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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

たんぼで、どんな いきものが くらして いるの?

田んぼのまわりには、どれだけの生きものがいるのか ── 全国調査で見つかったカエルと、調べた子どもたち

田んぼのまわりに暮らす生きものと、水の管理 ── 参加者の約45%が小学生以下だった2009年度の全国調査から

分野:生きもの

日本に いる カエルは、19しゅ。その うちの 15しゅが、たんぼの まわりで 見つかりました[1]。2009ねんの 調査ちょうさです。しらべた 人の 45% は、小学生いかの 子どもでした。

たんぼは、人が つくった 小さな 池のようなもの。そこに、なぜ こんなに たくさんの いきものが あつまるのでしょう。この メモを 読むと、水ろの 小さな だんや、水を ぬく 日の ちがいで、フナや ヤゴが ふえたり へったり する ことが わかります。

日本にいるカエル19種のうち、15種が田んぼのまわりで見つかりました。2009年度の「田んぼの生きもの調査」の結果です[1]。この調査に参加した延べ5,069人のうち、約45%は小学生以下の子どもたちでした。

田んぼは、人が稲を育てるためにつくった、水をためる場所です。なぜそこに、これほど多くの生きものが集まるのでしょうか。この記事を読むと、水路と田んぼをつなぐ段差や、夏に水を抜く時期の違いが、フナやヤゴ、ホタルの幼虫の暮らしを左右する道すじが分かります。

2009年度の「田んぼの生きもの調査」(農林水産省・環境省)では、日本のカエル19種のうち15種(79%)が田んぼのまわりで確認された。しかも、参加した延べ5,069人のうち、約45%は小学生以下の子どもだった[1]。

なぜ田んぼのまわりに、これほど多様な生きものが集まるのか。水路と田んぼのあいだの段差、夏に水を抜く「中干し」の時期、育苗箱に施す殺虫剤の種類といった条件で、魚やトンボ、ホタルの幼虫、クモ、カエルがどう影響を受けるかを、国や県の資料から読み解くと分かる。

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1. しらべた 人の はんぶん ちかくが 子ども

1. 調査に参加した5,069人のうち、約2,300人は小学生以下

1. 全国調査の規模と、見つかった生きものの数

2009ねんの 5がつから 10がつまで、全国の たんぼで 生きものを しらべる 調査ちょうさが ありました。参加さんかしたのは、のべ 5,069人。その うち だいたい2,300人が 小学生いかの 子どもです[1]。

5,069の 45% を けいさんすると、だいたい2,280。ほぼ 2,300人に なります。みんなで たんぼや 水ろを のぞいて、見つけた 生きものを きろくして いったのです。

見つかった ものは、カエルが 19しゅ ちゅう 15しゅ。魚も、87しゅ 見つかりました[1]。ただし、ふえたり へったりの 年も あります。前の 年は、カエルが 13しゅでした[2]。

では、その 生きものは、たんぼの 中だけに いたのでしょうか。

2009年の5月から10月にかけて、農林水産省と環境省が連携した「田んぼの生きもの調査」が全国で行われました。参加したのは延べ616団体、5,069人。そのうち子ども(小学生以下)は約2,300人で、参加者全体の45%にあたります[1]。5,069に0.45をかけると約2,280なので、報告の数字とほぼ合います。

見つかった生きものも、数がまとまって報告されています。カエルは日本にいる19種のうち15種(約79%)。淡水魚は、島の固有種を除く約220種のうち87種が確認されました[1]。水生昆虫は、タイコウチ科、コオイムシ科、ゲンゴロウ科、ガムシ科の20種です。

数字は年によって動きます。前の年の2008年度の調査(611団体、約5,300人)では、魚は94種、カエルは13種、水生昆虫は27種でした[2]。年による差の理由は資料に書かれていないので、種数は「ある年の調べ」として読むのがよさそうです。

ところで、この15種は「田んぼの中」で見つかったのでしょうか。

「田んぼの生きもの調査2009」は、2009年(平成21年)5月から10月に行われ、延べ616団体・5,069人が参加した。子ども(小学生以下)は約2,300人で全体の45%を占める[1]。5,069×0.45は約2,281なので、報告の数字と合う。

