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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

落ち葉は、だれが 食べて 土に するの?

森の落ち葉は、だれの手を渡って土になるのか

森の落ち葉は何によって土になるのか ── 分解のリレーと、残る腐植

分野:自然

森では、毎年 たくさんの 葉が 落ちます。でも、森の 地面は 落ち葉で いっぱいに なりません[1]。

落ち葉を 食べて 土に する 係として、いちばん 名前が 出やすい 土の 中の 小さな 虫が、トビムシです。ところが、ある 研究では、トビムシの 多くは 落ち葉より ほかの ものを 食べて いると 考えられて います[3]。では、落ち葉は だれが どう 分けあって 土に して いるのでしょう。雨、虫、きん、ミミズの じゅんに、わかって いることが わかります。

森では毎年大量の葉が落ちますが、落ち葉で地面が埋まることはありません[1]。落ち葉を食べる土の中の虫として、まず名前が挙がりやすいのがトビムシです。ところが、京都のヒノキ林での2021年の研究では、トビムシの多くの種が、落ち葉よりも新しい炭素を主な餌にしているという結果が出ました[3]。

では、落ち葉はいったい、だれの手を渡って土になるのでしょうか。雨、虫、菌類、そして最後に残る黒い物質まで、現在分かっていることと、見直されつつあることが分かります。

森林では毎年大量の落葉が供給されるが、林床が落葉で埋まることはない[1]。落ち葉を食べる土壌動物の代表格にトビムシがいるが、京都の天然ヒノキ林で放射性炭素を測った2021年の研究では、多くの種が落葉より新しい炭素、つまり生きた植物に由来する炭素を主な餌にしていると示された[3]。

落葉分解の担い手は、どこまで分かっているのか。降雨による溶脱、土壌動物、菌類という順の分担と、最後に残る腐植の性質、そして見直しが進む部分が分かる。

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1. 毎年 落ちる 葉は、どこへ 行くの?

1. 毎年落ちる葉は、なぜ積もり続けないのか

1. 林の地面が落ち葉で埋まらない理由 ── 層ごとに進む腐り方

あきに なると、森の 地面には 葉が つもります。でも 森の 地面は、落ち葉で 山のように なっては いません。しまねけんの しぜんかんさつの しりょうは、古い 葉は 生きものに 分解ぶんかいされ、土の 中に まざって いくので、森は 落ち葉で うまらないと せつめいして います[1]。

地面の 落ち葉を そっと めくると、かさなりに なって いるのが わかります。いちばん 上は 落ちたばかりの かわいた 葉です。その 下は 黒くて しめった やわらかい 葉、さらに 下は ぼろぼろで 何の 葉か わからない もの、いちばん 下は 黒い つぶの 土です[1]。

この 落ち葉は、雨と ともに 土に とけこんで えいように なり、また 木の 根から すいあげられると いいます。つまり 葉は ごみに なるのでは なく、森の 中を ぐるぐる まわって いるのです。では、この くさらせる しごとを して いるのは、だれでしょう。

毎年たくさん落ちる葉が、森の地面を埋めてしまうことはありません。島根県の自然観察の資料は、落ち葉が古いものから腐って土にとけ込んでいくので、森は落ち葉で埋まることはないと説明しています[1]。

落ち葉の層を上から順にめくると、腐り方の違いが見えます。落ちたばかりの乾いた葉、黒く湿ってやわらかくなった葉、ボロボロで何の葉か分からなくなった葉、そして黒い粒の土です[1]。時間の流れが、そのまま上下に並んでいるわけです。

この資料では、分解された落ち葉は栄養分になり、雨とともに土にとけ込んで、再び植物の根から吸収されるとも書かれています。落ち葉は森の外へ消えるのではなく、森の中を巡っています。そして1gの土には、一億匹以上の微生物がいるといわれます[1]。目に見えないほどの数の生きものが、この仕事に関わっていそうです。では、順番に最初から見ていきます。

林床を掘ると、落葉は腐朽の段階ごとに層をなしている。島根県の自然観察資料は、上から、落下直後の乾いた葉、黒く湿って軟らかい葉、ボロボロで種類が分からない葉、黒い粒状の土の順になると描く[1]。層の上下は、そのまま時間の経過を表している。

