1. よる、はりねずみは なにを たべて いるの?
1. 夜に動くハリネズミの食事は、糞を調べて分かる
1. 夜行性の動物の食事を、糞で調べる
はりねずみは、よるに うごく どうぶつです[1]。ごはんを たべて いる ところを、じっくり みるのは むずかしそうです。
そこで けんきゅうする 人たちは、ふんを しらべます。ふんの なかに みえる たべかすや、DNAを しらべる ほうほうが あるからです。
イギリスの イングランドで、137ひきの ふんを しらべた ぶんせきが あります。かたい はねの 昆虫は 74%、ちょうや がの 幼虫は 49%、ミミズは 34%の ふんに はいって いました[2]。ナメクジを さいきん たべて いたのは 23%でした。
では、ナメクジは 餌として、どれくらい だいじなのでしょうか。
ハリネズミは夜行性なので、餌を食べている場面を見るのは簡単ではありません[1]。そこで研究者は糞を調べます。糞には、目で見える食べかすや、DNAを調べる方法があるからです。
英国の保護団体Butterfly Conservationが紹介する、イングランドの野生ハリネズミ137頭の糞の分析では、74%に甲虫、49%にチョウやガの幼虫、34%にミミズが入っていました。最近ナメクジを食べていたのは23%でした[2]。
全体の量では、無脊椎動物が80〜90%を占め、中心は甲虫、ハサミムシ、ミミズだという解説もあります[5]。辞典には果実や根も食べると書かれていますが[1]、この解説は、植物はたまたま口に入ったものが多いらしいとしています[5]。
こう見ると、ナメクジは「ふつうの餌」のひとつにすぎないように見えます。ところが、別の調べ方をすると話が変わります。
ハリネズミは夜行性で、採餌の場面を直接観察しにくい[1]。そのため、糞に見える餌の断片やDNAを調べる方法がよく使われる。
英国の保護団体Butterfly Conservationが紹介する、イングランドの野生個体137頭の糞の分析では、74%に甲虫、49%にチョウ・ガの幼虫、34%にミミズが含まれ、最近ナメクジを食べていたのは23%だった[2]。元の論文名と年は、この団体のページからは分からないので、ここでは団体名で出典を示す。
量の面では、無脊椎動物が80〜90%を占め、甲虫・ハサミムシ・ミミズが中心になるという解説もある[5]。一方で、辞典は果実や根も食べると書き[1]、この解説は、植物は偶然口に入ったものが多いらしいとする。資料によって植物の扱いが食いちがうので、本稿は植物を主な餌としては書かない。
この分析では、ナメクジは目立たない。ところが調べ方を変えると、ナメクジの位置づけは大きく変わる。
2. ナメクジは ほとんどの はりねずみが たべるのに、ちからは すこし?
2. 多くの個体が食べる餌と、エネルギーを多く得られる餌は別
2. 出現頻度とエネルギー寄与 ── ナメクジをめぐる2つの数字
2026ねんの ろんぶんは、ヨーロッパの 209ひきから ふんを あつめ、DNAを しらべられた 193ぴきの うち 177ひき(92%)の ごはんに、ナメクジと カタツムリの なかまが でて きたと ほうこくして います[3]。
ところが、さきの イングランドの ぶんせきでは、ナメクジと カタツムリが ちからの もとに なる わりあいは、5%より すくないと いわれます[2]。そのかわり、ちょうや がの 幼虫と、かたい こんちゅうが、それぞれ 3ぶんの 1より おおい ことが あると されます。
たとえば、まいにち だれでも 1円玉を 1まい もらえる としましょう。みんなが もらうのに、ぜんぶの おかねの なかでは ほんの すこしです。「みんなが たべる」と「ちからに なる」も、こんな ふうに ちがいます。
ただし、2つの ぶんせきは、しらべた ばしょも ほうほうも ちがいます。ナメクジの わりあいも、23%と 92%で そろいません。ぴったり くらべる ことは できません。
2026年の論文は、ヨーロッパ各地の野生ハリネズミ209頭から糞を集め、解析できた193頭のうち177頭(92%)の食べ物にナメクジ・カタツムリ類が出てくると報告しています[3]。
いっぽう、さきほどのイングランドの分析を紹介する団体は、エネルギーの面ではナメクジとカタツムリは必要量の5%に届かず、チョウやガの幼虫と甲虫がそれぞれ3分の1を超えることもあると説明します[2]。
たとえるなら、毎日だれもが1円玉を1枚もらっても、持っているお金の合計ではごくわずか、という感じです。「何頭が食べたか」と「どれだけの力になったか」は、別の物差しだということです。ただし、本当の調査はこの例ほど単純ではありません。
