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ゲジゲジは、いえの なかで なにを たべて いるの?

ゲジは、家の中で何を食べているのか ── 近縁種は長い足で獲物を囲む

ゲジは何を食べ、長い歩肢でどう獲物を捕らえるのか ── 屋内の肉食動物の食性と狩り

分野:生きもの

よるの だいどころで、かべを さーっと はしる ゲジゲジ。ひゃっと なって しまう人が おおい ですが、じつは この虫、いえの なかの ほかの 虫を たべて くれる ことで しられて います[1]。

あの ながい 足は、なんの ために あるのでしょう。なにを たべ、どうやって つかまえるのかが わかります。

夜の台所の壁を、長い足の虫がさっと横切る。ゲジ(ゲジゲジ)は見た目で嫌われがちですが、百科事典には、屋内にすむゴキブリなどを餌にする益虫と書かれています[1]。

ゲジは家の中で何を餌にしているのでしょうか。近い仲間は、あの長い足で獲物をぐるりと囲むと説明されています。この記事では、足の使い方と、人への害の有無を見ていきます。

ゲジは、見た目の印象とは逆に、屋内にすむゴキブリやナンキンムシ(トコジラミ)などを餌にする肉食の動物で、益虫とされる[1]。あの異様に長い歩肢は、もしかすると狩りの道具なのか。

日本語の百科事典と、アメリカの博物館・自然保護局の資料を読み比べると、獲物の捕らえ方、触角に頼る狩り、人への害の程度が分かる。ただし英語圏の資料は欧州原産の近縁種の話で、日本のゲジにそのまま当てはまるとは限らない点にも触れる。

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1. ゲジゲジは、なにを たべて いるの?

1. 家の中の「害虫」を食べる虫だった

1. 屋内の虫を餌にする肉食動物 ── 益虫とされる理由

ゲジゲジは、ほかの 虫を たべる 虫です。いえの なかに いる ゴキブリや、ナンキンムシ(トコジラミ)などを たべると いわれて います[1]。

やさいや おかしを かじる ことは ありません。ちいさな 虫を つかまえて たべる、にくしょくの いきものです[2]。

よるに うごく ことが おおく、しめった ところが すきです。だから、ひるまは あまり 目に つきません。

では、あんなに ながい 足で、どうやって 虫を つかまえるのでしょう。

ゲジが食べるのは、ほかの小さな虫です。世界大百科事典の項には、屋内にすむゴキブリやナンキンムシ(トコジラミ)などを餌にし、屋内の虫を食べる益虫だとあります[1]。昆虫などの小型の節足動物を餌にする肉食動物です[2]。

ほかのムカデの仲間と同じように夜行性で、湿度の高い場所を好むとされます[2]。昼間に姿を見ないのは、物陰で休んでいるからでしょう。家の中の虫を餌にすることがある、ということになります。

それにしても、あの足はなぜ、あんなに長いのでしょうか。

ゲジの餌について、日本語の百科事典は、屋内にすむゴキブリやナンキンムシ(トコジラミ)などを餌にする益虫と述べる[1]。日本語版Wikipediaも、主に昆虫などの小型節足動物を食べる肉食動物とし、他のムカデと同様に夜行性で、湿度の高い環境を好むと説明している[2]。

夜に活動し湿った場所を好む性質は、屋内の暗い隅や水まわりと相性がよい。ただし、日本のゲジについて食べ物の内訳を調べた研究論文は、今回の資料には出てこない。具体的な餌の種類は、後で見る近縁種の飼育記録も参考にしつつ、「〜といわれる」の範囲にとどめる必要がある。

では、肉食の狩人としてのゲジは、体のどこを使って獲物を捕らえるのか。まず体のつくりから見る。

2. ながい 足は、なんぼん あるの?

2. 長い足は15対、後ろの足ほど長い

2. 15対の歩肢 ── 後方ほど長く、最後は触角のようになる

ゲジゲジの 足は、かぞえると 30ぽん。2ほんずつの くみが 15くみ あります[1]。

うしろの 足ほど ながく、いちばん うしろの 足は、まるで しょっかくの よう。「えいこうし」という なまえが ついて います[2]。

あたまには、ほそ ながい 触角しょっかくが 1くみ。くちの ちかくには、毒どくの ある あごの ような 足が 1くみ あります[1]。

この 長い 足は、ただ はしる ためだけ なのでしょうか。

ゲジの体には15の節があり、そこに15対、つまり30本の細長い足が付いています[1]。ほかのムカデの仲間より飛び抜けて細長く、後ろの足ほど長くなります。いちばん後ろの足は触角のように長く伸び、「曳航肢(えいこうし)」と呼ばれます[2]。

