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おいしゃさんの しごとは、びょうきを なおす ことだけ なの?

医者の仕事は、病気を治すことだけなのか 法律と職場・学校から見る

医師の職務は診療だけか 医師法の第1条と、産業医・学校医という働き方から考える

分野:からだ

おいしゃさんの しごとを きめた ほうりつの、いちばん はじめの ところには、「びょうきを なおす」と いう ことばは 出て きません[1]。

では、おいしゃさんは 何を する 人と されて いるのでしょう。この きじで、しんさつの あとの しごとと、びょういんの そとで はたらく おいしゃさんの ことが 分かります。

医者の仕事を定めた医師法の第1条には、「病気を治す」という言葉そのものが出てきません[1]。書かれているのは、医療と保健指導で国民の健康な生活を確保する、ということです。

では、医者は具体的に何をする人なのでしょうか。診察のあとに求められること、病院の外で働く産業医や学校医、医者になるまでの道のりが分かります。

医師法の第1条は、医師の任務を「医療及び保健指導を掌る」ことによって公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康な生活を確保すること、と定める[1]。条文には「治療」だけでなく、「保健指導」が並んでいる。

医師の仕事の中身は、診察室の外へどこまで広がっているのか。診察後の指導の義務、職場や学校で働く医師、免許のあとの臨床研修までを、法令と厚生労働省の資料から確かめると、その答えが分かる。

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1. しんさつの あとに、おいしゃさんは 何を する?

1. 診察のあとに、医者がしなければならないこと

1. 医師法第1条・第20条・第23条 ── 診察の前後にある義務

びょういんに 行くと、おいしゃさんは からだを みて、くすりを 出して くれます。でも、それで おわりでは ありません。

ほうりつには、おいしゃさんは しんさつを したら、本人や 家ぞくに 「どう すごすと よいか」を つたえなければ ならない、と 書いて あります[1]。ごはんの こと、ねる ことなども 入ります。

はじめの ところには、「びょうきを なおす」では なく、「いりょうと ほけんの しどう」で みんなの けんこうな くらしを まもる、と あります[1]。

つまり、なおす だけでは なく、つたえる ことも、おいしゃさんの しごとです。では、びょういんの そとにも おいしゃさんは いるのでしょうか。

治す前に、自分で診る

法律には、医者が守るべきことがいくつも書かれています。たとえば、医者は自分で診察しないで、治療をしたり、診断書や処方せんを出したりしてはならない、という決まりがあります[1]。まず自分の目で診ることが、原則とされています。

診たあとに、伝える

もう一つは、診療をしたとき、本人や保護者に、療養の方法など、健康のために必要なことを指導しなければならない、という決まりです[1]。「どう過ごせばよいか」を伝えることは、親切ではなく、法律が求める仕事のうちです。

第1条を読み返すと、医者の役割は「医療」と「保健指導」の二本立てになっています。病気を治すだけでなく、人が健康に暮らし続けられるようにすることまで、仕事の中に入っているのです。では、その仕事は病院の中だけで行われているのでしょうか。

医師の職務は、診察室で完結するものなのか。医師法第1条は、医師は医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする、と定める[1]。治療と並べて保健指導が置かれている点が、まず目を引く。

この方針は、個別の条文にも表れている。第20条は、自ら診察しないで治療をしたり、診断書や処方せんを交付したりすることを禁じ、自分で診ることを原則とする(遠隔での診療の扱いは別の通知で定められており、ここでは条文の原則だけを見ている)。第23条は、診療をしたときは、本人またはその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項を指導しなければならないと定める[1]。

そのため、診察のあとに「どう過ごすか」を伝えることは、サービスではなく義務として位置づけられている。治療と指導の二本柱は、条文の上でも一貫している。では、この「保健」の側面は、診察室の外では誰が担っているのか。

