1. 洞窟の 毛皮を 見て、人びとは 何を 思った?
1. 新品のように見えた毛皮が、探検のきっかけになった
1. 1890年代の毛皮の発見と、「まだ生きている」という期待
1890ねんだいの なかごろの ことです。南アメリカの いちばん 南の ほうに ある 洞窟で、大きな 毛皮の かたまりが 見つかりました。ミロドンと いう 大きな 動物の ものです。
毛皮は、ついこの あいだまで 生きて いたかの ように 見えました。それで 「南アメリカの おくの ほうには、まだ この 仲間が 生きて いるのかも しれない」と 考える 人が ふえ、あとで 探検も おこなわれたと いわれて います。
では、ほんとうは どうだったのでしょう。じつは 毛皮が 新しく 見えたのには、洞窟の ようすが かかわって いました。つぎの 章で たしかめます。
1890年代の半ば、チリ南部のウルティマ・エスペランサにある洞窟で、ミロドンの毛皮の大きな一片が見つかりました。見つけたのはヘルマン・エバーハルトだとされます[4]。発見の年は資料によって1895年とも1896年ともされるため、ここでは「1890年代半ば」としておきます。
この毛皮は、まるで新しい動物のものであるかのように見えました。それが多くの人に「地上性ナマケモノは、南米の奥地でまだ生きているのではないか」と考えさせ、その後、実際に探検も行われたと伝えられています[5]。ただし、いつ誰が探検に出たのかまでは、ここでは述べません。
当時の人がそう考えたのは無理もありません。いまのナマケモノの毛皮と見くらべても、洞窟の毛皮は「古い化石」のイメージとは大きくちがっていたからです。では、見た目が新しいのに、なぜ1万年以上前のものと言えるのでしょうか。
1890年代半ば、チリ南部ウルティマ・エスペランサの洞窟(のちのミロドン洞窟)から、ミロドンの毛皮の大きな一片が見つかった。発見者はヘルマン・エバーハルトとされるが、発見年は1895年とする研究と1896年とする報道があり、資料によって一致しない[4]。ここでは「1890年代半ば」と幅を持たせて書く。
この毛皮は、乾いた皮に毛が残る状態で、古い化石とは思えないほど新しく見えた。そのため、地上性ナマケモノは南米の奥地でなお生き残っているのではないかと考える人が出て、のちに探検も行われたと伝えられる[5]。ただし、探検の個別の日付や参加者は、ここで使った資料には載っていないので、書かない。
見た目の新しさは、年代の新しさを意味しない。むしろ、保存状態が良すぎるからこそ、「まだ生きている」という期待が生まれたと考えるのが自然である。では、その保存状態は何によるのか。次章で、洞窟の環境と年代測定を見る。
2. 一万年より 前の 毛皮が、のこったのは なぜ?
