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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

アサリは なにを たべて いるの? あかちゃんの ときも おなじ?

アサリは砂に潜ったまま何を食べるのか ── 赤ちゃんと大人で食べ方が変わる理由

アサリの食べものは、なぜ長年わからなかったのか ── 胃の珪藻DNAと、入水管ができる殻長2mmの境目

分野:生きもの

アサリは、すなの 中に もぐった まま、ごはんを たべます。でも なにを たべて いるのかは、ながい あいだ、よく わかって いませんでした[1]。

いぶくろを けんびきょうで のぞいても、わからなかったのは なぜでしょう。あかちゃんと おとなで、たべかたが かわる ことまで わかります。

潮干狩りや味噌汁でおなじみのアサリですが、海の中で何を食べているのかは、長いあいだ謎のままでした。二枚貝は胃の中で食べものを粉々にしてしまうため、顕微鏡で胃をのぞいても、何をどれだけ食べたのかが読み取れなかったからです[1]。

どうやってその謎が解かれたのでしょうか。しかも、アサリの赤ちゃんと大人では食べ方が違うようです。調べ方と、食べ方が切りかわる境目が分かります。

天然の海のアサリが具体的に何を食べているのかは、長年の謎とされてきた。二枚貝は胃の中で食べものを粉々に壊すため、胃の中身を顕微鏡で見ても、種類も量も読み取れなかったからである[1]。

2025年、三重大学は、胃に残った珪藻の葉緑体のDNAを調べる方法でこの問題に挑んだ。その結果から、殻長が約2mmを境に、食べ方が足で集める方式から水をこす方式へ移ると考えられた。何がどこまで分かったのか、飼育実験の数字と分けて確かめられる。

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1. いぶくろを のぞいても、どうして わからないの?

1. 胃をのぞいても食べものが分からなかったのはなぜか

1. 胃の内容物を見ても分からない ── 二枚貝の胃が餌を壊す仕組み

おなかの中を のぞけば、なにを たべたか わかりそうです。ところが アサリの いぶくろでは、たべものが こなごなに なって しまいます[1]。

こなごなでは、もとが なんだったのか、わかりません。そこで、むかしから「ほんとうは なにを たべて いるの?」が、ずっと ふしぎでした。

いぶくろの 中には、どうやって こなごなに する ものが あるのでしょう。

アサリの食べものが謎だった理由は、アサリの胃にあります。二枚貝は、胃の中に取りこんだ餌を細かく壊してしまいます。原形が残らないので、顕微鏡で胃の中身を見ても、何を食べたのかが分かりません[1]。

では、どうやって壊すのでしょうか。東京大学の博士論文の審査要旨には、二枚貝に特有の桿晶体(かんしょうたい)という部分が、胃の中で回転して餌をかき混ぜる、と書かれています。珪藻の細胞どうしがこすれ、ぶつかることで殻が壊れると推察されています[2]。あくまで「推察」の段階です。

食べたものが胃の中で消えてしまうなら、何を食べたかを知る手がかりは、壊れても残る何かしかありません。

天然のアサリの餌が長く分からなかった最大の理由は、二枚貝の胃が餌を粉々に壊してしまうことにある。胃の中身を顕微鏡で観察しても、原形をとどめた餌がほとんど見えないため、食べたものの種類も量も、見た目からは判断できなかった[1]。

では、なぜ壊れるのか。東京大学の博士論文の審査結果の要旨には、胃の中の珪藻細胞が、桿晶体の回転に伴って高密度の状態でかき混ぜられ、細胞どうしの摩擦や衝突で分解されるのだろうと推察された、とある[2]。桿晶体は二枚貝に特有の構造で、繊毛の働きで回るとされる。ただし、これは推察された段階の説明で、確定した仕組みとして書くことはできない。

見た目で調べる方法が使えないなら、壊されても残るものを手がかりにするしかない。その候補が、珪藻の細胞の中にある葉緑体のDNAだった。

2. こなごなでも わかる ものって、なに?

