1. シロワニは、ワニ? サメ?
1. 答えは、サメ ── ワニとはどこがちがうのか
1. 分類上はサメ ── 軟骨魚類と爬虫類のちがい
シロワニは、サメの なかまです[1]。ワニでは ありません。
サメは、魚の なかまで、水の 中で えらを つかって 息を します[5]。体の ほねは、ほねでは なく、やわらかくて じょうぶな 軟骨で できています[5]。
ワニは、はちゅうるいの なかまで、肺で 空気を すいます[6]。水に もぐっても、ときどき 水面に あがって 息を しなければ なりません。シロワニは、水の 中で えらを つかって 息を します。
2. どうして「ワニ」って 名前なの?
2. なぜ「ワニ」と呼ぶのか ── サメの古い呼び名
2. 「ワニ」はサメの別称 ── 山陰・北陸の呼び名と、語源の空白
日本の 一部の 地方では、サメの ことを「ワニ」と よびます。山陰や ほくりくでは、サメを ワニと よぶ と、のうりんすいさんしょうの ページに あります[4]。ひろしまけんの 山の ほうでは、サメの さしみを「ワニ」と いって たべる ところも あります。
シロワニの「ワニ」も、この よび方の ことだと 考えられます。ワニは、サメを さす ことばでも あるのです[1]。
ただ、どうして「シロ」と つくのかは、調べた ものの 中では 分かりませんでした。
日本語の「ワニ」は、サメの別称として使われることもあります。農林水産省の資料には、サメの呼び名は地域によってちがい、山陰や北陸では「ワニ」と呼ぶと書かれています[4]。シロワニの項目にも、「ワニ(和邇)」はサメの別称だという説明があります[1]。
では「シロ」は何でしょうか。この由来を直接説明した資料は、今回は見つかりませんでした。体の色に由来するのか、ほかの理由があるのかは、はっきりしません。
サメとワニの呼び名のからみあいについては、『因幡の白兎』に出てくる「ワニ」はどちらなのかを調べた記事が、このサイトにあります。サメを「ワニ」と呼ぶ土地の話も、そちらに詳しく書きました。
日本語の「ワニ」は、サメの別称として使われることもある。農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」は、サメの呼び名に地域差があり、関西では「フカ」、山陰や北陸では「ワニ」と呼ぶと説明している[4]。シロワニの項目でも、「ワニ(和邇)」はサメの別称だとされている[1]。
「シロ」の由来を直接説明した資料は、今回確認できた範囲では見つからなかった。体色に由来するのか、別の理由なのかは、はっきりしない。
サメを「ワニ」と呼ぶ土地や、『因幡の白兎』の「和邇」がサメかワニかという議論は、このサイトの別の記事(因幡の白兎の記事)で詳しく扱っている。ここでは、シロワニの名前が「ワニという名のサメ」の系統にあることまでを押さえておく。
3. えいごでは、なんて よぶの?
3. 英語の名前も、サメらしくない
3. 英語名も別の動物の名前 ── sand tiger と grey nurse
シロワニは、えいごでは「サンドタイガー」(すなの トラ)と よばれる ことが あります[2]。オーストラリアでは「グレー・ナース・シャーク」(はいいろの ナースザメ)とも いいます[2]。
トラと いっても、トラの なかまでは ありません。どちらも サメの なまえです。日本では ワニ、えいごでは トラ。どちらも、サメの 名前です。
英語でも、この魚は別の動物の名前で呼ばれます。「sand tiger shark」(砂のトラのサメ)です。オーストラリアでは「grey nurse shark」、南アフリカでは「spotted ragged-tooth shark」(ぎざぎざの歯のサメ)とも呼ばれています[2]。
英語版ウィキペディアは、「sand tiger」という名前が紛らわしいと書いています。シロワニは、イタチザメ(tiger shark)やコモリザメ(nurse shark)とは別のサメだからです[2]。
シロワニは、日本語では「ワニ」、英語では「トラ」の名を持つサメです。怖そうな見た目と関係があるのかもしれませんが、命名の理由を述べた資料は見つかっていません。
英語でも、この魚は別の動物の名で呼ばれる。「sand tiger shark」(砂のトラのサメ)が一般的で、オーストラリアでは「grey nurse shark」、南アフリカでは「spotted ragged-tooth shark」(まだらでぎざぎざ歯のサメ)とも呼ぶ[2]。
英語版ウィキペディアは、「sand tiger」という名がまぎらわしいと注記している。イタチザメ(tiger shark)やコモリザメ(nurse shark)とは別のサメだからだ[2]。学名の種小名 taurus はラテン語で「雄牛」を意味する[2]。
シロワニは、日本語では「ワニ」、英語では「トラ」の名を持つサメだ。見た目の怖さと関係があるのかもしれないが、命名の理由を書いた資料は、今回確認できていない。
4. 口から はみ出す 歯は、おそろしい?
