1. おしっこの 100ばいの 水が、まず こされる
1. 出る尿の約100倍の液が、まず作られる
1. 腎臓は原尿150Lから尿1.5Lをつくる
じんぞうは、せなかの 方に 2つ ある、にぎりこぶしぐらいの 大きさの ぞうきです。ソラマメの かたちを して います[1][3]。
この 小さな ぞうきの 中で、血は 1日に 150リットル ぐらい こされます。1.5リットルの ペットボトルで 数えると、100本ぶんです。
けれど おしっこと して 出るのは、1.5リットルぐらい。ペットボトル 1本ぶんです[1]。のこりの 100本のうち 99本ぶんは、また 体に もどされます。
たとえば、100まいの カードを ぜんぶ ならべて 見てから、1まいだけ 外に 出して、のこりは ぜんぶ もとの はこに もどす ようすを 思いうかべて ください。ただし 本当は、水や 体に いる ものを もどす しくみです。
なぜ、わざわざ たくさん こして、また もどすのでしょう。つぎの しょうで 見て みましょう。
腎臓は、背中側に左右1つずつある臓器です。長さ約10cm、幅約5cm、重さ120〜150gのソラマメの形をしていて[1]、アメリカの研究機関NIDDKも、握りこぶし大の豆の形と説明しています[3]。
この小さな臓器の中で、血液は1日に約150リットルこされます。こされた液は「原尿」と呼ばれます。一方、体の外に出る尿は1日約1.5リットルです[1]。150÷1.5で、約100倍の差です。
なお、原尿の量は資料で数字が分かれます。日本の病院の資料と一般向け解説は約150リットル[1][2]、医学書のMSDマニュアルは約180リットルとしています[4]。ここでは「約150〜180リットル」と幅で考えます。NIDDKは単位がクォート(約0.95リットル)で、「腎臓を通ってろ過される血液の総量」を1日約150クォートと書いており、原尿の150〜180リットルとは別の量を指す数字です[3]。
1つの腎臓には、尿を作る小さな単位「ネフロン」が約100万個あります[1]。この100万個が全部で150リットル前後をこしている計算です。ではなぜ、こした液のほとんどを戻すのでしょうか。
腎臓はソラマメ形で、成人では長さ約10cm・幅約5cm・重さ約120〜150g、1つあたり約100万個のネフロンを持つ[1]。この小さな器官を1日に通る血液から、糸球体でろ過されて原尿ができる量は、白十字病院の資料と一般向け解説で約150L[1][2]、MSDマニュアルでは約180Lと書かれ[4]、資料によって幅がある。
一方、実際の尿量は1日約1.5L(一般向けには1〜2L)である[1][2]。150÷1.5=約100倍だから、原尿の約99%が再吸収されて体内に戻る計算になる。MSDは尿になるのが約1.5〜2%と書き、数字が少し食いちがうため、本稿では約99%という目安で話を進める[4]。
米国のNIDDKは、1日に約150クォートの血液がろ過され、尿になるのは1〜2クォートと書く[3]。この150クォートは「腎臓を通ってろ過される血液の総量」で、リットルの資料にある原尿150〜180Lとは別の量である。単位も違うので、リットルの150とクォートの150を混同しないよう注意が要る。
では、なぜこのような二段構え、つまり大きくこしてから戻す形になっているのか。そこに、尿細管の再吸収と、水と塩分の調節がかかわる。
2. もどす りょうを かえて、水の りょうを ととのえて いる
2. 戻す量を加減して、水分と塩分を調節する
2. 再吸収の量を変えて、水・電解質・酸塩基を調節する
こされた えきは、さいごに 「にょうさいかん」と いう 細い くだを とおります。そこで 水や 体に いる ものが 血に もどされます[1]。
じんぞうの しごとは、大きく 4つと いわれます。水と しおの バランスを とる。からだの さんと アルカリの バランスを とる。いらない ものを 外へ 出す。ホルモンを つくる。この 4つです[1]。
水を たくさん のんだ 日と、あせを たくさん かいた 日では、体に 入る 水の りょうが ちがいます。もどす りょうを かえる ことで、体の 中の 水を ちょうど よく たもって いる、と 考えられて います。
