1. カピバラは、どこの くにに いるの?
1. 南アメリカの、水辺と草地がそろう低地にすむ
1. 分布と生息環境 ── 南米の広い範囲に、ただし水の近くだけ
カピバラが 自ぜんの 中で くらして いるのは、南アメリカだけです[1]。ベネズエラから、アルゼンチンの 北東まで、つながった ひろい はんいに います。
ひろいからと いって、どこにでも いる わけでは ありません。いるのは、ほとんど かならず 水の ちかくです[1]。かわや いけの ふちの、しめった くさはらが すきな のです。
とくに おおい ところは、ベネズエラの りゃの、ブラジルの 西の ぱんたなーる しっち、ブラジル 南の タイム ていち です[1]。
では、水の そばで、カピバラは 1日を どう すごして いるの でしょう。
野生のカピバラがすんでいるのは、南アメリカだけです。ベネズエラから北東アルゼンチンまで、コロンビア、ギアナ地方、パラグアイ、ウルグアイ、アマゾン側のエクアドル・ペルー・ボリビアの一部をふくむ、つながった広い範囲に分布します[1]。南アメリカ全体にいるわけではなく、アンデス山脈の東側が中心です。
ただし、広い範囲にいても、どこにでもいるわけではありません。すんでいるのは、ほとんど必ず水の近くの低地です。開けた草原から熱帯雨林まで幅はありますが、川・池・沼・湖のふちの、湿った草地が基本です[1]。水につかる草原や、湿地のふち、草が豊富な低地の森も好む環境にあげられています[3]。
とくに多い場所として、ベネズエラのリャノ、ブラジル西部のパンタナール湿地、ブラジル南部のタイム低地が紹介されています[1]。
水の近くの草地に、カピバラは1日のうち、水と陸をどう使い分けているのでしょうか。
カピバラ(Hydrochoerus hydrochaeris)は南アメリカにだけ分布する。範囲はベネズエラから北東アルゼンチンまで、コロンビア、ギアナ地方、パラグアイ、ウルグアイ、アマゾン側のエクアドル・ペルー・ボリビアの一部を含み、連続して広い[1]。「南米全域」ではなく、アンデス山脈の東側の低地が中心である。
分布が広いのに「どこにでもいる」と言えないのは、生息環境に強い条件があるからだ。動物園の資料は、開けた草原から熱帯雨林まで幅はあるが、常に水の近くの低地で、川・池・沼・湖に接する湿った草地が基本だと述べる[1]。動物学の事典サイト(Animal Diversity Web)は、水に簡単に近づける場所にだけいると記し、好む環境として、冠水する草原、湿地のふち、草の多い低地の森をあげる[3]。2つの資料は別の組織によるもので、「水への近さ」という条件が一致している。
とくに多い場所とされるのは、ベネズエラ・コロンビアにまたがる大草原のリャノ、ブラジル西部のパンタナール湿地、ブラジル南部のタイム低地である[1]。いずれも、水と草がともに広がる場所だ。
それでは、水辺の低地の中で、カピバラは水と陸をどのように使い分けているのか。
2. いちばん あつい じかん、どこで なにを して いるの?
