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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

スズメバチは、えものを とって くるのに、じぶんは なにを たべて いるの?

スズメバチの大人は、狩りから帰ってきて何を食べているのでしょうか

スズメバチの成虫は何を食べているのか ── 肉団子と幼虫の栄養液のやりとり

分野:生きもの

スズメバチは、ほかの 昆虫こんちゅうを つかまえて、かみくだき、巣すへ はこびます。ところが、その にくを、はたらく ハチ じしんは あまり たべない と いわれます。

では、とんで いる おとなの ハチは、なにを たべて いるのでしょう。その こたえは、巣すの なかの 小さな 子どもたちに ありました。

スズメバチは、昆虫を捕らえる「肉食の蜂」として知られています。ところが、働きバチが狩ってきた肉団子の行き先は幼虫で、飛び回る大人が主に口にするのは、その幼虫が出す透明な液体だと説明されています。

なぜ、肉を運ぶ側が液体をもらうのか。巣の中で食べ物がどう回っているのか。そして、樹液や花の蜜はどんな役目なのかが分かります。

スズメバチの働きバチは、昆虫を捕らえて肉団子にし、幼虫に与える。だが成虫自身が主に口にするのは、肉ではなく、終齢幼虫の唾液腺から出る栄養液だとされる[2]。

固形の肉を運ぶ側が、液体で生きているのはなぜか。巣の中の食べ物の流れ、樹液や花の蜜の位置づけ、オオスズメバチの例、VAAMという名前の由来までが分かる。

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1. はこんだ にくは、だれの ごはん?

1. 狩ってきた肉は、だれの食べ物か

1. 肉団子の行き先 ── 狩りの獲物は幼虫の餌になる

スズメバチの はたらきバチは、ハエや ほかの 昆虫こんちゅうを つかまえます。そして、からだの やわらかい ところを かみくだいて、小さな だんご(にくだんご)に します。

この だんごを たべて そだつのは、巣すの 中の 幼虫ようちゅうです[1]。はたらきバチが とって きた えものは、じぶんの ごはんと いうより、幼虫ようちゅうの ごはんなのです。

えものの しゅるいは、ハチの なかまに よって ちがいます。ふつうは ほかの 昆虫こんちゅうですが、ときには、あたらしい どうぶつの しがいの にくの おおい ところも だんごに する と いわれます[2]。

狩りの目的は、幼虫を育てること

働きバチは、捕らえた昆虫などをかみ砕き、肉団子にして巣へ持ち帰ります。この肉団子を食べて育つのは、巣の中にいる幼虫です[1]。つまり狩りは、第一に幼虫のごはんを調達する仕事です。

獲物は種類によって違いますが、基本は他の昆虫類です[2]。

では、肉を運んでくる大人たちは、何を口にして飛んでいるのでしょうか。

スズメバチの働きバチは、捕獲した昆虫などをかみ砕いて肉団子にし、巣の幼虫に与える[1]。したがって、狩りの獲物は第一に幼虫の餌であり、狩る側の成虫の食べ物とは切り分けて考える必要がある。

獲物の種類は種により異なるが、基本は他の昆虫類である[2]。では、獲物を運ぶ成虫自身は何を口にするのか。

2. おとなの ごはんは、幼虫ようちゅうの だす えきたい

2. 大人の主な食べ物は、幼虫が出す透明な液体

2. 成虫の主食 ── 終齢幼虫の唾液腺から出る栄養液

おとなの ハチが おもに たべるのは、にくでは ありません。幼虫ようちゅうの くちから でる、すきとおった えきたいです[2]。

この えきたいは、幼虫ようちゅうの だえきの ような ものを つくる ところで つくられます。おおきく そだった 幼虫ようちゅうほど、この ところが よく はったつして います[2]。

えいようが たっぷり ある ので、おとなの ハチは、これで げんきに とびまわれる のです[1]。

ただし、おとなの ハチが にくを ぜんぜん たべない と まで は、いいきれません。ここでは「おもに」と いう ことに して おきます。

成虫の餌は「幼虫の唾液腺」から出る

百科事典の説明では、成虫の餌は主に、終齢幼虫の大きく発達した唾液腺から分泌される栄養液です[2]。フマキラーの解説も、幼虫の体から出る栄養価の高い分泌液を、成虫の重要な栄養源としています[1]。