結果を見ると、カエルは日本にいる19種のうち15種(15÷19≒79%)だ(前年度は13種)。淡水魚は、島嶼固有種を除く約220種のうち87種、水生昆虫はタイコウチ科・コオイムシ科・ゲンゴロウ科・ガムシ科の20種が確認された[1]。魚は母数が「約220種」と概数なので、本稿では割合にせず種数で書く。

では、年度で数字が違うのはなぜか。2008年度(611団体・約5,300人)は魚94種、カエル13種、水生昆虫27種で、2009年度とはずれている[2]。魚の確認地点が多い上位はドジョウ・ギンブナ・タモロコ・メダカ・モツゴ、カエルはニホンアマガエル・トノサマガエル・ヌマガエル・トウキョウダルマガエル・ツチガエルだった。年度による差の理由は資料に書かれていないので、増えた・減ったという傾向ではなく、各年度の結果として読むのが安全だ。

また、この数字は「水田の中」だけの話ではない。次に、調査がどこで生きものを見つけたのかを見る。

2. 生きものは、水ろにも いる

2. 田んぼの中だけではない ── 水路で見つかったメダカ

2. 調査の「水田まわり」には水路も含まれる ── メダカはどんな水路で見つかったのか

この 調査ちょうさで 見つかったのは、「たんぼの まわり」の 生きものです。たんぼの 中だけでは ありません。水ろや ため池、あぜなども ふくまれます[1]。

メダカは、日本では へって いる 魚です。2009ねんの 調査ちょうさでは、161か所で 見つかりました。そのうち 10の くいきは、それまでの 調査ちょうさでは 見つかって いなかった ところです[1]。

メダカが おおかったのは、水の ながれが ゆっくりな ところ。土の 水ろや、どろが たまった コンクリートの 水ろでした[3]。

たんぼと 水ろが つながって いるのは、大じな ことなのです。つながって いないと、どうなるのでしょう。

先ほどの数字は、田んぼの中だけで数えたものではなく、水路、ため池、畦など「水田のまわり」で確認された種の数です[1]。田んぼは、まわりの水路や池と一続きの水の世界の一部として調べられています。

メダカを例に見ます。当時の資料で絶滅危惧II類とされていたメダカは、2009年度に161地点で確認されました。これを全国を約10km四方で区切った区画(メッシュ)で見ると、それまでの調査で確認されていなかった10メッシュで、新たに見つかっています[1]。調査は、水田や水路が希少な種にとって大切な場所だと結論づけました。

以前の調査のまとめでは、メダカは流れが緩やかな場所や、土の水路、泥がたまったコンクリートの水路で多く確認されました。産卵に使う水草のあること、そして水田と水路、水路どうしが魚の行き来できる形でつながっていることが大切だ、と示されています[3]。

では、水路と田んぼのつながりが切れてしまうと、何が起きるのでしょうか。

この調査の「水田まわり」には、水田そのものに加えて、水路、ため池、畦などが含まれる[1]。カエルの19種のうち15種、魚87種といった数字は、田んぼの中だけの数ではなく、水の通り道全体で見つかった数だと読む必要がある。

2009年の資料で絶滅危惧II類とされていたメダカは、2009年度に161地点で確認された。これを約10km四方のメッシュで見ると、本調査でそれまで確認されていなかった10メッシュで新たに見つかっている。調査はこの結果から、水田や水路が希少種にとって重要な環境だと結論づけた[1]。

では、メダカはどんな水路で多く確認されたのか。以前の調査結果の報告によれば、流速が緩やかな場所、土水路、泥が堆積したコンクリート水路で多く確認された。産卵に必要な水生植物があること、そして魚が移動できるよう、水田と水路、水路間がつながっていること(連続性)が重要だと示唆された[3]。「示唆された」という表現は、因果が確定したのではなく、データの傾向だという意味だ。

連続性が重要だというなら、つながりが物理的に切れている場所では何が起きるのか。次はフナの産卵を手がかりに考える。

3. フナは、だんが あると 上れない

3. 水路と田んぼの段差 ── フナが産卵に上れない

3. 水路と水田の落差 ── フナの産卵と水田魚道

フナは、かわや 水ろ、たんぼを つかいわけて くらします。たまごを うむ ばしょは、たんぼです[4]。

もし、水ろと たんぼの あいだに だんが あったら、どうでしょう。フナは たんぼに 上れず、たまごを うむ ことが むずかしく なります[4]。

そこで 考えられたのが「水田魚道」です。水ろと たんぼの だんを、人が つくった 小さな 水の 道で つなぎます。ドジョウ、ナマズ、タモロコ、フナ、コイなどが、水ろから たんぼへ 上れるように なります[5]。

