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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ぎゅうにくの ヒレは、うしの からだの どこに あるの? どうして やわらかいの?

牛肉のヒレは、牛の体のどこにあるのでしょうか。かたや首の肉と、かたさがちがうのはなぜ?

脂が少ないのに、牛肉のヒレはなぜやわらかい? かた・ネックとの違いと、4つの胃

分野:生きもの

やきにくやさんの メニューに ある「ヒレ」は、うしの せぼねの うちがわに ある、ほそながい にくです。あぶらが ほとんど ない あかみなのに、とても やわらかいと いわれます[2]。

おなじ うしの にくなのに、どうして かたさが ちがうのでしょう。この ページを よむと、ヒレと くびの にくの ちがい、うしの いぶくろが 4つ あることが わかります。

焼肉店のメニューにある「ヒレ」は、牛の背骨の内側にある細長い肉で、脂肪が少ない赤身なのに非常にやわらかいといわれます[2]。理由の一つは、この筋肉が牛の体でほとんど動かされないことだそうです。

では、同じ牛の肉なのに、部位によってかたさがちがうのはなぜでしょうか。この記事を読むと、ヒレと首の肉のちがい、運動量だけでは説明しきれないこと、ミノやセンマイが牛の4つの胃の名前であることが分かります。

脂が少ない赤身なのに、ヒレは非常に柔らかい。焼肉店のヒレは、牛の背骨の内側にある細長い肉である。農林水産省の広報誌は、その背景として、この筋肉がほとんど動かされないことを挙げている[2]。辞典は、これを「最上肉」と説明する[3]。

同じ一頭の牛で、部位によって柔らかさが違うのはなぜか。この記事を読むと、ヒレとかた・ネックの差、柔らかさには運動量以外の要因も関わること、ミノなどのホルモンが牛の4つの胃に当たることが分かる。

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1. ヒレは、うしの からだの どこに あるの?

1. ヒレは背骨の内側にあって、ほとんど動かない

1. ヒレの位置:背骨の内側の細長い筋肉は、なぜ赤身でも柔らかいのか

やきにくやさんの メニューには、ヒレ、ロース、かたなど、たくさんの なまえが ならびます。これは、うしの からだの どこの にくかを しめす なまえです。

ヒレは、せぼねの うちがわの、さゆうに ある ほそながい にくです。さかなの ひれとは べつの ものです[3]。

この ぶぶんは、うしが あるいたり ものを たべたりする とき、ほとんど うごかされません。だから あぶらが すくない あかみでも、とても やわらかいのだそうです[2]。

では、よく うごかす ところの にくは、どう なるのでしょう。

牛肉の部位は、「食肉小売品質基準」で大きく11の部位に分けられています。焼肉店では、それをさらに細かく分けた希少部位を出すこともあります[1]。メニューの名前は、牛の体の地図のようなものです。

ヒレは、牛や豚の背骨の内側の左右にある細長い肉です。辞典は「脂肪がほとんどなく柔らかい最上肉」と説明し、フィレやテンダーロインとも呼ばれることを載せています[3]。魚の「ひれ」とは別のものです。

農林水産省の広報誌は、ヒレの中心部(シャトーブリアンと呼ばれる部分)について、ほとんど動かされることがないので、赤身なのに非常に柔らかい肉質だと説明しています[2]。背骨の内側は、歩くときにも草を食べるときにも、あまり使わない場所なのでしょう。

では、よく使う場所の肉は、どうなっているのでしょうか。

牛肉の部位は、食肉小売品質基準で11部位に分けられ、焼肉店ではさらに細かい希少部位が提供される[1]。名前は、牛の体のどの位置の肉かを示す地図の役割を持つ。

ヒレは背骨の内側の左右にある細長い肉で、辞典は「脂肪がほとんどなく柔らかい最上肉」と説明し、フィレ・テンダーロインの別名を挙げる[3]。農林水産省の広報誌は、ヒレ中心部のシャトーブリアンについて、ほとんど動かされないので赤身にもかかわらず非常に柔らかいと述べる[2]。

ここで注意したいのは、脂肪が少なくても柔らかいという点である。柔らかさを脂のおかげと考える人もいるが、ヒレは脂が入らない赤身でも柔らかい例で、筋肉の使い方が効いている可能性を示す。では、逆によく動かす筋肉は、どのような肉質になるのか。

2. よく うごかす くびや かたの にくは、どうなの?

