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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

くじらは、みみの あなが ふさがって いても きこえるの?

クジラの耳の穴はふさがっている ── 下あご・頭の骨・血でふくらむ耳で、水中の音を聞く海の哺乳類

クジラやアザラシは、耳の穴がふさがっていても水の中の音をどう聞くのか

分野:生きもの

くじらや いるかの 耳の あなは、ふさがって います。それなのに、水の なかの 音を ちゃんと 聞いて いるのです。

いったい、どこで 聞いて いるのでしょう。この きじを よむと、いるかは したあご、おおきな くじらは あたまの ほね、あざらしは 血で ふくらむ 耳を つかっていると かんがえられて いる ことが わかります。

クジラ類の耳の穴は、ふさがっています[3]。それなのに、海の中の音を聞き取っています。

音の入り口はどこにあるのでしょうか。この記事を読むと、イルカは下あご、大きなヒゲクジラは頭の骨、アザラシは潜ると血で満ちる中耳の組織を使うと考えられていることと、その根拠になった研究が分かります。

鯨類の外耳道はふさがっており、顔面に届いた音は皮膚を越えて内耳へ伝わる必要がある[3]。陸の哺乳類の耳の使い方では、水中の音は説明しきれない。

では、ハクジラ・ヒゲクジラ・アザラシは、どこから音を取りこんでいるのか。この記事を読むと、下あごの脂肪体を通る経路、頭骨の振動(骨伝導)、潜水中に血液で満ちる中耳の海綿状組織という3つの仕組みと、それぞれの根拠の強さ、まだ分かっていないことが分かる。

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1. みみの あなが ふさがって いても、水の なかの 音は 聞こえるの?

1. 耳の穴がふさがっていても、水中の音は届くのか

1. 外耳道がふさがった鯨類は、水中の音をどう受け取るのか

音は、水の なかでは 空気の なかより はやく つたわります。空気では 1びょうに 340メートルほど、水では 1500メートルを こえる はやさです。わり算を すると、4ばいと はんぶん ほど はやい ことが わかります[1]。

水の なかは くらくて、目が あまり やくに たたない ことが あります。でも 音は、くらい ところでも とおくまで とどきます。ものの うしろにも まわりこみます[2]。だから 海の どうぶつには、音が とても たいせつな てがかりです。

ところが、くじらの なかまは 耳の あなが ふさがって います。そとの 音は、かおの かわを こえて、おくの 耳に とどかなければ なりません[3]。

ここで やくに たつのが、あたまに つまった 「おんきょうしぼう」という あぶらです。あぶらは 音を つたえやすいと いわれます[3]。では、いるかは かおの どこで 音を うけとるのでしょう。

海の中は、深くなるほど暗くなります。そこで暮らす動物にとって、目に代わる手がかりが音です。音は暗いところでも遠くまで伝わり、ものの裏側にも回りこみます[2]。

しかも、水の中の音は速く進みます。水中で約1500〜1530m/秒、空気中で約340m/秒とされ[1]、1530÷340を計算すると約4.5倍です[2]。「5倍」と丸めて紹介する資料もありますが、計算すると4倍半ほどです。

耳の穴がふさがるという問題

ところが、クジラ類は耳の穴がふさがっています。顔に届いた音は、皮膚を越えて内耳まで伝わらなければなりません[3]。

この道すじの材料になっているのが、頭に詰まった「音響脂肪」です。脂肪は音を伝えやすく、頭部には音を伝える音響脂肪があります[3]。また、機能する耳たぶもなく、脂肪が耳たぶの代わりに水中の音を集めて中耳へ導くと説明されています[1]。では、イルカの顔のどこが「耳」の役をしているのでしょうか。

水中の音速は約1500〜1530m/s、空気中は約340m/sである[1]。1530÷340は約4.5であり、資料によっては「5倍」と丸められるが、実際の比は4倍半ほどになる[2]。音は暗所でも遠くまで伝わり、物体の背後にも回りこむため、視覚やにおいが弱まる水中では、海の動物にとって重要な情報源になる[2]。

ところが鯨類は外耳道がふさがっており、顔面に届いた音は皮膚を越えて内耳に達する必要がある[3]。脂肪は音波を伝えやすく、その頭部には音を伝える「音響脂肪」がある[3]。DOSITS の解説によれば、鯨類には機能する外耳(耳たぶ)がなく、独特の脂肪が耳たぶの代わりに水中の音を集めて中耳へ導く[1]。この脂肪が実際にどこからどう音を入れるのか。次に、ハクジラ類の経路を見る。

2. いるかは かおの どこで 音を 聞いて いるの?