92%は食べた個体の割合で、食べた量やエネルギーではありません。しかも2つの分析は、場所も調べ方もちがいます。ナメクジが出てくる割合も、23%と92%で食いちがっていて、直接並べて「同じ傾向」とは言えません。
では、エネルギーの大きい餌は、どう選ばれているのでしょうか。
2026年にIntegrative Zoologyに載った研究(Fieschi-Méricほか)は、ヨーロッパ各地の野生個体209頭から糞を採取してDNAメタバーコーディングで調べ、解析できた193頭のうち177頭(92%)の餌にナメクジ・カタツムリ類が出てくると報告した。要旨ページには、ナメクジを多く食べる個体ほど肝臓の亜鉛が高いという相関も示されている[3]。
ところが、イングランドの137頭の分析を紹介するButterfly Conservationは、エネルギーの面ではナメクジ・カタツムリは必要量の5%未満で、チョウ・ガの幼虫や甲虫がそれぞれ3分の1以上を占めることがあるとしている[2]。
この2つは、物差しが異なる。92%は「その餌が出てくる個体の割合」で、食べた量やエネルギーではない。5%未満は、エネルギーに換算した寄与の割合である。さらに、地域・年・方法がちがい、ナメクジの出現率そのものも23%と92%で食いちがう。したがって、「同じ傾向」と言える範囲は限られ、読めるのは、出現の多さとエネルギー源としての大きさを区別する必要がある、という点にとどまる。
では、エネルギーの大きい餌は、実際に選ばれているのか。それを調べた古い研究がある。
3. かたい むしと ミミズ、どちらを えらぶの?
3. かたい甲虫よりやわらかいミミズを選ぶ ── 雨が多いとミミズを食べる割合が増えた
3. 餌の選択とエネルギー ── ミミズとオサムシ、雨の影響
1981ねんと 1982ねんの なつ、イギリスの ゴルフじょう 1かしょで、はりねずみが なにを えらんで たべるかを しらべた けんきゅうが あります[4]。
はりねずみは、えらべる ときには、かたい オサムシの なかまより、ミミズなどの やわらかい えものを えらびました。ミミズなどは、オサムシの なかまより、へいきんで 9ばいの エネルギーを ふくんで いました。
あめが おおい ほど、たべられた ミミズの わりあいが ふえました[4]。ミミズの かずと、あめの りょうに ひっぱられて いたのです。
ただし これは、ゴルフじょう 1かしょの ようすです。すべての はりねずみの こたえには なりません。
1981年と1982年の夏に、イギリスのゴルフ場1か所で、ハリネズミの餌の選び方を調べた研究があります。研究の要約は、ハリネズミは餌を選べるとき、かたいオサムシ類よりも、ミミズなどの体のやわらかい餌を選んだと伝えています[4]。ミミズなどは、オサムシ類より平均で約9倍のエネルギーを含んでいたそうです。
また、食べられたミミズの割合は、雨の量が多いほど増えました。ミミズは、そこにいる量と、雨に左右されて食べられたということです[4]。
夜の庭や公園で、雨のあとにミミズが地面に出やすいことは、よく知られています。ただ、この研究の要約から言えるのは、雨が多いとハリネズミがミミズを食べる割合が増えた、というところまでです。
ゴルフ場1か所の夏の調査なので、すべてのハリネズミの結論にはなりません。甲虫も、すべて避けるわけではなく、イングランドの分析では74%の糞に出てきました[2]。
1981〜82年の夏にゴルフ場1か所で行われた調査の要約は、ハリネズミが餌を選べる状況では、かたいオサムシ類より、ミミズなどの体のやわらかい餌を選んだと報告する[4]。ミミズなどのやわらかい餌は、オサムシ類より平均で約9倍のエネルギーを含んでいた。この調査では、ハリネズミが、より多くのエネルギーを含むやわらかい餌を選んだ。
食べられたミミズの割合は、雨の量が多いほど増えた。ミミズは、餌の量と降雨に左右されて食べられたと要約は述べる[4]。
ただし、1か所のゴルフ場・1回の夏という条件の調査で、全ハリネズミの結論にはならない。甲虫が糞にたびたび出てくる(イングランドの137頭では74%)ことは[2]、甲虫を避けるわけではないことを示す。ここで言えるのは、この調査では、オサムシ類のようにかたい餌より、やわらかい餌が選ばれた、という範囲である。要約は餌の個体数をカロリーに換算したと説明するが、9倍の換算単位の細かいところまでは示していない。
では、季節によって餌は変わるのか。冬眠を控える時期には、別の餌が主役になることがある。
4. ふゆねむる まえには、なにを たべるの?