頭には細長い触角が1対と、複眼に似た「偽複眼」があります。口のそばには、毒腺をもつ「顎肢(がくし)」と呼ばれるあごの足が1対あります[1]。体は淡い黄色で、背に緑色の縦すじが3本あるといいます。

走るための足、触角のように伸びる足、毒のあるあごの足。長い足はどう使われるのでしょうか。

ゲジの胴は短く、15の胴節それぞれに1対ずつ、合計15対の細長い歩肢がある。後方の歩肢ほど発達して長く、他のムカデ類より飛び抜けて細長い。最後の1対は触角のように長く伸び、曳航肢と呼ばれる[1][2]。

頭部には細長い触角1対と偽複眼があり、口器には毒腺をもつ顎肢が1対ある。体色は淡黄色で、背に緑色の縦すじが3本入る[1]。つまり、長い歩肢(移動。近縁種では獲物の捕獲にも使われるとされる)、触角(感覚)、顎肢(毒)の3つが、狩りの道具立てになっている。

では、肝心の長い歩肢は、獲物に対して実際にどう使われるのか。

3. ながい 足で、どうやって つかまえるの?

3. 長い足を「投げ縄」にして、獲物を囲む

3. 歩肢で巻く・囲む ── 投げ縄と檻にたとえられる捕らえ方

ゲジゲジの なかまは、ながい 足を ぐるりと まきつけて、えものを つかまえると いわれます。この すがたが、カウボーイの なげなわに にて いるので、「lassoing(ラッソイング)」とも よばれます[2]。

アメリカの はくぶつかんの しりょうでは、ちかい なかまの ゲジが、えものに はんぶん とびかかり、はんぶん なげなわの ように つかまえると かかれて います[3]。

ちかい なかまの べつの しりょうでは、ながい 足を、ろうやの ぼうの ように つかって、えものを ぐるりと かこみ、にげみちを ふさぐ と せつめい して います[4]。

ただし 本当は、足だけで たおす わけでは ありません。さいごは あごの どくも つかいます。

日本語版Wikipediaによると、ゲジは長い足の先で獲物をらせん状に巻きつけて捕らえます。その様子がカウボーイの投げ縄を思わせるため、英語では「lassoing」とも呼ばれるそうです[2]。

アメリカ・アーカンソー大学の節足動物博物館は、近い仲間のゲジが獲物を「半分は飛びかかり、半分は投げ縄のように」捕らえると説明しています。飼育下では、ゴキブリの幼虫、ハエ、ガ、トコジラミ、コオロギ、シミ、ハサミムシ、小さなクモなどを食べたそうです[3]。

近縁種を扱う別の多足類の解説サイトは、長い足を牢屋の格子のように使って獲物をぐるりと囲み、逃げ道をふさぐと述べます。口のそばの毒腺で毒を注入し、小さな虫を同時に押さえることもあるとされます[4][5]。足で囲んで動きを止め、最後はあごの毒で仕留める、という流れです。

ただし、アーカンソー大学などが説明しているのは欧州原産の種で、日本のゲジとは別の種です。日本のゲジにも同じ捕まえ方があるとは、まだ言い切れません。

それにしても、暗い夜に、獲物はどうやって見つけるのでしょうか。

日本語版Wikipediaは、ゲジが長い歩肢の先の部分で獲物をらせん状に巻きつけて捕らえ、投げ縄を連想させるため「lassoing」とも呼ばれる、と記す[2]。ただし、脚だけで仕留めるわけではなく、顎肢の毒も使う点に注意が要る。

アーカンソー大学節足動物博物館は、欧州原産のScutigera coleoptrataについて、獲物を「半分は飛びかかり、半分は投げ縄のように」捕らえると説明する。飼育下の餌として、ゴキブリの幼虫、ハエ、ガ、トコジラミ、コオロギ、シミ、ハサミムシ、小さなクモを挙げる[3]。近縁種についての多足類の解説サイトは、長い脚を「牢屋の格子」のように使って獲物を完全に囲み、逃走を防ぐと表現し、写真つきで示している。同時に複数の小さな獲物を押さえることもあるという記述は、英語版Wikipediaにある[4][5]。

巻く、囲む、毒を打つ。三つの表現が示す方向は一致している。しかし、これらは主に欧州原産種の観察に基づく。日本のゲジ(Thereuonema属)で同じ観察がされているかは資料に出てこないため、「近縁種では〜と説明される」という強さで読むのが妥当だ。

ところで、暗がりで獲物の位置を知る手がかりは何なのか。

4. くらい よるに、どうやって 虫を みつけるの?