2. イルカは下あごで音を受けとっている

2. ハクジラの「音響窓」── 下あごの脂肪体が音を中耳へ運ぶ経路

いるかは、したあごの うしろの ほうから 音を 聞いて いると かんがえられて います。したあごの ほねは、そこだけ うすくなって いて、「まど」のように なって います[4]。

この まどから 入った 音は、したあごの なかの あぶらを とおって、おくの 耳の ほねに とどきます[4]。

いるかは 自分で 「カチカチ」という 音を だして、えものに ぶつかって もどって きた 音を 聞きます。もどって きた 音も、この したあごの まどで うけとると せつめいされて います[5]。

げんかんの とびらが ふさがった いえでも、まどが あれば 人は 入れます。いるかの したあごは、音が 入る まどの ような ものです。ただし、これは わかりやすく した たとえで、ほんとうの しくみは もっと こまかく できて います。

では、この あぶらは、どこから きたのでしょう。

イルカやハクジラの仲間では、音は下あごの後ろの、骨が薄くなった部分から入ると考えられています。この部分は「音響窓」と呼ばれます。音は音響窓から下あごの脂肪体を通り、中耳の骨へ伝わります[4]。この経路は1964年にノリスという研究者が提案し、今も有力な説明とされています[4]。

ただし、「下あごだけ」と言い切れるわけではありません。同じ論文は、のどに近い別の入り口の可能性も報告しています[4]。

自分で出した音のこだまを聞く

イルカは、クリック音を出し、前方にしぼったビームにして放ちます。獲物にはね返った音は、下あごの音響窓で受け止められ、中耳を通って脳へ送られます[5]。音を出す側の話は省いて、ここでは返ってきた音を受け取る側に注目しました。

玄関のドアがふさがった家でも、窓があれば人は入れます。イルカの下あごは、音が入る窓のようなものです。ただしこれは分かりやすくした例えで、実際は骨と脂肪と中耳が組み合わさった、もっと複雑なつくりです。

この脂肪体は、いったいどこから来たのでしょうか。

ハクジラ類では、音は下顎後部の骨が薄くなった「音響窓」から入り、下顎の脂肪体(mandibular fat body)を経て、中耳の鼓室周囲骨複合体へ伝わるとされる。この経路は1964年にノリスが提案し、現在も有力とされている[4]。ただし同じ論文は、のどに近い別の入口の可能性も報告しており、「下あごだけ」と単純化はできない。

エコーロケーション(反響定位)では、出したクリック音をメロンでビームに絞って放ち、獲物からの反射波を下顎の音響窓で受ける。音響情報はそこから中耳を経て脳へ送られる[5]。陸の動物の耳介と外耳道に当たる役目を、脂肪と骨の通り道が引き受けている、と考えると分かりやすい。中耳の3つの小骨はてこのように働き、一部の周波数で音圧を高めるとも説明されている[1]。

この脂肪体が、どこから現れたのか。次に、北海道大学の研究が示す由来を見る。

3. あごの あぶらは、むかしは きんにくだった?

3. 下あごの脂肪は、もとは「かむ筋肉」だったのか

3. 音響脂肪の由来 ── 筋肉と脂肪の中間の遺伝子発現が示すもの

ほっかいどう大学の けんきゅうでは、いるかの 音を つたえる あぶらを しらべました。すると、きんにくと あぶらの ちょうど なかほどの せいしつを もっていることが わかりました[3]。

いまの いるかは、えものを かまずに まるのみに します。かむための きんにくは いらなくなりました。かむ きんにくの 一ぶが、音を つたえる あぶらに かわったのではないか、という かんがえが あります[3]。

ただし、これは けんきゅうから みちびかれた かんがえで、かならず そうだったと きまった わけでは ありません。

さて、いるかよりも ずっと おおきな くじらは、どうやって 聞いて いるのでしょう。

この脂肪体の由来について、北海道大学の研究が手がかりを示しています。イルカの音響脂肪(頭のメロンと下あご)は、筋肉と脂肪の中間のような遺伝子の働き方を示したのです[3]。

研究では、獲物を丸のみするようになり、いらなくなったかむための筋肉(咀嚼筋)の一部が、音を伝える脂肪体に変わったのではないかと考えられています[3]。

筋肉のはたらきを失った組織が、別の役目を引き受けたのかもしれません。もっとも、これは遺伝子の働き方から導かれた見方で、進化の事実として証明されたと言うことはできません。