そのため、古い葉から腐って土にとけ込み、毎年落葉が供給されても林床は埋まらない。同資料は、分解された落葉が栄養分となり、雨とともに土にとけ込んで再び植物の根から吸収されることも述べている[1]。窒素やリンのような養分が森の中で循環するということで、落葉の分解は、森が自分の養分を再利用するしくみでもある。

この分解を担うのは、1gの土に一億匹以上いるともいわれる微生物と、落葉を食べる虫、その虫を食べる肉食の虫(カニムシ・ムカデ・クモなど)、虫の糞を食べる虫や微生物を含む食物網である[1]。ただし「一億匹以上」は目安にすぎない。では、この食物網のなかで、落葉はどんな順序で姿を変えていくのか。

2. 落ちた とき、まず 何が 起こるの?

2. 落ちてすぐ、雨と微生物が同時に分解を始める

2. 落葉の分解は溶脱から始まり、数年かけて難分解性の成分へ進む

葉が 地面に 落ちて すぐ、まず はたらくのは 雨と、土の 中の 小さな 生きものです。雨水は 葉の 中の 水に とけやすい 小さな せいぶんを 少しずつ とかして 外に 出します[4]。

とけ出した ものは、さいきんや、あまい ものが すきな きんの ごはんに なると せつめいされて います。のこった かたい ところは、きんや さいきん、虫たちが 時間を かけて 分解ぶんかいして いきます[4]。

分解ぶんかいは、同じ 速さでは すすみません。京都大学の ろんぶんの まとめでは、さいしょの 急な とけ出しの あと、はじめの 数年は、とけやすい ものや やわらかい ものが 主に 分解ぶんかいされます。そのあとは、のこった じょうぶな ものが 少しずつ こわれて いく、と 書かれて います[5]。

葉の しゅるいでも ちがいます。しまねけんの アカマツ林で、8か月 ネットに 入れて 調べた じっけんでは、ヒメヤシャブシの 葉は 重さが やく56%へった 一方、アカマツの 皮は やく12%でした[10]。でも これは 1つの 場所での れいです。では、葉を 本当に 細かく するのは だれでしょう。

落ち葉の分解は、地面に落ちた直後から始まります。初期には、雨が水にとけやすい小さな成分を葉から流し出し(溶脱)、それを細菌や、糖を好む菌類が使います。雨のはたらきと微生物のはたらきは、ほぼ並んで進みます[4]。残った構造部分は、菌類・細菌・動物が時間をかけて分解していきます。

この進み方は一定ではありません。京都大学の学位論文の要旨は、最初の急な溶脱のあと、分解がほぼ2段階に進むと述べます[5]。数年続く最初の段階では、糖類・アミノ酸・セルロースのような分解されやすい成分が主に分解され、次の段階ではリグニンのような安定な成分が分解の中心になります。

材料によっても速さは大きく違います。島根県のアカマツ林で8か月間リターバッグ(ネットの袋に入れて地面に置く方法)を使った実験では、重さの減り方がヒメヤシャブシの葉で55.8%、アカマツの葉で35.8%、アカマツの皮で11.7%でした[10]。葉と皮では約4.8倍の差です。ただし1地点・8か月の値で、一般の分解率ではありません。

では、葉を実際にかじって細かくするのは、どんな生きものでしょうか。

分解の初期には、雨による溶脱と微生物の働きが並行して進む。落葉は地面に落ちると降雨で水溶性の低分子成分が溶け出し(溶脱)、これを細菌や糖を好む菌類が利用する[4]。残る構造成分は、菌類・細菌・動物が分解する。

溶脱の後は、時間のかかる段階に入る。京都大学の学位論文の要旨によれば、リターの分解は急激な溶脱の後、ほぼ2段階で進む[5]。数年続く前半では糖類・アミノ酸・セルロースなどの分解されやすい化合物が主に分解され、後半ではリグニンなどの安定な成分が分解される。だから、葉が「ほぼ消えた」ように見えても、後半で分解される成分は残りうる。

速さは材料で大きく異なる。島根県のアカマツ林の8か月のリターバッグ実験では、重量減少はヒメヤシャブシの葉55.8%、アカマツの葉35.8%、幹16.5%、枝14.2%、皮11.7%の順だった[10]。葉と皮の差は約4.8倍に当たる。ただし1地点・8か月の結果で、一般の分解率には使えない。完全に分解されるまでの年数も、樹種や気温、湿り気で変わるとみられる。

では、分解の速さを材料ごとに左右するのは何か。その答えの一部は、葉をかじって砕く土壌動物にある。

3. 虫たちは、落ち葉を どう 小さく するの?

