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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ラクダや ダチョウの ながい まつげは、すなの 中で 目を どう まもるの?

ラクダやダチョウのまつげは、長いほど目を守るのか

ラクダとダチョウのまつげは砂ぼこりから目をどう守るのか ── 毛と羽毛のちがいと「長すぎない」長さ

分野:生きもの

すなあらしの 中でも、ラクダは 目を あけて あるいて います。ダチョウも、ほこりっぽい 土地で 大きな 目を ひらいて います。

どちらも、ながい まつげが あります。ところが、まつげは ながければ ながいほど よい、という わけでは ないようです。それなら、どんな ながさが よいのでしょう。この 記事を 読むと、ラクダと ダチョウの まつげの ちがいと、「ながすぎると こまる」と 考えられている わけが 分かります。

砂ぼこりの舞う土地で、ラクダもダチョウも、長いまつげをつけた目を開けて暮らしています。ところが、哺乳類のまつげを調べた研究では、まつげは長ければ長いほど守れるわけではなく、長すぎるとかえって目にほこりが届きやすくなると考えられています。

では、ラクダとダチョウのまつげは、どんな役目をしているのでしょうか。この記事を読むと、毛のラクダと羽毛のダチョウという成り立ちのちがい、ちょうどよい長さの研究、そして、まだ分かっていないことが分かります。

まつげは長ければ長いほど目を守る、とは限らない。哺乳類22種を調べた2015年の研究では、まつげの長さは目の幅のおよそ3分の1にそろっており、模型を使った風洞実験では、その長さのとき、ほこりの付着と涙の蒸発がどちらも約半分に減った[1]。それより長いと、気流がかえって目に向かうという計算結果も報じられている[2]。

では、砂ぼこりの舞う土地にすむラクダとダチョウのまつげは、この考え方に当てはまるのか。本記事では、毛であるラクダのまつげと、羽毛が変化したものであるダチョウのまつげのちがい、模型実験の結果の読み方、動物そのものでは測られていない点が分かる。

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1. ラクダは、まつげと まゆと はなの あなで 砂すなを ふせぎます

1. 砂あらしのラクダは、まつげだけで目を守っているのか

1. 砂あらしの中のヒトコブラクダ ── まつげは守りの一部である

ヒトコブラクダの 目は、ふたれつの まつげで かこまれて います[3]。ふさふさの まゆも あって、すなや ほこりが 目に 入るのを ふせぐ と いわれます[4]。

すなあらしが はじまると、はなの あなを とじる こともできます[3]。つまり、目を まもるのは まつげだけでは ありません。まつげ、まゆ、はなの あなが、いっしょに はたらきます。

ラクダの まつげは、わたしたちと 同じ 「毛」です。では、同じように 長い まつげを もつ ダチョウは、どうでしょう。

二列のまつげとふさふさの眉

ヒトコブラクダの目は、風で舞う砂やほこりから、二列に並んだまつげに守られています[3]。ふさふさの眉もあり、砂あらしのときに砂やほこりが目に入るのを防ぐといわれます[4]。

砂あらしの始まりに鼻を閉じる

砂あらしが始まるころには、鼻の穴を閉じることもできます[3]。顔には、まつげや眉、鼻の穴など、砂ぼこりを防ぐしくみがあります。

ラクダのまつげは、人と同じ「毛」の仲間です。一方、同じように長いまつげで知られるダチョウは、少し事情がちがいます。

ヒトコブラクダは、二列のまつげで砂ぼこりから目を守られており[3]、さらにふさふさの眉が砂やほこりの侵入を防ぐといわれる[4]。砂あらしの始まりには鼻孔も閉じられるので[3]、まつげは顔全体の防御の一部と見るのが実情に近い。

なお、これらは動物園・大学系の解説やウィキペディアにもとづく記述であり、ラクダのまつげがどれだけ砂を減らすかを数値で測った研究は、今回の資料には含まれていない。ラクダのまつげは人と同じ「毛」である。同じく長いまつげで知られるダチョウは、この点で事情が異なる。

2. ダチョウの まつげは、「毛」では ないかも しれません

2. ダチョウのまつげは、毛ではなく羽毛なのか

2. ダチョウの目と「まつげ」── 毛ではなく羽毛が変化したもの

ダチョウは、ひろい 草原や、すなの 多い 土地にも すんで います[5]。ほこりや すなから 目を まもるために、こまかい まつげが あると いわれて います[5]。