肉を運ぶのは大人、肉を食べて育つのは幼虫。そして大人が飛び回るための力になるのは、その幼虫が体の中でつくり直した液です。固形の肉をそのまま食べるより、栄養がすぐ使える形になっているとも考えられます。ただし、この理由づけは資料に書かれた説明ではなく、ここでの推測です。

また、成虫は肉を一切食べないと言い切れるかどうかは、資料によって書き方に幅があります。この記事では「主に」と書くことにします。

百科事典「スズメバチ」は、成虫の餌を、主として終齢幼虫の巨大に発達した唾液腺から分泌される栄養液と説明する[2]。フマキラーの解説も、幼虫から出る栄養価の高い分泌液を成虫の重要な栄養源とする[1]。二つの資料が同じ方向を指しており、一般向けの解説では、成虫の重要な栄養源として幼虫の分泌液が挙げられている。

成虫が固形物を消化しにくい体のつくりをしているため、という説明もある。ただし種や性別ごとの差までは、ここで取り上げた解説からは分からない。「成虫は肉を一切食べない」と言い切ることもしない。強さは「主に」にとどめる。

3. にくだんごと えきたいを こうかん

3. 肉団子と液体を交換する ── 巣を回す食べ物のやりとり

3. 栄養交換 ── 獲物と分泌液が往復する巣の中の流れ

はたらきバチは、えものを 巣すに はこんで、幼虫ようちゅうに わたします。すると、おれいの ように、幼虫ようちゅうの えきたいを もらえます。それを のんで、また かりに でかけます[3]。

この たべものの やりとりは、むずかしい ことばで「えいよう交換こうかん」と よばれます[3]。

おとなが にくだんごを とどける。幼虫ようちゅうが そだつ。そだった 幼虫ようちゅうが えきたいを だす。その えきたいで、おとなが また かりに いける。ぐるっと まわって いるのです。

ただし、おとなの ハチが 「おれい」を かんがえて いる わけでは ありません。ハチの からだの しくみの はなしです。

運ぶ側ともらう側が入れかわらない交換

成虫は獲物をつかまえて幼虫に与え、お返しに幼虫の分泌液をもらい、またエサを探しに出かける。巣の中では、この往復が続いています[3]。このような食べ物のやりとりは「栄養交換」と呼ばれます。

流れを書き出すと、肉団子が幼虫へ、液が成虫へ、という二方向です。幼虫は動けませんが、幼虫の分泌液は成虫の活動を支えています。

この循環は、狩りに出る成虫が元気でないと、幼虫の餌が減る形でつながっています。人が見ているのは「肉を食べるハチ」ですが、巣の中では食べ物と力が行き来しています。ただし、これも解説資料の説明を整理した見方で、すべての種・時期に当てはまるとは限りません。

みんなのハチ駆除屋さんの解説は、成虫が獲物を捕らえて幼虫に与え、その幼虫の分泌液を受け取り、再び獲物を探しに出かける、と述べる[3]。この食べ物のやりとりが栄養交換と呼ばれる。

この構造では、獲物(固形のタンパク源)は成虫から幼虫へ、栄養液は幼虫から成虫へと、逆向きに流れる。そのため、幼虫は成虫に餌を運ばせるだけの存在ではなく、成虫の活動を支える栄養源でもある、と読める。ただし「幼虫が餌を与える」という言い方は擬人的で、資料が述べているのは分泌液を成虫が口にするという事実までである。

なお、これらは駆除業者と百科事典の解説にもとづく。種や季節による違いの有無は、この記事の範囲では分からない。

4. 樹液じゅえきや はなの みつは、おやつ?

4. 樹液や花の蜜は、どんな役目か

4. 樹液・花の蜜の位置づけ ── 補助的なエネルギー源

おとなの ハチは、樹液じゅえきを すったり、はなの みつを なめたり も します[1]。

ただし、ミツバチの ように、みつを 巣すに もちかえる ことは ありません[1]。じぶんが のむ ぶん だけです。

幼虫ようちゅうの えきたいに えいようが たりない ときなどは、樹液じゅえきや みつが ちからに なる と いわれます[3]。

つまり、おとなの ごはんは、幼虫ようちゅうの えきたいが いちばん。樹液じゅえきや みつは、たりない ときの たすけ。と おぼえて おくと よさそうです。

樹液や蜜は「持ち帰らない」

成虫は、樹液を吸ったり花の蜜を吸ったりもします。ただし、ミツバチのように花の蜜を巣に持ち帰ることはありません[1]。蜜は、働きバチ自身が飛ぶための燃料のような使い方だと読めます。

