です。では、その 広い 牧場ぼくじょうは、どれくらい 広いのでしょう。

オーストラリアの牛は、2024年6月時点で3040万頭(乳牛210万頭を含む)です。牛に関わる農業の経営体は5万3964あります[1]。割ってみると、1つあたり約560頭になります。ただし乳牛や小さな経営も含んでいて、頭数と経営体の範囲も同じではないので、公式の平均ではなく、あくまで粗い目安です。

そもそも全国の頭数からして、機関によってちがいます。2024年3月の報道では、ABARESは2570万頭、MLAは2860万頭と予測していて、約300万頭の差がありました。理由の一つは、年間の売上が4万豪ドルに満たない小さな経営を、ABS(豪州統計局)とABARESは数えず、MLAは数えることだとされます[2]。「牛の農場」をどこまで数えるかで、国の数字が変わるのです。

農場の大きさの分布は、ABSの年鑑に古い数字があります。1979〜80年は、肉牛農場の72%が150頭未満で、2000頭を超えるものは1%強でした[3]。2002〜03年には肉牛農場が約3万6200あり、平均の群れは20年ほどで52%増えたものの、どちらの時点でも小さな群れが多いという形だった、と年鑑は整理しています[3]。

題名の問いへの答えの要点は、「何千頭」は全体の平均ではなく、数百頭規模の農場が多いなかに、広い牧場が少し混じっている、ということです。では、その広い牧場はどれほど広いのでしょうか。

「何千頭」と聞くと、豪州の牛飼いはみな巨大な牧場を営んでいるように思える。しかし全国の数字を割ると、別の姿が見えてくる。2024年6月時点の全国の牛は3040万頭(乳牛210万頭を含む)、牛に関わる農業経営体は5万3964である[1]。単純に割ると約560頭になるが、乳牛や小規模経営を含み、頭数と経営体の範囲も揃っていないため、公式の平均ではなく粗い目安にとどまる。

全国頭数そのものが、機関で食いちがう。2024年3月の報道によると、ABARESは2570万頭、MLAは2860万頭と予測し、差は約300万頭あった。一因は、年間売上4万豪ドル未満の小規模経営を、ABSとABARESは数えず、MLAは数える点にある[2]。どこまでを「牛の農場」とするかで、母数が変わるのだ。

規模の分布は、ABSの年鑑に古いが具体的な数字がある。1979〜80年の肉牛農場は72%が150頭未満で、2000頭超は1%強にすぎなかった。2002〜03年には肉牛農場が約3万6200となり、平均の群れは20年余りで52%増えたが、どちらの時点でも小さな群れが多いという形だったと整理されている[3]。

以上から、題名の問いへの答えの要点は、「何千頭」は全体の平均ではなく、数百頭規模が多いなかに広い牧場が一部ある、という形になる。ただし最新の規模別分布は、ここで使える資料の範囲では示せない。では、その一部の牧場は、どれほどの広さなのか。

2. 牛 1頭に、1キロメートル四方に ちかい 土地?

2. 1万7000頭の牧場は、1頭あたり約93ヘクタール

2. 年降水量140ミリで1万7000頭 ── アナ・クリークとアレクサンドリアの広さ

南オーストラリア州に、アナ・クリークという 牧場ぼくじょうが あります。この 牧場ぼくじょうを やっている 会社の ページには、面積めんせきが 1万5746平方キロメートル、牛が 1万7000頭 と 書いて あります[6]。

わり算を すると、牛 1頭に つき 93ヘクタール くらいです。1ヘクタールは、たて よこ 100メートルの 広さ。93ヘクタールは、たて よこ 1キロメートルに ちかい 広さです(この 記事の けいさんです)。

