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歯も ない ミミズは、落ち葉を どうやって 食べるの?

歯もあごもないミミズは、落ち葉をどうやって食べているのでしょうか

歯もあごもないミミズは、落ち葉と土をどう食べ分けているのか

分野:生きもの

ミミズには、歯も あごも ありません。それなのに、地めんに ちらばる 落ち葉を 食べて います。

歯が ないのに、どうやって 食べるのでしょう。それに、ミミズが 食べて いるのは、葉なのでしょうか、土なのでしょうか。この ページを 読むと、そのことが わかります。

ミミズには、歯もあごもありません。ダーウィンは1881年の本の中で、そう書いています[1]。それでもミミズは、落ち葉を引きずりこんで食べます。

歯のない動物は、どうやって葉を食べるのでしょうか。そして、ミミズが食べているのは葉なのか、土なのか。この記事を読むと、体の外で消化を始めるしくみと、ミミズの種類によって食べものがちがうことが分かります。

ミミズにはあごも歯もない。ダーウィンは1881年の著書でこう書いたうえで、それでも半分くさった葉を大量に食べると記した[1]。

歯のない動物は、どうやって葉を食べるのか。また、食べものの主役は葉なのか、土なのか、そこにすむ微生物なのか。このメモを読むと、体の外で始まる消化と、ミミズの住む層による食べものの住み分けが分かる。

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1. 歯が ないのに、どうして 食べられるの?

1. 歯のないミミズは、食べる前に葉をぬらしておく

1. 歯がなければ体の外で始める:分泌液による予備消化

ダーウィンは、ミミズが 葉を 食べる ようすを くわしく 見ました[1]。ミミズは、葉を 巣穴すあなの 中へ ひきこみます。そして、体から 出る とくべつな しるで、葉を ぬらします。

そうすると、葉は 体に 入れる 前に、少し とけて やわらかく なります。つまり、食べる 前から、体の 外で 食べものを こなして いるのです。

体の 中にも しかけが あります。ダーウィンは、のみこんだ 小石が、石うすのように 食べものを すりつぶすらしい、と 考えました[1]。ただし、これは ダーウィンの 考えで、はっきり 決まった ことでは ありません。

巣穴の入口で起きていること

ダーウィンによれば、ミミズは葉を巣穴に引きこみ、体から出る液でぬらします。その結果、葉は体の中に入る前に、部分的に消化されているといいます[1]。歯でかみ砕くかわりに、食べる前に葉をやわらかくしておくわけです。

体の中の石うす

体の中にも工夫があります。ダーウィンは、ミミズの体内で見つかる小石が、石うすのように食べものをすりつぶす役目をしているらしい、と推測しました[1]。現代の資料にも、前胃のあとにある砂のうが、のみこんだ鉱物の粒を使って食べものをすりつぶす、と書かれています[2]。

ただし、小石がどれほど効いているのかは、ダーウィンの推測の域を出ません。では、ミミズはどんな葉でも同じように食べるのでしょうか。

ミミズにはあごも歯もないため、葉は咀嚼できない。ダーウィンは、ミミズが葉を巣穴へ引きこみ、分泌液で湿らせることで、消化管に入る前に部分的な消化が進むと述べた[1]。歯で細かくする代わりに、化学的に柔らかくしてから体に入れるという順序である。

体内の機構については、ダーウィンは、消化管の砂のうに入った小石が、石うすのように食物をすりつぶすのだろうと推測した[1]。現代の概説でも、前胃に続く砂のうが筋肉の収縮で食物をすりつぶし、その際にのみこんだ鉱物粒子が助けになるとされる[2]。

注意したいのは、小石の働きが推測にとどまる点である。粒子がすりつぶしにどの程度寄与するかは、今回使った資料から数字では示せない。では、ミミズは手あたり次第に葉を食べるのか。

2. ミミズにも、すききらいが あるの?

2. ダーウィンは、葉をあたえてミミズの好ききらいを調べた

2. 葉を選ぶ実験:緑の葉、赤い葉、にんじんの葉

ダーウィンは、ミミズに いろいろな 葉を あたえて、どれを 食べるか 見ました[1]。

キャベツでは、緑の 葉は よく 食べられましたが、赤い 葉は あまり かじられませんでした。にんじんの 葉や、たまねぎの 葉は、とくに 人気が ありました。

ミミズにも、すききらいが ありそうです。これは、ずっと 前の イギリスの ミミズの 話です。日本の ミミズが 同じかどうかは、この ページでは 分かりません。

キャベツの緑と赤

ダーウィンは、ミミズが半分くさった各種の葉をたくさん食べることを確かめたうえで、どの葉を好むかを実験で調べました[1]。キャベツでは緑の葉が好まれ、赤い葉はほとんど放っておかれるか、かじり方が少なかったと記されています。