水の 中の ことだけでは ありません。たんぼの 水の ぬきかたも、生きものに ひびきます。

フナのなかまは、河川、水路、水田を使い分けて暮らしています。産卵と繁殖の場は水田です。農林水産省の環境配慮の手引きは、その水田と水路のあいだに移動の妨げ(段差など)があると、フナは水田へ上れず、産卵が難しくなると述べています[4]。

この問題に対する設備が「水田魚道」です。農地の区画を整える工事(ほ場整備)でできた水路と水田の落差を、人工の小さな水路でつなぎ、水田で産卵・成育する淡水魚を守ります。ドジョウ、ナマズ、タモロコ、フナ類、コイなどが、水路から水田へ上れることが挙げられています[5]。

人から見れば小さな段差も、魚にとっては産卵の場所へ行く道をふさぐことがあります。魚道は、その道を人の手で足す工夫です。

さて、魚が行き来できても、田んぼの水が突然なくなれば困る生きものがいます。

フナ類は河川・水路・水田を利用し、産卵・繁殖の場は水田だ。農林水産省の環境配慮の指針は、水田と水路の間に移動障害があると、水田へ遡上できず産卵が困難になると述べる[4]。前章の「連続性」を、魚の産卵という具体的な行動に置きかえた記述だといえる。

この移動障害への対策が水田魚道だ。ほ場整備で生じた水路と水田の落差を人工の水路でつなぎ、水田を産卵・成育に使う淡水魚を保全する設備で、対象としてドジョウ、ナマズ、タモロコ、フナ類、コイなどの水路から水田への遡上が挙げられている[5]。整備後に生じた落差を、魚の通り道として補う位置づけだ。

水路に魚道を設けても、水田の水の管理が合わなければ、卵や幼虫が育たないことがある。次は水を抜く時期を見る。

4. 水を ぬく 日で、ヤゴの うまれかたが かわる

4. 夏に水を抜く時期 ── ヤゴと、ホタルの幼虫の場合

4. 中干しの時期と強さ ── アキアカネの羽化とヘイケボタルの幼虫

たんぼは、なつに いちど、水を ぬいて かわかす ことが あります。これを「中ぼし」と いいます。ところが、ヤゴ(トンボの ようちゅう)は、水が なくなると しんで しまいます[6]。

福井県ふくいけんの しけんでは、アキアカネの ヤゴの 3ぶんの 2が、6がつ 25日までに 羽化(うか)して いました[6]。そこで、6がつ 25日より あとに 中ぼしを すると、羽化する 数が ふえる、と 書かれて います。ただし、この 日づけは 福井県ふくいけんの 目やすです。ぜんこく どこでも おなじでは ありません。

ホタルも おなじです。ヘイケボタルの ようちゅうは、7がつの はじめごろから うまれ、たんぼや 水ろで 貝を たべて そだちます。うまれたばかりの ときに、土に 大きな ひびが 入る ほど つよく ほすと、しんで しまいます。えさの 貝も 土に もぐって しまいます[6]。

秋にも ひとくふうが あります。アキアカネは、秋に 水が たまった ところにしか たまごを うみません。10がつに たんぼを しめらせて おくと、たまごを うみやすくなり、つぎの 年の 羽化が ふえると いわれます[6]。

水の かんりは、生きものの くらしと つながって います。では、くすりは どうでしょう。

夏に田んぼの水を一度抜いて乾かす作業を「中干し」と呼びます。この時期が、ヤゴの暮らしと重なります。福井県農業試験場の手引きによると、アキアカネは水がなくなると田んぼのヤゴが死んでしまいます。場内の調査では、6月25日までに全体の約3分の2が羽化していました。羽化のピークを過ぎた6月25日以降に中干しを始めると、羽化数が増えるとされています[6]。

ただし、6月25日は福井県の試験での目安で、全国共通の日付ではありません。育つのが早い早生(わせ)の品種は例外だと手引きに書かれています。

ヘイケボタルの幼虫は、7月上旬から8月上中旬に孵化し、田んぼや周りの用水路で貝を食べて育ちます。生まれたばかりの幼虫は環境の変化に弱く、大きなひびが入るほど強い中干しをすると死んでしまう、とされています。強く干すと、えさの貝も土にもぐります[6]。