この 牧場ぼくじょうの 1年の 雨は 140ミリ。ためたと しても、ふかさ 14センチです[6]。

ノーザンテリトリー準州じゅんしゅうの アレクサンドリア牧場ぼくじょうは、牛が 5万5000頭ほどと いわれます[8]。こちらは 1頭に つき 29ヘクタール くらいです。同じ 広い 牧場ぼくじょうでも、1頭ぶんの 広さは ちがいます。なぜでしょう。

南オーストラリア州のアナ・クリーク牧場は、運営会社の公式ページによると、面積1万5746平方キロメートル、年間降水量140ミリ、牛1万7000頭(季節によって変わる)です[6]。面積は資料で差があり、ウィキペディアは約2万3876平方キロメートルと書いています(別の牧場を含む数字とされます)[7]。ここでは公式の数字を使います。

計算してみます。1万5746平方キロメートルは157万4600ヘクタールなので、1万7000頭で割ると1頭あたり約93ヘクタールです。1ヘクタールは100メートル×100メートルの広さです。93ヘクタールを正方形にすると、一辺は約960メートルになります(筆者の計算)。年間140ミリの雨は、降った分がそのまま地面にたまったとしても深さ14センチです。

ノーザンテリトリー準州のアレクサンドリア牧場は、バークリー台地にあり、1万6116平方キロメートルに約5万5000頭の牛がいるといわれます。牧場会社NAPCoが1877年から所有し、豪州で3番目に広いとされます[8]。割ると1頭あたり約29ヘクタール、一辺約540メートルです(筆者の計算)。同じ「広い牧場」でも、1頭あたりの広さには3倍ほどの開きがあります。

この開きは、何で決まるのでしょうか。

南オーストラリア州のアナ・クリーク牧場について、運営会社の公式ページは、面積1万5746平方キロメートル、年間降水量140ミリ、牛1万7000頭(繁殖と肥育を季節に応じて行う)と記す[6]。ウィキペディアは面積を約2万3876平方キロメートルとするが、これは別の牧場を含む数字とされ、資料間で食いちがう[7]。本記事は公式値で計算する。

157万4600ヘクタールを1万7000頭で割ると、1頭あたり約93ヘクタール(筆者計算)。1ヘクタールは100メートル×100メートルである。93ヘクタールを正方形にすると、一辺は約960メートルになる。年間降水量140ミリは、蒸発や浸透を無視して平らな地面にためたと仮定しても、深さ14センチにすぎない。

北のノーザンテリトリー準州にあるアレクサンドリア牧場(バークリー台地)は、1万6116平方キロメートルで約5万5000頭の牛を養うといわれ、牧場会社NAPCoが1877年から所有し、豪州で3番目に広いとされる[8]。同様に割ると1頭あたり約29ヘクタール、一辺約540メートルである(筆者計算)。順位や頭数は時期で変わりうる値だが、規模はアナ・クリークと同じ桁にあるのに、1頭ぶんの土地は3倍ほどちがう。この差は何に由来するのか。

3. 牛 1頭に いる 土地は、どうして 場所で ちがうの?

3. 草がまばらな土地は、牛を少ししか養えない

3. 広くなければ成り立たない ── 収容力という物差し

土地が 牛を そだてられる かずは、そこに 生える 草の 多さで きまります。草が たくさん 生える 土地は、せまくても 牛を 何頭も そだてられます。

ノーザンテリトリー準州じゅんしゅうの ある 土地では、草が よく 生えて いる 年で、牛 1頭に 8から 11ヘクタールの 広さが めやすです[5]。いい 土地でも、牛 1頭には、たて よこ 300メートルに ちかい 広さが いる ことに なります(この 記事の けいさんです)。

雨が 少ない 年が つづいて、草が かれると、牛を そだてられる かずは 半分ほどに へりました。もとの 草が もどるまでに、何年も かかる ことが あります[5]。

北の 土地では 草の よさが ひくく、りょうも 年で 大きく かわると されます[4]。だから 農場が 広く ならないと、しごとに なりにくい ことが あると いわれます。