2. 1万年以上前の毛皮を残したのは、洞窟の寒さなどの環境だった
2. 洞窟の寒さなどの環境と、放射性炭素年代が示す1万3000年前
この 洞窟は、寒い ところです。そういう ところでは、毛皮や 皮のような やわらかい ものが くさりにくく、長い あいだ のこる ことが あります。
さて、毛皮は どれくらい 古いのでしょう。研究した 人たちが しらべると、一万三千年より 前の ものと いう けっかが 出ました。洞窟で 見つかった 頭の 骨の かけらは、やく 一万千三百年前の ものでした。
おなじ 洞窟の ちかくでは、人が ほねを けずって 作った 道具も 見つかって います。年代が 頭の 骨の かけらと そろって いました。これは、ミロドンと 人が おなじ ころに 南アメリカに いたことを、まわりから 教える 手がかりです。ただし、人が ミロドンを かったと まで 言える わけでは ありません。
洞窟は寒く、糞の厚い層に埋もれていたことなどが、皮や毛のようなやわらかい組織の保存を助けたと考えられています[4]。ミロドンの毛皮の見た目が新しかったのは、そのためだとみられます。
では実際にはどれくらい古いのでしょうか。洞窟に積もったミロドンのふんの層は、放射性炭素年代でおよそ1万3500〜1万200年前と測られています。この年代は補正前の値で、実際のカレンダー上の年とは少しずれるため、「約1万年前から1万3千年前ごろ」と丸めて読むのが安全です[4]。
毛皮そのものを測り直した研究もあり、試料は1万3000年以上前のものでした。洞窟で出た頭骨の破片は約1万1300年前で、これは近くで見つかった、人が彫った骨の道具2点と同じ年代でした[6]。研究者はこれを、ミロドンと人が同じ時代にいたことの「間接的な証拠」としています。人が狩りをしたと決まったわけではありません。
新しく見える毛皮は、新しくなくても、環境しだいで長持ちする。そう分かると、次の疑問が出てきます。この大きな動物は、もともと何者で、誰がどう見つけたのでしょうか。
洞窟が寒かったことや、糞の層に埋もれて酸素が乏しかったことなどが、皮や毛のような軟組織の保存を助けた可能性が検討されている[4]。通常は化石に残らない組織が長く残った理由は、こうした洞窟の環境で説明される。
年代はどうか。洞窟に堆積したミロドンの糞は、放射性炭素年代で約1万3500〜1万200年前と測定された。この値は未補正の「放射性炭素年」で、実際の暦年とはずれがあるため、約1万〜1万3千年前ごろと丸めて読むのが妥当である[4]。
毛皮自体を再測定した研究では、試料は1万3000年以上前とされた。洞窟の頭骨の破片は約1万1300年前で、これは近くで出た、人の手による骨の道具2点と同じ年代だった[6]。研究者本人はこれを人との共存を示す「間接的な証拠」と表現しており、狩猟の証拠とまでは言っていない。同じ時代に同じ地域にいたことと、狩ったことの間には、まだ距離がある。
ミロドンは、洞窟の糞の堆積年代が示す約1万年前ごろまでに姿を消したと考えられている。しかしその前に、そもそもこの動物がどう「発見」されたのかを知っておく必要がある。
3. ダーウィンは、この 大きな 動物を 何だと 思った?
3. ダーウィンは、巨大な頭の化石を「サイの仲間」だと思った
3. ダーウィンの「サイ」から、メガテリウムとミロドンへ
この 動物を さいしょに 見つけた ひとの 一人は、ダーウィンです。ダーウィンは、ビーグル号と いう 船で せかいを まわって いた とき、南アメリカで 大きな 動物の 化石を あつめました。
1832ねん、アルゼンチンの 海ぞいで、やわらかい 岩に うまっていた 大きな 頭を 見つけました。ダーウィンは 「サイの 仲間かな」と 思ったそうです。あとで、オーウェンと いう 研究者が、これは 絶滅した 大きな ナマケモノの 骨だと 見ぬきました。
ミロドンは、その 仲間の ひとつで、体の 長さは やく 3メートル、体重は 1000〜2000キロと 考えられて います。ダーウィンの 化石を もとに、オーウェンが 新しい 動物として 名前を つけました。メガテリウムと いう もっと 大きな 仲間は、体重が 3.6トンほどで、ぞうに 近い 大きさでした。
1832年9月23日、ビーグル号で南米を旅していたダーウィンは、アルゼンチンのバイーアブランカ近くのプンタ・アルタで、やわらかい岩に埋まった大きな動物の頭を見つけました。日記には「何か大きな動物の頭が、やわらかい岩に埋まっている」と書き、サイの仲間ではないかと考えました[2]。
のちに、リチャード・オーウェンがこの骨を調べ、絶滅した巨大な地上性ナマケモノ・メガテリウムのものだと見抜きました。メガテリウムは、アジアの雄ゾウくらいの大きさで、体重は約3.6トン(8000ポンド)とされます[3]。