2. びょういんの そとで はたらく おいしゃさん

2. 病院の外にも、医者はいる ── 毎月職場を歩く産業医

2. 産業医と学校医 ── 治療ではなく環境を診る医師

かいしゃや こうじょうには、「さんぎょうい」と いう おいしゃさんが います。ほうりつでは、はたらく 人が 50人 いじょう いる ところに おく ことに なって います[5]。

さんぎょういは、すくなくとも 毎月 1回、はたらく 場所を 見て まわります。やり方や そうじの ようすに、からだに よく ない ところが ないかを 見て、あれば なおす ように つたえます[6]。

学校には、学校の おいしゃさんが います。学校の けんこうしんだんを する しごとです[7]。

びょうきの 人を まつので なく、びょうきに ならない ように、はたらく 場所や 学校を 見る おいしゃさんも いるのです。

職場を、毎月歩く

産業医は、会社や工場などの職場で、働く人の健康を守る医者です。労働安全衛生法によって、働く人が50人以上いる事業場では、産業医を選ぶことが義務づけられています[5]。1000人以上の規模などでは、その職場専属の産業医が必要です。

主な仕事は、健康診断や面接指導と、その結果にもとづく措置、そして作業の環境を整えることです[5]。さらに、少なくとも毎月1回は職場を見回り、作業の方法や衛生の状態に有害なおそれがあるときは、健康障害を防ぐ措置をとるとされています[6]。患者を待つのではなく、職場のほうへ出かけていく医者です。

学校にも、公的な役割の医者がいる

学校医は、学校保健安全法とその施行規則に定められた公的な役割で、学校の健康診断などを担います。公立の小中学校では、地域の医師会の推薦で任命されることがほとんどといわれます[7]。みなさんが学校で受ける健康診断にも、こうした医者が関わっています。

どちらも、病気になってから治す仕事ではなく、病気になりにくい場をつくる仕事です。では、こうした医者は日本にどれくらいいて、どこで働いているのでしょうか。

治療を主としない医師は、どこにいるのか。産業医は、労働安全衛生法第13条により、労働者50人以上の事業場で選任が義務づけられ、規模が大きくなる(1000人以上など)と専属の選任が必要になる。職務は、健康診断・面接指導とその結果に基づく措置、作業環境の維持管理と改善などである[5]。

厚生労働省の資料では、産業医は少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法や衛生状態に有害のおそれがあれば、直ちに労働者の健康障害を防ぐ措置を講じるとされる[6]。ここでの診断の対象は、個々の患者の体ではなく、職場という環境である。そのため、診察室で患者を待つ診療とは働き方がまったく異なる。

学校医も同様で、学校保健安全法と同法施行規則に定められた公的な役割として、学校の健康診断などを担う。公立の小中学校では、医師会の推薦で任命される例がほとんどだという解説がある[7]。保健指導という第1条の柱は、こうした制度の形で社会に組み込まれている。では、その担い手は全体でどれほどの規模なのか。

3. 日本には、おいしゃさんが どれくらい いるの?

3. 日本の医者は約35万人 ── 町の人の何人に1人か

3. 届出医師347,772人 ── 医療施設で働く医師は何人に1人か

2024ねんの 12月 31日の ときに、日本に とどけられて いる おいしゃさんは 347,772人です[3]。およそ 35万人です。

そのうち、びょういんや しんりょうじょで はたらく 人は 331,092人です[4]。人が 10万人 いる ところで、267.4人です。計算すると、およそ 374人に 1人です。

ただし、これは 日本ぜんたいの へいきんです。地いきに よって、ちがいが あります。

のこりの 人の 中には、国や まちの しごとや、大学の けんきゅうなどで はたらく 人も います。

35万人のうち、33万人が病院や診療所で

厚生労働省の統計によると、2024年12月31日現在の、全国の届出医師数は347,772人です。このうち女性は84,971人で、全体の24.4%、およそ4人に1人です[3]。この統計は2年に1回行われ、届け出た人を数えるので、実際に診療している人数とは別の数字です。