3. 虫は落ち葉を食べて、細かい糞にする

3. 土壌動物による粉砕 ── 食べて糞にすることで微生物の足場をつくる

土の 中には、落ち葉を 食べる 動物が たくさん います。からだの 大きさで 分けると、2ミリより 大きい ミミズや アリ、0.2〜2ミリの ダニや トビムシ、もっと 小さい 生きものたちです[2]。

しごとは 落ち葉の 古さで ちがうと せつめいされて います。落ちて まもない 葉は ヤスデ、ダンゴムシ、ワラジムシが、くさりかけの 葉や えだは ササラダニ、トビムシ、ミミズが 食べて 細かく して、ふんとして 出します[2]。

ある 研究では、1年に 1平方メートルあたり、ダンゴムシが やく15グラム、キシャヤスデが やく60グラムの 落ち葉を 食べたと しょうかいされて います[2]。キシャヤスデの 方が 4ばいです。ただし これは 1つの 研究の 数字です。

虫の おなかを 通って 細かく なった ふんは、きんが ふえやすい 場所に なります。虫が 小さく して、きんが 分解ぶんかいする。2つが きょうりょくして 分解ぶんかいが すすむ、と せつめいされて います[2]。

では、この 小さな 虫の 代表、トビムシは、落ち葉の 主役 なのでしょうか。

土の中の動物は、体の大きさで大型(2mm超:ミミズ・アリなど)、中型(0.2〜2mm:ダニ・トビムシ・線虫など)、小型(それより小さい原生動物)に分けられます[2]。落ち葉の分解に関わる動物の多くは、この中型までの小さな生きものです。

事典の説明では、落ちてまもない新鮮な落ち葉はヤスデ・ダンゴムシ・ワラジムシが、腐りかけの落ち葉や枝はササラダニ・トビムシ・ミミズが食べて砕き、糞として出します[2]。落ち葉の古さによって、担当する動物が入れ替わるのです。

例として、1年に1m²あたりダンゴムシが約15g、キシャヤスデが約60gの落ち葉を食べたという研究が紹介されています[2]。キシャヤスデのほうが4倍です。これは特定の研究1例の値で、一般的な数字ではありません。

この「食べて糞にする」ことが、粉砕という働きです。動物の消化管を通って細かくなった有機物は微生物が増えやすく、動物と微生物が協力して分解を進めるとされています[2]。虫は、微生物が働く足場を整えているともいえます。

こうなると、落ち葉の主役は「トビムシ」と言いたくなります。ところが、近年の研究は、そう単純ではないことを示しました。

土壌動物は体長で、大型(2mm超:ミミズ・アリ・シロアリなど)、中型(0.2〜2mm:ダニ・トビムシ・線虫など)、小型(0.2mm未満:原生動物)に分けられる[2]。落葉の分解に関わるのは主に中型以下である。

分担は落葉の腐朽段階で異なる。新鮮な落葉はヤスデ・ダンゴムシ・ワラジムシが、腐りかけの落葉や枝はササラダニ・トビムシ・ミミズが摂食し、砕いて糞として排出する[2]。この粉砕は、落葉の表面積を増やし、消化管を通った有機物を微生物が使いやすい形にする。そのため、動物と微生物が協力して分解を進めることになる。

摂食量の一例として、1年に1m²あたりダンゴムシが15g、キシャヤスデが60gの落葉を食べたという研究が紹介されている[2]。キシャヤスデは4倍である。ただし特定の研究の1例で、一般値としては扱えない。

このように、落葉→土壌動物→糞→微生物という道筋は教科書的に整理されている。しかし、「中型動物の代表であるトビムシは落葉を食べて分解している」という素朴な理解は、近年見直しの対象になった。

4. トビムシは、本当に 落ち葉が すきなの?