2. 暑い時間は水の中、草を食べるのは夕方から夜
2. 水と陸の役わり分担 ── 体の大きさと暑さ、そして資料の食いちがい
カピバラは、ネズミの なかまの 中で いちばん おおきい どうぶつ です。おもさは、しりょうに よって 27キロから 66キロと、はばが あります[5][3]。
おおきい からだは、あつさに よわいと いわれます。いちばん あつい じかんは、水の 中や どろの 中で すごします[2]。
水の ばしょでは、水を のんだり、からだを 水や どろに つけたり、てきから みを まもったり します。りくでは、くさを たべたり、やすんだり します[1]。
ところで、水の 中で かおだけ 出す すがたは、どうして できるのでしょう。かおと けを 見て みましょう。
カピバラは世界最大のげっ歯類で、体重は資料によって27〜50キロ(世界大百科事典)、35〜66キロ(Animal Diversity Web)、40〜60キロ(仙台市八木山動物公園)と幅があります[5][3][4]。1つの数字では言い切れないので、この記事では幅で書きます。
この体の大きさのぶん、暑さには弱いとされます。1日でいちばん暑い時間は、水や泥の中で休んで過ごします。朝は水ぎわで身を寄せて休み、草を食べるのは夕方から夜が中心です[2]。
水と陸は、役わりが分かれています。水の場所は、飲む、体を水や泥につける、敵から身を守る場所。陸の場所は、食べる、休む場所です[1]。水が少ない時期には、広い草地も必要になります[1]。
なお、活動時間は資料で少しちがい、世界大百科事典は、日中は地面のくぼみで休み、夕方から夜と早朝に活動すると書いています[5]。暑い時間に涼しい場所で休む、という点は共通です。
では、水の中で顔だけを出す姿は、どんな体のつくりが支えているのでしょうか。
カピバラは最大のげっ歯類で、体重の記載は資料ごとに異なる。世界大百科事典は体長100〜130cm・体重27〜50kg[5]、Animal Diversity Webは35〜66kg[3]、仙台市八木山動物公園の教材は40〜60kg[4]とする。測った個体や地域が異なるため、1つの値で断定せず、幅で捉えるのが正確である。
体が大きいと暑さに弱く、1日でいちばん暑い時間は水や泥の中で過ごす。朝は水ぎわで身を寄せて休み、採食は夕方から夜が中心とされる[2]。動物園の資料は、水域を飲水・水浴び(泥浴び)・捕食者からの避難に、陸域を採食・休息に使うと整理し、水位の低い時期には広い草地も要ると述べる[1]。水だけでも草地だけでも足りず、両方が近くにあることが条件になる。
ただし、活動時間は資料によって食いちがう。世界大百科事典は、日中は地面のくぼみで休み、夕〜夜と早朝に活動すると記す[5]。動物園資料が「暑い時間は水中」とするのと比べると、休む場所の記述が異なる。「昼は水の中」と言い切らず、「暑い時間は水や泥、あるいはくぼみで休む」と条件をつけて読むのがよいだろう。
水中で顔だけを出し続けるには、体の側にも条件がある。顔と毛を見ていく。
3. かおと けは、水の 中で どう やくに 立つの?
3. 顔の上に並んだ目・鼻・耳と、水をはじく毛
3. 顔の配置・毛・水かき ── 水中で見張り、水から上がっても冷えにくい体
カピバラは、め と はな と みみが、かおの 上の ほうで 1ぽんの せんに ならんで います[4]。水に つかって いても、かおの 上だけ 出せば、いきを しながら まわりを 見はれます。てきにも 見つかりにくい かたちです[4]。はなの あなは とじる ことも できます[4]。
けは ふとくて かたく、すくなくて、はだが すけて 見える ほどです。水から あがると、すぐに 水を ふるい おとせます。からだが ひえるのを ふせぐ のだ と いわれます[4]。
あしの ゆびの あいだには みずかきが あります。でも、かもの ほど おおきくは ありません[4]。
では、てきが 来た ときは どうするの でしょう。
カピバラの目と鼻と耳は、顔の上のほうに一直線に並んでいます。水から顔を出したとき、天敵から見つかりにくいまま、呼吸をして周りの様子を見ることができます。鼻の穴を閉じることもできます[4]。世界大百科事典も、鼻孔・目・耳が頭の上面近くにあって、水中に身を潜めたまま敵の様子をうかがうのに適していると記しています[5]。
毛は太くて固く、まばらで、地肌が透けて見えるほどです。水から上がるとすぐに水をふるい落とせて、体温が下がるのを防ぐと説明されます[4]。水に入ったり出たりする暮らしにつごうのよい毛、ということです。
足の指のあいだには水かきがあります。ただし、小さな膜のようなもので、カモの水かきほど大きくはありません[5]。
水の中で顔だけ出して見張る体は、わかりました。それでも敵が近づいたら、どうするのでしょうか。
仙台市八木山動物公園の教材は、目・鼻・耳が顔の上方に一直線に並ぶことを、水中から顔を出したときに天敵に見つかりにくい状態で呼吸と観察ができる配置と説明する。鼻の穴を閉じられる点も、潜るときに役立つ形である[4]。独立した出典の世界大百科事典も、左右に離れた鼻孔、突出した目、小さく丸い耳が頭の上面近くにあり、水中に身を潜めたまま敵の様子をうかがうのに適すると記す[5]。
毛は太くて固く、密度が低くて地肌が透けるほどである。水から上がったときにすぐ水をふるい落とせるため、体温の低下を防ぐ[4]。まばらな毛は、水と陸を行き来する暮らしに合っていると考えられる。
水かきは指の間にある小さな膜で、水鳥のように大きくはない[5]。「水辺の動物」から泳ぎに特化した姿を想像しがちだが、実際は、泳ぐための体と、陸を走るための体が両立している。
水中での見張りを支える顔と毛の次は、実際に敵が来たとき、この体がどう使われるかである。
4. てきが 来たら、カピバラは どうするの?