ミロドンは、ダーウィンが集めた別の化石をもとに、オーウェンが新種として記載し、発見者にちなんで「ダーウィニ」と名づけた動物です。体長は約3メートル、体重は1000〜2000kgと推定されます[1]。ミロドンの顎の化石の年は資料により1839年とも1840年ともされ、頭を見つけた1832年の話とは別の発見です。
洞窟の毛皮は、そのミロドンの体の「外側」を、実物で伝えてくれる貴重な標本でした。では、この巨大な動物たちは、いつごろ、なぜいなくなったのでしょうか。
ダーウィンは、ビーグル号の航海中の1832年9月23日、アルゼンチンのバイーアブランカ近くのプンタ・アルタで、やわらかい岩に埋まった大きな動物の頭を見つけた。彼はこれをサイの仲間かと考えたが、のちにリチャード・オーウェンが、絶滅した巨大な地上性ナマケモノ、メガテリウムの骨と見抜いた[2]。
注意したいのは、この日の発見はメガテリウムであり、ミロドンではないことだ。ミロドン(Mylodon darwinii)の方は、ダーウィンが集めた別の化石(顎など)に基づいて、オーウェンが新種として記載し、発見者にちなんで命名した。体長は約3m、体重は1000〜2000kgと推定される[1]。顎の化石の採取年は、1839年とする資料と1840年とする資料があり、揺れている。
比較のために、メガテリウムはアジアの雄ゾウほどの大きさで、体重は約8000ポンド、約3.6トンとされる[3]。ミロドンはその3分の1から半分ほどの重さの、それでも十分に大きな動物だった(体重はどちらも推定値)。日本語の報道には体重を「約3トン」とするものもあるが、上の博物館の値とは合わないので、ここでは使わない。
ここまでで、洞窟の毛皮の主が「どれほど大きな動物か」「いつ生きていたか」が見えてきた。次の問いは、なぜその大きな動物たちが姿を消したのか、である。
4. 大きな ナマケモノは、どうして いなく なったの?
4. 地上の巨大ナマケモノが消えた理由は、人か気候かで議論が続く
4. 絶滅の原因:人の影響か気候変動か、決着していない議論
ミロドンの なかまは、およそ 一万二千年から 一万年 前に、いなく なったと 考えられて います。ほかの 地上の 大きな ナマケモノも、一万五千年 前ごろから、数が へりはじめました。
げんいんは、まだ はっきり していません。大きな 体は、はじめの 人間に ねらわれやすかったと 話す 研究者が います。いっぽうで、気候が かわった ことも 大きかったと する 考えも あります。
カリブ海の 島に いた ナマケモノの 仲間は、大陸の 仲間より 六千年ほど あとまで 生きのび、やく 4500ねん前に いなくなりました。人が 島に 来た ころと 近いのですが、これだけで 人の せいだと 決める ことは できません。
ミロドンは、洞窟のふんの年代が示す約1万年前ごろまでに、姿を消したと考えられています。
地上性ナマケモノ全体では、約1万5000年前ごろから急に数が減り始めたことが、研究から分かっています。研究者は、大きな体は初期の人間に狙われやすかったと述べています。一方で、気候変動も要因とされ、人が原因か気候が原因かは、いまも議論が続いています[3]。
カリブ海の島々にいたナマケモノの仲間は、大陸の仲間より約6000年あとまで生き残り、約4500年前ごろに絶滅しました。この時期は、人が島に渡ってきた時期と近いのですが、時期が近いことだけで原因を決めることはできません[3]。
さて、巨大な地上性ナマケモノは消えましたが、いまも木にぶら下がるナマケモノは生きています。この小さな親戚と、あの巨大な動物は、どんな関係にあるのでしょうか。
ミロドンは、先に見た糞の堆積年代が示す約1万年前ごろまでに姿を消したと考えられている。しかし、絶滅の原因を一つに絞る材料は十分でない。
地上性ナマケモノ全体を見ると、約1万5000年前ごろから個体数の減少が目立つようになる。研究者は、大きな体は初期の人間にとって狙いやすい獲物だった可能性を述べる一方、気候変動も要因とされ、人か気候かの議論は続いている[3]。2025年にScience誌に載ったBoscainiらの研究も、この議論の中で語られている。
カリブ海の島々では、ナマケモノの仲間が大陸より約6000年遅くまで生き残り、約4500年前ごろ(補正前の放射性炭素年代で約4400年前)に絶滅した。人が島に到達した時期と近いが、時期の一致は因果の証明ではない[3]。
大陸では約1万年前、島では約4500年前と、消えた時期がちがうことは、原因を一つに決めにくい理由の一つに見える。これは資料が述べた結論ではなく、時期のちがいから見える一つの見方である。では、消えた巨大な仲間と、いま生きているナマケモノはどうつながっているのか。
5. 木に ぶらさがる ナマケモノの 親せきは、大きな ミロドン?