4. トビムシは落ち葉の主役とは限らない

4. 放射性炭素で見直されたトビムシの食性 ── 「落葉食」の前提を疑う

トビムシは、1ミリ ぐらいの 小さな 虫で、土の 中の 落ち葉の 下に たくさん います。そのため 落ち葉の 分解ぶんかいを する 虫と 思われて きました。

2021年、もりそうごうけんきゅうじょなどの 研究が 発表されました[3]。京都の ヒノキ林で、ものに ふくまれる 炭素たんそ(生きものの からだを つくる もとの ひとつ)の 年れいを 調べて、トビムシが 何を 食べて いるかを 調べたのです。

すると、多くの しゅるいの トビムシは、落ち葉より 新しい 炭素たんそを 食べて いると わかりました[3]。新しい 炭素たんそとは、生きている 植物から きた 炭素たんその ことです。トビムシは 木の 根の まわりに いる きん、ふつう きんこんきんと よばれる きんを 食べて、根の 炭素たんそを もらって いると 考えられて います[3]。

ただし 研究者は、トビムシが 落ち葉を 食べない とは 言って いません。落ち葉や きんも 食べて、分解ぶんかいに かかわって います。ただ、「トビムシが 主役」と 決めつけるのは、むずかしいのです。

トビムシは体長1mmほどの小さな虫で、落ち葉の下に大量にいます。そのため、落ち葉を食べて分解する代表と考えられてきました。

2021年に、森林総合研究所や総合地球環境学研究所などの研究が、京都の天然ヒノキ林でその前提を調べました[3]。放射性炭素(14C)を測ると、炭素が植物の体の中に取り込まれてからどれくらい時間がたったかが分かります。調べた結果、多くのトビムシの種は、枯れた有機物(落ち葉など)より新しい炭素、つまり生きた植物に由来する炭素を主な餌にしていました。

窒素の同位体の結果から、研究者は、トビムシは根を直接かじるのではなく、根の周りの菌根菌を食べて、根由来の炭素を得ていると考えています[3]。

注意が必要なのは、研究者自身が、トビムシが落ち葉と微生物を食べて分解に関わることは認めている点です[3]。「トビムシは落ち葉を食べない」ではなく、「分解の主役とは限らない」という結果です。土の中の食物網は、枯れた有機物だけを土台にしているとは限らないのです。

では、虫でもないのに、落ち葉のかたい部分まで分解できる生きものは、だれなのでしょうか。

トビムシは落葉分解者として知られてきたが、2021年の森林総合研究所・総合地球環境学研究所などの研究(Fujii et al., Biol. Lett.)が、この前提を検証した[3]。京都の天然ヒノキ林で放射性炭素(14C)を測定すると、多くの種が枯死有機物(落葉など)より新しい炭素、つまり生きた植物に由来する炭素を主な餌としていることが分かった。

では、生きた植物の炭素をどう得ているのか。窒素同位体の結果から、研究者は、多くの土壌性トビムシが根を直接食べるのではなく、菌根菌を食べて根由来の炭素を得ていると解釈している[3]。これは研究者の解釈であり、確定した事実ではない。

この結果は「トビムシは落葉を食べない」を意味しない。研究者自身が、トビムシは落葉と微生物を食べて分解にも関わると述べている[3]。むしろ重要なのは、土壌の食物網が、枯死有機物だけに由来する「褐色の食物網」とは限らないという点である。生きた植物の根から菌類を経由する経路が、動物を支えている。

そのため、落葉の分解は「落葉→動物→微生物」の一本道では説明しきれない。動物の寄与は、種や環境ごとに見直す必要がある。残る問いは、落葉の最も硬い部分を、結局だれが分解しているのかだ。

5. かたい ところは、だれが とかすの?