血を しらべる けんさで 「クレアチニン」と いう ものの 数が 高いと、じんぞうの はたらきが 弱く なって いる てがかりの ひとつに なります[1]。じんぞうは、水の ほかにも、いろいろな しごとを して います。
じんぞうは、血を つくる ホルモンも 出して いると 聞いたら、おどろきませんか。
糸球体でこされた原尿は、その先の「尿細管」という細い管を通ります。ここで、水や体に必要な成分が血液に戻されます。これを再吸収といい、原尿の約99%がここで戻ります[1]。
腎臓の働きは、大きく4つにまとめられます。水分と電解質(塩分など)の調節、体の酸とアルカリのバランスの調節、老廃物の排出、そしてホルモンの産生です[1]。
水をたくさん飲んだ日と、汗を多くかいた日では、体に入る水分量がちがいます。戻す量を変えることで、体の中の水分と塩分の量を保っていると考えられています。ただし、この調節の細かいしくみは、ここでは扱いません。
検査の面から見ると、血液中のクレアチニンという物質が増えると、腎機能低下を示す手がかりの一つとされます[1]。腎臓が老廃物を出す役を果たしているかどうかが、この数字に表れるということです。
4つの仕事のうち、意外に知られていないのが最後のホルモンです。腎臓は、血をつくる指令まで出しています。
ろ過された原尿は尿細管を通るあいだに、水や電解質などが再吸収される。白十字病院の資料は腎臓の機能を4つにまとめている。老廃物を出すこと、水分と電解質を整えること、酸と塩基のバランス(酸塩基平衡)を整えること、そしてホルモンをつくり調節することである[1]。体液の恒常性を保つため、再吸収の量を条件に応じて変えることで水と塩分の出入りを調節している、と理解される。ただし、その細かい調節機構は、本稿で使った資料の範囲を超える。
臨床検査では、血中クレアチニンの上昇が腎機能低下の指標になる[1]。クレアチニンは老廃物の1つであり、ろ過が落ちると血中に残りやすくなる、という関係で使われる。
4つのうち最後の「ホルモン産生」は、腎臓を「ろ過器」とだけ見ていると見落としやすい。次章では、この4つ目に絞る。
3. 小さな じんぞうは、血や ほねの しごとも して いる
3. 腎臓は、赤血球・血圧・骨に関わる物質も作っている
3. エリスロポエチン、レニン、活性型ビタミンD 腎臓が関わる3つの働き
じんぞうは、せきけつきゅうと いう 血の つぶを ふやす ホルモンを つくります。名前は 「エリスロポエチン」です[5]。
また、血を おす 力(けつあつ)を あげる ものも つくります。「レニン」と いいます[5]。
ほねを 強く たもつ ことにも、じんぞうが かかわって います。皮ふで つくられたり 食べものに 入ったりして いる ビタミンDを、はたらく かたちに かえて くれるからです[4][3]。
だから じんぞうが 弱ると、血が 足りなく なったり、けつあつが おかしく なったり する ことが あります[5]。
では、水の あつかいは どうぶつによって ちがう のでしょうか。
東北大学の研究チームの発表によると、腎臓の間質線維芽細胞は、赤血球を増やすためのホルモン「エリスロポエチン」を作ります。傍糸球体細胞は、血圧を上げる物質「レニン」を作ります[5]。
エリスロポエチンは骨髄に働きかけ、赤血球が作られるのを促します。レニンは血圧の調節にかかわります[4]。さらに腎臓は、皮膚で作られたり食べ物から入ったりしたビタミンDを、体の中で働く「活性型」に変える役目も持ちます[4]。NIDDKも、腎臓が血圧を調節するホルモンを作り、赤血球を作る働きを助け、骨を丈夫に保つのを助けると説明しています[3]。
東北大学の発表は、腎臓病になるとこの2つのホルモンの働きが乱れて、貧血や血圧の異常が起こりうる、と述べています[5]。つまり腎臓は、血のこしとりだけでなく、赤血球と血圧に関わるホルモンを作り、ビタミンDを活性型に変えて骨の維持も助けています。
ここまでは、ヒトの腎臓の話でした。では、水が手に入りにくい砂漠にすむ動物の腎臓は、どうなっているのでしょうか。