5. 木にぶら下がるフタユビナマケモノの近縁は、巨大なミロドンだった
5. 古代DNAとタンパク質が示した、ミロドンとフタユビナマケモノの近縁関係
いま 生きて いる ナマケモノは、木に ぶらさがって くらします。体は 小さくて、とても 軽い 動物です。
研究者が、ミロドンなどの 絶滅した ナマケモノの DNAを しらべました。DNAは、生きものの 体の せっけいずのような ものです。すると、前足の 指が 2本の フタユビナマケモノは、ミロドンの 仲間と グループに なる ことが わかりました。
指が 3本の ミユビナマケモノは、メガテリウムなどの 絶滅した 仲間と、同じ グループの 中に 入りました。ただし、ミロドンが いまの ナマケモノの せんぞという わけでは ありません。「近い 親せき」と いうことです。
体の 大きさは、どうして こんなに ちがうのでしょう。2025年の 研究では、ナマケモノの 大きさは、どんな 場所で くらすかで 大きく かわると ほうこくされました。研究で くらべた ナマケモノの うち、木の 上だけで くらす 仲間の へいきんは 6.4キロ。地面でも すごす 仲間の へいきんは 79キロでした。
2019年、国際研究チームは、ミロドンなどの絶滅したナマケモノの古代DNAを調べました。その結果、いま生きているフタユビナマケモノは、絶滅したミロドンの仲間とひとつのグループをつくることが分かりました。同じ日に出たタンパク質(コラーゲン)の研究も、これと一致しました[7]。
もう一つの現生種、ミユビナマケモノは、メガテリウムなどを含む別の絶滅グループの中に入ります[7]。ただし、ミロドンはいまのナマケモノの祖先ではなく、「近い親戚」にあたります。
では、なぜこんなに大きさがちがうのでしょうか。2025年にサイエンス誌に発表された研究は、400点以上の化石の測定と古代DNAから、ナマケモノの大きさは主に暮らす環境で決まり、気候や生息環境の変化と体の大きさの変化に関係が見られたと報告しました。木の上だけで暮らす種は平均約6.4kg(14ポンド)、地上でも過ごす種は平均約79kg(174ポンド)です[9]。これらのkg値は、資料のポンドをもとにした計算値です。
洞窟の毛皮の主は、大きな体で寒い南米の地上を歩いたナマケモノの代表のひとつ、と言えそうです。ところで、その体を作る食べ物は、植物だけだったのでしょうか。
2019年にCurrent Biologyに発表されたDelsucらの古代DNA研究は、現生のフタユビナマケモノがミロドンを含む絶滅グループと一つのまとまりをなし、ミユビナマケモノはメガテリウムなどを含む別の絶滅グループの内側に入ることを示した。同じ日に出たコラーゲンのタンパク質の研究も、これと矛盾しなかった[7]。
誤解しやすい点がある。ミロドンは現生種の祖先ではなく、あくまで「近い親戚」である。同じ祖先から分かれた、はなれた枝どうしの関係として読むのが正確だ。
では、大きさのちがいはどう決まったか。2025年のBoscainiらの研究(Science)は、400点以上の化石の測定値と古代DNAから、ナマケモノの大きさは主に生息環境の型に影響され、気候や生息環境の変化と体の大きさの変化に関係が見られたと報告した。樹上だけで暮らす種の平均は約14ポンド(約6.4kg)、地上でも過ごす種は約174ポンド(約79kg)。kgは本稿での換算で、約12倍の差になる[9]。
この研究によれば、最古級のナマケモノとされるプセウドグリプトドンは約3700万年前のアルゼンチンにいて、体はグレートデーン犬くらいの小型の地上性だったとみられる[3]。初期は小型だったナマケモノが、環境とともに大型にも小型にもなったことになる。ミロドンはその大型の側の一員であり、食べ物にも興味深い話がある。
6. ミロドンは、草だけを 食べて いたの?