5. 木のかたい成分は、菌類が分解する

5. 木材を分解する白色腐朽菌と褐色腐朽菌 ── リグニンを分解できる菌類

落ち葉や 木には、リグニンと いう かたい ものが 入って います。リグニンは、地球で とても 分解ぶんかいされにくい ものの 一つと されて いて、分解ぶんかいできる 生きものは 多くありません[11]。

その かたい ところを 分解ぶんかいできる 係の ひとつが、キノコの なかまの きんです。分解ぶんかいの 研究で、いちばん 大事な 分解ぶんかい者と 考えられて いるのは、たんしきんと いう なかまです[4]。

木を くさらせる きんには 2しゅるいが あります。リグニンを 分解ぶんかいするのが はくしょくくされきんです。はくしょくくされきんが はたらくと、白い せんいのような セルロース(草や 木の からだを つくる すじ)が のこります。もう 1つの かっしょくくされきんは、セルロースの ほうを 分解ぶんかいします[6]。

虫は 食べて 小さく するのが とくいで、きんは かたい ところを とかすのが とくいです。それぞれ とくいな ことが ちがうのです。では、みんなが 分解ぶんかいした あと、さいごに のこるのは 何でしょう。

落ち葉や木の細胞壁には、リグニンというかたい物質が含まれます。地球上で最も分解されにくい物質の一つとされ、分解できる微生物は限られています[11]。

落ち葉の分解の総説では、細菌や動物も構造成分の分解に関わるものの、セルロースやリグニンの主な分解者と考えられているのは担子菌類(キノコの仲間)です[4]。

木材を腐らせる菌には、タイプが2つあります。リグニンを分解するのが白色腐朽菌、セルロースやヘミセルロースを分解するのが褐色腐朽菌です[6]。一部の白色腐朽では、リグニンが先に分解されて、白い繊維状のセルロースが比較的残ります。

こうして整理すると、落ち葉の分解は役割分担です。雨が成分をとかし、虫が砕き、菌がかたい部分をとかします。ただしトビムシの例のように、「どの生きものがどこまで担当するか」は、いまも研究で見直されています。分解の旅の終わりには何が残るのでしょうか。

落葉や木質の細胞壁にあるリグニンは、地球上で最も分解されにくい物質の一つとされ、分解できる微生物は限られる[11]。そのため落葉分解の後半は、リグニンを誰が分解するかが律速になる。

落葉分解の総説は、細菌や動物も構造成分の分解に関わりうる一方、セルロースと特にリグニンの主要な分解者は担子菌類だと一般に考えられていると述べる[4]。木材腐朽菌のうち、リグニンを分解するのが白色腐朽菌、セルロースやヘミセルロースを分解するのが褐色腐朽菌である[6]。一部の白色腐朽では、リグニンが先に分解され、白い繊維状のセルロースが比較的残る。

前章までを合わせると、落葉分解は「溶脱(雨)→粉砕(動物)→構造成分の分解(菌類)」と整理できる。ただし、これは一般的な見取り図にすぎない。トビムシの結果が示すように、動物と菌類の分担は種・環境ごとに見直されている。

また、すべての有機物が完全に無機物まで分解されるわけではない。分解を免れた残りが、土に独特の性質を与える。

6. さいごに のこる 黒い ものは 何?

6. 最後に残る黒い物質「腐植」と、ミミズの糞

6. 腐植の性質と団粒形成 ── 分解されにくいことが土の役に立つ

雨、虫、きんが 分解ぶんかいしても、これいじょう 分解ぶんかいされにくい のこりが 出てきます。これが ふしょくです[7]。ふしょくは 土の 中で、黒っぽい 茶色の ものです。土が 黒っぽいのは、この ふしょくが ふくまれて いるからと せつめいされます[7]。

ふしょくは、1つの 物ではなく、いろいろな ものの なかまです。くわしい つくりは、まだ わからない ところが 多いと されます[7]。

分解ぶんかいされにくいので、土の 中で 長く のこります。長い 時間を かけて、少しずつ 分解ぶんかいされ、植物に すわれます。また ようぶんを くっつけて ためて おくはたらきも あると せつめいされます[8]。

ミミズも てつだいます。ミミズは、きんが あるていど 分解ぶんかいした 落ち葉と 土を いっしょに 食べて、ふんを 出します。その ふんの 中の ふしょくが 土の つぶを むすびつけ、だんごのような 小さな つぶに します。すき間が 多く、水はけの よい 土に なるそうです[9]。