秋にも工夫があります。アキアカネは秋に、水がたまった場所にしか産卵しません。稲刈りのあとの10月に田んぼを湿った状態(一部に水たまりができる程度)にすると、産卵が促され、翌年の羽化数が増えます[6]。

水の扱い方は、生きものの暮らしに合わせて変えられるようです。では、田んぼで使う薬についてはどうでしょう。

アキアカネのヤゴは水がなくなると死ぬ。福井県農業試験場の手引き(平成29年度)は、羽化のピークを過ぎた6月25日以降に中干しを始めると羽化数が増えるとする。根拠は場内調査で、6月25日までに全体の約3分の2が羽化していたことだ[6]。つまり6月25日の時点で、残る約3分の1はまだ羽化の前の段階にあることになる。

ただし、6月25日は福井県の試験にもとづく目安で、全国一律の日付ではない。早生品種は例外とされている。気候や品種が違えば、羽化のピークも違うはずだ。

ヘイケボタルでも似た話がある。幼虫は7月上旬から8月上中旬に孵化し、水田や周辺の用水路で貝を食べて育つ。孵化直後は環境変化に弱く、大きなひびが入るほどの強い中干しで死滅する。強い中干しは餌の貝も土にもぐらせる[6]。

では、なぜ秋の水が産卵に関わるのか。アキアカネは秋に水がたまった場所にしか産卵しない。稲刈り後の10月に水田を湿潤状態(一部に水たまりができる程度)にすると、産卵が促されて翌年の羽化数が増える[6]。夏の水の抜き方と秋の水の残し方で、世代がつながるのが分かる。

水の管理だけが条件ではない。次は、田んぼで使う薬が与える影響を見る。

5. くすりの しゅるいで、ヤゴが うまれる 数が かわる

5. 殺虫剤の種類と、田んぼのクモ・トンボ・アマガエル

5. 育苗箱施用の殺虫剤と、水田の捕食者への影響

はるに、なえを そだてる はこに 入れる くすりが あります。福井県ふくいけんの しけんでは、くすりの しゅるいで、ヤゴの 羽化に 大きな ちがいが 出ました。

フィプロニルを 入れた 水田では、ヤゴは ほとんど 羽化できませんでした。いっぽう、ほかの 2つの くすりを 入れた 水田では、たくさんの ヤゴが 羽化しました[6]。これは、しけん用の 小さな 水田の けっかです。くすり ぜんぶが わるい、という 話では ありません。

たんぼには、ほかにも 大じな 生きものが います。ニホンアマガエルは、たんぼの 中に ひろく いて、虫などを たべます。クモも、たんぼの 虫を たべる ことで 知られて います[7]。

さいごに、この 話は どこへ つながるのでしょう。たんぼの 生きものを まもる とりくみが、日本の ある 島で はじまって います。

春、育苗箱に施す殺虫剤の種類によって、ヤゴの羽化は大きく変わります。福井県農業試験場が場内の模擬水田で試したところ、フィプロニルという成分では、ヤゴはほとんど羽化できませんでした。一方、クロラントラニリプロールやチアメトキサムを使った水田では、多くが羽化しました[6]。成分ごとに違うので、農薬が全部悪いという話ではありません。全国のアキアカネ減少の原因を、これだけで決めることもできません。

宮城県古川農業試験場の報告(2005年)は、田んぼの天敵に注目しています。フィプロニル粒剤などを育苗箱に施すと、水田のクモ類とアカネ属のヤゴの密度が下がりました。クモ類が減った田んぼでは、稲が実る時期にツマグロヨコバイ(イネの害虫)が増える割合が高まっています。殺虫剤を苗の脇に細く入れる側条施用にすると、影響は和らぎました[7]。

同じ報告によると、ニホンアマガエルは水田内に広く分布し、害虫を含む節足動物を食べています。クモも害虫を食べることで知られます。トンボは害虫の天敵としては大きな役割と考えにくいものの、水田に頼る身近な昆虫なので、環境にやさしい農業の象徴になりうる、とされます[7]。

では、こうした生きもの調べを、農法の一部にした地域はあるのでしょうか。

春に育苗箱へ施用する殺虫剤は、成分によって水田の生きものへの影響が違う。福井県農業試験場の模擬水田では、フィプロニルを使うとヤゴはほとんど羽化できず、クロラントラニリプロールやチアメトキサムでは多くが羽化した[6]。ただし、これは模擬水田の結果であり、全国のアキアカネの減少の原因を、この結果だけで断定することはできない。