2. 壊れても残る「DNA」で、胃の中の珪藻を調べた

2. 葉緑体DNAを手がかりにした調査 ── 87属の珪藻が見えた

こなごなに なっても、のこる ものが あります。「けいそう」という、とても 小さい 植物プランクトンの、DNAです。

三重大学の ひとたちは、この DNAを しらべる 方ほうで、アサリの たべものを あきらかに しました[1]。

しらべた アサリは、3つの 海の、とても 小さい ものから 4センチまでの ものです。アサリと 海の 水と 海の そこの 表面を しらべて、ぜんぶで 87しゅるいの グループの けいそうが 見つかりました。海の 水に 多い けいそうと、すなの 上に すむ けいそうの、りょうほうです[1]。

では、おおきい アサリと 小さい アサリでは、たべものは おなじ でしょうか。

珪藻は、植物プランクトンの仲間です。その細胞の中にある葉緑体のDNAは、胃の中で細胞が壊されても、断片として残ります。三重大学は2025年、この性質を使って、胃に残った珪藻のDNAを調べる方法で、天然の海のアサリの食べものを明らかにしました[1]。

調べたのは3つの海域の、殻の長さが0.16mmから4cmまでのアサリです。アサリ・海水・海底表面の試料から合計87属の珪藻が検出され、内訳は、海水中を漂う浮遊珪藻が20属、海底の砂などにすむ底生珪藻が67属でした[1]。

浮遊珪藻と底生珪藻のどちらを食べているかが分かれば、アサリがどこで食べているかも見えてきます。大きさによって、その割合は同じだったのでしょうか。

調査の手がかりは、珪藻の葉緑体DNAである。胃の中で細胞が壊されても、DNAの断片は残る。三重大学は、3つの海域で採った殻長0.16mmから4cmまでのアサリを対象に、胃に残った珪藻のDNAを調べる方法を使い、天然海域でのアサリの食べものを明らかにした。2025年4月のニュースリリースによる[1]。

アサリ・海水・海底表面の試料から合計87属の珪藻が検出され、内訳は浮遊珪藻20属、底生珪藻67属だった[1]。ここで注目したいのは、浮遊珪藻と底生珪藻の両方が検出された点である。底生珪藻は砂や泥の表面にすみ、浮遊珪藻は海水中を漂う。アサリは砂に潜って暮らすので、水中のものも、砂の上のものも、食べる機会がある。

では、その割合は成長しても変わらないのか。結果は、殻の長さによって食べているものが違うことを示していた。

3. あかちゃんは、足で あつめて いるの?

3. 殻の長さ2mmを境に、食べ方が変わる

3. 殻長2mm前後で入水管が完成する ── 足で集める食べ方から、こしとる食べ方へ

いぶくろを しらべると、小さい アサリと おおきい アサリで、たべものが ちがって いました。

からの ながさが 2ミリ くらいまでの アサリは、すなの 上に いる けいそうを、よく たべて いる ものが 多めでした。8ミリ より おおきく なると、どの アサリも、海の 水の 中の けいそうを たべて いました[1]。

2ミリは、ごまつぶより すこし 小さい ながさです。この ころ、アサリには 大きな かわりめが あります。からだの うしろに、水を すったり はいたり する 2ほんの 管くだが できます。ストローのように、水を すったり はいたり する 管くだです[3]。

小さい うちは、足で すなの 上の けいそうを あつめて いると かんがえられて います。管くだが できると、すこしずつ 水を こして たべる ように かわり、8ミリ ぐらいで ほとんど こして たべる ように なります[1]。ただし ほんとうの こしかたは、ストローより ずっと ふくざつです。

胃の中身を殻の長さ別に比べると、食べているものに違いがありました。殻長約2mmまでのアサリには、底生珪藻を高い割合で食べている個体が比較的多く、8mm以上では、すべての個体が浮遊珪藻をほとんどの割合で食べていました[1]。2mmまでの全個体が底生珪藻を食べていた、という意味ではなく、「比較的多い」という傾向です。

この境目のころに、アサリの体には変化があります。体の後ろ側で外套膜が合わさって2本の管ができ、背側が出水管、腹側が入水管になります。入水管の入口には触手があり、吸いこむ粒の大きさの選別やろ過をしているとされます[3]。

三重大学は、入水管が完成する前の小さなアサリは、砂の上の底生珪藻を足で集めて食べていると考えました。入水管が完成する殻長2mm前後から、徐々に海水をこす食べ方に移り、8mm前後でほぼ完全なろ過食になる、という推定です。食べ方の変化は入水管の完成と密接に関係すると考えられています[1]。足で集める部分は、胃の中身から導かれた推定で、動いているところを見て確かめた話ではありません。

