1. 水そうの 水だけで、魚は どれくらい わかったの?
1. 水槽の水だけで、飼われている魚の9割以上を言い当てた
1. 水槽での腕試し ── 168種(93.3%)という成績
しらべたのは、美ら海水族館の 4つの 水そうです。サンゴの 海の 魚から、深い 海の 魚まで、いろいろな 魚が くらして います。
けんきゅうを した 人たちは、水を すこし くんで、紙のような フィルターで こしました。そこに のこった DNAを しらべると、かわれて いる 魚の うち 168種類が 見つかりました。9わり 3ぶ ほどです[1]。
DNAは、生きものの 体を つくる ための 作り方が 書いて ある 本のような ものです。魚の 種類が ちがえば、ならび方も 少し ちがいます。
ただし、たとえは たとえです。DNAは 本当に 紙の 本では ありません。
では、魚の 体から 出た DNAは、どうして 水の 中に あるのでしょう。
調べたのは、サンゴ礁から深海まで、いろいろな魚を飼っている美ら海水族館の4つの水槽です。研究者たちは水を数リットルくみ、ろ過して、そこに残ったDNAを分析しました。結果、飼育されている魚のうち168種、93.3%が水だけから見つかりました[1]。
見つかった魚は、近くの天然海水の分も合わせると計232種(70科152属)でした[1]。232種は水槽と海水を合わせた数で、水槽の魚で見つかったのは168種です。ここを取りちがえやすいので、はじめに区別しておきます。
DNAは、生きものの体をつくる情報が書かれた物質です。魚の種類が変われば、その並びも少しずつ変わります。この差をもとに、水の中に残るDNAのかけらが、どの魚のものかを決めていきます。
では、魚の体を離れたDNAは、どうして水の中にあるのでしょうか。
調査対象は、沖縄美ら海水族館の4つの水槽である。サンゴ礁の魚から深海の魚までが飼われており、研究グループは各水槽の水を数リットルくんでろ過し、残ったDNAを分析した。水槽で飼育されている魚のうち168種(93.3%)が水だけから検出され、JSTの発表は「9割を超える」と記している[1]。
注意したいのは数の読み方だ。近くの天然海水の分も含めた検出数は計232種(70科152属)で、これは水槽と海水の合計にあたる。水槽の魚の検出数である168種と混同すると、成績を高く見積もってしまう。JST発表が示す水槽の成績は、168種を検出し、93.3%にあたるというものだ[1]。
分析に使われたのは、魚の種類ごとに少しずつちがうDNAの並びだ。水中のDNAはごく短い断片になっているため、そのどこを読むかが、この方法の成否を左右する。では、そもそも魚の体を離れたDNAは、なぜ水中にあるのか。
2. 魚は、いつ DNAを 水に 出して いるの?
2. 魚は昼も夜も、DNAを水の中に出し続けている
2. 水中のDNAの出どころと、読み取りの工夫
魚は、水の 中で くらして いるあいだ、ずっと DNAの かけらを 水に 出して いると 考えられて います。
京都大学の 実験では、水そうの 中の DNAの 多さは、魚の 数の 多さを うつして いました。そして 魚は、昼も 夜も DNAを 出して いました[3]。
水に 出た DNAの かけらを、水ごと すくって しらべる。これが「環境DNA」です。環境省は、生きものを つかまえずに、水などの 中の 遺伝子の 情報から、そこに すむ 生きものを しらべる 手立てと して います[2]。
水族館の 実験で つかわれた やり方では、水を くんでから 数日で、答えが わかると されて います[1]。
では、水族館の 外の、広い 海では どうでしょう。
魚は水の中で暮らしているあいだ、DNAを水中に出し続けています。京都大学の水槽実験では、水に含まれるDNAの量は魚の量を反映し、魚は昼も夜もDNAを出していることが示されました[3]。
この水中のDNAを、環境DNAといいます。環境省生物多様性センターは、生物を直接捕獲せず、水などの環境中の遺伝子情報から生息の情報を得る方法として説明しています[2]。
この方法を大きく前に進めたのが、2015年の設計です。研究グループは、880種の魚のミトコンドリアDNAの情報をもとに、多くの魚に共通して使える短い配列「MiFish」を作りました[1]。魚の種類ごとに少しずつちがう部分をまとめて読めるので、1回の分析で多くの種を調べられます[2]。手順は、数リットルの水をくみ、ろ過して、DNAを分析するという簡単なもので、結果は数日の実験と解析で出ると説明されています[1]。
水槽ではうまくいきました。では、広い海でも同じ成績が出るのでしょうか。
水中のDNAの量は、魚の量と関係する。京都大学フィールド科学教育研究センターの紹介によると、水槽実験では、DNA濃度は魚の量を反映し、魚は昼も夜もDNAを出していた[3]。環境省生物多様性センターは、この環境DNAを、生物を直接捕獲せず、水などの環境中の遺伝子情報から生息情報を得る手法と位置づけ、既存の調査を補う新しい技術としている[2]。
手法として決定的だったのは、2015年に設計されたMiFish(ミーフィッシュ)である。880種の魚のミトコンドリアDNAの情報から、多くの魚に共通して使える短い配列を選んだもので、ひとつの分析で多くの種を同時に調べられる[1]。環境省の手引きは、この方法を淡水魚に使う形で整理し、両生類にはAmph16S法を用いるとしている[2]。
水が手がかりになるという着想そのものは、もう少し前にさかのぼる。2008年、Ficetolaらの研究者が、池の水のDNAから外来種のアメリカウシガエルがいるかどうかを検出できると報告した[9]。ただし水槽は、種の数も水の動きも限られた、管理された環境だ。野外ではどうなのか。
3. 広い 海でも、魚を 見つけられるの?