宮城県古川農業試験場の報告(研究報告5号、2005年)は、害虫防除が天敵に与える影響を調べた。フィプロニル粒剤などの育苗箱施用や水面施用剤による初期防除で、水田のクモ類とアカネ属のヤゴの密度が下がった。クモ類が減った水田では、登熟期のツマグロヨコバイの増加率が高かった。一方、殺虫剤を側条施用にすると影響は和らいだ[7]。害虫を減らす薬が、害虫を食べる生きものも減らし、あとで害虫が増えやすくなる可能性を示す結果だ。

報告はニホンアマガエルが水田内に広く分布し、害虫を含む節足動物を食べると述べ、クモ類も水田害虫の捕食者として知られると述べる。トンボ類は害虫の天敵としては大きな役割と考えにくいが、水田に頼る身近な昆虫として環境保全型農業の象徴種になりうるとする。また、アマガエルの幼生には、魚毒性B類の成分を多く含む一部の除草剤が強く影響した[7]。

では、こうした知見を、農法そのものの条件に取り入れた地域はあるのか。

6. 島の 子どもたちも、生きものを しらべる

6. 佐渡の取り組み ── 生きもの調査が、米づくりの条件になる

6. 佐渡市の認証制度 ── 餌場づくりと小学生の調査隊

にいがたけんの さどの 島では、トキと 人が いっしょに くらせるように、たんぼを くふうして います。トキは、たんぼで ドジョウ、タニシ、カエル、サワガニ、バッタなどを たべます[8]。

たんぼに 「え」と いう 深い ところを つくり、水を ぬく 時期にも 水を のこします。冬にも 水を はる たんぼも あります。水ろと たんぼを つなぐ 魚道も つくります[9]。

こうして つくった お米や、生きもの 調査ちょうさを した お米には、トキを まもる 米づくりの しるしが つきます。小学生の 調査ちょうさたいも いて、子どもたちも、生きものを しらべて います[9]。

トキは、田んぼや草原でドジョウ、タニシ、カエル、サワガニ、バッタなどを食べます。水田の生きものが豊かな山あいの棚田は、昔はトキの餌場や巣づくりの場に向いていたと考えられています[8]。

新潟県の佐渡市は、この餌場を取りもどすために、生きものを育む農法を進めています。田んぼの一角に深みをつくる「江(え)」、冬にも水を張るふゆみずたんぼ、水田魚道、ビオトープです[9]。

「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」では、この農法と生きもの調査を、認証米の要件にしています。江を設けて中干しの時期にも水がある状態を保つのは、先に見た中干しの話と重なります。小学生による「佐渡Kids生きもの調査隊」も活動しています[9]。

全国調査で数え、水路の段差を直し、水を抜く日を見直し、薬の種類を選ぶ。こうした一つ一つが、田んぼのまわりの水の世界を保つ工夫になっています。

トキは田んぼや草原で、ドジョウ、タニシ、カエル、サワガニ、バッタなどを食べる。水田の生きものが豊かな山間地域の棚田は、かつてトキの餌場・営巣地として好適だったと考えられている[8]。

新潟県佐渡市は、この餌場を再生するために、江(水田内の深み)、ふゆみずたんぼ、水田魚道、ビオトープという「生きものを育む農法」を行っている[9]。ここまでの章を並べると、水路との連続性(水田魚道)、水の管理(江で中干し期も湛水状態を保つ)、といった条件を、一つの農法の中に束ねていることが分かる。

「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」は、この農法と生きもの調査を認証米の要件とし、小学生による「佐渡Kids生きもの調査隊」の活動も行っている[9]。調べる行為が農法の一部に組みこまれている点は、全国調査で数を数えた子どもたちの参加と同じ方向を向く。

調査は、2008・2009年度のものである点も踏まえたい。最新の状況を知るには、農林水産省・環境省の最新の資料に当たるのがよい。

7. 近くの 水ろで、だんを さがして みよう

7. 近所の水路で、田んぼとのつなぎ目を見る

7. 身近な水路を観察する道すじと、原典の読み方

たんぼや 水ろの ちかくを、おうちの 人と あるいて みましょう。見る ところは 3つです。

まず、水ろと たんぼの つなぎ目に、だんが あるか。つぎに、水の ながれが ゆっくりな ところは どこか。それから、水草や 小さな 魚の かげは あるか。

安全の ために、水の 中には 入りません。きしに 近づきすぎず、雨の 日や 水が ふえた 日は さけましょう。人の たんぼには 入らず、道から 見るだけに します。

