1. 庭の えだで、メジロは なにを 食べて いるの?
1. 12cmの小鳥は、蜜だけでなく虫も木の実も食べる
1. 食性の全体像 ── 昆虫・クモ、果実、花蜜をあわせて食べる
メジロは、くちばしから しっぽの 先までの 長さが 12センチほどの 小さな 鳥です[1]。30センチの ものさしの、半分より ちょっと 短い くらいです。
庭の 木の えだを、ちょんちょんと とびうつる すがたを 見かける ことが あります。花に 顔を 入れて いたら、みつを すって いるのかな、と 思いますよね。
でも、メジロが 食べるのは みつだけでは ありません。昆虫や クモ、木の 実、花の みつを 食べると、図鑑や 県の せつめいに 書かれて います[1][2]。
花の みつも、虫も、木の 実も 食べる。食べものの はばが ひろい 鳥なのです。では、あの 小さな 体で、どうやって みつを すうのでしょう。
2. みつを とる ための、ブラシの ような 舌
2. メジロは、先がブラシ状の舌で蜜を取る
2. 舌の先のブラシ構造 ── 確かな記述と、まだ言い切れない仕組み
メジロの 舌の 先は、ブラシのように なって いると いわれます[1]。歯ブラシの 先を 思いうかべて ください。先が こまかく ばらけて いる かたちです。
この 舌は、くだものの しるや 花の みつを とるのに むいて いると されて います[1]。しかも くちばしは 細いので、花の おくまで さしこんで みつを すえる のです[5]。
ブラシの 舌は、メジロの なかまで 見つかった と、1974年に オーストラリアの 人が しゃしん つきで ほうこくしました[6]。ただし、これは オーストラリアに すむ なかまの はなしです。
この 舌が どうやって みつを あつめるのか、細かい しくみは、この 記事では 言い切りません。
メジロの舌の先は、ブラシのような形になっています。この舌は、果汁や花の蜜を取るのに適していると説明されます[1]。
細いくちばしも、蜜を取る助けになります。本田財団の森づくりの解説は、メジロが細いくちばしを花の奥まで差し込んで、一心に蜜を吸うと書いています[5]。くちばしで花の奥へ届き、舌の先で蜜をからめ取る、という分担が想像できます。
ブラシ状の舌は、メジロの仲間に共通している?
1974年、オーストラリアの研究者クーパーは、メジロの仲間(Zosterops属)が、先が二またに分かれたブラシ状の舌を持つことを、写真つきで報告しました[6]。メジロ類の舌がそういう形であることは、半世紀前から調べられていたわけです。
ただし、対象はオーストラリアのギンメジロの仲間で、日本のメジロそのものの観察ではありません。そして、ブラシがどんな仕組みで蜜を取るのかは、まだ言い切れません。
舌の先がブラシ状になっていて、果汁や花の蜜を取るのに適していることは、日本大百科全書や小学館の図鑑NEOが記す[1]。細いくちばしを花の奥まで差し込み、一心に蜜を吸うという観察も、本田財団の解説にある[5]。
では、この舌の構造は、メジロの仲間に広く見られるのか。1974年にクーパーが、オーストラリアのメジロ類(Zosterops属)が「二またに分かれたブラシ状の舌」を持つことを、写真つきで報告している[6]。対象はオーストラリアのギンメジロ類であり、日本のメジロの観察ではない。
舌がどんな仕組みで蜜を取るのかは、毛細管現象、表面張力、吸引など、いくつか考えられる。しかしメジロ自身の研究にもとづく記述は資料にない。別の科のタイヨウチョウでは、舌の内部で吸引する仕組みが2024年に報告されたとされる。そこで、「舌の先がブラシ状で、蜜や果汁を取るのに向く」という確かなところまでを書く。
3. 冬の 庭に 来るのは、どうして?