小さなハクジラで下あごが役に立つなら、体がずっと大きなヒゲクジラも同じでしょうか。

北海道大学の研究では、メロンと下顎の音響脂肪体が、筋肉と脂肪の中間的な遺伝子発現パターンを示した[3]。この結果から、獲物を丸のみするようになって不要になった咀嚼筋が、音を伝える脂肪体へと転用された可能性が考えられている[3]。

ここで注意したいのは、これが遺伝子発現という状況証拠にもとづく推論だという点である。筋肉が脂肪へ変わった過程そのものを直接観察したのではない。だから、進化の確定した事実としてではなく、「そう考えると中間的な発現パターンがよく説明できる」という仮説として受け取るのが、資料の強さに合っている。

では、歯のかわりにヒゲで餌をこしとるヒゲクジラは、同じ経路で聞くのだろうか。次に、頭骨を使う仕組みを見る。

4. おおきな ひげくじらは、あたまの ほねで 聞くの?

4. ヒゲクジラは、頭の骨をふるわせて低い音を聞く

4. ヒゲクジラの骨伝導 ── シミュレーションと頭骨実験、化石が示す低音の聞こえ方

ながすくじらの ような ひげくじらは、あたまの ほねの ふるえで 音を 聞いて いると かんがえられて います。ひくい 音は、ほねを とおって 耳に とどくのです。

2015ねんの けんきゅうでは、コンピューターの なかに くじらの あたまを つくりました。ひくい 音を あてると、ほねを とおる みちの ほうが、やわらかい ところを とおる みちより、さいだい 10ばい かんじやすいと わかりました[6]。これは コンピューターの けいさんの けっかです。

2025ねんには、こくじらの あたまの ほねを つかった じっけんが ありました。中耳の わきの ほねが、あたまの ほねよりも おおきく ふるえ、音が ほねから 耳に はいる みちすじの あとおしに なりました[7]。いきている くじらを しらべた けっかでは ありません。

では、はるか むかしの くじらも、ひくい 音を 聞いて いたのでしょうか。

2015年、カリフォルニア大学サンディエゴ校などの研究者が、ナガスクジラの頭部の3Dシミュレーションを行いました。ヒゲクジラでは、頭の骨の振動(骨伝導)が聞く主な仕組みと考えられています。シミュレーションでは、10〜130Hzの低い音で、骨伝導のほうが柔らかい組織を通る経路より最大10倍敏感でした[6]。コンピューターの上の結果で、生きたクジラの測定ではありません。最大10倍というのも、低い音の範囲での上限の値です。

頭の骨を使った実験

2025年には、コククジラの頭骨を使った振動実験が報告されました。170〜1000Hzの水中の振動を与えると、中耳側の骨(鼓室胞)は頭骨より大きく動き、振動が増幅される様子が確かめられました[7]。低い音が頭骨から内耳へ伝わる道すじを裏づける結果ですが、標本の実験であり、生きたクジラの聴力測定ではありません。

化石の耳に残る低音の記録

内耳にある蝸牛の渦の形や巻き数は、聞こえる音の高さの範囲と強く関係します。化石を含む41の標本を分析した研究では、50Hz以下の超低音を聞く力は中新世(約2300万〜500万年前)の中ごろまでに、20Hz未満を聞く力は中新世の後期までに備わったと推定されました[8]。ヒゲクジラが実際に何Hzまで聞こえるかは、生きた個体の測定が少なく、はっきりしていません。

水と陸の両方で暮らす海の哺乳類は、また別の道を選んでいます。

ナガスクジラ型のヒゲクジラでは、頭骨の振動による骨伝導が聴覚の主要な機構と考えられる。2015年の PLOS One 論文では、頭部の3Dモデル(有限要素シミュレーション)で、ナガスクジラが使う10〜130Hzの最低周波数帯において、骨伝導が軟組織経路より最大で10倍敏感だった[6]。これは計算上の結果であり、実測とは区別すべきである。また「最大10倍」は、低い音の範囲における上限である。

実測に近い裏づけとして、Scientific Reports(2025年)はコククジラの頭骨標本を使った振動実験を報告した。試した全周波数帯(水中の170〜1000Hz)で、鼓室胞の左右方向の動きが基底頭蓋より増幅された[7]。低周波が頭骨から内耳へ伝わる経路の支持になるが、生体の聴力測定ではなく、標本の振動実験という限界がある。