殻長別に胃の中身を見ると、食べものの内訳に違いが出た。殻長約2mmまでのアサリでは、底生珪藻を高い割合で食べていた個体が比較的多く、殻長8mm以上では、すべての個体が浮遊珪藻を極めて高い割合で食べていた[1]。「2mmまでの全個体が底生珪藻」ではなく、あくまで「比較的多い」という傾向である。

この境目には、体のつくりの変化が重なる。アサリは外套膜の後ろが合わさって2本の管をつくり、背側が出水管、腹側が入水管になる。入水管の入口の触手は、外套腔に吸いこむ懸濁粒子の大きさの選択や、ろ過を行うとされる[3]。水をこすための管がなければ、そもそも水中の珪藻を集めて食べることが難しい。

三重大学の説明では、入水管が完成していない殻長2mmまでの個体は、砂の上の底生珪藻などを足で集めて食べる(ペダル・フィーディング)と考えられる。入水管が完成する2mm前後から、徐々にろ過食へ移り、8mm前後でほぼ完全に水中の浮遊珪藻などをこしとる。食性の変化は入水管の完成と密接に関係すると考えられた[1]。ただし足で集める摂餌は推定であり、胃の中身という結果から導かれた解釈である。

赤ちゃんの時期にも水をこせるなら、管が完成するまで待つ必要はなかったはずだ。では小さなアサリは、砂の上の珪藻なら何でも食べられたのか。

4. 小さい アサリは、なんでも たべられるの?

4. 砂にいる赤ちゃんは、硬い殻の珪藻を消化できるのか

4. 小さな稚貝に消化できるもの、できないもの ── 飼育実験の数字

小さい アサリは、すなの 上の けいそうなら なんでも たべられる、とは かぎりません。

うまれて すなに おちついた ばかりの 小さな アサリは、大きな けいそうを ほとんど とりこめません。小さくても からの かたい けいそうは、からを こわせません[2]。

からの ながさが 3ミリ いじょうに なると、かたい けいそうの からも こわして、中みを えいように できます。10ミリでは、たべた けいそうの 9わりより 多くを、おなかの 中で こわして しょうかできた という けっかが あります[2]。

この じっけんでは、アサリが 大きく なると、かたい からの けいそうも しょうかできるように なりました。

砂の上に底生珪藻がたくさんあっても、赤ちゃんが何でも食べられるとは限りません。東京大学の博士論文の審査要旨によると、着底したばかりの殻長0.2〜0.5mmの稚貝は、大きな珪藻をほとんど取り込めませんでした。小さくても硬い殻をもつ底生珪藻の殻は壊せませんでした[2]。

殻長3mm以上になると、硬い殻の底生珪藻も分解して、中の細胞質を栄養にできるようになります。殻長10mmの稚貝では、食べた珪藻の約90%以上を消化管の中で分解・消化できたと報告されています[2]。

注意したいのは、この3mmや10mmが飼育実験の数字だという点です。前の章の2mmや8mmは、海で採ったアサリの胃の中身から出た数字なので、調べ方がちがいます。別々の方法で調べた数字が、おおまかに同じ時期の変化を指している、と読むのが安全です。

小さな稚貝にとって、砂の上の珪藻がすべて食べものになるわけではない。東京大学の博士論文の審査結果の要旨によると、着底直後の殻長0.2〜0.5mmの稚貝は、大型の珪藻をほとんど取り込めず、小さくても殻の硬い底生珪藻の殻は壊せなかった[2]。

殻長3mm以上になると、硬い細胞殻をもつ底生珪藻も分解して、細胞質を栄養源にできるようになる。殻長10mmの稚貝では、食べた珪藻の約90%以上を消化管内で分解・消化できた[2]。取り込める大きさと、壊せる硬さの両方が、成長とともに広がっていく。

ここで、数字の出どころを分けておく必要がある。三重大学の2mmと8mmは、天然海域のアサリの胃の中身から出た境目であり、東京大学の3mmと10mmは、飼育した稚貝での実験結果である。調べ方が違う2組の数字を、同じ尺度で並べて「2mmで消化できる」などと混ぜることはできない。言えるのは、どちらの資料でも、殻長が数mmに成長するあたりで食べものの幅が広がる、という程度である。

では、大きくなったアサリは、海の中でどんな食べ方をしているのか。

5. おおきく なった アサリは、いつ たべるの?