2. よく動かす首やかたの肉は、かために

2. ネックとかた:よく運動する部位の肉質

くびの にくは「ネック」と よばれます。うしは くびを よく うごかすので、ネックの にくは きめが あらくて、すこし かためです。そのかわり、あじわいが あると いわれます[1]。

かたの まわりの にくも、よく うごかす きんにくが あつまった ところです。かためで、きめが あらい にくが おおいそうです[2]。

ヒレと ネックを くらべると、「よく うごかす ところは かため、ほとんど うごかさない ところは やわらかい」と いえそうです。

でも、かたの なかに、やわらかい にくも あるのです。

首の肉は「ネック」と呼ばれます。農林水産省の広報誌によると、ネックはよく運動をする部分で、きめがあらく、肉質はかためです[1]。ただし、かたいだけの肉ではなく、味わいがあると紹介されています。

肩まわりの「かた」も、よく運動する筋肉の集まりです。きめがあらく、肉質はかためだと説明されています[2]。

ここまでをまとめると、ヒレとネックは、牛の体の中で正反対の位置づけです。ほとんど動かさない筋肉は柔らかく、よく動かす筋肉はかため。部位名から肉質を想像する手がかりになります。

ところが、この法則に当てはまらない肉が、かたの中にあります。

ネックは首の部位で、よく運動する部分のため、きめがあらく肉質はかためとされる。ただし味わいがあるともあり、かたい肉が劣った肉という意味ではない[1]。肩まわりの「かた」も、よく運動する筋肉の集まりで、きめがあらく肉質はかためだと同じ広報誌の別号が説明する[2]。

ヒレ(ほとんど動かされない)とネック・かた(よく動かされる)を並べると、運動量が多いほど肉はかたく、少ないほど柔らかいという傾向が読み取れる。ただし、これは個々の部位の記述を積み重ねた見方で、資料が「運動量が少ない部位ほど柔らかい」と一般則として述べているわけではない。実際、かたの中には、この傾向から外れる肉がある。

3. おなじ かたなのに、やわらかい にくが あるのは なぜ?

3. かたの中にあるやわらかい肉は、運動量だけでは説明しきれない

3. ミスジとかた:運動量以外の要因(脂の入り方・結合組織)

かたの なかの「ミスジ」という ぶぶんは、あまり うごかない ところです。うごかないことに くわえて、しもふりの あぶらも はいって、やわらかい にくに なります[2]。

つまり、おなじ かたでも、うごき かたや あぶらの はいりかたで、にくの かたさも かわるのです。

にくの かたさには、きんにくの せんいの ほかに、「コラーゲン」という たんぱくしつを ふくむ、きんにくを つつむ すじのような ぶぶんも かんけい するそうです[4]。

だから、「うごかす ほど かたい」だけでは、ぜんぶは せつめい できません。

ミスジの場合

かたはよく運動する筋肉の集まりですが、その中の「ミスジ」だけは、あまり動かない部分です。農林水産省の広報誌は、そのため霜降りが入って柔らかい肉質になると説明しています[2]。同じ「かた」の中でも、使われ方によって肉質が変わるわけです。

運動量だけでは説明しきれない

ただし、柔らかさは運動量だけでは説明しきれません。農研機構の資料では、肉の柔らかさには、筋繊維そのものの柔らかさと、コラーゲンを主とする結合組織の質と量の両方が関わるとされています[4]。ミスジの例も、動かないことに加えて、脂が入ることが関係していそうです。

ここまでは、牛の「肉」の話でした。でも焼肉屋さんには、筋肉ではない部位も並んでいます。

肩まわりのかたは、よく運動する筋肉の集まりで肉質がかためだが、その中のミスジだけは、あまり動かないことに加えて霜降りも入るため、柔らかい肉質になる[2]。同じ部位名の中でも、筋肉ごとの使われ方で肉質が変わるわけで、部位名を一つの肉質と結びつけると外れることがある。

そのうえ、柔らかさには運動量以外の要因も関わる。農研機構の資料は、食肉の柔らかさには筋繊維そのものの柔らかさと、コラーゲンを主とする結合組織の質・量が関与するとする[4]。つまり、運動量が少ないことは柔らかさの一因になりうるが、それは筋繊維や結合組織の状態、さらにはミスジの例のように脂の入り方と組み合わさって、最終的な肉質になる。

ここまでは筋肉の話だった。しかし焼肉店のメニューには、筋肉ではない部位が並ぶ。

4. ミノや センマイは、うしの どこの ことなの?