3. 冬は木の実、春は花の蜜 ── 季節で変わる食べ物
3. 季節による食べ物の変化 ── 冬の庭木と、春の花
メジロは、季節で よく 食べる ものが かわる ようです。
冬は、木の 実や 木の め、昆虫などを 食べます。メジロは あまい ものが 大すきなので、春に 花が さくと、みつを すいに 来ると 書かれて います[5]。
冬の 庭にも、メジロは やって きます。木の 実を 食べたり、つばきの 花の みつを すったり する すがたが 見られると、国の きかんも 書いて います[3]。うれた かきや アケビも 大こうぶつだと されて います[1]。
庭は、メジロに とって、食べものの ある ばしょ なのかも しれません。ただし、どこでも 冬に メジロが 見られる わけでは ありません[1]。
冬は庭木の実を食べに来る
本田財団の解説によると、メジロは冬には木の実や木の芽、昆虫などを食べます。もともと甘いものが大好きで、春に花が咲くと、喜んで蜜を吸いに来るそうです[5]。
国土交通省の山国川河川事務所も、冬は住宅の庭木にもやってきて、木の実や花の蜜を吸うと紹介しています[3]。キヤノンのバードブランチは、秋冬は庭に来て木の実を食べたり、カンツバキなどの蜜を好むため、姿を見かけやすいと書きます[4]。冬に咲く花の蜜も、食べ物の一つです。
大好物と、見られる場所
世界大百科事典は、ツバキの花の蜜を吸い、熟した柿やアケビの実が大好物だと記します[1]。庭の木の実や花は、メジロにとって食べ物の置き場のようなものなのかもしれません。
ただし、どこでも冬に見られるわけではありません。資料は、メジロを留鳥または漂鳥として紹介しています[1]。漂鳥は、季節によって国内で場所を移る鳥です。「冬は庭に来る」は、見られる場所が多いという話として読むのがよさそうです。
冬の庭にメジロが来るのはなぜか。本田財団の解説は、冬は木の実・木の芽・昆虫などを食べ、もともと甘いものが好きなので、春に花が咲くと蜜を吸いに来るとする[5]。国土交通省の山国川河川事務所は、冬は住宅の庭木にもやってきて、木の実や花の蜜を吸うと紹介する[3]。キヤノンの解説は、秋冬は庭の木の実を食べ、カンツバキなどの蜜を好むため、姿を見かけやすいとする[4]。
つまり、冬の食べ物は「木の実が中心」と単純に言い切れない。冬に咲く花の蜜も、庭では利用されている。世界大百科事典は、ツバキの蜜に加え、熟した柿やアケビの実を大好物と記す[1]。庭木の実や花は、冬の餌場として働いているようだ。
注意したいのは、これらが解説文の記述で、季節ごとの食べ物の割合を調べた研究ではない点だ。また、メジロは留鳥または漂鳥とされ[1]、漂鳥は季節によって国内を移動するので、冬にどこでも見られるとは限らない。
4. 本に よって 「しゅしょく」が ちがうのは なぜ?
4. 資料によって、「主食」の書き方がちがう
4. 辞典の記述の差 ── 「昆虫が主食」と「蜜や果汁を好む」
いろいろな 本を 見くらべると、おもしろい ことが あります。
ある じてんは、「昆虫と クモを 主な 食べものにして、花の みつや うれた 実も 食べる」と 書いて います。べつの じてんは、「昆虫も 食べるが、花の みつや くだものの しるを このむ」と 書いて います[1]。
どちらも まちがい では ありません。食べる ものの ならべ方が、少し ちがうだけです。
では、メジロは 虫と みつの どちらを たくさん 食べるのでしょう。それを 数で 見せて くれた しりょうは、ここで 使った 中には ありません。だから この 記事も、数は 書きません。
同じメジロでも、資料によって強調する食べ物が少しちがいます。マイペディアは、昆虫やクモを主食とし、花の蜜や熟した果実も食べる、と書きます。ブリタニカは、昆虫類も食べるが、花蜜や果汁を好む、と書いています[1]。
図鑑NEOは、昆虫、クモ、果実、花の蜜を並べて挙げるだけで、どれが主かには触れていません[1]。
食べ物の割合は、数字で言えない
どの食べ物が「主」なのかは、季節や場所、見ている時期によって変わるのかもしれません。割合を数字で示した資料は、今回使った中にはないので、この記事も「何割」とは書きません。蜜だけを食べる鳥でも、虫だけを食べる鳥でもなく、いくつかを使い分けている、というところまでが確かなことです。
食性の重みづけは、資料によって異なる。マイペディアは「昆虫、クモを主食とし、花の蜜や熟した果実も食べる」とし、ブリタニカは「昆虫類も食べるが、花蜜や果汁を好む」とする。図鑑NEOは、昆虫・クモ・果実・花の蜜を並べるのみである[1]。
このずれは、どの記述も誤りであることを意味しない。観察した地域・時期・場面(採食か、人の目につきやすい吸蜜か)によって、強調される食べ物が異なる可能性がある。ただし、季節ごと・場所ごとの割合は資料からは分からない。「蜜だけの鳥ではない」「虫や果実も食べる」ことまでが、共通して言える範囲だ。