では、この低音の聴力はいつ備わったのか。蝸牛の渦の形と巻き数は可聴域と強く関係する。化石を含む41標本の分析から、50Hz以下の超低音の聴力は中新世中ごろまで、20Hz未満(超低周波)の聴力は中新世後期までに成立したと推定されている[8]。中新世は約2300万〜500万年前の長い時代で、年代は幅のある推定として読む必要がある。ヒゲクジラが実際に何Hzまで聞こえるかは、生体の聴力測定が少ないために、なお不確かだ。

では、水中と空気中の両方で暮らす動物は、どのように聞き分けているのか。次にアザラシを見る。

5. あざらしの 耳は、もぐると どう なるの?

5. アザラシの耳は、潜ると血で満たされるのか

5. 鰭脚類の両生的聴覚 ── 中耳の海綿状組織が潜水で膨らむという新しい報告

あざらしは、水の なかと りくの りょうほうで 音を 聞かなければ なりません。2026ねん7がつの ニュースでは、あざらしの 耳の なかの スポンジのような そしきが、もぐると 血で いっぱいに なり、ふくらむ ことが つたえられました[9]。

ふくらんだ そしきは、水の なかの 音を 耳の まくに つなぐ やくめを すると かんがえられて います。りくに あがると 血が ひいて、くうきで いっぱいの かたちに もどります[9]。

この しくみは、2600万ねんから 2700万ねんほど まえに すでに あったと、ほねの けんさで すいていされました[9]。

ただ、あざらしの なかまが みんな 同じではありません。あしかは くうきの なかで よく 聞こえる がたです。ぞうあざらしは 水の なかむきで、くうきの なかの 聞こえやすさは おちるようです[10]。

水と陸を行き来するアザラシは、水中と空気中の両方で音を聞かなければなりません。2026年7月に報じられた研究では、アザラシの中耳にある海綿状の組織に、潜ると血液が流れこんで膨らみ、水中の音を鼓膜に伝える働きをしていると報じられています。陸に戻ると血が引き、空気で満ちた構造に戻ります[9]。

この研究は、200以上の現生・化石標本をマイクロCTで分析し、この仕組みは約2670万年前よりも前にできたとしています。報道によっては約2600万年前とも伝えられているため、2600万〜2700万年前ごろと幅をもって読むのが安全です。ここで紹介したのは報道にもとづく内容です[9]。

同じ仲間でも、耳の使い方はちがう

アザラシやアシカの仲間でも、種によって耳の使い方が違います。アシカは空気中でよく聞こえる型、ゼニガタアザラシ(ハーバーシール)は空気中と水中でほぼ同じくらいに聞こえます。ゾウアザラシは水中向けに特化し、その分、空気中の感度が犠牲になっていると説明されています[10]。

脂肪、骨、血。海の哺乳類は、それぞれ別の材料を「耳」の一部にしていました。

真のアザラシ類は水中と空気中の両方で音を聞く必要があるが、2026年7月15日付の Proceedings of the Royal Society B の研究が、中耳の海綿状組織による仕組みを報告したと伝えられている。報道によれば、この組織には潜水中に血液が流れこんで膨らみ、水中の音を鼓膜へ伝える働きがあるとされ、陸では血が引いて空気を含んだ構造に戻る[9]。

現生・化石あわせて200以上の標本のマイクロCT分析から、この仕組みは約2670万年前以前に生じたとされる。ただし報道間で「約2600万年前」とも書かれており、2600万〜2700万年前という幅で扱うのが妥当である。ここでの記述は報道を経由した情報であり、細部の解釈は今後の論文の読み込みで変わりうる。

種ごとの差もある。Reichmuth らの両生的聴覚の整理では、ゼニガタアザラシは空気中と水中でほぼ同等に聞こえるのに対し、ゾウアザラシの聴覚系は水中での機能に適応し、空気中の感度を犠牲にしている。アシカは空気中で良く聞こえる型とされる[10]。同じ「耳の使い分け」でも、種ごとに配分がちがう。

ここまでで、鯨類の脂肪体、ヒゲクジラの頭骨、アザラシの海綿状組織という3つの「耳」が出そろった。

6. みみの あなを さがして みよう

6. 図鑑と水族館で「耳の穴」を探してみる

6. 「耳」の位置を、資料と自分の目で確かめる

今日できること

くじらや いるかの しゃしんが のっている ずかんを ひらいて、「耳の あな」を さがして みましょう。すぐには みつからないかも しれません。ちいさい あなだったり、見えなかったり するはずです。