4. 口からはみ出す歯は、本当に恐ろしいのか
4. はみ出す歯の正体 ── 魚を捕らえる形と、おだやかな性格
シロワニの 口は 大きくて、いつも すこし 開いています。だから 歯が ずらりと 見えます[1]。歯は、細くて とがった きばのような 形です[1]。
でも、あの 歯は、おもに 魚を つかまえる ための ものと 考えられます[3]。人を おそう ことは ほとんど なく、こちらから 手を 出さなければ、あばれないと いわれます[3]。
ただし、からかわれると かむ ことも あります[3]。水族館では、ガラスごしに 見る だけに しましょう。
シロワニの口は大きく、いつも少し開いているので、歯が外にずらりと見えます。歯はとがった牙のような形をしています[1]。英語版ウィキペディアは、口が目より後ろまで裂け、歯が三列に並んで見える、と書いています[2]。
この歯は、人を襲うためというより、魚をつかまえるためのものです。フロリダ自然史博物館の解説によると、シロワニは主に魚を食べ、エイやイカ、カニ、小型のサメも食べます[3]。魚をとらえるのに向いた形、と考えられます。
同じ解説によると、シロワニは挑発されないかぎり攻撃的ではないとされます。国際サメ被害目録(ISAF)には、こちらから手を出していないのにかまれた事例が29件あり、死亡例はありません[3]。ただし、挑発されるとかむことがあるといわれています[3]。野生の個体には、近づいたり手を出したりしないようにしましょう。
シロワニの口は大きく、常に半開きで、歯が外から丸見えになる[1]。歯は牙状で、小さな副咬頭を2つ備え、最前列だけでなく後ろの数列も立ち上がっている[1]。英語版は、口が目の後ろまで裂け、歯が三列に並んで見えると記述している[2]。
この歯は、人を襲うためというより、魚を捕らえるための形と考えられる。フロリダ自然史博物館の解説では、獲物の主体は硬骨魚類で、エイ類、イカ、カニ、ロブスター、小型のサメも食べる[3]。魚をとらえるのに向いた形と考えられる。
同解説によれば、挑発されないかぎり攻撃的ではないとされる。国際サメ被害目録(ISAF)には、人間からの挑発がないのに咬まれた例が29件あるが、死亡例はない[3]。同解説によれば、水族館でもよく飼育され、記録上最も長い飼育例は24年だという[3]。ただし、挑発されれば咬むことはあり、銛で突いた魚を持つダイバーが咬まれた例もある[3]。野生の個体には近づかず、手を出さないのが前提だ。
5. 空気を のみこんで、うかぶって ほんとう?
5. 空気をのみこんで水に浮く、変わったくふう
5. 浮き袋のかわりに胃 ── 空気をのむ浮力の調節
シロワニの 体は、水より すこし おもく、ほかの 多くの 魚のような、うきぶくろが ありません[3]。そこで、水面まで 上がって 空気を のみこみ、おなかに ためます[3]。
おなかの 空気で ういて、水の 中に とどまる ことが できます[3]。えものに そっと ちかづく ときにも、やくに 立つようです[2]。えいごの ウィキペディアは、これを やる サメは シロワニだけ だと 書いています[2]。
水族館で、水面に 口を 出して パクッと 空気を のむ すがたが 見られる かも しれません。
シロワニは、水より少し重い体を持っていて、ほかの多くの魚のような浮き袋がありません[3]。そこで水面まで上がって空気をのみこみ、胃にためます[3]。空気を浮き袋のかわりに使い、浮力を調節して水中にとどまれるのです[3]。
英語版ウィキペディアは、これは、空気を飲んで胃にためることが知られている唯一のサメで、おかげで水中でほぼ中立の浮力を保ち、静かに狩りができると説明しています[2]。
空気で浮くという仕組みは、水族館でこの魚を見るときに、ぜひ思い出したい点です。水槽の中でじっとしているのは、ぼんやりしているのではなく、空気で浮く技を使っているのかもしれません。
シロワニの体は水より密度が高く、多くの魚が持つ浮き袋がない。そこで水面まで上がって空気をのみこみ、胃にためる。これで浮力を調節し、水中にとどまることができる[3]。
英語版ウィキペディアは、胃に空気をためることが知られている唯一のサメだとし、これによってほぼ中立の浮力を保ち、静かな狩りが可能になると説明している[2]。なお日本語版は、空気を胃にためることは述べているが、浮力調節とは明言していない[1]。浮力の説明は、英語版とフロリダ自然史博物館の記述にもとづく。
空気をためれば、泳ぎ続けなくても水中にとどまれる。水槽でじっとしている姿は、ぼんやりしているのではなく、この技を使っている最中かもしれない。
6. 水族館で、どこを 見ればいい?