4. 目より触角を頼りに、夜の床も壁も走る

4. 触角に頼る狩りと、毎秒約0.4mという速さ

ゲジゲジの なかまには、め のような ものが ありますが、かりでは、おもに 触角しょっかくに たよる と いわれます。においと、さわった かんじに びんかんな 触角しょっかくです[5]。

そして、はやい。ちかい なかまの ゲジは、ゆか・かべ・てんじょうを 1びょうで 40センチ ほど はしると されます[5]。30センチの ものさしより、すこし ながい きょりです。

ただし これは ヨーロッパ うまれの なかまの 数字で、日本の ゲジが はかられた 数字では ありません。

ゲジの仲間は、複眼のような眼をもっていますが、狩りでは主に触角に頼るとされます。触角は、においと感触の両方に敏感です[5]。暗い部屋でも、触角で獲物の気配をつかむのでしょう。

走る速さも、狩りを助けます。英語版Wikipediaによると、欧州原産のScutigera coleoptrataは、床・壁・天井を毎秒約0.4メートルで走るとされます[5]。1秒に40センチですから、1分続ければ計算上は24メートルです。実際にそんな長さを走り続けるとは限らず、あくまで速さの目安です。

日本のゲジの実測値ではない点には注意が必要です。長い足は、速く走るためにも役立っていそうです。

ところで、この足は生まれたときからこんなに長いのでしょうか。

ゲジの仲間は複眼に似た眼をもつが、狩りでは主に触角に頼るとされ、触角はにおいと接触の両方に敏感である。ただしこの記述は欧州原産種についての英語版Wikipediaの内容で、日本のゲジにそのまま断定はできない[5]。

同じ英語版Wikipediaは、Scutigera coleoptrataが床・壁・天井を毎秒約0.4メートル(1.3フィート)で走ると述べる(参考値として読む)。1秒に0.4mなら、1分間走り続けたと仮定した上限の計算で24mになるが、これは短い距離の最大速度の目安であり、持続して走る距離を示す値ではない。

触角で位置を探り、速い足取りで近づき、長い歩肢で囲む。こう並べると狩りの筋道は見えるが、この筋道は近縁種の観察を寄せ集めたものだ。では、この長い歩肢は成長の途中でどう変わるのか。

5. こどもの ゲジゲジも、足が 30ぽん?

5. 子どものゲジは足が4対、脱皮のたびに増える

5. 4対から15対へ ── 脱皮ごとに増える歩肢

こどもの ゲジゲジの 足は、4くみ、つまり 8ぽんしか ありません[1]。

おおきく なるとき、脱皮だっぴを します。そのたびに、からだの ふしと 足の くみが ふえて いきます[1]。さいごには 15くみ。ながい 足は、はじめから あるのでは なく、すこしずつ ふえ、のびて いくのです。

ゲジの子どもには、足が4対しかありません。成長の途中で脱皮をくり返すたびに、胴の節の数と足の対の数が増えていきます[1]。4対から始まり、最後は15対です。

大人になったゲジの長い足は、脱皮の度に少しずつ増え、育っていくものだと分かります。生まれてすぐ、あの長い足で獲物を巻く、というわけではなさそうです。

ここまで読んで、ゲジが怖くなくなった人もいるかもしれません。では、人にとってはどうなのでしょうか。

世界大百科事典の項によると、ゲジの幼虫段階の歩肢は4対しかなく、脱皮のたびに胴節数と歩肢の対数が増えていく[1]。成体の15対は、一度に完成した形ではなく、脱皮という段階を踏んで作られる。

長い歩肢が狩りの道具だとしても、幼い個体は4対という少ない歩肢で暮らしているはずだ。「長い足で獲物を囲む」は、成体について語られた話だと読むべきだろう。

では、そんな肉食の狩人は、人間に対してはどうなのか。

6. ゲジゲジは、人を さすの?