では、広い 牧場ぼくじょうの 牛は、1年中 同じ かずなのでしょうか。

土地が牛を養える力を、収容力といいます。クイーンズランド州の農業部局が運営するFutureBeefによると、ノーザンテリトリー準州の北バークリー地域で、多年生の牧草(カーリーブルーグラスやミッチェルグラスなど)がバランスよく生えた良い状態の土地の収容力は、1平方キロメートルあたり9〜12 AE(成牛換算)です[5]。1平方キロメートルは100ヘクタールなので、1頭あたり約8〜11ヘクタールになります(筆者の計算)。良い土地でも、1頭にこれだけの広さが要るのです。

干ばつで多年生の牧草を失うと、収容力は約半分に下がり、回復に数年かかることもあるそうです[5]。これは1種類の土地の例で、全豪の標準ではありません。

ABARES(農業資源経済科学局)の調査をまとめた資料は、北部は収容力が低く、牧草の質が低くて量の変動も大きいため、経営が成り立つよう農場が大きくなる傾向がある、と述べます[4]。物差しもちがいます。同じ資料で、北部の「大」は1600〜5400頭、「非常に大」は5400頭超、南部では「大」が400〜800頭、「非常に大」が800頭超とされています[4]。1000頭の群れは、南部なら「非常に大」、北部なら中くらいです。

ここで広さの数字をそろえて見ましょう。8〜11ヘクタールは良い草地の目安、29ヘクタールと93ヘクタールは牧場全体を頭数で割った値です。割り方がちがうので、どれが正しいかを決める数字ではありません。ただ、これらの頭数も年で動くのでしょうか。

牛を養う土地の力は、収容力(carrying capacity)と呼ばれる。クイーンズランド州政府のFutureBeefによると、ノーザンテリトリー準州の北バークリー地域で、多年生牧草(カーリーブルーグラス、ミッチェルグラスなど)がバランスよく残る良好な状態の土地は、1平方キロメートルあたり9〜12 AE(adult equivalent、成牛換算)を収容できる[5]。1平方キロメートルは100ヘクタールなので、1頭あたり約8〜11ヘクタールである(筆者計算)。さらに、干ばつで多年生牧草を失うと収容力は約半分に落ち、回復に数年かかることもある[5]。この数字は北バークリーの1種類の土地についてのもので、全豪の標準ではない。

北部の農場が大きくなる理由について、ABARESの農場調査をまとめた資料は、北部は収容力が低く、牧草の質が低くて量の変動が大きいため、1頭あたりの面積が広くなり、経営が成り立つよう農場が大きくなる傾向があると述べる[4]。規模の区分も地域で異なり、北部では「大」が1600〜5400頭、「非常に大」が5400頭超、南部では「大」が400〜800頭、「非常に大」が800頭超とされる[4]。したがって、1000頭の群れは南部では「非常に大」だが、北部では「中」に入る。「何千頭」を大規模と呼べるかは、地域の物差しに左右される。

ただし、8〜11ヘクタール(ある土地の状態の目安)と、29ヘクタール・93ヘクタール(牧場全体÷頭数)は、割り方の異なる数字である。ここから「良い草地なら牧場も1頭8〜11ヘクタールで足りる」とは導けないし、アレクサンドリアの値が目安より広い理由は、資料には書かれていない。言えるのは、土地の状態と地域によって、1頭ぶんの広さが1桁近く動くところまでだ。そして、牧場全体で割った数字には、もう一つ動く要素がある。

4. 同じ 牧場ぼくじょうで、牛が 1500頭から 1万7000頭に かわる?