4. ミノやセンマイは、牛の4つの胃の名前

4. ホルモンの名前:ミノ・ハチノス・センマイ・ギアラは第1〜第4胃

やきにくの メニューには、「ミノ」「ハチノス」「センマイ」「ギアラ」と いう なまえも あります。これは、うしの いぶくろ です。

うしの いぶくろは 4つ あります。1つめが ミノ、2つめが ハチノス、3つめが センマイ、4つめが ギアラです[5]。

ハチノスは、ないがわが はちの すのような もようを して いるから つけられた なまえです。センマイは、ひだが たくさん かさなって みえるからです[5]。

ミノは、むかしの ひとが あめの ひに きた「みの」に にて いるからと いわれます。

どうして、いぶくろが 4つも あるのでしょう。

焼肉やもつ鍋に出てくるミノ、ハチノス、センマイ、ギアラは、牛の4つの胃の名前です。順に、第1胃、第2胃、第3胃、第4胃にあたります[5]。

名前は、見た目から付けられました。ハチノスは、内側の壁が蜂の巣のようなひだ模様になっていることから。センマイは、たくさんのひだが重なって見える様子から名付けられたとされています[5]。ミノは、雨具の「蓑」に似ているからという説があります。

肉の「部位」というと筋肉を思い浮かべますが、牛肉料理には内臓も含まれているのです。

牛はなぜ、胃を4つも持っているのでしょうか。

ミノ(第1胃)、ハチノス(第2胃)、センマイ(第3胃)、ギアラ(第4胃)は、ホルモンとして食べられる牛の4つの胃の名前である[5]。第4胃は赤みがあり、アカセンマイと呼ばれることもある。

名前の由来は、見た目にある。ハチノスは内壁が蜂の巣のようなひだ模様になっていること、センマイは多数のひだが見える様子から付いた[5]。ミノの由来は、雨具の蓑に似ているからという説がある。

つまり、焼肉店のメニューは、筋肉だけでなく消化管も含めた牛の体の地図になっている。それなら、胃が4つに分かれているのは、どういう理由なのか。

5. うしの いぶくろは、どうして 4つ あるの?

5. 牛の胃が4つある理由は、役割分担にある

5. 4つの胃の分担:分解・反芻・水分吸収、そして消化液

うしは くさを たべます。くさは かたくて、ぶんかいしにくい たべものです。

1つめの いぶくろでは、ちいさな びせいぶつが くさを わけて いきます。2つめは たべものを くちに もどして、もういちど かみます。3つめは すいぶんを すいとって、こまかい ものだけを 4つめに おくります。4つめの いぶくろは、ひとの いぶくろに ちかく、しょうかえきを だします[6]。

せいちょうした うしでは、1つめの いぶくろが ぜんたいの 8わりほどを しめます。4つめは 1わり いかです。

でも うまれたての こうしでは、4つめが ぜんたいの 7わりほどを しめると いわれます。こうしは ミルクを のむので、そだつ ときに、いぶくろの おおきさの わりあいが かわって いくのです[6]。

農畜産業振興機構の解説によると、第1胃では微生物の働きで食べ物が分解されます。第2胃は食べ物を口へ戻して、もう一度かむ(反芻)ために働き、第3胃は水分を吸い取って、細かくなったものを次へ送ります。第4胃が、人の胃に近く、消化液を出すところです[6]。草のようにかたい食べ物から栄養を取り出すために、胃が役割を分担しているわけです。

大きさの割合も、成長で変わります。同じ解説では、第1胃(ミノ)が成牛では胃全体のおよそ8割を占め、第4胃は成牛では1割以下だといいます。生まれたばかりの子牛では、第4胃が約7割です[6]。ミルクを飲んでいる子牛と、草を食べる成牛で、使う胃が変わっていくのでしょう。数字はおよその目安です。