4. 冬眠の前、エネルギーの約半分をイモムシから得た例がある
4. 冬眠前の餌 ── エネルギーの約半分を幼虫が占める例
はりねずみの なかまには、さむい ところで 冬眠する ものが います[10]。
なつの おわりから あきに かけて、冬眠の じゅんびを する じきの ある ちょうさでは、ちょうや がの 幼虫から、ちからの もとの 50%ぐらいを とった れいが ありました[2]。ふん 1つの なかから、幼虫 56ひきぶんの のこりが みつかった れいも あります。
ただし これは、ひろい ばしょの ぜんぶでは なく、ヒースロー くうこうの ちかくの ゴルフじょうの ちょうさの いちばん おおきな れいです。
夏の終わりから秋にかけて、ハリネズミは冬眠の準備をする時期に入ります。寒い地域にすむものは冬眠するとされます[10]。
ある調査では、この時期にエネルギー摂取の約50%をチョウやガの幼虫から得た例がありました。1つの糞から、幼虫56匹ぶんの残りが見つかった例もあります[2]。
ただし「約50%」は、最大級の例です。ヒースロー空港の近くのゴルフ場の調査の話で、ほかの場所や年でも同じとは限りません。幼虫が主役になる時期がある、という程度に読むのがよさそうです。
庭の落ち葉の下や草むらを歩くと、イモムシがいることがあります。ハリネズミのような小さな動物は、そうした地面の近くの虫を、夜のうちに探して食べているのでしょう。
ここまでは野生の食べ物の話でした。では、庭に来たハリネズミに、人は何を出してよいのでしょうか。
寒冷地にすむナミハリネズミは冬眠するとされる[10]。冬眠の準備をする晩夏から秋のある調査では、エネルギー摂取の約50%をチョウ・ガの幼虫から得た例があり、1つの糞に幼虫56個体ぶんの残りが含まれていた例も紹介されている[2]。
ただし「約50%」は、ヒースロー空港付近のゴルフ場での調査にもとづく、最大級の例である。「幼虫が冬眠前の主役になりうる」と読むのがよく、全地域・全年の平均ではない。
前章の「幼虫と甲虫がそれぞれエネルギーの3分の1以上を占めることがある」という数字[2]と、この「約50%」は、同じ団体のページに並ぶが、調査も時期もちがう。2つをつないで「季節で幼虫の割合が上がった」と読むことはできず、幼虫がエネルギー源として大きくなりうる、という点だけが共通して言える。
野生の餌の話はここまでで、次は、人が餌を与えるときの問題に移る。
5. にわに きた はりねずみに、ぎゅうにゅうと パンを あげても いい?