辞典の記述は編集者が観察や文献をまとめた二次資料であり、割合を比べるには、地域や季節を決めた調査報告が必要になる。この点は、さらに調べる価値のある問いとして残る。
5. 木の えだの 先を、じっくり 見て みよう
5. 庭や公園で、枝先の「食事」を見てみる
5. 観察のしかたと、読んでみたい資料
メジロを 見かけたら、遠くから そっと 見て みましょう。見る ところは 1つ。「くちばしが、なにに むいて いるか」です。
花に 顔を 入れて いるのか。えだの 上を つついて いるのか。木の 実に とまって いるのか。見えた ことを ノートに 書いて おくと、あとで 自分だけの 食べものの 記ろくに なります。
ぜったいに、近づきすぎて いけません。メジロが にげて しまいます。木の 実や 花を とったり、えだを おったり するのも やめましょう。
おうちの 人と 図鑑を ひらいて、「昆虫」「果実」「みつ」が どう 書いて あるか、見くらべて みるのも おもしろいですよ。
メジロを見かけたら、遠くから静かに観察してみましょう。見るのは、くちばしが何に向いているか、です。花に顔を入れているのか、枝や葉をつついているのか、実に止まっているのか。
見えたことと、その木が何の木だったかを、メモに残します。同じ鳥が、花と実のどちらで時間を使うかが見えてくるかもしれません。ただし、たまたま見えた数回で全体を決めるのは禁物です。
近づきすぎず、鳥が逃げない距離を保ってください。花や実を取ったり、枝を折ったりしないでください。
辞典の項目(コトバンクにまとめられています)と、新潟県や国土交通省の鳥の解説[2][3]を読み比べると、食べ物の書き方が資料でどう違うかが分かります。
観察では、くちばしの向きと採食対象(花・実・枝や葉の上の虫)、その木の種類を記録する。1回の観察では季節ごとの変化は言えないので、同じ場所で時期を変えて続けると、解説文の「冬は木の実、春は蜜」という記述を、自分の目で確かめられる。鳥を驚かせない距離を保ち、花や実を取らない。
資料としては、食性の複数の記述の食いちがいは辞典の項目[1]、冬の庭での姿は国土交通省の解説[3]とキヤノンの解説[4]、舌の構造はクーパーの論文[6]が出発点になる。英語の論文に挑戦したい人は、クーパーの論文でメジロ類の舌の写真つきの報告を原典で確かめられる。日本語では、辞典の項目や自治体の解説から読みはじめるとよい。メジロ自身の舌の仕組みや季節ごとの割合は、まだ資料が少なく、調べる余地が残る。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:辞典・図鑑の項目、都道府県と国の機関の鳥類解説、企業・財団の解説、学術誌の論文を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- コトバンク「メジロ」(日本大百科全書・世界大百科事典・小学館の図鑑NEO・マイペディア・ブリタニカ国際大百科事典の項目)。https://kotobank.jp/word/メジロ (全長・分布・食べ物・舌の形・大好物について)
- 新潟県 環境対策課「鳥類解説」(メジロ)。https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/20210121aicho-2.html (樹上での採食と生活の様子について)
- 国土交通省 九州地方整備局 山国川河川事務所「山国川の鳥 メジロ」。https://www.qsr.mlit.go.jp/yamakuni/birds/bird/meziro.html (冬の庭木での採食について)
- キヤノン「バードブランチ メジロ」。http://global.canon/ja/bird-branch/photo-gallery/mejiro/ (秋冬の庭での姿と、カンツバキの蜜について)
- Honda「ホンダの森 ライブラリ」。https://global.honda/jp/philanthropy/hondawoods/forest/library/052/ (冬の食べ物、春の蜜、くちばしの使い方について)
- Cooper, 1974, "The Brush-Tongued Silvereye," Australian Field Ornithology 5(4)。https://afo.birdlife.org.au/afo/index.php/afo/article/view/1527 (メジロの仲間のブラシ状の舌について。要旨を参照)
なおした ところ
更新履歴
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