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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

こおろぎは、よるの くさむらで なにを たべて いるの?

夜の草むらで、コオロギは何を食べているのか

コオロギは何を食べているのか:草も死骸も食べる雑食と、食品の残りかすで飼う試み

分野:生きもの

よるの くさむらの こおろぎは、くさだけでなく、小さな いきものの なきがらも たべます。ようすに よっては、なかまを たべる ことも あります。

どうして なんでも たべるのでしょう。その ちからを、高校生は どう つかったのでしょう。この ページを 読むと、こおろぎの たべものと、お店の のこりものを えさに した けんきゅうの ようすが わかります。

夜の草むらで鳴いているコオロギは、草だけを食べているわけではありません。小動物の死骸も食べ、条件によっては仲間の体まで食べることがあるといわれます[1][2]。

なぜ、そんなに何でも食べるのでしょうか。そして、その性質は今、どんなことに生かされているのでしょうか。この記事を読むと、コオロギの食べ物と、高校生が食品の残りかすでコオロギを飼った研究の結果が分かります。

野外のエンマコオロギは、夜に歩き回って植物や小動物の死骸を食べる[1]。さらに飼育下では、たんぱく質などが足りないと、同じ種の仲間まで食べることがあるとされる[2]。

草食とも肉食とも言いきれない食べ方は、何を生み、どこで役に立つのか。このメモを読むと、雑食の中身と共食いが起きる条件、そして食品の残りかす(残渣)でコオロギを飼った高校生の研究と、その限界が分かる。

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1. よるの くさむらで、なにを かじって いるの?

1. 夜の草むらで、コオロギは何をかじっているのか

1. 野外のエンマコオロギの食べ物:植物と小動物の死骸

ひるの コオロギは、はらっぱの 草の かげや、かきねの ねもとに かくれて います。よるに なると、まわりを 歩きまわって、ごはんを さがします[1]。

たべるのは、草などの しょくぶつ と、小さな いきものの なきがらです[1]。

こおろぎは、くさも 虫も たべる 「ざっしょく」の いきものです。では、たべもので こまる ことは ないのでしょうか。

昼は隠れ、夜に食べに出る

エンマコオロギは、昼のあいだ、原っぱの草の陰や家の周りの垣根の根元に潜んでいます。夜になると周りを歩き回り、植物や小動物の死骸などを食べます[1]。

草も虫も食べる雑食

食べ物の幅の広さは、エンマコオロギだけの話ではありません。大学の紀要論文では、コオロギは草食的な面と肉食的な面をあわせ持つ雑食で、この性質は多くのコオロギに共通すると整理されています[3]。では、何でも食べられるなら、食べ物に困ることはないのでしょうか。

野外のエンマコオロギは、昼は原っぱの草の陰や家の周りの垣根の根元に潜み、夜になると周辺を歩き回って植物や小動物の死骸などを食べる[1]。自然史の解説による記述で、「何をどれだけ食べるか」の割合までは示されていない。

この幅の広さは、一つの種に限らない。福井県立大学の紀要論文は、コオロギ類を草食的な面と肉食的な面をあわせ持つ雑食と整理し、この食性は多くの種に共通するとしている[3]。

では、何でも食べられるなら、食べ物で困ることはないのか。飼育のなかでは、「足りないもの」がはっきり見えてくる。

2. たべものが たりないと、なかまを たべる ことも

2. 栄養が足りないと、仲間まで食べてしまう

2. 雑食と共食い:たんぱく質の不足が引き金になる

おうちで エンマコオロギを かう ときの せつめいを 見ると、「にんげんが たべるものなら、だいたい なんでも たべる」と あります[2]。

でも、ちゅういが ひとつ あります。にくや さかなのような、たんぱくしつが たりないと、ともぐいを する ことが あるのです[2]。えさとしては、さかなの こなが 入った えさや、やさいの きれはし、虫の ゼリーが あげられて います。

ともぐいは、たべものが たりない ときに おきやすい、と かんがえられて います。この 「なんでも たべる」ちからを、なにかに つかえないでしょうか。

足りないのは動物質のえさ

飼育の解説によると、エンマコオロギは人間が食べるものならほぼ何でも食べます。ただし、動物質の餌、つまりたんぱく質が足りないと共食いすることがあるので注意が必要だとされます。餌の例としては、魚粉の入った人工餌、野菜の切れ端、昆虫ゼリーが挙がっています[2]。