6. 日本の水族館で会えるシロワニ
6. 日本の水族館と、小笠原の調査
日本の 水族館では、2021年に 10か所で、シロワニを 見る ことが できました[1]。いばらきけんの アクアワールド大洗水族館も、その 一つです。
すみだ水族館の シロワニは、小笠原の 海で つかまえた ものです[1]。小笠原では、水族館の 人たちが、ダイバーの とった しゃしんから、シロワニの 体の もようや きずを ひとつずつ 見分けて、どこを 泳ぐのか 調べて います[7]。
口の 歯、ゆっくり 泳ぐ すがた、水面で 空気を のむ ところ。見つけたら、シロワニが ワニでは なく サメだと いう ことを、おうちの 人にも 教えて あげましょう。
日本語版ウィキペディアによると、2021年の時点で、国内の10の水族館がシロワニを飼育展示しています。マリンワールド海の中道、京急油壺マリンパーク、アクアワールド大洗などです[1]。最初の展示は1995年、マリンワールド海の中道が始めました[1]。
すみだ水族館の個体は、小笠原諸島の海で捕獲されました[1]。小笠原では、シロワニ繁殖協議会が、ダイバーの撮影した写真や動画から、体の斑紋や傷をもとに個体を見分ける調査をしています。シロワニがどこを泳ぎ、いつ繁殖するのかを調べるためです[7]。
水族館では、口の歯、ゆっくりした泳ぎ、水面で空気をのむしぐさを探してみましょう。繁殖のしくみや、母ザメのおなかの中で何が起きているのかは、このサイトの別の記事(シロワニの胎内共食いの記事)で扱っています。
日本語版ウィキペディアによると、2021年時点で、国内10館がシロワニを飼育展示している(マリンワールド海の中道、京急油壺マリンパーク、アクアワールド大洗など)。最初の展示は1995年、マリンワールド海の中道がオーストラリア産の個体で始めた[1]。
すみだ水族館の個体は、小笠原諸島海域で捕獲された[1]。小笠原では、シロワニ繁殖協議会が2018年から、ダイバーが撮影した写真や動画をもとに、斑紋や傷で個体を識別する調査を進めている。シロワニの移動、繁殖期、交尾や出産の場所を明らかにするためだ[7]。
水族館では、はみ出す歯、ゆっくりした泳ぎ、水面での空気の吸い込みを探してみるとよい。繁殖と胎内共食いについては、このサイトの別の記事(シロワニの胎内共食いの記事)が詳しい。
じぶんでも しらべてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
水族館に 行ったら、「シロワニ」の なふだの ある すいそうを さがして みましょう。口の 歯、おなかの あたり、水面に 上がる ときの ようすを 見て、ワニと ちがう ところを 3つ 見つけて みましょう。
図書館では、サメの 図かんを ひらいて、「ワニ」と いう 名前の ついた サメを ほかにも さがして みましょう。
水族館で、シロワニの水槽の前に立ったら、次の3つを観察してみましょう。口からはみ出す歯の見え方、泳ぐ速さ、水面に上がるときのようすです。
図鑑や水族館の解説パネルで、「ワニ」や「トラ」の名がつくサメがほかにもいないか、探してみるのも面白いです。
水族館でシロワニの水槽を見るときは、口からはみ出す歯の見え方、泳ぐ速さ、水面に上がるときの様子を観察するとよい。「ワニ」や「トラ」の名がつく別のサメがいないか、図鑑で探すのも面白い。
もっと調べたい人は、各水族館の解説ページや、フロリダ自然史博物館の種別プロファイル(参考にした情報源[3])を直接読んでみてほしい。シロワニの属する科は、研究によって区分が見直されてきており、資料ごとに名称が異なることがある[1]。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
- フリー百科事典『ウィキペディア』「シロワニ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/シロワニ (ネズミザメ目に属すること、口が常時半開きで歯が見えること、牙状の歯と副咬頭、水面で空気を吸い胃にためること、国内10館での飼育展示、小笠原産の個体、「ワニ(和邇)」がサメの別称であることは同記事による)
- English Wikipedia「Sand tiger shark」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Sand_tiger_shark (sand tiger・grey nurse などの英名、「sand tiger」がイタチザメ・コモリザメとは別のサメで紛らわしいという注記、口が目より後ろまで伸び歯が三列に見えること、空気を胃にためて浮力を保つ唯一のサメとされること、種小名 taurus は「雄牛」の意味であることは同記事による)
- Florida Museum「Sand Tiger Shark」。 https://www.floridamuseum.ufl.edu/discover-fish/species-profiles/sand-tiger-shark (浮き袋がなく水面で空気をのんで胃にためて静止できること、食べるもの、挑発されなければ攻撃的でないこと、国際サメ被害目録の件数と死亡例がないこと、水族館での最長飼育24年は同ページによる)
- 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」(フカのてっぽう)。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/hukanotetubosi.html (サメの呼び名に地域差があり、関西で「フカ」、山陰・北陸で「ワニ」と呼ぶことは同ページによる)
- English Wikipedia「Shark」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Shark (サメが軟骨魚類で、えらで酸素をとり入れ、骨格が軟骨でできていることは同記事による)
- English Wikipedia「Crocodilia」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Crocodilia (ワニ類が爬虫類で肺呼吸をし、変温動物であり、硬い殻の卵を産むことは同記事による)
- マリンワールド海の中道「シロワニの調査・研究」。 https://marine-world.jp/shirowani/ (シロワニ繁殖協議会が2018年から小笠原諸島で個体識別調査を行っていること、斑紋や傷で識別すること、調査の目的は同ページによる)
なおした ところ
更新履歴
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