4. 同じ牧場でも、記録された牛の頭数は年によって10倍以上ちがう

4. 1500頭から1万7000頭へ ── 年によって大きく動くアナ・クリークの頭数

アナ・クリークの 牛の かずは、年に よって 大きく ちがいます[7]。

2003年は 1万6500頭 ほどでした。ひでりだった 2008年は、1500頭 ほどです。2012年は 1万7000頭、2020年は 9500頭、2025年の 3月は 1万7000頭 でした。

1500頭と 1万7000頭を くらべると、11倍 ほどの ちがいです。

この 数字は、ウィキペディアに のって いる めやすです。雨や 草の ようすが かんけいして いると 考えられますが、年ひょうだけでは、牛が へった りゆうまでは わかりません。

牛の かずは、同じ 牧場ぼくじょうでも、年に よって 大きく かわります。

ウィキペディアのアナ・クリークの項には、牛の頭数の記録が年ごとに載っています。2003年は約1万6500頭、干ばつだった2008年は約1500頭、2012年は1万7000頭、2020年は9500頭、2025年3月は1万7000頭です[7]。

1500頭と1万7000頭を比べると、約11倍の開きです。二次資料の年表なので個々の数字は目安です。前の章で見たとおり、干ばつで多年生の牧草が減れば、土地が養える牛は半分近くまで下がることがあります[5]。頭数の増減には雨や草の状態が関係すると考えられますが、年表には増減の理由まで書かれていません。

題名の問いにもどると、「何千頭」は固定の数字ではなく、年によって大きく動く数字だと読めます。

アナ・クリークの頭数の推移は、ウィキペディアにまとまっている。約1万6500頭(2003年)、干ばつの約1500頭(2008年6月)、1万7000頭(2012年)、9500頭(2020年)、1万7000頭(2025年3月)である[7]。最小と最大の比は約11倍である。

前章の収容力の話と重ねると、この振れ幅の背景には草の状態があると考えられる。干ばつで多年生牧草を失えば収容力は約半分に落ち、回復に数年かかる[5]。したがって、牧場の「何千頭」は、面積から一意に決まる定数ではなく、年によって大きく動く値と見るのが妥当である。

ただし、この年表は二次資料であり、各年の頭数の数え方(年のどの時点か)も一定とは限らない。また、頭数を減らした理由を示す一次資料は、ここでは扱えない。「干ばつ年に減る」ことと「収容力が下がる」ことの対応は、読み手が資料を重ねて立てた見方であって、年表自体が因果を述べているわけではない。

5. 牛は どこに いて、人は どう 牛を あつめるの?

5. 人に会わない牛と、ヘリコプターで牛を集める人

5. 小さな集約農場から柵のない牧場まで ── 幅のある牛飼いの姿

牛が いちばん 多いのは、クイーンズランド州で 1360万頭 です。ぜんぶの 牛の 半分ちかくが、ここに います。つぎが ニューサウスウェールズ州の 620万頭、ビクトリア州の 420万頭 です[1]。

くにの 年かんは、牛の 農場には 小さな ものから、さくの ない 広い 牧場ぼくじょうまで はばが あると いいます。広い 牧場ぼくじょうの 牛は、牛を あつめる 作業の ときしか、人を 見ないそうです[3]。

広すぎて、馬で あつめるのは たいへんです。ざっしには、ヘリコプターの パイロット 1人か 2人が、馬に のった 人たちが 1週間 かかる 牛を、1日で あつめると 書いて あります[9]。ただし、ぜんぶの 牧場ぼくじょうが ヘリコプターを つかうわけでは ありません。

州別の牛は、2024年6月でクイーンズランド州が1360万頭、ニューサウスウェールズ州が620万頭、ビクトリア州が420万頭、西オーストラリア州が240万頭、ノーザンテリトリー準州が190万頭、南オーストラリア州が120万頭、タスマニア州が90万頭です[1]。クイーンズランド州だけで全体の約45%(1360万÷3040万)を占めます。

牛の農場の姿には、幅があります。ABSの年鑑は、南東部の集約的に管理された小さな農場から、ほとんど人に会わない、柵のない広大な牧場までがあると述べます。広い牧場の牛は、まれに行われる牛集めの作業(マスター)のときしか人を見ない、とも書かれています[3]。