そのうち、病院や診療所などの医療施設で働く医師は331,092人で、人口10万人あたり267.4人です[4]。100000を267.4で割ると約374になるので、全国平均では、約374人に1人が、医療施設で働く医者という計算です。上限や下限ではなく平均で、都道府県によって違いがあります。

残りの約1万7千人は

届出医師数から医療施設で働く人数を引くと、差は16,680人です。この差の中には、介護施設や行政、大学の研究などで働く医者も含まれますが、差の全部がそうした人というわけではありません[4]。ただし、その内訳は人数で確かめられていないため、ここでは書けません。

数で見ても、「医者」の大半は病院や診療所にいます。ほかの場所にも、医者が働いているのです。

医師はどこで働いているのか。厚生労働省の令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計によれば、同年12月31日現在の全国の届出医師数は347,772人、うち女性は84,971人(24.4%)である[3]。この調査は2年に1回行われ、届出をした医師を数えるため、実際に診療に従事している人数とは一致しない。

届出医師のうち、医療施設(病院・診療所)に従事する医師は331,092人で、人口10万人あたり267.4人である[4]。10万を267.4で割ると約374であり、全国平均では約374人に1人の割合で医療施設の医師がいる。これは全国平均であり、地域ごとの差は表していない。

では、残りはどのような場にいるのか。届出医師数との差は16,680人(約4.8%)で、この中には介護施設、行政、大学の研究などで働く医師も含まれるが、差の全体の内訳ではない[4]。この差を職種別に分ける数字は、使用した資料では示されていないため、内訳の割合は書かない。

数のうえでは医療施設の医師が圧倒的に多いが、前の章で見た産業医や学校医のように、治療を主としない形で働く医師もいる。では、こうした広い仕事を、医師はどのように身につけていくのか。

4. おいしゃさんに なる までの みち

4. 医者になるまでの道 ── 免許のあとにも研修がある

4. 免許取得と臨床研修 ── 医師になる要件と研修の目的

おいしゃさんに なる には、まず 大学で 医学を べんきょうして そつぎょうします[1]。

つぎに、国の しけんに ごうかくして、国から めんきょを もらいます[1]。

でも、そこで おわりでは ありません。めんきょの あと、2ねん いじょう、きめられた びょういんで 研しゅうを うける 決まりです[1]。

研しゅうでは、どんな せんもんに すすんでも、よく ある びょうきや けがを みられる 力を 身に つけると されて います[2]。

大学、国家試験、免許

医者になるには、大学で医学の正規の課程を修めて卒業し、医師国家試験に合格して、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。国家試験では、医学と公衆衛生の知識や技能が問われます[1]。ここでも「公衆衛生」という言葉が出てきます。治すことだけでなく、社会の健康を守ることも、試験で問われる範囲のうちです。

免許をとったあと、2年以上の研修

診療に従事しようとする医師は、免許を受けたあと2年以上、指定された病院で臨床研修を受けなければなりません[1]。この研修の基本的な考え方は、将来どの分野に進んでも、一般的な診療で出会う病気やけがに対応できる、基本的な診療能力を身につけることとされています[2]。

免許は、始まりの合図のようなものです。免許を得てからも、学ぶ期間が決められているのです。

医師になるまでに、法律は何を求めているのか。医師になろうとする者は、大学で医学の正規の課程を修めて卒業した(第11条)うえで、医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない(第2条)。試験の内容は、医学および公衆衛生に関する知識と技能である(第9条)[1]。公衆衛生が試験範囲に明記されている点は、第1条の目的と対応している。

しかし、免許を得ただけで診療を始められるわけではない。診療に従事しようとする医師は、2年以上、都道府県知事の指定する病院などで臨床研修を受けなければならない(第16条の2第1項)[1]。