落ち葉は、土の 中で すがたを かえながら、森を 育てる 土の 一部に なって いくのです。

雨・虫・菌が働いたあとに残る、これ以上分解されにくい部分を、腐植といいます[7]。土の中で動植物が不完全に分解されてできる黒褐色の有機質で、土が黒っぽいのは腐植を含んでいるためです。

腐植は、分解の途中で生じたポリフェノール類などが、酵素や粘土鉱物の働きでつながり合って、暗い色の大きな分子になったものと説明されます[7]。ただし、腐植は1つの物質ではなく物質群で、構造には分からない点が多く残っています。

腐植は土の中で比較的安定で、長い時間をかけてゆっくり分解され、植物に吸収されます。さらに、養分になるプラスの電気を帯びた成分をくっつけて保つ働きがあると説明されています[8]。腐植になるまでの年数は、樹種や気温、湿り気で変わります。

ミミズも関わります。サントリーの解説によると、ミミズは消化酵素をほとんど持たず、菌がある程度分解した落ち葉を土ごと食べます。糞の中で腐植が土の粒を結びつけ、小さな団子状の粒(団粒)ができて、すき間の多い水はけのよい土になります[9]。落ち葉は消えるのではなく、土の質を支える部分にもなるのです。

分解の最終段階で残る、これ以上分解されにくい有機物が腐植である[7]。土壌中で動植物が不完全に分解してできる黒褐色の有機質で、土が黒っぽいのは腐植を含むためと説明される。形成過程では、分解途中で生じたポリフェノール類などが酵素や粘土鉱物の作用で重縮合し、暗色のコロイド状高分子になるとされる。ただし腐植は単一物質ではなく物質群で、構造には不明な点が多い。

腐植が土にとって重要なのは、安定だからである。土壌中で比較的安定で、長い時間をかけてゆっくり分解・無機化され、そこからできた養分が植物に吸収されるうえ、陽イオン(養分)を保持する働きがある[8]。つまり、分解されにくい性質が、養分の貯蔵庫として働く条件になっている。腐植になるまでの年数は、樹種や気温、湿り気で変わる。

土の構造にも関わる。サントリーの解説では、ミミズは消化酵素をほとんど持たず、落葉分解菌である程度分解された落葉を土とともに食べ、糞の中でも発酵が進む。分解されにくい腐植成分が粘土や砂の粒を結びつけ、団粒(小さな団子状の粒)ができて、すき間の多い水はけのよい土になると説明される[9]。ミミズの糞が団粒構造をもつことは、大学の資料でも同様に述べられている。

こうして、雨・動物・菌類・ミミズが順番に手を入れた落葉の一部が、腐植として土に残る。残りは無機物となって、再び根から吸われる。

7. 近くの 林で、落ち葉を めくって みよう

7. 林の落ち葉を1枚ずつめくって、順番を見分ける

7. 落葉層を観察し、「分解の順番」を自分の目で確かめる

やってみよう。入って よい 公園や 林へ、大人と いっしょに 行きます。落ち葉の ある 場所で、手ぶくろを して、そっと 落ち葉を めくります。

見る ところは 3つです。いちばん 上の かわいた 葉。その 下の 黒くて しめった 葉。いちばん 下の 黒い つぶの 土です。ノートに 色と さわった かんじを 書き、どの 葉から ぼろぼろに なって いるか くらべます。

見おわったら、落ち葉を もとの 場所に もどして ください。ハチや ヘビ、とげの ある 草が いない かも 先に 見ます。虫が いても、つかまえずに、虫めがねで 見るだけに します。

もっと 知りたい 人は、しまねけんの しぜんかんさつの ページを 読むと、土の 中の 生きものが 図で 見られます。

やってみよう:入ってよい公園や林で落ち葉の下を観察します。大人と一緒に行き、手袋をして、落ち葉の層を少しだけめくります。

見る順番は、乾いた新しい葉、黒く湿ってやわらかい葉、ボロボロの葉、黒い粒の土です。ノートに色・手ざわり・何の葉か分かるかを書いて、並べて比べます。層の厚さは場所で違うので、2か所で比べると、林の様子も見えてきます。