これほど広いと、馬だけで牛を集めるのは大仕事です。雑誌『Outback Magazine』は、ヘリコプターのパイロット1〜2人が、馬に乗った一団が1週間かけて集めるより多い牛を、1日で集められると述べています[9]。ただし雑誌の記述で、すべての牧場がヘリコプターを使うわけではありません。

州別では、2024年6月時点でクイーンズランド州が1360万頭、ニューサウスウェールズ州が620万頭、ビクトリア州が420万頭、西オーストラリア州が240万頭、ノーザンテリトリー準州が190万頭、南オーストラリア州が120万頭、タスマニア州が90万頭である[1]。クイーンズランド州だけで約45%(1360万÷3040万)を占める。

ここで、同じ「牛の農場」のなかの幅に注意したい。ABSの年鑑は、南東部の集約的に管理された小さな農場から、ほとんど人に会わない、柵のない広大な牧場までを同じ産業のなかに並べる。広大な牧場の牛は、まれなマスター(muster、牛を集める作業)のときしか人を見ないという[3]。第1章の「数百頭規模が多い」姿と、第2章の「何千頭の牧場」は、この幅の両端にあたる。

広い牧場では、牛集めの手段も変わる。雑誌『Outback Magazine』は、1〜2人のヘリコプターのパイロットが、馬に乗った一団が1週間かける量より多い牛を1日で集められると述べる[9]。公的資料ではなく雑誌の記述であり、すべての牧場がヘリコプターを使うわけではないので、広さに見合った手段の一例としてとどめる。

6. 牛肉の パックから、牛 1頭ぶんの 土地を そうぞうして みよう

6. 日本で見かける牛肉から、牛1頭ぶんの土地を思い描く

6. 輸出される牛肉と、計算で確かめる1頭ぶんの土地

オーストラリアの 牛肉は、日本にも とどいて います。2024年の 輸出ゆしゅつは 130万トンで、ブラジルの つぎに 多い 国でした。輸出ゆしゅつ先の 18%が 日本 です[1]。

やってみよう。紙に、牛 1頭ぶんの 土地を かいて みましょう。1センチメートルを 100メートルと します。アナ・クリークの 牛 1頭ぶんは、たて よこ 10センチメートルに ちかい 正方形(9.6センチメートル)です。

つぎに、アレクサンドリア牧場ぼくじょうの 牛 1頭ぶんを、たて よこ 5.4センチメートルの 正方形で かきます。草の よい 土地の めやすは、たて よこ 3センチメートルほどです。ならべて みると、同じ 牛 1頭でも、広さが ずいぶん ちがうのが 見えて きます。

2024年の豪州産牛肉・子牛肉の輸出は130万トンで、ブラジルに次ぐ世界第2位でした。輸出先は米国29%、日本18%、韓国15%、中国14%です[1]。日本の店頭で見かける豪州産の牛肉も、この中の一部です。

やってみよう。店で牛肉の産地ラベルを見たら、「この牛は、1頭にどれだけの土地で育ったのか」を考えてみましょう。ただし、ラベルから分かるのは国までです。穀物で仕上げる飼育場を通った牛は2024年に310万頭、成牛のと畜の38%という数字もあり[1]、育った場所や広さまでは決められません。

もう一つは、紙に正方形を描いてみることです。1センチメートルを100メートルとすると、アナ・クリークの1頭ぶん(約93ヘクタール)は一辺約9.6センチメートル、アレクサンドリア(約29ヘクタール)は約5.4センチメートル、良い草地の目安(8〜11ヘクタール)は約3センチメートルの正方形になります。並べて描くと、同じ牛1頭でも土地の広さがどれだけちがうかが目で分かります。