人気の葉

特によく食べられたのは、にんじんの葉とたまねぎの葉でした[1]。ミミズは、葉であれば何でもよいわけではなさそうです。

ただし、これは19世紀のイギリスで調べた話で、日本のミミズ全部に当てはまるとは限りません。それでは、ミミズが本当に食べているのは葉そのものなのでしょうか。

ダーウィンは、ミミズが半分腐りかけた各種の葉を大量に消費することを確認したうえで、葉の種類による選択性を実験で調べた[1]。結果として、キャベツでは緑の葉が好まれ、赤い葉はほとんど手つかずか、かじり方が少なかった。にんじんの葉とたまねぎの葉は、とくに好まれた。

この実験は19世紀の英国のミミズでの観察であり、日本に住む全種に一般化はできない。それでも、「ミミズは葉なら何でも食べる」とは言えないことを、早い時期に示した点に意味がある。

しかし、選ばれているのは葉の味や色だけなのか。ここから、問いは「ミミズは葉のどの部分を食べものにしているのか」へ移る。

3. 食べものの 本当の 中みは、葉? 土? 小さな 生きもの?

3. 食べものの中身は、葉なのか、土なのか、微生物なのか

3. 栄養の主役は何か:落ち葉・土・微生物

ミミズは、落ち葉も 土も 食べます。さらに、土の 中の 微生物びせいぶつも、いっしょに 体に 入れます[3]。微生物びせいぶつは、目に 見えない ほど 小さな 生きものです。

ミミズ 自身は、消化しょうかの ための 道具を あまり 持って いない、といわれます。その ぶん、細菌さいきんなどの 力を かりて、葉や 土を こなして いる のかも しれません[4]。

では、いちばん 大事な 食べものは 葉なのでしょうか、微生物びせいぶつなのでしょうか。それは、ミミズの なかまや すむ 場所で ちがうので、ひとつには 決められません。

広い食べもの

ミミズが食べるのは、落ち葉だけではありません。落ち葉などの有機物のほか、土の中の小さな生きものも食べるとされます[2]。土や枯れ葉を食べるとき、土の中の微生物も一緒に取りこみます[3]。

微生物の力を借りる

ミミズ自身は消化酵素をあまり持たない、といわれます[4]。分解の進んだ落ち葉や、微生物の多い根のまわりの土を一緒に食べ、体内の微生物の酵素も消化を助ける場合がある、と説明されています。ただし、この説明は企業サイトの解説で、種によって事情はちがうようです。

腸の酵素も、すべてミミズ自身が作っているとは限らず、種によってちがうとされます[2]。結局、栄養の主役が落ち葉なのか微生物なのかは、種や条件によって変わり、一つには言い切れません。では、ミミズの種類による食べもののちがいは、実際の森でどう見えるのでしょうか。

ミミズが摂取する食物は幅広い。落ち葉などのデトリタスに加え、土中の微生物も食べるものに含まれると整理される[2]。土や枯れ葉を食べる際に、土壌中の微生物も同時に取りこまれる[3]。

消化についても、種ごとの差がある。腸には酵素があるが、すべてをミミズ自身が作るわけではなく、種によって事情が異なる[2]。企業の解説では、ミミズ自身は消化酵素をあまり持たず、落ち葉分解菌によって分解の進んだ落ち葉や、微生物の多い根圏の土を食べ、体内の微生物の酵素も消化を助ける場合があると説明される[4]。ただしこれは一次資料ではなく、「といわれる」の水準にとどめる。

以上より、栄養の主役が落ち葉そのものか、そこにすむ微生物かは、種や条件で変わる。一つに言い切れない以上、次に問うべきは、種ごとの食べ分けが森のなかでどう現れるかである。

4. 森の 中で、ミミズは 食べものを わけて いるの?

4. 日本の森では、すむ場所によって食べものがちがった

4. 落ち葉層と土の層:日本の森林での食べものの住み分け

日本の 森で、ミミズの 体の 中を しらべた 研究けんきゅうが あります[5]。

落ち葉の ところに すむ ミミズは、体の 中に 落ち葉などから できた ものが 多く、土の 中に すむ ミミズは、石や 砂すなのような ものが 多かった のです。

ミミズは、すむ 場所に よって、食べものの 割合わりあいが ちがう ようです。

ダーウィンは、ミミズが 土を たくさん のみこむ ことにも 気づきました。あなを ほる ためだけでは なく、土の 中の 体の 力に なる ものを 取り出す ためだ、と 考えたのです[1]。

つまり ミミズの 食べものは、「葉」か「土」かの どちらか ひとつでは ありません。すむ 場所に よって、わりあいが かわるのです。

腸の中身を比べる

日本の森林で、フトミミズの仲間の腸の中身を調べた研究があります[5]。落ち葉の層にすむ種では、腸の中に有機物が多く、土の層にすむ種では、無機物(鉱物)が多く入っていました。