腎臓は、ろ過する臓器であると同時に、内分泌器官でもある。東北大学の鈴木教郎らの研究(EBioMedicine 2021)のプレスリリースによれば、腎臓では2種類の細胞がそれぞれ別の物質を出すことが知られている。間質線維芽細胞は赤血球を増やすホルモンのエリスロポエチンを、傍糸球体細胞は血圧を上げるレニンを出す。そのため腎臓病になると、これらがうまく働かず、貧血や血圧の異常が起こりうる[5]。
MSDマニュアルは、エリスロポエチンが骨髄での赤血球産生を促し、レニンが血圧調節にかかわること、さらに皮膚で産生され食物にも含まれるビタミンDを活性型(カルシトリオール)に変換する腎臓の役割を挙げる[4]。NIDDKも、血圧を調節するホルモン、赤血球産生の補助、骨の維持を、腎臓の働きとして並べている[3]。2つの資料の説明は、細部は違っても、血圧・赤血球・骨という3つの方向でそろっている。
つまり腎臓は、老廃物のろ過に加えて、赤血球と血圧に関わるホルモンを作り、ビタミンDを活性型に変えて骨の維持を助ける。再吸収の「量の調節」と、ホルモン産生という二重の役割が、1つの臓器に集まっている。
この調節の中心にあるのが水分の出入りである。では、水が極端に少ない環境の動物は、この調節をどこまで強められるのか。
4. 水を のまない ネズミが いる? おしっこを とても こく する
4. 水を与えられなくても体重を保ったカンガルーネズミの腎臓
4. カンガルーネズミの尿濃縮 6000 mosmol/kgH2O超という数字の読み方
さばくに すむ「カンガルーネズミ」と いう 小さな ネズミが います。この ネズミは、おしっこを とても こく できます[6]。
けんきゅうでは、かって いる 間は 水を あげずに、鳥の えさと ホウレンソウ だけで、体重が かわりませんでした[6]。ただし、これは かって いる ときの はなしで、ぜんぶの ネズミが 水を のまない と いう 意味では ありません。
おしっこが こい、とは、体に いらない ものを、少ない 水に とかして 出せる、と いう ことです。水を つかう りょうが 少なくて すみます。
京都大学の しりょうの ひょうでは、ヒトの おしっこの こさの いちばん 上は 1.4、スナネズミは 6.3 と 書かれて います[7]。じんぞうの 力は、いきものに よって ずいぶん ちがいます。
では、まわりが 海の 水だらけの クジラは、どうして いるのでしょう。
カンガルーネズミ(Dipodomys merriami)は、尿を6000 mosmol/kgH2O以上にまで濃縮できると報告されています。この数字は、実験用ラットのほぼ2倍にあたります[6]。mosmolは、尿にとけている粒の濃さを表す単位です。
この研究では、飼育下のカンガルーネズミに水を与えず、鳥のえさとホウレンソウだけで体重を保てたとされています[6]。野外の暮らしでもまったく水を飲まないとまでは言えませんが、水の節約が得意なことは数字から分かります。
別の資料(京都大学の講義資料が引く表)では、ヒトの尿の最大濃度は1.4 Osm/Lと書かれています[7]。ただし、こちらは動物も単位も別の資料なので、カンガルーネズミの数字と直接は比べず、それぞれの値として見てください。
同じ表では、ビーバーは約520、ブタは約1,100、ネコは約3,100と書かれ、スナネズミは約6,300(単位はいずれもmosmol/L)でした[7]。種の数が限られた表なので、動物ごとに尿の濃さがかなりちがう、という見方にとどめます。
水の少ない砂漠とは反対に、まわりが塩辛い水ばかりの海では、腎臓はどう働くのでしょうか。
カンガルーネズミ(Dipodomys merriami)は、尿を6000 mosmol/kgH2O超まで濃縮でき、これは実験用ラットのほぼ2倍とされる。飼育下で水を与えず、鳥のえさとホウレンソウだけで体重を保った、という記述もある[6]。野外でも水を一滴も飲まないと言い切る根拠にはならず、条件つきの観察である。
京都大学の講義資料は、Nielsen(1960)の表を引き、哺乳類の尿の最大濃度(Osm/L)を、ビーバー0.52、ブタ1.1、ヒト1.4、シロネズミ2.9、ネコ3.1、スナネズミ6.3と並べ、尿と血漿の濃度比ではヒト約4に対し、最高の種では約17とする[7]。