3. 半日の水くみが、14年分の潜水調査にほぼ並んだ
3. 舞鶴湾での検証 ── 半日の調査と14年分の目視記録
京都大学の 人たちは、京都の 海、まいづる湾で ためしました。
むかしからの やり方は、人が 海に もぐって、目で 魚を 数える ことです。14年 ぶんの そうした 記録が ありました。
そこで 半日だけ 水を くんで しらべると、14年かけて 記録された 魚の ほとんどが、水から 見つかりました[3]。「ぜんぶ」では なく、「ほとんど」です。
水を くむ ほうが、人が もぐる より、ずっと 短い 時間で すみます。それでも、もぐって 見る やり方が いらなく なる わけでは ありません。
見つかった 魚は わかっても、まだ わからない ことが あります。何びき いるのでしょう。
舞鶴湾(京都府)では、潜水して目で魚の種類を記録する調査が、過去14年間にわたって行われていました。
そこで研究グループは、半日の環境DNA調査を行いました。すると、14年間の目視調査で記録された魚種のほとんどを、水から検出できたと報告されています[3]。「全部」ではなく「ほとんど」です。
14年かかった記録に、半日の水くみがほぼ並んだ。この対比が、環境DNAが注目された理由のひとつです。水をくむだけなら、潜るよりずっと少ない手間で、調査の入口に立てます。
ただし、この比べ方には注意がいります。目視で見えた魚と、水から見つかった魚が、完全に重なるわけではないからです。この資料も、環境DNAを従来の調査に取って替わるものではなく、従来は確かめにくかった仮説を調べられるようにする道具と位置づけています[3]。
見つかった魚の種類は、水から分かります。では、何匹いるかまで分かるのでしょうか。
舞鶴湾(京都府)には、目視による潜水調査で記録された過去14年間の魚種のデータがある。研究グループが半日の環境DNA調査を行ったところ、その目視調査で記録された魚種のほとんどが検出された[3]。ここで言えるのは「ほとんど」であって、全種が一致したわけではない。
14年分の目視記録にある魚種のほとんどを、半日の水くみで検出できたことになる。水をくむだけなら、潜水よりずっと少ない手間で調査の入口に立てる。一方、資料は環境DNAを従来法に取って替わるものとは位置づけず、従来の手法では十分に検証できなかった仮説を調べるためのツールとしている[3]。
種が分かる、という成績は水槽でも湾でも得られた。次の問いは、種の「名簿」にとどまらず、数まで読めるのか、である。
4. 魚が 何びき いるかも、水から わかるの?