見つけた ものは、とらずに、ノートに 書いて おきます。つぎの 日に もう いちど 見ると、水の ふえ へりも 分かります。

この 話の もとに なった 調査ちょうさは、環境省かんきょうしょうの ウェブサイトで 読めます。

近所に田んぼや水路があれば、道から眺めてみると、この記事の話がいくつか目に入ります。水路と田んぼのつなぎ目に段差があるか。水の流れが緩やかなのはどのあたりか。水草は生えているか。

安全のため、水に入ったり、水路に身を乗り出したりしないでください。雨の日や水かさが増している日は避け、人の田んぼには入らず、道から見ます。生きものは、つかまえず、見たものを書きとめるだけにします。

調査の一次の情報は、環境省の報道発表(田んぼの生きもの調査2008・2009)と、農林水産省の水田魚道のページで読めます。数字は2008・2009年度のものなので、最新の状況は、各機関の最新の資料で確かめてください。

水の通り道に、どんな生きものがいて、どこで行き止まるのか。段差をひとつ見つけたら、そこから先の道すじを自分で想像してみると、この調査の数字がぐっと身近になります。

身近な水路で確かめられるのは、(1) 水路と田んぼの間の段差の有無、(2) 流速が緩やかな場所の位置、(3) 水生植物の有無、の3点だ。いずれも本稿で扱った資料(フナの産卵、メダカの生息環境)に対応している。水に入らず、水路に身を乗り出さず、道から見る。増水時は避ける。生きものは採集せず、見たものを記録する。

原典は、環境省報道発表「田んぼの生きもの調査2009の結果」(延べ参加者数、確認種数、メダカの確認地点)、農林水産省の環境配慮の指針と水田魚道のページ、福井県農業試験場の手引き(中干しと羽化)、宮城県古川農業試験場の報告(天敵への影響)で読める。数字は2008・2009年度の調査にもとづくため、最新の状況は各機関の新しい資料を確認してほしい。

また、ここで扱った中干し日付(6月25日)や農薬の影響は、ある県・ある試験の結果だ。自分の地域の農業試験場や自治体の資料に同様の指針があるかを調べると、「条件が変われば結果も変わる」という点を、自分の目で確かめられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った公的機関の資料です。数字は各資料の原文にもとづきます。

  1. 環境省「田んぼの生きもの調査2009の結果」(農林水産省・環境省連携) https://www.env.go.jp/press/12308.html (参加者数、確認種数、メダカの地点数)
  2. 環境省「田んぼの生きもの調査2008の結果」 https://www.env.go.jp/press/11029.html (前年度の種数、上位種)
  3. 環境省「田んぼの生きもの調査の結果から」 https://www.env.go.jp/press/3090.html (メダカの生息環境)
  4. 農林水産省「農業農村整備事業における環境配慮の手引き(環境配慮の指針)」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/keityo/kankyo/attach/pdf/kankyou_shishin-30.pdf (フナの産卵と移動障害)
  5. 農林水産省「水田魚道」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kankyo/kankyo_hozen/gyodou.html (水田魚道の目的)
  6. 福井県農業試験場「トンボやホタルにやさしい農薬と水管理技術」(平成29年度指導活用技術) https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/noushi/kikaku/hukyu_d/fil/h29_07_shidou.pdf (中干しの時期、秋の水、殺虫剤の種類、ホタル)
  7. 宮城県古川農業試験場「水田の捕食性天敵類に与える農薬の影響」(研究報告5号) https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030775022.pdf (クモ・アマガエル・ヤゴへの影響)
  8. 環境省「野生復帰事業の波及効果としての地域ブランド形成(トキ・コウノトリ)」 https://www.env.go.jp/nature/satoyama/satonavi/wildlife/pdf/1-1.pdf (トキの餌と棚田)
  9. 農林水産省「田んぼの餌場環境再生によるトキの野生復帰の取組(佐渡市)」 https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/attach/pdf/seibutu_tayosei-21.pdf (認証制度と子どもの調査隊)

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