1. つるは どんな ところに いるの?
1. つるは、どんな場所を選んで暮らすのか
1. つる類が使う環境:開けた水辺と、いない大陸
つるは、せかいの いろいろな ところに います。ほとんどの たいりくに すんで いますが、なんきょくと みなみアメリカには いません[1]。
すむ ところは、しつげんや くさはらなど、まわりが ひらけた みずべです[1]。しつげんは、みずを たっぷり ふくんだ、ひろい のはらの ことです。
では、にほんの つるは、どこに いるのでしょう。
2. たんちょうは、なつと ふゆで ばしょが ちがうの?
2. タンチョウは、夏は散らばり、冬は釧路に集まる
2. 北海道のタンチョウ:夏の分散と、冬の釧路地域への集中
にほんで いちばん よく しられて いるのは、ほっかいどうの たんちょうでしょう。ほっかいどうの ひがしの しつげんを ちゅうしんに くらして います[2]。
なつの あいだ、たんちょうは しつげんの あちこちに ちらばって、すを つくり、ひなを そだてます[2]。ひなを そだてる ばしょとして、しつげんが たいせつだと いわれて います[3]。
ところが ふゆに なると、ほとんどの たんちょうが、くしろちいきに あつまります[2]。ふゆに よる ねる ばしょとして つかわれるのは、かわや、わきみずの いけです[3]。
なつは ばらばらで、ふゆは ぎゅっと あつまる。そんな くらしを して いるのですね。
では、なぜ あつまった ことが、もんだいに なるのでしょう。
夏は湿原にばらばらに
日本のタンチョウは、北海道東部の湿原を中心に分布します。繁殖地はクッチャロ湖、サロベツ湿原、十勝川流域などに広がっています[2]。夏は湿原に分散して、巣を作り、ひなを育てます[2]。
冬は釧路地域に集中する
ところが冬になると、ほとんどの個体が釧路地域に集まります[2]。夜のねぐらとして使うのは川や湧水池で、これらの維持が保護計画の対象になっています[3]。
国内の個体数は約1,650羽(平成30年度、NPOの調査)、世界全体は約3,050羽とされます[2]。1,650÷3,050を計算すると約0.54で、半分を少し超えます。ただし、2つの数字は調べた年がちがう推定値で、同じ年の割合ではありません。おおまかな目安です。
夏はばらばら、冬は一か所。この差は、守る側にとって何を意味するのでしょうか。
タンチョウは北海道東部の湿原を中心に分布し、繁殖地はクッチャロ湖、サロベツ湿原、十勝川流域などに広がる[2]。夏は湿原に分散して営巣・育雛を行うが、越冬期にはほとんどの個体が釧路地域に集中する[2]。
この季節差には、ねぐらの条件がかかわる。林野庁の保護増殖事業計画は、営巣・育雛の場として重要な湿地に加え、越冬期にねぐらや自然採餌地として使われる河川や湧水池などの維持を、計画の対象に挙げる[3]。夏と冬では、必要とされる場所の種類が違うわけだ。
個体数は、国内が約1,650羽(平成30年度、NPO調査)、世界全体が約3,050羽とされる[2]。1,650÷3,050は約0.54で、世界の半数以上が北海道東部にいる計算になる。ただし基準年の異なる推定値どうしの単純な割り算で、同じ時点の割合ではなく、固定の数字でもない。冬にほとんどが一地域に集まるという事実と合わせると、この地域の状況が種全体の運命を左右しかねない。では、この集まり方は、昔からそうだったのか。
3. たんちょうが あつまるように なったのは、どうして?
3. 冬に集まる習性は、人の給餌と結びついている
3. 給餌の成功と、越冬期の集中がもたらした問題
たんちょうは、いちど いなく なったと おもわれて いました。ところが たいしょうじだいに、十すうわが みつかりました[3]。
そのあと、1952ねんに、あかんちょうと つるいむらで、ふゆの えさを あげる ことに せいこうしました。いまも、まちの ひとたちが、ふゆに えさを あげて います[2]。
へいせい5ねんごろには、やく 600わまで ふえました[3]。
けれども、えさを あげる ばしょに、9わりいじょうの たんちょうが あつまります。びょうきが はやると、きゅうに かずが へって しまう おそれが あると いわれて います[2]。
そこで かんきょうしょうは、えさの りょうを へらして、たんちょうを いろいろな ばしょへ ちらす ことを すすめて います[2]。
一時は絶滅したと考えられていた
タンチョウは一時、絶滅したと考えられていました。しかし大正時代に十数羽が再発見され、それ以来の保護で数が増えました。平成5年ごろには約600羽まで回復しています[3]。
冬の給餌と、集中の影
冬の給餌は、昭和27年(1952年)に阿寒町と鶴居村で成功し、以降、地元で続いています[2]。ただし越冬期には、給餌場に9割以上の個体が集中します。感染症が起きると急に数が減る恐れがあると指摘され、環境省は給餌量を減らして、越冬地を分散させる取り組みを進めています[2]。
増やすための給餌が、集まりすぎという新しい心配も生んだ、という流れです。ほかの場所のつるも同じ悩みを持っているのでしょうか。
タンチョウは一時絶滅したと考えられたが、大正時代に十数羽が再発見され、保護の結果、平成5年ごろには約600羽まで回復した[3]。回復を支えた要素の一つが冬の給餌で、昭和27年に阿寒町と鶴居村で成功して以降、地元で継続されている[2]。
ところが、この成功は新しい課題を呼んだ。越冬期には給餌場に9割以上の個体が集まり、感染症の流行で急減するおそれがあると指摘される。環境省は給餌量を減らし、越冬地の分散を進めている[2]。
ここで、因果を急いで読まないほうがよい。資料が述べるのは、給餌場への集中と、それが感染症のリスクとして指摘されていることまでで、集中の原因のすべてを給餌だと決めてはいない。では、給餌とは別の事情で集まる場所はあるのか。
4. かごしまの いずみには、どれくらい つるが くるの?