4. 魚の数は、水のDNAからどこまで読めるのか
4. 個体数の推定 ── マアジの実証と、数を出すむずかしさ
京都大学の 人たちは、まいづる湾の マアジで ためしました。水の 中の DNAの 多さと、水の 流れを 計算する やり方を くみ合わせて、魚の 数を 推定しようと したのです[4]。
2020年、「海でも 魚の 数を 推定できる かもしれない」と 発表しました。目で 数えたり、つかまえたり しなくても、水を くんで しらべる だけで 数を しる 手がかりが 手に 入る、という 話です。
ただし これは、ひとつの 湾の、ひとつの 魚での 実験です。どこでも できると 決まった わけでは ありません。
数を 出すのが むずかしいのは、DNAが 3つの 動きを するからだと いわれて います[5]。魚が DNAを どれくらい 出すか。水の 中で どう 動くか。どれくらい こわれて いくか、です。
2020年7月、京都大学の研究グループは、舞鶴湾のマアジを対象に、環境DNAの濃度と水の流れを表す流体力学モデルを組み合わせて、海で個体数を推定できることを初めて実証した、と発表しました[4]。目視や捕獲をせず、水の採取と分析だけで数を知れる可能性を示した結果です。
ただし「可能性を示した」段階の話です。実証されたのは1つの湾の1つの魚種で、あらゆる海や魚で同じようにできると決まったわけではありません。
数を出すのが難しいのは、水の中のDNAの量が、魚の数だけで決まらないからです。島根大学などの発表では、魚がDNAをどれだけ出すか、水の中でどう動くか、どれだけ分解されるかの3つを考える必要がある、と説明されています[5]。
水に出たDNAは、すぐに消えてしまうのでしょうか。それとも、いつまでも残るのでしょうか。
2020年7月、京都大学の山本哲史・益田玲爾・深谷肇一・近藤倫生らは、舞鶴湾のマアジで、環境DNAの濃度と流体力学モデルを組み合わせ、海で個体数を推定できることを初めて実証したと発表した(Molecular Ecology 2021年30巻13号)[4]。水試料の収集と分析だけで水生生物の個体数を把握できる可能性を示した成果である。
ここでも読み方に注意がいる。示されたのは1湾・1魚種での実証であり、「可能性を示した」段階にとどまる。精度の数値は、今回の資料からは取り出せていない。
数の推定が難しいのは、水中のDNA濃度が魚の数だけで決まらないからだ。島根大学・京都大学の発表の要約は、DNAの放出、水中での移動、DNAの分解の3要因を考慮した推定法を提案したと説明する[5]。つまり濃度から数を逆算するには、魚が出す量、水の動き、壊れる速さを同時に押さえる必要がある。このうち、分解の速さがどれほどなのかは次の章で扱う。
5. 水の 中の DNAは、いつまで、どこまで とどくの?
5. 水の中のDNAは、いつまで残り、どこまで運ばれるのか
5. 分解と拡散 ── 「いつ」「どこ」の読み取りを難しくする2つの条件
水の 中の DNAは、すこしずつ こわれて いきます。イギリスの 海で しらべた 実験では、海岸の 近くの 水の ほうが、おきの 水より 1.6ばい はやく こわれました[6]。
半分に なる 時間は、海岸の 近くで やく24時間、おきで やく37時間でした[6]。48時間ぐらいは 見つかる かもしれない、と 研究者は 見つもって います。ただし これは、2つの 魚と、ひとつの 海での 実験です。
水は、ながれても いきます。海では 池や みずうみより、DNAが 10〜100ばい ほど 広がりやすい、という 研究も あります[7]。
だから 水から 魚が 見つかっても、それは 「すこし 前に、あの あたりに いた」という しるしかも しれません。
水の中のDNAは、時間がたつと分解されます。英国西部のイギリス海峡で行われた実験では、環境DNAは沿岸のほうが沖合より1.6倍速く分解されました。半減期は沿岸で約24時間、沖合で約37時間です[6]。
この論文は「約48時間は検出できるかもしれない」と見積もっています。ただし、調べたのは2種の魚と1つの海域で、濃度などによっても変わります。固定の数字として覚えるものではありません[6]。
水は流れもします。京都大学による2025年の再解析では、海洋では湖沼より環境DNAが10〜100倍程度拡散されやすいことが示されました。湖では狭い範囲の様子を、海では広い範囲の様子を映すとみられ、水をくむ地点の間隔などの調査の計画にも関わります[7]。
つまり、水から魚が見つかっても、それは「いまその場所にいる」ではなく、「少し前に、近くにいた」かもしれないのです。環境DNAが示すのは、いつ・どこの手がかりであって、時刻と位置を決める道具ではありません。
水中のDNAは分解される。英国西部のイギリス海峡での実験では、環境DNAは沿岸のほうが沖合より1.6倍速く分解され、半減期は沿岸で約24時間、沖合で約37時間だった。論文は、沿岸では約48時間は検出されうると見積もるが、濃度などの条件で変わり、調べたのは2種・1海域に限られる[6]。48時間という数字は沿岸での見積もりであって、固定値ではない。
もうひとつの条件が拡散である。京都大学の2025年の再解析(相馬寿明ら、Ecological Indicators)では、海洋では湖沼より環境DNAが10〜100倍程度拡散されやすい。湖では局所的な分布、海では広い範囲の分布を反映するとみられ、採水地点の間隔の設計に関わる[7]。既存の文献の再解析であり、水中でのDNAの動きには分かっていない部分も多い。
この2つが重なるため、検出は「その時その場所にいた」の証明ではない。「ここ数日のうちに、近い場所にいたらしい」という手がかりだ。DNAが出てから壊れるまでの時間と、水が運ぶ距離の両方が、読み取りの解像度を決めている。
残る限界は、手がかりを「読む」側にもある。
6. 環境DNAで、わからない ことは なに?