5. 庭に来たハリネズミに、牛乳とパンを出してよいのか
5. 庭での餌やり ── 牛乳とパンが勧められない理由
むかしから「ミルクを あげると よろこぶ」と おもわれがちです。でも、イギリスの ほごを して いる 人たちは、牛乳を あげないで、と よびかけて います[6]。
はりねずみは、ミルクに ふくまれる にゅうとうを、うまく わけられないからです。パンも、エネルギーが すくなくて、ほとんど ねうちが ありません[6]。
イギリスの はりねずみ ほごの きょうかいは「パンと ミルクは はりねずみを きずつける」と かいた ポスターを つくって います[7]。すすめて いるのは、お肉の ねこ・いぬ・はりねずみ ようの フードと、のみものの みずです。
むしや ミミズ、イモムシ、ハサミムシ、ヤスデが、にわに くる はりねずみの もともとの たべものです[6]。
「ハリネズミにはミルク」と思う人は少なくないかもしれません。ところが、英国の保護団体Hedgehog Streetは、ハリネズミは乳糖を分解しにくいので、牛乳は与えないでください、と呼びかけています。パンもエネルギーが低く、ほとんど価値がないといいます[6]。
英国ハリネズミ保存協会のポスターも「パンとミルクはハリネズミを傷つける」としています。自然な餌を補うものとして勧めているのは、肉の猫・犬・ハリネズミ用フードと、飲み物は水だけです[7]。
庭に来るハリネズミの自然な餌は、ミミズ、オサムシ、イモムシ、ハサミムシ、ヤスデだと同じ団体は書いています[6]。ここまでの章の分析と、ほぼ重なります。
ただし、これは英国の団体の呼びかけです。では日本の野外にいるハリネズミは、何を食べているのでしょうか。
庭に来るハリネズミに牛乳を与える習慣は、英国でも根強いが、Hedgehog Streetは、ハリネズミは乳糖を分解しにくいので、牛乳は与えないよう求めている。パンはエネルギーが低く、ほぼ価値がないとも述べる[6]。
英国ハリネズミ保存協会(BHPS)のポスターは「パンとミルクはハリネズミを傷つける」とし、自然な餌を補うものとして肉の猫・犬・ハリネズミ用フード、飲み物は水だけを勧める[7]。Hedgehog Streetのほうは、補助に肉ベースの犬・猫のウェットフードやキャットフード(ドライ)が好まれると紹介し、皿に浅く水を入れることを勧める[6]。同じページは、庭に来る個体の自然な餌は、ミミズ・オサムシ・イモムシ・ハサミムシ・ヤスデだとも述べる[6]。
この助言は、前章までの分析とつながる。動物質、とくに無脊椎動物が中心であり[5]、パンや乳製品は、その延長にない。ただし、これは英国の保護団体による助言で、日本の法令や自治体の案内ではない。次は、日本の野外のハリネズミを見る。
6. にほんの のはらに いる はりねずみは、なにを たべるの?
6. 日本の野外にいるハリネズミは、何を食べるのか
6. 日本の定着個体の食性と、飼育下の観察記録の限界
にほんの そとで すみついて いる はりねずみの うち、静岡や神奈川で みつかって いるのは、アムールはりねずみです[8]。外来種で、ほうりつで「とくていがいらいせいぶつ」に きめられて います。
たべものは、昆虫、ミミズ、クモ、りくの かいがら、ネズミ、かえる、とかげ、へび、とりの 卵、くだものなど、じめんの ちかくの ちいさな どうぶつが ちゅうしんです[8]。
むかし、おだわらの にわに おやこ 3びきが あらわれた ことが あります。ひとの いえで かって いた ものが にげたのが もとだと かんがえられて います[9]。つかまえて かった 2ひきは、ゆうがた 7じを すぎると うごきまわり、なまの お肉や ゆでたまごを このみました。ひるまは ぬのに もぐって ねて いました。ただし、かって いた 2ひきの ようすで、のはらの たべものの ぜんぶでは ありません。
のはらで みつけても、さわったり、えさを あげたり しないで、くにや じちたいの あんないを たしかめましょう。
日本で野外に定着しているハリネズミのうち、静岡県や神奈川県で確認されているのはアムールハリネズミで、外来生物法の特定外来生物です[8]。国立環境研究所の侵入生物データベースは、食べ物を昆虫、ミミズ、クモ、陸貝、ネズミ類、カエル、トカゲ、ヘビなど地表の小動物、鳥の卵、果実としています。
ヨーロッパのナミハリネズミは、平地や山地の森林・草原にすみ、カエル、ヘビ、昆虫などを餌にします。体重は400〜1000g、全長は23〜27cmで、寒冷地のものは冬眠します[10]。種はちがっても、地面近くの小さな動物が餌の中心になる点は、よく似ています。ただし、リストの細かい中身は資料ごとに書き方が異なるので、直接の比較はしません。