共食いは、草むらで普通に起きていることというより、飼育の中で足りないものがあるときに目立つ行動、と読むのが近いようです。

何でも食べられる性質は、見方を変えれば「残りものでも育てやすい」ことにもつながります。そこに目をつけた高校生がいました。

飼育の解説では、エンマコオロギは人間の食べるもののほぼ何でも食べる雑食だが、動物質の餌、つまりたんぱく質が不足すると共食いすることがある、と注意されている。餌としては魚粉入りの人工餌、野菜の切れ端、昆虫ゼリーが挙げられる[2]。

したがって共食いは、野外の日常というより、足りない栄養があるといった条件で目立つ行動と読むのが適切だろう。ここで取りあげた解説は飼育にかかわる記述で、野外で共食いがどのくらいの頻度で起きるかは示していない。

では、何でも食べるという性質を、人はどう利用できるのか。ある高校の課題研究は、これを食品の残りかすにつなげた。

3. こうこうせいは、お店の のこりものを えさに した

3. 高校生は、飲食店の残りものを餌にしようとした

3. 食品の残渣を餌にする課題研究(広島県立西条農業高校)

ひろしまけんの さいじょう農業高校の 生とたちは、お店の 食べものの のこりかすを、こおろぎに あげて みました[4]。2022年に しょうかいされた けんきゅうです。

もらったのは、おこのみやきの 店の キャベツの しんや、ラーメンの 店の にぼしです。これらを かわかして こなに して、えさに しました[4]。

けんきゅうの 記じには、「こおろぎが ざっしょくなのも、のこりもので かうのに つごうが よかった」と 書かれて います[4]。

さて、のこりものだけで、こおろぎは ちゃんと 大きく なるのでしょうか。

お好み焼き店とラーメン店の残渣

広島県立西条農業高校の生徒たちは、地元の飲食店から出る残渣(食べられずに残る部分)を、乾燥させて粉末にし、コオロギに与える課題研究をしました。お好み焼き店のキャベツの芯や、ラーメン店の煮干しなどです。2022年に科学技術振興機構(JST)のサイエンスポータルで紹介されています[4]。

なぜコオロギだったのか

記事には、コオロギが雑食なので残渣で飼うのに好都合だった、という趣旨が書かれています[4]。食用のコオロギとして一般的なのは、一年中繁殖できるヨーロッパイエコオロギとフタホシコオロギです[4]。ただし、記事の中心は食用コオロギの普及ではなく、残りものの利用の工夫のほうにあります。

では、残りものだけで、コオロギはどのくらい育つのでしょうか。

この性質を食品の残渣の利用に結びつけたのが、広島県立西条農業高校の生徒(生活科理科班)による課題研究である。地元のお好み焼き店やラーメン店から提供されたキャベツの芯や煮干しなどの残渣を乾燥させて粉末にし、コオロギに与えるもので、2022年にJSTのサイエンスポータルで紹介された[4]。

記事は、コオロギが雑食であることが、残渣で飼育するには好都合だった、と述べている[4]。選ばれた理由は雑食性だけでなく、一般に食用として扱われるヨーロッパイエコオロギとフタホシコオロギが一年中繁殖できる点にもある。フタホシコオロギは東南アジアに多く、日本では沖縄などで見られる[4]。

ただし「何でも食べる」と「何でも食べて大きく育つ」は同じではない。残渣を与えたとき、コオロギはどう育ったのか。

4. キャベツの しんだけだと、どう なるの?

4. キャベツの芯だけで1か月飼うと、どうなったか

4. 餌による成長のちがい:キャベツの芯、アーモンド、煮干し

キャベツの しんだけを、1か月ほど あげて みました。すると、こおろぎの かずは へりませんでした。でも、アーモンドを あげた 子たちより、大きく なるのが おそかった のです[4]。

先生は、たんぱくしつや あぶらが たりなかった ことが えいきょうしたのだろう、と かんがえて います[4]。

にぼしは、どうでしょう。ようちゅうは ほとんど 死んで しまい、おとなも あまり 食べませんでした[4]。

でも 先生は、おもしろい かせつも 立てました。こおろぎは、カルシウムが たりないと ともぐいを する かたむきが あるので、にぼしは、ともぐいを ふせぐ ほうほうに なるかも しれない、という ものです[4]。まだ 「かもしれない」の だんかいです。