カンガルーネズミの6000 mosmol/kgH2O超と、京都大学の表のヒト1.4 Osm/L・スナネズミ6.3 Osm/Lは、動物も単位も測り方も別なので、割り算で倍率にはしない。各資料の値を、種名と単位つきで別々に読むのが安全である。
尿を濃くできるほど、同じ量の老廃物と塩分を出すのに必要な水が減る。一方、逆の問題もある。環境の水が体液より塩辛い海ではどうなるのか。
5. クジラは 海の 水を のんで いるの?
5. 海水1リットルを飲む計算では、ヒトは水を失いクジラは増える
5. 海水1Lを飲んだときの水収支 ヒトとクジラの尿量の差
海の 水は、とても しょっぱい ですね。ヒトが 海の 水を 1リットル のんだと すると、おしっこが 1リットルより 多く 出て、水を 350ミリリットル なくして しまいます[7]。のどが かわいて、ますます 水が 足りなく なる わけです。
ところが クジラは、同じ 1リットルを のんだ ときの けいさんでは、おしっこは 650ミリリットル だけで、水が 350ミリリットル ふえます[7]。この ひょうの じょうけんでは、クジラの ほうが おしっこを すくなく できる、という ことです。
けれど これは「1リットル のんだら」の けいさんです。実さいの クジラは、海の 水を ほとんど のまない、と 考えられて います[8]。たべものから 水を つくって いる、と 言われます。
体の 中の しおの こさは、海の 水の 3ぶんの 1ぐらいで、りくの どうぶつと あまり かわりません[8]。
じんぞうは、しずかに はたらいて います。その せいで、こまる ことも あります。
脊椎動物が海水を飲むと、体液の塩分が上がります。尿を海水よりうすくしか作れない動物では、水を失って脱水します。京都大学の講義資料が引く表では、ヒトが海水1リットルを飲むと尿が1350ミリリットル出て、差し引き350ミリリットルの水を失います。クジラは尿が650ミリリットルで、350ミリリットルの水が増えます[7]。
差が出るのは、尿をどこまで濃くできるかという腎臓の力が違うからです。クジラはヒトよりも濃い尿を作れるので、この表の条件(海水1リットルを飲む計算)では、尿の量を少なくできます[7]。
ただし、この表は「1リットルの海水を飲んだ場合」の実験値です。北海道大学の論文要旨は、クジラ類のほとんどは海水という塩の濃い環境にいても、体液の浸透圧や塩分は海水の約3分の1で、陸の哺乳類と大きく変わらない範囲に保たれていると書きます。海水を飲むことはほとんど見られず、食べ物からできる代謝水で水分を保っていると考えられています[8]。
つまり、この表の計算では、クジラの腎臓は尿を少なくできます。一方で、普段は海水をほとんど飲まないようなのです。
こうして見ると、腎臓は動物ごとに水と塩の出入りの腕前を変えています。では、私たちの腎臓は、日々どんな状態なのでしょうか。
京都大学の講義資料(Nielsen 1997を引用)は、脊椎動物が海水を飲むと体液の塩分が上がり、海水と同程度に濃い尿を作れない動物では脱水する、と整理する。表では、海水1Lを飲んだ場合、ヒトは尿1350mLで差し引き350mLの水を失い、クジラは尿650mLで350mLの水が増える[7]。ヒトが海水を大量に摂ると脱水症状を起こすのは、腎機能の差による、という説明である。
この表は1L飲んだ場合の実験値であり、クジラが日常的に海水を飲むことを意味しない。北海道大学の学位論文要旨(尾留川直子 2006)は、次のように述べる。クジラ類の多くは浸透圧の高い海にすむが、体液の浸透圧や塩の濃さは陸の哺乳類とさほど変わらず、海水のおよそ3分の1にとどまる。海水はほとんど飲まず、えさを代謝してできる水で水分をまかなっていると考えられている[8]。
同じ講義資料は、は虫類や鳥類が腎臓で出せない塩を、頭部の腺から出すとも書く[7]。尿を濃くする、塩を別の臓器で出す、そもそも塩辛い水を飲まない、と、水の問題の解き方は生物によって複数ある。
この比較を通じて、腎臓の機能は「どこまで尿を濃くできるか」という1つの軸で見ると、環境と食物に合わせた幅の広さが見える。