4. 鹿児島県の出水平野に、1万羽が冬を越しに来る
4. 出水平野:ナベヅル・マナヅルの渡来と、世界の個体数に占める割合
つるの ふゆの すみかは、きたの くにだけでは ありません。かごしまけんの いずみ へいやには、10がつの なかばから 3がつごろまで、ナベヅルと マナヅルが とおくから やって きます[4]。
ふるさとは、ロシアの シベリアや、ちゅうごくの とうほくぶなどです。かぞえて みると、1万わを こえる ことが 28ねんつづいて います[4]。
2024ねんの 2かいめの ちょうさでは、12,992わが いました[4]。ナベヅルが 12,036わ、マナヅルが 948わ、ほかの つるが 8わです。ただし まいとし おなじ かずでは ありません。
せかいの ナベヅルの 8わりから 9わりが いずみで すごすと いう しりょうが あります[5]。マナヅルは、やく 5わりです。
ここの つるは、1がつの おわりごろから、また きたへ もどりはじめます[4]。
10月から3月ごろまでの冬の宿
出水平野には、10月中旬から3月ごろにかけて、シベリアなどからナベヅルとマナヅルが約1万羽渡来します。1月下旬ごろから、繁殖地であるロシア・シベリアや中国東北部などへ戻り始めます[4]。
数字で見る出水
2024年11月30日の第2回調査では、12,992羽(ナベヅル12,036羽、マナヅル948羽、ほか3種8羽)が確認され、1万羽超えは28年連続でした[4]。ただし毎年同じ数ではありません。
環境省の資料では、出水に渡来するナベヅルは世界の約9割(約8,000〜10,000羽)、マナヅルは約5割(約2,000〜3,000羽)とされます[5]。別の資料はナベヅルを8〜9割としており、数字に幅があります。2024年のナベヅル12,036羽は、この「世界の約8,000〜10,000羽」より多い値です。割合を書いた資料と数えた年が違うためで、割合はおおよその目安と見るのが安全です。
一か所に世界の大半が集まる状況は、守る側から見ると、どんな意味を持つのでしょうか。
出水平野には10月中旬から3月ごろ、シベリアなどからナベヅルとマナヅルが約1万羽渡来して越冬し、1月下旬ごろから繁殖地(ロシア・シベリア、中国東北部など)へ戻り始める[4]。2024年11月30日の第2回調査では12,992羽(ナベヅル12,036羽、マナヅル948羽、ほかにクロヅル4羽・カナダヅル3羽・ナベクロヅル1羽)で、1万羽超えは28年連続とされる[4]。
では、これは世界全体のどれくらいか。環境省の資料は、出水に渡来するナベヅルを世界の総個体数の約9割(約8,000〜10,000羽)、マナヅルを約5割(約2,000〜3,000羽)とする[5]。別の資料はナベヅルを8〜9割とし、幅がある。しかも2024年のナベヅル12,036羽は、「世界の約8,000〜10,000羽」という資料の値を超える。割合の出典年と、渡来数を数えた年とが一致しないためで、数が増えたのか、世界の見積もりが古いのかは、今回の資料では決められない。
割合そのものの精度に限界があっても、「世界の大半が一地域に冬を過ごす」という大づかみの姿は変わらない。この集中は、どのように守る課題になっているのか。
5. たくさんの つるが ひとつの ばしょに いると、どうなる?