あしかや あざらしの しゃしんと くらべて みましょう。おなじ 海の どうぶつでも、耳の ようすが ちがうかも しれません。

出かけてできること

すいぞくかんや どうぶつえんに いったら、いるかの かおを よく 見て みましょう。したあごの あたりに、音の はいる ところが あるのだと おもうと、見かたが かわります。

くじらの 歌は、とても とおくまで とどくと いわれます。どうして そんなに とおくまで とどくのでしょう。この ぎもんも、いつか しらべて みると おもしろいはずです。

今日できること

図鑑や写真集でクジラ・イルカ・アザラシ・アシカの顔の写真を並べ、「耳の穴」と「耳たぶ」を探してみましょう。クジラ類は目立つ耳の穴や耳たぶが見えにくく、アザラシやアシカの顔は、それとくらべるとどうかを見る練習になります。

もう一つ、1530÷340を電卓で計算してみてください。水中の音が空気中の何倍の速さかが出ます。「5倍」と丸められることもありますが、自分で割ると4.5という数が出てきます。

出かけてできること

水族館でイルカやアシカ、アザラシを見られたら、顔のどこに耳らしいものがあるか、見比べてみましょう。ガラスに近づくときは、決まりを守って静かに観察します。

この先の問い

「低い音のほうが遠くまで届く」という話は、この記事では扱っていません。クジラの歌がなぜ遠くまで届くのかを調べると、水中での音の伝わり方がさらに見えてくるはずです。

数字を自分で確かめる

水中と空気中の音速比は、1530÷340で約4.5になる。出典によっては「5倍」と丸められるので、丸めた数字をそのまま使わず、計算し直す習慣をつけたい。

資料を読む

経路の根拠の強さは資料ごとに違う。ハクジラの下顎経路(Nummela ら、PLoS One)、ヒゲクジラの3Dシミュレーション(UC San Diego の解説と PLOS One 論文)、コククジラ頭骨の振動実験(Scientific Reports)は、それぞれ対象も方法も異なる。

日本語で読めるのは、北海道大学の音響脂肪の研究紹介である。これらを並べて読むと、「どの結論が実測で、どれがシミュレーションや推論か」を自分で見分ける練習になる。

この先の問い

水族館で、アザラシやアシカの顔の耳の位置を観察してみよう。耳の形や穴の有無が種によって違うなら、資料の「聞き方の差」と結びつけて考えられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

水中の音速と鯨類の耳の説明は DOSITS、経路の根拠は論文とその解説、アザラシの新しい研究は報道に頼っている。

  1. DOSITS(海の音の発見)「Why is sound important?」 https://dosits.org/animals/importance-of-sound/why-is-sound-important (水中と空気中の音速・耳たぶの代わりの脂肪・中耳の小骨)
  2. Science Friday「Ocean sounds」 https://www.sciencefriday.com/articles/ocean-sounds-sing-like-a-fish-book/ (暗い水中での音の役割)
  3. 北海道大学 理学部 研究紹介「音響脂肪は筋肉だった」 https://www2.sci.hokudai.ac.jp/?p=17543 (鯨類の耳の穴・音響脂肪・筋肉との関係)
  4. Nummela, Cranford ほか PLoS One 2010 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2915923/ (ハクジラの音響窓と下あごの経路)
  5. ウッズホール海洋研究所 Amaral「Echolocation」 https://www.whoi.edu/science/b/people/kamaral/echolocation.html (イルカが返ってきた音を受ける仕組み)
  6. UC San Diego News「How whales hear」 https://today.ucsd.edu/story/how_whales_hear_3d_computer_simulations_of_a_baleen_whales_head_reveals_its (ヒゲクジラの骨伝導シミュレーション)
  7. Scientific Reports 2025 コククジラ頭骨の振動実験 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12019329/ (頭骨標本の振動実験)
  8. Park ほか Fossil Record 2018 https://fr.copernicus.org/articles/21/33/2018/ (蝸牛の形と低音聴力の化石分析)
  9. ナゾロジー「アザラシの耳」の報道記事 https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/198365 (2026年7月の研究の報道。論文本体ではなく報道に依拠)
  10. Tethys「Low-frequency amphibious hearing in pinnipeds」 https://tethys.pnnl.gov/publications/low-frequency-amphibious-hearing-pinnipeds-methods-measurements-noise-ecology (種ごとの空気中・水中の聞こえ方の差)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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