観察のあとは、落ち葉を元の場所へ戻します。ハチ・ヘビ・とげのある草がないか先に見て、虫は捕まえず、虫めがねで見るだけにします。

調べを広げたいなら、島根県の自然観察のページ(出典[1])と、総合地球環境学研究所の研究紹介(出典[3])が入口になります。トビムシが何を食べているのか、原典を読むと、新しい疑問が見つかるかもしれません。

観察の手順と、見分けるときの注意を挙げる。

①入ってよい公園や林で、大人と同行し、手袋をして落葉層を少しめくる。上から、乾いた新しい葉、黒く湿った軟らかい葉、ボロボロの葉、黒い粒の土の順に観察し、色・手触り・葉の種類の判別のしやすさをノートに記録する。2か所以上で比べると、層の厚さの違いが分かる。観察後は元に戻す。ハチ・ヘビ・有毒植物に注意し、虫は捕まえず、ルーペで観察するにとどめる。

②この観察で確かめられるのは「分解の順番」までで、「誰が分解したか」は目では分からない。糞のような小さな粒が見えるか、白っぽい糸(菌糸のように見えるもの)があるかを記録すると、本文の動物・菌類の話と結びつけて考えられる。ただし見た目だけで種類は断定できない。

資料としては、島根県の自然観察のページ(出典[1])が入口になる。トビムシの食性の見直しは、総合地球環境学研究所の紹介(出典[3])と、Fujiiらの2021年の論文(Biology Letters 17)の原典を読むと詳しい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:行政の自然観察資料、事典項目、研究機関の紹介ページ、論文の要旨などを使った。一部は、検索で確かめた要旨や抜粋の範囲の内容である。何に使ったかは各項目の最後に書いている。

  1. 島根県「自然観察 土の中の生きもの」。https://www.pref.shimane.lg.jp/infra/nature/shizen/shimane/sizennkansatu/dojyo.html (落ち葉が埋まらない理由、落ち葉の層、土の中の食物網)
  2. コトバンク「土壌動物」(最新 地学事典・日本大百科全書・世界大百科事典)。https://kotobank.jp/word/%E5%9C%9F%E5%A3%8C%E5%8B%95%E7%89%A9 (土壌動物の大きさ・分担・粉砕の働き)
  3. 総合地球環境学研究所 研究紹介(Fujii et al. 2021, Biology Letters 17)。https://www.chikyu.ac.jp/rihn_e/events/2021/1207.html (トビムシの餌は落ち葉より新しい炭素、菌根菌を食べる解釈。英語ページ)
  4. 落葉分解の総説、Eur. J. Environ. Sci. 16(検索結果の抜粋)。https://karolinum.cz/data/clanek/17341/EJES_16_1_0005.pdf (溶脱と、担子菌類が主な分解者という考え方)
  5. 京都大学学位論文(リター分解、検索結果の要旨)。https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/191888 (分解が2段階で進むこと。要旨の範囲)
  6. コトバンク「木材腐朽菌」。https://kotobank.jp/word/%E6%9C%A8%E6%9D%90%E8%85%90%E6%9C%BD%E8%8F%8C (白色腐朽菌と褐色腐朽菌の違い)
  7. コトバンク「腐植」(デジタル大辞泉・世界大百科事典・日本大百科全書)。https://kotobank.jp/word/%E8%85%90%E6%A4%8D-3045 (腐植の定義と、できかた)
  8. ヤンマー 営農PLUS「土づくり」(検索結果の抜粋)。https://www.yanmar.com/jp/agri/agri_plus/soil/articles/06.html (腐植の安定性と養分を保つ働き。企業の解説)
  9. サントリー 天然水の森「ミミズ」(検索結果の抜粋)。https://www.suntory.co.jp/eco/forest/living-things/earthworm/ (ミミズの糞と団粒。企業の解説)
  10. 島根大学リポジトリ(リターバッグ研究、検索結果の抜粋)。https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/1618/files/2645 (材料による分解の速さの違い。8か月・1地点の値)
  11. 上村直史「リグニンを食べる微生物」(検索結果の抜粋)。資料のPDF (リグニンの分解されにくさ)

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