4. 陸では馬のように走り、追い詰められると水に飛びこむ
4. 逃げ場としての水 ── ジャガー・カイマン・アナコンダに対して
カピバラを ねらう どうぶつには、ジャガー、わにの なかまの カイマン、アナコンダ などが います。とくに 子どもは、おおきな にくしょく どうぶつの えさに なります[3]。
りくで おどろくと、うまの ように はしって にげます。おいつめられると、水に とびこみます[5]。およぎも もぐるのも じょうずで、すう ふん もぐれます。どうぶつえんの しりょうでは、さいだい 5ふんと されて います[2]。
水は、ごはんを たべる ところでは なく、いのちを まもる 水べでも あるのです。では、水の すくない き せつは どうなる でしょう。
カピバラを食べる動物には、ジャガー、カイマン(ワニの仲間)、アナコンダなどがいます。とくに子どものうちは、大きな肉食動物の大事な食べ物になります[3]。
陸の上で驚くと、馬のように走って逃げます。追い詰められると水に飛びこみます[5]。泳ぎも潜りも上手で、数分間は潜ったままでいられます。動物園の資料では、最長5分とされています[2]。
前の章の顔と毛が、ここで生きてきます。水に入れば、体の大部分は水の中。顔の上だけが水面に出ます。水は暑さをしのぐ場所であると同時に、敵から身を守る場所でもあるのです[1]。
では、水が少なくなる季節は、水と草の暮らしにどんな変化があるのでしょうか。
天敵として、ジャガー、アナコンダ、カイマン(spectacled caiman)が挙げられ、とくに若い個体は多くの大型肉食動物の重要な食物になる[3]。
陸上で驚くと馬のように走って逃げ、追い詰められると水に跳びこむ。巧みに泳ぎ、数分間の潜水を続けられる[5]。動物園資料は最長5分とする[2]。ここでも資料ごとに数値の書き方が違う点に注意したい。「数分」は事典の記述、「5分」は動物園資料の記載であり、野生個体がいつも5分潜るという意味ではない。
2章の「水域は捕食者からの避難場所」という整理[1]は、この逃げ方と対応している。追い詰められたときに水へ逃げる行動から、水が近くにあることは逃げ場になると考えられ、生息地の条件のひとつになっていると読める。ただし、これは資料の記述を重ねた読み方であり、資料が直接そう結論しているわけではない。
水が逃げ場でもあるなら、水が少なくなる時期の暮らしは、どう変わるのか。
5. 水の すくない き せつ、カピバラは どう する?
5. 乾季には、水場のまわりに大きな群れができる
5. 乾季の群れ ── 水場への集中と、「最大100頭」の読み方
ふだんの むれは、おとな 10とうほど です。3とうから 30とうの ことも あります。
ところが、かわいた き せつには、水の ある ばしょの まわりに おおきな むれが できます[3]。どうぶつえんの しりょうには、水ばに さいだい 100とうも あつまると あります[2]。
あめの おおい き せつの むれは、さいだい 40とうと されて います。100とうは「さいだい」で、いつもでは ありません。
水が すくなく なると、水の ある ばしょの まわりが、みんなの あつまる ばしょに なる ようです。
ふだんの群れは、大人10頭ほどです。3〜30頭の幅があります。ところが乾季には、水場のまわりに大きな群れができます[3]。動物園の資料では、乾季に水場で最大100頭、雨季の群れは最大40頭とされています[2]。100頭は「最大」の数字で、いつもそうなるわけではありません。
1章でみたように、カピバラには水と、草地の両方が要ります。雨で水が広がる時期と、水のある場所が限られる時期とでは、使える場所が変わります。水を毎日の暮らしの中心に使う動物なので、水のある場所が少ない時期にそのまわりが集合の場所になる、と読むことができます。ただし、資料は集まる理由までは書いていません。
こうした水と草の暮らしは、近い仲間にも見られます。パナマ東部などには、小型の近縁種(H. isthmius)がすんでいるとされています[1]。
水と草のあいだで暮らす動物の姿は、動物園でも観察の手がかりになります。次の章でその見方をまとめます。
通常の群れは成獣10頭ほどで、3〜30頭の範囲とされる。乾季には水場の周りに大きな群れができる[3]。動物園資料は、乾季の水場では最大100頭、雨季の群れは最大40頭と記す[2]。独立した2つの資料が、乾季に水場へ集まる点で一致している。一方、100頭という数字は「最大」の記載であって、平均や通常の姿ではない。