6. 見つからない魚と、取りちがえやすい魚
6. 参照データと誤同定 ── 検出されない種と、確かめる手順
環境DNAは、あらかじめ ならび方が しられて いる 魚しか、見つけられません。2015年の ころ、とうろくされて いたのは 5000種類ほどで、世界の 魚は 3万種類より 多いと いわれます[1]。
だから 名前の 分かって いない 魚は、水の 中に いても、見つからない ことが あります。
また、見つかった 答えが まちがって いる ことも あります。そこで 環境省は、答えを 調べなおす ための チェックシートを 公開して います[2]。
だから 研究者は、環境DNAを、もぐって 見る やり方などと 組み合わせて つかって います。
環境DNAには、読み取りの前提があります。見つけられるのは、比べるための参照DNA配列が登録されている種に限られます。2015年当時の登録は約5000種で、世界の魚は3万種以上といわれます[1]。水の中にいても、登録のない魚は名前を決められません。
また、分析の結果には、別の種と取りちがえる誤同定の可能性があります。環境省の手引きに合わせて、結果の確からしさを調べるための「誤同定チェックシート」が公開されています[2]。
だから研究者たちは、環境DNAを、潜水や網による調査と置きかえるのではなく、並べて使うものと考えています[3]。水で見つけ、目で確かめる。2つの目が、1つの目より多くを見られるからです。
こうした使い方の手順をそろえる動きも進んでいます。次の章で見てみましょう。
種の検出は、参照配列が登録されている種に限られる。JSTの発表によれば、2015年当時の登録は約5000種で、世界の魚類は3万種以上いる(数字は検索要約による言い換えで、原文での再確認が望ましい)[1]。水中にDNAがあっても、登録のない種は同定できない。
もうひとつは誤同定である。環境省生物多様性センターの手引きは、魚類にMiFish法を使い、検出結果に誤同定の可能性があるとして、結果の精査を助ける誤同定チェックシートも公開している(手引きの本文は未確認で、ページの要約による)[2]。
こうした限界を背景に、舞鶴湾の資料は環境DNAを従来法の置きかえではなく、補う道具と位置づけている[3]。数えたい、確かめたい、仮説を試したい、という目的ごとに、水の検査と目視を使い分けることになる。
では、手順をそろえ、データを共有する動きは、どこまで進んでいるのか。
7. 町の 人も、環境DNAの 調査に 参加して いるの?
7. 全国の海を、ボランティアも参加して調べる取り組みが動いている
7. 標準化と市民参加 ── ANEMONEが集めたデータ
2018年に、環境DNAの 学会が できました。調べ方を そろえる ための 取り組みも 進められて います[7]。
さらに、日本中の 海岸で 水を くんで しらべる「ANEMONE(アネモネ)」という 取り組みが あります。2017年に はじまりました[8]。
2022年6月、魚の 環境DNAの データを だれでも 見られる ように しました。そのときまでに、4298回の 調査で 885種類の 魚の データが 集まっていて、200人ほどの ボランティアが 参加して いました[8]。
水を くむ 人が たくさん いるほど、広い 海の 様子が 見えて きます。
日本では、2018年に環境DNA学会が設立され、調査手順の標準化に向けた取り組みが進められています[7]。手順がそろえば、場所や年がちがうデータでも比べられるようになるからです。
全国の沿岸で調査を行うANEMONE(All Nippon eDNA Monitoring Network)は、2017年に始まりました。2022年6月には魚類の環境DNAデータベースを一般に公開し、公開時点で4298回の調査から885種のデータが集まっていました。約200人のボランティアも参加しています[8]。
研究者だけでは水をくめる場所に限りがあります。各地の人が水をくめば、1つの海岸の記録が、日本中の地図の1点になります。
ところで、ここまで読んで、あなたの町の川や海には、どんな魚がいるのか気になってきたでしょうか。
日本では2018年に一般社団法人環境DNA学会が設立され、技術の標準化に向けた取り組みが進められている[7]。手順の標準化は、場所や年のちがうデータを比べるための土台になる。
実際のデータ集めでは、市民が参加する枠組みが動いている。ANEMONE(All Nippon eDNA Monitoring Network)は2017年から全国の沿岸で環境DNA調査を行い、2022年6月2日に魚類の環境DNAデータベースを一般公開した。公開時点で4298回の調査から885種のデータが集まり、約200人のボランティアが参加していた[8]。科学技術振興機構のサイエンスポータルの報道による数字で、一次の発表とは別に確かめたものではない。
市民が採水に加わると、水をくむ地点と回数を増やしやすくなる。分析の誤同定や参照データの不足は、研究者側の課題として残る。
8. 水そうの 前で、どんな ことを 考えて みる?