幼虫の分泌液に栄養が足りない場合などは、樹液や花の蜜がエネルギー源になるとされています[3]。つまり、大人の食べ物の中心は幼虫の液で、樹液や蜜は補う役目、という位置づけです。

肉団子は幼虫へ、蜜はそのまま自分へ。同じ「えさ探し」でも、行き先が分かれているのが面白いところです。

フマキラーの解説は、成虫が樹液や花の蜜も吸うが、ミツバチのように蜜を巣へ持ち帰ることはないとする[1]。みんなのハチ駆除屋さんは、分泌液の栄養が不足している場合などに、樹液や花の蜜をエネルギー源とすると述べる[3]。

この二つを合わせると、樹液・蜜は成虫が自分で消費する補助的なエネルギー源であり、巣の中の食べ物の流れ(獲物と分泌液の往復)には組み込まれない、という整理になる。ミツバチが蜜を巣に貯蔵する暮らし方とは、食べ物の扱いが異なる点が対照的だ。

ただし「補助的」という位置づけは解説資料の記述にもとづく整理で、季節ごとの量の比率までは分からない。

5. オオスズメバチは、どうなの?

5. 大きなオオスズメバチも、大人は液体が中心か

5. オオスズメバチは甲虫を肉団子にし、ミツバチの巣を集団で襲う

いちばん おおきな オオスズメバチも、おとなは 樹液じゅえきや はなの みつと、幼虫ようちゅうの えきたいを くちに する と いわれます[5]。つよそうな みためからは、いがいです。

そして 幼虫ようちゅうには、おおきな こうちゅうなどを、からごと かみくだいた だんごを あたえます[5]。

また、オオスズメバチは、ミツバチの 巣すを みんなで おそって、幼虫ようちゅうや さなぎを にくだんごに して はこぶ ことが あります[4]。これは、スズメバチの なかまでは めずらしい やり方だそうです。

ハチを みかけたら、ちかづかないで おくのが あんぜんです。

殻ごとかみ砕く肉団子

日本で最大級のオオスズメバチも、成虫は花の蜜や樹液と、幼虫の分泌液を口にする、と解説されています[5]。見た目は猛々しくても、基本の食べ物の流れは同じです。幼虫には、大型の甲虫などを殻ごとかみ砕いた肉団子を与えます[5]。

ミツバチの巣を集団で襲うこともある

Wikipediaの解説によると、オオスズメバチは、ミツバチなど社会性の蜂の巣を集団で襲い、大量の幼虫やさなぎを肉団子にして運ぶことがあります。スズメバチ類としては例外的な行動だそうです[4]。幼虫の数が多い巣ほど、必要な肉団子の量が増えると考えられますが、その理由づけはここでの推測です。

ハチを見かけたときは、近づかず、静かに離れるのが安全です。

オオスズメバチについて、tenki.jpの解説は、成虫は花蜜・樹液と幼虫の分泌液のみを口にするとし、幼虫には大型の甲虫などを殻ごとかみ砕いた肉団子を与えるとする[5]。成虫の食べ物の構造は、前章までの一般的な説明と一致する。

ただし幼虫の側の需要は大きい。百科事典「オオスズメバチ」は、巨大なコロニーを形成する社会性の蜂の巣を襲撃し、大量の幼虫・蛹を肉団子にして運ぶことがあり、スズメバチ類としては例外的に集団で襲撃するとする[4]。獲物を捕らえる際の行動は種で変わるが、成虫の食べ物が幼虫の分泌液に支えられる点は共通する、と整理できる。

ただし「全種で同じ」とまでは言い切れない。種によって餌の与え方が異なる例があるともいわれる。

6. 幼虫ようちゅうの えきたいから うまれた なまえ

6. 幼虫の液と、栄養ドリンクの名前

6. VAAMの名前の由来 ── 17種類のアミノ酸の発見

スーパーなどで みかける ある のみものの なまえ「VAAM(ヴァーム)」は、スズメバチと かかわりが あります。

この なまえは、スズメバチの せいたいを しらべて いて みつかった、17しゅるいの アミノ酸さんに ちなんで つけられた と、かいしゃは せつめいして います[6]。