でも、鳥の 体は 羽毛で おおわれて います。鳥の まつげに 見える ものは、毛では なく、目の まわりの 羽毛が 形を かえた もの だと いわれて います[7]。

ダチョウの 目は、はばが 5センチほど あります。鳥の 中で いちばん 大きい 目です[5]。ふつうの ダチョウの 目は、脳のうよりも 大きいと いわれます[6]。

ラクダは 毛、ダチョウは 羽毛。つくりは ちがっても、どちらも 目を まもる はたらきを して いると 考えられています。では、どのくらいの 長さが ちょうど よいのでしょう。

砂漠にも草原にもすむ大きな目

ダチョウは、開けたサバンナや低木地、そして砂漠でも暮らします[5]。ほこりや砂から目を守るのに役立つ、細かいまつげがあるとされています。目の幅は約5cmで、鳥の中で最大です[5]。直径は最大で約50mmという記録もあり、脳より大きいため、陸上の動物で最大の目とされています[6]。

鳥のまつげは羽毛でできている

鳥のまつげのように見えるものは、毛ではなく、目のまわりの羽毛が変化したものだと説明されています[7]。ラクダのまつげは毛、ダチョウのまつげは羽毛と、成り立ちが別なのに、見た目は似て、同じ「目を守る」役目をしているように見えます。ただし、ダチョウのまつげがどんな型の羽毛なのかまでは、今回の資料では言えません。

では、どんな長さがちょうどよいのでしょうか。

ダチョウは開けたサバンナや低木地に加え、砂漠にもすむ[5]。スミソニアン国立動物園は、ほこりや砂から目を守るのに役立つ細かいまつげがあると紹介し、目の幅は約5cmで鳥類最大としている[5]。ギネス世界記録は、直径が最大約50mmに達し、脳(クルミ大)より大きいことから、陸上動物で最大の目としている[6]。目が大きいほど、乾いた風や砂ぼこりにさらされる面積も広く、守りの工夫が要る、と考えるのは自然だが、これは資料が直接述べていることではなく、筆者の推測である。

もう一つ重要なのは、鳥のまつげ状のものは毛ではないという点だ。眼のまわりに生える羽毛(眼窩周囲の羽毛)が変化したものと説明され、哺乳類のまつげとは成り立ちが別である[7]。ダチョウのまつげが具体的にどの型の羽毛かは、断片的な古い解剖報告しかなく、断定できない。また、ダチョウのまつげが砂をどれだけ防ぐかを直接測った研究は、今回の資料にはなく、動物園の解説が中心である。

成り立ちの異なる二つが同じ働きをするなら、働きに必要な長さには共通の理屈がありそうだ。それを調べたのが、次の章の研究である。

3. まつげの ながさは、目の はばの 3ぶんの 1が よいと いわれます

3. ちょうどよい長さは、目の幅の約3分の1

3. 目の幅の3分の1 ── 風洞実験が示した半減

2015年に、アメリカの ジョージア工科大学の 研究者たちが、いろいろな 哺乳類ほにゅうるいの まつげを しらべました。22しゅの どうぶつで、まつげの ながさは 目の はばの 3ぶんの 1ほどでした[1]。

つぎに、目の 模型もけいに、風を あてる 実験じっけんを しました。まつげの ながさが 目の はばの 3ぶんの 1の とき、つく ほこりも、なみだの 蒸発じょうはつも、まつげが ないときの 半分ぐらいに なりました[1]。

なみだは、目を うるおす 水分です。それが 蒸発じょうはつしにくく なるのは、かわいた 土地の 動物に とって ありがたい はたらきでしょう。

ただし、これは 模型もけいの 実験じっけんです。ラクダや ダチョウを はかった 話では ありません。

22種を調べると、そろっていた

2015年、ジョージア工科大学の研究者たちは、哺乳類22種のまつげを調べました。まつげの長さは、目の幅のおよそ3分の1でした[1]。

風洞実験でほこりと乾燥が半分に

次に、目の模型に風を当てる風洞実験をしました。まつげの長さが目の幅の約3分の1のとき、砂ぼこりなどの粒子がつく量も、涙の蒸発も、まつげがないときの約半分になりました[1]。涙は目の表面をうるおす水分なので、砂漠のような乾いた土地では、蒸発を抑えることも大事な役目だと考えられます。