研究者たちは、これを、新しい落ち葉から腐植になるまでの分解の段階が進むにつれて、利用する食べものの種類がちがうためだと解釈しました。

三つの型

ミミズの暮らし方は、よく3つの型に分けられます[6]。地表の落ち葉を食べるもの、巣穴に落ち葉を引きこんで食べるもの、土の中で土と分解の進んだ有機物を食べるもの、の三つです。ただし、境目はあいまいで、種ごとに差が大きいとされます。

ダーウィンも、ミミズは巣穴をほるためよりも、栄養になるものを取り出すために、多くの土をのみこむと書いていました[1]。

日本の森林に住むフトミミズ科の複数種で腸内容物を調べた研究(Uchida et al. 2004)がある[5]。落ち葉層にすむ種では腸内容物に有機物の割合が高く、土の層にすむ種では無機物(鉱物)の割合が高かった。著者らは、この住み分けを、新鮮な落ち葉から腐植に至る分解段階のうち、落ち葉が分解される段階によって、使われる食べものがちがうためだと解釈している。

世界的には、ミミズは生活型で3つに大別されることが多い。地表の落ち葉を食べる表層性、巣穴へ落ち葉を引きこんで食べる型、土中で土と半分分解した有機物を食べる地中性である[6]。ただしこの区分の境目はあいまいで、種ごとの差が大きい。

ダーウィンは、ミミズが巣穴をほるためより栄養を取り出すために、より多くの土をのみこむと考えた[1]。ヘンゼンの観察では、落ち葉だけをあたえた飼育個体は、1日に約0.5 gの土しか排出しなかったとされる。これは飼育下の1個体の値で、野外の量を表すものではない。

以上から、ミミズの食べものは「落ち葉」か「土」かの二択ではなく、住む層と分解段階に応じた連続的なものとして理解するのが妥当である。

5. 落ち葉の 下を のぞいて みよう

5. 落ち葉の下で、食べもののあとを探す

5. 確かめる道すじ:落ち葉の層を観察する

庭や 公園の 木の 下で、落ち葉を 一まい、そっと めくって みましょう。下に、くさりかけた 葉や、しめった 土が あれば、ミミズの 食べものが ある ばしょです。

ミミズを 見つけたら、葉と 土の どちらに いるか、観察かんさつして みます。さわったら、手を よく あらいましょう。めくった 葉は、もとに もどして おきます。

落ち葉の ところと 土の 中で、見つかる ミミズが ちがうかも しれません。

落ち葉をめくって、層を見る

庭や公園の木の下で、落ち葉を1枚ずつ、そっとめくってみましょう。表面の葉、少しくずれた葉、黒っぽい土の三つの層が、見分けられるかもしれません。

ミミズを見つけたら、どの層にいたかを記録してみます。同じ種類でも、見つかる層がちがうかもしれません。観察したあとは、葉と土をもとの場所にもどし、手を洗います。

ダーウィンのように葉をあたえて好ききらいを調べるのは、むずかしい実験です。まずは、層ごとにどんなミミズがいるかを、見る練習から始めるとよいでしょう。

確かめられるのは、層ごとにミミズが見つかる位置が異なるかどうかである。庭や公園の落ち葉を層ごとにめくり、表層の新しい葉、分解の進んだ葉、黒い腐植混じりの土のそれぞれで、ミミズがどこにいたかを記録するとよい。観察後は元の場所に戻し、手を洗う。

記録の読み方にも注意が要る。1か所の観察結果は、日本の森林でまとめた種ごとの傾向[5]と同じになるとは限らない。種の区別や、季節・湿り気による出現位置のずれもある。くらべるなら、同じ場所で日や時間を変えてもう一度見る方法がある。

さらに調べたいなら、ダーウィンの原典[1]の、葉の選択やミミズの消化の章を読むと、ここで短く紹介した記述の細部が分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の参照番号と対応しています。出典の確かさに差があるため、主な根拠は一次資料に置いています。

  1. Charles Darwin, The Formation of Vegetable Mould through the Action of Worms, 1881(Project Gutenberg 版) https://www.gutenberg.org/cache/epub/2355/pg2355.txt (歯・砂のう・分泌液・葉の選択・土をのみこむ理由)
  2. Earthworm(Wikipedia 英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Earthworm (食べものの範囲・砂のうの働き・酵素)
  3. 現代ビジネス(講談社)「地中の王ミミズの真の実力」 https://gendai.media/articles/-/88233 (土や枯れ葉と微生物をいっしょに取りこむこと)
  4. サントリー 天然水の森 ミミズ https://www.suntory.co.jp/eco/forest/living-things/earthworm/ (微生物の力を借りる消化の説明。企業サイトの解説)
  5. Uchida et al. 2004, Applied Soil Ecology 27:153-163(国立環境研究所の文献情報) https://www.nies.go.jp/chiiki1/protoz/refere/id6999/6177.htm (日本の森林のフトミミズ科の食べもののちがい)
  6. Frontiers in Environmental Science 2019 https://doi.org/10.3389/fenvs.2019.00081 (生活型の3区分)

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