8. 水族館の水槽の前で、「見えない魚」を考えてみる
8. 観察の手がかり ── 「いる」と「何匹」を分けて読む
水族館に 行ったら、大きな 水そうの 前に 立って みましょう。
見えている 魚を、種類ごとに 数えて みます。かくれて いて 見えない 魚は、いるでしょうか。
この 水そうの 水を くんで DNAを しらべたら、見えた 魚だけでなく、かくれた 魚も 見つかるかも しれません。そう 考えて みるのが、環境DNAの 見かたです。
水そうの ふだを 見て、どんな 名前の 魚が いるかを 読むのも、たのしい 調べ方です。
水族館に行ったら、大きな水槽の前で、2つのことを試してみてください。
1つ目は、見えている魚を、種類ごとに数えることです。物陰にいて見えない魚がいるか、探してみます。名札があれば、書かれた種類の数と見比べられます。
2つ目は、この水槽の水をくんでDNAを調べたら、何が見つかるかを想像することです。見えない魚も見つかるかもしれません。ただし、見つかった種の数と、実際の魚の数は別のことだ、と思い出してください。
環境DNAの一次の資料は、環境省生物多様性センターのページと、京都大学の研究成果の発表です[2][4]。「いる」ことと「何匹いる」ことの境目を、どの文章が、どこまで言っているか、読み比べると面白いはずです。
水族館の水槽を使って、自分で考えを試せる。見えている魚を種類ごとに数え、名札と比べる。次に、その水槽の水をくんで環境DNAを調べたら何が検出されるか、見えない魚も含めて予想する。
予想を立てたら、この記事の3つの条件を当てはめてみる。登録のない種は見つからない。DNAは分解され、水に運ばれる。濃度は魚の数だけで決まらない。どの条件が、予想のどの部分を弱めるかを考えると、資料の言い方の差が見えてくる。
資料としては、環境省生物多様性センターの環境DNA調査のページ[2]、京都大学の発表[4][7]、JSTの2015年の発表[1]が基礎になる。どれも日本語で読める。たとえば、JSTの発表と環境省のページを読み比べて、水槽の成績と実際の海の調査で、何が言えて何が言えないのかを書き出してみると、この記事の線引きを自分で確かめられる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:公的機関・大学・学術誌の資料を使いました。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いています。
- 科学技術振興機構(JST)共同発表「環境DNAで水族館の魚を検出」(2015年7月22日)。https://www.jst.go.jp/pr/announce/20150722-4/index.html (水槽の検出数、MiFishの設計、参照配列の数について)
- 環境省生物多様性センター「環境DNA調査」。https://www.biodic.go.jp/edna/edna_top.html (環境DNAの定義、魚類の分析法、誤同定チェックシートについて。ページの要約で確認)
- 京都大学フィールド科学教育研究センター「環境DNA研究の最前線」。https://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/?p=29364 (舞鶴湾の調査、水槽実験、従来法との関係について)
- 京都大学 研究成果「環境DNA分析による個体数の推定法を実証」(2020年7月)。https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2020-07-07-2 (舞鶴湾のマアジでの個体数の推定について)
- 島根大学 研究成果の発表(2020年7月3日)。https://www.shimane-u.ac.jp/_files/00213639/20200703release.pdf (個体数の推定で考える3つの要因について。検索結果の要約で確認)
- Collins et al. 2018, Persistence of environmental DNA in marine systems, Communications Biology。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6218555/ (環境DNAの分解の速さについて。英語の論文)
- 京都大学 研究成果「湖と海で環境DNAの拡散距離は異なる」(2025年4月)。https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-04-18-0 (湖と海での拡散のちがい、環境DNA学会の設立について)
- 科学技術振興機構 サイエンスポータル(2022年6月7日)。https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20220607_n01/ (ANEMONEの調査数・参加者数について)
- Ficetola et al. 2008, Species detection using environmental DNA from water samples, Biology Letters 4(4): 423-425。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2610135 (池の水からの検出の最初の報告について。英語の論文)
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