ただし、これは模型での実験で、調べられたのも22種の哺乳類です。ラクダやダチョウでまつげの長さと目の幅を測った値は、この研究には出てきません。3分の1をそのまま当てはめることはできません。

ジョージア工科大学のAmadorらは2015年、哺乳類22種のまつげを調べ、まつげの長さが目の幅のおよそ3分の1に収まることを示した[1]。ここで問題になるのは、その長さに意味があるのかどうかだ。そこで彼らは目の模型を風洞に入れ、まつげの長さを変えて、粒子の付着量と涙膜の蒸発量を測った。その結果、長さが目の幅の約3分の1のとき、両方がまつげなしのときの約半分になった[1]。

粒子の付着が減るだけでなく、涙の蒸発も同時に減る点が見どころだ。涙膜は目の表面を保護する水の膜であり、乾燥した環境ほど蒸発を抑える意味が大きい。この関連づけは本記事の推測だが、砂漠にすむラクダやダチョウに期待される役目を考えるときの手がかりになる。

ただし限界も明らかだ。実験は模型であり、実際の動物の目で測った値ではない。調べられた22種にも、ラクダとダチョウの個別の測定は含まれていない[1]。3分の1を二種に当てはめることは、現時点でできない。

4. まつげが ながすぎると、かえって こまる

4. 長すぎるまつげは、かえってほこりを呼びこむ

4. 「長すぎる」の逆効果と、鳥・カンガルーの例外

それなら、まつげは ながいほど いいのでしょうか。そうでは ないようです。

この 研究の 計算では、まつげが ちょうどよい ながさより ずっと 長いと、まつげの すきまから 風が 目の ほうへ 流れこみ、かえって 空気や ほこりが 目に とどきやすく なると つたえられて います[2]。

つまり、まつげは 「ながければ ながいほど えらい」では なく、「ちょうどよい ながさ」が だいじ です。

鳥の ばあいは、少し ちがいました。調べた 鳥 4しゅでは、まつげのような 羽毛の ながさは、目の はばの 0.86ばいで、3ぶんの 1より ずっと 長かったのです[1]。ダチョウは この 4しゅには 入って いません。鳥は 空を とぶので、風の ようすが ちがうのかも しれない、と 研究者は 考えて います。

長すぎると気流が目へ向かう

では、まつげは長いほどよいのでしょうか。この研究の計算では、ちょうどよい長さより、ずっと長いまつげは、すき間を通って、かえって目のほうに気流を導いてしまうとされます。目に空気やほこりが届きやすくなるのです[1][2]。

まつげの役目は、風をはね返すことだけではなく、目の手前の空気の流れをうまく変えることにあるようです。短すぎても長すぎてもだめで、ちょうどよい長さがある、という考え方です。

鳥の場合は3分の1に従わない

この研究は鳥4種も測っています。まつげのような羽毛の長さを目の幅で割った値は0.86で、哺乳類の3分の1とは大きくちがいました。飛ぶときの乱流が理由かもしれないと、研究者は推測しています[1]。ダチョウはこの4種に含まれていないので、ダチョウの羽毛のまつげが、どの長さに近いかは分かりません。

複数列のまつげというアイデア

同じ研究は、アカカンガルーとキリンに複数列のまつげがあると記しています。乾燥して砂ぼこりの多い環境で、まつげの密度を上げ、すき間を減らすのに役立つのかもしれない、という推測です[1]。ラクダの二列のまつげにも、似た意味があるのかもしれませんが、これは推測にとどまります。

では、長ければ長いほど守れるのか。計算モデルの結果は、そうではないと示した。最適な長さよりかなり長いと、まつげの間のすき間を通って気流が目に導かれ、かえって目に空気やほこりが届きやすくなる[1][2]。まつげは風を止める壁というより、目の前の空気の流れを変えるものとして働く、という見方を支える結果といえる。

では、鳥もこの理屈に従うのか。この研究で測定された鳥4種では、まつげ状の羽毛の長さ/目の幅が0.86で、哺乳類の約0.33とは大きくちがった。研究者は、飛行時の乱流が理由かもしれないと推測している[1]。ダチョウはその4種に含まれず、飛ばない鳥でもあるので、0.86もダチョウに当てはめることはできない。