研修の目的は、厚生労働省の審議会資料などによれば、将来の専門にかかわらず、一般的な診療で出会う病気やけがに対応できる基本的な診療能力(態度・技能・知識)を身につけることとされる[2]。専門に分かれる前に、幅広い診療の基礎を共通に学ぶ設計だといえる。ただし、これは審議会資料の趣旨を要約した記述であり、現場の研修の内容を直接確かめたものではない。そのため、研修で何を学ぶかの具体像は、ここでは示さない。

5. つぎに びょういんへ 行ったら、きいて みたい こと

5. 次に病院へ行くとき、診察のあとの言葉に耳を向けてみよう

5. 資料案内 ── 医師法の条文と、厚生労働省の統計を見比べる

しんさつの あと、おいしゃさんから、くすりの のみかたや すごしかたを つたえて もらう ことが あります。どんな ことを おしえて もらったか、思い出して みましょう。

学校の けんこうしんだんの ひには、どんな おいしゃさんが 来て いるか、見て みるのも いいですね。

家の 人に 「かいしゃに さんぎょうい、いる?」と きいて みるのも おもしろいです。

次に病院や診療所へ行ったとき、診察のあとに医者から言われたことを、思い出してみましょう。薬の説明のほかに、「今日はお風呂に入ってもいいですよ」「しばらく運動は休みましょう」など、生活について何か言われていないでしょうか。それが、法律で求められている「指導」にあたります。

学校の健康診断の日には、来ている医者が学校の学校医かどうかを、保健の先生に聞いてみるのもよいでしょう。家の人が働く会社に、産業医はいるのでしょうか。働く人が50人以上いる職場には、置くことが義務づけられています。

残る問いもあります。この記事では、産業医と学校医の1日の流れや、診療科ごとの人数までは分かりません。気になる人は、厚生労働省の統計の本文で、診療科別の数字を見てみるとよいでしょう。

医師法の条文は、法令データ提供システムなどで日本語のまま読める。第1条・第2条・第9条・第11条・第16条の2・第19条〜第20条・第23条を順に追うと、「診る」「伝える」「学ぶ」の三つが条文の中でどう配置されているかが見える[1]。第19条は、診療に従事する医師が診察治療を求められたとき、正当な事由なく拒んではならないと定めている。

統計は、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」で、2年ごとの数字を日本語で読める[3]。産業医の職務は、厚生労働省の資料にある[5]。

読むときは、次の点を見比べるとよい。第1条にある「保健指導」は、第23条の指導義務とどうつながるか。医療施設以外で働く医師の数は、統計の本文ではどう示されているか。学校医の具体的な職務は、学校保健安全法のどの条文に書かれているか。答えを一つに決めず、資料ごとの言い方を見比べると、医師の仕事の輪郭が見えてくる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:医師法の条文と、厚生労働省の資料を中心に使った。人数の統計と、産業医・学校医の説明の一部は、資料の要約にもとづくため、「〜とされる」の強さで書いている。

  1. 「医師法(昭和23年法律第201号)」。https://hourei.net/law/323AC0000000201 (第1条・第2条・第9条・第11条・第16条の2・第19条・第20条・第23条について)
  2. 厚生労働省 審議会資料「臨床研修の基本理念」。https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/02/s0210-4g.html (臨床研修の目的について)
  3. 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(医師)」。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/dl/R06_kekka-1.pdf (届出医師数と女性の割合について)
  4. 鳥取大学の資料が引用する厚生労働省のデータ。https://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/t-chiikicen/3017/35432.html (医療施設従事医師数について。二次資料)
  5. 厚生労働省 母性健康管理サイト 用語集「産業医」。https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/glossary/relevance07.html (産業医の選任義務と職務について)
  6. 厚生労働省の資料(産業医の職務に関する説明)。https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001149017.pdf (職場の巡視について)
  7. 「学校保健安全法」。https://hourei.net/law/333AC0000000056 (学校医の公的な役割について)

なおした ところ

更新履歴

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