6. 毛に残ったアミノ酸が語る、ミロドンの雑食の可能性
6. 毛のアミノ酸の窒素同位体から見えた、雑食の可能性と限界
ミロドンの ふんを しらべると、中には 草や 植物の かけらが たくさん ありました。ふんの 中の 植物の かけらの うち、草は 8〜9わりほどだったと いいます。だから、ミロドンは 草を 食べる 動物だと 考えられて きました。
ところが 2021ねんに、毛を しらべた 研究が 出ました。毛に のこった アミノさんの ぶんせきから、ミロドンは 植物だけでなく、動物の ものも 食べる 雑食だったかも しれない、という けっかが 出たのです。
ただし、この 研究では、動物の 肉を どうやって 手に 入れたかは 分かりません。死んだ 動物を 食べたのか、つかまえたのかは、まだ わからないのです。草を よく 食べて いたことも、うたがわれては いません。
ミロドンのふんには、植物の破片が多く含まれ、そのうち草が8〜9割を占めています。こうした分析から、ミロドンは長い間、草を中心に食べる動物とされてきました。
ところが2021年、研究チーム(科学誌Scientific Reports)は、ミロドンの標本の毛に残るアミノ酸の窒素同位体を分析しました。結果は、ミロドンが植物だけでなく動物由来のものも食べる雑食だった可能性を示すものでした[8]。
ただし、この研究は雑食の「可能性」を示したにとどまります。死肉をあさったのか、自分で狩ったのかは、この研究では分かりません。肉食だったとも言っていません。ふんの分析が示す「草が中心」という像と、毛の分析が示す「動物性のものも口にした」という像は、見る材料のちがいによって、同じ動物のちがう面を映しているのかもしれません。
一万年以上前の毛が、いまも新しい問いを生み出している。洞窟の毛皮の話は、まだ終わっていないのです。
ミロドンの食性は、洞窟の糞の分析から、草が植物片の8〜9割を占める草食と考えられてきた。しかし2021年、Tejadaらの研究(Scientific Reports)は、ミロドンの標本の毛に残るアミノ酸の窒素同位体を調べ、植物だけでなく動物性のものも食べる雑食だった可能性を示したと報じられた。ハワイ大学の紹介では、古代のナマケモノにおける雑食の初の直接的な証拠、とされる[8]。
窒素同位体は、食物連鎖の上位にいるほど体内で濃くなる性質があるため、毛の値から食べたものの「位置」を推定できる。ただし、この研究は雑食の可能性を示すにとどまり、死肉あさりか狩りかは区別できない。糞の分析と毛の分析は、調べている材料がちがうので、結果が食いちがって見えても、矛盾と決めつけることはできない。
洞窟の毛皮は、まず「生きているかもしれない」という期待を生み、次に年代測定で「1万年以上前」と分かり、いまは古代DNAや毛のアミノ酸で、体の外側ではなく「生き方」まで語り始めた。同じ毛皮が、年代測定のあとも、DNAや毛の分析で新しい手がかりを与えている。
7. ミロドンの 大きさを、へやで はかって みよう
7. ミロドンの3メートルを、家の中で体験する
7. 資料を読むとき、どこを見るか:ミロドンの原典案内
やってみよう。ひもと メジャーを 用意して、ミロドンの 体の 長さ、やく 3メートルを はかって みましょう。ろうかや 広い へやで、ひもを まっすぐ のばして、先に 目じるしを つけます。じぶんの 身長と くらべると、ミロドンが どれくらい 大きいか、よく わかります。
おうちで できる はかりかただけでも、大きさは くらべられます。おまけに、出かけられる 人は、博物館で ナマケモノや 大きな 動物の 化石や ひょうほんを さがして みましょう。大きさ、前足の ようす、体が どこに ついて いるかを 見くらべると、気づく ことが あるはずです。
家でできる体験を一つ。ひもとメジャー(または定規)を用意して、廊下や広い部屋でミロドンの体長、約3メートルを測ってみましょう。ひもを床にまっすぐ置き、端に目印をつけます。自分の身長や、家のソファの長さとくらべると、ミロドンの大きさが実感できます。ミロドンの体重は1000〜2000kgと推定され、家の体重計では測れません。ほかの大きな動物の重さと、本や図鑑でくらべてみるのも楽しいです。
おまけとして、出かけられる人は、博物館でナマケモノ類の標本や大型哺乳類の化石を探してみるのもよいでしょう。展示は館によってちがいます。