成長は遅かったが、数は減らなかった

キャベツの芯だけを1か月ほど与えると、コオロギの数は減りませんでしたが、アーモンドを与えたときに比べて成長が遅くなりました。担当の教諭は、たんぱく質や脂質の不足が影響したと考えられる、と分析しています[4]。高校での観察の一例で、どんな条件でもそうなるという法則ではありません。

煮干しは、うまくいかなかった

煮干しの粉末では、幼虫はほとんど死んでしまい、成虫もあまり食べませんでした[4]。

一方で教諭は、コオロギはカルシウムが不足すると共食いをする傾向があるので、煮干しは共食いが見られたときの対策として有効かもしれない、と考えています[4]。これは仮説の段階で、効果が実証されたわけではありません。

残りものは、使えそうで、そのままでは足りないところもある。では、餌選びは、どう進めていけばよいのでしょうか。

この研究で、キャベツの芯のみを1か月ほど与えると、個体数は減らなかったが、アーモンドを与えた場合よりも成長が遅かった。教諭は、たんぱく質や脂質の不足が影響していると考えられる、と分析している[4]。つまり、数は保たれても「十分に育つ」餌とは限らない。この結果は高校の実験での観察であり、一般法則ではない。

煮干しは、さらに難しかった。幼虫はほとんどが死に、成虫もあまり食べなかった[4]。ところが教諭は、そこから別の見通しを立てている。コオロギはカルシウムが不足すると共食いをする傾向があるので、煮干しは共食いが見られたときの対策として有効かもしれない、というものだ[4]。

注意したいのは、これが教諭の見方にとどまる点である。前の章で見たとおり、共食いと結びつけられていたのは主にたんぱく質の不足だった[2]。カルシウムの不足との関係は、この研究で確かめられた結論ではなく、これから試すべき仮説と読むのが妥当である。

うまくいかなかった点も多い。それでも研究は続いた。最初の挑戦から、どうやって数を増やしていったのか。

5. さいしょは しっぱい。それでも 50ぴきが ふえた

5. 最初の失敗から、50匹が半年で1400匹以上に

5. 飼育の試行錯誤と、餌の副産物を試した海外の研究

さいしょに とりよせた ヨーロッパイエコオロギは、ほとんどが 2しゅうかんで 死んで しまいました[4]。

そこで、ようしょく場の 人に ならって、フタホシコオロギを 50ぴき かいました。えさは アーモンドです。水ばや えさばには、石や たまごの パックを 入れる くふうも しました[4]。

すると、50ぴきは、半年 たたないうちに 1400ぴき いじょうに ふえました[4]。

この けっかだけで、「ヨーロッパイエコオロギは かいにくい」とは いえません。かい方に なれて いなかった ことも かんけいして いそうです。

全滅に近い失敗から

最初に取り寄せたヨーロッパイエコオロギは、ほとんどが2週間で死んでしまいました[4]。この結果だけで、その種が飼いにくいとは言えません。飼い方に慣れていなかったことも関係していそうです。

養殖場で教わった工夫

養殖場で教わり、フタホシコオロギ50匹をアーモンドの餌で飼いはじめました。水場や餌場に石や卵パックを入れる工夫もしています。すると、半年足らずで1400匹以上に増えました[4]。

海外でも、餌の組み合わせを試している

餌の研究は、日本の高校生だけのものではありません。2019年に学術誌 PLoS ONE に載った研究では、ヨーロッパイエコオロギとフタホシコオロギを、大豆の一部または全部を食品産業の副産物(ジャガイモのたんぱく質や大麦かすなど)に置きかえた18種類の餌で飼って比べました[5]。

結果は、たんぱく質が中くらいから高めの餌でよく育つ場合がありましたが、いちばんよい餌は、種や、何を見るか(収量、体重、成長の速さなど)によってちがいました。食品の副産物を餌の一部に使える可能性が示されました[5]。高校生が見た「たんぱく質が足りないと育ちが遅い」という方向とも、そう遠くない結果です。

最初の取り組みは順調ではなかった。取り寄せたヨーロッパイエコオロギは、ほとんどが2週間で死んだ。ここで養殖場に教えを請い、フタホシコオロギ50匹をアーモンドの餌で飼い、水場・餌場に石や卵パックを入れる工夫を加えた結果、半年足らずで1400匹以上に増えた[4]。