1章・2章の整理を重ねると、この集まり方は筋が通る。水域は飲水・水浴び・避難に、陸域は採食・休息に使われ、水位の低い時期には広い草地が要る[1]。使える水が限られれば、水場の周りに個体が寄りやすくなることは考えられる。ただし、資料は「集まる」現象を記すにとどまり、集まる理由を実験や観察で直接示してはいない。因果は読み手の推測として切り分けておくのがよい。
分布の面では、東パナマなどに小型の近縁種H. isthmiusがいるとされる[1]。南米の広い範囲に分布する種と、別に近縁種がいる地域があることになる。
以上から、カピバラの生息環境は、「水に近い」「草地が広い」の2条件が同時にそろう低地、と整理できる。
水べの どうぶつを 見る とき
水辺のどうぶつを、目・毛・時間で見る
水辺の動物を見る観点と、食いちがいを読む
おうちで
かがみで、じぶんの かおを 見て みましょう。め と はな と みみは、1ぽんの せんに ならんで いますか。カピバラの かおと くらべて みます。
どうぶつえんで
カピバラの いる ところで、水の ばしょと くさの ばしょ、どちらに いる じかんが ながいか 見て みましょう。あつい 日と すずしい 日で、ちがうかも しれません。
しらべる ときは
どうぶつえんの ホームページには、カピバラの しょうかいが のって いる ことが あります。
家でできること
鏡で自分の顔を見て、目・鼻・耳の位置を確かめてみましょう。人の顔では、一直線に並んでいるでしょうか。カピバラの顔とくらべると、「水の中で顔の上だけを出す」ためのつくりが見えてきます。
動物園でできること
水のある場所と草のある場所を、カピバラがそれぞれどのくらいの時間使っているか見てみましょう。暑い日と涼しい日で、水に入る時間が変わるかもしれません。毛が乾いている時と、水から上がった直後の様子も見比べられます。
調べるには
動物園のホームページに、カピバラの紹介や飼育のくふうが載っていることがあります。仙台市八木山動物公園は、カピバラの教員用解説シートを公開しています。
家でできること
鏡で自分の目・鼻・耳の位置を確かめ、カピバラの顔の配置と比べる。水中で顔の上だけを出して見張る形が、何を優先した配置なのかを考える。
動物園でできること
水場と草地の利用の割合や、暑さによる行動の変化を観察する。記録をとるなら、時刻・天気・水に入っていた時間を残しておくと、本文の「活動時間の食いちがい」を自分のデータで考えられる。
資料を読むなら
仙台市八木山動物公園の教員用解説シートは、顔と毛の特徴を日本語でまとめている。Animal Diversity Web と動物園の資料(英語)は、分布や群れの大きさの数字を確かめる出発点になる。数値は資料ごとに幅があるため、複数の資料を並べて読むとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
分布と暮らしは動物園の資料とAnimal Diversity Web、顔と毛の特徴は仙台市八木山動物公園の教材と世界大百科事典による。数値は資料ごとに幅があるため、幅のまま書いた。
- San Diego Zoo Wildlife Alliance(SDZG)Capybara factsheet「Distribution」 https://ielc.libguides.com/sdzg/factsheets/capybaras/distribution (分布・水と陸の使い分け・多い場所)
- San Diego Zoo Wildlife Alliance(SDZG)Capybara factsheet「Behavior」 https://ielc.libguides.com/sdzg/factsheets/capybaras/behavior (暑い時間の過ごし方・潜水・群れの大きさ)
- Animal Diversity Web「Hydrochoerus hydrochaeris」 https://animaldiversity.org/accounts/Hydrochoerus_hydrochaeris/ (好む環境・食べ物・天敵・乾季の群れ・体重)
- 仙台市八木山動物公園 学習プログラム教員用解説シート(カピバラ) https://www.city.sendai.jp/zoo/group/dantai/documents/r7_capybara-master.pdf (顔の配置・毛・体重)
- 『改訂新版 世界大百科事典』「カピバラ」(コトバンク) https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%83%94%E3%83%90%E3%83%A9-3147609 (顔・水かき・走り方と潜水・活動時間・体の大きさ)
なおした ところ
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