6. ゲジは人にどんな害があるのか

6. 人への害と「頭をなめるとはげる」という俗信

ゲジゲジは、人を さしたり かんだり しようと しません。ふつうは、人に がいは ないと いわれます[1]。

「あたまを なめられると はげる」という はなしも ありますが、そんな ことは ないと されて います[1]。

ただ、つかまえようと すると、身を まもる ために かむ ことは あります。そのときも、ハチに さされた くらいと いう せつめいが あります[6]。だから、さわらず、そっと して おきましょう。

ゲジは人を積極的に刺したり咬んだりせず、基本的に人に害はないとされます。毒や咬む力はほかのムカデより弱いといいます。「頭をなめられるとはげになる」という言い伝えもありますが、そのような事実はないと説明されています[1][2]。

アーカンソー大学とミズーリ州自然保護局も、ゲジの仲間は攻撃的ではなく、咬まれてもたいていはハチに刺された程度だと説明します。ただ、身を守るために咬むことはあるので、「絶対に咬まない」とは言えません[3][6]。

つまり、ゲジは人に向かってくる虫ではなく、家の中の小さな虫を餌にする虫です。見つけても、つかまえたり触ったりせず、そっとしておくのがよさそうです。

ゲジは人を積極的に刺したり咬んだりせず、基本的に無害とされる。毒や咬む力は他のムカデ類より弱く、咬まれた場合の症状はミツバチに刺された程度とされる。「頭をなめられるとはげになる」という俗信は、事実ではないと説明されている[1][2]。

アーカンソー大学節足動物博物館とミズーリ州自然保護局も、攻撃的でなく、咬まれても多くの場合ハチの一刺し程度だと述べる。ただし、防御として咬むことはありうる。「人に害はない」と「絶対に咬まない」は別の主張であり、資料が支えているのは前者のほうだ[3][6]。

嫌われる見た目と、実際の振る舞いの間には、距離がある。あの長い歩肢は人を襲う道具ではなく、ゴキブリやトコジラミなど屋内の虫を囲んで捕らえる道具だと、資料からは読める。

見かけたら、とおくから ここを みて みよう

見かけたら、足と触角を遠くから眺めてみる

資料案内 ── 英語の博物館資料と、日本のゲジの研究

おうちで ゲジゲジを みかけたら、さわらず、おいかけず、すこし はなれて みて みましょう。

・ いちばん うしろの 足は、ほんとうに しょっかくの ように ながい?
・ あたまの しょっかくは、どう うごく?
・ どこを はしる? かべ? ゆか? てんじょう?

みえたときは、ノートに かいて おきましょう。みえなかった ときは、この ページに ある 足と しょっかくの とくちょうを、えに かいて みても いいですね。

家でゲジを見かけたら、つかまえたり追いかけたりせず、少し離れて見てみましょう。次の3つを確かめます。

一つ目は、いちばん後ろの足が、本当に触角のように長いか。二つ目は、頭の触角がどう動くか。三つ目は、壁・床・天井のどこを走るか。ほとんどが一瞬の出来事なので、見えたことだけをメモすれば十分です。

本文のことの多くは、欧州原産の近い仲間についての説明です。日本のゲジでも同じように見えるのか、見えたことを記録しておけば、資料と比べる手がかりになります。

英語圏の資料は、アーカンソー大学節足動物博物館のページ[3]、ミズーリ州自然保護局のフィールドガイド[6]、多足類の解説サイト[4]が、写真や飼育下の餌の一覧を載せている。日本語では、世界大百科事典の項[1]が、体のつくりと成長を簡潔にまとめている。

これらを読み比べて見えてくる問いが一つ残る。投げ縄や格子のたとえは、日本のゲジ(Thereuonema属)でも観察されているのか。今回の資料にはその観察は出てこない。屋内で見かけたときは、触れずに離れて、歩肢の長さ・触角の動き・走る場所を見るだけでも、資料と自分の観察を比べる第一歩になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の内容は、次の資料を読み比べて書きました。

  1. コトバンク「ゲジ」(世界大百科事典の項) https://kotobank.jp/word/%E3%82%B2%E3%82%B8-59366 (餌・体のつくり・成長・人への害)
  2. Wikipedia日本語版「ゲジ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%B8 (食性・歩肢・投げ縄の説明)
  3. University of Arkansas Arthropod Museum "House centipede" https://arthropod.uark.edu/?p=27355 (捕らえ方と飼育下の餌)
  4. Myriapodology(多足類研究サイト) https://myriapodology.org/nadiplochilo/oscutigeromorpha.html (格子のように囲む説明)
  5. Wikipedia英語版 "Scutigera coleoptrata" https://en.wikipedia.org/wiki/Scutigera_coleoptrata (触角・速さ・複数の獲物)
  6. Missouri Department of Conservation Field Guide "House centipede" https://mdc.mo.gov/discover-nature/field-guide/house-centipede (咬む強さの説明)

なおした ところ

更新履歴

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