この失敗を「ヨーロッパイエコオロギは飼いにくい」と読むのは早計だ。飼い方に不慣れだったことも一因と考えられ、種の優劣を示す結果ではない。成功した飼育も、餌の種類だけでなく、隠れ場所や水場の設計を含めた総合的な工夫だった。

餌と成長の関係は、海外でも調べられている。2019年に PLoS ONE に掲載された研究は、ヨーロッパイエコオロギとフタホシコオロギを、大豆の一部または全部を食品産業の副産物(ジャガイモたんぱく、大麦かすなど)で置きかえた18種類の餌で飼育した。その結果、たんぱく質が中〜高程度の餌はよく育つ場合があったが、最良の餌は種や評価項目(収量・体重・成長率・発育速度)によって異なった。食品副産物を餌の一部に使える可能性が示された[5]。

高校の観察と、この研究は条件も規模も異なり、同じ実験として比べることはできない。それでも、たんぱく質の量が育ち方に関わりそうだという方向は重なる。残渣で飼えるかどうかは、「雑食だから何でも」ではなく、足りない栄養を補う組み合わせの問題になる、と読める。

6. こおろぎの ごはんを、たしかめて みよう

6. 近所のコオロギの食べ物を、自分で確かめるには

6. 次に読むもの・確かめられること

こおろぎの こえが する よるに、おとなと いっしょに、いえの まわりの かきねの ねもとを、かいちゅうでんとうで そっと 見て みましょう。ひるまは 草の かげに かくれて いる ので、かげに なって いる ところが ヒントです。

つかまえたり、さわったり しません。しゃしんや えを ノートに かいて、まわりに どんな 草や 虫が いたかを 書きます。

おうちの 人に たのんで、インターネットで 「サイエンスポータル ワカモノたち」を さがして みましょう。こうこうせいの 研究が、そのまま 読めます。

今日できること

コオロギの声が聞こえる夜に、大人といっしょに、家の周りの垣根の根元や草の陰を懐中電灯でそっと照らしてみます。昼間は物陰に隠れていることが多く、夜に歩き回ると解説されているので、場所の見当をつけるには、昼のうちに草が茂った根元を見ておくのが近道です[1]。

コオロギを捕まえたり、触ったりはしません。何がそばにあったか(草の種類、落ち葉、ほかの虫)をノートに書きとめます。車の通る道や、他人の土地には入りません。

資料を読む

高校生の研究は、サイエンスポータルの「自然と向き合うワカモノたち」に詳しく載っています[4]。残渣の種類、飼育の工夫、うまくいかなかったことまで書かれており、日本語で読めます。

今日できること

野外で何を食べているかは、自分でも観察できる。コオロギの声が聞こえる夜に、大人といっしょに、家の周りの垣根の根元や草の陰を懐中電灯でそっと照らし、何がそばにあるかを記録する。コオロギには触れず、車の通る道や他人の土地には入らない。観察したものは「食べているところを見た」ではなく「そばにあった」と区別して書く。

資料にあたる

高校の課題研究は、JSTサイエンスポータルの記事(出典[4])で、残渣の種類や飼育の工夫、うまくいかなかった点まで日本語で読める。餌と成長の関係は、PLoS ONE の論文(出典[5])で、18種類の餌の設計や評価の方法を原典で確かめられる。「カルシウムが足りないと共食いするか」は教諭の見方にとどまるので、この問いを検証した資料を探すこと自体が、次の調べものになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。高校生の研究の結果は、一つの学校での観察で、一般的な法則ではありません。

  1. Honda Woods 森の図鑑「エンマコオロギ」 https://global.honda/jp/philanthropy/hondawoods/forest/library/047/ (昼夜の動き、野外での食べ物)
  2. HugKum「コオロギのエサは何をあげる?」 https://hugkum.sho.jp/153793 (飼育での餌と、たんぱく質不足と共食い)
  3. 福井県立大学紀要(コオロギの餌と体内成分) https://fpu.repo.nii.ac.jp/record/2000010/files/60-109.pdf (コオロギ類の雑食性)
  4. JST サイエンスポータル「自然と向き合うワカモノたち 第4回」(2022年) http://scienceportal.jst.go.jp/stories/20221130_w01/ (残渣でのコオロギ飼育、餌による成長のちがい)
  5. Sorjonen ほか(2019)PLoS ONE https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0218830 (食品副産物を使った18種類の餌での飼育。英語の資料)

なおした ところ

更新履歴

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