描いた正方形は、第3章で見た「割り方のちがう数字」を並べたものでもあります。どれが牧場全体を割った値で、どれが良い草地の目安かを、紙の上で見分けてみてください。

2024年の豪州産牛肉・子牛肉の輸出は130万トン(船積み重量換算)で、世界第2位の牛肉輸出国である(第1位はブラジル)。輸出先は米国29%、日本18%、韓国15%、中国14%だった[1]。また、穀物で仕上げる飼育場(フィードロット)を通った牛は2024年に310万頭で、成牛のと畜の38%に当たる[1]。つまり、パックの産地ラベルから分かるのは国までで、その牛が1頭あたり何ヘクタールの土地で育ち、どこで仕上げられたかは別の問いになる。

自分で確かめる方法は2つある。1つは、紙に縮尺をそろえて正方形を描くことである。1センチメートルを100メートルとすると、アナ・クリークの約93ヘクタールは一辺約9.6センチメートル、アレクサンドリアの約29ヘクタールは約5.4センチメートル、良好な草地の目安8〜11ヘクタールは約3センチメートル(一辺約280〜330メートル)の正方形になる。並べると、1頭ぶんの土地の差が面積の差として見える。

もう1つは、数字の割り方を見直すことである。93ヘクタールと29ヘクタールは牧場全体を頭数で割った値、8〜11ヘクタールは土地の状態の目安であり、同じ物差しでは比べられない。第1章の約300万頭の食いちがい[2]も、どこまでを「牛の農場」に数えるかという定義の差から生じている。何を何で割った数字かを確かめる習慣が、統計の読み方の練習になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:頭数・農場数・輸出はMLA(業界団体)と豪州統計局(ABS)の資料、収容力は州政府のFutureBeef、牧場の面積や頭数は運営会社の公式ページを主に使った。ウィキペディアと雑誌は補助として使い、それぞれの項目に用途を書いている。

  1. MLA "Fast Facts 2025: Australia's beef industry"。https://www.mla.com.au/globalassets/mla-corporate/prices--markets/documents/trends--analysis/fast-facts--maps/mla_beef-fast-facts-2025_301025.pdf (全国の頭数・州別頭数・経営体数・輸出・飼育場の数字)
  2. ABC News "How many cattle are in Australia?"(2024年3月)。https://www.abc.net.au/news/2024-03-09/how-many-cattle-are-in-australia-mla-abares-numbers-clash/103548416 (機関ごとの頭数予測の差と、その理由の一つ)
  3. 豪州統計局(ABS)Year Book Australia 2005 "Australia's beef cattle industry"。https://www.abs.gov.au/ausstats/abs@.nsf/94713ad445ff1425ca25682000192af2/29550f34fee00fc5ca256f7200832fda (農場規模の古い分布と、農場の姿の幅。年度は古い)
  4. ABARES "Australian beef: financial performance of beef farms"(MLA掲載のPDF)。https://www.mla.com.au/globalassets/mla-corporate/prices--markets/documents/trends--analysis/abares-farm-survey/austbeef_2015_v100.pdf (北部と南部の収容力のちがいと、規模の区分)
  5. FutureBeef(クイーンズランド州政府)"How many cattle can the country carry?"。https://futurebeef.com.au/?p=27977 (良好な土地の収容力と、干ばつによる低下。北バークリーの一例)
  6. Williams Cattle Company "Anna Creek"。https://www.williamscattlecompany.com.au/anna-creek (アナ・クリーク牧場の面積・年間降水量・頭数。運営会社の公式ページ)
  7. Wikipedia "Anna Creek Station"。https://en.wikipedia.org/wiki/Anna_Creek_Station (年ごとの頭数の変化。二次資料で、数字は目安)
  8. Wikipedia "Alexandria Station (Northern Territory)"。https://en.wikipedia.org/wiki/Alexandria_Station_(Northern_Territory) (アレクサンドリア牧場の面積・頭数。二次資料)
  9. Outback Magazine(David Hancock)。https://outbackmag.com.au/?p=7653 (ヘリコプターによる牛集めの一言。雑誌の記述)

なおした ところ

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