6. じんぞうの びょうきは、はじめは 気づきにくい
6. 静かに働く腎臓は、弱っても気づきにくい
6. 慢性腎臓病の推計は、ガイドラインの版で変わる
じんぞうは、1日じゅう 休まずに はたらいて いますが、わたしたちは その はたらきを かんじません。
じんぞうの びょうきの ひとつに、「まんせいじんぞうびょう」が あります。日本では、おとなの 5人に 1人、およそ 2000万人が かかって いると、見つもられて います[9]。はじめの うちは、たいてい 自分で 気づく しょうじょうが ありません[9]。
だからこそ、学校や 会社の けんしんで、おしっこや 血を しらべる ことが たいせつに されて います。
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きが少しずつ落ちていく病気の総称です。日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2024」にもとづくと、日本の患者は約2,000万人、成人の5人に1人と推計されています[9]。初期にはほとんど自覚症状がなく、気づかないまま進むことも多いとされます[9]。
推計は、調べた時期や基準によって変わります。同じ学会の2009年版ガイドラインは、1,330万人、成人の8人に1人としていました[10]。推計は版によって変わるため、一つの数字を覚えるより、どの版の数字かを見ることが大切です。
ここまで見てきたように、腎臓は静かに、しかも大量の仕事をしています。検査で早く気づければ、その働きを守る手がかりになります。
慢性腎臓病(CKD)の患者数は、日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」の推計として、約2,000万人(成人の5人に1人)とされる。初期には自覚症状がほとんどなく、無症状のうちに進行することも多い[9]。
一方、同学会の2009年版ガイドラインの序文は、患者数1,330万人・成人の8人に1人としていた[10]。同じ学会の推計でも版によって数字が異なるので、1つの数字だけを覚えるのではなく、「どの版か」を確認する必要がある。2,000万と1,330万の差が実際の増加か、推計方法の変更かは、本稿の資料だけでは切り分けられない。
無症状で進みやすいことは、1章の規模(150Lをこして1.5Lに)とも矛盾しない。なぜ無症状で進みやすいのかを説明する記述は、本稿の資料にはない。
7. じぶんの 水の 出入りを、1日だけ 見て みよう
7. 1日の水の出入りを、家で記録してみる
7. 水分の出入りを1日記録し、原典で数字を確かめる
1日の あいだに、のんだ 水の コップの 数と、トイレに いった 回数を、紙に かいて みましょう。
あせを かいた 日と、あまり かかない 日で、くらべて みます。数が かわるか、おしっこの 色が かわるか、見て みましょう。
のんだ ものと、出た ものが ちがう日は、じんぞうが もどす りょうを かえて いる のかも しれません。
ただし、おしっこを はかる ひつようは ありません。気に なる ことが あれば、おうちの 人に 聞いて ください。
1日の水の出入りは、家にあるもので記録できます。使うのは、コップ(容量が分かるもの)と紙とえんぴつです。
飲んだコップの数に容量をかけて、1日に飲んだ量を出します。トイレに行った回数も、書きとめます。汗をたくさんかいた日と、かかなかった日で、飲んだ量や回数、尿の色がどう変わるかを比べます。尿量を計る必要はありません。
もう1つ、頭の中でできる計算があります。150リットルは、1.5リットルのペットボトル100本分です。家にある1.5リットルのボトルを1本置いて、それが100本並んだ景色を想像すると、腎臓が1日にこしている量が実感できます。出る尿は、そのうちの1〜2本分です。
腎臓や、その数字を詳しく知りたいときは、次の資料が入口になります。NIDDKの解説は英語ですが、図が多く、日本の資料の数字と見比べる楽しみがあります[3]。