ただし、幼虫ようちゅうの えきたいを のむと、にんげんが つよく なる わけでは ありません。なまえの ゆらいの はなしです。

VAAMという名前

明治の公式説明では、VAAMはVespa Amino Acid Mixture(スズメバチのアミノ酸混合物)の頭文字からできた名前です。スズメバチの生態研究の結果、脂肪の代謝に関わる17種類のアミノ酸が見つかったことから生まれた、と説明されています[6]。

ただし、これは企業の製品説明です。幼虫の液そのものが人の持久力を上げる、という意味ではありません。スズメバチの暮らしの研究が、身近な商品の名前にまで残っている、という話として読むのがよさそうです。

明治の公式説明では、VAAM(Vespa Amino Acid Mixture)は、スズメバチの生態研究の結果、脂肪の代謝に関係する17種類のアミノ酸が発見されたことで生まれた名前だとされる[6]。幼虫の分泌液が成虫の運動を支えるという生態の知見が、のちに栄養科学の研究へつながった、という流れだ。

ただし、これは企業による製品説明であり、幼虫の液が人の持久力を高めるという意味には読めない。名前の由来と製品の効果は別の話だ。

7. こんど、きに なる ことは?

7. 大人と幼虫のごはんが違う生きものは、ほかにもいるのか

7. 出口 ── 成虫の消化と、種ごとの違いという未解決の問い

おとなの スズメバチは、幼虫ようちゅうの えきたいを もらい、にくだんごを おくります。スズメバチは、「にくを たべる ハチ」と いうより、「たべものを こうかんする ハチ」なのかも しれません。

おとなと こどもで、ごはんが ちがう いきものは、ほかにも います。ちょうの あおむしと せいちゅうは、どうでしょう。おうちの ひとと、ずかんで しらべて みましょう。

ただし、スズメバチを つかまえたり、巣すに ちかづいたり して、たしかめようと しては いけません。

スズメバチの大人は、肉を運び、液をもらい、樹液や蜜で足りないところを補う。そう整理すると、「肉食の蜂」というイメージは、少し変わって見えます。

では、成虫は固形の肉をどこまで消化できるのか。種によって、働きバチと雄で、依存の強さは同じなのか。この点は、今回読めた資料からは言い切れません。ここは、論文を読めば深められる「まだ残っている問い」です。

身の回りでは、チョウの幼虫(あおむし)と成虫が、まったく違うものを食べている例が調べやすいでしょう。図鑑で一種類のチョウを選び、幼虫と成虫が何を食べるかを一つずつ書いてみてください。観察のために、ハチやその巣に近づいてはいけません。

この記事で確かな足場にできたのは、獲物の肉団子が幼虫に、幼虫の栄養液が成虫に、という往復の構図と、樹液・蜜が補助的な位置にあるという整理だ。一方で、成虫が固形物をどこまで消化できるか、働きバチと雄、種や季節で依存の強さが異なるかは、次に調べたい問いとして残る。

調べを進めるなら、成虫の消化器官のつくりや、栄養交換(trophallaxis)を扱う昆虫学の論文を探すとよい。日本語の解説は、一次資料を読む前の見取り図として使える。観察のためにハチや巣に近づくのは危険なので、文献と図鑑で進めるのが安全だ。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:一般向けの解説と百科事典、企業の製品説明を使った。公的機関の資料や論文の本文は確かめられていない。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. フマキラー For your LIFE「スズメバチの生態と食性」。https://fumakilla.jp/foryourlife/525/ (幼虫の餌・成虫の栄養源・樹液や蜜の扱いについて)
  2. Wikipedia「スズメバチ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/スズメバチ (獲物の種類と成虫の餌について。二次資料)
  3. みんなのハチ駆除屋さん「スズメバチの生態」。https://minhachi.jp/knowledge/suzumebachi-ecology.html (栄養交換と樹液・蜜の役目について。駆除業者の解説)
  4. Wikipedia「オオスズメバチ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/オオスズメバチ (ミツバチの巣の集団襲撃について。二次資料)
  5. tenki.jp 解説コラム「オオスズメバチ」(2021年9月1日)。https://tenki.jp/suppl/kous4/2021/09/01/30594.html (オオスズメバチ成虫の食べ物と肉団子について)
  6. 明治「VAAMについて」。https://www.meiji.co.jp/products/brand/vaam/about/ (VAAMの名前の由来について。企業の製品説明)

なおした ところ

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