こうして見ると、ミノの厚みのある大きな肉は、大きな発酵槽としての胃の壁だったことになります。

第1胃は微生物の働きで食べ物を分解し、第2胃は食べ物を口へ戻して再び咀嚼させる(反芻)。第3胃は水分を吸収し、細かくなったものを第4胃へ送る。草のような繊維の多い飼料を栄養に変えるため、前半の胃が分担して処理し、最後の第4胃が人の胃に近い働きで消化液を出す、という流れである[6]。

胃の大きさの割合は、成長で変わる。農畜産業振興機構の解説では、第1胃は成牛で胃全体の8割ほど、第4胃は成牛で1割以下、生まれたての子牛では約7割とされる。ミルクを飲む時期は第4胃が中心で、草を食べるようになると第1胃が大きくなる、と読める。数値は「約」つきの目安である。

ミノの肉厚さは、成牛で胃全体の大半を占める第1胃の壁の厚みと関係していそうだが、資料にそこまでの記述はない。筋肉の部位が運動で説明され、胃の部位が食べ物と成長で説明される。この違いが、牛肉の部位名を体の機能と結びつける面白さである。

6. スーパーや やきにくやさんで、にくの なまえを さがして みよう

6. 部位の名前を、牛の体のどこか想像してみよう

6. 部位名を手がかりにする:確かめられること、読む資料

おうちの ひとと スーパーに いったら、うしにくの パックの なまえを みて みましょう。ヒレ、かた、ロース、ミノなどが あるかもしれません。

「これは うしの どこかな」「よく うごかす ところかな」と、そうぞうして みます。たべた とき、かたさが かんがえた とおりか、くらべて みるのも おもしろいです。

ただし、かたさは あぶらの いれかたや、きりかたでも かわります。そうぞうと ちがっても、しっぱいでは ありません。

パックの名前を見て想像する

スーパーの牛肉のパックには、部位の名前が書かれています。家族といっしょに、ヒレ、かた、ロースなどの名前を探して、牛の体のどのあたりか、よく動かす場所かどうかを予想してみましょう。食べたときの感じと比べると、予想が当たったかどうかが分かります。

当たらなくても不思議ではありません。ミスジのように、同じ部位の中にも例外がありますし、肉の脂の入り方や切り方でも食感は変わります。

もし焼肉店に行く機会があれば、メニューの「ミノ」「ハチノス」「センマイ」が、4つの胃のどれにあたるかも思い出してみてください。部位名の由来をもっと知りたくなったら、農林水産省の広報誌『aff』も出典欄から読めます。

スーパーや焼肉店の部位名から、体のどこの肉で、よく動く場所かを予想し、食べた感触と比べることができる。ただし、これは本文で見たとおり、運動量だけでなく脂の入り方や結合組織の質・量も関わるため、予想が外れることもある。外れたときこそ、ミスジのような例外に出会えるかもしれない。

原典は、農林水産省の広報誌『aff』2016年8月号(部位・胃の名前)と2020年9月号(ヒレ・かた・ミスジ)、農畜産業振興機構の解説(胃の役割)、農研機構の資料(柔らかさの要因)である。出典欄から読める。食肉小売品質基準の原文を探して11部位の一覧を確かめると、メニューの名前との対応が見えてくるだろう。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。部位の呼び名や切り分け方は、店や地域によって異なることがあります。

  1. 農林水産省『aff』2016年8月号 特集(牛肉の部位分け・ネック) https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1608/spe2_02.html (11部位・希少部位・ネックのかたさ)
  2. 農林水産省『aff』2020年9月号 特集 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2009/spe1_02.html (ヒレ・かた・ミスジの肉質)
  3. コトバンク「ヒレ」(精選版日本国語大辞典ほか) https://kotobank.jp/word/ヒレ (ヒレの辞書での説明)
  4. 農研機構 食肉の軟らかさに関する資料 https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/karc/2010/konarc10-35.html (筋繊維と結合組織)
  5. 農林水産省『aff』2016年8月号 特集(ホルモン) https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1608/spe2_03.html (4つの胃の名前と由来)
  6. 農畜産業振興機構(ALIC)消費者コーナー https://alic.go.jp/koho/kikaku03_001316.html (4つの胃の役割と割合の目安)

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