5. 大人のアサリは、いつ、どれだけの水をこしているのか

5. 大人のアサリはいつ食べるのか ── 夜のリズムと干潮前後の行動、そして海の栄養

大きく なった アサリは、夜に、管くだを よく のばして たべます。やく 24時間で くりかえす、からだの 中の とけいが かかわって いると されます[2]。

しおが ひく ところに すむ アサリは、潮しおが ひく ころに、あつまって たべる と かんがえられて います。この ころは、すなの 上の たべものが まい上がりやすい からです[2]。

えらびかたも おもしろい のです。おとなの アサリの いぶくろに ある けいそうの ならびは、海の 水と よく にて いました。えらびすぎては いないと みられます。ただ、細ながく つながった けいそうは、海に 多くても いぶくろから 見つからない 日が ありました。のみこめなかった のかも しれません[1]。

たべる 水の りょうも、とても 多いと いわれます。東京湾とうきょうわんに すむ アサリ ぜんぶで、東京湾とうきょうわんの 海の 水ぜんぶを 1年に 2かい ぶん こして いると いう せつが あります[4]。

その けいそうは、海に えいようが あって ふえます。近ごろは 海の えいようが 少なく なり、けいそうも へった ことが、アサリが へった 一つの わけと して 注目されて います。せとない海や いせわんなどでは、下水の はいすいの きまりを ゆるめて、えいようを ふやす こころみも はじまって います[1]。

大人のアサリの食べ方には、時間のリズムがあります。東京大学の審査要旨によると、アサリは夜に活発に水管を出して食べます。その行動は、約24時間周期の体内リズム(概日リズム)によると報告されています。潮下帯のアサリは夜型の食べ方、潮間帯のアサリは、餌が巻き上げられやすい干潮の前後に集中して食べて、効率よく餌を取りこんでいると考えられました[2]。

食べものの選び方は、あまり好みがないようです。大人のアサリの胃の中の珪藻の組成は、海水中の組成とよく似ていて、選り好みせずに食べているとみられます。ただし、細長く連なるDactyliosolenという珪藻は、海水中に多い日でも胃から検出されませんでした。アサリには飲みこめない大きさや形だった可能性があります。これは特定の調査日の例なので、一般的な結論とは言えません[1]。

こうして水をこして食べる量は、海全体の水に影響するほどだ、ともいわれます。農林水産省の広報誌には、東京湾のアサリ全部で、東京湾の海水全量を1年に2回分こしているといわれる、とあります。ただしこれは算出根拠や、いつの資源量なのかが分からない推定値です[4]。

餌の珪藻は、海の栄養が足りないと増えません。三重大学のリリースは、近年の資源減少の要因のひとつとして、海が貧栄養化して植物プランクトンが減ったことが注目されていると述べています。瀬戸内海、伊勢湾、三河湾では、下水道の排水規制を緩めて海の栄養を増やす試みも始まっています[1]。減少の理由はほかにも多岐にわたり、餌の不足だけで決まるわけではありません。

大人のアサリの食べ方には、時間のリズムがある。東京大学の審査結果の要旨は、アサリが夜間に活発に水管を出して摂餌し、この行動が約24時間周期の概日リズムによることを示している。潮下帯の個体は夜型の摂餌をするのに対し、潮間帯の個体は、餌が巻き上げられやすい干潮前後に集中して摂餌し、効率よく餌を取りこんでいると考えられた[2]。

では、何でも食べるのか。三重大学の結果では、成体の胃内の珪藻の組成は海水中の組成とよく似ており、選り好みせずに食べているとみられる。例外は、細長く連なるDactyliosolen(ダクティリオソレン)で、海水中に多い日でも胃から全く検出されなかった。アサリが飲みこめず、餌として不適だった可能性がある[1]。ただし、これは特定の調査日の観察であり、一般化はできない。

こうして水をこす力は、規模が大きいとされる。農林水産省の広報誌affは、東京湾の全アサリで東京湾の海水の全量を年に2回分こしていると言われる、と紹介している[4]。この数字は、算出の根拠も、どの時点の資源量での値かも示されていないため、推定値として扱うべきである。