5. 一か所に集まる冬は、守る側の悩みになる
5. 出水の保護の歩みと、一極集中のリスク
いずみの つるは、せんごすぐの きろくでは、275わでした[6]。その あと、ながい あいだ まもって きた けっか、1万わを こえました[6]。
ナベヅルと マナヅルは、「とくべつ てんねんきねんぶつ」に なって います[6]。にほんの たいせつな たからものとして、まもられて いると いう ことです。
でも、ここにも しんぱいが あります。ひとつの ばしょに あつまりすぎると、びょうきで たくさんの つるが しんでしまう ことが、しんぱいされて いるのです[6]。
北の たんちょうと、みなみの ナベヅル。はなれた ばしょでも、「あつまる ことの うれしさ」と「あつまる ことの しんぱい」を いっしょに かかえて います。
戦後すぐの275羽から
出水のツルは、戦後すぐの記録では275羽でした。半世紀以上の保護を経て、1万羽を超えるまでになったと紹介されています[6]。2024年の12,992羽と比べると約47倍ですが、調べ方がそろっているとは限らないので、おおまかな目安です。
特別天然記念物と、集中の懸念
ナベヅルとマナヅルは、特別天然記念物「鹿児島県のツルおよびその渡来地」に指定されています[6]。一方、渡来が一か所に集中することで、感染症による大量死が懸念されています[6]。
北海道のタンチョウも出水のツルも、守って数が増えたことと、集まりすぎる心配が、同じ話の両面になっています。
出水のツルは、戦後すぐの記録では275羽にすぎなかったが、長年の保護活動を経て、1万羽を超えるまでになった[6]。2024年の12,992羽との比は約47倍だが、調査方法や時期が異なる値どうしの比較であり、保護の効果だけを表す倍率とは読めない。
ナベヅルとマナヅルは特別天然記念物「鹿児島県のツルおよびその渡来地」に指定されている。一方で、越冬地が一か所に集中する状況は、感染症による大量死が懸念されている[6]。
北海道のタンチョウが給餌場に9割以上集まる状況[2]と、出水に世界のナベヅルの大半が集まる状況は、別々の地域で起きた似た構造として読める。ただし、集中の原因(給餌、環境の条件、渡りのルートなど)が両者で同じかどうかは、今回の資料から決められない。分かっているのは、数が増えたことと、集中が感染症のリスクとして指摘されていることの2点である。
6. ちずで、つるの ふゆの すみかを さがして みよう
6. 地図で場所を探し、電卓で割合と倍率を確かめる
6. 地図と一次資料で、集中の構造を確かめる
ちずちょうを ひらいて、ほっかいどうの くしろちいきと、かごしまけんの いずみへいやを さがして みましょう。ふたつの まちは、どのくらい はなれて いますか。
ふゆに つるが あつまる ばしょが、どうして そこなのか。ちずを みながら、いえの ひとと はなして みるのも たのしいですよ。
つるの すがたを みに いく ときは、ちかづきすぎないように しましょう。
地図帳で2つの町を探す
地図帳で、北海道の釧路と、鹿児島県の出水を探してみましょう。冬に決まった場所に集まるつるの宿が、北海道東部と九州南部に分かれていることが目で見て分かります。
電卓で割合と倍率を確かめる
日本のタンチョウ1,650羽を世界全体の3,050羽で割ると約0.54、出水の戦後すぐの275羽と2024年の12,992羽を比べると約47倍です。何と何を比べた数字なのかを、自分の手で確かめられます。
出典の資料を読む
環境省のタンチョウの資料と、出水に関する資料に、記事の数字の出どころがあります。年ごとに数が変わる点も、原典のほうが詳しく書かれています。
1,650÷3,050は約0.54、12,992÷275は約47と、本文の割合・倍率は電卓で検算できる。前者は調査年が異なりうる推定値どうし、後者は戦後すぐの記録と2024年の調査値であり、同じ基準で数えた値の比較ではない。
地図帳で釧路と出水を並べて見ると、冬の集まる場所が、北海道東部と九州南部の、それぞれ限られた地域に収まっていることが分かる。2つの場所の間の距離を測り、集中が一か所でなく2か所にあることの意味を考える材料にできる。
原典は、環境省のタンチョウの資料[2]、林野庁北海道森林管理局の保護増殖事業計画[3]、環境省の出水に関する資料[5][6]である。個体数の最新の値は、環境省などの発表原文で確かめてほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。数字や年は、資料によって調べ方や時点が異なることがあります。
- PBS Nature "Crane" https://www.pbs.org/wnet/nature/group/birds/crane (つるの種数・生息する大陸・生息環境)
- 環境省「タンチョウ」 https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/tancho.html (タンチョウの分布・季節による移動・個体数・給餌と分散)
- 林野庁北海道森林管理局「タンチョウ保護増殖事業計画」 https://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/hozen/hogozousyoku/keikaku/tantyou.html (営巣・ねぐらの場所、再発見と回復)
- tabi-mag「出水のツル」 https://tabi-mag.jp/izumi-tsuru/ (出水の渡来時期と2024年の数。紹介記事のため二次資料)
- 環境省 鹿児島県のツルおよびその渡来地に関する資料 https://www.env.go.jp/council/12nature/y125-23b/900434666.pdf (世界の個体数に占める割合)
- 環境省 九州地方環境事務所の資料 https://kyushu.env.go.jp/content/900177573.pdf (戦後の個体数、特別天然記念物、集中の懸念)
なおした ところ
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