さらに論文は、アカカンガルーやキリンに複数列のまつげがあることを観察し、乾燥した砂ぼこりの多い環境で、まつげの密度を上げてすき間を減らす役に立つかもしれないと推測している[1]。ラクダのまつげが二列であること[3]と重ねたくなるが、論文はラクダについて述べていない。二つを関連づけるのは、あくまで読み手の仮説である。

5. 家の ものさしで 「3ぶんの 1」を さがして みよう

5. 身近な動物のまつげと目の幅をくらべる

5. 「3分の1」を自分で確かめるには

おうちの 人や ペットの 目を よく 見て みましょう。目の はばを ものさしで はかり、まつげの ながさは その 何ぶんの 1ぐらいか、目で くらべて みます。ペットの 目を さわったり、ちかづけすぎたり しないで、写真を つかっても かまいません。

ラクダや ダチョウの まつげが、どのくらいの ながさか。それは、まだ しっかり はかられて いません。どうぶつえんで 見かけたら、まつげと 目の はばを くらべて みると、おもしろい はっけんが あるかも しれません。

もっと 知りたい人は、スミソニアン国立動物園の ダチョウの ページを、おうちの 人と いっしょに 読んで みて ください。

今日できること:写真や、犬・猫など身近な動物の目を使って、まつげの長さが目の幅のどのくらいかを、目で比べてみてください。無理に近づけたり触ったりせず、写真で十分です。3分の1より長い動物、短い動物がいたら、メモしておくと、あとで研究と比べられます。

動物園に行ったら:ラクダやダチョウの顔を見て、まつげが何列に見えるか、目の幅と比べてどのくらいかを観察してみてください。柵の外から見える範囲で、動物を驚かせないことが大切です。

家でできること:ティッシュの端を細く切って目の前に並べ、うちわで風を送ってみてください。すき間の広さで、風の通り方がどう変わるかを感じられます。まつげの模型づくりが楽しくなるかもしれません。

3分の1という比は、写真からでも概算できる。ペットや動物園の動物の顔写真で、目の幅とまつげの長さを比べ、哺乳類の傾向に合うか、また鳥や複数列の動物がどうなるかを見るのがよい。ただし、観察で比を概算できても、それは研究の測定値の代わりにはならない。

原典に当たる場合は、まず Amador らの論文[1]の方法の節で、模型の目の大きさ、風速、まつげの本数がどう設定されたかを確かめるとよい。ニュース記事[2]の要約と論文の数値が一致しているかを見ると、報道の読み方の練習にもなる。ダチョウについては、スミソニアン国立動物園のページ[5]が出発点になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:論文、動物園・大学の解説、記録を扱う団体のページを使った。何に使ったかは、各項目の最後に書いている。

  1. Amador, G. J. ほか (2015) Eyelashes divert airflow to protect the eye. Journal of the Royal Society Interface. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4387520 (哺乳類22種のまつげの長さ、風洞実験、鳥4種、複数列のまつげの推測について)
  2. Science News (2015) Eyes have it: long lashes not so lovely. https://www.sciencenews.org/article/eyes-have-it-long-lashes-not-so-lovely (長すぎるまつげで気流が目へ向かう計算結果について)
  3. Animal Diversity Web (University of Michigan): Camelus dromedarius. https://animaldiversity.org/accounts/Camelus_dromedarius/ (ヒトコブラクダの二列のまつげと鼻の穴について)
  4. Wikipedia: Dromedary. https://en.wikipedia.org/wiki/Dromedary (眉とまつげ、まぶしさ、眼窩の張り出しについて。一般向けの解説)
  5. Smithsonian's National Zoo: Ostrich. https://nationalzoo.si.edu/animals/ostrich (ダチョウのまつげ、目の幅、すむ場所について)
  6. Guinness World Records: Largest eyes for a land animal. https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/516760-largest-eyes-for-a-land-animal (ダチョウの目の大きさについて)
  7. Birds Outside My Window: 鳥の目のまわりの羽毛の解説. https://birdsoutsidemywindow.org/?p=25416 (鳥のまつげ状のものが羽毛であることについて。一般向けの解説)

なおした ところ

更新履歴

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