餌の珪藻は、海の栄養があってこそ増える。三重大学のリリースは、近年のアサリ資源の減少の要因として、海の貧栄養化に伴う植物プランクトンの減少が注目されるようになったと述べる。瀬戸内海、伊勢湾、三河湾では、下水道の排水規制基準を緩和して沿岸の栄養塩を増やす試みが始まっている[1]。ただし、減少の要因は餌の不足に限られず、多岐にわたる。

アサリの食べ方は成長とともに変わる。アサリの餌になる珪藻は、海の栄養とも関係している。小さな貝の食べ方を知ることは、アサリのいる海を知る入り口にもなる。

6. アサリの 管くだを、じぶんの 目で 見て みよう

6. 生きたアサリの「管」を観察し、原典で数字を確かめる

6. 管の観察と、原典に当たるときの読みどころ

スーパーで、生きた アサリを 買った とき、りょうりの 前に ためして みましょう。うすい 海水の ような しおみずに、アサリを 入れます。よるのように くらい ところで、しずかに まって みます。

うまく いくと、からの あいだから 2ほんの 管くだが 出てきます。出てこない ことも あります。そのときは ざんねんでも、むりに さわらないで くださいね。

みつけたら、管くだが 2ほん あるか、かぞえて みましょう。この 管くだが できる 前の、もっと 小さい アサリは、どうやって たべて いたのか、そうぞうして みて ください。

スーパーで生きたアサリを買ったら、調理の前に観察できます。浅い容器に、海水くらいの塩水(水1リットルに塩約30g)をアサリが半分ひたる程度に入れ、暗くて静かな場所で30分ほど待ちます。アサリは夜に水管を出して食べるといわれるので、暗いほうが出やすいかもしれません。ただし必ず出るとは限りません。出なくても、無理に触らないでください。

水管が出たら、2本あることを目で追ってみましょう。管が見えたら、今の自分が見ているアサリは、足で集めるころを過ぎた大きさなのだな、と考えると、記事の内容が実感に変わります。

数字を確かめたいときは、出典に挙げた三重大学のニュースリリース[1]と、東京大学の博士論文の審査結果の要旨[2]が読めます。どちらも日本語で、殻長ごとの食べ方の変化を扱っています。同じ研究グループの成果なので、別の研究者の確認が出てきたら、そこも読みたいところです。

観察の入り口として、生きたアサリを塩水に入れ、暗く静かな場所で水管を出すかどうかを見る方法がある。夜に活発に摂餌するという報告を踏まえた観察であり、必ず出るという保証はない。出ない場合は、無理に刺激しない。出た場合は、入水管と出水管が並ぶ2本の管であることを目で確かめられる。

原典を読むときは、次の点が読みどころになる。(1) 三重大学のリリース[1]は、野外の胃内容のDNA解析と、そこから導かれた入水管との関係の推定である。足で集める摂餌(ペダル・フィーディング)は「考えられる」という推定として書かれている。(2) 東京大学の審査要旨[2]の3mm・10mmの数字は飼育実験の結果であり、野外の数字とは調べ方が違う。(3) 三重大学と東京大学の資料は同じ研究グループの成果にあたるため、独立した別の研究による確認ではない。

(4) 農林水産省のaff[4]の東京湾の数字は、「言われています」という広報誌の紹介で、算出の根拠は書かれていない。数字の強さを、出典ごとに見比べることで、記事の言葉の強さの意味が分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:三重大学のニュースリリース、東京大学の博士論文の審査結果の要旨、水産大学校の研究報告、農林水産省の広報誌を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 三重大学 ニュースリリース(2025年4月3日)。https://www.mie-u.ac.jp/news/topics/8ed41d4fcf67ce08f409045d7b72476a.pdf (胃の珪藻DNAによる食べもの調査、殻長ごとの食べ方、入水管との関係、海の栄養について)
  2. 東京大学 博士論文 審査結果の要旨(伯耆匠二)。https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/48015/files/A32239_review.pdf (稚貝の消化の飼育実験、桿晶体、夜と干潮の食べ方について)
  3. 水産大学校研究報告 アサリの鰓構造に関する報告。https://fra.repo.nii.ac.jp/record/2012090/files/fishu_k_65_69.pdf (入水管・出水管のつくりと入水管触手について)
  4. 農林水産省 広報誌aff 2016年7月号。https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1607/pdf/1607_11.pdf (アサリが海水をこす量の目安について。「言われています」という紹介)

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