神奈川県小田原市では、1987年に親子3頭が庭に現れ、1988〜89年に複数頭が捕獲されたと、神奈川県立生命の星・地球博物館の報告にあります。飼育個体の逸出が由来とされます[9]。飼育した2頭は、夕方7時以降に動き回って餌を探し、生肉やゆで卵、生卵を好みました。昼間は布にもぐって寝ていたそうです。
飼育下の2頭の観察なので、野生の食べ物の代表ではありません。それでも、夜に動いて餌を探す姿は、ヨーロッパの夜行性の記述と重なります[1]。
特定外来生物の個体は、見つけても、さわったり餌を与えたりせず、環境省や自治体の案内を確かめるのがよいでしょう。
日本で定着しているハリネズミ属のうち、静岡県・神奈川県で確認されているのはアムールハリネズミで、外来生物法の特定外来生物である。国立環境研究所の侵入生物データベースは、食性を昆虫・ミミズ・クモ・陸貝・ネズミ類・カエル類・トカゲ類・ヘビ類などの地表性小動物、鳥類の卵、果実類としている[8]。
環境省のパンフレットは、ナミハリネズミを体重400〜1000g・全長23〜27cmで、平地・山地の森林や草原にすみ、カエル・ヘビ・昆虫などを餌とし、寒冷地では冬眠すると説明する[10]。種が異なっても、地表の小動物が餌の中心になる点は共通する。ただし、リストの粒度は資料ごとに異なり、どちらが多様かは、この資料の比較からは言えない。
神奈川県の自然誌資料(市川・中村 1990)は、小田原市で1987年に親子3頭が庭に現れ、1988〜89年に複数頭が捕獲されたことを記録する。飼育個体の逸出が由来とされる。飼育した2頭は、夕方7時以降に動き回って餌を探し、生肉・ゆで卵・生卵を好み、昼間は布にもぐって寝ていた[9]。ただし、飼育下の2頭の観察であり、野生の食べ物の代表ではない。種についても、1990年の報告は「ナミハリネズミと思われる」としているので、現在の種名(アムール)と食いちがう点には、注意して読む必要がある。
ここまでの数字は、イングランドの糞の分析、ヨーロッパのDNA分析、英国の保護団体の助言、日本の公的資料と、出どころが4種類ある。数字を比べるときは、物差しを確かめる。
7. あめの あとの じめんで、むしを かぞえて みよう
7. 雨上がりの地面で、小さな餌の数を数えてみる
7. 降雨と地表の小動物 ── 自分で数える試みと、資料の読みどころ
あめが おおい ほど、たべられた ミミズの わりあいが ふえて いました[4]。では、あめの あとの じめんで、みえる ちいさな いきものの かずは、はれた 日と ちがうのでしょうか。
あめの あとの こうえんや にわで、1メートルくらいの はんいを きめて、みえる むしを かぞえて みましょう。ミミズや ダンゴムシが いるかも しれません。さわらずに、みるだけで だいじょうぶです。てを つかった ときは、あとで あらいます。
はれた 日にも、おなじ ばしょで かぞえて、くらべて みましょう。なんにちか くりかえすと、たまたまの ちがいが わかります。かずは かんたんな メモで かまいません。
やくそく:ちかづく とき、うらや いしの したに、ハチや ムカデが いる ことが あります。しらない むしには さわらないで ください。
雨が多いほど、食べられたミミズの割合が増えました[4]。では、雨のあとの地面で、目に見える小さな生きものの数は、晴れた日とちがうのでしょうか。
雨の日の翌日に、公園や庭で1メートル四方くらいの範囲を決め、目に見える虫やミミズの数を数えてみましょう。晴れた日にも同じ場所で数えて、くらべます。数え方は簡単でかまいませんが、同じ条件でそろえることが大事です。1日だけでは天気以外の差も混ざるので、何日か繰り返してみてください。
石や落ち葉の下には、ハチやムカデがいることがあります。知らない虫には触らず、見るだけにとどめてください。触ったあとは手を洗います。
数えた結果は、ハリネズミの研究とはちがう場所・ちがう条件の話です。何日か数えて比べれば、雨の翌日に見つかる数が変わるかを観察できます。ただし、ハリネズミの食事や、数が変わる原因を確かめる調査ではなく、数だけで雨との関係は決まりません。
調査の読みどころは3つある。①Wroot(1984)の要約[4]は、餌の選択とエネルギー量、降雨の影響を述べる。英語だが短く、条件(ゴルフ場1か所・夏)が明記されている。②Butterfly Conservationのページ[2]は、頻度とエネルギーの両方を示す一方、元の論文名が書かれていない点に注意が要る。③2026年の論文の要旨[3]は、92%という数字が「食べた個体の割合」である点が、読み違えやすい。