この記事の原典は、おもに英語の資料である。ロンドン自然史博物館(Natural History Museum)の「Darwin's ground sloths」のページは、ミロドンの大きさ、ダーウィンとオーウェンの関係を扱う。フロリダ自然史博物館(Florida Museum of Natural History)のニュースは、2025年のScience論文(Boscainiら)を一般向けに紹介している。2019年のDelsucらの研究(Current Biology)は、古代DNAによる系統の話の出発点である。
読むときのコツは、「年代の単位」と「推定値かどうか」を確かめることだ。この記事でも、放射性炭素年(未補正)と暦年、実測値と推定値、直接の証拠と間接の証拠を、できるだけ区別して書いた。自分で別の資料に当たると、発見年や体重の数字が資料によってちがう場合がある。資料が何を測ったのか、見比べてみよう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料の一覧です。年代や体重などの数字は、資料によって異なる場合があります。
- Natural History Museum, Darwin's ground sloths https://www.nhm.ac.uk/our-science/services/collections/digital/programme/darwins-ground-sloths.html (ミロドンの大きさ、命名)
- Friends of Darwin, Darwin's rhinoceros https://friendsofdarwin.com/articles/darwins-rhinoceros (ダーウィンの発見の場面)
- Florida Museum of Natural History, ground sloths https://www.floridamuseum.ufl.edu/science/scientists-have-figured-out-how-extinct-giant-ground-sloths-got-so-big-and-where-it-all-went-wrong/ (メガテリウムの大きさ、減少時期、カリブ海の島、最古のナマケモノ)
- Martin ら 2013, Quaternary International(要旨) https://ri.conicet.gov.ar/handle/11336/3082 (ミロドン洞窟の毛皮、糞の年代、洞窟の保存環境)
- Twilight Beasts, Mr Darwin's lost sloth https://twilightbeasts.org/2014/05/08/mr-darwins-lost-sloth/ (「まだ生きている」と考えられたこと)
- Sloth Conservation Foundation, The mummified skin of a giant sloth http://www.slothconservation.org/blog/the-mummified-skin-of-a-giant-sloth-proves-that-they-coexisted-with-the-first-humans-of-south-america (毛皮の再測定、人との同時代性)
- McMaster Ancient DNA Centre, Ancient DNA suggests drastically different evolutionary history for modern and extinct sloths https://adna.mcmaster.ca/news/ancient-dna-suggests-drastically-different-evolutionary-history-for-modern-and-extinct-sloths (古代DNAによる系統)
- CNN.co.jp, ミロドンの毛の分析 https://www.cnn.co.jp/fringe/35179162-2.html (毛のアミノ酸と雑食の可能性)
- ScienceDaily, sloth size evolution https://www.sciencedaily.com/releases/2025/05/250522162538.htm (ナマケモノの大きさと環境)
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