家にあるもので、水の出入りを1日記録できる。コップの容量を量って飲んだ量を出し、トイレの回数と尿の色を書きとめ、汗をかいた日とかかない日で比べる。尿量そのものは計らなくてよい。こうした記録から、水分の出入りの日ごとの差を観察できる。
数字を原典で確かめるなら、1章の150L(白十字病院[1]、MSDマニュアル[4])、4〜5章の濃度と海水の表(京都大学講義資料[7]、Nielsen 1960・1997が元)、動物の論文(PMC[6]、北海道大学[8])、CKDの推計(三重県[9]、日本腎臓学会[10])を、それぞれ見比べる。特に京都大学の講義資料の表は、種ごとの数字が1枚にまとまっていて、自分で割り算をして遊びやすい。
数字が資料で違う例もある。たとえば原尿の約150Lと約180L、CKDの1,330万人と2,000万人は、どちらも「どの資料の何版か」で変わる。数字を見るたびに出典と版を確かめる習慣が、このテーマを自分で調べる入口になる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数字は、複数の資料で突き合わせて使っています。原尿の量は資料で約150Lと約180Lに分かれるため、幅で示しました。
- 白十字病院 臨床検査日和 第33号(2023年12月) https://www.fukuoka.hakujyujikai.or.jp/about/pamphlet/104 (腎臓の大きさ、ネフロン、原尿と再吸収、4つの働き)
- HugKum「腎臓は体の清掃員」 https://hugkum.sho.jp/523568 (原尿の量の裏づけ)
- NIDDK “Your Kidneys & How They Work” https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/kidneys-how-they-work (ろ過の規模とホルモンの裏づけ)
- MSDマニュアル家庭版「腎臓」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/05-腎臓と尿路の病気/腎臓と尿路の生物学/腎臓 (原尿約180L説、ビタミンDとホルモン)
- 東北大学 プレスリリース(鈴木教郎ら、EBioMedicine 2021) https://www.med.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/2021/11/tohokuuniv-press_Suzuki0127.pdf (エリスロポエチンとレニン)
- Urity et al. 2012 “Architecture of kangaroo rat inner medulla” https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3774486 (カンガルーネズミの尿濃縮)
- 京都大学OCW 動物生態機構学 第12回 https://ocw.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/2012_doubutsuseitaikikougaku_12.pdf (尿の最大濃度の比較、海水1Lの水収支)
- 北海道大学 学位論文要旨(尾留川直子 2006) https://www.lib.hokudai.ac.jp/gakui/2006/8023_birukawa.pdf (クジラ類の体液の塩分と水分の保ち方)
- 三重県 慢性腎臓病(CKD)ページ https://www.pref.mie.lg.jp/KENKOT/HP/m0068900230.htm (CKD患者数の推計、自覚症状)
- 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009 発刊にあたって https://jsn.or.jp/guideline/pdf/CKDriji.pdf (旧版の推計)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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