自分で試すなら、雨の翌日と晴れた日に、同じ場所(1メートル四方)で、見える小動物を数えて比べる方法がある。1日ずつの比較では天候以外の差が混ざるので、何日か繰り返す。それでも、観察できるのは雨の翌日に見つかる数の変化であり、ハリネズミの食事や原因を確かめる調査ではなく、数だけで雨との関係は決まらない。石や落ち葉の下にはハチやムカデがいることがあるので、触らず観察にとどめ、作業後は手を洗う。
なお、日本語の公的資料で確かめられるのは、定着個体の食べ物の概要と飼育下の観察(国立環境研究所[8]、神奈川県[9])で、野生個体の食べ物の定量的な分析は、本稿の資料にはない。ここから先は、原論文にたどりつけるかどうかが分かれ目になる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:辞典、英国の保護団体や研究要約、日本の公的機関の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- コトバンク「ハリネズミ」(世界大百科事典・日本大百科全書)。https://kotobank.jp/word/%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%83%9F (夜行性と、動物質・植物質の食べ物の概説について。辞典)
- Butterfly Conservation「Hedgehogs need butterflies and moths」。https://butterfly-conservation.org/news-and-blog/hedgehogs-need-butterflies-and-moths (イングランド137頭の糞の分析、エネルギー面の割合、冬眠前の幼虫について。保護団体の解説)
- Fieschi-Méric ほか(2026)Integrative Zoology(要旨ページ)。https://www.synapsesocial.com/papers/69d8967d6c1944d70ce07e13 (209頭のDNA分析でナメクジ・カタツムリ類が92%の個体に出てきたことについて。論文の要旨)
- People's Trust for Endangered Species「Wroot (1984) hedgehog foraging in Europe」。https://ptes.org/hedgehog-papers/wroot-1984-hedgehog-foraging-europe (餌の選択、エネルギー量、雨とミミズについて。研究の要約)
- Wildlife Online「European hedgehog food, feeding behaviour, diet」。https://www.wildlifeonline.me.uk/animals/article/european-hedgehog-food-feeding-behaviour-diet (無脊椎動物が量の80〜90%を占めることなど。解説記事)
- Hedgehog Street「Feed hedgehogs」。https://www.hedgehogstreet.org/help-hedgehogs/feed-hedgehogs/ (庭での餌やりの助言、牛乳とパンについて。英国の保護団体の共同活動)
- British Hedgehog Preservation Society ポスター「Bread & Milk Harms Hedgehogs」。https://www.britishhedgehogs.org.uk/posters/No-Milk-or-Bread.pdf (パンとミルクを避ける呼びかけについて。保護団体のポスター)
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アムールハリネズミ」。https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/10010.html (日本の定着個体の食べ物と特定外来生物の指定について。公的機関)
- 市川・中村(1990)「神奈川自然誌資料」11号。https://nh.kanagawa-museum.jp/assets/icp/pdf/nhr11_079_080ichikawa.pdf (小田原市の個体の確認と飼育下の観察について。博物館の報告)
- 環境省「愛玩動物パンフレット」(特定外来生物のマイクロチップ)。https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h1804/19.pdf (ナミハリネズミの体の大きさ、すみか、餌、冬眠について。公的機関)
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